JP6170890B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6170890B2
JP6170890B2 JP2014184799A JP2014184799A JP6170890B2 JP 6170890 B2 JP6170890 B2 JP 6170890B2 JP 2014184799 A JP2014184799 A JP 2014184799A JP 2014184799 A JP2014184799 A JP 2014184799A JP 6170890 B2 JP6170890 B2 JP 6170890B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
speed
target
driving force
gear
shift
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014184799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015143568A (ja
Inventor
広規 遠藤
広規 遠藤
宮本 修秀
修秀 宮本
正 江藤
正 江藤
隆行 岸
隆行 岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2014184799A priority Critical patent/JP6170890B2/ja
Publication of JP2015143568A publication Critical patent/JP2015143568A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6170890B2 publication Critical patent/JP6170890B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

本発明は、2つのクラッチを有し、原動機の動力を2つの動力伝達経路の一方と他方との間で切り換えて駆動輪に伝達する自動変速機を備えた車両の制御装置に関する。
従来、自動変速機を備えた車両の制御装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この自動変速機は、車両に搭載された5段変速タイプのものであり、車両のエンジンの動力を、変速しながら、2つの動力伝達経路の一方と他方との間で切り換えて駆動輪に伝達するものである。自動変速機は、第1及び第2クラッチ8,9をそれぞれ介してエンジンに連結された第1及び第2入力軸41,42と、駆動輪に連結された出力軸43と、この出力軸43上に相対回転可能に設けられた前進1〜5速段用の5つの従動ギヤ11〜15と、これらの従動ギヤ11〜15を出力軸43に対して同期させながら連結する3つのシンクロ機構21〜23と、第2入力軸42に同心に固定され、前進1,3,5速段用の従動ギヤ11,13,15に常に噛み合う前進1,3,5速段用の3つの駆動ギヤ1,3,5と、第1入力軸41に同心に固定され、前進2,4速段用の従動ギヤ12,14に常に噛み合う前進2,4速段用の駆動ギヤ2,4などを備えている。
この制御装置では、同文献の図3に示すように、動力伝達経路の切り換えの際に、プリシフト制御が実行される。このプリシフト制御は、エンジンの動力が、2つの動力伝達経路の一方によって駆動輪に伝達されている状態で、他方の動力伝達経路のクラッチを遮断状態に保持しながら、シンクロ機構により、他方の動力伝達経路を構成する従動ギヤの1つと出力軸とを予め連結するものである。具体的には、同図に示すように、ステップ301で、目標変速段を設定し、ステップ302で、この目標変速段の従動ギヤを出力軸に同期させながら連結するように、シンクロ機構を駆動する。そして、ステップ303で、目標変速段の駆動ギヤが入力軸に連結されたか否かを判別し、目標変速段の駆動ギヤの入力軸への連結が失敗したときには、ステップ304で、シンクロ機構による連結動作を解除し、ステップ305で、その入力軸とエンジンとの間のクラッチを接続した後、プリシフト制御を終了する。
特開2008−180320号公報
上記特許文献1に記載の制御装置によれば、高速側の変速段での走行中、より低速側の変速段にシフトダウンする場合において、現在の変速段とシフトダウン対象の変速段とが奇数段同士又は偶数段同士のときには、以下の問題が発生してしまう。
例えば、前進5速段から前進3速段へシフトダウンする場合、前進5速段をインギヤ状態にかつ第1クラッチ8を遮断した状態で、前進4速段のプリシフト制御を実行し、前進4速段がインギヤした後、第1クラッチ8の接続を実行しながら第2クラッチ9の遮断を実行する。次いで、前進4速段をインギヤ状態にかつ第2クラッチ9を遮断した状態で、前進3速段のプリシフト制御を実行し、前進3速段がインギヤした後、第1クラッチ8の遮断を実行しながら第2クラッチ9の接続を実行することになる。
以上のように、前進5速段から前進3速段へのシフトダウン動作が実行される関係上、変速動作の実行時間が長くなってしまう。この問題は、前進4速段から前進2速段へのシフトダウン動作時も発生してしまう。このような問題を解決する手法として、例えば、前進5速段から前進3速段へのシフトダウン動作を実行する際、第2クラッチ9を遮断した状態で、前進5速段の解除動作と前進3速段のインギヤ動作とを同時に実行した後、第2クラッチ9を接続するということが考えられるものの、そのような変速動作を実行した場合、エンジンのトルクが駆動輪に一時的に伝達されない状態、すなわち空走感やトルク抜けが発生してしまうことになり、商品性が低下してしまうことになる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、変速比のより大きい変速段へのシフトダウン動作を実行する場合において、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮することができ、商品性を向上させることができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両Vの原動機(内燃機関3)に第1クラッチ5及び第2クラッチ6を介してそれぞれ連結された第1入力軸11及び第2入力軸(副第2入力軸20)と、車両Vの駆動輪63に動力伝達可能な出力軸30と、第1入力軸11と出力軸30との間に配置され、原動機(内燃機関3)からの動力を変速しながら駆動輪63に伝達するための複数の第1変速段(前進1,3,5,7,9速段)を構成する第1変速ギヤ群(ギヤ13〜17,32〜36)と、複数の第1変速段を動力伝達可能な状態と動力伝達不能な状態との間で切り換える第1切換機構(シンクロ機構18,19)と、第2入力軸(副第2入力軸20)と出力軸30との間に配置され、原動機(内燃機関3)からの動力を変速しながら駆動輪63に伝達するための複数の第2変速段(前進2,4,6,8速段)を構成する第2変速ギヤ群(ギヤ21〜24,31,33〜36)と、複数の第2変速段を動力伝達可能な状態と動力伝達不能な状態との間で切り換える第2切換機構(シンクロ機構25,26)と、を有する自動変速機10を備えた車両Vの制御装置1であって、車両Vの速度である車速を表す車速パラメータ(車速VP)を検出する車速パラメータ検出手段(出力回転速度センサ80)と、運転者による車両Vの加速装置(アクセルペダル)の操作量である加速操作量(アクセル開度AP)を所定の最大値(全開値APwot)と所定の最小値(値0)との間で変化する値として検出する加速操作量検出手段(アクセル開度センサ84)と、検出された車速パラメータ(車速VP)及び検出された加速操作量(アクセル開度AP)に応じ、複数の第1変速段及び複数の第2変速段の各々の変速段と車速パラメータと加速操作量との相関関係を表す変速段モデル(図7,8)を用いて、目標変速段を決定する目標変速段決定手段(ECU2、ステップ11〜18,20)と、目標変速段を介して原動機(内燃機関3)の動力を駆動輪63に伝達するように、第1クラッチ5、第1切換機構(シンクロ機構18,19)、第2クラッチ6及び第2切換機構(シンクロ機構25,26)を制御する変速制御手段(ECU2、ステップ22)と、を備え、目標変速段決定手段は、検出された加速操作量が所定の最大値を含む最大値付近の所定範囲にない場合(AP≦APjudの場合)において、目標変速段と現在の変速段とを比較し、目標変速段が現在の変速段よりも変速比が大きく、かつ目標変速段を構成する変速ギヤ群と現在の変速段を構成する変速ギヤ群とが同一であるときには、目標変速段を、現在の変速段を構成する変速ギヤ群と異なる変速ギヤ群の変速段に変更する変更手段(ECU2、ステップ16〜18)を有することを特徴とする。
この車両の制御装置によれば、検出された車速パラメータ及び検出された加速操作量に応じ、複数の第1変速段及び複数の第2変速段の各々の変速段と車速パラメータと加速操作量との相関関係を表す変速段モデルを用いて、目標変速段が決定され、目標変速段を介して原動機の動力を駆動輪に伝達するように、第1クラッチ、第1切換機構、第2クラッチ及び第2切換機構が制御される。その際、検出された加速操作量が所定の最大値を含む最大値付近の所定範囲にない場合において、現在の変速段と目標変速段とを比較し、現在の変速段を構成する変速ギヤ群と目標変速段を構成する変速ギヤ群とが同一であるときには、目標変速段が、現在の変速段を構成する変速ギヤ群と異なる変速ギヤ群の変速段に変更される。
