以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両の制御装置について説明する。図1に示すように、本実施形態の制御装置1は、車両Vに適用されたものである。この車両Vは、原動機としての内燃機関(以下「エンジン」という)3及び電動機(以下「モータ」という)4を備えており、車両Vの走行中、これらのエンジン3又はモータ4の動力は、自動変速機10を介して変速されながら、駆動輪63,63(1つのみ図示)に伝達される。
この車両Vは、エンジン3及びモータ4を車両Vの中央寄りに搭載し、後輪である駆動輪63を駆動するタイプのもの、すなわちミッドシップエンジン・リヤドライブタイプのものである。
この車両Vでは、エンジン3のクランクシャフト3aがモータ4の回転軸に直結されているとともに、モータ4が、フライホイール3b及び回転軸3cを介して、自動変速機10に連結されている。これらのクランクシャフト3a、モータ4の回転軸、フライホイール3b及び回転軸3cは互いに同心に配置されている。
エンジン3は、スロットル弁、燃料噴射弁及び点火プラグ(いずれも図示せず)を備えており、後述するように、これらの機器の動作状態がECU2によって制御されることにより、エンジン3の発生駆動力が制御される。また、モータ4は、ECU2(図2参照)及びバッテリ90に電気的に接続されており、後述するように、ECU2によって、バッテリ90との間の電力の授受が制御されることで、モータ4の発生駆動力が制御される。
この自動変速機10は、デュアルクラッチ式の自動MTタイプのものであり、第1及び第2クラッチ5,6と、互いに平行に配置された第1入力軸11、第2入力軸12、副第2入力軸20、出力軸30、リバース軸40及び副出力軸50などを備えている。これらの軸11,12,20,30,40,50はいずれも、図示しない軸受を介して、図示しないミッションケースに回転自在に支持されている。
この第1クラッチ5は、湿式多板クラッチタイプのものであり、回転軸3cに同心かつ一体に取り付けられたフライホイールタイプのアウタクラッチ板5aと、第1入力軸11の一端部に同心かつ一体に取り付けられたインナクラッチ板5bと、これをアウタクラッチ板5a側に駆動するための第1クラッチ・アクチュエータ71(図2参照)と、インナクラッチ板5bをアウタクラッチ板5aから離間させるように付勢するリターンスプリング(図示せず)などを備えている。
第1クラッチ・アクチュエータ71は、ECU2に電気的に接続された電動機と、この電動機よって駆動される油圧シリンダなどを含む油圧回路とを組み合わせたものであり(いずれも図示せず)、ECU2からの駆動信号が供給されたときに、リターンスプリングの付勢力に抗しながら、第1クラッチ5のインナクラッチ板5bをアウタクラッチ板5a側に駆動する。ECU2は、この第1クラッチ・アクチュエータ71を制御することにより、第1クラッチ5を接続/遮断する。この場合、第1クラッチ5が接続されているときには、エンジン3の動力が、第1クラッチ5を介して第1入力軸11に伝達される。
さらに、第2クラッチ6は、第1クラッチ5と同様の湿式多板クラッチタイプのものであり、第1クラッチ5のアウタクラッチ板5aに同心かつ一体に固定されたアウタクラッチ板6aと、第2入力軸12の一端部に一体に取り付けられたインナクラッチ板6bと、これをアウタクラッチ板6a側に駆動する第2クラッチ・アクチュエータ72(図2参照)と、インナクラッチ板6bをアウタクラッチ板6aから離間させるように付勢するリターンスプリング(図示せず)などを備えている。
この第2クラッチ・アクチュエータ72は、前述した第1クラッチ・アクチュエータ71と同様に構成されており、ECU2からの駆動信号が供給されたときに、リターンスプリングの付勢力に抗しながら、第2クラッチ6のインナクラッチ板6bをアウタクラッチ板6a側に駆動する。ECU2は、第2クラッチ・アクチュエータ72を制御することにより、第2クラッチ6を接続/遮断する。この場合、第2クラッチ6が接続されているときには、エンジン3の動力が、第2クラッチ6を介して第2入力軸12に伝達される。
一方、前述した第1入力軸11には、エンジン3側の一端部に前述した第1クラッチ5のインナクラッチ板5bが固定されている。この第1入力軸11上には、エンジン3側からその反対側に向かって順に、第2入力軸12、3速駆動ギヤ14、3−5速シンクロ機構18、5速駆動ギヤ15、7速駆動ギヤ16、7−9速シンクロ機構19及び1速駆動ギヤ13が設けられている。これらの要素12〜19は、第1入力軸11と同心に配置されている。
第2入力軸12は、中空のものであり、その内孔で第1入力軸11に回転自在に嵌合している。また、第2入力軸12のエンジン3側の一端部には、前述した第2クラッチ6のインナクラッチ板6bが同心に取り付けられており、他端部には、ギヤ12aが同心に取り付けられている。このギヤ12aは、後述するリバース・入力ギヤ41に常に噛み合っている。
一方、3速駆動ギヤ14は、第1入力軸11上に回転自在に設けられ、出力軸30の後述する3速従動ギヤ32に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ14,32によって、前進3速段が構成されている。さらに、3速駆動ギヤ14は、後述するリバースギヤ42に常に噛み合っている。
また、5速駆動ギヤ15は、第1入力軸11上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する4−5速従動ギヤ33に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ15,33によって、前進5速段が構成されている。
