JP6159963B1 - 地盤注入材および地盤改良工法 - Google Patents
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本出願人はすでに、長期耐久性に優れたシリカ溶液として、水ガラスの劣化要因である水ガラスのアルカリを酸で中和除去した非アルカリ性シリカゾルグラウトを開発し、多数の実績を蓄積している。しかし、シリカゾルグラウトはその粒経が1nmのシリカのネットワークから形成されているためシリカのネットワークが弱く、かつ、収縮が大きいため地下水の水道になりやすく耐久性が不十分となる。このため、地下水の流動している地盤や港湾地区の干潟のある液状化対策工では、シリカコロイドが適用されている。シリカコロイドは、シリカの粒経が10〜20nmからなり、地盤中で安定したゲルを作るため地下水の流動にも大きな抵抗力があるからである。
本発明の地盤注入材は、前記酸性コロイド溶液に加えて、さらに水ガラス水溶液を含有することが好ましい。また、本発明の地盤注入材においては、前記多価金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物であることが好ましい。さらに、本発明の地盤注入材は、イオン交換法や金属シリカ法によって製造されるか、コロイダルシリカを混合して用いることもできる。さらに、空隙の大きな地盤や地下水流のある地盤状況や注入目的によってホワイトカーボンや粉末シリカ、ベントナイト等のシリカの粉体を少なくとも一種以上を含有することも好ましい。これらのシリカはコロイドや水ガラスのシリカと化学的に直接反応することがないためゲルタイムに対する影響が少なくてすむ。勿論、ゲル化時間を短縮するにあたってはセメントや石灰等を用いることができる。
マイクロバブル水は、地震動に伴う間隙水圧の上昇を空気が収縮することにより抑制する効果が実験によって確認されている。しかし、実地盤においては、地下水流があることや、地下水流の影響を排除すべく格子状に閉鎖して行った実験では、浸透したマイクロバブル水が上方に移動する現象等が確認されるなど、長期的な耐久性については明確な結論が出るには至っていない。しかし、マイクロバブルが長期間地盤中に固定されていれば非常に経済的な技術である。
本発明の地盤注入材は、水ガラスと塩とから得られた塩析シリカを有効成分とする点に特徴を有し、好ましくはさらに、酸を有効成分として含む酸性シリカコロイド溶液を含有する。ここで、塩析とは、凝析とも呼ばれ、水ガラスに塩を加えるとシリカが凝集する現象をいう。一般に、水ガラスの珪酸粒子の等電点は弱酸性範囲にあると考えられており、水ガラスのモル比や濃度や塩の種類によって、凝析値や凝析に至るまでの時間は異なる。NaClのような1価のアルカリ金属塩で水ガラスを塩析した場合、弱いわた状のシリカが析出するが、CaCl2のような多価金属塩の場合は、瞬間的に塩析が生ずる海水の場合と同様である。1価のアルカリ金属塩や海水は、水ガラスと弱いわた状シリカを析出するため、従来はこのシリカが注入に好ましくないと考えられてきた。それ自体は硬化剤として使用できず、他の硬化剤と併用してわた状にならないよう少ない量で促進剤として使用され、沈殿してわた状のシリカを析出しない程度の少量が用いられていた。このようなシリカは、酸性のシリカと水ガラスとが反応してすぐにゲル化する。これは塩析とはいえない。また、CaCl2のような多価金属塩は、それ自体が水ガラスの硬化剤として併用され、水ガラスと合流して高強度の瞬結性グラウトとして用いられてきた。
これに対し、本発明は、水ガラスに塩を加えて塩析シリカとして、アルカリ領域の塩析シリカを生成させ、その塩析シリカをコロイド化したシリカコロイドを用いた地盤注入液および地盤注入工法に係るものであり、このような考えはかつて存在しなかったものである。
1.本発明者らの多くの実験の結果、水ガラスと海水または一価金属塩または多価金属塩で塩析してシリカ分を析出すると(塩析シリカ法)、白濁したシリカの沈殿物が生ずるため、このままでは沈殿物の粒経が大きく、地盤中に注入した場合は土粒子の間隙や内管に詰まってしまい、注入液としては不適であることが判った。
塩析シリカは時間とともに白沈するが、それを機械的に攪拌すると分散して、コロイド状になる。しかし、放置すると白沈する。塩析が起こったことにより水ガラスのシリカがコロイド化される。
塩析シリカに酸を加えると、酸性塩析シリカができる。これに水ガラスを混合すると、非アルカリ性複合シリカができる。