したがって、例えば、車両の走行中、現在の変速段が第1変速段のいずれかである場合において、目標変速段が現在の変速段よりも変速比が大きい第1変速段のいずれかに設定されたときでも、目標変速段が第2変速段のいずれかに変更されることになる。それにより、現在の変速段をインギヤ状態に保持しながら、第2変速段である目標変速段のプリシフト制御を実行し、これをインギヤした後、第1クラッチを遮断しながら第2クラッチを接続することで、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、目標変速段へのシフトダウン変速を迅速に実行することができる。一方、これとは逆に、現在の変速段が第2変速段のいずれかである場合において、目標変速段が現在の変速段よりも変速比が大きい第2変速段のいずれかに設定されたときでも、目標変速段が第1変速段のいずれかに変更されることになるので、上記と同様の制御により、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、目標変速段へのシフトダウン変速を迅速に実行することができる。以上のように、現在の変速段から目標変速段へのシフトダウン変速を実行する場合において、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮することができ、商品性を向上させることができる(なお、本明細書における「車速パラメータの検出」及び「加速操作量の検出」における「検出」は、センサなどによりこれらの値を直接検出することに限らず、他のパラメータに基づいてこれらの値を算出することを含む。また、本明細書における「原動機に連結され」の「連結」は、原動機に直接、連結されることに限らず、他の部材を介して原動機に連結されることを含む)。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車両Vの制御装置1において、変更手段は、目標変速段を変更するときに、変更後の目標変速段を変更前の目標変速段と隣接する変速段のうちの変速比の小さい方に設定する(ステップ18)ことを特徴とする。
この車両の制御装置によれば、目標変速段を変更するときに、変更後の目標変速段が変更前の目標変速段と隣接する変速段のうちの変速比の小さい方に設定されるので、同じ車速の条件下で、内燃機関の回転数をより低速域に設定することができ、内燃機関の燃費を向上させることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の車両Vの制御装置1において、目標変速段決定手段は、変速段モデルとして、複数の変速段モデル(図7,8)を有しており、変更手段は、変速段モデルとして、複数の変速段モデルのうちのスポーツ走行性の低い変速段モデル(図7)を用いたときに、目標変速段の変更を実行する(ステップ14,18)ことを特徴とする。
この車両の制御装置によれば、スポーツ走行性の低い変速段モデルを用いたときに、目標変速段が変更される。このようなスポーツ走行性の低い変速段モデルの場合、車速が変化しない状態で加速操作量が変化したときに、スポーツ走行性の高い変速段モデルと比べて、変速段がより多段階に切り換わるように設定されているのが一般的である(後述する図7,8参照)。そのため、スポーツ走行性の高い変速段モデルを用いた場合と比べて、現在の変速段を構成する変速ギヤ群と目標変速段を構成する変速ギヤ群とが同一になる状態の発生頻度が高くなる。したがって、そのような通常走行用の変速段モデルを用いた場合において、前述したように目標変速段を変更することによって、現在の変速段と目標変速段とが同じ変速ギヤ群になるのを高い頻度で回避することができる。その結果、請求項1又は2に係る発明の作用効果を、スポーツ走行性の高い変速段モデルを用いたときと比べて、より高頻度で得ることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の車両Vの制御装置1において、目標変速段及び加速操作量に応じ、原動機の駆動力(駆動力マップ値Fmap)と目標変速段と加速操作量との相関関係を表す駆動力モデル(図10)を用いて、目標駆動力Fcmdを設定する目標駆動力設定手段(ECU2、ステップ42〜43,52〜53)と、設定された目標駆動力Fcmdを発生するように、原動機を制御する原動機制御手段(ECU2、ステップ44〜46,57〜58)と、をさらに備え、目標駆動力設定手段は、変更手段によって目標変速段が変更されたときに、目標駆動力Fcmdを、駆動力モデルにおける、変更前の目標変速段に対応する駆動力に設定する(ステップ40〜43,50〜53)ことを特徴とする。
この車両の制御装置によれば、目標変速段及び加速操作量に応じ、原動機の駆動力と目標変速段と加速操作量との相関関係を表す駆動力モデルを用いて、目標駆動力が設定され、設定された目標駆動力を発生するように、原動機が制御される。この場合、変更手段によって目標変速段が変更されたときに、目標駆動力を変更後の目標変速段に対応する値に設定した場合、変更後の目標変速段が変更前の目標変速段よりも変速比が小さい関係上、目標駆動力がより小さい値に設定されることで、実際の駆動力が、車両の運転者が要求した駆動力よりも小さい値に制御されてしまうことになる。その結果、運転者が違和感を覚えることで、商品性が低下してしまう。これに対して、この車両の制御装置によれば、変更手段によって目標変速段が変更されたときに、目標駆動力が、駆動力モデルにおける、変更前の目標変速段に対応する駆動力に設定されるので、実際の駆動力が、車両の運転者の要求通りの値に制御されることになる。それにより、運転者が違和感を覚えるのを回避することができ、商品性を向上させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の車両Vの制御装置1において、原動機は、内燃機関3及び電動機4を含み、電動機4に電気的に接続され、電力を蓄積可能な蓄電装置(バッテリ90)をさらに備え、原動機制御手段は、蓄電装置における電力の蓄積量(充電状態SOC)が所定値SOC1以上のときに、電動機4が目標駆動力Fcmdを発生するように、蓄電装置から電動機4への電力供給状態を制御し(ステップ44〜45)、蓄電装置に蓄えられた電力量が所定値SOC1未満のときに、内燃機関3が目標駆動力Fcmdを発生するように、内燃機関3の運転状態を制御する(ステップ44,46)ことを特徴とする。
この車両の制御装置によれば、蓄電装置における電力の蓄積量が所定値以上のときに、電動機が目標駆動力を発生するように、蓄電装置から電動機への電力供給状態が制御され、蓄電装置に蓄えられた電力量が所定値未満のときに、内燃機関が目標駆動力を発生するように、内燃機関の運転状態が制御されるので、内燃機関の運転時間を短縮することができ、その分、内燃機関の燃費を向上させることができる。
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の車両Vの制御装置1において、原動機は、内燃機関3及び電動機4を含み、電動機4に電気的に接続され、電力を蓄積可能な蓄電装置(バッテリ90)をさらに備え、目標駆動力設定手段は、蓄電装置における電力の蓄積量(充電状態SOC)に応じて、目標駆動力Fcmdのうちの、内燃機関3が発生すべき機関目標駆動力(エンジン目標駆動力Fcmd_eng)と、電動機4が発生すべき電動機目標駆動力(モータ目標駆動力Fcmd_mot)との割合(分担割合Rs)を設定する割合設定手段(ECU2、ステップ54)と、設定された割合及び目標駆動力に基づき、機関目標駆動力(エンジン目標駆動力Fcmd_eng)及び電動機目標駆動力(モータ目標駆動力Fcmd_mot)を算出する駆動力算出手段(ECU2、ステップ55〜56)と、をさらに有し、原動機制御手段は、電動機4が電動機目標駆動力を発生するように、蓄電装置から電動機4への電力供給状態を制御する(ステップ57)とともに、内燃機関3が機関目標駆動力を発生するように、内燃機関3の運転状態を制御する(ステップ58)ことを特徴とする。
この車両の制御装置によれば、蓄電装置における電力の蓄積量に応じて、目標駆動力のうちの、内燃機関が発生すべき機関目標駆動力と、電動機が発生すべき電動機目標駆動力との割合が設定され、設定された割合及び目標駆動力に基づき、機関目標駆動力及び電動機目標駆動力が算出される。そして、電動機が電動機目標駆動力を発生するように、蓄電装置から電動機への電力供給状態が制御されるとともに、内燃機関が機関目標駆動力を発生するように、内燃機関の運転状態が制御されるので、駆動力の発生源としての内燃機関及び電動機を、蓄電装置における電力の蓄積量に応じて最適な状態に組み合わせて用いることができる。それにより、内燃機関の運転時間を短縮することができ、その分、内燃機関の燃費を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る制御装置及びこれを適用した車両の駆動系の概略構成を模式的に示す図である。 制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。 アクセルペダルの実際の操作量AP_ACTとアクセル開度APとの関係を示す図である。 変速制御処理を示すフローチャートである。 前進変速制御処理を示すフローチャートである。 変速用値の算出処理を示すフローチャートである。 通常走行用の変速段値SFT_driveの算出に用いるマップを示す図である。 スポーツ走行用の変速段値SFT_sportの算出に用いるマップを示す図である。 駆動力制御処理を示すフローチャートである。 駆動力マップ値Fmapの算出に用いるマップの一例を示す図である。 通常走行中の変速動作例を説明するための図である。 図11の変速動作が実行されたときの駆動力調整処理を説明するための図である。 駆動力制御処理の変形例を示すフローチャートである。 分担割合Rsの算出に用いるマップの一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両の制御装置について説明する。図1に示すように、本実施形態の制御装置1は、車両Vに適用されたものである。この車両Vは、原動機としての内燃機関(以下「エンジン」という)3及び電動機(以下「モータ」という)4を備えており、車両Vの走行中、これらのエンジン3又はモータ4の動力は、自動変速機10を介して変速されながら、駆動輪63,63(1つのみ図示)に伝達される。
