JP6165139B2 - 自動車分野において使用するための真空ポンプ - Google Patents

Description

本発明は、ロータ軸に固定されたロータ部材と、当該ロータ軸を間接的または直接的に駆動する電気的駆動機構とを有する、自動車分野において使用される真空ポンプに関し、前記ロータ部材はロータケーシング内に配置されており、前記駆動機構はモータケーシング内に配置されており、前記ロータケーシングと前記モータケーシングとはケーシング壁を介して相互に結合されてケーシング構成体を構成し、前記ロータ軸は軸受装置を用いて前記ケーシング壁に軸受されており、前記ロータケーシングは少なくとも１つのインレットと１つのアウトレットとを有する。

自動車分野にて用いられる、たとえばブレーキ装置等の種々の負荷は、負圧駆動方式である。そのために必要な負圧は、従来の車両では主に、ガソリンエンジンに設置された吸気管接続部によって生成されるか、または、ディーゼルエンジンに設けられた機械的な負圧ポンプによって生成される。とりわけハイブリッド車や電気自動車では、内燃機関に依存しない負圧供給が行われるのを保証するため、電動式の負圧ポンプないしは電動式の真空ポンプが使用される。実際の現場ではさらに、真空ポンプを電動駆動するためのモータと、負圧を生成するロータとを、１つのケーシング構成体に収容することが公知となっている。スペースが許せば、ロータが取り付けられたモータ軸が電気的駆動機構により直接駆動されるように、ロータケーシングを長手方向にモータケーシングに繋げる。その際には、モータケーシングとロータケーシングとがケーシング壁を介して相互に結合され、このケーシング壁にモータ軸が貫通し、ロータ軸は軸受装置を用いてケーシング壁に軸受される。ロータケーシング内にて負圧を形成するので、前記軸受装置は極度に高い負荷にさらされ、これにより、たとえば潤滑材がロータスペース内に吸い込まれ、適正な軸受を実現できなくなってしまうことがある。実際にはその解決手段として、所期のように漏洩構成を組み込むことにより、空気がアウトレットから軸中心へ流れて、モータケーシング内とロータケーシング内とにおける圧力差により軸受装置にかかる負荷が小さく抑えられるようにする。このような手法はロータケーシングの製造に際して非常に面倒であり、その上、このような所望の漏れにより、真空ポンプの効率が低下してしまう。

それゆえ本発明の課題は、上記欠点を回避することができる、自動車分野にて使用される真空ポンプを実現することである。

前記課題は、ロータケーシングとモータケーシングとを流体連通させる少なくとも１つの貫通開口をケーシング壁に設けた構成により解決される。このような簡単かつ低コストの構成により、モータケーシングとロータケーシングとの間で圧力補償を実現することができ、これにより、寿命が長くかつ確実な動作を保証することができる。

本発明の真空ポンプの特に有利な実施形態では、前記少なくとも１つの貫通開口は軸受装置の領域に設けられる。

ケーシング構成体が空気密に封止されていることにより、真空ポンプの体積効率が上昇する。前記軸受装置としては特に転がり軸受が適している。この転がり軸受は低コストで製造でき、かつ取付が簡単であり、ケーシング壁に少なくとも１つの貫通開口を設けるという特に簡単な構成により、転がり軸受の潤滑油損失の原因となる高い圧力差に転がり軸受がさらされることも無くなる。有利には、ケーシング壁と第２の筒形壁部品との間に、ロータ部材のためのスラストワッシャを設けることができる。

図面に本発明の実施例を示しており、以下これを説明する。

本発明の真空ポンプの断面図である。 図１に示した真空ポンプのモータケーシングの斜視図である。

図１は、ケーシング構成体４を備えた電動真空ポンプ２を示す。このケーシング構成体４は基本的に、モータケーシング６とロータケーシング８とから構成される。このモータケーシング６内に、周知となっている電動機１０が設けられており、この電動機１０は、概略的に示した電子制御回路１２を備えている。この実施例では、モータ１０はロータ軸１４に直接作用する。もちろん、ロータ軸１４を複数の部品から構成すること、または、クラッチを介してモータ１０の駆動軸をロータ軸１４に接続することも可能である。