さらに、前述した3−5速シンクロ機構18は、その詳細な説明はここでは省略するが、本出願人が例えば特許第4242189号で提案したシンクロ機構と同様に構成されており、図示しない3−5速シフトフォークを介して、ギヤ・アクチュエータ73(図2参照)に連結されている。
このギヤ・アクチュエータ73は、ECU2に電気的に接続された電動機とギヤ機構などを組み合わせたものであり、変速動作の際には、ECU2の制御により、3−5速シフトフォークを介して、3−5速シンクロ機構18を駆動する。それにより、3速駆動ギヤ14又は5速駆動ギヤ15が第1入力軸11に連結されたり、その連結が解除されたりすることによって、前進3速段又は前進5速段がインギヤ状態とニュートラル状態との間で切り換えられる。
また、7速駆動ギヤ16は、第1入力軸11上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する6−7速従動ギヤ34に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ16,34によって、前進7速段が構成されている。さらに、9速駆動ギヤ17は、第1入力軸11上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する8−9速従動ギヤ35に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ17,35によって、前進9速段が構成されている。
さらに、7−9速シンクロ機構19は、前述した3−5速シンクロ機構18と同様に構成されており、図示しない7−9速シフトフォークを介して、ギヤ・アクチュエータ73に連結されている。変速動作の際には、ギヤ・アクチュエータ73によって、7−9速シンクロ機構19が駆動されることにより、前進7速段又は前進9速段がインギヤ状態とニュートラル状態との間で切り換えられる。
一方、1速駆動ギヤ13は、第1入力軸11に固定されており、出力軸30の後述する1速従動ギヤ36に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ13,36によって、前進1速段が構成されている。なお、本実施形態では、駆動ギヤ13〜17及び従動ギヤ32〜36が第1変速ギヤ群に相当し、2つのシンクロ機構18,19及びギヤ・アクチュエータ73が第1切換機構に相当する。
また、前述した副第2入力軸20(第2入力軸)上には、エンジン3側からその反対側に向かって順に、入力ギヤ27、2速駆動ギヤ21、2−4速シンクロ機構25、4速駆動ギヤ22、6速駆動ギヤ23、6−8速シンクロ機構26及び8速駆動ギヤ24が設けられている。これらの要素21〜27は、副第2入力軸20と同心に配置されている。
入力ギヤ27は、リバース・入力ギヤ41と常に噛み合っており、このリバース・入力ギヤ41は、前述したように、第2入力軸12のギヤ12aに常に噛み合っている。それにより、副第2入力軸20は、これらのギヤ27,41,12aを介して、第2入力軸12に連結されている。
また、2速駆動ギヤ21は、副第2入力軸20上に回転自在に設けられており、出力軸30の2速従動ギヤ31に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ21,31によって、前進2速段が構成されている。
さらに、4速駆動ギヤ22は、副第2入力軸20上に回転自在に設けられており、出力軸30の4−5速従動ギヤ33に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ22,33によって、前進4速段が構成されている。
一方、2−4速シンクロ機構25は、図示しない2−4速シフトフォークを介して、前述したギヤ・アクチュエータ73に連結されている。変速動作の際には、ギヤ・アクチュエータ73によって、2−4速シンクロ機構25が駆動されることにより、前進2速段又は前進4速段がインギヤ状態とニュートラル状態との間で切り換えられる。
また、6速駆動ギヤ23は、副第2入力軸20上に回転自在に設けられており、出力軸30の6−7速従動ギヤ34に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ23,34によって、前進6速段が構成されている。
さらに、8速駆動ギヤ24は、副第2入力軸20上に回転自在に設けられており、前述した8−9速従動ギヤ35に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ24,35によって、前進8速段が構成されている。
一方、6−8速シンクロ機構26は、図示しない6−8速シフトフォークを介して、前述したギヤ・アクチュエータ73に連結されている。変速動作時、ギヤ・アクチュエータ73によって、6−8速シンクロ機構26が駆動されることにより、前進6速段又は前進8速段がインギヤ状態とニュートラル状態との間で切り換えられる。なお、本実施形態では、駆動ギヤ21〜24及び従動ギヤ31,33〜35が第2変速ギヤ群に相当し、シンクロ機構25,26及びギヤ・アクチュエータ73が第2切換機構に相当する。
また、出力軸30には、エンジン3側からその反対側に向かって順に、2速従動ギヤ31、3速従動ギヤ32、4−5速従動ギヤ33、6−7速従動ギヤ34、8−9速従動ギヤ35及び1速従動ギヤ36が配置されている。これらの4つのギヤ31〜35はいずれも、出力軸30に同心に固定されている。