この車両Vは、エンジン3及びモータ4を車両Vの中央寄りに搭載し、後輪である駆動輪63を駆動するタイプのもの、すなわちミッドシップエンジン・リヤドライブタイプのものである。
この車両Vでは、エンジン3のクランクシャフト3aがモータ4の回転軸に直結されているとともに、モータ4が、フライホイール3b及び回転軸3cを介して、自動変速機10に連結されている。これらのクランクシャフト3a、モータ4の回転軸、フライホイール3b及び回転軸3cは互いに同心に配置されている。
エンジン3は、スロットル弁、燃料噴射弁及び点火プラグ(いずれも図示せず)を備えており、後述するように、これらの機器の動作状態がECU2によって制御されることにより、エンジン3の発生駆動力が制御される。また、モータ4は、ECU2(図2参照)及びバッテリ90に電気的に接続されており、後述するように、ECU2によって、バッテリ90との間の電力の授受が制御されることで、モータ4の発生駆動力が制御される。
この自動変速機10は、デュアルクラッチ式の自動MTタイプのものであり、第1及び第2クラッチ5,6と、互いに平行に配置された第1入力軸11、第2入力軸12、副第2入力軸20、出力軸30、リバース軸40及び副出力軸50などを備えている。これらの軸11,12,20,30,40,50はいずれも、図示しない軸受を介して、図示しないミッションケースに回転自在に支持されている。
この第1クラッチ5は、湿式多板クラッチタイプのものであり、回転軸3cに同心かつ一体に取り付けられたフライホイールタイプのアウタクラッチ板5aと、第1入力軸11の一端部に同心かつ一体に取り付けられたインナクラッチ板5bと、これをアウタクラッチ板5a側に駆動するための第1クラッチ・アクチュエータ71(図2参照)と、インナクラッチ板5bをアウタクラッチ板5aから離間させるように付勢するリターンスプリング(図示せず)などを備えている。
第1クラッチ・アクチュエータ71は、ECU2に電気的に接続された電動機と、この電動機よって駆動される油圧シリンダなどを含む油圧回路とを組み合わせたものであり(いずれも図示せず)、ECU2からの駆動信号が供給されたときに、リターンスプリングの付勢力に抗しながら、第1クラッチ5のインナクラッチ板5bをアウタクラッチ板5a側に駆動する。ECU2は、この第1クラッチ・アクチュエータ71を制御することにより、第1クラッチ5を接続/遮断する。この場合、第1クラッチ5が接続されているときには、エンジン3の動力が、第1クラッチ5を介して第1入力軸11に伝達される。
さらに、第2クラッチ6は、第1クラッチ5と同様の湿式多板クラッチタイプのものであり、第1クラッチ5のアウタクラッチ板5aに同心かつ一体に固定されたアウタクラッチ板6aと、第2入力軸12の一端部に一体に取り付けられたインナクラッチ板6bと、これをアウタクラッチ板6a側に駆動する第2クラッチ・アクチュエータ72(図2参照)と、インナクラッチ板6bをアウタクラッチ板6aから離間させるように付勢するリターンスプリング(図示せず)などを備えている。
この第2クラッチ・アクチュエータ72は、前述した第1クラッチ・アクチュエータ71と同様に構成されており、ECU2からの駆動信号が供給されたときに、リターンスプリングの付勢力に抗しながら、第2クラッチ6のインナクラッチ板6bをアウタクラッチ板6a側に駆動する。ECU2は、第2クラッチ・アクチュエータ72を制御することにより、第2クラッチ6を接続/遮断する。この場合、第2クラッチ6が接続されているときには、エンジン3の動力が、第2クラッチ6を介して第2入力軸12に伝達される。
一方、前述した第1入力軸11には、エンジン3側の一端部に前述した第1クラッチ5のインナクラッチ板5bが固定されている。この第1入力軸11上には、エンジン3側からその反対側に向かって順に、第2入力軸12、3速駆動ギヤ14、3−5速シンクロ機構18、5速駆動ギヤ15、7速駆動ギヤ16、7−9速シンクロ機構19及び1速駆動ギヤ13が設けられている。これらの要素12〜19は、第1入力軸11と同心に配置されている。
第2入力軸12は、中空のものであり、その内孔で第1入力軸11に回転自在に嵌合している。また、第2入力軸12のエンジン3側の一端部には、前述した第2クラッチ6のインナクラッチ板6bが同心に取り付けられており、他端部には、ギヤ12aが同心に取り付けられている。このギヤ12aは、後述するリバース・入力ギヤ41に常に噛み合っている。
一方、3速駆動ギヤ14は、第1入力軸11上に回転自在に設けられ、出力軸30の後述する3速従動ギヤ32に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ14,32によって、前進3速段が構成されている。さらに、3速駆動ギヤ14は、後述するリバースギヤ42に常に噛み合っている。
また、5速駆動ギヤ15は、第1入力軸11上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する4−5速従動ギヤ33に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ15,33によって、前進5速段が構成されている。
さらに、前述した3−5速シンクロ機構18は、その詳細な説明はここでは省略するが、本出願人が例えば特許第4242189号で提案したシンクロ機構と同様に構成されており、図示しない3−5速シフトフォークを介して、ギヤ・アクチュエータ73(図2参照)に連結されている。
このギヤ・アクチュエータ73は、ECU2に電気的に接続された電動機とギヤ機構などを組み合わせたものであり、変速動作の際には、ECU2の制御により、3−5速シフトフォークを介して、3−5速シンクロ機構18を駆動する。それにより、3速駆動ギヤ14又は5速駆動ギヤ15が第1入力軸11に連結されたり、その連結が解除されたりすることによって、前進3速段又は前進5速段がインギヤ状態とニュートラル状態との間で切り換えられる。
また、7速駆動ギヤ16は、第1入力軸11上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する6−7速従動ギヤ34に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ16,34によって、前進7速段が構成されている。さらに、9速駆動ギヤ17は、第1入力軸11上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する8−9速従動ギヤ35に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ17,35によって、前進9速段が構成されている。
さらに、7−9速シンクロ機構19は、前述した3−5速シンクロ機構18と同様に構成されており、図示しない7−9速シフトフォークを介して、ギヤ・アクチュエータ73に連結されている。変速動作の際には、ギヤ・アクチュエータ73によって、7−9速シンクロ機構19が駆動されることにより、前進7速段又は前進9速段がインギヤ状態とニュートラル状態との間で切り換えられる。
一方、1速駆動ギヤ13は、第1入力軸11に固定されており、出力軸30の後述する1速従動ギヤ36に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ13,36によって、前進1速段が構成されている。なお、本実施形態では、駆動ギヤ13〜17及び従動ギヤ32〜36が第1変速ギヤ群に相当し、2つのシンクロ機構18,19及びギヤ・アクチュエータ73が第1切換機構に相当する。
また、前述した副第2入力軸20(第2入力軸)上には、エンジン3側からその反対側に向かって順に、入力ギヤ27、2速駆動ギヤ21、2−4速シンクロ機構25、4速駆動ギヤ22、6速駆動ギヤ23、6−8速シンクロ機構26及び8速駆動ギヤ24が設けられている。これらの要素21〜27は、副第2入力軸20と同心に配置されている。
入力ギヤ27は、リバース・入力ギヤ41と常に噛み合っており、このリバース・入力ギヤ41は、前述したように、第2入力軸12のギヤ12aに常に噛み合っている。それにより、副第2入力軸20は、これらのギヤ27,41,12aを介して、第2入力軸12に連結されている。
また、2速駆動ギヤ21は、副第2入力軸20上に回転自在に設けられており、出力軸30の2速従動ギヤ31に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ21,31によって、前進2速段が構成されている。
さらに、4速駆動ギヤ22は、副第2入力軸20上に回転自在に設けられており、出力軸30の4−5速従動ギヤ33に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ22,33によって、前進4速段が構成されている。
一方、2−4速シンクロ機構25は、図示しない2−4速シフトフォークを介して、前述したギヤ・アクチュエータ73に連結されている。変速動作の際には、ギヤ・アクチュエータ73によって、2−4速シンクロ機構25が駆動されることにより、前進2速段又は前進4速段がインギヤ状態とニュートラル状態との間で切り換えられる。
また、6速駆動ギヤ23は、副第2入力軸20上に回転自在に設けられており、出力軸30の6−7速従動ギヤ34に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ23,34によって、前進6速段が構成されている。
