JP6608024B1 - 地盤注入材および地盤改良工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コロイダルシリカの使用量を従来より低減しても、同等の地盤改良効果を奏し得る地盤注入材、その製造方法、および、これを用いた地盤改良工法を提供する。【解決手段】コロイド溶液と、水ガラス溶液と、酸性反応剤または酸性シリカゾルとが混合されてなり、酸性ないし中性を呈する地盤注入材であって、コロイド溶液と水ガラス溶液とを混合してなるアルカリ性シリカ溶液が、25℃において白濁を呈する地盤注入材、その製造方法、および、この地盤注入材を用いた地盤改良工法である。【選択図】図11

Description

本発明は、地盤注入材(以下、単に「注入材」とも称する)、その製造方法および地盤改良工法の改良に関する。本発明は、詳しくは、地盤中にシリカ系グラウトを注入し固結することにより、液状化防止、吸出し防止、さらには恒久補強などの恒久的な地盤改良を行う地盤改良工法に関する。
耐久性に優れた注入材として、水ガラスグラウトの劣化要因であるアルカリを酸またはイオン交換法によって除去した酸性シリカ溶液が使用されている。このうち、水ガラスのアルカリを酸で除去した酸性シリカゾルは、シリカの溶脱がほとんどなく浸透固結性に優れているが、そのゲルは小さなシリカ(粒径1nm)が線状にからまった構造のため、変形しやすく収縮が大きくなり、強度の低下や地下水に対する抵抗が小さいという問題があり、所定の強度の持続性が必要とされる、地下水流の存在する港湾地区の液状化防止に用いるには問題があった。それに対して、シリカコロイドはシリカの粒径が大きく(粒径10〜20nm)、そのゲルは高強度で変形や収縮がほとんどなく耐久性に優れていることが、出願人の研究によって判明している。しかし、その強度発現が遅いところから、本出願人は既にシリカコロイドと水ガラスと酸とを有効成分として、大きなシリカと小さなシリカとからなるシリカ濃度が薄くてかつ強度発現の速い複合シリカを開発して、液状化対策工に広く用いている。しかし、コロイドはきわめて高価であるところから、経済的に優れた複合シリカを得ることが課題であった。本発明は、地盤改良に合わせて経済的に上記目的を可能とする複合シリカ、および、その製造方法の発明に係るものである。
従来、軟弱地盤の基礎の強化や、掘削時の地盤安定、液状化対策等の目的で、地盤にシリカ系グラウトからなる地盤注入材を注入して地盤改良を行う地盤改良工法が知られている。シリカ系グラウトの配合時には、通常、練り混ぜ水として水道水が使用される。
一方、コロイダルシリカは地盤改良成分としての有効性に優れることから、恒久的な地盤改良が必要とされる箇所においては、数多く施工が行われているが、コロイダルシリカは高価であるため、地盤改良工法に用いる場合、価格を抑えることが難しいという問題があった。
地盤改良に係る先行技術として、例えば、特許文献1には、コロイダルシリカと、水ガラスとを含み、地盤への注入前にはそれ自体でゲル化しないアルカリ性シリカ溶液からなる地盤注入用固結材が開示されており、特許文献2には、水ガラスおよび酸性材を有効成分として含有せしめることにより、水ガラスの見かけ上のモル比を増加させてなるアルカリ性の地盤注入用シリカ溶液が開示されている。
また、特許文献3には、水ガラスと塩とから得られた塩析シリカを有効成分とする地盤注入材が開示されている。
特開2001−3047号公報(特許第3714586号) 特開2005−75899号公報(特許第4679811号) 特開2018−70803号公報(特許6159963号)
上述のように、コロイダルシリカは地盤改良成分として有効であるものの、高価であるという難点がある。よって、コロイダルシリカの使用量を従来より低減しても、同等の地盤改良効果を奏し得る地盤注入材の実現が求められていた。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、コロイダルシリカの使用量を従来より低減しても、同等の地盤改良効果を奏し得る地盤注入材、その製造方法、および、これを用いた地盤改良工法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、コロイドを含む溶液と水ガラス溶液とを混合して水ガラスをコロイド化することにより得られるアルカリ性シリカ溶液を用いることで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の地盤注入材は、コロイダルシリカと、水ガラス溶液と、酸性反応剤または酸性シリカゾルとが混合されてなり、酸性ないし中性を呈する地盤注入材であって、
(1)前記コロイダルシリカと前記水ガラス溶液とを混合してなるアルカリ性シリカ溶液が、25℃において白濁を呈するとともに、直径5cm×高さ130cmのモールドにおいて豊浦砂を相対密度80%で用いて浸透性試験を行った際に、浸透しきれないシリカ粒子を含み、
(2)前記地盤注入材が、シリカ6w/vol%にて、酸成分として硫酸を使用し直径5cm×高さ130cmのモールドにおいて豊浦砂を相対密度80%で用いて浸透性試験を行った際に、浸透しきれることを特徴とするものである。