さらに、1速従動ギヤ36は、ワンウェイクラッチ37を介して、出力軸30に同心に連結されている。それにより、車両Vの前進走行中における出力軸30の回転を正回転とした場合、1速従動ギヤ36の正回転速度が、出力軸30の正回転速度よりも大きいときには、第1入力軸11の動力が、1速駆動ギヤ13、1速従動ギヤ36及びワンウェイクラッチ37を介して出力軸30に伝達される。一方、1速従動ギヤ36の正回転速度が、出力軸30の正回転の回転速度を下回ったときには、ワンウェイクラッチ37の機能により、第1入力軸11と出力軸30との間での動力伝達が遮断される。
一方、前述したように、2速従動ギヤ31は2速駆動ギヤ21に、4−5速従動ギヤ33は4速駆動ギヤ22及び5速駆動ギヤ15に、6−7速従動ギヤ34は6速駆動ギヤ23及び7速駆動ギヤ16に、8−9速従動ギヤ35は8速駆動ギヤ24及び9速駆動ギヤ17にそれぞれ噛み合っている。さらに、3速従動ギヤ32は、前述した3速駆動ギヤ14に加えて、副出力軸50のギヤ51に常に噛み合っている。
この副出力軸50には、ギヤ51とベベルギヤ52が同心に固定されており、このベベルギヤ52は、エンジン3側の端部に配置され、終減速装置60のベベルギヤ61に常に噛み合っている。以上の構成により、出力軸30の動力は、副出力軸50、終減速装置60及び駆動軸62,62を介して、左右の駆動輪63,63に伝達される。
また、出力軸30には、出力回転速度センサ80が設けられており、この出力回転速度センサ80は、ECU2に電気的に接続されている(図2参照)。この出力回転速度センサ80は、出力軸30の回転速度を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この出力回転速度センサ80の検出信号に基づき、車両Vの速度である車速VPなどを算出する。なお、本実施形態では、出力回転速度センサ80が車速パラメータ検出手段に相当し、車速VPが車速パラメータに相当する。
一方、リバース軸40上には、エンジン3側からその反対側に向かって順に、リバース・入力ギヤ41、リバース・シンクロ機構43及びリバースギヤ42が設けられている。リバース・入力ギヤ41は、リバース軸40に同心に固定されており、前述した入力ギヤ27と常に噛み合っている。また、リバースギヤ42は、リバース軸40上に回転自在に設けられており、第1入力軸11上の前述した3速駆動ギヤ14と常に噛み合っている。
さらに、リバース・シンクロ機構43は、前述した3−5速シンクロ機構18と同様に構成されており、図示しないリバース・シフトフォークを介して、ギヤ・アクチュエータ73に連結されている。後進走行する際の変速動作時には、ギヤ・アクチュエータ73によってリバース・シンクロ機構43が駆動されることにより、リバースギヤ42がリバース軸40に連結される。また、後進段をニュートラル状態にするときには、リバース・シンクロ機構43によって、リバースギヤ42とリバース軸40の連結が解除される。
また、ギヤ・アクチュエータ73の近傍には、変速段センサ81(図2参照)が設けられている。この変速段センサ81は、ギヤ・アクチュエータ73の動作状態を検出して、検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、車両Vには、シフトレバー装置及びアクセルペダル(いずれも図示せず)が設けられている。このシフトレバー装置は、フロアシフトレバータイプのものであり、シフト位置として、パーキング位置、リバース位置、ニュートラル位置、ドライブ位置及びスポーツ位置の5つの位置を備えており、運転者によるシフト操作に伴い、そのシフト位置が5つの位置の間で切り換え選択可能に構成されている。
このシフトレバー装置には、シフト位置センサ82(図2参照)が設けられており、このシフト位置センサ82は、シフトレバー装置において5つのシフト位置のうちのどの位置が選択されているかを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、ECU2には、図2に示すように、クランク角センサ83、アクセル開度センサ84及びバッテリセンサ85が電気的に接続されている。このクランク角センサ83は、クランクシャフト3aの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号及びTDC信号をECU2に出力する。このCRK信号は、所定クランク角(例えば1゜)ごとに1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転速度(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒のピストンが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、所定クランク角ごとに1パルスが出力される。
さらに、アクセル開度センサ84は、アクセルペダルの踏み込み量を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このアクセル開度センサ84の検出信号に基づき、アクセル開度APを算出する。この場合、アクセルペダルには、アクセルペダルが確実に全開状態まで踏み込まれたことを検出するために、図示しないキックダウン・スイッチが設けられており、それにより、アクセルペダルの実際の踏み込み量(以下「実開度」という)AP_ACTとアクセル開度APの関係は、図3に示すものとなる。
同図において、AP_ACT1は、実開度AP_ACTの所定値であり、AP_ACT2は、AP_ACT1<AP_ACT2が成立するように設定された実開度の所定の最大値である。また、APwotは、アクセル開度APの所定の全開値であり、APjudは、アクセル開度APの所定の判定値であり、全開値APwot付近の値であって、APjud<APwotが成立するような値に設定されている。