さらに、8速駆動ギヤ24は、副第2入力軸20上に回転自在に設けられており、前述した8−9速従動ギヤ35に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ24,35によって、前進8速段が構成されている。
一方、6−8速シンクロ機構26は、図示しない6−8速シフトフォークを介して、前述したギヤ・アクチュエータ73に連結されている。変速動作時、ギヤ・アクチュエータ73によって、6−8速シンクロ機構26が駆動されることにより、前進6速段又は前進8速段がインギヤ状態とニュートラル状態との間で切り換えられる。なお、本実施形態では、駆動ギヤ21〜24及び従動ギヤ31,33〜35が第2変速ギヤ群に相当し、シンクロ機構25,26及びギヤ・アクチュエータ73が第2切換機構に相当する。
また、出力軸30には、エンジン3側からその反対側に向かって順に、2速従動ギヤ31、3速従動ギヤ32、4−5速従動ギヤ33、6−7速従動ギヤ34、8−9速従動ギヤ35及び1速従動ギヤ36が配置されている。これらの4つのギヤ31〜35はいずれも、出力軸30に同心に固定されている。
さらに、1速従動ギヤ36は、ワンウェイクラッチ37を介して、出力軸30に同心に連結されている。それにより、車両Vの前進走行中における出力軸30の回転を正回転とした場合、1速従動ギヤ36の正回転速度が、出力軸30の正回転速度よりも大きいときには、第1入力軸11の動力が、1速駆動ギヤ13、1速従動ギヤ36及びワンウェイクラッチ37を介して出力軸30に伝達される。一方、1速従動ギヤ36の正回転速度が、出力軸30の正回転の回転速度を下回ったときには、ワンウェイクラッチ37の機能により、第1入力軸11と出力軸30との間での動力伝達が遮断される。
一方、前述したように、2速従動ギヤ31は2速駆動ギヤ21に、4−5速従動ギヤ33は4速駆動ギヤ22及び5速駆動ギヤ15に、6−7速従動ギヤ34は6速駆動ギヤ23及び7速駆動ギヤ16に、8−9速従動ギヤ35は8速駆動ギヤ24及び9速駆動ギヤ17にそれぞれ噛み合っている。さらに、3速従動ギヤ32は、前述した3速駆動ギヤ14に加えて、副出力軸50のギヤ51に常に噛み合っている。
この副出力軸50には、ギヤ51とベベルギヤ52が同心に固定されており、このベベルギヤ52は、エンジン3側の端部に配置され、終減速装置60のベベルギヤ61に常に噛み合っている。以上の構成により、出力軸30の動力は、副出力軸50、終減速装置60及び駆動軸62,62を介して、左右の駆動輪63,63に伝達される。
また、出力軸30には、出力回転速度センサ80が設けられており、この出力回転速度センサ80は、ECU2に電気的に接続されている(図2参照)。この出力回転速度センサ80は、出力軸30の回転速度を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この出力回転速度センサ80の検出信号に基づき、車両Vの速度である車速VPなどを算出する。なお、本実施形態では、出力回転速度センサ80が車速パラメータ検出手段に相当し、車速VPが車速パラメータに相当する。
一方、リバース軸40上には、エンジン3側からその反対側に向かって順に、リバース・入力ギヤ41、リバース・シンクロ機構43及びリバースギヤ42が設けられている。リバース・入力ギヤ41は、リバース軸40に同心に固定されており、前述した入力ギヤ27と常に噛み合っている。また、リバースギヤ42は、リバース軸40上に回転自在に設けられており、第1入力軸11上の前述した3速駆動ギヤ14と常に噛み合っている。
さらに、リバース・シンクロ機構43は、前述した3−5速シンクロ機構18と同様に構成されており、図示しないリバース・シフトフォークを介して、ギヤ・アクチュエータ73に連結されている。後進走行する際の変速動作時には、ギヤ・アクチュエータ73によってリバース・シンクロ機構43が駆動されることにより、リバースギヤ42がリバース軸40に連結される。また、後進段をニュートラル状態にするときには、リバース・シンクロ機構43によって、リバースギヤ42とリバース軸40の連結が解除される。
また、ギヤ・アクチュエータ73の近傍には、変速段センサ81(図2参照)が設けられている。この変速段センサ81は、ギヤ・アクチュエータ73の動作状態を検出して、検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、車両Vには、シフトレバー装置及びアクセルペダル(いずれも図示せず)が設けられている。このシフトレバー装置は、フロアシフトレバータイプのものであり、シフト位置として、パーキング位置、リバース位置、ニュートラル位置、ドライブ位置及びスポーツ位置の5つの位置を備えており、運転者によるシフト操作に伴い、そのシフト位置が5つの位置の間で切り換え選択可能に構成されている。
このシフトレバー装置には、シフト位置センサ82(図2参照)が設けられており、このシフト位置センサ82は、シフトレバー装置において5つのシフト位置のうちのどの位置が選択されているかを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、ECU2には、図2に示すように、クランク角センサ83、アクセル開度センサ84及びバッテリセンサ85が電気的に接続されている。このクランク角センサ83は、クランクシャフト3aの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号及びTDC信号をECU2に出力する。このCRK信号は、所定クランク角(例えば1゜)ごとに1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転速度(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒のピストンが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、所定クランク角ごとに1パルスが出力される。
さらに、アクセル開度センサ84は、アクセルペダルの踏み込み量を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このアクセル開度センサ84の検出信号に基づき、アクセル開度APを算出する。この場合、アクセルペダルには、アクセルペダルが確実に全開状態まで踏み込まれたことを検出するために、図示しないキックダウン・スイッチが設けられており、それにより、アクセルペダルの実際の踏み込み量(以下「実開度」という)AP_ACTとアクセル開度APの関係は、図3に示すものとなる。
同図において、AP_ACT1は、実開度AP_ACTの所定値であり、AP_ACT2は、AP_ACT1<AP_ACT2が成立するように設定された実開度の所定の最大値である。また、APwotは、アクセル開度APの所定の全開値であり、APjudは、アクセル開度APの所定の判定値であり、全開値APwot付近の値であって、APjud<APwotが成立するような値に設定されている。
同図に示すように、アクセル開度APは、AP_ACT≦AP_ACT1の範囲では、実開度AP_ACTに比例して変化し、AP_ACT1<AP_ACT<AP_ACT2の範囲では、AP=APjudに設定されるとともに、AP_ACT2=AP_ACTのときでは、AP=APwotに設定される。以上のように、キックダウン・スイッチの効果により、アクセルペダルが踏み込まれた際、実開度AP_ACTがAP_ACT1<AP_ACT<AP_ACT2の範囲で変化したときには、アクセル開度APは、所定の判定値APjudに保持されるとともに、AP_ACT2=AP_ACTとなり、アクセルペダルが確実に全開状態まで踏み込まれたときに、アクセル開度APが所定の全開値APwotに設定される。
なお、本実施形態では、アクセル開度センサ84が加速操作量検出手段に、アクセル開度APが加速操作量に、所定の全開値APwotが所定の最大値に、値0が所定の最小値に、APjud<AP≦APwotが所定範囲にそれぞれ相当する。
また、バッテリセンサ85は、バッテリ90に入出力される電流・電圧値を表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このバッテリセンサ85の検出信号に基づき、バッテリ90における電力の蓄積量を表す充電状態SOC(%)を算出する。なお、本実施形態では、バッテリ90が蓄電装置に相当し、充電状態SOCが蓄電装置における電力の蓄積量に相当する。
一方、ECU2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ80〜85の検出信号信号などに応じて、以下に述べように、変速制御処理及び駆動力制御処理などの各種の制御処理を実行する。なお、本実施形態では、ECU2が、目標変速段決定手段、変速制御手段、変更手段、目標駆動力設定手段、原動機制御手段、割合設定手段、及び駆動力算出手段に相当する。
以下、図4を参照しながら、変速制御処理について説明する。この変速制御処理は、前述した3つのアクチュエータ71〜73を駆動することによって、第1及び第2クラッチ5,6の接続/遮断状態と、前進1〜7速段及び後進段のインギヤ/ニュートラル状態とを制御するものであり、ECU2によって所定の制御周期ΔT(例えば10msec)で実行される。なお、以下の説明において算出される各種の値は、ECU2のRAM内に記憶されるものとする。
同図に示すように、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、シフト位置センサ82の検出信号に基づき、シフトポジション値POSIを以下に述べるように設定する。
