以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る自動変速装置について説明する。図1に示すように、本実施形態の自動変速装置1は、車両Vの駆動系に適用されたものである。この車両Vは、ハイブリッド車両タイプのものであり、動力源としての内燃機関(以下「エンジン」という)3及び電動機(以下「モータ」という)4と、被駆動部に相当する一対の駆動輪DW(1つのみ図示)と、一対の従動輪(図示せず)などを備えている。
このエンジン3は、動力を出力するためのクランク軸3aと、気筒ごとに設けられた燃料噴射弁3b及び点火プラグ3c(図2に1つのみ図示)などを有している。これらの燃料噴射弁3b及び点火プラグ3cは、図2に示すように、ECU2に電気的に接続されており、ECU2によって、後述するように、動作状態が制御される。それにより、エンジン3の運転状態が制御される。
また、モータ4は、ブラシレスDCモータタイプのものであり、ECU2に電気的に接続されているとともに、ECU2によって、後述するように、運転状態が制御される。
一方、自動変速装置1は、デュアルクラッチタイプの自動変速装置であり、第1及び第2クラッチ5,6と、互いに平行に配置された第1入力軸10、第2入力軸20、出力軸30及びリバース軸40と、後述する変速制御処理などの各種の制御処理を実行するECU2(図2参照)などを備えている。
この第1クラッチ5は、乾式単板クラッチタイプのものであり、クランク軸3aに同心かつ一体に取り付けられたフライホイールタイプのアウタクラッチ板5aと、第1入力軸10の一端部に一体に取り付けられたインナクラッチ板5bと、これをアウタクラッチ板5a側に駆動するための第1クラッチ・アクチュエータ51(図2参照)と、インナクラッチ板5bをアウタクラッチ板5aから離間させるように付勢するリターンスプリング(図示せず)などを備えている。なお、第1クラッチ5を湿式多板クラッチタイプのものとしてもよい。
第1クラッチ・アクチュエータ51は、ECU2に電気的に接続された電動機と、この電動機よって駆動される油圧シリンダなどを含む油圧回路とを組み合わせたものであり(いずれも図示せず)、ECU2からの駆動信号が供給されたときに、リターンスプリングの付勢力に抗しながら、第1クラッチ5のインナクラッチ板5bをアウタクラッチ板5a側に駆動する。ECU2は、この第1クラッチ・アクチュエータ51を制御することにより、第1クラッチ5を接続/遮断する。この場合、第1クラッチ5が接続されているときには、エンジン3の動力が第1クラッチ5を介して、第1入力軸10に伝達される。
なお、以下の説明では、第1クラッチ5を接続することを「第1クラッチ5をオンする」といい、第1クラッチ5を遮断することを「第1クラッチ5をオフする」という。この点は、後述する第2クラッチ6においても同様である。
また、第1クラッチ・アクチュエータ51には、第1油圧センサ63(図2参照)が設けられており、この第1油圧センサ63は、第1クラッチ・アクチュエータ51の油圧回路内の油圧を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この第1油圧センサ63の検出信号に基づき、第1クラッチ5の接続/遮断状態を判定する。
さらに、第2クラッチ6は、第1クラッチ5と同様の乾式単板クラッチタイプのものであり、第1クラッチ5のアウタクラッチ板5aに同心かつ一体に固定されたアウタクラッチ板6aと、第1入力軸10上に回転自在に設けられたインナクラッチ板6bと、これをアウタクラッチ板6a側に駆動する第2クラッチ・アクチュエータ52(図2参照)と、インナクラッチ板6bをアウタクラッチ板6aから離間させるように付勢するリターンスプリング(図示せず)などを備えている。なお、第2クラッチ6を湿式多板クラッチタイプのものとしてもよい。
この第2クラッチ・アクチュエータ52は、前述した第1クラッチ・アクチュエータ51と同様に構成されており、ECU2からの駆動信号が供給されたときに、リターンスプリングの付勢力に抗しながら、第2クラッチ6のインナクラッチ板6bをアウタクラッチ板6a側に駆動する。ECU2は、第2クラッチ・アクチュエータ52を制御することにより、第2クラッチ6を接続/遮断する。この場合、第2クラッチ6が接続されているときには、エンジン3の動力が第2クラッチ6を介して、第1中空軸11に伝達される。
また、第2クラッチ・アクチュエータ52には、第2油圧センサ64(図2参照)が設けられており、この第2油圧センサ64は、第2クラッチ・アクチュエータ52の油圧回路内の油圧を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この第2油圧センサ64の検出信号に基づき、第2クラッチ6の接続/遮断状態を判定する。
一方、前述した第1入力軸10は、図示しない軸受を介して、ミッションケース8に回転自在に支持されており、その一端部には、前述した第1クラッチ5のインナクラッチ板5bが固定されているとともに、他端部には、後述する遊星歯車機構19のサンギヤ19aが同心に固定されている。
この第1入力軸10上には、エンジン3側からモータ4側に向かって、第1中空軸11、入力ギヤ12、5速駆動ギヤ14、5速シンクロ機構16、7速駆動ギヤ15、3−7速シンクロ機構17、3速駆動ギヤ13、第2中空軸19、遊星歯車機構7及び1速シンクロ機構18が設けられている。これらの要素7,11〜19は、第1入力軸10と同心に配置されている。
この第1入力軸10の近傍には、第1回転速度センサ61が設けられている。この第1回転速度センサ61は、第1入力軸10の回転速度である第1回転速度N1を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、第1中空軸11は、その内孔で第1入力軸10に回転自在に嵌合しているとともに、図示しない軸受を介して、ミッションケース8に回転自在に支持されている。さらに、第1中空軸11の一端部には、前述した第2クラッチ6のインナクラッチ板6bが同心に取り付けられており、他端部には、ギヤ11aが同心に取り付けられている。このギヤ11aは、アイドラギヤ44に噛み合っている。一方、入力ギヤ12は、後述するリバースギヤ42に噛み合うように配置されている。
さらに、5速駆動ギヤ14(第1変速ギヤ)は、第1入力軸10上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する4−5速従動ギヤ32に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ14,32(第1変速ギヤ列)によって、前進5速段が構成されている。さらに、前述した5速シンクロ機構16(第1シンクロ機構)は、図示しない5速シフトフォークを介して、5速アクチュエータ53(図2参照)に連結されている。
この5速シンクロ機構16は、その詳細な説明はここでは省略するが、本出願人が例えば特許第4242189号で提案したシンクロ機構と同様に構成されている。また、5速アクチュエータ53は、ECU2に電気的に接続された電動式のものであり、以下に述べるように、ECU2によって5速アクチュエータ53が制御されることにより、5速シンクロ機構16の動作が制御される。
具体的には、ECU2によって制御されることにより、5速アクチュエータ53は、5速シフトフォークを、5速位置及び中立位置の位置の間で、第1入力軸10の軸線方向に駆動する。この場合、5速シフトフォークが5速位置に駆動されたときには、5速シンクロ機構16によって、5速駆動ギヤ14が第1入力軸10に連結される。それにより、5速駆動ギヤ14が第1入力軸10と一体に回転し、前進5速段が設定された状態となる。すなわち、前進5速段がインギヤ状態になる。
また、5速シフトフォークが中立位置にあるときには、5速シンクロ機構16によって、5速駆動ギヤ14は、第1入力軸10に連結されることなく、これに対して回転自在に保持される。すなわち、前進5速段がニュートラル状態に保持される。
さらに、5速シフトフォークの近傍には、5速位置センサ65が設けられている。この5速位置センサ65は、磁気センサタイプのものであり、5速シフトフォークの位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この5速位置センサ65の検出信号に基づき、5速シフトフォークの位置を判定するとともに、5速シンクロ機構16によって、5速駆動ギヤ14が第1入力軸10に連結されたか否かなどを判定する。すなわち、前進5速段がインギヤ状態にあるか、ニュートラル状態にあるかなどを判定する。
また、7速駆動ギヤ15(第1変速ギヤ)は、第1入力軸10上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する6−7速従動ギヤ33に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ15,33(第1変速ギヤ列)によって、前進7速段が構成されている。さらに、3速駆動ギヤ13(第1変速ギヤ)は、第2中空軸19のエンジン3側の端部に一体に設けられており、出力軸30の後述する2−3速従動ギヤ31に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ13,31(第1変速ギヤ列)によって、前進3速段が構成されている。
さらに、3−7速シンクロ機構17(第1シンクロ機構)は、図示しない3−7速シフトフォークを介して、3−7速アクチュエータ54(図2参照)に連結されており、この3−7速アクチュエータ54は、ECU2に電気的に接続されている。これらの3−7速シンクロ機構17及び3−7速アクチュエータ54はそれぞれ、前述したシンクロ機構16及びアクチュエータ53と同様に構成されており、以下に述べるように、ECU2によって3−7速アクチュエータ54が制御されることにより、3−7速シンクロ機構17の動作が制御される。
具体的には、ECU2によって制御されることにより、3−7速アクチュエータ54は、3−7速シフトフォークを、3速位置、中立位置及び7速位置の3つの位置の間で、第1入力軸10の軸線方向に駆動する。この場合、3−7速シフトフォークが3速位置に駆動されたときには、3−7速シンクロ機構17によって、3速駆動ギヤ13が第1入力軸10に連結され、それにより、3速駆動ギヤ13及び第2中空軸19が第1入力軸10と一体に回転する。すなわち、前進3速段がインギヤ状態になる。
また、3−7速シフトフォークが7速位置に駆動されたときには、3−7速シンクロ機構17によって、7速駆動ギヤ15が第1入力軸10に連結され、それにより、7速駆動ギヤ15が第1入力軸10と一体に回転する。すなわち、前進7速段がインギヤ状態になる。さらに、3−7速シフトフォークが中立位置にあるときには、3−7速シンクロ機構17によって、3速駆動ギヤ13及び7速駆動ギヤ15は、第1入力軸10に連結されることなく、これに対して回転自在に保持される。すなわち、前進3速段及び前進7速段がニュートラル状態に保持される。