同図に示すように、アクセル開度APは、AP_ACT≦AP_ACT1の範囲では、実開度AP_ACTに比例して変化し、AP_ACT1<AP_ACT<AP_ACT2の範囲では、AP=APjudに設定されるとともに、AP_ACT2=AP_ACTのときでは、AP=APwotに設定される。以上のように、キックダウン・スイッチの効果により、アクセルペダルが踏み込まれた際、実開度AP_ACTがAP_ACT1<AP_ACT<AP_ACT2の範囲で変化したときには、アクセル開度APは、所定の判定値APjudに保持されるとともに、AP_ACT2=AP_ACTとなり、アクセルペダルが確実に全開状態まで踏み込まれたときに、アクセル開度APが所定の全開値APwotに設定される。
なお、本実施形態では、アクセル開度センサ84が加速操作量検出手段に、アクセル開度APが加速操作量に、所定の全開値APwotが所定の最大値に、値0が所定の最小値に、APjud<AP≦APwotが所定範囲にそれぞれ相当する。
また、バッテリセンサ85は、バッテリ90に入出力される電流・電圧値を表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このバッテリセンサ85の検出信号に基づき、バッテリ90における電力の蓄積量を表す充電状態SOC(%)を算出する。なお、本実施形態では、バッテリ90が蓄電装置に相当し、充電状態SOCが蓄電装置における電力の蓄積量に相当する。
一方、ECU2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ80〜85の検出信号信号などに応じて、以下に述べように、変速制御処理及び駆動力制御処理などの各種の制御処理を実行する。なお、本実施形態では、ECU2が、目標変速段決定手段、変速制御手段、変更手段、目標駆動力設定手段、原動機制御手段、割合設定手段、及び駆動力算出手段に相当する。
以下、図4を参照しながら、変速制御処理について説明する。この変速制御処理は、前述した3つのアクチュエータ71〜73を駆動することによって、第1及び第2クラッチ5,6の接続/遮断状態と、前進1〜7速段及び後進段のインギヤ/ニュートラル状態とを制御するものであり、ECU2によって所定の制御周期ΔT(例えば10msec)で実行される。なお、以下の説明において算出される各種の値は、ECU2のRAM内に記憶されるものとする。
同図に示すように、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、シフト位置センサ82の検出信号に基づき、シフトポジション値POSIを以下に述べるように設定する。
具体的には、シフトポジション値POSIは、シフト位置がパーキング位置のときには値−2に、リバース位置のときには値−1に、ニュートラル位置のときには値0に、ドライブ位置のときには値1に、スポーツ位置のときには値2にそれぞれ設定されるとともに、ノーポジション状態(シフトレバーがシフト位置間にあって、シフト位置を特定できない状態)のときには値−3に設定される。
次いで、ステップ2に進み、シフトポジション値POSI≦−2が成立しているか否かを判別する。この判別結果がYESで、シフト位置がパーキング位置又はノーポジション状態にあるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ2の判別結果がNOのときには、ステップ3に進み、シフトポジション値POSI=0が成立しているか否かを判別する。この判別結果がYESで、シフト位置がニュートラル位置にあるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ3の判別結果がNOのときには、ステップ4に進み、シフトポジション値POSI≧1が成立しているか否かを判別する。この判別結果がYESで、シフト位置がドライブ位置又はスポーツ位置にあるときには、ステップ5に進み、前進変速制御処理を実行した後、本処理を終了する。この前進変速制御処理の詳細については後述する。
一方、ステップ4の判別結果がNOで、シフト位置がリバース位置にあるときには、ステップ6に進み、後進変速制御処理を実行する。この後進変速制御処理では、その内容は図示しないが、後進走行するために、リバース・シンクロ機構43及び第2クラッチ6の動作が制御される。例えば、後進段がインギヤ状態にないときには、リバース・シンクロ機構43を介して、リバースギヤ42がインギヤ状態に制御される。また、後進段がインギヤ状態にあって、第2クラッチ6が遮断状態にあるときには、第2クラッチ6が接続状態に制御される。ステップ6で、後進変速制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
次に、図5を参照しながら、上述した前進変速制御処理について説明する。同図に示すように、まず、ステップ10で、変速実行中フラグF_CHANGEが「1」であるか否かを判別する。この変速実行中フラグF_CHANGEは、変速動作を実行中であるか否かを表すものであり、その値は後述するステップ20のクラッチ&シンクロ制御処理において設定される。
このステップ10の判別結果がYESで、変速動作を実行中であるときには、後述するステップ20に進む。一方、ステップ10の判別結果がNOで、変速動作を実行中でないときには、ステップ11に進み、変速用値の算出処理を実行する。この算出処理は、以下に述べる各種の変速用の値を算出するものであり、具体的には、図6に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ30で、変速段センサ81の検出信号に基づき、現在変速段値SFT_tmpを算出する。具体的には、現在変速段値SFT_tmpは、現在インギヤ状態にある変速段が後進段のときには値−1として算出され、現時点で全ての変速段がインギヤされておらず、ニュートラル状態のときには値0として算出されるとともに、現在インギヤ状態にある変速段が前進1〜7速段のときにはそれぞれ値1〜7として算出される。