具体的には、シフトポジション値POSIは、シフト位置がパーキング位置のときには値−2に、リバース位置のときには値−1に、ニュートラル位置のときには値0に、ドライブ位置のときには値1に、スポーツ位置のときには値2にそれぞれ設定されるとともに、ノーポジション状態(シフトレバーがシフト位置間にあって、シフト位置を特定できない状態)のときには値−3に設定される。
次いで、ステップ2に進み、シフトポジション値POSI≦−2が成立しているか否かを判別する。この判別結果がYESで、シフト位置がパーキング位置又はノーポジション状態にあるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ2の判別結果がNOのときには、ステップ3に進み、シフトポジション値POSI=0が成立しているか否かを判別する。この判別結果がYESで、シフト位置がニュートラル位置にあるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ3の判別結果がNOのときには、ステップ4に進み、シフトポジション値POSI≧1が成立しているか否かを判別する。この判別結果がYESで、シフト位置がドライブ位置又はスポーツ位置にあるときには、ステップ5に進み、前進変速制御処理を実行した後、本処理を終了する。この前進変速制御処理の詳細については後述する。
一方、ステップ4の判別結果がNOで、シフト位置がリバース位置にあるときには、ステップ6に進み、後進変速制御処理を実行する。この後進変速制御処理では、その内容は図示しないが、後進走行するために、リバース・シンクロ機構43及び第2クラッチ6の動作が制御される。例えば、後進段がインギヤ状態にないときには、リバース・シンクロ機構43を介して、リバースギヤ42がインギヤ状態に制御される。また、後進段がインギヤ状態にあって、第2クラッチ6が遮断状態にあるときには、第2クラッチ6が接続状態に制御される。ステップ6で、後進変速制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
次に、図5を参照しながら、上述した前進変速制御処理について説明する。同図に示すように、まず、ステップ10で、変速実行中フラグF_CHANGEが「1」であるか否かを判別する。この変速実行中フラグF_CHANGEは、変速動作を実行中であるか否かを表すものであり、その値は後述するステップ20のクラッチ&シンクロ制御処理において設定される。
このステップ10の判別結果がYESで、変速動作を実行中であるときには、後述するステップ20に進む。一方、ステップ10の判別結果がNOで、変速動作を実行中でないときには、ステップ11に進み、変速用値の算出処理を実行する。この算出処理は、以下に述べる各種の変速用の値を算出するものであり、具体的には、図6に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ30で、変速段センサ81の検出信号に基づき、現在変速段値SFT_tmpを算出する。具体的には、現在変速段値SFT_tmpは、現在インギヤ状態にある変速段が後進段のときには値−1として算出され、現時点で全ての変速段がインギヤされておらず、ニュートラル状態のときには値0として算出されるとともに、現在インギヤ状態にある変速段が前進1〜7速段のときにはそれぞれ値1〜7として算出される。
次いで、ステップ31に進み、シフトポジション値POSIが値1であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、シフト位置がドライブ位置にあるときには、ステップ32に進み、車速VP及びアクセル開度APに応じて、図7に示すマップを検索することにより、通常走行用の変速段値SFT_driveを算出する。
次に、ステップ33で、変速段マップ値SFT_mapを通常走行用の変速段値SFT_driveに設定する。
一方、前述したステップ31の判別結果がNOで、シフト位置がスポーツ位置にあるときには、ステップ34に進み、車速VP及びアクセル開度APに応じて、図8に示すマップを検索することにより、スポーツ走行用の変速段値SFT_sportを算出する。
次に、ステップ35で、変速段マップ値SFT_mapをスポーツ走行用の変速段値SFT_sportに設定する。
以上のステップ33又は35に続くステップ36で、変速段偏差DSFTを、現在変速段値SFT_tmpと変速段マップ値SFT_mapとの偏差SFT_tmp−SFT_mapに設定した後、本処理を終了する。
図5に戻り、ステップ11で、変速用値の算出処理を以上のように実行した後、ステップ12に進み、変速段偏差DSFT=0であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、SFT_map=SFT_tmpであるときには、変速動作を実行する必要がないと判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ12の判別結果がNOで、SFT_map≠SFT_tmpであるときには、変速動作を実行すべきであると判定して、ステップ13に進み、現在変速段値SFT_tmp>0であるか否かを判別する。
この判別結果がYESで、前進1〜7速段のいずれかがインギヤ状態にあるときには、ステップ14に進み、前述したシフトポジション値POSI=1である否かを判別する。
ステップ14の判別結果がYESで、シフト位置がドライブ位置にあるときには、ステップ15に進み、変速段偏差DSFT>0であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわちSFT_tmp>SFT_mapが成立し、シフトダウン変速を実行すべきであるときには、ステップ16に進み、アクセル開度AP≦APjudであるか否かを判別する。
この判別結果がYESで、すなわちAP≦APjudが成立しているときには、ステップ17に進み、変速段偏差DSFTが偶数であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのとき、すなわち変速段偏差DSFTが偶数であって、現在の変速段の駆動ギヤと変速段マップ値SFT_mapに相当する変速段の駆動ギヤとが同じ軸(第1入力軸11又は副第2入力軸20)上に位置しているときには、ステップ18に進み、目標変速段値SFT_cmdを変速段マップ値SFT_mapに値1を加算した値SFT_map+1に設定する。
次いで、ステップ19に進み、後述する駆動力調整処理が必要であることを表すために、駆動力調整フラグF_ADJUSTを「1」に設定する。
一方、以上のステップ13〜17のいずれかにおける判別結果がNOのとき、すなわち現在の変速段が後進段にあるか又は全変速段がニュートラル状態にあるときや、シフト位置がスポーツ位置にあるとき、アップシフト変速を実行すべきであるとき、APjud<APが成立してアクセルペダルが全開状態にあるとき、現在の変速段の駆動ギヤと変速段マップ値SFT_mapに相当する変速段の駆動ギヤとが同軸上に位置していないときには、ステップ20に進み、目標変速段値SFT_cmdを変速段マップ値SFT_mapに設定する。
次いで、ステップ21に進み、後述する駆動力調整処理が不要であることを表すために、駆動力調整フラグF_ADJUSTを「0」に設定する。
以上のステップ10,19,21のいずれかに続くステップ22で、クラッチ&シンクロ制御処理を実行する。この制御処理では、図示しないが、目標変速段値SFT_cmdに相当する目標変速段(すなわち前進1〜7速段のいずれか)をインギヤし、この目標変速段での前進走行が可能になるように、2つのクラッチ5,6及び5つのシンクロ機構18,19,25,26,43の動作が制御される。
この制御処理においては、例えば、目標変速段が現時点でインギヤ状態にある変速段(以下「現在変速段」という)よりも低速側の変速段に設定され、シフトダウン変速を実行する場合において、現在変速段の駆動ギヤと目標変速段の駆動ギヤが同軸上に位置していないときには、エンジン3の動力を現在変速段を介して駆動輪63に伝達した状態で、目標変速段のプリシフト制御処理を実行する。そして、目標変速段がインギヤ状態になったときに、2つのクラッチ5,6のうちの、エンジン3から目標変速段に動力を伝達可能な一方のクラッチを接続状態に切り換えながら、他方のクラッチが遮断状態に切り換えられる。
また、シフトアップ変速を実行する際にも、現在変速段の駆動ギヤと目標変速段の駆動ギヤが同軸上に位置していないときには、目標変速段へのプリシフト制御処理が実行される。
一方、シフトダウン変速又はシフトアップ変速を実行する場合において、現在変速段の駆動ギヤと目標変速段の駆動ギヤが同軸上に位置しているときには、エンジン3から現在変速段に動力を伝達している一方のクラッチを遮断し、次いで、目標変速段をインギヤした後、この一方のクラッチが接続される。
また、このステップ22においては、変速動作の実行中(すなわちシフトアップ変速の実行中又はシフトダウン変速の実行中)であるときに、変速実行中フラグF_CHANGEが「1」に設定される一方、変速動作が終了したときに、変速実行中フラグF_CHANGEが「0」に設定される。以上のように、ステップ22で、クラッチ&シンクロ制御処理を実行した後、本処理を終了する。
次に、図9を参照しながら、駆動力制御処理について説明する。この駆動制御処理は、エンジン3及びモータ4から駆動輪63に伝達される駆動力を制御するものであり、ECU2によって、TDC信号の発生タイミングに同期して実行される。
同図に示すように、まず、ステップ40で、前述した駆動力調整フラグF_ADJUSTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、駆動力調整処理が不要であるときには、後述するステップ42に進む。
