以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下に説明する実施の形態及び実施例において、同一部分又は同様の機能を有する部分には、同一の符号又は同一のハッチパターンを異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
また、本明細書にて用いる第1、第2、第3などの用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。
「ソース」や「ドレイン」の機能は、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
本明細書において、フォトリソグラフィ工程を行った後にエッチング工程を行う場合は、フォトリソグラフィ工程で形成したマスクは除去するものとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置の作製方法、及び当該作製方法によって作製される半導体装置について図面を参照して説明する。ここでは、半導体装置をトランジスタとして説明する。
図1(A)及び図1(B)に、トランジスタ100の上面図及び断面図を示す。図1(A)はトランジスタ100の上面図であり、図1(B)は、図1(A)の一点鎖線A−B間の断面図である。なお、図1(A)では、明瞭化のため、トランジスタ100の構成要素の一部(例えば、基板101、下地絶縁膜103、及びゲート絶縁膜113など)を省略している。
図1(A)及び図1(B)より、トランジスタ100は、基板101上に下地絶縁膜103が設けられており、下地絶縁膜103上に酸化物半導体膜105が設けられており、酸化物半導体膜105上にゲート絶縁膜113が設けられており、ゲート絶縁膜113上の酸化物半導体膜105と重畳する領域にゲート電極117が設けられており、下地絶縁膜103、酸化物半導体膜105の一部、ゲート絶縁膜113、及びゲート電極117に接する保護絶縁膜121が設けられており、保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123が設けられており、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123に形成された開口125a、125bに、酸化物半導体膜105に接するソース電極127a及びドレイン電極127bが設けられている。なお、下地絶縁膜103及び層間絶縁膜123は設けなくてもよい。
トランジスタ100は、ゲート電極117が酸化物半導体膜105の上方に設けられており、トップゲート構造のトランジスタである。
酸化物半導体膜105はチャネル形成領域と、ソース領域及びドレイン領域とを有する。
本発明の一態様は、ゲート絶縁膜113(詳細にはゲート絶縁膜113に加工される絶縁膜)を、酸化物半導体膜に含まれる酸素の脱離を抑制するように、好ましくは酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離しないように形成することである。本発明の他の一態様は、マイクロ波を用いたプラズマCVD法で当該絶縁膜を形成し、当該絶縁膜を加工してゲート絶縁膜113を形成することである。マイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した絶縁膜は緻密な膜となることから、ゲート絶縁膜113は緻密な膜である。そのため、ゲート絶縁膜113を形成した後のトランジスタ100の作製工程において、酸化物半導体膜105(特にチャネル形成領域)に含まれる酸素がゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる。これにより、ゲート絶縁膜113の形成工程で酸素欠損が生じることを抑制することができ、良好な電気特性を有するトランジスタ100を作製することができる。
ゲート絶縁膜113は、5nm以上300nm以下とする。また、トランジスタの微細化、又はオン電流及び電界効果移動度を向上させるために、ゲート絶縁膜113は薄く形成することが好ましい。例えば、5nm以上50nm以下とすることが好ましく、10nm以上30nm以下とすることがさらに好ましい。
例えば、ゲート絶縁膜113を薄く形成した場合(例えば20nm以下)であっても、ゲート絶縁膜113を形成した後のトランジスタ100の作製工程において、ゲート絶縁膜113は、酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離し、ゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる。上記より、トランジスタ100は良好な電気特性を有する。
ここで、ゲート絶縁膜113に加工される絶縁膜を酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離しないように形成する方法について、図2、図3、及び図4を参照して説明する。
図2に示す構成は、トランジスタ100の作製工程において、基板101上に下地絶縁膜103を形成し、酸化物半導体膜105を形成した後、絶縁膜156を形成する工程である。
絶縁膜156は酸素を有する絶縁膜を用いて形成することができる。例えば、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、若しくは酸化アルミニウムなどの酸化絶縁膜、又は、窒化シリコン、若しくは窒化アルミニウムなどの窒化絶縁膜、又は、酸化窒化シリコン、若しくは酸化窒化アルミニウムなどの酸化窒化絶縁膜、又は、窒化酸化シリコンなどの窒化酸化絶縁膜から選ばれた一の絶縁膜、又は、複数が積層された絶縁膜で形成できる。なお、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものをいい、「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものをいう。
絶縁膜156を酸化物半導体膜105に含まれる酸素の脱離を抑制するように、さらに好ましくは酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離しないように形成するためには、酸化物半導体膜105から酸素の脱離を抑制する温度で、さらに好ましくは酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で絶縁膜156を形成することである。
具体的には、酸化物半導体膜105が形成されている被形成物(基板101)を200℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上350℃以下に加熱保持して形成することである。なお、以下の明細書において、「酸素の脱離を抑制する温度」という文言は、「酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度より低い温度」として説明する。
さらに、酸化物半導体膜105から酸素が脱離しないように絶縁膜156を形成するには、プラズマCVD法を用いて形成することができ、特にマイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成することが好ましい。
また、絶縁膜156を形成した後、連続して絶縁膜156を、酸素雰囲気、窒素雰囲気下、又は酸素及び窒素を含む雰囲気下で発生させたプラズマに曝すことが好ましい。例えば、絶縁膜156として酸化絶縁膜又は酸化窒化絶縁膜を形成した後、同一の処理室に酸素又は一酸化二窒素を導入してプラズマを発生させることが好ましい。又は、絶縁膜156として窒化絶縁膜又は窒化酸化絶縁膜を形成した後、窒素又は一酸化二窒素を導入してプラズマを発生させることが好ましい。このようにすることで、形成した絶縁膜156中に含まれる欠陥を酸素又は窒素で終端させることができ、より緻密で欠陥が低減された絶縁膜156を形成することができる。
また、酸素雰囲気下でプラズマを発生させることで、絶縁膜156から酸化物半導体膜105に酸素を供給することができ、酸化物半導体膜105中の酸素欠損を修復することができる。
上記によって、より緻密で欠陥が低減したゲート絶縁膜を形成することができ、良好な電気特性を有するトランジスタ100を作製することができる。
なお、絶縁膜156を形成する前において、絶縁膜156の被形成物に上記プラズマを曝した後、連続して絶縁膜156を形成してもよい。特に、酸素雰囲気下でプラズマを発生させることで、酸化物半導体膜105がプラズマに曝されることになり、酸化物半導体膜105に酸素が供給され、酸化物半導体膜105中の酸素欠損を修復することができる。
ここで、マイクロ波を用いたプラズマCVD法、及び当該方法を行うことができる処理装置について、図面を参照して説明する。
なお、本明細書において、マイクロ波とは300MHz〜300GHzの周波数域を指す。このため、HF帯、即ち周波数が3MHzから30MHz、代表的には13.56MHzの周波数域、VHF帯、即ち周波数が30MHz〜300MHz、代表的には60MHzの周波数域と比較して、マイクロ波は電波の振動回数が格段に多く、高速に電界方向が反転する。このため、電子が連続して一方向に加速されず、電子温度が低く、電子エネルギーが小さい。また、供給された電力において、電子の加速に用いられる割合が少なく、より多くの分子の解離及び電離に用いられることが可能であり、密度の高いプラズマ(高密度プラズマ)を励起することができる。
高密度プラズマは、電子密度が1011cm−3以上かつ電子温度が0.2eV以上2.0eV以下であるものを用いることが好ましい。13.56MHz等のRF帯の周波数を用いて発生させたプラズマにおける電子温度は3eV以上と高いため、被成膜面に対するプラズマダメージが大きく、欠陥が発生してしまう。しかしながら、マイクロ波を用いて発生させたプラズマにおける電子温度は上記したように低いため、被成膜面及び堆積物へのプラズマダメージが少ない。この結果、欠陥の少ない膜を形成することができる。
ここで、図3及び図4を用いて、マイクロ波プラズマCVD装置の処理室の構成について詳細に説明する。図3及び図4は、誘電体表面を伝搬する表面波を利用したマイクロ波プラズマCVD装置の処理室の断面図である。
マイクロ波プラズマCVD装置の処理室501には、基板503を配置するための搭載台505、処理室501内のガスを排気するための排気手段507、プラズマ発生用のマイクロ波を供給するマイクロ波発生装置509、マイクロ波発生装置509からマイクロ波を処理室501に導入する導波管511、導波管511に接し且つ開口部513aを有する天板513、取り付け具で天板513に設けられた複数の誘電体板515が設けられる。なお、複数の誘電体板515の間に複数の部材520(梁ともいう。)が設けられる。基板503と誘電体板515とは対向して設けられている。また、排気手段507には、低真空排気用のドライポンプと高真空排気用のターボ分子ポンプとを用いることができる。
基板503及び誘電体板515の間に、非原料ガスを流すガス管517、及び原料ガスを流すガス管519が設けられる。非原料ガスを流すガス管517は、精製機521を介して非原料ガス供給源523に接続される。また、原料ガスを流すガス管519は、精製機525を介して原料ガス供給源527に接続される。精製機521、525を設けることで、非原料ガス及び原料ガスに含まれる不純物を除去し、高純度化させることができる。なお、精製機521及び非原料ガス供給源523、並びに精製機525及び原料ガス供給源527の間にはそれぞれ、バルブ及びマスフローコントローラが設けられる。
搭載台505には、ヒータコントローラ529により温度制御される基板加熱ヒータ531を設けることによって、基板503の温度を制御することができる。また、搭載台505に高周波電源を接続し、高周波電源から出力された交流の電力により、搭載台505に所定のバイアス電圧を印加する構成としてもよい。
マイクロ波発生装置509は処理室501内にマイクロ波を供給する。なお、マイクロ波発生装置509を複数設けることで、大面積なプラズマを安定に生成することが可能である。なお、マイクロ波発生装置509は処理室501の外に設けることが好ましい。
処理室501及び天板513は、表面がアルミナ、酸化シリコン、フッ素樹脂のいずれかの絶縁膜で覆われた導電体、例えば銅板、ニッケル板、ステンレス板、アルミニウム板等で形成される。また、取り付け具は金属、例えばアルミニウムを含む合金で形成される。
誘電体板515は、天板513の開口部513aに密着するように設けられる。マイクロ波発生装置509で発生したマイクロ波が導波管511及び天板513の開口部513aを経て、誘電体板515に伝播し、誘電体板515を透過して処理容器内に放出される。
また、誘電体板515を複数設けることで、均一な大面積のプラズマの発生及び維持が可能である。誘電体板515は、サファイア、石英ガラス、アルミナ、酸化シリコン、窒化シリコン等のセラミックスで形成される。なお、誘電体板515は、プラズマ発生側に窪み515aが形成されてもよい。当該窪み515aにより、安定したプラズマを生成することができる。
ガス管517、519は、上側の非原料ガスを流す複数のガス管517と、下側の原料ガスを流す複数のガス管519が交差して設けられており、非原料ガスを流すガス管517の吹出し口が誘電体板515側に設けられ、原料ガスを流すガス管519の吹出し口が基板503側に設けられる。複数のガス管517と複数のガス管519とを交差して設けることにより、それぞれのガス管の間隔を狭く配置することができ、吹出し口の間隔を狭くすることができる。
ここでは、非原料ガスが誘電体板515に向けて噴出される。処理室501内に放出されたマイクロ波の電界エネルギーにより、誘電体板515表面において、非原料ガスが励起されてプラズマが発生する(プラズマ励起するともいう。)。プラズマ励起した非原料ガスは基板503側に移動する際に、ガス管519から噴出された原料ガスと反応し、原料ガスを励起させる。励起された原料ガスが基板503上で反応して堆積物が形成される。プラズマは誘電体板515表面で発生し、基板503まで広がらないため、基板503へのダメージが低減され、緻密な堆積物が形成される。また、基板503により近い位置に設けられるガス管519から原料ガスが基板503に向けて噴出されるため、成膜速度を高めることができる。ただし、原料ガスの一部を上側のガス管517に流すことも可能である。また、ガス管517近傍には原料ガスが供給されないため、パーティクル発生、及び処理室501内壁への堆積物の付着を抑制することが可能である。
なお、図3に示す非原料ガスを流す複数のガス管517の代わりに、誘電体板515の間に設けられた部材520(梁ともいう。)の表面に非原料ガスを流す複数のガス管を設けてもよい。この場合、ガス吹出し口は基板503を向いている。このような構造とすることで、ガス管517から噴出された非原料ガスが、ガス管519から噴出された原料ガスを誘電体板515側に吹き上げることがないため、パーティクルの発生を抑制することができる。
ガス管517、519は、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックスで形成される。セラミックスはマイクロ波の透過率が高いため、誘電体板515の直下にガス管を設けても、電界の乱れが生じずプラズマの分布を均一にすることができる。
次に、図3とは異なるマイクロ波プラズマCVD装置の処理室について、図4を用いて説明する。なお、図3と重複する構成は同じ符号を付して説明を省略する。
マイクロ波プラズマCVD装置の処理室532には、基板503を配置するための搭載台505、処理室532内のガスを排気するための排気手段507、誘電体板533、平面アンテナ535、シャワー板537が設けられる。
誘電体板533は、真空中におけるマイクロ波の波長を制御するために設けられる。誘電体板533は、サファイア、石英ガラス、アルミナ、酸化シリコン、窒化シリコン等のセラミックスで形成される。
プラズマ発生用のマイクロ波を供給するマイクロ波発生装置509、マイクロ波発生装置509からマイクロ波を処理室532に導入する同軸導波管541を有する。同軸導波管541にはマイクロ波発生装置509に接続する軸部543が設けられている。軸部543は、平面アンテナ535の中心に接続されている。このような構造により、同軸導波管541の軸部543を介して平面アンテナ535へマイクロ波を放射状に、且つ均一に伝播させることができる。また、平面アンテナ535を有することで、安定な大面積のプラズマを生成することが可能である。
また、平面アンテナ535は基板503と対向して設けられている。なお、平面アンテナ535には、マイクロ波を放射する複数の溝(スロット)が同心円状に形成されている。このような平面アンテナをラジアルラインスロットアンテナという。なお、複数の溝(スロット)の位置や長さは、マイクロ波発生装置509より伝送されたマイクロ波の波長に応じて適宜選択する。平面アンテナ535は、表面が金又は銀メッキされた銅板、ニッケル板、ステンレス板、又はアルミニウム板で構成されている。
また、平面アンテナ535に接するように、非原料ガスを流すシャワー板537が設けられ、基板503及びシャワー板537の間に、原料ガスを流すガス管539が設けられる。非原料ガスを流すシャワー板537は、精製機521を介して非原料ガス供給源523に接続される。また、原料ガスを流すガス管539は、精製機525を介して原料ガス供給源527に接続される。シャワー板537にはガスを流す孔が複数形成されている。シャワー板の孔の直径を50μm以下、長さを5mm以上とすることで、シャワー板537内のガス流路の圧力を高くすることが可能であり、異常放電を抑制することができる。
また、図3に示す処理室501と同様に、プラズマが発生する平面アンテナ535近傍に非原料ガスを流すシャワー板537を設けることで、処理室501内に放出されたマイクロ波の電界エネルギーにより、平面アンテナ535及びシャワー板537近傍において非原料ガスがプラズマ励起する。プラズマ励起した非原料ガスは基板503側に移動する際に、ガス管539から噴出された原料ガスと反応し、原料ガスを励起させる。励起された原料ガスが基板503上で反応して堆積物が形成される。プラズマは、基板503まで広がらないため、基板503へのダメージが低減され、緻密な堆積物が形成される。また、基板503により近い位置に設けられるガス管539から原料ガスが基板503に向けて噴出されるため、成膜速度を高めることができる。ただし、原料ガスの一部を上側のシャワー板537に流すことも可能である。また、平面アンテナ535近傍には原料ガスが供給されないため、パーティクル発生、及び処理室532内壁への堆積物の付着を抑制することが可能である。
シャワー板537及びガス管539は、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックスで形成される。なお、ガス管539の代わりにシャワー板を用いてもよい。
なお、図4に示すマイクロ波プラズマCVD装置の処理室において、平面アンテナ535の基板側にマイクロ波を伝搬するための誘電体板を設け、該誘電体板の基板側に金属板を設けることで、マイクロ波の伝搬形態が金属表面波であるマイクロ波プラズマCVD装置の処理室となる。
マイクロ波を伝搬するための誘電体板は、誘電体板533と同様の材料を適宜用いることができる。
該誘電体板の基板側に設けられる金属板は、平面アンテナ535と同様の材料を適宜用いることができる。
誘電体板及び金属板にガス流路として機能する溝を設け、当該溝に非原料ガス及び原料ガスを導入することで、金属板の表面でプラズマ励起させることが可能である。また、図4に示すように、誘電体板及び金属板の溝に非原料ガスを導入し、基板503側に原料ガスを導入するガス管を設けることで、金属板の表面でプラズマ励起させると共に、パーティクルの発生を抑制することができる。なお、金属板の表面には、プラズマによる腐食を防ぐため、厚さ300nm以上500nm以下の不動態膜を設けることが好ましい。
マイクロ波発生装置509から、896MHz、915MHz、922MHz等のマイクロ波を処理室に供給することで、金属板表面に金属表面波が伝搬する。この結果、エネルギーが均一で、安定したプラズマを発生させることができる。
以上が、マイクロ波を用いたプラズマCVD法、及び当該プラズマCVD法を行うことができる処理装置についての説明である。
以下、トランジスタ100の作製方法について、図面を参照して説明する。
基板101上に下地絶縁膜103を形成し、下地絶縁膜103上に酸化物半導体膜154を形成する(図5(A)参照)。
基板101に大きな制限はないが、絶縁表面を有することが好ましく、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが好ましい。また、トランジスタの作製工程における熱処理などで生じる基板の縮みによって微細な加工が困難になる場合があるため、基板101は縮みの少ない(シュリンク量が少ない)基板を用いることが好ましい。
下地絶縁膜103は絶縁膜156に適用できる材料を用いて形成することができる。
下地絶縁膜103は、CVD法又はスパッタリング法などの物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法で形成することができる。なお、下地絶縁膜103の厚さは5nm以上3000nm以下とすることができる。