次いで、ステップ31に進み、シフトポジション値POSIが値1であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、シフト位置がドライブ位置にあるときには、ステップ32に進み、車速VP及びアクセル開度APに応じて、図7に示すマップを検索することにより、通常走行用の変速段値SFT_driveを算出する。
次に、ステップ33で、変速段マップ値SFT_mapを通常走行用の変速段値SFT_driveに設定する。
一方、前述したステップ31の判別結果がNOで、シフト位置がスポーツ位置にあるときには、ステップ34に進み、車速VP及びアクセル開度APに応じて、図8に示すマップを検索することにより、スポーツ走行用の変速段値SFT_sportを算出する。
次に、ステップ35で、変速段マップ値SFT_mapをスポーツ走行用の変速段値SFT_sportに設定する。
以上のステップ33又は35に続くステップ36で、変速段偏差DSFTを、現在変速段値SFT_tmpと変速段マップ値SFT_mapとの偏差SFT_tmp−SFT_mapに設定した後、本処理を終了する。
図5に戻り、ステップ11で、変速用値の算出処理を以上のように実行した後、ステップ12に進み、変速段偏差DSFT=0であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、SFT_map=SFT_tmpであるときには、変速動作を実行する必要がないと判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ12の判別結果がNOで、SFT_map≠SFT_tmpであるときには、変速動作を実行すべきであると判定して、ステップ13に進み、現在変速段値SFT_tmp>0であるか否かを判別する。
この判別結果がYESで、前進1〜7速段のいずれかがインギヤ状態にあるときには、ステップ14に進み、前述したシフトポジション値POSI=1である否かを判別する。
ステップ14の判別結果がYESで、シフト位置がドライブ位置にあるときには、ステップ15に進み、変速段偏差DSFT>0であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわちSFT_tmp>SFT_mapが成立し、シフトダウン変速を実行すべきであるときには、ステップ16に進み、アクセル開度AP≦APjudであるか否かを判別する。
この判別結果がYESで、すなわちAP≦APjudが成立しているときには、ステップ17に進み、変速段偏差DSFTが偶数であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのとき、すなわち変速段偏差DSFTが偶数であって、現在の変速段の駆動ギヤと変速段マップ値SFT_mapに相当する変速段の駆動ギヤとが同じ軸(第1入力軸11又は副第2入力軸20)上に位置しているときには、ステップ18に進み、目標変速段値SFT_cmdを変速段マップ値SFT_mapに値1を加算した値SFT_map+1に設定する。
次いで、ステップ19に進み、後述する駆動力調整処理が必要であることを表すために、駆動力調整フラグF_ADJUSTを「1」に設定する。
一方、以上のステップ13〜17のいずれかにおける判別結果がNOのとき、すなわち現在の変速段が後進段にあるか又は全変速段がニュートラル状態にあるときや、シフト位置がスポーツ位置にあるとき、アップシフト変速を実行すべきであるとき、APjud<APが成立してアクセルペダルが全開状態にあるとき、現在の変速段の駆動ギヤと変速段マップ値SFT_mapに相当する変速段の駆動ギヤとが同軸上に位置していないときには、ステップ20に進み、目標変速段値SFT_cmdを変速段マップ値SFT_mapに設定する。
次いで、ステップ21に進み、後述する駆動力調整処理が不要であることを表すために、駆動力調整フラグF_ADJUSTを「0」に設定する。
以上のステップ10,19,21のいずれかに続くステップ22で、クラッチ&シンクロ制御処理を実行する。この制御処理では、図示しないが、目標変速段値SFT_cmdに相当する目標変速段(すなわち前進1〜7速段のいずれか)をインギヤし、この目標変速段での前進走行が可能になるように、2つのクラッチ5,6及び5つのシンクロ機構18,19,25,26,43の動作が制御される。
この制御処理においては、例えば、目標変速段が現時点でインギヤ状態にある変速段(以下「現在変速段」という)よりも低速側の変速段に設定され、シフトダウン変速を実行する場合において、現在変速段の駆動ギヤと目標変速段の駆動ギヤが同軸上に位置していないときには、エンジン3の動力を現在変速段を介して駆動輪63に伝達した状態で、目標変速段のプリシフト制御処理を実行する。そして、目標変速段がインギヤ状態になったときに、2つのクラッチ5,6のうちの、エンジン3から目標変速段に動力を伝達可能な一方のクラッチを接続状態に切り換えながら、他方のクラッチが遮断状態に切り換えられる。
また、シフトアップ変速を実行する際にも、現在変速段の駆動ギヤと目標変速段の駆動ギヤが同軸上に位置していないときには、目標変速段へのプリシフト制御処理が実行される。
一方、シフトダウン変速又はシフトアップ変速を実行する場合において、現在変速段の駆動ギヤと目標変速段の駆動ギヤが同軸上に位置しているときには、エンジン3から現在変速段に動力を伝達している一方のクラッチを遮断し、次いで、目標変速段をインギヤした後、この一方のクラッチが接続される。