一方、ステップ40の判別結果がYESで、駆動力調整処理が必要であるときには、ステップ41に進み、目標変速段値SFT_cmdを、RAM内に記憶されている目標変速段値SFT_cmdから値1を減算した値SFT_cmd−1に設定する。
以上のステップ40又は41に続くステップ42で、目標変速段値SFT_cmd及びアクセル開度APに応じて、図10に示すマップを検索することにより、駆動力マップ値Fmapを算出する。この駆動力マップ値Fmapは、エンジン3又はモータ4から駆動輪63に伝達される駆動力(駆動トルク)として算出される。
同図に示すように、このマップでは、駆動力マップ値Fmapは、アクセル開度APが大きいほど、又は目標変速段値SFT_cmdが小さいほど、より大きい値に設定されている。この場合、ステップ41,42が駆動力調整処理に相当し、このような駆動力調整処理を実行する理由については後述する。
次いで、ステップ43に進み、目標駆動力Fcmdを駆動力マップ値Fmapに設定する。
次に、ステップ44で、充電状態SOCが所定値SOC1以上であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、バッテリ90内の電力がモータ4を駆動するのに十分な状態にあり、モータ4によって駆動輪63を駆動すべきであると判定して、ステップ45に進み、モータ駆動力制御処理を実行する。
このモータ駆動力制御処理では、モータ4から駆動輪63に伝達される駆動力が上述した目標駆動力Fcmdになるように、バッテリ90からモータ4に供給される電力が制御される。ステップ45で、モータ駆動力制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ44の判別結果がNOで、SOC<SOC1のときには、バッテリ90内の電力がモータ4を駆動するのに不十分な状態にあり、エンジン3によって駆動輪63を駆動すべきであると判定して、ステップ46に進み、エンジン駆動力制御処理を実行する。
このエンジン駆動力制御処理では、エンジン3から駆動輪63に伝達される駆動力が上述した目標駆動力Fcmdになるように、エンジン3の運転状態(例えば、吸入空気量、燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期)が制御される。ステップ46で、エンジン駆動力制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
次に、図11を参照しながら、シフト位置がドライブ位置にあって、車両Vが通常走行中である場合において、前述したように変速制御処理を実行したときの変速動作例について説明する。なお、同図において、VP1,VP2は、VP1<VP2が成立するような車速VPの所定値であり、AP1,AP2は、AP1<AP2<APjudが成立するようなアクセル開度APの所定値である。
まず、シフト位置がドライブ位置にあって、車両Vが通常走行中である場合、前述した図7のマップを用いて、通常走行用の変速段値SFT_driveが算出される。その場合、図11に示すように、車速VPが所定値VP1にあり、インギヤ状態のときには、前進6速段での走行状態となり、現在変速段値SFT_tmpが値6として算出される。その状態で、アクセルペダルが踏み込まれ、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増した場合、変速段マップ値SFT_mapが値4として算出される。
その場合、前述したステップ13〜17の判別結果がいずれもYESとなることで、目標変速段値SFT_cmdが変速段マップ値SFT_mapに値1を加算した値5に設定される。その結果、車速VP=VP1にある場合において、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増したときには、実際の変速段は、前進6速段から前進5速段にシフトダウン変速されることになる。すなわち、エンジン3の動力を前進6速段を介して駆動輪63に伝達している状態で、前進5速段をプリシフト制御し、これがインギヤ状態になったときに、第2クラッチ6を遮断しながら、第1クラッチ5が接続されることになる。その結果、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮できる。
これに対して、本実施形態とは異なり、例えば、目標変速段値SFT_cmdを変速段マップ値SFT_mapに設定した場合、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増したときに、前進6速→前進5速段→前進4段の順にシフトダウン変速を実行するか、第2クラッチ6を遮断し、前進6速段をニュートラル状態にし、前進4速段をインギヤ状態にした後、第2クラッチ6を接続する必要がある。
この場合、前進6速→前進5速段→前進4段の順にシフトダウン変速を実行した手法では、シフトダウン変速の実行時間が長くなってしてしまう。一方、第2クラッチ6を遮断し、前進6速段をニュートラル状態にし、前進4速段をインギヤ状態にした後、第2クラッチ6を接続する手法では、空走感やトルク抜けが発生してしまうことになる。すなわち、本実施形態の変速制御処理を実行することによって、シフトダウン変速を実行する際、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮できることになる。
また、図11に示すように、車両Vの通常走行中、車速VPが所定値VP1よりも高い所定値VP2にある場合において、インギヤ状態のときには、前進9速段での走行状態となり、現在変速段値SFT_tmpが値9として算出される。その状態で、アクセルペダルが踏み込まれ、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増した場合、変速段マップ値SFT_mapが値5として算出される。
その場合、前述したステップ13〜17の判別結果がいずれもYESとなることで、目標変速段値SFT_cmdが変速段マップ値SFT_mapに値1を加算した値6に設定される。その結果、車速VP=VP2にある場合において、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増したときには、実際の変速段は、前進9速段から前進6速段にシフトダウン変速されることになる。すなわち、エンジン3の動力を前進9速段を介して駆動輪63に伝達している状態で、前進6速段をプリシフト制御し、これがインギヤ状態になったときに、第1クラッチ5を遮断しながら、第2クラッチ6が接続されることになる。その結果、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮できる。
また、図7と図8を比較すると明らかなように、同一の車速VPにおいて、アクセル開度APが変化した場合、図7のマップにおける通常走行用の変速段値SFT_driveの方が、図8のマップにおけるスポーツ走行用の変速段値SFT_sportと比べて変化する回数が多いことが判る。すなわち、図7のマップを用いた場合の方が、図8のマップを用いた場合よりも、上述した本実施形態の作用効果を得るのに適していることが判る。
また、以上のように、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増した場合、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮するために、実際の変速段は、前進6速段から前進5速段にシフトダウン変速されることになる。その場合、ステップ18で設定された目標変速段値SFT_cmd及びアクセル開度APに応じて、前述した図10のマップを検索すると、SFT_cmd=5,AP=AP2となることで、駆動力マップ値Fmapは、図12に示す所定値Fmap1となる。しかしながら、運転者が本来要求している駆動力は、所定値Fmap1よりも大きい、SFT_cmd=4のときの所定値Fmap2であるので、この所定値Fmap1を発生するように、エンジン3又はモータ4の駆動力制御処理を実行した場合、実際に発生する駆動力が要求した値よりも小さくなることで、運転者が違和感を覚え、商品性の低下を招いてしまうことになる。
これを回避するために、前述した図9の駆動力制御処理では、駆動力調整フラグF_ADJUST=1のときには、ステップ41、42の駆動力調整処理が実行される。すなわち、目標変速段値SFT_cmdが、RAM内に記憶されている目標変速段値SFT_cmdから値1を減算した値SFT_cmd−1に設定され、そのように設定した目標変速段値SFT_cmd及びアクセル開度APに応じて、図10のマップを検索することにより、駆動力マップ値Fmapが算出されるので、例えば、上記のように、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増した場合でも、駆動力マップ値Fmapを、運転者が本来要求していた値Fmap2として算出することができる。その結果、運転者が発生した駆動力に対して違和感を覚えるのを回避しながら、運転者の要求通りの駆動力を発生させることができることになる。
以上のように、本実施形態の制御装置1によれば、AP≦APjudが成立し、アクセル開度APが全開状態にない条件下で、シフトダウン変速を実行するときに、アクセル開度APが空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮することができ、商品性を向上させることができる。また、APjud<AP≦APwotが成立し、アクセル開度APが全開状態にあると推定される条件下で、シフトダウン変速を実行するときには、目標変速段値SFT_cmdが変速段マップ値SFT_mapに設定されることで、その時点の車速VPに対して変速可能な最下位の変速段(変速比が最も大きい変速段)に変速され、それにより、運転者によって要求されている大きな加速度を確保することができる。