また、これらの複合シリカは、大きな間隙から小さな間隙中で大きなシリカの存在のため収縮を軽減させて、地下水流に対する抵抗や強度の低下を低減する耐久性に優れた効果を生ずる。
コロイダルシリカ:比重1.21、シリカ濃度30%、Na2O0.7、モル比103
下記の表5に従い、5号水ガラスを水で希釈した。その後、これを海水と混合した配合液中に、酸を加えた。
配合10および配合11でも塩析シリカが形成された。比較例1および比較例2では、5号水ガラスと酸とを混合しただけでは、塩析シリカコロイドにはならなかった。
下記の表6,7に従い、5号水ガラスを水で希釈した。その後、これを塩化カルシウム(CaCl2)と混合した配合液中に、酸を加えた。
配合No.A、B、C、A’、B’でも塩析が起こったことを確認した。
その結果、NaClではゲル化はするが、強度が弱いことが分かった。
上記表5中の配合No.1〜9の試料を7日放置し、シリカコロイドを凝集させたあと、これをろ過した。その後、温水で十分洗浄した。次に、1N塩酸でシリカコロイドを十分洗浄し、不純物を洗い流した後、純水で洗浄した。残ったシリカコロイドをろ紙ごと電気炉にて1050℃で恒量になるまで加熱した。
次に、水ガラスのモル比を変えた以外は、同様にして試験を実施した。その結果を、下記の表11,12中に示す。
但し、シリカコロイドが100%でなくても、注入材として使用することができる。
測定を行った配合は配合No.4である。計測には、(株)島津製作所製のレーザ回折式粒子径分布測定装置SALD−3100を用いた。配合後にすぐに測定した結果、50.0%Dは4.7μmであった。また、この測定結果の粒子径分布を、図1に示す。同程度の粒子径であるホワイトカーボン溶液では浸透しなかった砂にも、本発明のコロイド溶液は浸透した。
配合後に得られた注入材は、シリカ濃度6質量%、pH3のシリカ系グラウトであった。
直径5cm高さ1mのモールド内に砂を充填し、注入液を下部から注入して、シリカの含有率を求めた。
砂としては豊浦硅砂を使用し、相対密度60%になるようにモールド内部に充填した。下部より水を注入し、間隙を水で充填したのち、薬液を下部より同様に注入した。上部より排出された液100mlずつについて、シリカ含有量の測定を行った。
薬液としては、配合No.2を用いた。
また、攪拌速度については、従来現在使われている混合攪拌で十分対応できるため、特に攪拌速度について制限はない。
シリカ含有量の分析方法には、塩酸溶解−ICP−AES法を用いた。その結果を、下記の表20中に示す。
Claims (10)
- 水ガラスと塩とから得られた塩析シリカ、および、酸を有効成分として含む酸性塩析シリカコロイド溶液と、水ガラス水溶液と、を混合して得られた非アルカリ性塩析シリカコロイドを含有することを特徴とする地盤注入材。
- 前記塩が、一価金属塩、多価金属塩および海水からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1記載の地盤注入材。
- 前記塩が海水であり、前記塩析シリカの原料液中における、SiO2(%):海水固形分(%)の質量比が1:0.2以上である請求項2記載の地盤注入材。
- 前記塩が一価金属塩または多価金属塩であり、前記塩析シリカの原料液中における、SiO2(%):塩(%)の質量比が1:0.05以上である請求項2記載の地盤注入材。
- 前記多価金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物である請求項2〜4のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
- さらに、コロイダルシリカを含有する請求項1〜5のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
- さらに、粉体の少なくとも一種以上を含有する請求項1〜6のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
- さらに、マイクロバブルを含む請求項1〜7のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
- 請求項1〜8のうちいずれか一項記載の地盤注入材を地盤に注入することを特徴とする地盤改良工法。
- 請求項1〜8のうちいずれか一項記載の地盤注入材と、マイクロバブル液とを、地盤に注入することを特徴とする地盤改良工法。
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