また、3−7速シフトフォークの近傍には、3−7速位置センサ66が設けられている。この3−7速位置センサ66は、前述した5速位置センサ65と同じタイプのものであり、3−7速シフトフォークの位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この3−7速位置センサ66の検出信号に基づき、3−7速シフトフォークの位置を判定するとともに、3−7速シンクロ機構17によって、3速駆動ギヤ13又は7速駆動ギヤ15が第1入力軸10に連結されたか否かなどを判定する。すなわち、前進3速段及び前進7速段がインギヤ状態にあるか、又はニュートラル状態にあるかなどを判定する。
一方、前述した遊星歯車機構7は、シングルプラネタリ式のものであり、サンギヤ7aと、遊星歯車機構7の外周に回転自在に設けられ、サンギヤ7aよりも歯数が多いリングギヤ7bと、両ギヤ7a,7bに噛み合う複数(例えば3つ)のプラネタリギヤ7c(2つのみ図示)と、プラネタリギヤ7cを回転自在に支持する回転自在のキャリア7dとを有している。
サンギヤ7aは、モータ4の回転軸4aに同心に取り付けられているとともに、このモータ4の回転軸4aは、第1入力軸10と同軸かつ一体に構成されている。以上の構成により、回転軸4a、サンギヤ7a及び第1入力軸10は、互いに一体に回転する。また、キャリア7dは、第2中空軸19に一体かつ同心に取り付けられており、リングギヤ7bには、前述した1速シンクロ機構18が設けられている。
この1速シンクロ機構18(第1シンクロ機構)は、図示しない1速シフトフォークを介して、1速アクチュエータ55(図2参照)に連結されており、この1速アクチュエータ55は、ECU2に電気的に接続されている。これらの1速シンクロ機構18及び1速アクチュエータ55はそれぞれ、前述したシンクロ機構16及びアクチュエータ53と同様に構成されており、以下に述べるように、ECU2によって1速アクチュエータ55が制御されることにより、1速シンクロ機構18の動作が制御される。
具体的には、ECU2によって制御されることにより、1速アクチュエータ55は、1速シフトフォークを、1速位置及び中立位置の間で、第1入力軸10の軸線方向に駆動する。この場合、1速シフトフォークが1速位置に駆動されたときには、1速シンクロ機構18によって、リングギヤ7bがミッションケース8に連結されることにより、リングギヤ7bが回転不能に保持されるとともに、遮断状態のときには、リングギヤ7bの回転が許容される。ECU2は、例えば、前進1速段又は後進段で走行するときなどには、1速アクチュエータ55を制御することにより、1速シンクロ機構18によって、リングギヤ7bをミッションケース8に連結させる。その場合、遊星歯車機構7、3速駆動ギヤ13及び2−3速従動ギヤ31によって、前進1速段が構成される。
また、1速シフトフォークの近傍には、1速位置センサ67が設けられている。この1速位置センサ67は、磁気センサタイプのものであり、1速シフトフォークの位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この1速位置センサ67の検出信号に基づき、1速シフトフォークの位置を判定するとともに、1速シンクロ機構16によって、リングギヤ7bがミッションケース8に連結されたか否かなどを判定する。すなわち、前進1速段がインギヤ状態にあるか、ニュートラル状態にあるかなどを判定する。
さらに、前述した第2入力軸20は、図示しない軸受を介して、ミッションケース8に回転自在に支持されている。この第2入力軸20上には、エンジン3側からモータ4側に向かって順に、入力ギヤ24、4速駆動ギヤ22、4速シンクロ機構25、6速駆動ギヤ23、2−6速シンクロ機構26及び2速駆動ギヤ21が設けられている。
入力ギヤ24は、アイドラギヤ44と噛み合っており、このアイドラギヤ44は、前述したように、第1中空軸11のギヤ11aに噛み合っている。それにより、第2入力軸20は、これらのギヤ11a,44,24を介して、第1中空軸11に連結されている。
また、4速駆動ギヤ22(第2変速ギヤ)は、第2入力軸20上に回転自在に設けられており、上述した4−5速従動ギヤ32に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ22,32(第2変速ギヤ列)によって、前進4速段が構成されている。
さらに、4速シンクロ機構25(第2シンクロ機構)は、図示しない4速シフトフォークを介して、4速アクチュエータ56(図2参照)に連結されており、この4速アクチュエータ56は、ECU2に電気的に接続されている。これらの4速シンクロ機構25及び4速アクチュエータ56はそれぞれ、前述したシンクロ機構16及びアクチュエータ53と同様に構成されており、以下に述べるように、ECU2によって4速アクチュエータ56が制御されることにより、4速シンクロ機構25の動作が制御される。
具体的には、ECU2によって制御されることにより、4速アクチュエータ56は、4速シフトフォークを、4速位置及び中立位置の間で、第2入力軸20の軸線方向に駆動する。この場合、4速シフトフォークが4速位置に駆動されたときには、4速シンクロ機構25によって、4速駆動ギヤ22が第2入力軸20に連結され、それにより、4速駆動ギヤ22が第2入力軸20と一体に回転する。すなわち、前進4速段がインギヤ状態になる。また、4速シフトフォークが中立位置にあるときには、4速シンクロ機構25によって、4速駆動ギヤ22は、第2入力軸20に連結されることなく、これに対して回転自在に保持される。すなわち、前進4速段がニュートラル状態に保持される。
また、4速シフトフォークの近傍には、4速位置センサ68が設けられている。この4速位置センサ68は、前述した5速位置センサ65と同じタイプのものであり、4速シフトフォークの位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この4速位置センサ68の検出信号に基づき、4速シフトフォークの位置を判定するとともに、4速シンクロ機構25によって、4速駆動ギヤ22が第2入力軸20に連結されたか否かなどを判定する。すなわち、前進4速段がインギヤ状態にあるか、ニュートラル状態にあるかなどを判定する。
一方、6速駆動ギヤ23(第2変速ギヤ)は、第2入力軸20上に回転自在に設けられており、出力軸30の6−7速従動ギヤ33に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ23,33(第2変速ギヤ列)によって、前進6速段が構成されている。さらに、2速駆動ギヤ21(第2変速ギヤ)も、第2入力軸20上に回転自在に設けられており、出力軸30の2−3速従動ギヤ31に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ21,31(第2変速ギヤ列)によって、前進2速段が構成されている。
さらに、2−6速シンクロ機構26(第2シンクロ機構)は、図示しない2−6速シフトフォークを介して、2−6速アクチュエータ57(図2参照)に連結されており、この2−6速アクチュエータ57は、ECU2に電気的に接続されている。これらの2−6速シンクロ機構26及び2−6速アクチュエータ57はそれぞれ、前述したシンクロ機構16及びアクチュエータ53と同様に構成されており、以下に述べるように、ECU2によって2−6速アクチュエータ57が制御されることにより、2−6速シンクロ機構26の動作が制御される。
具体的には、ECU2によって制御されることにより、2−6速アクチュエータ57は、2−6速シフトフォークを、2速位置、中立位置及び6速位置の3つの位置の間で、第2入力軸20の軸線方向に駆動する。この場合、2−6速シフトフォークが2速位置に駆動されたときには、2−6速シンクロ機構26によって、2速駆動ギヤ21が第2入力軸20に連結され、それにより、2速駆動ギヤ2が第2入力軸20と一体に回転する。すなわち、前進2速段がインギヤ状態になる。
また、2−6速シフトフォークが6速位置に駆動されたときには、2−6速シンクロ機構26によって、6速駆動ギヤ23が第2入力軸20に連結され、それにより、6速駆動ギヤ23が第2入力軸20と一体に回転する。すなわち、前進6速段がインギヤ状態になる。さらに、2−6速シフトフォークが中立位置にあるときには、2−6速シンクロ機構26によって、2速駆動ギヤ21及び6速駆動ギヤ23は、第2入力軸20に連結されることなく、これに対して回転自在に保持される。すなわち、前進2速段及び前進6速段がニュートラル状態に保持される。
また、2−6速シフトフォークの近傍には、2−6速位置センサ69が設けられている。この2−6速位置センサ69は、前述した5速位置センサ65と同じタイプのものであり、2−6速シフトフォークの位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この2−6速位置センサ69の検出信号に基づき、2−6速シフトフォークの位置を判定するとともに、2−6速シンクロ機構26によって、2速駆動ギヤ21又は6速駆動ギヤ23が第2入力軸20に連結されたか否かなどを判定する。すなわち、前進2速段及び前進6速段がインギヤ状態にあるか、又はニュートラル状態にあるかなどを判定する。
さらに、出力軸30(第1出力軸及び第2出力軸)は、図示しない軸受を介して、ミッションケース8に回転自在に支持されている。この出力軸30には、エンジン3側からモータ4側に向かって順に、出力ギヤ34、4−5速従動ギヤ32、6−7速従動ギヤ33及び2−3速従動ギヤ31が配置されている。これらの4つのギヤ31〜34はいずれも、出力軸30に同心に固定されている。
また、前述したように、4−5速従動ギヤ32は4速駆動ギヤ22及び5速駆動ギヤ14に、6−7速従動ギヤ32は6速駆動ギヤ23及び7速駆動ギヤ15に、2−3速従動ギヤ31は2速駆動ギヤ21及び3速駆動ギヤ13にそれぞれ噛み合っている。さらに、出力ギヤ34は、終減速装置FGに常に噛み合っており、それにより、出力軸30の回転は、終減速装置FGを介して、駆動輪DWに伝達される。
また、出力軸30の近傍には、出力回転速度センサ60が設けられている(図2参照)。この出力回転速度センサ60は、出力軸30の回転速度である出力回転速度NCを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この出力回転速度センサ60の検出信号に基づき、車両Vの速度である車速VPなどを算出する。