また、このステップ22においては、変速動作の実行中(すなわちシフトアップ変速の実行中又はシフトダウン変速の実行中)であるときに、変速実行中フラグF_CHANGEが「1」に設定される一方、変速動作が終了したときに、変速実行中フラグF_CHANGEが「0」に設定される。以上のように、ステップ22で、クラッチ&シンクロ制御処理を実行した後、本処理を終了する。
次に、図9を参照しながら、駆動力制御処理について説明する。この駆動制御処理は、エンジン3及びモータ4から駆動輪63に伝達される駆動力を制御するものであり、ECU2によって、TDC信号の発生タイミングに同期して実行される。
同図に示すように、まず、ステップ40で、前述した駆動力調整フラグF_ADJUSTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、駆動力調整処理が不要であるときには、後述するステップ42に進む。
一方、ステップ40の判別結果がYESで、駆動力調整処理が必要であるときには、ステップ41に進み、目標変速段値SFT_cmdを、RAM内に記憶されている目標変速段値SFT_cmdから値1を減算した値SFT_cmd−1に設定する。
以上のステップ40又は41に続くステップ42で、目標変速段値SFT_cmd及びアクセル開度APに応じて、図10に示すマップを検索することにより、駆動力マップ値Fmapを算出する。この駆動力マップ値Fmapは、エンジン3又はモータ4から駆動輪63に伝達される駆動力(駆動トルク)として算出される。
同図に示すように、このマップでは、駆動力マップ値Fmapは、アクセル開度APが大きいほど、又は目標変速段値SFT_cmdが小さいほど、より大きい値に設定されている。この場合、ステップ41,42が駆動力調整処理に相当し、このような駆動力調整処理を実行する理由については後述する。
次いで、ステップ43に進み、目標駆動力Fcmdを駆動力マップ値Fmapに設定する。
次に、ステップ44で、充電状態SOCが所定値SOC1以上であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、バッテリ90内の電力がモータ4を駆動するのに十分な状態にあり、モータ4によって駆動輪63を駆動すべきであると判定して、ステップ45に進み、モータ駆動力制御処理を実行する。
このモータ駆動力制御処理では、モータ4から駆動輪63に伝達される駆動力が上述した目標駆動力Fcmdになるように、バッテリ90からモータ4に供給される電力が制御される。ステップ45で、モータ駆動力制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ44の判別結果がNOで、SOC<SOC1のときには、バッテリ90内の電力がモータ4を駆動するのに不十分な状態にあり、エンジン3によって駆動輪63を駆動すべきであると判定して、ステップ46に進み、エンジン駆動力制御処理を実行する。
このエンジン駆動力制御処理では、エンジン3から駆動輪63に伝達される駆動力が上述した目標駆動力Fcmdになるように、エンジン3の運転状態(例えば、吸入空気量、燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期)が制御される。ステップ46で、エンジン駆動力制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
次に、図11を参照しながら、シフト位置がドライブ位置にあって、車両Vが通常走行中である場合において、前述したように変速制御処理を実行したときの変速動作例について説明する。なお、同図において、VP1,VP2は、VP1<VP2が成立するような車速VPの所定値であり、AP1,AP2は、AP1<AP2<APjudが成立するようなアクセル開度APの所定値である。
まず、シフト位置がドライブ位置にあって、車両Vが通常走行中である場合、前述した図7のマップを用いて、通常走行用の変速段値SFT_driveが算出される。その場合、図11に示すように、車速VPが所定値VP1にあり、インギヤ状態のときには、前進6速段での走行状態となり、現在変速段値SFT_tmpが値6として算出される。その状態で、アクセルペダルが踏み込まれ、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増した場合、変速段マップ値SFT_mapが値4として算出される。
その場合、前述したステップ13〜17の判別結果がいずれもYESとなることで、目標変速段値SFT_cmdが変速段マップ値SFT_mapに値1を加算した値5に設定される。その結果、車速VP=VP1にある場合において、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増したときには、実際の変速段は、前進6速段から前進5速段にシフトダウン変速されることになる。すなわち、エンジン3の動力を前進6速段を介して駆動輪63に伝達している状態で、前進5速段をプリシフト制御し、これがインギヤ状態になったときに、第2クラッチ6を遮断しながら、第1クラッチ5が接続されることになる。その結果、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮できる。
これに対して、本実施形態とは異なり、例えば、目標変速段値SFT_cmdを変速段マップ値SFT_mapに設定した場合、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増したときに、前進6速→前進5速段→前進4段の順にシフトダウン変速を実行するか、第2クラッチ6を遮断し、前進6速段をニュートラル状態にし、前進4速段をインギヤ状態にした後、第2クラッチ6を接続する必要がある。