また、トランジスタ100の作製にとってLiやNaなどのアルカリ金属は、不純物であり、後に形成する酸化物半導体膜105に拡散することで電気特性の不良に繋がる場合がある。そのため、下地絶縁膜103は基板101に接して設けた窒化絶縁膜上に設けることが好ましい。なお、当該窒化絶縁膜としては、窒化シリコン、又は窒化アルミニウムなどが挙げられ、CVD法又はPVD法などを用いて形成することができる。
酸化物半導体膜154は、スパッタリング法などのPVD法を用いて形成することができる。
次に、酸化物半導体膜154にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い、酸化物半導体膜105を形成する(図5(B)参照)。
次に、酸化物半導体膜105上に絶縁膜156を形成し(図2参照)、絶縁膜156上に導電膜157を形成する(図5(C)参照)。
絶縁膜156は、上記したように酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離しないように形成する。絶縁膜156は後の工程でゲート絶縁膜113に加工されるため、ゲート絶縁膜113に適用できる厚さで形成する。導電膜157は、特に限定はなく、導電性を有する材料を用いて、CVD法又はPVD法で形成することができる。
次に、導電膜157にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行ってゲート電極117を形成し、絶縁膜156の一部を除去してゲート絶縁膜113を形成する(図6(A)参照)。
なお、ゲート電極117は、その端部がテーパ形状となるように形成することで、この工程の後に形成される膜が段切れすることを抑制できる。テーパ形状は、該レジストマスクを後退させつつエッチングすることで形成することができる。
次に、ゲート絶縁膜113及びゲート電極117上に、保護絶縁膜121を形成し、保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123を形成する。(図6(B)参照)。
保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123は、下地絶縁膜103に適用できる絶縁膜を用いて、CVD法又はPVD法で形成することができる。
なお、トランジスタ100の作製工程において、少なくとも保護絶縁膜121を形成した後に、熱処理を行うことが好ましい。例えば当該熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、又は基板101の歪み点未満とする。そして、熱処理は減圧下、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス雰囲気下などで行うことができる。例えば、熱処理装置の一つである電気炉に基板101を導入し、酸化物半導体膜105に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の熱処理を行うことが好ましい。
次に、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123に、酸化物半導体膜105に達する開口125a、125bを形成する(図6(C)参照)。そして、開口125a、125bに導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって、ソース電極127a及びドレイン電極127bを形成する(図1(B)参照)。なお、ソース電極127a又はドレイン電極127bは、それぞれソース配線又はドレイン配線としても機能する。当該導電膜は、ゲート電極117に加工される導電膜157と同様にして形成すればよい。
また、トランジスタ100の作製方法において、ゲート電極117を形成し、ゲート絶縁膜113を形成する前に、ゲート電極117をマスクとしてドーパントを酸化物半導体膜105に注入することで、酸化物半導体膜105に低抵抗領域を形成することができる。このようにドーパントを注入することで、酸化物半導体膜105をゲート電極117と重畳する第1の領域122、及び第1の領域122を介して対向する一対の第2の領域128a、128bを有する酸化物半導体膜120にすることができる。図7(A)に、酸化物半導体膜120を有するトランジスタの平面図、図7(B)に図7(A)の一点鎖線A−B間の断面図を示す。
図7(A)、(B)に示したトランジスタにおいて、第1の領域122はドーパントを含んでいない領域であり、チャネル形成領域として機能し、一対の第2の領域128a、128bはドーパントを含む領域であり、ソース領域及びドレイン領域として機能する。一対の第2の領域128a、128bのように酸化物半導体膜においてソース電極及びドレイン電極と接する領域の抵抗を低減することで、ソース電極127a及びドレイン電極127bとの接触抵抗を低減することができ、トランジスタのオン電流及び電界効果移動度を向上させることができる。
酸化物半導体膜105に注入することができるドーパントは、ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、リン、ヒ素、インジウム、スズ、アンチモン及び希ガス元素から選ばれた一種以上の元素を用いることができ、イオンインプランテーション法又はイオンドーピング法を用いて酸化物半導体膜105に注入することができる。
以上より、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、マイクロ波を用いたプラズマCVD法でゲート絶縁膜(詳細にはゲート絶縁膜に加工される絶縁膜)を、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で形成することで、ゲート絶縁膜の形成工程で酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離し、酸素欠損が生じることを抑制することができる。このようにすることで、少なくとも、しきい値電圧のマイナス方向への変動が抑制され、ノーマリーオン特性が改善されたトランジスタを作製することができる。また、マイクロ波を用いたプラズマCVD法でゲート絶縁膜(詳細にはゲート絶縁膜に加工される絶縁膜)を、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で形成することで、緻密なゲート絶縁膜を形成することが可能である。このため、トランジスタのチャネル長を100nm以下、例えば30nmにまで微細化することができ、また、ゲート絶縁膜の厚さを数十nmと薄くすることが可能であり、このような場合であってもオフ電流を数十zA/μm以下、さらには数百yA/μm以下とすることが可能である。
なお、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した半導体装置とは構造が一部異なる半導体装置、及び当該半導体装置の作製方法を説明する。本実施の形態においても、半導体装置をトランジスタとして説明する。
図8(A)及び図8(B)に、トランジスタ200の上面図及び断面図を示す。図8(A)はトランジスタ200の上面図であり、図8(B)は、図8(A)の一点鎖線A−B間の断面図である。なお、図8(A)では、明瞭化のため、トランジスタ200の構成要素の一部(例えば、基板101、下地絶縁膜103、及びゲート絶縁膜113など)を省略している。
図8(A)及び図8(B)より、トランジスタ200は、基板101上に下地絶縁膜103が設けられており、下地絶縁膜103上に酸化物半導体膜130が設けられており、酸化物半導体膜130上にゲート絶縁膜113が設けられており、ゲート絶縁膜113上の酸化物半導体膜130と重畳する領域にゲート電極117が設けられており、ゲート絶縁膜113及びゲート電極117に接するサイドウォール絶縁膜119が設けられており、下地絶縁膜103、酸化物半導体膜130の一部、ゲート絶縁膜113、ゲート電極117及びサイドウォール絶縁膜119に接する保護絶縁膜121が設けられており、保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123が設けられており、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123に形成された開口125a、125bに、酸化物半導体膜130に接するソース電極127a及びドレイン電極127bが設けられている。なお、下地絶縁膜103及び層間絶縁膜123は設けなくてもよい。
トランジスタ200は、ゲート電極117が酸化物半導体膜130の上方に設けられており、トップゲート構造のトランジスタである。
酸化物半導体膜130は、第1の領域132と、第1の領域132を介して対向する一対の第2の領域134a、134bと、第1の領域132及び一対の第2の領域134a、134bのそれぞれ間に第1の領域132を介して対向する一対の第3の領域136a、136bと、を有する。
酸化物半導体膜130において、第1の領域132はドーパントを含まない領域であり、一対の第2の領域134a、134b及び一対の第3の領域136a、136bは、ドーパントを含む領域である。そして、一対の第2の領域134a、134b及び一対の第3の領域136a、136bの抵抗は、第1の領域132の抵抗よりも低く、一対の第2の領域134a、134bの抵抗は、一対の第3の領域136a、136bの抵抗よりも低い。従って、ゲート電極117と重畳する第1の領域132は、チャネル形成領域として機能し、一対の第2の領域134a、134bは、ソース領域又はドレイン領域として機能する。
トランジスタ200のように、抵抗差を有する一対の第2の領域134a、134b及び一対の第3の領域136a、136bがチャネル形成領域である第1の領域132の両端に設けられることで、酸化物半導体膜130のソース領域及びドレイン領域間に加わる電界を段階的にすることができる。特に酸化物半導体膜130のドレイン領域近傍における電界集中を緩和することができるため、しきい値電圧の変動などを抑制することができる。また、電界集中を緩和できるため、電界集中によってトランジスタ200が破壊されることを抑制することができる。従って、トランジスタ200は、耐圧が向上され、電気特性劣化を抑制されたトランジスタである。
そして、酸化物半導体膜130は、一対の第2の領域134a、134b及び一対の第3の領域136a、136bを有している。つまり、酸化物半導体膜においてソース電極及びドレイン電極と接する領域の抵抗が低減されているため、ソース電極127a及びドレイン電極127bとの接触抵抗が低減しており、トランジスタ200のオン電流及び電界効果移動度を向上させることができる。従って、トランジスタ200は、高いオン電流特性及び高い電界効果移動度を有するトランジスタである。
実施の形態1と同様にトランジスタ200においても、ゲート絶縁膜113に加工される絶縁膜は、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離しないように形成する。又は、当該絶縁膜は酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度より低い温度で形成する。例えば、トランジスタ200においても、当該絶縁膜はマイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成し、当該絶縁膜は加工してゲート絶縁膜113を形成できる。これにより、ゲート絶縁膜113の形成工程で酸素欠損が生じることを抑制することができる。また、マイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した絶縁膜は緻密な膜となることから、ゲート絶縁膜113も緻密な膜である。そのため、ゲート絶縁膜113を形成した後のトランジスタ200の作製工程において、酸化物半導体膜(特に第1の領域132)に含まれる酸素がゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)。従って、トランジスタ200は良好な電気特性を有する。
ゲート絶縁膜113の厚さは実施の形態1で説明したトランジスタ100と同様である。
また、トランジスタの微細化のため、又はトランジスタのオン電流特性を向上させるために、ゲート絶縁膜113を薄く形成する場合(例えば20nm以下)においても、ゲート絶縁膜113が緻密であるため、酸化物半導体膜120に含まれる酸素が脱離し、ゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)。上記より、トランジスタ200は良好な電気特性を有する。
サイドウォール絶縁膜119はゲート絶縁膜113に適用できる形成方法を用いてもよい。つまり、サイドウォール絶縁膜119に加工される絶縁膜についても、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離しないように形成することができる。又は、当該絶縁膜を酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度より低い温度で形成することができる。そこで、トランジスタ200においても、当該絶縁膜をマイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成し、当該絶縁膜を加工してサイドウォール絶縁膜119を形成できる。これにより、サイドウォール絶縁膜119の形成工程で酸素欠損が生じることを抑制することができる。また、マイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した絶縁膜は緻密な膜となることから、サイドウォール絶縁膜119も緻密な膜である。そのため、サイドウォール絶縁膜119を形成した後のトランジスタ200の作製工程において、酸化物半導体膜(特に第1の領域132)に含まれる酸素がサイドウォール絶縁膜119を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)。従って、トランジスタ200は良好な電気特性を有する。
トランジスタ200の作製方法について図面を参照して説明する。
基板101上に下地絶縁膜103、酸化物半導体膜105、絶縁膜156及びゲート電極117を形成し、ゲート電極117をマスクとしてドーパント159を酸化物半導体膜105に注入して第1の領域132及び一対の領域108a、108bを形成する(図9(A)参照)。
下地絶縁膜103、酸化物半導体膜105、絶縁膜156、及びゲート電極117に加工される導電膜157を形成する工程は実施の形態1と同様である(図2、及び図5(A)、(B)、(C)参照)。なかでも、絶縁膜156の形成工程の詳細は実施の形態1と同様である。例えば、絶縁膜156を形成する際は、酸化物半導体膜105から酸素が脱離しないように、基板101を200℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上350℃以下に加熱保持して行い、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いて形成することが好ましい。
また、実施の形態1と同様に導電膜157にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い、ゲート電極117を形成することができる。
ドーパント159は、ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、リン、ヒ素、インジウム、スズ、アンチモン及び希ガス元素から選ばれた一種以上の元素を用いることができ、イオンインプランテーション法又はイオンドーピング法を用いて酸化物半導体膜105に注入することができる。
次に、絶縁膜156及びゲート電極117上に、サイドウォール絶縁膜119に加工される絶縁膜161を形成する(図9(B)参照)。
絶縁膜161は、絶縁膜156又は下地絶縁膜103に適用できる窒化絶縁膜を適用することができる。
絶縁膜161は、形成する際に第1の領域132及び一対の領域108a、108bを有する酸化物半導体膜に含まれる酸素の脱離を抑制するように、さらに好ましくは酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離しないように形成することができる。これは、当該酸化物半導体膜(特にチャネル形成領域として機能する第1の領域132)から酸素の脱離を抑制する温度で、さらに好ましくは酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で絶縁膜161を形成することで実施できる。
具体的には、高周波を用いたプラズマCVD法を用いて形成することができ、特にマイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いて形成してもよい。例えば、絶縁膜161を形成する際は、第1の領域132及び一対の領域108a、108bを有する酸化物半導体膜から酸素が脱離しないように、基板101を200℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上350℃以下に加熱保持して行い、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いて形成することが好ましい。
次に、RIE法などの異方性エッチングによって絶縁膜161を加工し(異方的にエッチングし)、ゲート電極117の側面に接するサイドウォール絶縁膜119を形成する(図9(C)参照)。
次に、ゲート電極117及びサイドウォール絶縁膜119をマスクとして、RIE法などの異方性エッチングにより絶縁膜156を加工することでゲート絶縁膜113を形成する(図9(D)参照)。ゲート絶縁膜113を形成することで、一対の領域108a、108bの一部が露出する。
次に、ゲート電極117及びサイドウォール絶縁膜119をマスクとし、ドーパント159を第1の領域132及び一対の領域108a、108bを有する酸化物半導体膜に注入し、一対の第2の領域134a、134b及び一対の第3の領域136a、136bを形成する(図10(A)参照)。ここでのドーパント159の注入工程については上記と同様にして行うことができる。
次に、下地絶縁膜103、酸化物半導体膜130、ゲート絶縁膜113、ゲート電極117及びサイドウォール絶縁膜119を覆うように保護絶縁膜121を形成し、保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123を形成する(図10(B)参照)。
保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123は、下地絶縁膜103に適用できる絶縁膜を用いて、CVD法又はPVD法で形成することができる。
次に、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123に、酸化物半導体膜130に達する開口125a、125bを形成する(図10(C)参照)。そして、開口125a、125bに導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって、ソース電極127a及びドレイン電極127bを形成する(図8(B)参照)。なお、ソース電極127a又はドレイン電極127bは、それぞれソース配線又はドレイン配線としても機能する。当該導電膜は、ゲート電極117に加工される導電膜157と同様にして形成すればよい。
また、トランジスタ200の作製工程において、少なくとも保護絶縁膜121を形成した後に、熱処理を行うことが好ましい。当該熱処理の条件は実施の形態1と同様である。
以上より、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、ゲート絶縁膜及びサイドウォール絶縁膜の一方又は双方を、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用い、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で形成することで、ゲート絶縁膜及びサイドウォール絶縁膜の一方又は双方の形成工程で酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離し、酸素欠損が生じることを抑制することができる。このようにすることで、少なくとも、しきい値電圧のマイナス方向への変動が抑制され、ノーマリーオン特性が改善されたトランジスタを作製することができる。
なお、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2で説明した半導体装置とは構造が一部異なる半導体装置、及び当該半導体装置の作製方法を説明する。本実施の形態においても、半導体装置をトランジスタとして説明する。
図11(A)及び図11(B)に、トランジスタ300の上面図及び断面図を示す。図11(A)はトランジスタ300の上面図であり、図11(B)は、図11(A)の一点鎖線A−B間の断面図である。なお、図11(A)では、明瞭化のため、トランジスタ300の構成要素の一部(例えば、基板101、下地絶縁膜103、及びゲート絶縁膜113など)を省略している。