さらに、駆動力調整フラグF_ADJUST=1のときには、ステップ41,42の駆動力調整処理が実行されるので、運転者が発生した駆動力に対して違和感を覚えるのを回避しながら、運転者の要求通りの駆動力を発生させることができ、商品性を向上させることができる。
これに加えて、SOC≧SOC1のときには、モータ4が目標駆動力Fcmdを発生するように、バッテリ90からモータ4への電力供給状態が制御され、SOC<SOC1のときに、エンジン3が目標駆動力Fcmdを発生するように、エンジン3の運転状態が制御されるので、エンジン3の運転時間を短縮することができ、その分、エンジン3の燃費を向上させることができる。
なお、前述した図9の駆動力制御処理に代えて、図13に示すように、駆動力制御処理を実行してもよい。この駆動力制御処理と図9を比較すると明らかなように、図13のステップ50〜53は、図9の前述したステップ40〜43と同じであるので、それらの説明は省略する。
この駆動力制御処理の場合、図13に示すように、ステップ53に続くステップ54で、充電状態SOCに応じて、図14に示すマップを検索することにより、分担割合Rsを算出する。この分担割合Rsは、エンジン3で発生する駆動力とモータ4で発生する駆動力の割合を表すものであり、図14において、SOC2,SOC3は、SOC2<SOC3が成立するように設定される充電状態SOCの所定値である。
このマップでは、分担割合Rsは、SOC≦SOC2の領域では値1に、SOC3<SOCの領域では値0にそれぞれ設定されているとともに、SOC2<SOC<SOC3の領域では、充電状態SOCが大きいほど、より小さい値になるように設定されている。これは、充電状態SOCが大きいほど、エンジン3の発生する駆動力の割合をより小さくすると同時に、モータ4の発生する駆動力の割合をより大きくするためである。
次いで、ステップ55に進み、モータ目標駆動力Fcmd_motを、値1と分担割合Rsの差分(1−Rs)に目標駆動力Fcmdを乗算した値(1−Rs)・Fcmdに設定する。
次に、ステップ56で、エンジン目標駆動力Fcmd_engを、分担割合Rsに目標駆動力Fcmdを乗算した値Rs・Fcmdに設定する。なお、本実施形態では、モータ目標駆動力Fcmd_motが電動機目標駆動力に、エンジン目標駆動力Fcmd_engが機関目標駆動力にそれぞれ相当する。
ステップ56に続くステップ57で、モータ駆動力制御処理を実行する。このモータ駆動力制御処理では、モータ4から駆動輪63に伝達される駆動力が上述したモータ目標駆動力Fcmd_motになるように、バッテリ90からモータ4に供給される電力が制御される。
次いで、ステップ58に進み、エンジン駆動力制御処理を実行する。このエンジン駆動力制御処理では、エンジン3から駆動輪63に伝達される駆動力が上述したエンジン目標駆動力Fcmd_engになるように、エンジン3の運転状態が制御される。ステップ58で、エンジン駆動力制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
以上のように、図13の駆動力制御処理を実行した場合、充電状態SOCに応じて、分担割合Rsが算出され、分担割合Rs及び目標駆動力Fcmdに基づき、エンジン目標駆動力Fcmd_engとモータ目標駆動力Fcmd_motが算出される。そして、モータ4がモータ目標駆動力Fcmd_motを発生するように、バッテリ90からモータ4への電力供給状態が制御されるとともに、エンジン3がエンジン目標駆動力Fcmd_engを発生するように、エンジン3の運転状態が制御されるので、駆動力の発生源としてのエンジン3及びモータ4を、充電状態SOCに応じて最適な状態に組み合わせて用いることができる。それにより、充電状態SOCが大きい領域では、エンジン3を停止しながら、モータ4の駆動力によって車両Vを駆動できることによって、エンジン3の運転時間を短縮することができ、その分、エンジン3の燃費を向上させることができる。
なお、実施形態は、原動機として、内燃機関3及び電動機4を用いた例であるが、本発明の原動機はこれに限らず、動力を発生するものであればよい。例えば、原動機として、外燃機関や、外燃機関と電動機を組み合わせて用いてもよい。
また、実施形態は、自動変速機として、1つの出力軸30を備えたものを用いた例であるが、本発明の自動変速機はこれに限らず、2つ以上の出力軸を備えたものを用いてもよい。例えば、実施形態の自動変速機10において、出力軸30に加えて、別の出力軸を設けるとともに、これらの2つの出力軸の一方に偶数段用の従動ギヤを設け、他方に奇数段用の従動ギヤを設けるように構成してもよい。
さらに、実施形態は、車速パラメータとして、車速VPを用いた例であるが、本発明の車速パラメータはこれに限らず、車速を表すものであればよい。例えば、車速パラメータとして、出力軸30の回転速度を用いてもよい。
一方、実施形態は、加速装置として、アクセルペダルを用いた例であるが、本発明の加速装置はこれに限らず、車両を加速させるために運転者によって操作されるものであればよい。例えば、加速装置として、運転者によって手動操作されるオートバイのスロットルレバータイプのものや、手や足以外の運転者の肉体的な動きによって操作されるもの、運転者の音声によって操作されるものを用いてもよい。また、その場合には、加速操作量として、スロットルレバーの操作量や、運転者の肉体的な動き及び音声を検出すればよい。
また、実施形態は、複数の変速段モデルとして、図7及び図8のマップを用いた例であるが、本発明の変速段モデルの数はこれに限らず、3つ以上であってもよい。また、変速段モデルは、マップに限らず、変速段と車速パラメータと加速操作量との相関関係を表すものであればよい。例えば、変速段と車速VPとアクセル開度APの関係を定義した数式や、ニューラルネットワークモデルなどを用いてもよい。
さらに、実施形態は、駆動力モデルとして、図10のマップを用いた例であるが、本発明の駆動力モデルはこれに限らず、原動機の駆動力と目標変速段と加速操作量との相関関係を表すものであればよい。例えば、駆動力と目標変速段値SFT_cmdとアクセル開度APの関係を定義した数式や、ニューラルネットワークモデルなどを用いてもよい。
また、実施形態は、蓄電装置として、バッテリ90を用いた例であるが、本発明の蓄電装置はこれに限らず、キャパシタなどの電力を蓄積可能なものであればよい。
V 車両
1 制御装置
2 ECU(目標変速段決定手段、変速制御手段、変更手段、目標駆動力設定手段、 原動機制御手段、割合設定手段、駆動力算出手段)
3 内燃機関(原動機)
4 電動機(原動機)
5 第1クラッチ
6 第2クラッチ
10 自動変速機
11 第1入力軸
13 1速駆動ギヤ(第1変速ギヤ)
14 3速駆動ギヤ(第1変速ギヤ)
15 5速駆動ギヤ(第1変速ギヤ)
16 7速駆動ギヤ(第1変速ギヤ)
17 9速駆動ギヤ(第1変速ギヤ)
18 3−5速シンクロ機構(第1切換機構)
19 7−9速シンクロ機構(第1切換機構)
20 副第2入力軸(第2入力軸)
21 2速駆動ギヤ(第2変速ギヤ)
22 4速駆動ギヤ(第2変速ギヤ)
23 6速駆動ギヤ(第2変速ギヤ)
24 8速駆動ギヤ(第2変速ギヤ)
25 2−4速シンクロ機構(第2切換機構)
26 6−8速シンクロ機構(第2切換機構)
30 出力軸
31 2速従動ギヤ(第2変速ギヤ)
32 3速従動ギヤ(第1変速ギヤ)
33 4−5速従動ギヤ(第1変速ギヤ、第2変速ギヤ)
34 6−7速従動ギヤ(第1変速ギヤ、第2変速ギヤ)
35 8−9速従動ギヤ(第1変速ギヤ、第2変速ギヤ)
36 1速従動ギヤ(第1変速ギヤ)
63 駆動輪
71 第1クラッチ・アクチュエータ(第1クラッチ)
72 第2クラッチ・アクチュエータ(第2クラッチ)
73 ギヤ・アクチュエータ(第1切換機構、第2切換機構)
80 出力回転速度センサ(車速パラメータ検出手段)
84 アクセル開度センサ(加速操作量検出手段)
90 バッテリ(蓄電装置)
VP 車速(車速パラメータ)
AP アクセル開度(加速操作量)
APjud 所定の判定値(所定範囲の下限を規定する値)
APwot 所定の全開値(所定の最大値)
SFT_tmp 現在変速段値
SFT_map 変速段マップ値
SFT_cmd 目標変速段値
Fmap 駆動力マップ値(駆動力)
Fcmd 目標駆動力
SOC 充電状態(電力の蓄積量)
SOC1 所定値
Fcmd_eng エンジン目標駆動力(機関目標駆動力)
Fcmd_mot モータ目標駆動力(電動機目標駆動力)
Rs 分担割合(機関目標駆動力と電動機目標駆動力との割合)

Claims (6)

  1. 車両の原動機に第1クラッチ及び第2クラッチを介してそれぞれ連結された第1入力軸及び第2入力軸と、前記車両の駆動輪に動力伝達可能な出力軸と、前記第1入力軸と当該出力軸との間に配置され、前記原動機からの動力を変速しながら前記駆動輪に伝達するための複数の第1変速段を構成する第1変速ギヤ群と、当該複数の第1変速段を動力伝達可能な状態と動力伝達不能な状態との間で切り換える第1切換機構と、前記第2入力軸と前記出力軸との間に配置され、前記原動機からの動力を変速しながら前記駆動輪に伝達するための複数の第2変速段を構成する第2変速ギヤ群と、当該複数の第2変速段を動力伝達可能な状態と動力伝達不能な状態との間で切り換える第2切換機構と、を有する自動変速機を備えた車両の制御装置であって、
    当該車両の速度である車速を表す車速パラメータを検出する車速パラメータ検出手段と、