この場合、前進6速→前進5速段→前進4段の順にシフトダウン変速を実行した手法では、シフトダウン変速の実行時間が長くなってしてしまう。一方、第2クラッチ6を遮断し、前進6速段をニュートラル状態にし、前進4速段をインギヤ状態にした後、第2クラッチ6を接続する手法では、空走感やトルク抜けが発生してしまうことになる。すなわち、本実施形態の変速制御処理を実行することによって、シフトダウン変速を実行する際、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮できることになる。
また、図11に示すように、車両Vの通常走行中、車速VPが所定値VP1よりも高い所定値VP2にある場合において、インギヤ状態のときには、前進9速段での走行状態となり、現在変速段値SFT_tmpが値9として算出される。その状態で、アクセルペダルが踏み込まれ、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増した場合、変速段マップ値SFT_mapが値5として算出される。
その場合、前述したステップ13〜17の判別結果がいずれもYESとなることで、目標変速段値SFT_cmdが変速段マップ値SFT_mapに値1を加算した値6に設定される。その結果、車速VP=VP2にある場合において、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増したときには、実際の変速段は、前進9速段から前進6速段にシフトダウン変速されることになる。すなわち、エンジン3の動力を前進9速段を介して駆動輪63に伝達している状態で、前進6速段をプリシフト制御し、これがインギヤ状態になったときに、第1クラッチ5を遮断しながら、第2クラッチ6が接続されることになる。その結果、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮できる。
また、図7と図8を比較すると明らかなように、同一の車速VPにおいて、アクセル開度APが変化した場合、図7のマップにおける通常走行用の変速段値SFT_driveの方が、図8のマップにおけるスポーツ走行用の変速段値SFT_sportと比べて変化する回数が多いことが判る。すなわち、図7のマップを用いた場合の方が、図8のマップを用いた場合よりも、上述した本実施形態の作用効果を得るのに適していることが判る。
また、以上のように、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増した場合、空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮するために、実際の変速段は、前進6速段から前進5速段にシフトダウン変速されることになる。その場合、ステップ18で設定された目標変速段値SFT_cmd及びアクセル開度APに応じて、前述した図10のマップを検索すると、SFT_cmd=5,AP=AP2となることで、駆動力マップ値Fmapは、図12に示す所定値Fmap1となる。しかしながら、運転者が本来要求している駆動力は、所定値Fmap1よりも大きい、SFT_cmd=4のときの所定値Fmap2であるので、この所定値Fmap1を発生するように、エンジン3又はモータ4の駆動力制御処理を実行した場合、実際に発生する駆動力が要求した値よりも小さくなることで、運転者が違和感を覚え、商品性の低下を招いてしまうことになる。
これを回避するために、前述した図9の駆動力制御処理では、駆動力調整フラグF_ADJUST=1のときには、ステップ41、42の駆動力調整処理が実行される。すなわち、目標変速段値SFT_cmdが、RAM内に記憶されている目標変速段値SFT_cmdから値1を減算した値SFT_cmd−1に設定され、そのように設定した目標変速段値SFT_cmd及びアクセル開度APに応じて、図10のマップを検索することにより、駆動力マップ値Fmapが算出されるので、例えば、上記のように、アクセル開度APが所定値AP1から所定値AP2まで急増した場合でも、駆動力マップ値Fmapを、運転者が本来要求していた値Fmap2として算出することができる。その結果、運転者が発生した駆動力に対して違和感を覚えるのを回避しながら、運転者の要求通りの駆動力を発生させることができることになる。
以上のように、本実施形態の制御装置1によれば、AP≦APjudが成立し、アクセル開度APが全開状態にない条件下で、シフトダウン変速を実行するときに、アクセル開度APが空走感やトルク抜けの発生を抑制しながら、変速時間を短縮することができ、商品性を向上させることができる。また、APjud<AP≦APwotが成立し、アクセル開度APが全開状態にあると推定される条件下で、シフトダウン変速を実行するときには、目標変速段値SFT_cmdが変速段マップ値SFT_mapに設定されることで、その時点の車速VPに対して変速可能な最下位の変速段(変速比が最も大きい変速段)に変速され、それにより、運転者によって要求されている大きな加速度を確保することができる。
さらに、駆動力調整フラグF_ADJUST=1のときには、ステップ41,42の駆動力調整処理が実行されるので、運転者が発生した駆動力に対して違和感を覚えるのを回避しながら、運転者の要求通りの駆動力を発生させることができ、商品性を向上させることができる。
これに加えて、SOC≧SOC1のときには、モータ4が目標駆動力Fcmdを発生するように、バッテリ90からモータ4への電力供給状態が制御され、SOC<SOC1のときに、エンジン3が目標駆動力Fcmdを発生するように、エンジン3の運転状態が制御されるので、エンジン3の運転時間を短縮することができ、その分、エンジン3の燃費を向上させることができる。
なお、前述した図9の駆動力制御処理に代えて、図13に示すように、駆動力制御処理を実行してもよい。この駆動力制御処理と図9を比較すると明らかなように、図13のステップ50〜53は、図9の前述したステップ40〜43と同じであるので、それらの説明は省略する。
この駆動力制御処理の場合、図13に示すように、ステップ53に続くステップ54で、充電状態SOCに応じて、図14に示すマップを検索することにより、分担割合Rsを算出する。この分担割合Rsは、エンジン3で発生する駆動力とモータ4で発生する駆動力の割合を表すものであり、図14において、SOC2,SOC3は、SOC2<SOC3が成立するように設定される充電状態SOCの所定値である。
このマップでは、分担割合Rsは、SOC≦SOC2の領域では値1に、SOC3<SOCの領域では値0にそれぞれ設定されているとともに、SOC2<SOC<SOC3の領域では、充電状態SOCが大きいほど、より小さい値になるように設定されている。これは、充電状態SOCが大きいほど、エンジン3の発生する駆動力の割合をより小さくすると同時に、モータ4の発生する駆動力の割合をより大きくするためである。
次いで、ステップ55に進み、モータ目標駆動力Fcmd_motを、値1と分担割合Rsの差分(1−Rs)に目標駆動力Fcmdを乗算した値(1−Rs)・Fcmdに設定する。
次に、ステップ56で、エンジン目標駆動力Fcmd_engを、分担割合Rsに目標駆動力Fcmdを乗算した値Rs・Fcmdに設定する。なお、本実施形態では、モータ目標駆動力Fcmd_motが電動機目標駆動力に、エンジン目標駆動力Fcmd_engが機関目標駆動力にそれぞれ相当する。
ステップ56に続くステップ57で、モータ駆動力制御処理を実行する。このモータ駆動力制御処理では、モータ4から駆動輪63に伝達される駆動力が上述したモータ目標駆動力Fcmd_motになるように、バッテリ90からモータ4に供給される電力が制御される。
次いで、ステップ58に進み、エンジン駆動力制御処理を実行する。このエンジン駆動力制御処理では、エンジン3から駆動輪63に伝達される駆動力が上述したエンジン目標駆動力Fcmd_engになるように、エンジン3の運転状態が制御される。ステップ58で、エンジン駆動力制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
以上のように、図13の駆動力制御処理を実行した場合、充電状態SOCに応じて、分担割合Rsが算出され、分担割合Rs及び目標駆動力Fcmdに基づき、エンジン目標駆動力Fcmd_engとモータ目標駆動力Fcmd_motが算出される。そして、モータ4がモータ目標駆動力Fcmd_motを発生するように、バッテリ90からモータ4への電力供給状態が制御されるとともに、エンジン3がエンジン目標駆動力Fcmd_engを発生するように、エンジン3の運転状態が制御されるので、駆動力の発生源としてのエンジン3及びモータ4を、充電状態SOCに応じて最適な状態に組み合わせて用いることができる。それにより、充電状態SOCが大きい領域では、エンジン3を停止しながら、モータ4の駆動力によって車両Vを駆動できることによって、エンジン3の運転時間を短縮することができ、その分、エンジン3の燃費を向上させることができる。
なお、実施形態は、原動機として、内燃機関3及び電動機4を用いた例であるが、本発明の原動機はこれに限らず、動力を発生するものであればよい。例えば、原動機として、外燃機関や、外燃機関と電動機を組み合わせて用いてもよい。
また、実施形態は、自動変速機として、1つの出力軸30を備えたものを用いた例であるが、本発明の自動変速機はこれに限らず、2つ以上の出力軸を備えたものを用いてもよい。例えば、実施形態の自動変速機10において、出力軸30に加えて、別の出力軸を設けるとともに、これらの2つの出力軸の一方に偶数段用の従動ギヤを設け、他方に奇数段用の従動ギヤを設けるように構成してもよい。
さらに、実施形態は、車速パラメータとして、車速VPを用いた例であるが、本発明の車速パラメータはこれに限らず、車速を表すものであればよい。例えば、車速パラメータとして、出力軸30の回転速度を用いてもよい。
一方、実施形態は、加速装置として、アクセルペダルを用いた例であるが、本発明の加速装置はこれに限らず、車両を加速させるために運転者によって操作されるものであればよい。例えば、加速装置として、運転者によって手動操作されるオートバイのスロットルレバータイプのものや、手や足以外の運転者の肉体的な動きによって操作されるもの、運転者の音声によって操作されるものを用いてもよい。また、その場合には、加速操作量として、スロットルレバーの操作量や、運転者の肉体的な動き及び音声を検出すればよい。
また、実施形態は、複数の変速段モデルとして、図7及び図8のマップを用いた例であるが、本発明の変速段モデルの数はこれに限らず、3つ以上であってもよい。また、変速段モデルは、マップに限らず、変速段と車速パラメータと加速操作量との相関関係を表すものであればよい。例えば、変速段と車速VPとアクセル開度APの関係を定義した数式や、ニューラルネットワークモデルなどを用いてもよい。
さらに、実施形態は、駆動力モデルとして、図10のマップを用いた例であるが、本発明の駆動力モデルはこれに限らず、原動機の駆動力と目標変速段と加速操作量との相関関係を表すものであればよい。例えば、駆動力と目標変速段値SFT_cmdとアクセル開度APの関係を定義した数式や、ニューラルネットワークモデルなどを用いてもよい。
また、実施形態は、蓄電装置として、バッテリ90を用いた例であるが、本発明の蓄電装置はこれに限らず、キャパシタなどの電力を蓄積可能なものであればよい。