リバース軸40上には、エンジン3側からモータ4側に向かって、リバース・入力ギヤ41、リバースギヤ42及びリバース・シンクロ機構43が設けられている。リバース・入力ギヤ41は、リバース軸40に同軸に固定されており、前述したアイドラギヤ44と噛みあっている。また、リバースギヤ42は、リバース軸40上に回転自在に設けられており、第1入力軸10の前述した入力ギヤ12と噛みあっている。
さらに、リバース・シンクロ機構43は、図示しないリバース・シフトフォークを介して、リバース・アクチュエータ58(図2参照)に連結されており、このリバース・アクチュエータ58は、ECU2に電気的に接続されている。これらのリバース・シンクロ機構43及びリバース・アクチュエータ58はそれぞれ、前述したシンクロ機構16及びアクチュエータ53と同様に構成されており、以下に述べるように、ECU2によってリバース・アクチュエータ58が制御されることにより、リバース・シンクロ機構43の動作が制御される。
具体的には、ECU2によって制御されることにより、リバース・アクチュエータ58は、リバース・シフトフォークを、リバース位置及び中立位置の間で、リバース軸40の軸線方向に駆動する。この場合、リバース・シフトフォークがリバース位置に駆動されたときには、リバース・シンクロ機構43によって、リバースギヤ42がリバース軸40に連結され、それにより、リバースギヤ42がリバース軸40と一体に回転する。この場合、後進段で走行するときには、1速シンクロ機構18によって、リングギヤ7bがミッションケース8に連結されるとともに、リバース・シンクロ機構43によって、リバースギヤ42がリバース軸40に連結されることにより、後進段がインギヤ状態になる。また、リバース・シフトフォークが中立位置にあるときには、リバース・シンクロ機構43によって、リバースギヤ42は、リバース軸40に連結されることなく、これに対して回転自在に保持される。すなわち、後進段は、ニュートラル状態に保持される。
さらに、リバース・シフトフォークの近傍には、リバース位置センサ70が設けられている。このリバース位置センサ70は、前述した5速位置センサ65などと同じタイプのものであり、リバース・シフトフォークの位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このリバース位置センサ70の検出信号に基づき、リバース・シフトフォークの位置を判定するとともに、リバース・シンクロ機構43によって、リバースギヤ42がリバース軸40に連結されたか否かなどを判定する。また、このリバース位置センサ70すなわち、後進段がインギヤ状態にあるか、ニュートラル状態にあるかなどを判定する。
一方、車両Vには、シフトレバー装置、パドルシフト装置及びアクセルペダル(いずれも図示せず)が設けられている。このシフトレバー装置は、フロアシフトレバータイプのものであり、シフト位置として、パーキング位置、リバース位置、ニュートラル位置、ドライブ位置及びスポーツ位置の5つの位置を備えており、運転者によるシフト操作に伴い、そのシフト位置が5つの位置の間で切り換え選択可能に構成されている。
このシフトレバー装置には、シフト位置センサ71(図2参照)が設けられており、このシフト位置センサ71は、シフトレバー装置が5つのシフト位置のいずれにあるかを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、パドルシフト装置は、運転者がダウンシフト操作又はアップシフト操作を意図的に実行するためのものであり、図示しないステアリングホイールの付近に設けられている。このパドルシフト装置には、パドルシフトセンサ72(図2参照)が設けられており、運転者によるダウンシフト操作又はアップシフト操作を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、図2に示すように、ECU2には、クランク角センサ73及びアクセル開度センサ74が電気的に接続されている。このクランク角センサ73は、クランクシャフト3aの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号をECU2に出力する。このCRK信号は、所定クランク角(例えば1゜)ごとに1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転速度(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
また、アクセル開度センサ74は、アクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、ECU2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ60〜74の検出信号信号などに応じて、以下に述べように、変速制御処理、エンジン制御処理及びモータ制御処理などの各種の制御処理を実行する。なお、本実施形態では、ECU2が制御手段及び判定手段に相当する。
以下、図3を参照しながら、変速制御処理について説明する。この変速制御処理は、以下に述べるように、前述したアクチュエータ51〜58などを制御することによって、前述したクラッチ5,6、シンクロ機構16〜18,25,26,43などの動作を制御するものであり、ECU2によって所定の制御周期で実行される。
同図に示すように、この制御処理では、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、変速判定処理を実行する。この変速判定処理は、具体的には、図4に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ20で、変速判定済みフラグF_JUDが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、F_JUD=1のときには、変速判定処理を実行する必要がないと判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ20の判別結果がNOで、F_JUD=0のときには、ステップ21に進み、現在変速段値SFT_tmpを算出する。この現在変速段値SFT_tmpは、現時点でインギヤされている変速段(以下「現在変速段」という)などを表すものであり、前述したセンサ63〜70の検出信号に基づいて、以下に述べるように算出される。
すなわち、現在変速段値SFT_tmpは、現在変速段が後進段のときには値−1として算出され、現時点で全ての変速段がインギヤされておらず、ニュートラル状態のときには値0として算出されるとともに、現在変速段が前進1〜7速段のときにはそれぞれ値1〜7として算出される。
次に、ステップ22に進み、目標変速段値SFT_cmdを算出する。この目標変速段値SFT_cmdは、目標となる変速段(以下「目標変速段」という)を表すものであり、前述したシフト位置センサ71及びパドルシフトセンサ72の検出信号や、アクセル開度AP及びエンジン回転数NEなどの運転パラメータに基づき、図示しないマップを検索することにより、以下に述べるように算出される。
すなわち、目標変速段値SFT_cmdは、目標変速段が後進段のときには値−1として算出され、目標変速段がニュートラル状態のときには値0として算出されるとともに、目標変速段が前進1〜7速段のときにはそれぞれ値1〜7として算出される。
次いで、ステップ23に進み、目標変速段値SFT_cmdと現在変速段値SFT_tmpが等しいか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、変速する必要がないと判定して、ステップ24に進み、シフトダウンフラグF_DWN、シフトアップフラグF_UP、リバースフラグF_REV及びニュートラルフラグF_NTをいずれも「0」に設定する。
次に、ステップ25で、変速判定済みフラグF_JUDを「0」に設定した後、本処理を終了する。
一方、ステップ23の判別結果がNOで、SFT_cmd≠SFT_tmpのときには、ステップ26に進み、目標変速段値SFT_cmd=0であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、現在変速段をニュートラル状態にすべきであると判定して、それを表すために、ステップ29に進み、ニュートラルフラグF_NTを「1」に設定すると同時に、3つのフラグF_DWN,F_UP,F_REVをいずれも「0」に設定する。
一方、ステップ26の判別結果がNOのときには、ステップ27に進み、目標変速段値SFT_cmd=−1であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、現在変速段を後進段に変速すべきであると判定して、それを表すために、ステップ30に進み、リバースフラグF_REVを「1」に設定すると同時に、3つのフラグF_DWN,F_UP,F_NTをいずれも「0」に設定する。
一方、ステップ27の判別結果がNOのときには、ステップ28に進み、SFT_cmd<SFT_tmpが成立しているか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、現在変速段をより低速側の変速段にシフトダウンすべきであると判定して、それを表すために、ステップ31に進み、シフトダウンフラグF_DWNを「1」に設定すると同時に、3つのフラグF_UP,F_REV,F_NTをいずれも「0」に設定する。
一方、ステップ28の判別結果がNOで、SFT_cmd>SFT_tmpのときには、現在変速段をより高速側の変速段にシフトアップすべきであると判定して、それを表すために、ステップ32に進み、シフトアップフラグF_UPを「1」に設定すると同時に、3つのフラグF_DWN,F_REV,F_NTをいずれも「0」に設定する。
以上のステップ29〜32のいずれかに続くステップ33で、変速判定処理を実行済みであることを表すために、変速判定済みフラグF_JUDを「1」に設定した後、本処理を終了する。
図3に戻り、ステップ1の変速判定処理を以上のように実行した後、ステップ2に進み、シフトダウンフラグF_DWNが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ3に進み、後述するように、シフトダウン制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ2の判別結果がNOのときには、ステップ4に進み、シフトアップフラグF_UPが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ5に進み、シフトアップ制御処理を実行する。