図11(A)及び図11(B)より、トランジスタ300は、基板101上に下地絶縁膜103が設けられており、下地絶縁膜103上に酸化物半導体膜120が設けられており、酸化物半導体膜120上にゲート絶縁膜113が設けられており、ゲート絶縁膜113上の酸化物半導体膜120と重畳する領域にゲート電極117が設けられており、ゲート絶縁膜113及びゲート電極117に接するサイドウォール絶縁膜119が設けられており、下地絶縁膜103、酸化物半導体膜120の一部、ゲート絶縁膜113及びサイドウォール絶縁膜119に接するソース電極127a及びドレイン電極127bが設けられており、ソース電極127a及びドレイン電極127b上に保護絶縁膜121が設けられており、保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123及び層間絶縁膜124が設けられており、保護絶縁膜121、層間絶縁膜123及び層間絶縁膜124に形成された開口125a、125bを介して、ソース電極127a及びドレイン電極127bに接するソース配線327a及びドレイン配線327bが設けられている。なお、下地絶縁膜103及び層間絶縁膜124は、設けなくてもよい。
トランジスタ300は、ゲート電極117が酸化物半導体膜120の上方に設けられており、トップゲート構造のトランジスタである。
トランジスタ300において、酸化物半導体膜120は、第1の領域122と、第1の領域122を介して対向する一対の第2の領域128a、128bと、を有する。
酸化物半導体膜120において、第1の領域122はドーパントを含まない領域であり、一対の第2の領域128a、128bはドーパントを含む領域である。そして、一対の第2の領域128a、128bの抵抗は、第1の領域122の抵抗よりも低い。従って、ゲート電極117と重畳する第1の領域122は、チャネル形成領域として機能し、一対の第2の領域128a、128bは、ソース領域又はドレイン領域として機能する。
酸化物半導体膜120は、一対の第2の領域128a、128bを有している。つまり酸化物半導体膜においてソース電極及びドレイン電極と接する領域の抵抗が低減されているため、ソース電極127a及びドレイン電極127bとの接触抵抗が低減しており、トランジスタ300のオン電流及び電界効果移動度を向上させることができる。従って、トランジスタ300は、高いオン電流特性及び高い電界効果移動度を有するトランジスタである。
実施の形態1及び実施の形態2と同様にトランジスタ300においても、ゲート絶縁膜113に加工される絶縁膜は、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離しないように形成する。又は、当該絶縁膜は酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度より低い温度で形成する。また、トランジスタ300においても、マイクロ波を用いたプラズマCVD法で当該絶縁膜を形成し、当該絶縁膜を加工してゲート絶縁膜113を形成できる。これにより、ゲート絶縁膜113の形成工程で酸素欠損が生じることを抑制することができる。また、マイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した絶縁膜は緻密な膜となることから、ゲート絶縁膜113も緻密な膜である。そのため、ゲート絶縁膜113を形成した後のトランジスタ300の作製工程において、酸化物半導体膜120(特に第1の領域122)に含まれる酸素がゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)。従って、トランジスタ300は良好な電気特性を有する。
ゲート絶縁膜113の厚さは実施の形態1で説明したトランジスタ100と同様である。
また、トランジスタの微細化のため、又はトランジスタのオン電流特性を向上させるために、ゲート絶縁膜113を薄く形成する場合(例えば20nm以下)においても、ゲート絶縁膜113が緻密であるため、酸化物半導体膜120に含まれる酸素が脱離してゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)ことから、上記より、トランジスタ300は良好な電気特性を有する。
トランジスタ300の作製方法について図面を参照して説明する。
基板101上に下地絶縁膜103、酸化物半導体膜105、絶縁膜156及びゲート電極117を形成する(図12(A)参照)。
下地絶縁膜103、酸化物半導体膜105、絶縁膜156、及びゲート電極117に加工される導電膜157を形成する工程は実施の形態1と同様である(図2、及び図5(A)、(B)、(C)参照)。なかでも、絶縁膜156の形成工程の詳細は実施の形態1と同様である。例えば、絶縁膜156を形成する際は、酸化物半導体膜105から酸素が脱離しないように、例えば基板101を200℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上350℃以下に加熱保持して行い、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いて形成することが好ましい。
また、実施の形態1と同様に導電膜157にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い、ゲート電極117を形成することができる。
次に、絶縁膜156及びゲート電極117上に、サイドウォール絶縁膜119に加工される絶縁膜161を形成し、ゲート電極117をマスクとしてドーパント159を酸化物半導体膜105に注入して、第1の領域122及び一対の第2の領域128a、128bを有する酸化物半導体膜120を形成する(図12(B)参照)。
絶縁膜161は、実施の形態1と同様に、形成する際に、酸化物半導体膜105から酸素が脱離しないように形成する。絶縁膜161の形成工程の詳細は実施の形態1と同様である。また、絶縁膜161は、実施の形態2のように、形成する際に第1の領域132及び一対の領域108a、108bを有する酸化物半導体膜に含まれる酸素の脱離を抑制するように、さらに好ましくは酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離しないように形成することができる。これは、当該酸化物半導体膜(特にチャネル形成領域として機能する第1の領域132)から酸素の脱離を抑制する温度で、さらに好ましくは酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で絶縁膜161を形成することで実施できる。
具体的には、高周波を用いたプラズマCVD法を用いて形成することができ、特にマイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いて形成してもよい。例えば、絶縁膜161を形成する際は、基板101を200℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上350℃以下に加熱保持して行い、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いて形成することが好ましい。
ドーパント159を注入する工程についても実施の形態2と同様である。なお、ドーパント159をイオンインプランテーション法又はイオンドーピング法で注入する他に、酸化物半導体膜を低抵抗化するドーパントを含む雰囲気で、プラズマ処理又は熱処理を行うことで当該ドーパントを酸化物半導体膜に注入してもよい。
また、ドーパント159を注入した後、熱処理を行ってもよい。当該熱処理は、300℃以上700℃以下、好ましくは300℃以上450℃以下とし、酸素雰囲気下、窒素雰囲気下、減圧下、又は大気(超乾燥エア)下で1時間程度行うことが好ましい。なお、プラズマ処理又は熱処理でドーパントを注入する工程、及びドーパント注入後の熱処理は、他の実施の形態で説明するトランジスタにおいても適用できる。
なお、ドーパント159を注入する工程は、絶縁膜161を形成した後ではなく、ゲート電極117を形成し、絶縁膜161を形成する前に行ってもよい。さらには、実施の形態2と同じようにドーパント159を注入する工程を2回行って、ドーパントを含む領域に抵抗差を設けてもよい。
次に、RIE法など、異方性エッチングによって絶縁膜161を加工し(異方的にエッチングし)、ゲート電極117の側面に接するサイドウォール絶縁膜119を形成する(図12(C)参照)。
次に、ゲート電極117及びサイドウォール絶縁膜119をマスクとして、RIE法などの異方性エッチングにより絶縁膜156を加工することでゲート絶縁膜113を形成する(図12(D)参照)。ゲート絶縁膜113を形成することで、一対の第2の領域128a、128bの一部が露出する。
次に、下地絶縁膜103、一対の第2の領域128a、128b、ゲート絶縁膜113、ゲート電極117、及びサイドウォール絶縁膜119上に、ソース電極127a及びドレイン電極127bに加工される導電膜179を形成する(図13(A)参照)。導電膜179は、ゲート電極117に加工される導電膜157と同様にして形成することができる。
次に、導電膜179上に保護絶縁膜121を形成する(図13(B)参照)。そして、保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123を形成する(図13(C)参照)。
保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123は、下地絶縁膜103に適用できる絶縁膜を用いて、CVD法又はPVD法で形成することができる。なお、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123はゲート絶縁膜113に適用できる形成方法を用いてもよい。詳細には、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123は、絶縁膜156と同様に、酸化物半導体膜から酸素が脱離しないように形成、又は、酸化物半導体膜から酸素が脱離する温度よりも低い温度で形成することができる。さらに、絶縁膜161は高周波を用いたプラズマCVD法を用いて形成することができ、なお、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いて形成してもよい。
なお、他の実施の形態で説明するトランジスタにおいても、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123にゲート絶縁膜113の形成方法を適用できること、詳細には、絶縁膜156と同様にして保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123を形成できる。
次に、少なくとも、導電膜179、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123を、CMP法などの研磨処理又はドライエッチングによるエッチバック処理によって、ゲート電極117を露出させる(図14(A)参照)。これにより、導電膜179をソース電極127a及びドレイン電極127bに加工することができ、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123は平坦化される。ソース電極127a及びドレイン電極127bが電気的に分離されるように、導電膜179、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123の他に、ゲート電極117及びサイドウォール絶縁膜119の一部を除去することが好ましい。なお、研磨処理の条件又はエッチバック処理の条件は、導電膜179、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123の材料並びに厚さなどを考慮して、適宜選択する。
次に、平坦化した保護絶縁膜121、平坦化した層間絶縁膜123、サイドウォール絶縁膜119、及びゲート電極117上に層間絶縁膜124を形成する(図14(B)参照)。なお、層間絶縁膜124は、層間絶縁膜123と同様にして形成できる。
平坦化した保護絶縁膜121、平坦化した層間絶縁膜123及び層間絶縁膜124に、ソース電極127a及びドレイン電極127bに達する開口125a、開口125bを形成し(図14(C)参照)、開口125a、開口125bにソース配線327a及びドレイン配線327bを形成することでトランジスタ300を作製することができる(図11(B)参照)。なお、ソース配線327a及びドレイン配線327bは、導電膜をゲート電極117に加工される導電膜157と同様にして形成、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行うことで形成することができる。
また、トランジスタ300の作製工程において、少なくとも保護絶縁膜121を形成した後に、熱処理を行うことが好ましい。当該熱処理の条件は実施の形態1と同様である。
以上より、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、ゲート絶縁膜及びサイドウォール絶縁膜の一方又は双方を、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用い、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で形成することで、ゲート絶縁膜及びサイドウォール絶縁膜の一方又は双方の形成工程で酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離し、酸素欠損が生じることを抑制することができる。このようにすることで、少なくとも、しきい値電圧のマイナス方向への変動が抑制され、ノーマリーオン特性が改善されたトランジスタを作製することができる。
なお、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態3で説明した半導体装置とは構造が一部異なる半導体装置、及び当該半導体装置の作製方法を説明する。本実施の形態においても、半導体装置をトランジスタとして説明する。
図15(A)及び図15(B)に、トランジスタ450の上面図及び断面図を示す。図15(A)はトランジスタ450の上面図であり、図15(B)は、図15(A)の一点鎖線A−B間の断面図である。なお、図15(A)では、明瞭化のため、トランジスタ450の構成要素の一部(例えば、基板101、下地絶縁膜103、及びゲート絶縁膜113など)を省略している。
図15(A)及び図15(B)より、トランジスタ450は、基板101上に下地絶縁膜103が設けられており、下地絶縁膜103上に酸化物半導体膜105が設けられており、酸化物半導体膜105に接してソース電極127a及びドレイン電極127bが設けられており、酸化物半導体膜105、ソース電極127a及びドレイン電極127b上にゲート絶縁膜113が設けられており、ゲート絶縁膜113上にゲート電極117が酸化物半導体膜105の一部、ソース電極127aの一部及びドレイン電極127bの一部に重畳して設けられており、ゲート絶縁膜113及びゲート電極117上に保護絶縁膜121が設けられており、保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123が設けられており、ゲート絶縁膜113、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123に形成された開口125a、125bを介して、ソース電極127a及びドレイン電極127bに接するソース配線327a及びドレイン配線327bが設けられている。なお、下地絶縁膜103及び層間絶縁膜124は、設けなくてもよい。
トランジスタ450は、ゲート電極117が酸化物半導体膜105の上方に設けられており、トップゲート構造のトランジスタである。
酸化物半導体膜105はチャネル形成領域と、ソース領域及びドレイン領域とを有する。
トランジスタ450において、ゲート絶縁膜113は酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離しないように形成する。又は、ゲート絶縁膜113は酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離する温度より低い温度で形成する。例えば、マイクロ波を用いたプラズマCVD法でゲート絶縁膜113を形成できる。これにより、ゲート絶縁膜113の形成工程で酸素欠損が生じることを抑制することができる。また、マイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した絶縁膜は緻密な膜となることから、ゲート絶縁膜113は緻密な膜である。そのため、ゲート絶縁膜113を形成した後のトランジスタ450の作製工程において、酸化物半導体膜105に含まれる酸素がゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)。従って、トランジスタ450は良好な電気特性を有する。
ゲート絶縁膜113の厚さは実施の形態1で説明したトランジスタ100と同様である。
また、トランジスタの微細化のため、又はトランジスタのオン電流特性を向上させるために、ゲート絶縁膜113を薄く形成する場合(例えば20nm以下)においても、ゲート絶縁膜113が緻密であるため、酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離し、ゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)。上記より、トランジスタ450は良好な電気特性を有する。
トランジスタ450の作製方法について説明する。トランジスタ450は、実施の形態1乃至実施の形態3で説明したトランジスタの作製方法において工程の順番を適宜変更することで作製することができる。ここでは、トランジスタ450を作製する工程の順番を記載する。なお、各工程の詳細は他の実施の形態の記載を参照することができる。
実施の形態1乃至実施の形態3と同様に、基板101上に下地絶縁膜103及び酸化物半導体膜154を形成する(図5(A)参照)。次に、酸化物半導体膜105を形成する(図5(B)参照)。次に、下地絶縁膜103及び酸化物半導体膜105上に導電膜157を形成し、導電膜157を加工してソース電極127a及びドレイン電極127bを形成する(図示せず)。次に、酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離しないようにゲート絶縁膜113を形成する(図示せず)。次に、ゲート絶縁膜113上に導電膜を形成し、当該導電膜を加工してゲート電極117を形成する(図示せず)。次に、ゲート絶縁膜113及びゲート電極117上に保護絶縁膜121を形成する(図示せず)。次に、保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123を形成する(図示せず)。次に、ゲート絶縁膜113、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123にソース電極127a及びドレイン電極127bに達する開口125a、125bを形成し、開口125a、125bに導電膜を形成し、当該導電膜を加工してソース配線327a及びドレイン配線327bを形成する(図15(B)参照)。
なお、実施の形態1乃至実施の形態3と同様に、少なくとも保護絶縁膜121を形成した後は熱処理を行うことが好ましい。当該熱処理の条件は実施の形態1乃至実施の形態3と同様である。
ここで、トランジスタ450においてゲート電極117が酸化物半導体膜のみに重畳しており、当該酸化物半導体膜の一部にドーパントが注入されているトランジスタ500について説明する。
図16(A)及び図16(B)に、トランジスタ500の上面図及び断面図を示す。図16(A)はトランジスタ500の上面図であり、図16(B)は、図16(A)の一点鎖線A−B間の断面図である。なお、図16(A)では、明瞭化のため、トランジスタ500の構成要素の一部(例えば、基板101、下地絶縁膜103、及びゲート絶縁膜113など)を省略している。
トランジスタ500は、トランジスタ450の構成において酸化物半導体膜105が酸化物半導体膜140に置き換わった構成をしている(図15(A)及び図15(B)並びに図16(A)及び図16(B)参照)。
トランジスタ500は、ゲート電極117が酸化物半導体膜140の上方に設けられており、トップゲート構造のトランジスタである。
酸化物半導体膜140は、第1の領域142と、第1の領域142を介して対向する一対の第2の領域144a、144bと、第1の領域142及び一対の第2の領域144a、144bの間にそれぞれ設けられた一対の第3の領域146a、146bとを有する。
第1の領域142、及び一対の第2の領域144a、144bはドーパントを含まない領域である。一対の第3の領域146a、146bはドーパントを含む領域である。第1の領域142はチャネル形成領域として機能し、一対の第2の領域144a、144bはソース電極127a及びドレイン電極127bと接することから、少なからず一対の第2の領域144a、144bとソース電極127a及びドレイン電極127bとの界面近傍の領域は抵抗が低減されていると考えられる。従って、一対の第2の領域144a、144bはソース領域及びドレイン領域として機能する。
トランジスタ500は、一対の第3の領域146a、146bのようにドーパントが注入された低抵抗な領域を有している。つまり、酸化物半導体膜の一部の領域の抵抗が低減されているため、トランジスタ500のオン電流及び電界効果移動度を向上させることができる。従って、トランジスタ500は、高いオン電流特性及び高い電界効果移動度を有するトランジスタである。