    運転者による前記車両の加速装置の操作量である加速操作量を所定の最大値と所定の最小値との間で変化する値として検出する加速操作量検出手段と、
    前記検出された車速パラメータ及び前記検出された加速操作量に応じ、前記複数の第1変速段及び前記複数の第2変速段の各々の変速段と前記車速パラメータと前記加速操作量との相関関係を表す変速段モデルを用いて、目標変速段を決定する目標変速段決定手段と、
    当該目標変速段を介して前記原動機の動力を前記駆動輪に伝達するように、前記第1クラッチ、前記第1切換機構、前記第2クラッチ及び前記第2切換機構を制御する変速制御手段と、
    を備え、
    前記目標変速段決定手段は、前記検出された加速操作量が前記所定の最大値を含む当該最大値付近の所定範囲にない場合において、前記目標変速段と現在の変速段とを比較し、前記目標変速段が当該現在の変速段よりも変速比が大きく、かつ前記目標変速段を構成する変速ギヤ群と当該現在の変速段を構成する変速ギヤ群とが同一であるときには、前記目標変速段を、当該現在の変速段を構成する変速ギヤ群と異なる変速ギヤ群の変速段に変更する変更手段を有することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記変更手段は、前記目標変速段を変更するときに、変更後の前記目標変速段を変更前の前記目標変速段と隣接する変速段のうちの変速比の小さい方に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記目標変速段決定手段は、前記変速段モデルとして、複数の変速段モデルを有しており、
    前記変更手段は、前記変速段モデルとして、前記複数の変速段モデルのうちのスポーツ走行性の低い変速段モデルを用いたときに、前記目標変速段の変更を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記目標変速段及び前記加速操作量に応じ、前記原動機の駆動力と前記目標変速段と前記加速操作量との相関関係を表す駆動力モデルを用いて、目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
    当該設定された目標駆動力を発生するように、前記原動機を制御する原動機制御手段と、
    をさらに備え、
    前記目標駆動力設定手段は、前記変更手段によって前記目標変速段が変更されたときに、前記目標駆動力を、前記駆動力モデルにおける、変更前の前記目標変速段に対応する駆動力に設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両の制御装置。
  5. 前記原動機は、内燃機関及び電動機を含み、
    当該電動機に電気的に接続され、電力を蓄積可能な蓄電装置をさらに備え、
    前記原動機制御手段は、前記蓄電装置における電力の蓄積量が所定値以上のときに、前記電動機が前記目標駆動力を発生するように、当該蓄電装置から前記電動機への電力供給状態を制御し、前記蓄電装置に蓄えられた電力量が所定値未満のときに、前記内燃機関が前記目標駆動力を発生するように、前記内燃機関の運転状態を制御することを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。
  6. 前記原動機は、内燃機関及び電動機を含み、
    当該電動機に電気的に接続され、電力を蓄積可能な蓄電装置をさらに備え、
    前記目標駆動力設定手段は、前記蓄電装置における電力の蓄積量に応じて、前記目標駆動力のうちの、前記内燃機関が発生すべき機関目標駆動力と、前記電動機が発生すべき電動機目標駆動力との割合を設定する割合設定手段と、
    当該設定された割合及び前記目標駆動力に基づき、前記機関目標駆動力及び前記電動機目標駆動力を算出する駆動力算出手段と、をさらに有し、
    前記原動機制御手段は、前記電動機が前記電動機目標駆動力を発生するように、前記蓄電装置から前記電動機への電力供給状態を制御するとともに、前記内燃機関が前記機関目標駆動力を発生するように、前記内燃機関の運転状態を制御することを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。
JP2014184799A 2013-12-24 2014-09-11 車両の制御装置 Expired - Fee Related JP6170890B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014184799A JP6170890B2 (ja) 2013-12-24 2014-09-11 車両の制御装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013264871 2013-12-24
JP2013264871 2013-12-24
JP2014184799A JP6170890B2 (ja) 2013-12-24 2014-09-11 車両の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015143568A JP2015143568A (ja) 2015-08-06
JP6170890B2 true JP6170890B2 (ja) 2017-07-26

Family

ID=53888739

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014184799A Expired - Fee Related JP6170890B2 (ja) 2013-12-24 2014-09-11 車両の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6170890B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6329189B2 (ja) * 2016-03-01 2018-05-23 本田技研工業株式会社 自動変速機の制御装置
KR101856331B1 (ko) 2016-06-27 2018-05-10 현대자동차주식회사 Dct 차량의 변속 제어방법
CN113685510B (zh) * 2020-05-18 2024-01-26 广州汽车集团股份有限公司 九挡双离合变速器及车辆

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3570192B2 (ja) * 1998-01-13 2004-09-29 トヨタ自動車株式会社 自動変速機の飛び越しダウンシフト制御装置
JP2008025639A (ja) * 2006-07-18 2008-02-07 Jatco Ltd 自動変速機の変速制御装置及び方法
JP2012224132A (ja) * 2011-04-15 2012-11-15 Toyota Motor Corp ハイブリッド車両の変速制御システム
JP5452557B2 (ja) * 2011-09-05 2014-03-26 本田技研工業株式会社 ハイブリッド車両の制御装置および制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015143568A (ja) 2015-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8052573B2 (en) Vehicle shift control apparatus
JP5962780B2 (ja) ハイブリッド車両
JP6108313B2 (ja) ハイブリッド車両におけるエンジン始動制御装置
JP5912327B2 (ja) デュアルクラッチ式自動変速機
JP2014058286A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP6026990B2 (ja) 車両用駆動装置
JP5546069B2 (ja) 複式クラッチ変速機の制御装置及び複式クラッチ変速機の制御方法
JP4867254B2 (ja) 複数クラッチ式変速機の制御装置
JP2007113608A (ja) 変速制御装置
JP6380478B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP6114128B2 (ja) 自動変速装置
JP6189051B2 (ja) 自動変速装置
JP6170890B2 (ja) 車両の制御装置
JP5985435B2 (ja) 自動変速装置
JP5989303B2 (ja) ハイブリッド車両
JP2006292055A (ja) 複数クラッチ式変速機の制御装置
JP2011196512A (ja) 車両の動力伝達制御装置
JP5740494B2 (ja) ハイブリッド車両用駆動装置
JP6141683B2 (ja) 車両の動力伝達制御装置
JP2006226380A (ja) ツインクラッチ式変速機の制御装置
JP5634967B2 (ja) ハイブリッド車両及びその制御方法
JP5085289B2 (ja) 変速機の制御装置
JP2020008046A (ja) 車両用制御装置
JP6118240B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP6380477B2 (ja) 自動変速機の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170703

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6170890

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees