JP6180358B2 - 円柱構造体及びモータ - Google Patents

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Description

本発明は、円柱構造体に関する。
特許文献1は、クリーンルーム用ロボットのアーム構造を開示している。そのアーム構造は、中空の筐体を有しており、その筐体の側壁にハニカム構造が適用されている。このようなアーム構造の作製には、2枚の金属薄板間にハニカム構造が挟まれたハニカム板が用いられる。そのハニカム板が、曲げ加工によって所望の筒形状に成形される。更に、ハニカム板の接合端は、当て板とボルトねじを用いることによって機械固定される。
特開昭61−192490号公報
上記特許文献1に記載の技術によれば、ハニカム板が、曲げ加工によって所望の筒形状に成形される。この時、曲げ加工によって折り曲げられた部分では、ハニカム構造が破壊されてしまう。すなわち、折り曲げ部分での強度が劣化し、好ましくない。
本発明の1つの目的は、軽量且つ高強度の円柱構造体を提供することにある。
本発明の1つの観点において、円柱構造体が提供される。その円柱構造体は、半径方向が第1方向である多重円筒と、その多重円筒のうち隣り合う内側円筒と外側円筒との間の空間に形成された複数の筒状構造と、前記複数の筒状構造の少なくとも一部の内部に配置されている磁石とを備える。複数の筒状構造の各々の軸方向は、上記の第1方向である。その第1方向と直交する面における各々の筒状構造の断面積は、内側円筒から外側円筒に向かうにつれて大きくなる。
本発明の他の観点において、モータが提供される。そのモータは、上記の円柱構造体を可動子として備える。
本発明によれば、軽量且つ高強度の円柱構造体が実現される。
図1は、本発明の実施の形態1に係る円柱構造体を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る円柱構造体のrq断面図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係る円柱構造体のqz断面図である。 図4は、本発明の実施の形態2に係る円柱構造体のrq断面図である。 図5は、本発明の実施の形態3に係る円柱構造体のrq断面図である。 図6は、本発明の実施の形態4に係る円柱構造体のrq断面図である。 図7は、本発明の実施の形態5に係る円柱構造体のqz断面図である。 図8は、本発明の実施の形態6に係る円柱構造体のqz断面図である。 図9は、本発明の実施の形態7に係る円柱構造体のqz断面図である。 図10は、本発明の実施の形態8に係る円柱構造体のrq断面図である。 図11は、本発明の実施の形態8に係る円柱構造体のqz断面図である。 図12は、本発明の実施の形態8に係る円柱構造体が可動子として適用されたモータを示す概略図である。 図13は、本発明の実施の形態8に係る円柱構造体が可動子として適用されたリニアモータを示す概略図である。 図14は、本発明の実施の形態8に係る円柱構造体の変形例のrq断面図である。 図15は、本発明の実施の形態8に係る円柱構造体の変形例のqz断面図である。
添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る円柱構造体1を示す斜視図である。円柱構造体1は、多重円筒2を備えている。多重円筒2は、複数の同心円筒からなる。図1に示される例では、多重円筒2は、内側の第1円筒2−1と外側の第2円筒2−2を備えている。
ここで、本明細書で用いられる方向や面の定義を行う。多重円筒2は円筒座標系で表され、その半径方向、周方向、及び軸方向は、それぞれ、r方向、q方向、及びz方向である。z方向(軸方向)に直交する面はrq面であり、そのrq面における断面は、以下「rq断面」と呼ばれる。また、r方向(半径方向)に直交する面はqz面であり、そのqz面における断面は、以下「qz断面」と呼ばれる。
図2は、本実施の形態に係る円柱構造体1のrq断面図である。また、図3は、本実施の形態に係る円柱構造体1のqz断面図である。特に、図3は、図2中の破線A及び破線Bのそれぞれの位置におけるqz断面を部分的に示している。ここで、破線Bは、破線Aよりも、r方向外側に位置している。内側の破線Aの位置におけるqz断面は、以下「A断面」と呼ばれる。一方、外側の破線Bの位置におけるqz断面は、以下「B断面」と呼ばれる。