トランジスタ500において、ゲート絶縁膜113はトランジスタ450と同様にして形成することができる。これにより、ゲート絶縁膜113の形成工程で酸素欠損が生じることを抑制することができる。また、ゲート絶縁膜113を形成した後のトランジスタ500の作製工程において、酸化物半導体膜に含まれる酸素がゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)。従って、トランジスタ500は良好な電気特性を有する。
トランジスタ500の作製方法について説明する。トランジスタ500は、実施の形態1乃至実施の形態3で説明したトランジスタの作製方法において工程の順番を適宜変更することで作製することができる。ここでは、トランジスタ500を作製する工程の順番を記載する。なお、各工程の詳細は他の実施の形態の記載を参照することができる。
実施の形態1乃至実施の形態3と同様に、基板101上に下地絶縁膜103及び酸化物半導体膜154を形成する(図5(A)参照)。次に、酸化物半導体膜105を形成する(図5(B)参照)。次に、下地絶縁膜103及び酸化物半導体膜105上に導電膜157を形成し、導電膜157を加工してソース電極127a及びドレイン電極127bを形成する(図示せず)。次に、酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離しないようにゲート絶縁膜113を形成する(図示せず)。次に、ゲート絶縁膜113上に導電膜を形成し、当該導電膜を加工してゲート電極117を形成する(図示せず)。次に、ゲート電極117、ソース電極127a及びドレイン電極127bをマスクにしてドーパントを酸化物半導体膜105に注入して、酸化物半導体膜140を形成する(図示せず)。この後、図15に示すトランジスタ450と同様の工程を行うことで、トランジスタ500を作製することができる(図16(B)参照)。
なお、実施の形態1乃至実施の形態3と同様に、少なくとも保護絶縁膜121を形成した後は熱処理を行うことが好ましい。当該熱処理の条件は実施の形態1乃至実施の形態3と同様である。
以上より、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、マイクロ波を用いたプラズマCVD法でゲート絶縁膜を、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で形成することで、ゲート絶縁膜の形成工程で酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離し、酸素欠損が生じることを抑制することができる。このようにすることで、少なくとも、しきい値電圧のマイナス方向への変動が抑制され、ノーマリーオン特性が改善されたトランジスタを作製することができる。
なお、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4で説明した半導体装置とは構造が一部異なる半導体装置、及び当該半導体装置の作製方法を説明する。本実施の形態においても半導体装置をトランジスタとして説明する。ここでは、実施の形態3に記載したトランジスタ300と同じ構造のトランジスタを用いて説明するが、本実施の形態は、適宜、他の実施の形態に適用することが可能である。
図17(A)及び図17(B)に、トランジスタ550の上面図及び断面図を示す。図17(A)はトランジスタ550の上面図であり、図17(B)は、図17(A)の一点鎖線A−B間の断面図である。なお、図17(A)では、明瞭化のため、トランジスタ550の構成要素の一部(例えば、基板101、下地絶縁膜103、及びゲート絶縁膜113、保護絶縁膜121、層間絶縁膜123など)を省略している。
図17(A)及び図17(B)に示すトランジスタ550は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明したトランジスタと比較して、下地絶縁膜103上に酸化物半導体膜120が設けられており、酸化物半導体膜120の端部を覆う保護絶縁膜191が設けられている点が異なる。トランジスタの他の構成は実施の形態1乃至実施の形態4で説明したトランジスタの構成を適宜用いることができる。
トランジスタ550において、ゲート絶縁膜113及びサイドウォール絶縁膜119の一方又は双方は酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離しないように形成する。又は、ゲート絶縁膜113及びサイドウォール絶縁膜119の一方又は双方は酸化物半導体膜105に含まれる酸素が脱離する温度より低い温度で形成する。また、マイクロ波を用いたプラズマCVD法でゲート絶縁膜113を形成できる。これにより、ゲート絶縁膜113及びサイドウォール絶縁膜119の一方又は双方の形成工程で酸化物半導体膜105の酸素欠損が生じることを抑制することができる。また、マイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した絶縁膜は緻密な膜となることから、ゲート絶縁膜113及びサイドウォール絶縁膜119の一方又は双方は緻密な膜である。そのため、ゲート絶縁膜113及びサイドウォール絶縁膜119の一方又は双方を形成した後のトランジスタ550の作製工程において、酸化物半導体膜105に含まれる酸素がゲート絶縁膜113を通過して外部に放出されることを抑制できる(酸素欠損の発生を抑制できる)。上記より、トランジスタ550は良好な電気特性を有する。
保護絶縁膜191は、実施の形態1で説明したトランジスタ100の下地絶縁膜103に適用できる絶縁膜を用いる。
保護絶縁膜191は、酸化物半導体膜120の端部に加わる電界を緩和する。このため、保護絶縁膜191の厚さは、ゲート絶縁膜113の厚さの5倍以上が好ましく、代表的には、25nm以上1000nm以下、より好ましくは100nm以上1000nm以下とする。また、保護絶縁膜191は、酸化物半導体膜120と、ソース電極127a及びドレイン電極127bとの間での絶縁性を保つために、少なくとも酸化物半導体膜120の側面を覆うことが好ましく、さらには酸化物半導体膜120の側面及び上面の一部を覆う。このとき、酸化物半導体膜120の上面において、側面から10nm以上500nm以下、好ましくは20nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上200nm以下の領域を覆う。この結果、酸化物半導体膜120の端部に加わるゲート電極117による電界を緩和すると共に、酸化物半導体膜120と、ソース電極127a及びドレイン電極127bとの間での絶縁性を保つことができる。
また、保護絶縁膜191が酸化物半導体膜120の端部を覆うことで、酸化物半導体膜120の側面と、ソース電極127a及びドレイン電極127bとが接触せず、酸化物半導体膜120の側面を介して流れるリーク電流の発生を抑制することができる。
次に、図17に示すトランジスタ550の作製方法について説明する。図17に示すトランジスタは、実施の形態1に示す図5(A)及び図5(B)の工程を行った後、下地絶縁膜103及び酸化物半導体膜105上に、CVD法又はPVD法などを用いて後に保護絶縁膜191に加工される絶縁膜を形成する。次に、当該絶縁膜にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行って、保護絶縁膜191を形成する。
なお、後に保護絶縁膜191となる絶縁膜を形成する前に、酸化物半導体膜105上にマスクを形成し、後に保護絶縁膜191となる絶縁膜を形成した後、マスクを除去するリフトオフ法によって保護絶縁膜191を形成することができる。
この後、保護絶縁膜191及び酸化物半導体膜105を酸素プラズマに曝すことで、保護絶縁膜191の角が選択的にエッチングされ、酸化物半導体膜105及び保護絶縁膜191に酸素を添加すると共に、保護絶縁膜191の端部を湾曲させることができる。保護絶縁膜191の端部を湾曲させることで、後に形成するゲート絶縁膜113の被覆性を高め、断切れを低減することが可能であるため好ましい。
以降は、実施の形態3と同様の工程を行うことで図17に示すトランジスタ550を形成することができる。
以上より、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、ゲート絶縁膜及びサイドウォール絶縁膜の一方又は双方を、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用い、酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離する温度よりも低い温度で形成することで、ゲート絶縁膜及びサイドウォール絶縁膜の一方又は双方の形成工程で酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離し、酸素欠損が生じることを抑制することができる。このようにすることで、少なくとも、しきい値電圧のマイナス方向への変動が抑制され、ノーマリーオン特性が改善されたトランジスタを作製することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタ(図1、図7、図8、図11、図15乃至図17参照)に適用できる酸化物半導体膜、及び当該酸化物半導体膜の作製方法について説明する。
実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタにおいて、酸化物半導体膜の材料は、例えばIn−M−Zn系酸化物を用いればよい。ここで、金属元素Mは酸素との結合エネルギーがIn及びZnよりも高い元素である。又は、In−M−Zn系酸化物から酸素が脱離することを抑制する機能を有する元素である。金属元素Mの作用によって、酸化物半導体膜中の酸素欠損の生成が抑制される。なお、酸化物半導体膜の酸素欠損はキャリアを生成することがある。そのため、金属元素Mの作用によって、酸化物半導体膜中のキャリア密度の増大が原因となるオフ電流の増大を抑制できる。また、酸素欠損に起因するトランジスタの電気特性の変動を低減することができ、信頼性の高いトランジスタを得ることができる。
金属元素Mは、具体的にはAl、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Sn、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta又はWとすればよく、好ましくはAl、Ti、Ga、Y、Zr、Ce又はHfとする。金属元素Mは、前述の元素から一種又は二種以上選択すればよい。また、金属元素Mの代わりにSi、Geを用いても構わない。
例えば、In−M−Zn系酸化物として、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)、あるいはIn:Ga:Zn=3:1:2(=1/2:1/6:1/3)の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
上記材料を用いて酸化物半導体膜154(図5(A)参照)を形成することができる。酸化物半導体膜154の厚さは1nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上40nm以下とすることができる。
また、酸化物半導体膜154はスパッタリング法の他に、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、又はパルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法によって形成することができる。さらに、酸化物半導体膜154は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタリング装置を用いて形成してもよい。
酸化物半導体膜154を形成する際に用いるスパッタリングガスは、水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
酸化物半導体膜154をスパッタリング法で形成する際は、減圧状態に保持された成膜室内に基板101を保持する。そして、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタリングガスを導入し、上記ターゲットを用いて基板101上に酸化物半導体膜154を形成する。成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(H2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で形成した酸化物半導体膜154に含まれる不純物の濃度を低減できる。
また、下地絶縁膜103と酸化物半導体膜154とを大気に解放せずに連続的に形成することが好ましい。下地絶縁膜103と酸化物半導体膜154とを大気に曝露せずに連続して形成すると、下地絶縁膜103表面に水素や水分などの不純物が吸着することを防止することができる。
実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタにおいて、酸化物半導体膜に含まれる水素及び酸素欠損はトランジスタの電気特性の不良に繋がる。
実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタの作製工程において、保護絶縁膜121を形成した後に行う熱処理の他に、適宜、熱処理を行ってもよい。例えば、酸化物半導体膜154を形成した後、酸化物半導体膜105に加工した後、又は絶縁膜156を形成し、導電膜157を形成する前などで熱処理を行うことができる。このように、トランジスタの作製工程において、熱処理を行うことで酸化物半導体膜に含まれる水素を除去することができる。なお、熱処理の条件は、300℃以上700℃以下、又は基板の歪み点未満とする。当該熱処理は適宜時間を設定し、減圧下、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス雰囲気下などで行うことができる。
上記熱処理によって、トランジスタに含まれる酸化物半導体膜(特にチャネル形成領域)から水素などの不純物を除去でき、酸化物半導体膜を高純度化することができる。具体的には、酸化物半導体膜(特にチャネル形成領域)の水素濃度は、5×1018atoms/cm3未満、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下にすることができる。なお、当該水素濃度はSIMSで測定されるものである。
実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタにおいて、酸化物半導体膜は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)などの結晶性を有する酸化物半導体膜、又は非晶質な酸化物半導体膜とすることができる。当該酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とすることが好ましい。
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因するキャリア移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面又は表面に垂直な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状又は六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状又は金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。なお、酸化物半導体を構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面側に対し表面側では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状又は表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、又は成膜後に熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
酸化物半導体膜は、シリコン膜と比べて1〜2eV程度バンドギャップが大きい。そのため、酸化物半導体を用いたトランジスタは、衝突イオン化が起こりにくく、アバランシェブレークダウンが起こりにくい。即ち、当該トランジスタは、ホットキャリア劣化が起こりにくいといえる。
以上のように、酸化物半導体膜はキャリアの生成が少ないため、酸化物半導体膜の厚さが厚い場合(例えば15nm以上)でも、ゲート電極の電界によってチャネル領域を完全空乏化させることができる。従って、酸化物半導体を用いたトランジスタは、パンチスルー現象によるオフ電流の増大及びしきい値電圧の変動が起こらない。例えば、チャネル長が3μmのとき、チャネル幅1μmあたりのオフ電流を、室温において1×10−21A未満、又は1×10−24A未満とすることができる。
キャリア生成源の一つである、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)によって評価できる。即ち、酸素欠損の少ない酸化物半導体膜は、ESRによって、酸素欠損に起因する信号を有さない酸化物半導体膜と言い換えることができる。具体的には、酸素欠損に起因するスピン密度が、1.5×1018spins/cm3以下、好ましくは1×1017spins/cm3以下の酸化物半導体膜、又は当該スピン密度が検出下限以下である酸化物半導体膜である。なお、酸化物半導体膜が酸素欠損を有すると、ESRにてg値が1.93近傍に対称性を有する信号が現れる。
また、トランジスタの電気特性を向上させるためには、化学量論的組成よりも多くの酸素を有する酸化物半導体膜を用いることが好ましく、酸化物半導体膜を形成した後、イオンインプランテーション法又はイオンドーピング法を用いて酸素イオンを酸化物半導体膜に注入することが好ましい。これは、酸素イオンを注入することで酸化物半導体膜中の酸素欠損を修復することができ、酸化物半導体膜と接する絶縁膜との界面準位密度を低減することができるためである。
CAAC−OS膜を得る方法としては2つ挙げられる。1つ目は、被形成物の温度を200℃以上500℃以下に加熱保持して酸化物半導体膜を形成する方法である。2つ目は、薄い膜厚で酸化物半導体膜を形成した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行う方法である。また、2つ目の方法は、一度、薄い膜厚で酸化物半導体膜を形成した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行い、その上に酸化物半導体膜を形成してCAAC−OS膜を形成する方法である。
以上より、本実施の形態で説明した酸化物半導体膜を実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタに適用することで、良好な電気特性を有するトランジスタを作製することができる。
なお、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタに適用できる絶縁膜、及び当該絶縁膜の作製方法について説明する。具体的には、下地絶縁膜103、ゲート絶縁膜113、保護絶縁膜121、保護絶縁膜191、層間絶縁膜123及び層間絶縁膜124などである。
実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタの作製工程において、酸化物半導体膜が加熱されることで酸化物半導体膜に含まれる酸素が脱離し、酸素欠損が生じる場合がある。また、下地絶縁膜、ゲート絶縁膜及び保護絶縁膜は酸化物半導体膜と接している。そこで、当該酸素欠損を修復できる効果を有する絶縁膜を、下地絶縁膜、ゲート絶縁膜、保護絶縁膜又は層間絶縁膜の一以上に用いることが好ましい。
酸素欠損を修復できる効果を有する絶縁膜は、酸素を含む絶縁膜であり、加熱することによって酸素の一部を放出する絶縁膜が好ましい。具体的にはTDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)分析にて、酸素原子に換算した酸素の放出量が1.0×1018cm−3以上、好ましくは3.0×1020cm−3以上である、絶縁膜が好ましい。
ここで、酸素の放出量をTDS分析で酸素原子に換算して定量する方法について説明する。
TDS分析したときの気体の放出量は、スペクトルの時間積分に比例する。このため、絶縁膜のスペクトルの積分値と、標準試料の基準値に対する比とにより、気体の放出量を計算することができる。標準試料の基準値とは、所定の原子を含む試料の、スペクトルの積分値に対する原子の密度の割合である。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、及び絶縁膜のTDS分析結果から、絶縁膜の酸素分子の放出量(NO2)は、数式1で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量数32で検出されるスペクトルの全てが酸素分子由来と仮定する。質量数32のものとしてCH3OHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子及び質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