モータケーシング６は、ロータケーシング８とは反対側の端部において蓋部材１６を有し、この蓋部材１６に、電子整流型のモータ１０を制御するための制御ユニット１２が設置されており、当該蓋部材１６は、ロータ軸１４を軸受するための第１の転がり軸受１８を有する。しかし、従来の機械的整流式のモータとして前記モータ１０を構成できることは明らかである。その反対側にケーシング壁２０が設けられており、このケーシング壁２０は蓋部材１６および円筒形壁部品２２と共に、モータケーシング６を空気密に封止する。ケーシング壁２０は、モータスペース内に真空ポンプを固定するための、外側を向いている固定フランジ２４を有する。さらに、前記ケーシング壁２０はロータケーシング８の一部を成し、ロータケーシング８は長手方向にモータケーシング６に繋げられており、ロータケーシング８もまた、ケーシング壁２０により空気密に封止されている。つまりこの実施例では、ケーシング壁２０はモータケーシング６の一部でもあり、また、ロータケーシング８の一部でもある。さらに、ロータケーシング８も第２の蓋部材２６と第２の円筒形壁部品２８とを有し、ケーシング壁２０と第２の円筒形壁部品２８との間には、ロータ部材３２に対する特殊鋼製のスラストワッシャ２１が設置されている。第２の蓋部材２６は、第２の円筒形壁部品２８を貫通する貫通差込ねじ３０を介してケーシング壁２０にねじ留めされている。ロータケーシング８も流体密に封止されている。さらに、ロータケーシング８は公知のようにインレットおよびアウトレットを有し、これらは図中では詳細に示されていない。ロータ軸１４はロータ部材３２を備えており、この実施例ではこのロータ部材３２は、スライド可能に取り付けられた複数の羽根部分を有し、これにより、真空ポンプは羽根車ポンプとして構成される。ロータ部材３２は公知のように、第２の円筒形のケーシング部品２８と協働することにより、負圧が形成される。ケーシング壁２０には第２の転がり軸受３４が設置されており、この第２の転がり軸受３４にもロータ軸１４が軸受けされており、ロータ軸１４は第２の転がり軸受３４を貫通してロータケーシング８内に達する。

さらに、ケーシング壁２０は３つの貫通開口３６を有し、これらの貫通開口３６は転がり軸受３４の領域に直接設けられている。このようにして、ロータケーシングとモータケーシング６とが流体連通され、転がり軸受装置３４の領域には、転がり軸受３４を損傷する原因となる圧力差が加わらなくなる。

図２はモータケーシング６の斜視図である。同図では、真空ポンプを自動車のエンジンルーム内に固定するためのフランジ部分２４がケーシング壁２０に設けられているのが明確に見て取れる。ロータ軸１４は転がり軸受３４に軸受けされ、ケーシング壁２０を貫通して、ロータケーシング８の詳細に図示されていないロータスペース内に達する。この図には、転がり軸受３４の領域において圧力補償を確実に行うための貫通開口３６も示されている。

本発明は、複数の羽根を備えた羽根車ポンプとしての構成に限定されることはなく、特に、たとえば単一羽根型真空ポンプでも本発明を使用できることは明らかである。

Claims (3)

1. ロータ軸（１４）に固定され、ロータケーシング（８）内に設置されたロータ部材（３２）と、
   モータケーシング（６）内に設置された、前記ロータ軸を間接的または直接的に駆動するモータ（１０）と
   を有する、自動車分野において使用される真空ポンプであって、
   前記ロータケーシング（８）と前記モータケーシング（６）とはケーシング壁（２０）を介して相互に結合されてケーシング構成体（４）を構成し、ただし、前記ケーシング構成体（４）は空気密に封止されており、
   前記ロータ軸（１４）は、潤滑油を用いた軸受装置（３４）を用いて前記ケーシング壁（２０）に軸受されており、
   前記ロータケーシング（８）は少なくとも１つのインレットと１つのアウトレットとを有する真空ポンプにおいて、
   前記ロータケーシングと前記モータケーシングとを流体連通させる少なくとも１つの貫通開口（３６）が前記ケーシング壁（２０）に設けられており、
   前記少なくとも１つの貫通開口（３６）は、前記軸受装置（３４）の領域に設けられている、
   ことを特徴とする真空ポンプ。
2. 前記軸受装置（３４）は転がり軸受である、
   請求項１記載の真空ポンプ。
3. 前記ケーシング壁（２０）と、前記ロータケーシング（８）のための第２の筒形のケーシング壁部品（２８）との間に、前記ロータ部材（３２）に対するスラストワッシャ（２１）が設けられている、
   請求項１または２記載の真空ポンプ。

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