このシフトアップ制御処理では、現在変速段値SFT_tmp、目標変速段値SFT_cmd及び前述したセンサ60〜70の検出信号に基づき、アクチュエータ51〜58のうちの対応するものを制御することによって、現在変速段が目標変速段にシフトアップされる。ステップ5で、以上のように、シフトアップ制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ4の判別結果がNOのときには、ステップ6に進み、リバースフラグF_REVが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ7に進み、リバース制御処理を実行する。
このリバース制御処理では、現在変速段値SFT_tmp、目標変速段値SFT_cmd及び前述したセンサ60〜70の検出信号に基づき、アクチュエータ58などを制御することによって、現在変速段が後進段に変更される。ステップ6で、以上のように、リバース制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ6の判別結果がNOのときには、ステップ8に進み、ニュートラルフラグF_NTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ9に進み、ニュートラル制御処理を実行する。
このニュートラル制御処理では、現在変速段値SFT_tmp及び前述したセンサ60〜70の検出信号に基づき、アクチュエータ51〜58のうちの対応するものを制御することによって、現在変速段がニュートラル状態に変更される。ステップ9で、以上のように、ニュートラル制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ8の判別結果がNOで、4つのフラグF_DWN,F_UP,F_REV,F_NTがいずれも「0」のときには、そのまま本処理を終了する。
次に、図5を参照しながら、前述したシフトダウン制御処理について説明する。同図に示すように、まず、ステップ40で、シフトダウン判定処理を実行する。このシフトダウン判定処理は、具体的には、図6に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ50で、シフトダウン判定済みフラグF_DWN_JUDが「1」であるか否かを判別する。このシフトダウン判定済みフラグF_DWN_JUDは、シフトダウン判定処理を実行済みであるか否かを表すものである。この判別結果がYESのときには、シフトダウン判定処理を実行する必要がないと判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ50の判別結果がNOのときには、シフトダウン判定処理を実行すべきであると判定して、ステップ51に進み、目標変速段値SFT_cmdが奇数であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのときには、ステップ52に進み、現在変速段値SFT_tmpが奇数であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、現在変速段及び目標変速段がいずれも奇数段であるときには、ステップ53に進み、加速度αを、車速の今回値と前回値との偏差VP−VPzに設定する。
次いで、ステップ54に進み、−α1≦α≦α1が成立しているか否かを判別する。この値α1は、車両Vがクルーズ走行状態にあるか否かを判定するための加速度の判定値であり、値0に近い正値に設定されている。この判別結果がYESで、車両Vがクルーズ走行状態にあるときには、後述するステップ56に進む。
一方、ステップ54の判別結果がNOのときには、ステップ55に進み、α<−α1が成立しているか否かを判別する。この判別結果がYESで、車両Vが減速走行状態にあるときには、ステップ56に進む。
以上のステップ54又は55に続くステップ56で、スキップダウン制御処理を実行すべできあることを表すために、スキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNを「1」に設定する。以上のように、スキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNは、現在変速段及び目標変速段がいずれも奇数段の場合において、車両Vがクルーズ走行状態か減速走行状態にあるときに「1」に設定される。
次いで、ステップ60に進み、シフトダウン判定処理を実行済みであることを表すために、シフトダウン判定済みフラグF_DWN_JUDを「1」に設定した後、本処理を終了する。
一方、前述したステップ55の判別結果がNOで、α1<αが成立し、車両Vが加速状態にあるときには、後述するプリシフト制御処理を2回実行すべきであると判定して、ステップ58に進み、それを表すために、2回プリシフト制御フラグF_PRE2を「1」に設定すると同時に、スキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNを「0」に設定する。次いで、前述したように、ステップ60を実行した後、本処理を終了する。
一方、前述したステップ52の判別結果がNOのとき、すなわち目標変速段値SFT_cmdが奇数で、現在変速段値SFT_tmpが偶数であるときには、プリシフト制御処理を1回実行すべきであると判定して、ステップ59に進み、それを表すために、2回プリシフト制御フラグF_PRE2及びスキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNをいずれも「0」に設定する。次いで、前述したように、ステップ60を実行した後、本処理を終了する。
一方、前述したステップ51の判別結果がNOで、目標変速段値SFT_cmdが偶数であるときには、ステップ57に進み、現在変速段値SFT_tmpが偶数であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、目標変速段値SFT_cmd及び現在変速段値SFT_tmpがいずれも偶数のときには、プリシフト制御処理を2回実行すべきであると判定して、前述したように、ステップ58,60を順に実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ57の判別結果がNOのとき、すなわち目標変速段値SFT_cmdが偶数で、現在変速段値SFT_tmpが奇数であるときには、プリシフト制御処理を1回実行すべきであると判定して、前述したように、ステップ59,60を順に実行した後、本処理を終了する。
図5に戻り、ステップ40で、シフトダウン判定処理を以上のように実行した後、ステップ41に進み、上述したスキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ42に進み、後述するように、スキップダウン制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ41の判別結果がNOのときには、ステップ43に進み、後述するように、連続ダウン制御処理を実行した後、本処理を終了する。
次に、図7を参照しながら、上述したスキップダウン制御処理について説明する。同図に示すように、この制御処理の場合、まず、ステップ70で、算出済みフラグF_CALが「1」であるか否かを判別する。この算出済みフラグF_CALは、目標第1回転速度N1cmdを算出済みであるか否かを表すものである。この判別結果がYESで、目標第1回転速度N1cmdを算出済みであるときには、後述するステップ73に進む。
一方、ステップ70の判別結果がNOのときには、ステップ71に進み、目標第1回転速度N1cmdを算出する。この目標第1回転速度N1cmd(目標速度)は、第1回転速度N1の目標となる値であり、具体的には、目標変速段値SFT_cmd及び出力回転速度NCに基づいて算出される。
次に、ステップ72で、目標第1回転速度N1cmdを算出済みであることを表すために、算出済みフラグF_CALを「1」に設定する。
以上のステップ70又は72に続くステップ73で、現在変速段のニュートラル制御処理を実行する。この制御処理は、現在変速段をニュートラル状態にするものであり、具体的には、図8に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ80で、現段ニュートラルフラグF_SYN_NTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、現在変速段がニュートラル状態にあると判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ80の判別結果がNOのときには、ステップ81に進み、前述したアクチュエータ53,54のうちの、現在変速段に対応するアクチュエータを制御することにより、現在変速段に対応するシンクロ機構を駆動し、現在変速段をニュートラル状態にする。
次に、ステップ82で、前述した位置センサ65〜67の検出信号に基づき、現在変速段がニュートラル状態になったか否かを判定する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ82の判別結果がYESで、現在変速段がニュートラル状態になったときには、それを表すために、ステップ83に進み、現段ニュートラルフラグF_SYN_NTを「1」に設定した後、本処理を終了する。
図7に戻り、ステップ73で、現在変速段のニュートラル制御処理を以上のように実行した後、ステップ74に進み、第1クラッチのオフ制御処理を実行する。この制御処理は、具体的には、図9に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ90で、第1クラッチオフ・フラグF_CL1_OFFが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、第1クラッチ5がオフ状態にあると判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ90の判別結果がNOのときには、ステップ91に進み、前述した現段ニュートラルフラグF_SYN_NTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、現在変速段がニュートラル状態になっておらず、第1クラッチ5をオフすべきでないと判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ91の判別結果がYESのときには、ステップ92に進み、オフ実行条件フラグF_OFF_DRVが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ93に進み、前述した第1回転速度センサ61の検出信号に基づき、N1≧N1cmdが成立しているか否かを判別する。