これら図1〜図3を参照して、本実施の形態に係る円柱構造体1を更に詳しく説明する。
最も内側の第1円筒2−1は、中空であってもよいし、中実であってもよい。第1円筒2−1が中空である場合、その第1円筒2−1の内側には、z方向に延びるコア空間3が形成される。このようなコア空間3は、例えば、z方向に延びる配線の設置に利用可能である。
隣り合う第1円筒2−1と第2円筒2−2との間には、空間4が形成されている。その空間4には、複数の筒状構造5が形成されている。図1には、筒状構造5の配置を見せるための透視断面も示されている。また、図2には、1つの筒状構造5が切り取られて示されている。図2に示されるように、各々の筒状構造5の軸方向は、r方向である。すなわち、筒状構造5の軸方向は、第1円筒2−1の外周面や第2円筒2−2の内周面と直交している。このような筒状構造5が空間4に配置されることにより、円柱構造体1の強度が確保される。
図1及び図3に示されるように、qz面における各々の筒状構造5の断面形状は六角形である。更に、図2及び図3に示されるように、qz面における各々の筒状構造5の断面積は、第1円筒2−1から第2円筒2−2に向かうにつれて(すなわち、r方向外側に向かって)大きくなる。言い換えれば、各々の筒状構造5は、r方向に向かって放射状に形成されている。このような放射状の筒状構造5は、隣り合う第1円筒2−1と第2円筒2−2との間の空間4への配置に適している。
複数の筒状構造5は、空間4において離散的に形成されていてもよい。但し、強度の観点から言えば、図1〜図3に示されるように、複数の筒状構造5は連続的に形成されるとより好ましい。言い換えれば、複数の筒状構造5は、空間4を充填するように連続体として形成されると好適である。本実施の形態のように断面形状が六角形である場合、筒状構造5を空間4に隙間なく配置することが可能である。
また、全方位にわたって均一な強度が得られるように、複数の筒状構造5が配置されると好ましい。言い換えれば、筒状構造5の配置密度は、空間4にわたって均一であると好適である。また、筒状構造5は、多重円筒2の軸を中心にして対称的に配置されると好適である。
円柱構造体1の材料としては、金属やプラスチックが挙げられる。円柱構造体1は、例えば3Dプリンタを利用することによって作製可能である。あるいは、切削等で筒状構造5の連続体を形成し、その連続体を第1円筒2−1と第2円筒2−2とで挟み込むように接着あるいは接合してもよい。典型的には、多重円筒2と筒状構造5とは、同じ材料で一体的に形成される。
以上に説明されたように、本実施の形態に係る円柱構造体1は、多重円筒2と筒状構造5の組み合わせで構成される。多重円筒2のうち隣り合う第1円筒2−1と第2円筒2−2との間には空間4が形成されており、これが円柱構造体1の軽量化に寄与する。また、その空間4には複数の筒状構造5が配置され、これが円柱構造体1の強度の確保に寄与する。すなわち、本実施の形態によれば、軽量且つ高強度の円柱構造体1が実現される。
尚、本実施の形態では、上述の特許文献1の場合のようなハニカム板の曲げ加工は不要である。よって、曲げ加工による筒状構造5の破壊も発生しない。このことも、円柱構造体1の強度の確保に寄与する。
本実施の形態に係る円柱構造体1は、建物や機械の柱、モータのシャフト等に利用可能である。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る円柱構造体1のrq断面図である。上述の実施の形態1と重複する説明は適宜省略される。
上述の実施の形態1では、多重円筒2を構成する円筒の数は2であったが、それに限られない。多重円筒2を構成する円筒の数は3以上であってもよい。図4に示される例では、多重円筒2は、第1円筒2−1、第2円筒2−2、及び第3円筒2−3を備えている。第1円筒2−1は最も内側に位置し、第3円筒2−3は最も外側に位置し、第2円筒2−2は第1円筒2−1と第3円筒2−3との間に位置している。