NH2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのスペクトルの積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、絶縁膜をTDS分析したときのスペクトルの積分値である。αは、TDS分析におけるスペクトル強度に影響する係数である。数式1の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照できる。なお、上記した酸素の放出量の数値は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×1016cm−2の水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定した数値である。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。絶縁膜においては、酸素原子に換算したときの酸素の放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
このように、加熱することによって酸素の一部を放出する絶縁膜、及び、TDS分析にて酸素原子に換算した酸素の放出量が上記範囲である絶縁膜としては、化学量論的組成より多くの酸素を含む絶縁膜があり、例えば、酸素が過剰に含まれている酸化窒化シリコン、又は酸素が過剰に含まれている酸化シリコン(SiOX(x>2))膜がある。なお、酸素が過剰に含まれている酸化シリコン(SiOX(x>2))膜とは、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数及び酸素原子数はラザフォード後方散乱法により測定した値である。
化学量論的組成よりも多くの酸素を含む絶縁膜は、例えば、プラズマCVD法で形成した絶縁膜(酸化シリコン又は酸化窒化シリコンなど)に、イオンインプランテーション法又はイオンドーピング法を用いて酸素イオンを注入することで形成することができる。また、イオンインプランテーション法又はイオンドーピング法の代わりに、酸素雰囲気下でプラズマ処理を行うことでも当該絶縁膜に酸素イオンを注入することができる。
なお、酸素イオンの被注入物である絶縁膜は、実施の形態1で説明したマイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成することができる。これにより、緻密な絶縁膜を形成することができ、当該絶縁膜と酸化物半導体膜との界面特性を良好(例えば界面準位密度の低減)にすることができる。従って、電気特性の良好なトランジスタを作製することができる。
上記より、下地絶縁膜、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜の一以上に酸化物半導体膜の酸素欠損を修復できる効果を有する絶縁膜を適用することで、トランジスタの作製工程中に生じた酸素欠損を熱処理などで修復することができ、良好な電気特性を有するトランジスタを作製することができる。
なお、実施の形態1で説明したマイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いることで、化学量論的組成よりも多くの酸素を含む絶縁膜を形成することができる。その場合は、上記方法のいずれかで酸素イオンを注入しなくてもよい。それゆえ、歩留まりを向上させることができ、トランジスタの生産性を向上させることができ、トランジスタの作製コストを低減させることができる。なお、マイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いる場合でも形成した絶縁膜に、さらに化学量論的組成よりも多くの酸素を含ませるときは上記方法のいずれかで酸素イオンを注入することができる。
また、下地絶縁膜、ゲート絶縁膜、保護絶縁膜及び層間絶縁膜に含まれる水素は、トランジスタ作製工程中に酸化物半導体膜(特にチャネル形成領域)に拡散し、酸化物半導体膜を低抵抗化させ、トランジスタの電気特性を不良にすることがあるため、下地絶縁膜、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜は、水素が出来る限り低減されていることが好ましい。なお、水素を出来る限り低減するには、形成した絶縁膜を熱処理すること、又は形成工程において出来る限り水素を含ませないようにすることである。熱処理の条件は、300℃以上700℃以下、又は基板の歪み点未満とする。当該熱処理は適宜時間を設定し、減圧下、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス雰囲気下などで行うことができる。
実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタにおいて、単結晶や多結晶などの結晶性を有する酸化物半導体膜又はCAAC−OS膜を適用する場合、酸化物半導体膜の表面の平坦性を高めることによって、非晶質な酸化物半導体膜を適用する場合より電界効果移動度が高いトランジスタを作製することができる。酸化物半導体膜表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面(基板又は下地絶縁膜)上に酸化物半導体膜を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が0.15nm以下、好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
なお、Raは、JIS B 0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている算術平均粗さを曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」で表現でき、以下の式にて定義される。
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(x1,y1,f(x1,y1)),(x1,y2,f(x1,y2)),(x2,y1,f(x2,y1)),(x2,y2,f(x2,y2))の4点で表される四角形の領域とし、指定面をxy平面に投影した長方形の面積をS0、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZ0とする。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて測定可能である。
酸化物半導体膜の被形成面を上記範囲の平均面粗さとするには、当該被形成面にCMP法などの研磨処理、ドライエッチング処理、又はプラズマ処理などの平坦化処理を行えばよい。
プラズマ処理としては、例えば、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行うことができる。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。逆スパッタリングを行うと、基板の表面又は下地絶縁膜の表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することができる。
平坦化処理として、研磨処理、ドライエッチング処理、プラズマ処理は複数回行ってもよく、それらを組み合わせて行ってもよい。また、組み合わせて行う場合、工程順も特に限定されず、当該被形成面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。
実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタにおいて、保護絶縁膜(保護絶縁膜121)は下地絶縁膜に適用できる絶縁膜で形成されていることが好ましく、特に緻密性の高い無機絶縁膜で形成されていることが好ましい。緻密性の高い無機絶縁膜として、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、又は酸化窒化アルミニウムがある。例えば、高密度(膜密度3.2g/cm3以上、好ましくは3.6g/cm3以上)な酸化アルミニウム膜を用いることによって、外気中の水分などの不純物が酸化物半導体膜に侵入することを抑制する効果を得ることができる。また、トランジスタの構成要素に含まれる酸素がトランジスタの外部に放出されることを防止する効果を得ることができる。従って、保護絶縁膜は、トランジスタの作製工程中及び作製後において、水分が酸化物半導体膜(特にチャネル形成領域)などに混入することを防止するバリア膜として、さらに酸化物半導体膜を構成する主成分材料である酸素の放出を防止するバリア膜として機能する。従って、上記保護絶縁膜を用いることで良好な電気特性を有するトランジスタを作製することができる。なお、膜密度はラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、X線反射率測定法(XRR:X−Ray Reflection)によって測定することができる。
なお、層間絶縁膜は下地絶縁膜に適用できる材料のほか、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂などの有機材料、さらには上記有機材料の他に低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。有機材料を用いる場合、スピンコート法、印刷法などの湿式法によって形成することができる。
以上より、本実施の形態で説明した絶縁膜を実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタに適用することで、良好な電気特性を有するトランジスタを作製することができる。
なお、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタに適用できるゲート電極、ソース電極(ソース配線)及びドレイン電極(ドレイン配線)について説明する。
実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタにおいて、ゲート電極(又はゲート電極に加工される導電膜)としては、例えば、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム、クロム等の金属材料、又はこれらを含む合金材料で形成することができる。また、ゲート電極は、導電性の金属酸化物材料を用いて形成してもよい。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(In2O3−SnO2)、インジウム亜鉛酸化物(In2O3−ZnO)、又は、これらの金属酸化物材料にシリコン、又は酸化シリコンを含有させたもので形成してもよい。また、ゲート電極としては、上記金属材料又は上記合金材料の窒化物である、導電性の金属窒化物材料を用いて形成されていてもよい。
また、ゲート電極は、上記の材料を用いた単層構造、又は積層構造で形成されていてもよい。例えば、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造などがある。なお、酸化インジウム、酸化錫又は酸化亜鉛を含む透明導電材料で形成されていてもよい。
なお、ゲート電極、ソース電極(ソース配線)及びドレイン電極(ドレイン配線)の厚さは、特に限定はなく、所望の抵抗率などを考慮して適宜選択することができる。
また、ゲート電極とゲート絶縁膜との間に、窒素を含むIn−Ga−Zn系酸化物膜や、窒素を含むIn−Sn系酸化物膜や、窒素を含むIn−Ga系酸化物膜や、窒素を含むIn−Zn系酸化物膜や、窒素を含む酸化スズ膜や、窒素を含む酸化インジウム膜や、金属窒化膜(窒化インジウム膜、窒化亜鉛膜、窒化タンタル膜、窒化タングステン膜など)を設けることが好ましい。これらの膜は5eV以上、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、トランジスタのしきい値電圧をプラスにすることができ、トランジスタを所謂ノーマリーオフのトランジスタとすることができる。例えば、窒素を含むIn−Ga−Zn系酸化物膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体膜105より高い窒素濃度、具体的には、窒素原子を7原子%以上のIn−Ga−Zn系酸化物膜を用いる。
ソース電極(ソース配線)及びドレイン電極(ドレイン配線)は、ゲート電極と同様にして形成することができる。また、アルミニウム、銅などの金属材料の下側若しくは上側の一方、又は双方にチタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属材料、又は当該高融点金属材料の金属窒化物材料(窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タングステン)が設けられた積層構造としてもよい。
以上より、本実施の形態で説明したゲート電極、ソース電極(ソース配線)及びドレイン電極(ドレイン配線)を実施の形態1乃至実施の形態5で説明したトランジスタに適用することで、良好な電気特性を有するトランジスタを作製することができる。
なお、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について説明する。なお、本実施の形態で説明する半導体装置の一例は、記憶素子(メモリセル)であり、先の実施の形態で用いた符号を適宜用いて説明する。
当該半導体装置は、単結晶半導体基板に作製された第1のトランジスタと、絶縁膜を介して第1のトランジスタの上方に、半導体膜を用いて作製された第2のトランジスタ及び容量素子と、を有する。
また、積層する、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの半導体材料、及び構造は、同一でもよいし異なっていてもよい。ここでは、当該半導体装置の回路に好適な材料及び構造のトランジスタをそれぞれ用いる例について説明する。
当該第2のトランジスタとしては、先の実施の形態で説明した、いずれかのトランジスタを用いることができる。なお、当該第2のトランジスタとして用いるトランジスタの構造に応じて、第1のトランジスタ及び容量の積層関係、並びに接続関係を適宜変更する。本実施の形態では、第2のトランジスタにトランジスタ600を用いる例について説明する。
図18は、半導体装置の構成例である。図18(A)には、当該半導体装置の断面を、図18(B)には、当該半導体装置の平面を、それぞれ示す。なお、図18(A)は、図18(B)のE1−E2及びF1−F2における断面に相当する。なお、図18(B)では、明瞭化のため、半導体装置の構成要素の一部(例えば、基板601、絶縁膜619、絶縁膜623、絶縁膜625、下地絶縁膜103、ゲート絶縁膜113、サイドウォール絶縁膜119など)を省略している。なお、図18に記載したOSとは、当該半導体装置に含まれるトランジスタに、先の実施の形態で説明したいずれかのトランジスタを適用できること示す。
また、図18(C)には、当該半導体装置の回路図の一例を示す。図18(A)及び図18(B)に示した半導体装置に好適な材料及び構造として、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ600を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ300及び容量素子650を有する。本実施の形態において、第1の半導体材料は酸化物半導体以外の半導体材料であり、第2の半導体材料は酸化物半導体である。酸化物半導体以外の半導体材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、又はガリウムヒ素などを用いることができ、単結晶半導体を用いるのが好ましい。このような半導体材料を用いたトランジスタは、十分な高速動作が可能である。他に、酸化物半導体以外の半導体材料として有機半導体材料などを用いてもよい。酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
図18における半導体装置の作製方法を図18(A)乃至図18(C)を用いて説明する。
トランジスタ600は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板601に設けられたチャネル形成領域607と、チャネル形成領域607を挟むように設けられた不純物領域602a、602bと、不純物領域602a、602bに接する金属間化合物領域603a、603bと、チャネル形成領域607上に設けられたゲート絶縁膜605と、ゲート絶縁膜605上に設けられたゲート電極617とを有する。
半導体材料を含む基板601は、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用することができる。なお、一般に「SOI基板」は、絶縁表面上にシリコン半導体膜が設けられた構成の基板をいうが、本明細書などにおいては、絶縁表面上にシリコン以外の材料からなる半導体膜が設けられた構成の基板も含む。つまり、「SOI基板」が有する半導体膜は、シリコン半導体膜に限定されない。また、SOI基板には、ガラス基板などの絶縁基板上に絶縁膜を介して半導体膜が設けられた構成のものが含まれるものとする。
SOI基板の作製方法としては、鏡面研磨ウェハーに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて作る方法、水素イオン照射により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開する方法や、絶縁表面上に結晶成長により単結晶半導体膜を形成する方法等を用いることができる。
例えば、単結晶半導体基板の一つの面からイオンを添加して、単結晶半導体基板の一つの面から一定の深さに脆弱化層を形成し、単結晶半導体基板の一つの面上、又は素子基板上のどちらか一方に絶縁膜を形成する。単結晶半導体基板と素子基板を、絶縁膜を挟んで重ね合わせた状態で、脆弱化層に亀裂を生じさせ、単結晶半導体基板を脆弱化層で分離する熱処理を行い、単結晶半導体基板より半導体膜として単結晶半導体膜を素子基板上に形成する。上記方法を用いて作製されたSOI基板も好適に用いることができる。
基板601上にはトランジスタ600を囲むように素子分離絶縁膜606が設けられている(図18(B)参照)。なお、高集積化を実現するためには、トランジスタ600にサイドウォール絶縁膜を設けない構造とすることが望ましい。一方で、トランジスタ600の電気特性を重視する場合には、ゲート電極617の側面にサイドウォール絶縁膜を設け、不純物濃度が異なる領域を含む不純物領域を設けてもよい。
単結晶半導体基板を用いたトランジスタ600は、高速動作が可能である。このため、トランジスタ600を読み出し用のトランジスタとして用いることで、情報の読み出しを高速に行うことができる。トランジスタ600を覆うように絶縁膜を複数層形成する。トランジスタ300及び容量素子650の形成前の処理として、複数層の絶縁膜にCMP処理を施して、平坦化した絶縁膜623、絶縁膜625を形成し、さらに、トランジスタ300の下地絶縁膜として機能する下地絶縁膜103を形成し、同時にゲート電極617の上面を露出させる。
絶縁膜619、絶縁膜623、絶縁膜625は、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁膜623、絶縁膜625は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて形成することができる。
また、絶縁膜619、絶縁膜623、絶縁膜625には、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂などの有機材料を用いることができる。上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。絶縁膜623、絶縁膜625に有機材料を用いる場合、スピンコート法、印刷法などの湿式法によって形成してもよい。
なお、絶縁膜625には窒化シリコン膜を用いて、窒素雰囲気下で450℃以上650℃以下の熱処理を行うことが好ましい。このようにすることで、当該窒化シリコン膜に含まれる水素をトランジスタ600に供給することができ、トランジスタ600の半導体材料を水素化することができる。また、絶縁膜625に窒化シリコン膜を用いることで、トランジスタ300及び容量素子650の作製工程中に、トランジスタ600や絶縁膜623に含まれる水素が侵入することを抑制できる。
本実施の形態では、絶縁膜619としてCVD法により膜厚50nmの酸化窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜623としてスパッタリング法により膜厚550nmの酸化シリコン膜を形成、絶縁膜625としてCVD法により膜厚50nmの窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜625上にトランジスタ300及び容量素子650を作製する。トランジスタ300は先の実施の形態の説明を参照して作製することができる(図5乃至図8参照)。
また、本実施の形態の半導体装置は、トランジスタ300の作製工程を一部利用して容量素子650を作製する。従って、別途、容量素子650を作製する工程を省くことができるため、半導体装置の生産性を向上させることや、作製コストを低減することができる。
容量素子650は、一方の電極としてトランジスタ300のソース電極127aを用いており、誘電体としてトランジスタ300の保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123を用いており、他方の電極としてトランジスタ300の層間絶縁膜124を形成する前に形成した電極126を用いている。
なお、トランジスタ300のサイドウォール絶縁膜119を自己整合的に形成する場合、容量素子650の当該他方の電極にも、トランジスタ300のサイドウォール絶縁膜119と同様の絶縁膜が形成される。
トランジスタ300は、チャネル長方向にチャネル形成領域として機能する第1の領域132を挟んで、第1の領域132より低抵抗領域である一対の第2の領域134a、134b及び一対の第3の領域136a、136bを有する酸化物半導体膜130を有することにより、トランジスタ300はオン特性(例えば、オン電流及び電界効果移動度)が高く、高速動作、高速応答が可能となる。
また、一対の第2の領域128a、128b、第1の領域122(チャネル形成領域)に加わる電界を緩和させることができる。
一対の第2の領域128a、128bはソース領域、又はドレイン領域として機能する。一対の第2領域128a、128bはドーパントが注入されて低抵抗化されており、ソース電極127a及びドレイン電極127bとの接触抵抗を低減することができる。従って、トランジスタ300はオン特性(例えば、オン電流及び電界効果移動度)が高く、高速動作、高速応答が可能となる。
さらに、トランジスタ300及び容量素子650には、保護絶縁膜121が設けられており、保護絶縁膜121は外気に含まれる水素、水分などの不純物を通過させない機能を有することから、トランジスタ300及び容量素子650の信頼性が良好である。従って、本実施の形態に示す半導体装置は信頼性が良好な半導体装置である。
また、配線627は、トランジスタ300のソース配線327a又はドレイン配線327bに相当し、ソース配線327a及びドレイン配線327bと同様にして形成すればよい。例えば、保護絶縁膜121、層間絶縁膜123及び層間絶縁膜124にドレイン電極127bに達する開口を形成し、当該開口に配線627をトランジスタ300のソース配線327a及びドレイン配線327bと同様の方法で形成する。
以上より、トランジスタ600、トランジスタ300及び容量素子650を有する半導体装置を作製することできる。トランジスタ300は、高純度化し、酸素欠損が修復された酸化物半導体膜120を有するトランジスタである。よって、トランジスタ300は、電気特性の変動が抑制されたトランジスタである。
なお、容量素子650では、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123により、絶縁性を十分に確保されている。
また、本実施の形態の半導体装置において、トランジスタ300の代わりにトランジスタ100、トランジスタ200、トランジスタ450、トランジスタ500又はトランジスタ550を用いる場合は、そのトランジスタの構造に応じて容量素子650の構成を適宜選択することができる。例えば、容量素子650の一方の電極及び他方の電極をゲート電極117、ソース電極127a又はドレイン電極127bで形成することができる。これにより、容量素子650において電極間距離を短くすることでき、容量を大きくすることができる。また、トランジスタと同一の作製工程を用いてトランジスタと同一平面上に容量素子650を形成することができるため、歩留まり良く当該半導体装置を作製することができる。なお、本実施の形態に示した半導体装置において、容量が不要の場合は、容量素子650を設けない構成の半導体装置とすることも可能である。
図18(C)には、上記半導体装置をメモリセルとして用いる場合の回路図の一例を示す。図18(C)において、トランジスタ300のソース電極又はドレイン電極の一方は、容量素子650の電極の一方、及び、トランジスタ600のゲート電極と電気的に接続されている。また、第1の配線(1st Line:ソース線とも呼ぶ。)は、トランジスタ600のソース電極と電気的に接続され、第2の配線(2nd Line:ビット線とも呼ぶ。)は、トランジスタ600のドレイン電極と電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line:第1の信号線とも呼ぶ。)は、トランジスタ300のソース電極又はドレイン電極の他方と電気的に接続され、第4の配線(4th Line:第2の信号線とも呼ぶ。)は、トランジスタ300のゲート電極と電気的に接続されている。そして、第5の配線(5th Line:ワード線とも呼ぶ。)は、容量素子650の電極の他方と電気的に接続されている。
酸化物半導体を用いたトランジスタ300は、オフ電流が極めて小さいという特徴を有しているため、トランジスタ300をオフ状態とすることで、トランジスタ300のソース電極又はドレイン電極の一方と、容量素子650の電極の一方と、トランジスタ600のゲート電極とが電気的に接続されたノード(以下、ノードFG)の電位を極めて長時間にわたって保持することが可能である。そして、容量素子650を有することにより、ノードFGに与えられた電荷の保持が容易になり、また、保持された情報の読み出しが容易になる。
半導体装置に情報を記憶させる場合(書き込み)は、まず、第4の配線の電位を、トランジスタ300がオン状態となる電位にして、トランジスタ300をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位が、ノードFGに供給され、ノードFGに所定量の電荷が蓄積される。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下、ロー(Low)レベル電荷、ハイ(High)レベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ300がオフ状態となる電位にして、トランジスタ300をオフ状態とすることにより、ノードFGが浮遊状態となるため、ノードFGには所定の電荷が保持されたままの状態となる。以上のように、ノードFGに所定量の電荷を蓄積及び保持させることで、メモリセルに情報を記憶させることができる。
トランジスタ300のオフ電流は極めて小さいため、ノードFGに供給された電荷は長時間にわたって保持される。したがって、リフレッシュ動作が不要となるか、又は、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となり、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
記憶された情報を読み出す場合(読み出し)は、第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、ノードFGに保持された電荷量に応じて、トランジスタ600は異なる状態をとる。一般に、トランジスタ600をnチャネル型とすると、ノードFGにHighレベル電荷が保持されている場合のトランジスタ600の見かけのしきい値Vth_Hは、ノードFGにLowレベル電荷が保持されている場合のトランジスタ600の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値とは、トランジスタ600を「オン状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードFGに保持された電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ600は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ600は「オフ状態」のままである。このため、第5の配線の電位を制御して、トランジスタ600のオン状態又はオフ状態を読み出す(第2の配線の電位を読み出す)ことで、記憶された情報を読み出すことができる。
また、記憶させた情報を書き換える場合においては、上記の書き込みによって所定量の電荷を保持したノードFGに、新たな電位を供給することで、ノードFGに新たな情報に係る電荷を保持させる。具体的には、第4の配線の電位を、トランジスタ300がオン状態となる電位にして、トランジスタ300をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位(新たな情報に係る電位)が、ノードFGに供給され、ノードFGに所定量の電荷が蓄積される。その後、第4の配線の電位をトランジスタ300がオフ状態となる電位にして、トランジスタ300をオフ状態とすることにより、ノードFGには、新たな情報に係る電荷が保持された状態となる。すなわち、ノードFGに第1の書き込みによって所定量の電荷が保持された状態で、第1の書き込みと同様の動作(第2の書き込み)を行うことで、記憶させた情報を上書きすることが可能である。
本実施の形態で示すトランジスタ300は、高純度化され、酸素欠損が抑制された酸化物半導体膜120を用いることで、トランジスタ300のオフ電流を十分に低減することができる。そして、このようなトランジスタを用いることで、電力の供給がない場合であっても、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能な半導体装置が得られる。
以上より、先の実施の形態で説明したいずれかのトランジスタを用いることで高性能な半導体装置を提供することができる。
なお、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態又は実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、実施の形態9で説明した半導体装置の応用例について、図19を用いて説明する。
図19(A)及び図19(B)は、図18(A)乃至図18(C)に示した記憶素子(以下、メモリセル660とも記載する。)を複数用いて形成される半導体装置の回路図である。図19(A)は、メモリセル660が直列に接続された、いわゆるNAND型の半導体装置の回路図であり、図19(B)は、メモリセル660が並列に接続された、いわゆるNOR型の半導体装置の回路図である。
図19(A)に示す半導体装置は、ソース線SL、ビット線BL、第1信号線S1、複数本の第2信号線S2、複数本のワード線WL、複数のメモリセル660を有する。図19(A)では、ソース線SL及びビット線BLを1本ずつ有する構成となっているが、これに限られることなく、ソース線SL及びビット線BLを複数本有する構成としてもよい。
各メモリセル660において、トランジスタ600のゲート電極と、トランジスタ300のソース電極又はドレイン電極の一方と、容量素子650の電極の一方とは、電気的に接続されている。また、第1信号線S1とトランジスタ300のソース電極又はドレイン電極の他方とは、電気的に接続され、第2信号線S2と、トランジスタ300のゲート電極とは、電気的に接続されている。そして、ワード線WLと、容量素子650の電極の他方は電気的に接続されている。
また、メモリセル660が有するトランジスタ600のソース電極は、隣接するメモリセル660のトランジスタ600のドレイン電極と電気的に接続され、メモリセル660が有するトランジスタ600のドレイン電極は、隣接するメモリセル660のトランジスタ600のソース電極と電気的に接続される。ただし、直列に接続された複数のメモリセルのうち、一方の端に設けられたメモリセル660が有するトランジスタ600のドレイン電極は、ビット線と電気的に接続される。また、直列に接続された複数のメモリセルのうち、他方の端に設けられたメモリセル660が有するトランジスタ600のソース電極は、ソース線と電気的に接続される。
図19(A)に示す半導体装置では、行ごとの書き込み動作及び読み出し動作を行う。書き込み動作は次のように行われる。書き込みを行う行の第2の信号線S2にトランジスタ300がオン状態となる電位を与え、書き込みを行う行のトランジスタ300をオン状態にする。これにより、指定した行のトランジスタ600のゲート電極に第1の信号線S1の電位が与えられ、該ゲート電極に所定の電荷が与えられる。このようにして、指定した行のメモリセルにデータを書き込むことができる。
また、読み出し動作は次のように行われる。まず、読み出しを行う行以外のワード線WLに、トランジスタ600のゲート電極に与えられた電荷によらず、トランジスタ600がオン状態となるような電位を与え、読み出しを行う行以外のトランジスタ600をオン状態とする。それから、読み出しを行う行のワード線WLに、トランジスタ600のゲート電極が有する電荷によって、トランジスタ600のオン状態又はオフ状態が選択されるような電位(読み出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線BLに接続されている読み出し回路(図示しない)を動作状態とする。ここで、ソース線SL−ビット線BL間の複数のトランジスタ600は、読み出しを行う行を除いてオン状態となっているため、ソース線SL−ビット線BL間のコンダクタンスは、読み出しを行う行のトランジスタ600の状態(オン状態又はオフ状態)によって決定される。読み出しを行う行のトランジスタ600のゲート電極が有する電荷によって、トランジスタのコンダクタンスは異なるから、それに応じて、ビット線BLの電位は異なる値をとることになる。ビット線の電位を読み出し回路によって読み出すことで、指定した行のメモリセルから情報を読み出すことができる。
図19(B)に示す半導体装置は、ソース線SL、ビット線BL、第1信号線S1、第2信号線S2、及びワード線WLをそれぞれ複数本有し、複数のメモリセル660を有する。各トランジスタ600のゲート電極と、トランジスタ300のソース電極又はドレイン電極の一方と、容量素子650の電極の一方とは、電気的に接続されている。また、ソース線SLとトランジスタ600のソース電極とは、電気的に接続され、ビット線BLとトランジスタ600のドレイン電極とは、電気的に接続されている。また、第1信号線S1とトランジスタ300のソース電極又はドレイン電極の他方とは、電気的に接続され、第2信号線S2と、トランジスタ300のゲート電極とは、電気的に接続されている。そして、ワード線WLと、容量素子650の電極の他方は電気的に接続されている。
図19(B)に示す半導体装置では、行ごとの書き込み動作及び読み出し動作を行う。書き込み動作は、上述の図19(A)に示す半導体装置と同様の方法で行われる。読み出し動作は次のように行われる。まず、読み出しを行う行以外のワード線WLに、トランジスタ600のゲート電極に与えられた電荷によらず、トランジスタ600がオフ状態となるような電位を与え、読み出しを行う行以外のトランジスタ600をオフ状態とする。それから、読み出しを行う行のワード線WLに、トランジスタ600のゲート電極が有する電荷によって、トランジスタ600のオン状態又はオフ状態が選択されるような電位(読み出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線BLに接続されている読み出し回路(図示しない)を動作状態とする。ここで、ソース線SL−ビット線BL間のコンダクタンスは、読み出しを行う行のトランジスタ600の状態(オン状態又はオフ状態)によって決定される。つまり、読み出しを行う行のトランジスタ600のゲート電極が有する電荷によって、ビット線BLの電位は異なる値をとることになる。ビット線の電位を読み出し回路によって読み出すことで、指定した行のメモリセルから情報を読み出すことができる。
上記においては、各メモリセル660に保持させる情報量を1ビットとしたが、本実施の形態に示す記憶装置の構成はこれに限られない。トランジスタ600のゲート電極に与える電位を3以上用意して、各メモリセル660が保持する情報量を増加させてもよい。例えば、トランジスタ600のゲート電極にあたえる電位を4種類とする場合には、各メモリセルに2ビットの情報を保持させることができる。
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態又は実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、先の実施の形態のいずれかで説明したトランジスタを適用した半導体装置について図20を用いて説明する。なお、本実施の形態においても、半導体装置の一例として記憶素子(メモリセル)を示し、先の実施の形態に示した構成と異なる構成の記憶素子について説明する。
本実施の形態で説明する記憶素子の回路図を図20(A)に示す。
図20(A)に示したメモリセルは、ビット線BLと、ワード線WLと、トランジスタTrと、キャパシタCと、を有する。センスアンプSAmpは当該メモリセルと電気的に接続されている。
キャパシタCに保持された電圧の時間変化は、トランジスタTrのオフ電流によって図20(B)に示すように徐々に低減していくことが知られている。当初V0からV1まで充電された電圧は、時間が経過するとdata1を読み出す限界点であるVAまで低減する。この期間を保持期間T_1とする。即ち、2値メモリセルの場合、保持期間T_1の間にリフレッシュをする必要がある。
先の実施の形態のいずれかで説明したトランジスタは、高純度化され、酸素欠損が修復された酸化物半導体を用いたトランジスタであり、電気特性の変動が抑制され、オフ電流が十分に低減されている。そのため、トランジスタTrに先の実施の形態のいずれかで説明したトランジスタを適用することで保持期間T_1を長くすることができる。即ち、リフレッシュ期間を長くとることが可能となるため、消費電力を低減することができる。例えば、オフ電流が1×10−21A以下、好ましくは1×10−24A以下となった酸化物半導体を用いたトランジスタで本実施の形態で説明するメモリセルを構成すると、電力を供給せずに数日間から数十年間に渡ってデータを保持することが可能となる。
そして、先の実施の形態のいずれかで説明したトランジスタは、オン電流及び電界効果移動度が高いことから高速動作、高速応答が可能なメモリセルを作製することができる。
以上より、先の実施の形態で説明したいずれかのトランジスタを用いることで高性能な半導体装置を提供することができる。
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態又は実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態12)
本実施の形態では、先の実施の形態のいずれかで説明したトランジスタを適用した半導体装置について、図21を参照して説明する。
図21(A)には、いわゆるDRAM(Dynamic Random Access Memory)に相当する構成の半導体装置の一例を示す。図21(A)に示すメモリセルアレイ1120は、複数のメモリセル1130がマトリクス状に配列された構成を有している。また、メモリセルアレイ1120は、m本の第1の配線、及びn本の第2の配線を有する。なお、本実施の形態においては、第1の配線をビット線BLとよび、第2の配線をワード線WLとよぶ。
メモリセル1130は、トランジスタ1131と、容量素子1132と、から構成されている。トランジスタ1131のゲート電極は、第1の配線(ワード線WL)と接続されている。また、トランジスタ1131のソース電極又はドレイン電極の一方は、第2の配線(ビット線BL)と接続されており、トランジスタ1131のソース電極又はドレイン電極の他方は、容量素子の電極の一方と接続されている。また、容量素子の電極の他方は容量線CLと接続され、一定の電位が与えられている。トランジスタ1131には、先の実施の形態に示すいずれかのトランジスタが適用される。
先の実施の形態のいずれかで説明したトランジスタは、高純度化され、酸素欠損が修復された酸化物半導体を用いたトランジスタであり、電気特性の変動が抑制され、オフ電流が十分に低減されている。このようなトランジスタを用いることにより、いわゆるDRAMとして認識されている図21(A)に示す半導体装置を実質的な不揮発性メモリとして使用することが可能になる。
図21(B)には、いわゆるSRAM(Static Random Access Memory)に相当する構成の半導体装置の一例を示す。図21(B)に示すメモリセルアレイ1140は、複数のメモリセル1150がマトリクス状に配列された構成とすることができる。また、メモリセルアレイ1140は、第1の配線(ワード線WL)、第2の配線(ビット線BL)及び第3の配線(反転ビット線BLB)、電源電位線VDD、及び接地電位線VSSを有する。
メモリセル1150は、第1のトランジスタ1151、第2のトランジスタ1152、第3のトランジスタ1153、第4のトランジスタ1154、第5のトランジスタ1155、及び第6のトランジスタ1156を有している。第1のトランジスタ1151と第2のトランジスタ1152は、選択トランジスタとして機能する。また、第3のトランジスタ1153と第4のトランジスタ1154のうち、一方はnチャネル型トランジスタ(ここでは、第4のトランジスタ1154)であり、他方はpチャネル型トランジスタ(ここでは、第3のトランジスタ1153)である。つまり、第3のトランジスタ1153と第4のトランジスタ1154によってCMOS回路が構成されている。同様に、第5のトランジスタ1155と第6のトランジスタ1156によってCMOS回路が構成されている。
第1のトランジスタ1151、第2のトランジスタ1152、第4のトランジスタ1154、第6のトランジスタ1156は、nチャネル型のトランジスタであり、先の実施の形態において示したトランジスタを適用することができる。第3のトランジスタ1153と第5のトランジスタ1155は、pチャネル型のトランジスタであり、酸化物半導体以外の材料(例えば、単結晶シリコンなど)をチャネル形成領域に用いる。
そして、先の実施の形態のいずれかで説明したトランジスタは、オン電流及び電界効果移動度が高いことから高速動作、高速応答が可能な半導体装置を作製することができる。
以上より、先の実施の形態で説明したいずれかのトランジスタを用いることで高性能な半導体装置を提供することができる。
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態又は実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態13)
先の実施の形態のいずれかで説明したトランジスタを少なくとも一部に用いてCPU(Central Processing Unit)を構成することができる。
図22(A)は、CPUの具体的な構成を示すブロック図である。図22(A)に示すCPUは、基板1190上に、演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース(Bus I/F)1198、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェース(ROM I/F)1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199及びROM I/F1189は、別チップに設けても良い。勿論、図22(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
Bus I/F1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及びレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
図22(A)に示すCPUでは、レジスタ1196に、記憶素子が設けられている。レジスタ1196の記憶素子には、先の実施の形態に記載されている記憶素子を用いることができる。
図22(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有する記憶素子において、論理(値)を反転させる論理素子によるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。論理(値)を反転させる論理素子によるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内の記憶素子への、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内の記憶素子への電源電圧の供給を停止することができる。
電源停止に関しては、図22(B)又は図22(C)に示すように、記憶素子群と、電源電位Vdd又は電源電位Vssの与えられているノード間に、スイッチング素子を設けることにより行うことができる。以下に図22(B)及び図22(C)の回路の説明を行う。
図22(B)及び図22(C)では、記憶素子への電源電位の供給を制御するスイッチング素子に、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタを含む記憶回路の構成の一例を示す。
図22(B)に示す記憶装置は、スイッチング素子1141と、記憶素子1142を複数有する記憶素子群1143とを有している。具体的に、各記憶素子1142には、先の実施の形態に記載されている記憶素子を用いることができる。記憶素子群1143が有する各記憶素子1142には、スイッチング素子1141を介して、ハイレベルの電源電位Vddが供給されている。さらに、記憶素子群1143が有する各記憶素子1142には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位Vssの電位が与えられている。
図22(B)では、スイッチング素子1141として、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタを用いており、該トランジスタは、そのゲート電極に与えられる信号SigAによりスイッチングが制御される。
なお、図22(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する構成を示しているが、特に限定されず、トランジスタを複数有していても良い。スイッチング素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列が組み合わされて接続されていても良い。
また、図22(B)では、スイッチング素子1141により、記憶素子群1143が有する各記憶素子1142への、ハイレベルの電源電位Vddの供給が制御されているが、スイッチング素子1141により、ローレベルの電源電位Vssの供給が制御されていても良い。
また、図22(C)には、記憶素子群1143が有する各記憶素子1142に、スイッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位Vssが供給されている、記憶装置の一例を示す。スイッチング素子1141により、記憶素子群1143が有する各記憶素子1142への、ローレベルの電源電位Vssの供給を制御することができる。
記憶素子群と、電源電位Vdd又は電源電位Vssの与えられているノード間に、スイッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。具体的には、例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置への情報の入力を停止している間でも、CPUの動作を停止することができ、それにより消費電力を低減することができる。
ここでは、CPUを例に挙げて説明したが、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のLSIにも応用可能である。
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態又は実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態14)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明したトランジスタ、半導体記憶装置及びCPUの一以上を含む電子機器の例について説明する。
図23(A)は携帯型情報端末である。図23(A)に示す携帯型情報端末は、筐体9300と、ボタン9301と、マイクロフォン9302と、表示部9303と、スピーカー9304と、カメラ9305と、を具備し、携帯型電話機としての機能を有する。
図23(B)は、ディスプレイである。図23(B)に示すディスプレイは、筐体9310と、表示部9311と、を具備する。
図23(C)は、デジタルスチルカメラである。図23(C)に示すデジタルスチルカメラは、筐体9320と、ボタン9321と、マイクロフォン9322と、表示部9323と、を具備する。
図23(D)は2つ折り可能な携帯情報端末である。図23(D)に示す2つ折り可能な携帯情報端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、留め具9633、操作スイッチ9638、を有する。
表示部9631a又は/及び表示部9631bは、一部又は全部をタッチパネルとすることができ、表示された操作キーに触れることでデータ入力などを行うことができる。
本発明の一態様を用いることで、電子機器の性能を高めることができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の一態様であるトランジスタの電気特性について説明する。
始めに、評価したトランジスタの作製方法について図2、図5、図11乃至図14を参照して説明する。
基板101上に下地絶縁膜103を形成した(図示せず)。基板101はCzochralski法で作製され、ボロンが注入されたP型のシリコン基板(面方位(100)、抵抗率8〜12Ωcm)を用いた。下地絶縁膜103はプラズマCVD法を用いて酸化窒化シリコン膜を300nm形成した。なお、当該プラズマCVD法の条件を以下に記す。平行平板電極を有するプラズマCVD装置の処理室に導入したガスはSiH4を4sccm、N2Oを800sccmとした。基板101が400℃に保持されるように上部電極の温度を400℃、下部電極の温度を465℃に保持した。上部電極と下部電極の間(ギャップ)は15mmとした。処理室内の圧力を40Paに調節した。27MHzのRF電源を用いて50Wの電力を加えた。
次に、形成した下地絶縁膜103にCMP処理を行い、表面の平坦化処理を行った。当該CMP処理は狙い研磨量を20nmとして行った。当該条件を以下に記す。CMP研磨パッドとしてTR68FZ/8K6X/T13(東レ株式会社製)を用い、スラリーとしてはNP8020(ニッタ・ハース株式会社製)の原液(シリカ粒径60nm〜80nm)を用い、研磨時間2分、研磨圧0.01MPa、基板101を固定している側のスピンドル回転数は60rpm、研磨布が固定されているテーブル回転数は56rpmとした。なお、CMP処理を行った後に基板101をオゾン水で洗浄した。
次に、450℃の真空雰囲気下で1時間の熱処理を行い、表面を平坦化した下地絶縁膜103に含まれる水素を除去した。
次に、水素を除去した下地絶縁膜103に酸素イオンをイオンインプランテーション法で注入した。当該イオンインプランテーション法の条件としては、酸素イオンのドーズ量は2.0×1016cm−2とし、加速電圧を60kVとした。なお、当該工程を行うことで、下地絶縁膜103を実施の形態7で説明したように、化学量論的組成より多くの酸素を含む絶縁膜を形成した。
In−Ga−Zn系酸化物を用いて酸素イオンが注入された下地絶縁膜103上に酸化物半導体膜154をスパッタリング法で20nm形成した(図5(A)参照)。当該スパッタリング法の条件を以下に記す。スパッタリングターゲットはIn:Ga:Zn=3:1:2(原子数比)のターゲットを用い、スパッタリング装置の処理室に導入するスパッタリングガスはアルゴンを30sccm、酸素を15sccmとした。基板101を200℃に加熱保持した。スパッタリングターゲットと基板間を60mmとした。処理室内の圧力を0.4Paに調節した。DC電源を用いて0.5kWの電力を加えた。
次に、酸化物半導体膜154に酸素イオンをイオンインプランテーション法で注入した。当該イオンインプランテーション法の条件としては、酸素イオンのドーズ量は1.0×1016cm−2とし、加速電圧を5kVとした。なお、当該工程を行うことで、化学量論的組成より多くの酸素を含む酸化物半導体膜を形成した。
酸素イオンを注入した酸化物半導体膜154にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行って、酸化物半導体膜105を形成した(図5(B)参照)。なお、当該エッチング工程の条件を以下に記す。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)装置を用いて行った。ICP装置の処理室に導入するエッチングガスは三塩化ホウ素を流量60sccm、塩素を流量20sccmとした。処理室内の圧力を1.9Paに調節した。ICPパワーは450W、バイアスパワーは100Wとした。
酸化物半導体膜105上に絶縁膜156を形成した(図2参照)。絶縁膜156はマイクロ波を用いたプラズマCVD法で酸化窒化シリコン膜を10nm形成した。なお、当該マイクロ波を用いたプラズマCVD法の条件を以下に記す。マイクロ波プラズマCVD装置の処理室で発生させるプラズマを安定させるために、始めに、当該処理室にSiH4を10sccm、N2Oを300sccm、Arを2500sccm導入し、処理室内の圧力を20Paに調節し、基板101と電極間を160mmとし、基板101を325℃に保持し、2.45GHzマイクロ波電源を用いて5kWの電力を加えた。発生したプラズマが安定した後、当該処理室に導入するSiH4を30sccmに、N2Oを1500sccm、Arを2500sccmに流量を増大して酸化窒化シリコン膜を形成した。この後、形成した酸化窒化シリコン膜に含まれる欠陥を酸素で終端させるために、SiH4の導入を停止し、N2Oを1000sccm、Arを2500sccmに変化させて、処理室内の圧力を20Paに調節し、基板101と電極間を160mmにし、基板101を325℃に保持し、2.45GHzマイクロ波電源を用いて5kWの電力を加えて、プラズマ処理を行った。
絶縁膜156上に導電膜157をスパッタリング法で形成した(図5(C)参照)。ここでは導電膜157として、窒化タンタル膜30nm上にタングステン膜200nmを形成した。当該スパッタリング法の条件を以下に記す。始めに窒化タンタル膜を形成するための条件を記す。タンタルのスパッタリングターゲットを用い、スパッタリング装置の処理室に導入するスパッタリングガスはアルゴンを50sccm、窒素を10sccmとした。基板101を室温に保持した。スパッタリングターゲットと基板間を60mmとした。処理室内の圧力を0.6Paに調節した。DC電源を用いて1kWの電力を加えた。次にタングステン膜を形成するための条件を記す。タングステンのスパッタリングターゲットを用い、スパッタリング装置の処理室に導入するスパッタリングガスはアルゴンを100sccm、とした。基板101を200℃に保持した。スパッタリングターゲットと基板間を60mmとした。処理室内の圧力を2.0Paに調節した。DC電源を用いて4kWの電力を加えた。
導電膜157にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行ってゲート電極117を形成した(図12(A)参照)。ここでは、ゲート電極117を形成するために導電膜157上に形成したレジストマスクをスリミングし、スリミングしたレジストマスクを用いて導電膜157を加工した。スリミングの条件及び当該エッチング工程の条件を以下に記す。スリミングはICP装置を用いて行った。ICP装置の処理室に導入するエッチングガスは酸素を流量100sccmとした。処理室内の圧力を3.0Paに調節した。ソースパワーは2000Wとした。導電膜157をゲート電極117に加工するエッチング工程はICP装置を用いて、2つの条件を用いて行った。1つ目の条件について、ICP装置の処理室に導入するエッチングガスは塩素を流量45sccmとし、四フッ化炭素を55sccmとし、酸素を55sccmとした。基板101の温度は40℃に保持した。処理室内の圧力を0.67Paに調節した。ソースパワーは3000W、バイアスパワーは110Wとした。2つ目の条件について、ICP装置の処理室に導入するエッチングガスは塩素を流量100sccmとした。基板101の温度は40℃に保持した。処理室内の圧力を0.67Paに調節した。ICPパワーは2000W、バイアスパワーは50Wとした。
絶縁膜156及びゲート電極117上に第1の絶縁膜を形成した。当該第1の絶縁膜はマイクロ波を用いたプラズマCVD法で酸化窒化シリコン膜を40nm形成した。なお、当該マイクロ波を用いたプラズマCVD法の条件を以下に記す。当該第1の絶縁膜は、始めに、マイクロ波プラズマCVD装置の処理室に3000sccmのアルゴン、2500sccmのN2Oを導入し、処理室内の圧力を30Paに調節し、基板101と電極間を160mmとし、基板101を325℃に保持し、2.45GHzマイクロ波電源を用いて5kWの電力を加えてプラズマを発生させた。その後、当該処理室にSiH4を250sccm、N2Oを2500sccm、Arを2500sccm導入し、処理室内の圧力を30Paに調整し、基板101と電極間を160mmとし、基板101を325℃に保持し、2.45GHzマイクロ波電源を用いて5kWの電力を加えて酸化窒化シリコン膜を形成した。
第1の絶縁膜を形成した後、リンイオンを酸化物半導体膜105にマイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した第1の絶縁膜を通過させて注入した。リンイオンはゲート電極117をマスクとしたイオンインプランテーション法で注入した。当該イオンインプランテーション法の条件としては、リンイオンのドーズ量は2.5×1015cm−2とし、加速電圧を60kVとした。なお、当該工程を行うことで、第1の領域122及び一対の第2の領域128a、128bをセルフアラインに形成した。
マイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜を形成した。当該第2の絶縁膜は、プラズマCVD法で酸化窒化シリコン膜を40nm形成した。当該プラズマCVD法の条件を以下に記す。平行平板電極を有するプラズマCVD装置の処理室に導入したガスはSiH4を1sccm、N2Oを800sccmとした。基板101が400℃に保持されるように上部電極の温度を400℃、下部電極の温度を465℃に保持した。上部電極と下部電極の間(ギャップ)は28mmとした。処理室内の圧力を40Paに調節した。60MHzのRF電源を用いて150Wの電力を加えた。なお、本実施例では、マイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した第1の絶縁膜と、当該プラズマCVD法で形成した第2の絶縁膜と、を含めて絶縁膜161とする(図12(B)参照)。
絶縁膜161を異方性エッチングで加工し、サイドウォール絶縁膜119を形成し(図12(C)参照)、絶縁膜156を異方性エッチングで加工し、ゲート絶縁膜113を形成した(図12(D)参照)。当該異方性エッチングの条件を以下に記す。当該異方性エッチングはICP装置を用いて行った。ICP装置の処理室に導入するエッチングガスは三フッ化メタンを流量30sccmとし、ヘリウムを120sccmとし、基板101の温度は−10℃に保持した。処理室内の圧力を2.0Paに調節した。ソースパワーは3000W、バイアスパワーは200Wとした。なお、絶縁膜161及び絶縁膜156ともに同じエッチング条件で加工した。
下地絶縁膜103、一対の第2の領域128a、128b、ゲート絶縁膜113、ゲート電極117、及びサイドウォール絶縁膜119上に導電膜179をスパッタリング法で形成した(図13(A)参照)。ここでは導電膜179としてタングステン膜30nmを形成した。当該スパッタリング法の条件を以下に記す。タングステンのスパッタリングターゲットを用い、スパッタリング装置の処理室に導入するスパッタリングガスはアルゴンを80sccmとした。基板101を室温に保持した。スパッタリングターゲットと基板間を60mmとした。処理室内の圧力を0.8Paに調節した。DC電源を用いて1kWの電力を加えた。
なお、本実施例では導電膜179にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い、一部の領域において導電膜179を30nm除去した。当該エッチング工程の条件を以下に記す。当該エッチング工程はICP装置を用いて行った。ICP装置の処理室に導入するエッチングガスは四フッ化炭素を流量55sccmとし、塩素を45sccmとし、酸素を55sccmとし、基板101の温度は40℃に保持した。処理室内の圧力を0.67Paに調節した。ソースパワーは3000W、バイアスパワーは110Wとした。
導電膜179上に保護絶縁膜121をスパッタリング法で形成した(図13(B)参照)。ここでは保護絶縁膜121として酸化アルミニウム膜を70nm形成した。当該スパッタリング法の条件を以下に記す。アルミニウムのスパッタリングターゲットを用い、スパッタリング装置の処理室に導入するスパッタリングガスはアルゴンを25sccmとし、酸素を25sccmとした。基板101を250℃に保持した。スパッタリングターゲットと基板間を60mmとした。処理室内の圧力を0.4Paに調節した。RF電源を用いて2.5kWの電力を加えた。
保護絶縁膜121上に層間絶縁膜123をプラズマCVD法で形成した(図13(C)参照)。ここでは層間絶縁膜123として酸化窒化シリコン膜を460nm形成した。当該プラズマCVD法の条件を以下に記す。平行平板電極を有するプラズマCVD装置の処理室に導入したガスはSiH4を5sccm、N2Oを1000sccmとした。基板101を325℃に保持した。上部電極と下部電極の間(ギャップ)は20mmとした。処理室内の圧力を133.3Paに調節した。13.56MHzのRF電源を用いて35Wの電力を加えた。
導電膜179、保護絶縁膜121及び層間絶縁膜123にCMP処理を行い、ソース電極127a及びドレイン電極127bの形成、並びに保護絶縁膜121表面及び層間絶縁膜123表面の平坦化処理を行った(図14(A)参照)。当該CMP処理は、下地絶縁膜103に行ったCMP処理と同じCMP研磨パッドを用いて2つの条件で行った。1つ目の条件は、スラリーとしてNP8020の原液を用い、研磨時間1.5分、研磨圧0.08MPa、基板101を固定している側のスピンドル回転数は51rpm、研磨布が固定されているテーブル回転数は50rpmとした。2つ目の条件はスラリーとしてSSW2000(Cabot社製)1000mlに過酸化水素水を135ml添加し、さらに純水で2倍希釈した薬液を用い、研磨時間0.2分、研磨圧0.01MPa、基板101を固定している側のスピンドル回転数は39rpm、研磨布が固定されているテーブル回転数は35rpmとした。なお、当該CMP処理を行った後に基板101をオゾン水で洗浄した。
平坦化した保護絶縁膜121、平坦化した層間絶縁膜123、サイドウォール絶縁膜119、及びゲート電極117上に層間絶縁膜124をプラズマCVD法で形成した(図14(B)参照)。ここでは層間絶縁膜124として酸化窒化シリコン膜を400nm形成した。当該プラズマCVD法の条件を以下に記す。平行平板電極を有するプラズマCVD装置の処理室に導入したガスはSiH4を5sccm、N2Oを1000sccmとした。基板101を325℃に保持した。上部電極と下部電極の間(ギャップ)は20mmとした。処理室内の圧力を133.3Paに調節した。13.56MHzのRF電源を用いて35Wの電力を加えた。
ここまでの工程で得られた構成に400℃、酸素雰囲気下の熱処理を1時間行った。
層間絶縁膜124にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い、ソース電極127a及びドレイン電極127bに達する開口125a、開口125bを形成した(図14(C)参照)。以下に当該エッチング工程の条件を記す。当該エッチング工程はICP装置を用いて行った。ICP装置の処理室に導入するエッチングガスは三フッ化メタンを流量50sccm及びヘリウムを100sccmとする条件と、三フッ化メタンを流量7.5sccm及びヘリウムを142.5sccmとする条件を用いた。なお、この2つの条件において、処理室内の圧力は0.67Pa、ICPパワーは475W、バイアスパワーは300Wと一定にした。
開口125a、開口125bにソース配線327a及びドレイン配線327bを形成した(図11(B)参照)。ソース配線327a及びドレイン配線327bは、チタン膜50nm上にアルミニウム膜100nm、アルミニウム膜上にチタン膜が50nm積層された導電膜をスパッタリング法で形成し、当該導電膜にフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行って形成した。
上記導電膜において、アルミニウム膜はアルミニウムをスパッタリングターゲットに用い、スパッタリング装置の処理室に導入するスパッタリングガスはアルゴンを20sccmとした。基板101を室温に保持した。スパッタリングターゲットと基板間を400mmとした。処理室内の圧力を0.1Paに調節した。DC電源を用いて12kWの電力を加えた。アルミニウム膜を挟むチタン膜はチタンをスパッタリングターゲットに用い、スパッタリング装置の処理室に導入するスパッタリングガスはアルゴンを50sccmとした。基板101を室温に保持した。スパッタリングターゲットと基板間を60mmとした。処理室内の圧力を0.4Paに調節した。DC電源を用いて1kWの電力を加えた。
ソース配線327a及びドレイン配線327bを形成するためのエッチング工程の条件を記す。当該エッチング工程はICP装置を用いて行った。ICP装置の処理室に導入するエッチングガスは三フッ化ホウ素を流量60sccmとし、塩素を20sccmとした。処理室内の圧力を1.9Paに調節した。ICPパワーは450W、バイアスパワーは100Wとした。
以上の工程より作製したトランジスタを試料1とする。
また、試料1の作製工程において、絶縁膜161を積層構造ではなく、プラズマCVD法で形成した40nmの酸化窒化シリコン膜の単層構造としたトランジスタを試料2とする。なお、試料2の当該酸化窒化シリコン膜は、試料1の作製工程において絶縁膜161を形成する際に用いたプラズマCVD法と同じ条件である。
また、試料1の作製工程において、酸化物半導体膜154に酸素イオンをイオンインプランテーション法で注入する工程を省略したトランジスタを試料3とする。
また、試料1乃至試料3の比較例として、試料1の作製工程において、VHF帯の周波数を用いたプラズマCVD法で絶縁膜156及び絶縁膜161を形成した酸化窒化シリコン膜としたトランジスタを比較試料1とする。
なお、比較試料1において、絶縁膜156及び絶縁膜161を形成するプラズマCVD法の条件を以下に記す。絶縁膜156として10nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。平行平板電極を有するプラズマCVD装置の処理室に導入したガスはSiH4を1sccm、N2Oを800sccmとした。基板101が400℃に保持されるように上部電極の温度を400℃、下部電極の温度を465℃に保持した。上部電極と下部電極の間(ギャップ)は28mmとした。処理室内の圧力を40Paに調節した。60MHzのRF電源を用いて150Wの電力を加えた。絶縁膜161として40nmの酸化窒化シリコン膜を絶縁膜156と同じ条件で形成した。
図24乃至図26に、本実施例で作製した試料1乃至試料3、及び比較試料1のトランジスタの電気特性の測定結果を示す。なお、試料1乃至試料3、及び比較試料1それぞれにおいて、6個のトランジスタの電気特性を測定した。横軸はゲート電圧(Vg)、左縦軸はドレイン電流(Id)、右縦軸は電界効果移動度(μFE)を示す。実線は、ドレイン電圧(Vd)が0.1V及び1VのId−Vg曲線であり、破線はドレイン電圧(Vd)が0.1Vのときの電界効果移動度である。また、図24(A)は、試料1のトランジスタの電気特性の測定結果を示し、図24(B)は、試料2のトランジスタの電気特性を示し、図25は、試料3のトランジスタの電気特性の測定結果を示し、図26は、比較試料1のトランジスタの電気特性の測定結果を示す。
ここでは、試料1、試料2及び比較試料1のトランジスタのゲート電極117の幅(チャネル長)を0.3μm、ソース電極127a及びドレイン電極127bの対向幅(チャネル幅)を10μmとした。また、試料3のトランジスタのゲート電極117の幅(チャネル長)を0.1μm、ソース電極127a及びドレイン電極127bの対向幅(チャネル幅)を10μmとした。また、試料1乃至試料3の各トランジスタのゲート絶縁膜113の厚さを10nm、誘電率を4とし、比較試料1の各トランジスタのゲート絶縁膜113の厚さを10nm、誘電率を4.1とし、ドレイン電圧が0.1Vのときの電界効果移動度を計算した。
図26と比較して、図24及び図25に示す試料1乃至試料3のトランジスタのId−Vg曲線は、ばらつきが少ない(換言すると、6個のトランジスタそれぞれのId−Vg曲線が重なっている)ことが分かる。また、しきい値電圧がプラスシフトしていることがわかる。また、図24(A)と比較して、図24(B)に示すトランジスタのId−Vg曲線のばらつきがさらに少ないことがわかる。
以上のことから、少なくとも、マイクロ波プラズマCVD法を用いてゲート絶縁膜を形成することで、トランジスタのばらつきを低減できると共に、しきい値電圧をプラスシフトさせることができる。
本実施例では、本発明の一態様であるトランジスタの電気特性について説明する。
評価したトランジスタの作製方法について説明する。本実施例で作製したトランジスタは、実施例1で記載した試料1の作製方法において、絶縁膜161を積層構造ではなくマイクロ波を用いたプラズマCVD法で形成した単層構造の酸化窒化シリコン膜とした、トランジスタである。以下に当該マイクロ波を用いたプラズマCVD法の条件を記す。絶縁膜161は、始めに、マイクロ波プラズマCVD装置の処理室に3000sccmのアルゴン、2500sccmのN2Oを導入し、処理室内の圧力を30Paに調節し、基板101と電極間を160mmとし、基板101を325℃に保持し、2.45GHzマイクロ波電源を用いて5kWの電力を加えてプラズマを発生させた。その後、当該処理室にSiH4を250sccm、N2Oを2500sccm、Arを2500sccm導入し、処理室内の圧力を30Paに調整し、基板101と電極間を160mmとし、基板101を325℃に保持し、2.45GHzマイクロ波電源を用いて5kWの電力を加えて、厚さ40nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。
上記によって作製したトランジスタを試料4とする。また、試料4に対する比較例としては実施例1で記載した比較試料1とする。
図27に、本実施例で作製した試料4のトランジスタの電気特性の測定結果を示す。なお、図27には、試料4において、6個のトランジスタの電気特性を測定した。横軸はゲート電圧(Vg)、左縦軸はドレイン電流(Id)、右縦軸は電界効果移動度(μFE)を示す。実線は、ドレイン電圧(Vd)が0.1V及び1VのId−Vg曲線であり、破線はドレイン電圧(Vd)が0.1Vのときの電界効果移動度である。なお、比較試料1のトランジスタの電気特性の測定結果は、図26に示している。
本実施例では、各トランジスタのゲート電極の幅(チャネル長)、ソース電極127a及びドレイン電極127bの対向幅(チャネル幅)、ゲート絶縁膜の厚さ、及び誘電率は、実施例1に記載した通りである。
図26と比較して、図27に示す試料4のトランジスタのId−Vg曲線は、ばらつきが少ないことがわかる。また、しきい値電圧がプラスシフトしていることがわかる。
以上のことから、少なくとも、マイクロ波プラズマCVD法を用いてサイドウォール絶縁膜を形成することで、トランジスタのばらつきを低減できると共に、しきい値電圧をプラスシフトさせることができる。
次に、試料1のオフ電流の測定方法及びその結果について、図28乃至図31を用いて説明する。
<測定系>
図28に示す測定系は、容量素子400、トランジスタ401、トランジスタ402、トランジスタ403、及びトランジスタ404を有する。ここで、トランジスタ403は電荷注入用のトランジスタであり、トランジスタ404はリーク電流の評価用のトランジスタである。トランジスタ401及びトランジスタ402で出力回路406を構成する。また、トランジスタ403のソース端子(又はドレイン端子)と、トランジスタ404のドレイン端子(又はソース端子)と、容量素子400の第1端子と、トランジスタ401のゲート端子との接続部をノードAとする。
電荷注入用のトランジスタと、評価用のトランジスタとを別々に設けることにより、電荷注入の際に、評価用のトランジスタを常にオフ状態に保つことが可能である。電荷注入用のトランジスタを設けない場合には、電荷注入の際に、評価用トランジスタを一度オン状態にする必要があるが、オン状態からオフ状態の定常状態に到るまでに時間を要するような素子では、測定に時間を要してしまう。また、評価用トランジスタを一度オン状態とする必要がないため、チャネル形成領域の電荷の一部がノードAに流れ込むことによるノードAの電位変動の影響もない。
また、評価用トランジスタのチャネル幅Wを、電荷注入用トランジスタのチャネル幅Wよりも大きくすることが好ましい。評価用トランジスタのチャネル幅Wを、電荷注入用のトランジスタのチャネル幅Wよりも大きくすることにより、評価用トランジスタのリーク電流以外のリーク電流成分を相対的に小さくすることができる。その結果、評価用トランジスタのリーク電流を高い精度で測定することができる。
図28に示す測定系は、トランジスタ403のソース端子(又はドレイン端子)と、トランジスタ404のドレイン端子(又はソース端子)と、容量素子400の第1端子とは、トランジスタ401のゲート端子に接続されている。また、容量素子400の第2端子と、トランジスタ404のソース端子(又はドレイン端子)とは、接続されている。また、トランジスタ401のドレイン端子(又はソース端子)は電源に接続されており、トランジスタ402のソース端子(又はドレイン端子)は電源に接続されおり、トランジスタ403のドレイン端子(又はソース端子)は電源に接続されている。
また、図28に示す測定系は、トランジスタ403のドレイン端子(又はソース端子)には、電源から電位V3が与えられ、トランジスタ404のソース端子(又はドレイン端子)には、電源から電位V4が与えられる。また、トランジスタ401のドレイン端子(又はソース端子)には、電源から電位V1が与えられ、トランジスタ402のソース端子(又はドレイン端子)には、電源から電位V2が与えられる。また、トランジスタ401のソース端子(又はドレイン端子)及びトランジスタ402のドレイン端子(又はソース端子)が接続された、出力回路406の出力端子に相当する端子から、出力電位Voutが出力される。
上記において、トランジスタ402のゲート端子には、出力回路406の調整を行う電位Vext_aが供給され、トランジスタ403のゲート端子には、トランジスタ403のオン状態とオフ状態を制御する電位Vext_cが供給され、トランジスタ404のゲート端子には、評価用トランジスタの状態を制御する電位Vext_bが供給される。
なお、図28において、容量素子400を設けずともよい。この場合、ノードAは、トランジスタ401のゲート端子と、トランジスタ403のソース端子(又はドレイン端子)と、トランジスタ404のドレイン端子(又はソース端子)との接続部となる。
<電流測定方法>
次に、上記の測定系を用いた電流測定方法の一例について図29を参照して説明する。
まず、オフ電流を測定するために電位差を付与する書込み期間の概略について、図29(A)を用いて説明する。
書込み期間においては、トランジスタ403のドレイン端子(又はソース端子)に電位V3を入力した後、トランジスタ403のゲート端子に、トランジスタ403をオン状態とする電位Vext_cを入力して、トランジスタ404のドレイン端子(又はソース端子)と接続されるノードAに電位V3を与える。また、トランジスタ402をオン状態とする電位Vext_aを入力し、トランジスタ402をオン状態とする。また、トランジスタ404をオフ状態とする電位Vext_bを入力し、トランジスタ404をオフ状態とする。
ここでは、電位V3を高電位(H1)、電位Vext_cを高電位(H2)とする。電位V1を高電位(H3)とする。電位Vext_aを低電位(L4)、電位V2を低電位(L5)、電位Vext_bを低電位(L2)、電位V4をVssとする。
その後、トランジスタ402をオフ状態とする電位Vext_aを入力して、トランジスタ402をオフ状態とする。また、電位V2を高電位(H4)、電位V1を低電位(L3)とする。ここで、電位V2は電位V1と同じ電位とする。次に、電位V3を低電位(L)とする。トランジスタ403のゲート端子に、トランジスタ403をオフ状態とする電位Vext_cを入力して、トランジスタ403をオフ状態とする。
ここでは、電位Vext_cを低電位(L2)、電位Vext_aを高電位(H4)、電位V3を低電位(L1)、電位V1を低電位(L3)、電位V2を高電位(H4)とする。電位Vext_bを低電位(L2)、電位V4をVssとする。
以上により、書込み期間が終了する。書込み期間が終了した状態では、トランジスタ404はオフ状態であるが、ノードAとトランジスタ404のソース端子(ドレイン端子)との間に電位差が生じているため、トランジスタ404には電流が僅かに流れる。つまり、オフ電流(即ち、リーク電流)が発生する。
次に、読出し期間となる。読出し期間中において、ノードAが保持する電荷量の変化に起因して生じるノードAの電位の変化量の測定を行う。ここでは、読出し期間の動作に関し、図29(B)を用いて説明する。
読出し期間が開始されると、時間の経過と共にノードAに接続される容量に保持される電荷量が変動し、これに従ってノードAの電位が変動する。これは、出力回路406の入力端子の電位が変動することを意味するから、時間の経過と共に、出力回路406の出力端子の電位も変動することになる。
なお、読出し期間において、ノードAの電位の変化量の測定期間MとノードAの電荷の蓄積期間Sとを繰り返すことが好ましい。ノードAの電位の変化量の測定とノードAの電荷の蓄積とを繰り返し行うことにより、測定した電圧値が、定常状態における値であることを確認することができる。言い換えると、ノードAを流れる電流IAのうち、過渡電流(測定開始後から時間経過とともに減少していく電流成分)を除くことができる。その結果、より高い精度でリーク電流を測定することができる。
あらかじめ、ノードAの電位VAと、出力電位Voutの関係を求めておくことで、出力電位VoutからノードAの電位VAを求めることが可能である。一般に、ノードAの電位VAは、出力電位Voutの関数として次式のように表すことができる。
また、ノードAに接続される容量の電荷QAは、ノードAの電位VA、ノードAに接続される容量CA、定数(const)を用いて、次式のように表される。ここで、ノードAに接続される容量CAは、容量素子400の容量と他の容量(出力回路406の入力容量など)の和である。
ノードAの電流IAは、ノードAに流れ込む電荷(又はノードAから流れ出る電荷)の時間微分であるから、ノードAの電流IAは次式のように表現される。
このように、ノードAに接続される容量CAと、出力回路406の出力電位Voutと時間変化Δtから、ノードAの電流IAを求めることができる。
なお、電流IAは、トランジスタ404を流れる電流Idevと、他の電流成分Ileakの和であるから、トランジスタ404を流れる電流Idevを精度良く求めるには、トランジスタ404を流れる電流Idevに対して他の電流成分Ileakを十分に小さくした測定系を用いて測定を行うことが望ましい。また、電流成分Ileakを見積もり、電流IAから減ずることでトランジスタ404を流れる電流Idevの精度を高めても良い。
ここでは、測定期間Mにおいて、電位V2を低電位(L5)、電位Vext_aを低電位(L4)としてトランジスタ402をオン状態とする。但し、トランジスタ402をオン状態とするため、電位Vext_aの低電位(L4)は、電位V2の低電位(L5)より高い。また、電位V1を高電位(H3)とする。電位Vext_cを低電位(L2)、電位V3を低電位(L1)とする。また、電位Vext_bを低電位(L2)、電位V4をVssとする。
また、蓄積期間Sにおいて、電位V2を高電位(H4)、電位Vext_aを高電位(H4)としてトランジスタ402をオフ状態とする。また、電位V1を低電位(L3)とする。但し、電位V1、電位V2、及び電位Vext_aは同電位である。電位Vext_cを低電位(L2)、電位V3を低電位(L1)とする。また、電位Vext_bを低電位(L2)、電位V4をVssとする。
以上に示す方法により、トランジスタ404を流れる微小な電流を測定することができる。
本実施例では、トランジスタ401、トランジスタ402はチャネル長L=3μm、チャネル幅W=100μm、トランジスタ403はチャネル長L=10μm、チャネル幅W=10μm、トランジスタ404はチャネル長L=0.35μm、チャネル幅W=10000μmである。なお、各トランジスタは、試料1と同様の作製条件により形成した。
はじめに測定温度を125℃とし、トランジスタに流れる電流Iの算出に用いられるΔtを1時間とし、Δtごとに書込み期間を設けるサイクルを10回繰り返した。次に、測定温度を85℃とし、Δtを6時間とし、Δtごとに書込み期間を設けるサイクルを8回繰り返した。
なお、本実施例では、書込み期間において、電位V3の高電位(H1)を2Vと電位V3の低電位(L1)を1Vとした。電位Vext_cの高電位(H2)を5V、低電位(L2)を−3Vとした。電位V1の高電位(H3)を3V、低電位(L3)を1.5Vとした。電位Vext_aの高電位(H4)を1.5V、低電位(L4)を−1Vとした。電位V2の高電位(H4)を1.5V、低電位(L5)を−2Vとした。電位Vext_bを−3Vとし、トランジスタ404をオフ状態とし、電位V4を1Vとした。ここでは、ノードAに2Vを印加した。
また、読み出し期間においては、10秒の測定期間M、及び290秒の保持期間Sを1セットとし、測定温度が125℃のときは12セット、測定温度が85℃のときは72セットの読出し動作を繰り返して、出力電位Voutを測定した。
なお、本実施例では、読み出し期間において、電位V1の高電位(H1)を5V、低電位(L1)を1.5Vとした。電位Vext_aの高電位(H4)を1.5V、低電位(L4)を−1Vとした。電位V2の高電位(H4)を1.5V、低電位(L5)を−2Vとした。電位V3の低電位(L2)を1Vとした。電位Vext_cの低電位(L2)を−3Vとした。電位Vext_bを−3Vとし、トランジスタ404をオフ状態とし、電位V4を1Vとした。
図30(A)に、経過時間と、出力回路406の出力電位Voutとの関係を示す。図30(A)より、時間の経過にしたがって、電位が変化している様子が確認できる。
図30(B)に、上記出力電位Vout測定によって算出されたリーク電流を示す。なお、図30(B)は、経過時間と、ソース電極及びドレイン電極の間に流れるリーク電流との関係を表す図である。図30(B)から、リーク電流は、測定温度が125℃の場合では2×10−20A/μm(20zA/μm(ゼプトアンペア:1zAは10−21A))未満、測定温度が85℃の場合では3×10−22A/μm(300yA/μm(ヨクトアンペア:1yAは10−24A))未満であることが分かった。
以上、本実施例により、高純度化され、酸素欠損が抑制された酸化物半導体を用いたトランジスタでは、オフ電流が十分に小さくなることが確認された。
次に、図30(B)に示すリーク電流のアレニウスプロットを図31(A)に示す。なお、図31(A)において、トランジスタのゲート絶縁膜は、マイクロ波CVD法により形成された厚さ10nmの酸化窒化シリコン膜である。一方、図31(B)に、周波数が13.56MHzのCVD法により形成された、厚さ20nmのゲート絶縁膜(酸化窒化シリコン膜)を有するトランジスタのアレニウスプロットを示す。縦軸は、リーク電流を示し、横軸は測定した絶対温度の逆数を示す。
図31(A)に示す試料1と同様の作製条件で作製したトランジスタのリーク電流は、図31(B)に示すトランジスタのリーク電流と同等である。即ち、マイクロ波CVDにより形成したゲート絶縁膜は緻密であるため、膜厚が薄くなっても、リーク電流が上昇しないことがわかる。