この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ93の判別結果がYESで、第1回転速度N1が目標第1回転速度N1cmdに達したときには、第1クラッチ5をオフにする実行条件が成立したと判定して、それを表すために、ステップ94に進み、オフ実行条件フラグF_OFF_DRVを「1」に設定する。
このように、オフ実行条件フラグF_OFF_DRVが「1」に設定されると、上記ステップ92の判別結果がYESとなり、その場合には、ステップ95に進む。
以上のステップ92又は94に続くステップ95で、前述した第1クラッチ・アクチュエータ51を制御することにより、第1クラッチ5をオフ状態に駆動する。次いで、ステップ96に進み、前述した第1油圧センサ63の検出信号に基づき、第1クラッチ5がオフ状態になったか否かを判別する。
この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ96の判別結果がYESで、第1クラッチ5がオフ状態になったときには、それを表すために、ステップ97に進み、第1クラッチオフ・フラグF_CL1_OFFを「1」に設定した後、本処理を終了する。
図7に戻り、ステップ74で、第1クラッチのオフ制御処理を以上のように実行した後、ステップ75に進み、目標変速段のインギヤ制御処理を実行する。この制御処理は、具体的には、図10に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ100で、目標変速段インギヤフラグF_SYN_ONが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、目標変速段がインギヤ状態にあると判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ100の判別結果がNOのときには、ステップ101に進み、前述した第1クラッチオフ・フラグF_CL1_OFFが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、第1クラッチ5がオフされていないときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ101の判別結果がYESで、第1クラッチ5がオフされているときには、ステップ102に進み、前述した目標変速段値SFT_cmdに基づき、目標変速段を設定する。
次に、ステップ103で、前述したアクチュエータ53〜55のうちの、目標変速段に対応するアクチュエータを制御することにより、目標変速段に対応するシンクロ機構を駆動し、目標変速段をインギヤ状態にする。
次いで、ステップ104に進み、前述した位置センサ65〜67の検出信号に基づき、目標変速段がインギヤ状態になったか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ104の判別結果がYESで、目標変速段がインギヤ状態になったときには、それを表すために、ステップ105に進み、目標変速段インギヤフラグF_SYN_ONを「1」に設定した後、本処理を終了する。
図7に戻り、ステップ75で、目標変速段のインギヤ制御処理を以上のように実行した後、ステップ76に進み、第1クラッチのオン制御処理を実行する。この制御処理は、具体的には、図11に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ110で、上述した目標変速段インギヤフラグF_SYN_ONが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、目標変速段がインギヤ状態になっていないときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ110の判別結果がYESで、目標変速段がインギヤ状態になっているときには、ステップ111に進み、前述した第1クラッチ・アクチュエータ51を制御することにより、第1クラッチ5をオン状態に駆動する。
次いで、ステップ112に進み、前述した第1油圧センサ63の検出信号に基づき、第1クラッチ5がオン状態になったか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ112の判別結果がYESで、第1クラッチ5がオン状態になったときには、スキップダウン制御処理を終了すべきであると判定して、ステップ113に進み、前述した7つのフラグF_JUD,F_DWN_JUD,F_CAL,F_SYN_NT,F_OFF_DRV,F_CL1_OFF,F_SYN_ONをいずれも「0」に設定した後、本処理を終了する。
図7に戻り、ステップ76で、第1クラッチのオン制御処理を以上のように実行した後、同図のスキップダウン制御処理を終了する。スキップダウン制御処理は、以上のように実行される。
次に、図12を参照しながら、前述した連続ダウン制御処理について説明する。この制御処理の場合、同図に示すように、まず、ステップ120で、1回目プリシフト制御処理を実行する。この1回目プリシフト制御処理は、具体的には、図13に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ130で、1回目プリシフト実行済みフラグF_PRE1_ENDが「1」であるか否かを判別する。この1回目プリシフト実行済みフラグF_PRE1_ENDは、1回目プリシフト制御処理を実行済みであるか否かを表すものである。この判別結果がYESで、1回目プリシフト制御処理を実行済みであるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ130の判別結果がNOのときには、ステップ131に進み、目標変速段のインギヤ制御処理を実行する。この制御処理は、具体的には、図14に示すように実行される。この図14の制御処理の場合、前述した図10の制御処理と比べると明らかなように、ステップ141〜143以外の内容は図10の制御処理と同じであるので、以下、異なる点を中心に説明する。
同図に示すように、ステップ140に続くステップ141で、前述した2回プリシフト制御フラグF_PRE2が「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ142に進み、目標変速段値SFT_cmdに基づき、目標変速段を設定する。
一方、ステップ141の判別結果がYESで、プリシフト制御処理を2回実行すべきであるときには、ステップ143に進み、目標変速段値SFT_cmdに値1を加算した値SFT_cmd+1に基づき、目標変速段を設定する。すなわち、このステップ143では、目標変速段は、目標変速段値SFT_cmdが表す変速段よりも1段高速側の変速段に設定される。
以上のステップ142又は143に続けて、ステップ144〜146を、前述した図10のステップ103〜105と同様に実行した後、本処理を終了する。
図13に戻り、ステップ131で、目標変速段のインギヤ制御処理を以上のように実行した後、ステップ132に進み、クラッチ制御処理を実行する。このクラッチ制御処理は、具体的には、図15に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ150で、目標変速段インギヤフラグF_SYN_ONが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、目標変速段がインギヤ状態にないと判定して、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ150の判別結果がYESのときには、ステップ151に進み、クラッチ制御実行済みフラグF_CL_ENDが「1」であるか否かを判別する。このクラッチ制御実行済みフラグF_CL_ENDは、クラッチ制御処理を実行済みであるか否かを表すものであり、この判別結果がYESで、クラッチ制御処理を実行済みであるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ151の判別結果がNOのときには、クラッチ制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ152に進み、現在変速段値SFT_tmpが偶数であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、現在変速段が奇数段であるときには、第1クラッチ5をオフしかつ第2クラッチ6をオンすべきであると判定して、ステップ153に進み、第1クラッチ・アクチュエータ51及び第2クラッチ・アクチュエータ52を制御することにより、第1クラッチ5をオフ状態に駆動するとともに、第2クラッチ6をオン状態に駆動する。
次いで、ステップ154に進み、第1油圧センサ63及び第2油圧センサ64の検出信号に基づき、第1クラッチ5がオフ状態になるとともに第2クラッチ6がオン状態になったか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ154の判別結果がYESで、第1クラッチ5がオフ状態になるとともに第2クラッチ6がオン状態になったときには、クラッチ制御処理を実行済みであることを表すために、ステップ157に進み、クラッチ制御実行済みフラグF_CL_ENDを「1」に設定した後、本処理を終了する。
一方、前述したステップ152の判別結果がYESで、現在変速段が偶数段であるときには、第1クラッチ5をオンしかつ第2クラッチ6をオフすべきであると判定して、ステップ155に進み、第1クラッチ・アクチュエータ51及び第2クラッチ・アクチュエータ52を制御することにより、第1クラッチ5をオン状態に駆動するとともに、第2クラッチ6をオフ状態に駆動する。
次いで、ステップ156に進み、第1油圧センサ63及び第2油圧センサ64の検出信号に基づき、第1クラッチ5がオン状態になるとともに第2クラッチ6がオフ状態になったか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ156の判別結果がYESで、第1クラッチ5がオン状態になるとともに第2クラッチ6がオフ状態になったときには、前述したように、ステップ157で、クラッチ制御実行済みフラグF_CL_ENDを「1」に設定した後、本処理を終了する。
図13に戻り、ステップ132で、クラッチ制御処理を以上のように実行した後、ステップ133に進み、現在変速段のニュートラル制御処理を実行する。この制御処理は、現在変速段、すなわち1回目プリシフト制御処理の実行開始時点でインギヤ状態にあった変速段をニュートラル状態にするものであり、具体的には、図16に示すように実行される。
この図16の制御処理の場合、図8の制御処理と比べると明らかなように、ステップ170以外の内容は図8の制御処理と同じであるので、以下、異なる点を中心に説明する。同図に示すように、まず、ステップ170で、上述したクラッチ制御実行済みフラグF_CL_ENDが「1」であるか否かを判別する。
この判別結果がNOで、第1クラッチ5がオン状態になっていないときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ170の判別結果がYESのときには、ステップ171〜174を、図8の前述したステップ80〜83と同様に実行した後、本処理を終了する。
図13に戻り、ステップ133で、現在変速段のニュートラル制御処理を以上のように実行した後、ステップ134に進み、前述した現段ニュートラルフラグF_SYN_NTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、現在変速段がニュートラル状態になっていないときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ134の判別結果がYESのときには、1回目プリシフト制御処理を終了すべきであると判定して、ステップ135に進み、現在変速段値SFT_tmpを、前述したステップ131でインギヤ状態にした目標変速段に対応する値に設定する。
次いで、ステップ136に進み、1回目プリシフト制御処理を実行済みであることを表すために、1回目プリシフト実行済みフラグF_PRE1_ENDを「1」に設定する。
次に、ステップ137で、前述した3つのフラグF_SYN_ON,F_SYN_NT,F_CL_ENDをいずれも「0」に設定した後、本処理を終了する。
図12に戻り、ステップ120で、1回目プリシフト制御処理を以上のように実行した後、ステップ121に進み、上述した1回目プリシフト実行済みフラグF_PRE1_ENDが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、1回目プリシフト制御処理を実行中であるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ121の判別結果がYESで、1回目プリシフト制御処理を実行済みであるときには、ステップ122に進み、前述した2回プリシフト制御フラグF_PRE2が「1」であるか否かを判別する。
この判別結果がNOのときには、2回目プリシフト制御処理を実行する必要がなく、連続ダウン制御処理を終了すべきであると判定して、ステップ124に進み、前述した3つのフラグF_PRE1_END,F_JUD,F_DWN_JUDをいずれも「0」に設定した後、本処理を終了する。
一方、ステップ122の判別結果がYESのときには、ステップ123に進み、2回目プリシフト制御処理を実行する。この2回目プリシフト制御処理は、具体的には、図17に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ180で、目標変速段のインギヤ制御処理を実行する。このステップ180は、前述した図14の制御処理と一部を除いて同様に実行される。具体的には、図14の制御処理において、ステップ141,143を省略し、ステップ140に続けてステップ142を実行した後、ステップ144〜146が実行される。
次に、ステップ181で、クラッチ制御処理を実行する。このステップ181の制御処理は、前述したステップ132の内容と同じであるので、その説明は省略する。
次いで、ステップ182に進み、現在変速段のニュートラル制御処理を実行する。このステップ181の制御処理は、前述したステップ133の内容と同じであるので、その説明は省略する。
ステップ182に続くステップ183で、前述した現段ニュートラルフラグF_SYN_NTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ183の判別結果がYESのときには、2回目プリシフト制御処理が終了したと判定して、ステップ184に進み、前述した6つのフラグF_PRE1_END,F_JUD,F_DWN_JUD,F_SYN_ON,F_SYN_NT,F_CL_ENDをいずれも「0」に設定した後、本処理を終了する。
図12に戻り、ステップ123で、2回目プリシフト制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。以上のように、連続ダウン制御処理は実行される。
次に、図18を参照しながら、エンジン制御処理について説明する。このエンジン制御処理は、以下に述べるように、エンジン3の吸入空気量、燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期を制御するものであり、ECU2によって所定の制御周期で実行される。
同図に示すように、まず、ステップ190で、エンジン回転数NE及びアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、要求トルクTRQを算出する。
次いで、ステップ191に進み、前述したスキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、スキップダウン制御処理の実行中であるときには、ステップ192に進み、前述した現段ニュートラルフラグF_SYN_NTが「1」であるか否かを判別する。
この判別結果がNOで、現在変速段がニュートラル状態になっていないときには、エンジン3の出力を低下すべきであると判定して、以下のステップ193〜195の出力低下用の制御処理を実行する。具体的には、ステップ193で、出力低下用の吸気制御処理を実行する。この吸気制御処理では、エンジン出力が値0まで低下するように、エンジン3のスロットル弁及びEGR弁(いずれも図示せず)の開度が制御される。
次に、ステップ194で、出力低下用の燃料制御処理を実行する。この燃料制御処理では、エンジン出力が値0まで低下するように、燃料噴射弁3bによる燃料の噴射が停止される。
次いで、ステップ195に進み、出力低下用の点火時期制御処理を実行する。この点火時期制御処理では、エンジン出力が値0まで低下するように、点火プラグ3cによる混合気の点火が中止される。その後、本処理を終了する。以上のステップ193〜195を実行することにより、エンジン3はフューエルカット運転状態となる。
一方、ステップ192の判別結果がYESのときには、ステップ196に進み、前述したオフ実行条件フラグF_OFF_DRVが「0」であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのときには、第1回転速度N1を前述した目標第1回転速度N1cmdまで上昇させる必要があると判定して、以下のステップ197〜199の速度上昇用の制御処理を実行する。具体的には、ステップ197で、速度上昇用の吸気制御処理を実行する。この吸気制御処理では、第1回転速度N1を目標第1回転速度N1cmdまで上昇させるべく、エンジン出力を上昇させるように、エンジン3のスロットル弁及びEGR弁の開度が制御される。
次に、ステップ198で、速度上昇用の燃料制御処理を実行する。この燃料制御処理では、第1回転速度N1を目標第1回転速度N1cmdまで上昇させるべく、エンジン出力を上昇させるように、燃料噴射弁3bによる燃料の噴射量及び噴射時期が制御される。
次いで、ステップ199に進み、速度上昇用の点火時期制御処理を実行する。この点火時期制御処理では、第1回転速度N1を目標第1回転速度N1cmdまで上昇させるべく、エンジン出力を上昇させるように、点火プラグ3cによる混合気の点火時期が制御される。その後、本処理を終了する。
一方、前述したステップ191又は196の判別結果がNOのとき、すなわち、スキップダウン制御処理の実行中でないときや、スキップダウン制御処理の実行中において、N1≒N1cmdが成立し、第1クラッチ5をオフにする実行条件が成立したときには、通常用のエンジン制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ200に進み、通常用の吸気制御処理を実行する。この吸気制御処理では、要求トルクTRQや各種のエンジンパラメータ(例えばエンジン水温TW)に応じて、エンジン3のスロットル弁及びEGR弁の開度が制御される。
次に、ステップ201で、通常用の燃料制御処理を実行する。この燃料制御処理では、要求トルクTRQや各種のエンジンパラメータ(例えばエンジン水温TW)に応じて、燃料噴射弁3bによる燃料の噴射量及び噴射時期が制御される。
次いで、ステップ202に進み、通常用の点火時期制御処理を実行する。この点火時期制御処理では、要求トルクTRQや各種のエンジンパラメータ(例えばエンジン水温TW)に応じて、点火プラグ3cによる混合気の点火時期が制御される。その後、本処理を終了する。以上のように、エンジン制御処理は実行される。
次に、図19を参照しながら、モータ制御処理について説明する。このモータ制御処理は、以下に述べるように、モータ4の動作を制御するものであり、ECU2によって所定の制御周期で実行される。
同図に示すように、まず、ステップ210で、前述したスキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、スキップダウン制御処理の実行中であるときには、ステップ211に進み、前述した現段ニュートラルフラグF_SYN_NTが「1」であるか否かを判別する。
この判別結果がNOで、現在変速段がニュートラル状態になっていないときには、ステップ212に進み、出力低下用制御処理を実行する。この制御処理では、モータ出力が値0まで低下するように、モータ4への供給電力が制御される。以上のように、ステップ212を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ211の判別結果がYESのときには、ステップ213に進み、前述したオフ実行条件フラグF_OFF_DRVが「0」であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのときには、第1回転速度N1を前述した目標第1回転速度N1cmdまで上昇させる必要があると判定して、ステップ214に進み、速度上昇用制御処理を実行する。この制御処理では、第1回転速度N1を目標第1回転速度N1cmdまで上昇させるべく、モータ出力を上昇させるように、モータ4への供給電力が制御される。以上のように、ステップ214を実行した後、本処理を終了する。
一方、前述したステップ210又は213の判別結果がNOのとき、すなわち、スキップダウン制御処理の実行中でないときや、スキップダウン制御処理の実行中において、N1≒N1cmdが成立し、第1クラッチ5をオフにする実行条件が成立したときには、通常用制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ215に進み、通常用制御処理を実行する。この通常用制御処理では、車両Vの走行状態、エンジン3の運転状態及びバッテリ(図示せず)の充電状態などに応じて、モータ4への供給電力やモータ4による回生電力などが制御される。以上のように、ステップ215を実行した後、本処理を終了する。以上のように、モータ制御処理は実行される。
なお、以上の図18,19のエンジン制御処理及びモータ制御処理では、前述したスキップダウン制御フラグF_SKIP_DWN=1のときにのみ、出力低下用の制御処理(ステップ193〜195,212)と速度上昇用の制御処理(ステップ197〜199,214)を実行したが、これに加えて、現在変速段値SFT_tmpが偶数で、目標変速段値SFT_cmdが奇数のとき(ステップ52の判別結果がNOのとき)にも、出力低下用の制御処理と速度上昇用の制御処理を実行するように構成してもよい。
次に、図20を参照しながら、以上のように構成された本実施形態の自動変速装置1による制御結果例について説明する。同図は、車両Vが前進5速段でクルーズ走行状態にある場合において、前進3速段へシフトダウンするために、スキップダウン制御処理を実行したときの制御結果例(以下「本制御例」という)を示している。また、同図において破線で示す曲線は、比較のために、特許文献1の制御手法と同様の制御処理を実行したときの制御結果例(以下「比較例」という)である。
同図に示すように、本制御例の場合、前進5速段でクルーズ走行中、時刻t1で、アクセルペダルが踏まれると、アクセル開度APが増大し始める。そして、時刻t2で、SFT_cmd=3となることで、スキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNが「1」に設定され、それにより、スキップダウン制御処理が実行される。
すなわち、目標第1回転速度N1cmdが設定されるとともに、現在変速段のニュートラル制御処理が実行されることで、時刻t2以降、5速シンクロ機構16によって、前進5速段がニュートラル状態になるように、5速駆動ギヤ14と第1入力軸10との連結が解除される。
また、スキップダウン制御フラグF_SKIP_DWNが「1」に設定されたタイミングでは、前述した現段ニュートラルフラグF_SYN_NTが「0」に設定されていることによって、前述したステップ193〜195,212の出力低下用の制御処理が実行される。それにより、時刻t2以降、エンジントルクが値0まで低下する。また、本制御例の場合、モータトルクは、時刻t2よりも前に値0に制御されているので、時刻t2以降も、値0に維持される。
そして、前進5速段がニュートラル状態になったタイミング(時刻t3)で、前述した現段ニュートラルフラグF_SYN_NTが「1」に設定される。それにより、前述したステップ197〜199,214の速度上昇用の制御処理が実行されることによって、エンジントルク及びモータトルクがいずれも上昇するとともに、第1回転速度N1及びエンジン回転数NEが上昇する。
そして、制御の進行に伴い、時刻t4で、第1回転速度N1が前述した目標第1回転速度N1cmdに達すると、オフ実行条件フラグF_OFF_DRVが「1」に設定されることによって、速度上昇用の制御処理が終了し、前述したステップ200〜202,215の通常用の制御処理が実行されるとともに、第1クラッチのオフ制御処理が実行されることで、第1クラッチ5がオフ状態に駆動される。それにより、時刻t4以降、第1クラッチ5の締結力が低下する。
そして、時刻t5で、第1クラッチ5がオフ状態になり、第1クラッチオフ・フラグF_CL1_OFFが「1」に設定されると、目標変速段のインギヤ制御処理が実行される。それにより、3−7速シンクロ機構17によって、前進3速段がインギヤ状態になるように、3速駆動ギヤ13が第1入力軸10に連結される。
そして、時刻t6で、前進3速段がインギヤ状態になり、前述した目標変速段インギヤフラグF_SYN_ONが「1」に設定されると、第1クラッチ5がオン状態に駆動され、それ以降、第1クラッチ5の締結力が上昇する。その後、第1クラッチ5がオン状態になったタイミング(時刻t7)で、各種のフラグが「0」にリセットされ、それにより、スキップダウン制御処理を終了する。本制御例では、以上のようにスキップダウン制御処理が実行される。
これに対して、比較例の場合、F_SKIP_DWN=1となったタイミング(時刻t2)で、第1クラッチ5をオフ状態に駆動した後、第1クラッチ5がオフ状態になったタイミングで、前進5速段がニュートラルになるように5速シンクロ機構16が駆動されるので、前進5速段がニュートラル状態になるタイミングが、本制御例のタイミング(時刻t3)よりも遅いタイミングとなる。
また、比較例の場合、前進5速段がニュートラル状態になったタイミングで、3−7速シンクロ機構17によって、前進3速段がインギヤ状態になるように、3速駆動ギヤ13が第1入力軸10に同期しながら連結され、それに伴い、第1入力軸10の回転が上昇することになる。このようにシンクロ機構による同期連結動作によって、第1入力軸10の回転を上昇させる関係上、第1入力軸10の回転数が前述した目標第1回転速度N1cmdに達するタイミングも、本制御例よりも遅いタイミングとなる。その結果、第1クラッチ5がオン駆動されるタイミングも、本制御例よりも遅いタイミングとなる。
以上のように、比較例の場合、第1クラッチ5がオフされるタイミング、すなわち運転者がトルク抜けを感じ始めるタイミングが本制御例よりも早いタイミングになるとともに、第1クラッチ5がオンされるタイミング、すなわち運転者がトルクの戻りを感じ始めるタイミングが本制御例よりも遅いタイミングとなり、結果的に、運転者が空走感を感じる時間が長くなることが判る。
言い換えれば、本制御例の方が、運転者がトルク抜けを感じ始めるタイミングが比較例よりも遅くなるとともに、トルクの戻りを感じ始めるタイミングが比較例よりも早いタイミングとなることで、空走感を感じる時間を短縮できることが判る。さらに、同じ理由により、前進5速段から前進3速段へシフトダウンするのに要する時間も短縮できることが判る。
以上のように、第1実施形態の自動変速装置1によれば、SFT_cmd<SFT_tmpが成立し、シフトダウン制御処理を実行する場合において、現在変速段値SFT_tmp及び目標変速段値SFT_cmdがいずれも奇数で、クルーズ走行中又は減速走行中のときに、スキップダウン制御処理が実行される。このスキップダウン制御処理では、第1クラッチ5を接続状態に保持した状態で、2つのシンクロ機構16,17のいずれかによって、現在変速段が解除されるので、特許文献1のようにクラッチを遮断してから現在変速段を解除する場合と比べて、第1クラッチ5を遮断する必要がない分、シフトダウン制御処理の所要時間を短縮することができるとともに、空走感やトルク抜け感の発生タイミングを遅らせることができる。
さらに、第1変速段が解除されたときに、第1回転速度N1を目標第1回転速度N1cmdまで上昇させるように、エンジン3及びモータ4が制御されるので、第1回転速度N1が目標第1回転速度N1cmdに達するまでの時間を短縮することができ、それにより、シフトダウン制御処理の所要時間を短縮することができる。
また、第1回転速度N1が目標第1回転速度N1cmdに達したときに、第1クラッチ5が遮断されるとともに、第1クラッチ5が遮断されたときに、2つのシンクロ機構16,17のいずれかによって、目標変速段がインギヤされる。すなわち、目標変速段の変速ギヤと第1入力軸10とが互いに同期している状態で、シンクロ機構16,17のいずれかによって、変速ギヤが第1入力軸10に連結されるので、シンクロ機構16,17のいずれかによる同期連結動作の所要時間を短縮することができ、シフトダウン制御の所要時間をさらに短縮することができる。同じ理由により、空走感やトルク抜け感の解消タイミングを早めることができる。
以上のように、シフトダウン制御の所要時間を短縮することができる。また、空走感やトルク抜け感の発生タイミングを遅らせることができると同時に、その解消タイミングを早めることができることによって、空走感やトルク抜け感の発生期間を短縮することができる。その結果、商品性を向上させることができる。
さらに、第1クラッチ5を接続状態に保持した状態で、シンクロ機構16,17のいずれかによって、現在変速段の解除動作が開始された以降、エンジン3及びモータ4の出力低下制御処理が実行されるので、シンクロ機構16,17のいずれかに作用する負荷を低減することができ、その寿命を延ばすことができる。
これに加えて、シフトダウン制御処理を実行する際、車両Vがクルーズ走行状態及び減速走行状態の一方にあるとき、すなわち、空走感やトルク抜け感が発生しにくい状態にあるときに、スキップダウン制御処理が実行されるので、スキップダウン制御処理の実行中、空走感やトルク抜け感の発生をさらに抑制することができる。それにより、商品性をより一層、向上させることができる。
なお、第1実施形態は、スキップダウン制御処理の実行中、第1回転速度N1を目標回転速度N1cmdまで上昇させるために、エンジン3及びモータ4の双方の出力を上昇させるように制御した例であるが、エンジン3を制御することなく、モータ4の出力のみを、第1回転速度N1を目標回転速度N1cmdまで上昇させるように制御してもよい。
また、第1実施形態は、本発明の自動変速装置1を車両Vに適用した例であるが、本発明の自動変速装置は、これに限らず、内燃機関及び電動機を備えた船舶などの他の産業機器にも適用可能である。例えば、本発明の自動変速装置を船舶に適用した場合には、スクリューが被駆動部に相当する。
さらに、第1実施形態は、1本の出力軸30を、第1出力軸及び第2出力軸として共用した例であるが、例えば、2本以上の出力軸を設け、これらのうちの1本を第1出力軸、これらのうちの他の一本を第2出力軸として用いてもよい。
また、第1実施形態は、設定されている第1変速段の解除動作の開始以降、内燃機関及び電動機の出力を上昇しないように制御する手法として、内燃機関及び電動機の出力を低下させる制御手法を用いたが、これに代えて、設定されている第1変速段の解除動作の開始以降、内燃機関及び電動機の出力を開始時点の値に保持するように制御してもよい。
次に、図21を参照しながら、第2実施形態に係る自動変速装置1Aについて説明する。同図に示すように、この自動変速装置1Aの場合、その一部を除いて、第1実施形態の自動変速装置1と同様に構成されているので、以下、同じ構成については、同じ符号を付し、その説明は適宜、省略するとともに、異なる点を中心にして説明する。
この自動変速装置1Aは、シングルクラッチタイプのものであり、前述した第1クラッチ5と、第1入力軸10及び出力軸30などを備えている。この自動変速装置1Aの場合、第1入力軸10の一端部がモータ4の回転軸4aに同心に直結されている。
この第1入力軸10上には、エンジン3側からモータ4側に向かって、1速駆動ギヤ81、入力ギヤ12A、2速駆動ギヤ82、3速駆動ギヤ83、3−4速シンクロ機構86、4速駆動ギヤ84、5速駆動ギヤ85及び前述した5速シンクロ機構16が設けられている。これらの要素12A,14,16,81〜85は、第1入力軸10と同心に配置されている。
この1速駆動ギヤ81は、第1入力軸10に固定されており、出力軸30の後述する1速従動ギヤ91(第1変速ギヤ)に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ81,91(第1変速ギヤ列)によって、前進1速段が構成されている。
また、入力ギヤ12Aも、第1入力軸10に固定されており、後述するリバースギヤ42Aと噛み合ったときに、後進段を構成するようになっている。
さらに、2速駆動ギヤ82も、第1入力軸10に固定されており、出力軸30の後述する2速従動ギヤ92(第1変速ギヤ)に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ82,92(第1変速ギヤ列)によって、前進2速段が構成されている。
一方、3速駆動ギヤ83(第1変速ギヤ)は、第1入力軸10上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する3速従動ギヤ93に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ83,93(第1変速ギヤ列)によって、前進3速段が構成されている。
また、4速駆動ギヤ84(第1変速ギヤ)も、第1入力軸10上に回転自在に設けられており、出力軸40の後述する4速従動ギヤ94に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ84,94(第1変速ギヤ列)によって、前進4速段が構成されている。
さらに、3−4速シンクロ機構86(第1シンクロ機構)は、図示しない3−4速シフトフォークを介して、3−4速アクチュエータ55A(図22参照)に連結されており、この3−4速アクチュエータ55Aは、ECU2に電気的に接続されている。これらの3−4速シンクロ機構86及び3−4速アクチュエータ55Aはそれぞれ、前述したシンクロ機構16及びアクチュエータ53と同様に構成されており、以下に述べるように、ECU2によって3−4速アクチュエータ55Aが制御されることにより、3−4速シンクロ機構86の動作が制御される。
すなわち、ECU2によって制御されることにより、3−4速アクチュエータ55Aは、3−4速シフトフォークを、3速位置、中立位置及び4速位置の3つの位置の間で、第1入力軸10の軸線方向に駆動する。この場合、3−4速シフトフォークが3速位置に駆動されたときには、3−4速シンクロ機構86によって、3速駆動ギヤ83が第1入力軸10に連結され、それにより、3速駆動ギヤ83が第1入力軸10と一体に回転する。すなわち、前進3速段がインギヤ状態になる。
また、3−4速シフトフォークが4速位置に駆動されたときには、3−4速シンクロ機構86によって、4速駆動ギヤ85が第1入力軸10に連結され、それにより、4速駆動ギヤ85が第1入力軸10と一体に回転する。すなわち、前進4速段がインギヤ状態になる。さらに、3−4速シフトフォークが中立位置にあるときには、3−4速シンクロ機構86によって、3速駆動ギヤ83及び4速駆動ギヤ85は、第1入力軸10に連結されることなく、これに対して回転自在に保持される。すなわち、前進3速段及び前進4速段がニュートラル状態に保持される。
また、3−4速シフトフォークの近傍には、3−4速位置センサ67Aが設けられている。この3−4速位置センサ67Aは、前述した5速位置センサ65と同じタイプのものであり、3−4速シフトフォークの位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この3−4速位置センサ67Aの検出信号に基づき、3−4速シフトフォークの位置を判定するとともに、3−4速シンクロ機構86によって、3速駆動ギヤ83又は4速駆動ギヤ85が第1入力軸10に連結されたか否かなどを判定する。すなわち、前進3速段及び前進4速段がインギヤ状態にあるか、又はニュートラル状態にあるかなどを判定する。
さらに、5速駆動ギヤ85(第1変速ギヤ)は、第1入力軸10上に回転自在に設けられており、出力軸30の後述する5速従動ギヤ95に常に噛み合っているとともに、これらのギヤ85,95(第1変速ギヤ列)によって、前進5速段が構成されている。
一方、出力軸30には、エンジン3側からモータ4側に向かって順に、前述した出力ギヤ34、1速従動ギヤ91、1−2速シンクロ機構96、2速従動ギヤ92、3速従動ギヤ93、4速従動ギヤ94及び5速従動ギヤ95が配置されている。これらの要素34,91〜96は、出力軸30に同心に配置されている。
また、5つの従動ギヤ91〜95はそれぞれ、前述した5つの駆動ギヤ81〜85にそれぞれ噛み合っている。さらに、1速従動ギヤ91及び2速従動ギヤ92は、出力軸30上に回転自在に配置されており、3〜5速従動ギヤ93〜95は、出力軸30に固定されている。
さらに、1−2速シンクロ機構96(第1シンクロ機構)は、図示しない1−2速シフトフォークを介して、1−2速アクチュエータ54A(図22参照)に連結されており、この1−2速アクチュエータ54Aは、ECU2に電気的に接続されている。これらの1−2速シンクロ機構96及び1−2速アクチュエータ54Aはそれぞれ、前述したシンクロ機構16及びアクチュエータ53と同様に構成されており、以下に述べるように、ECU2によって1−2速アクチュエータ54Aが制御されることにより、1−2速シンクロ機構96の動作が制御される。
すなわち、ECU2によって制御されることにより、1−2速アクチュエータ54Aは、1−2速シフトフォークを、1速位置、中立位置及び2速位置の3つの位置の間で、出力軸30の軸線方向に駆動する。この場合、1−2速シフトフォークが1速位置に駆動されたときには、1−2速シンクロ機構96によって、1速従動ギヤ91が出力軸30に連結され、それにより、1速従動ギヤ91が出力軸30と一体に回転する。すなわち、前進1速段がインギヤ状態になる。
また、1−2速シフトフォークが2速位置に駆動されたときには、1−2速シンクロ機構96によって、2速従動ギヤ92が出力軸30に連結され、それにより、2速従動ギヤ92が出力軸30と一体に回転する。すなわち、前進2速段がインギヤ状態になる。さらに、1−2速シフトフォークが中立位置にあるときには、1−2速シンクロ機構96によって、1速従動ギヤ91及び2速従動ギヤ92は、出力軸30に連結されることなく、これに対して回転自在に保持される。すなわち、前進1速段及び前進2速段がニュートラル状態に保持される。さらに、この1−2速シンクロ機構96のシンクロスリーブ96aの外周面には、ギヤ(図示せず)が周方向に沿って形成されている。
一方、1−2速シフトフォークの近傍には、1−2速位置センサ66Aが設けられている。この1−2速位置センサ66Aは、前述した位置センサ65と同じタイプのものであり、1−2速シフトフォークの位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この1−2速位置センサ66Aの検出信号に基づき、1−2速シフトフォークの位置を判定するとともに、1−2速シンクロ機構96によって、1速従動ギヤ91又は2速従動ギヤ92が出力軸30に連結されたか否かなどを判定する。すなわち、前進1速段及び前進2速段がインギヤ状態にあるか、又はニュートラル状態にあるかなどを判定する。
また、リバース軸40は、軸線方向に移動自在にミッションケース(図示せず)に支持されており、このリバース軸40には、リバースギヤ42Aが固定されている。このリバースギヤ42Aは、リバース・アクチュエータ58A(図22参照)に連結されている。このリバース・アクチュエータ58Aは、前述したアクチュエータ53と同様に構成されており、ECU2に電気的に接続されている。
ECU2によって制御されることにより、リバース・アクチュエータ58Aは、リバース軸40及びリバースギヤ42Aを、図21に実線で示す中立位置と、図21に破線で示すリバース位置との間で駆動する。その場合、リバースギヤ42Aがリバース位置に駆動されたときには、同図に破線で示すように、リバースギヤ42Aが前述した入力ギヤ12Aと噛み合う状態となると同時に、図示しないが、前述した1−2速シンクロ機構96のシンクロスリーブ96aのギヤに噛み合う状態となる。それにより、第1入力軸10が、リバースギヤ42A及び1−2速シンクロ機構96を介して出力軸30に連結されることで、第1入力軸10の回転が出力軸30に伝達可能になる。
さらに、リバース軸40の近傍には、リバース位置センサ70Aが設けられている。このリバース位置センサ70Aは、前述した5速位置センサ65などと同じタイプのものであり、リバース軸40の位置を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このリバース位置センサ70Aの検出信号に基づき、リバースギヤ42Aの位置を判定する。
以上のように構成された自動変速装置1Aでは、ECU2によって、変速制御処理、エンジン制御処理及びモータ制御処理が実行される。その場合、エンジン制御処理及びモータ制御処理は、前述した図18,19と同一の内容で実行され、変速制御処理は、シフトダウン制御処理以外は、図3の制御処理と同一の内容で実行されるので、以下、シフトダウン制御処理についてのみ説明する。
このシフトダウン制御処理は、図23に示すように実行される。この図23と前述した図7を比較すると明らかなように、図23におけるステップ300〜306の内容は、図7のステップ70〜76と同一である。すなわち、図23の制御処理は図7の制御処理と同一に構成されているので、その説明を省略する。
以上のように、第2実施形態の自動変速装置1Aによれば、シフトダウン制御処理が第1実施形態の図7の制御処理と同一に構成されているので、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
すなわち、シフトダウン制御の所要時間を短縮することができる。また、空走感やトルク抜け感の発生タイミングを遅らせることができると同時に、その解消タイミングを早めることができることによって、空走感やトルク抜け感の発生期間を短縮することができる。その結果、商品性を向上させることができる。
また、第1クラッチ5を接続状態に保持した状態で、シンクロ機構16,86,96のいずれかによって、現在変速段の解除動作が開始された以降、エンジン3及びモータ4の出力低下制御処理が実行されるので、シンクロ機構16,86,96のいずれかに作用する負荷を低減することができ、その寿命を延ばすことができる。