隣り合う第1円筒2−1と第2円筒2−2との間には、第1空間4−1が形成されている。その第1空間4−1には、複数の第1筒状構造5−1が形成されている。また、隣り合う第2円筒2−2と第3円筒2−3との間には、第2空間4−2が形成されている。その第2空間4−2には、複数の第2筒状構造5−2が形成されている。このような構成により、実施の形態1の場合と同様に、軽量且つ高強度の円柱構造体1が実現される。
筒状構造5は放射状に形成されるため、上記実施の形態1の円柱構造体1の径が大きくなると、その円柱構造体1の表面強度が弱くなる恐れがある。そのような場合であっても、図4に示されるように円筒の数を増やすことによって、同等の表面強度を確保することが可能である。
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る円柱構造体1のrq断面図である。上述の実施の形態2と重複する説明は適宜省略される。
本実施の形態では、第2空間4−2に複数の第2筒状構造5−2が形成されるが、第1空間4−1には複数の第1筒状構造5−1が形成されない。その代わり、第1空間4−1には、第1円筒2−1と第2円筒2−2との間をつなぐ支持部材6が形成されている。例えば、支持部材6は、z方向に延びる板状部材である。
このような円柱構造体1は、少なくとも外側から印可される力に対しては高強度を発揮する。その一方で、第1空間4−1を他の用途に利用可能である。例えば、z方向に延びる配線を第1空間4−1に設置することができる。このように、高強度を確保しつつ利用性も拡大することができ、好適である。
実施の形態4.
図6は、本発明の実施の形態4に係る円柱構造体1のrq断面図である。上述の実施の形態2と重複する説明は適宜省略される。
本実施の形態では、第1空間4−1に複数の第1筒状構造5−1が形成されるが、第2空間4−2には複数の第2筒状構造5−2が形成されない。その代わり、第2空間4−2には、第2円筒2−2と第3円筒2−3との間をつなぐ支持部材6が形成されている。例えば、支持部材6は、z方向に延びる板状部材である。
このような円柱構造体1は、少なくともコア領域3から印可される力に対しては高強度を発揮する。そのようなケースとして、コア領域3に流体が流れる配管が考えられる。すなわち、本実施の形態に係る円柱構造体1を配管として利用することが考えられる。
第2空間4−2は他の用途に使用可能である。例えば、z方向に延びる配線を第2空間4−2に設置することができる。このように、高強度を確保しつつ利用性も拡大することができ、好適である。
実施の形態5.
図7は、本発明の実施の形態5に係る円柱構造体1のqz断面図である。上述の実施の形態1と重複する説明は適宜省略される。
上述の実施の形態1では、qz面における筒状構造5の断面形状は六角形であったが、それに限られない。図7に示される例では、筒状構造5の断面形状は四角形である。その他、筒状構造5の断面形状として、各種多角形が可能である。
尚、複数の筒状構造5は、空間4を充填するように連続体として形成されると好適である。断面形状が四角形である場合、図7に示されるように、筒状構造5を隙間なく配置することが可能である。
尚、本実施の形態の断面形状は、上述の実施の形態2〜4にも適用可能である。
実施の形態6.
図8は、本発明の実施の形態6に係る円柱構造体1のqz断面図である。上述の実施の形態1と重複する説明は適宜省略される。
qz面における筒状構造5の断面形状は、多角形に限られない。図8に示される例では、筒状構造5の断面形状は円形である。この場合であっても、複数の筒状構造5を、空間4を充填するように連続体として形成することが可能である。
尚、本実施の形態の断面形状は、上述の実施の形態2〜4にも適用可能である。
実施の形態7.
図9は、本発明の実施の形態7に係る円柱構造体1のqz断面図である。上述の実施の形態1と重複する説明は適宜省略される。
上述の実施の形態では、qz面における筒状構造5の断面形状は一種類であったが、それに限られない。筒状構造5の断面形状として、複数種類のパターンが組み合わされてもよい。図9に示される例では、筒状構造5は、断面形状の異なる2種類の筒状構造5X,5Yを含んでいる。筒状構造5Xの断面形状は八角形であり、筒状構造5Yの断面形状は四角形である。この場合であっても、複数の筒状構造5を、空間4を充填するように連続体として形成することが可能である。
尚、本実施の形態の断面形状は、上述の実施の形態2〜4にも適用可能である。
実施の形態8.
図10及び図11は、それぞれ、本発明の実施の形態8に係る円柱構造体1のrq断面図及びqz断面図である。上述の実施の形態1と重複する説明は適宜省略される。
本実施の形態では、円柱構造体1が磁石7を内蔵している。より詳細には、少なくとも一部の筒状構造5の内部に、磁石7が配置されている。図10及び図11に示される例では、磁石7は、各筒状構造5の内部でも最も外側の位置に配置されている。つまり、磁石7は、第2円筒2−2の内周面と接触しているが、第1円筒2−1の外周面から離れている。磁石7を部分的に配置することは、円柱構造体1の軽量化に寄与する。
図12は、本実施の形態に係る円柱構造体1の1つの適用例として、モータ10を示している。モータ10は、シャフト11、シャフト11に接続されたロータ12(可動子)、及びロータ12を取り囲むように配置されたステータ13(固定子)を備えている。ここで、本実施の形態に係る円柱構造体1を、ロータ12として利用することができる。
図13は、本実施の形態に係る円柱構造体1の他の適用例として、リニアモータ20を示している。リニアモータ20は、ステータ21(固定子)と、ステータ21に囲まれた移動子22(可動子)を備えている。ここで、本実施の形態に係る円柱構造体1を、移動子22として利用することができる。
尚、モータ10は、図12で示されたようなインナーロータ型に限られず、アウターロータ型であってもよい。アウターロータ型の場合は、図14及び図15で示されるように磁石7が配置されるとよい。図14及び図15では、磁石7は、各筒状構造5の内部でも最も内側の位置に配置されている。つまり、磁石7は、第1円筒2−1の外周面と接触しているが、第2円筒2−2の内周面から離れている。磁石7を部分的に配置することは、円柱構造体1の軽量化に寄与する。
矛盾しない限りにおいて、上述の実施の形態同士の組み合わせも可能である。
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
1 円柱構造体、2 多重円筒、2−1 第1円筒、2−2 第2円筒、2−3 第3円筒、3 コア空間、4 空間、4−1 第1空間、4−2 第2空間、5,5X,5Y 筒状構造、5−1 第1筒状構造、5−2 第2筒状構造、6 支持部材、7 磁石、10 モータ、11 シャフト、12 ロータ、13 ステータ、20 リニアモータ、21 ステータ、22 移動子。

Claims (9)

  1. 半径方向が第1方向である多重円筒と、
    前記多重円筒のうち隣り合う内側円筒と外側円筒との間の空間に形成された複数の筒状構造と
    前記複数の筒状構造の少なくとも一部の内部に配置されている磁石と、
    を備え、
    前記複数の筒状構造の各々の軸方向は前記第1方向であり、
    前記第1方向と直交する面における前記各々の筒状構造の断面積は、前記内側円筒から前記外側円筒に向かうにつれて大きくなる
    円柱構造体。
  2. 前記複数の筒状構造は、前記空間を充填するように形成されている
    請求項1に記載の円柱構造体。
  3. 前記複数の筒状構造の配置密度は、前記空間にわたって均一である
    請求項1又は2に記載の円柱構造体。
  4. 前記複数の筒状構造は、前記多重円筒の軸を中心にして対称的に配置されている
    請求項1から3のいずれか一項に記載の円柱構造体。
  5. 前記第1方向と直交する面における前記各々の筒状構造の断面形状は、多角形である
    請求項1から4のいずれか一項に記載の円柱構造体。
  6. 前記複数の筒状構造は、前記空間に隙間なく配置されている
    請求項5に記載の円柱構造体。
  7. 前記第1方向と直交する面における前記各々の筒状構造の断面形状は、円形である
    請求項1から4のいずれか一項に記載の円柱構造体。
  8. 前記複数の筒状構造は、前記第1方向と直交する面における断面形状が異なる複数の種類を含んでいる
    請求項1から4のいずれか一項に記載の円柱構造体。
  9. 請求項に記載の円柱構造体を可動子として備えるモータ。
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