本発明の地盤注入材は、前記コロイダルシリカおよび前記水ガラス溶液を含み、25℃において白濁を呈する前記アルカリ性シリカ溶液と、前記酸性シリカゾル、または、前記酸性反応剤および水ガラスと、を混合してなり、酸性ないし中性を呈するものとすることができる。また、本発明の地盤注入材においては、海水を練り混ぜ水とすることもできる。さらに、本発明の地盤注入材は、さらに、塩を含有することが好ましく、粉体の少なくとも一種以上を含有することも好ましい。さらにまた、本発明の地盤注入材は、さらに、マイクロバブルを含むことも好ましい。
本発明の地盤改良工法は、上記本発明の地盤注入材を地盤に注入することを特徴とするものである。
本発明の地盤改良工法においては、上記本発明の地盤注入材と、マイクロバブル液とを、地盤に注入してもよい。
本発明によれば、コロイダルシリカの使用量を従来より低減しても、同等の地盤改良効果を奏し得る地盤注入材、その製造方法、および、これを用いた地盤改良工法を提供することができた。
従来および本発明の注入材におけるシリカコロイドの粒径の測定結果を示すグラフである。 実施例で使用した浸透水圧養生槽を示す説明図である。 透水試験の結果を示すグラフである。 モールドにおける採取位置と試料名との対応を示す説明図である。 A液(希釈)のシリカ含有量およびpHの関係を示すグラフである。 A液(希釈)の場合、シリカ6w/vol%配合(水飽和後注入)の場合、および、シリカ6w/vol%配合(直接注入)の場合のシリカ含有量を示すグラフである。 シリカ6w/vol%配合についての、高さ130cmモールドにおける水飽和後注入および直接注入の採取位置別、並びに、高さ10cmモールド(平均値)の28日強度(一軸圧縮強度)の試験結果を示すグラフである。 各シリカ濃度の場合の経過日数別の一軸圧縮強度を示すグラフである。 図6における、A液(希釈)の場合、シリカ6w/vol%配合(水飽和後注入)の場合、および、シリカ6w/vol%配合(直接注入)の場合のシリカ含有量と、図7における、シリカ6w/vol%配合についての、高さ130cmモールドにおける水飽和後注入および直接注入の採取位置別、並びに、高さ10cmモールド(平均値)の28日強度(一軸圧縮強度)の試験結果とを、併せて示したグラフである。 塊状の物(部分ゲル)の例を示す写真図である。 白濁した靄状の溶液(白濁ゲル)の例を示す写真図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の地盤注入材は、コロイド溶液と、水ガラス溶液と、酸性反応剤または酸性シリカゾルとが混合されてなり、酸性ないし中性を呈する地盤注入材であって、コロイド溶液と水ガラス溶液とを混合してなるアルカリ性シリカ溶液が、25℃において白濁を呈することを特徴とする。より具体的には、本発明の地盤注入材は、コロイド溶液および水ガラス溶液を含み、25℃において白濁を呈するアルカリ性シリカ溶液と、酸性シリカゾル、または、酸性反応剤および水ガラスと、を混合してなり、酸性ないし中性を呈するものである。
すなわち、本発明においては、コロイドを含む液体であるコロイド溶液と水ガラス溶液とを混合することで、水ガラスによってコロイドの電気二重層が破壊されて不安定化し(塩析)、そのままでは固結しない非固結性の不安定なアルカリ性複合シリカ溶液が生成する。すなわち、本発明においては、コロイダルシリカに限らず、コロイドを含む液体を使用して水ガラスをコロイド化できるので、従来よりも少ない使用量のコロイド溶液を用いて、必要なコロイド量を含むシリカ溶液を確保することができる。よって、材料コストを抑えることができるとともに、輸送コストも抑えることができ、コスト性を向上するとともに労力を削減できる。なお、従来の、白濁や部分ゲルとなって注入材として使用するのが不可能な配合は、図10に示すような塊状の物(部分ゲル)や、図11に示すような白濁した靄状の溶液(白濁ゲル)となる。この場合、溶液中におけるシリカ濃度が均質ではないため、ブリージングがすぐに起きてしまうことや地盤が部分的に低強度になってしまうこと、粒径が大幅に大きくなり、浸透性が低下して所定の量が地盤に注入されないことなどの問題が生ずる。これに対し、本発明に係る、白濁を呈するアルカリ性シリカ溶液は、溶液全体においてシリカがコロイド粒径となり、溶液全体が均質なシリカ濃度を保つことによって、注入材として地盤改良を行っても全体が均質な状態を保つものである。
本発明の地盤注入材は、上記アルカリ性シリカ溶液と、酸性シリカゾルまたは酸性反応剤、特には、酸性シリカゾル、または、酸性反応剤および水ガラスと、を混合してなり、酸性ないし中性を呈するが、これらの混合順については、特に制限されない。上記アルカリ性シリカ溶液に対し酸性シリカゾルを混合してもよく、酸性反応剤および水ガラスを混合した後に、得られた混合物を上記アルカリ性シリカ溶液に対し混合してもよく、または、上記アルカリ性シリカ溶液に対し、酸性反応剤および水ガラスを順不同で個々に混合してもよい。得られた地盤注入材は、白濁を呈していてもよく、また、透明であってもよい。
第一に、上記アルカリ性シリカ溶液に対し、酸性反応剤および水ガラスを、この順で混合する場合は、以下のようになる。
まず、上記非固結性の不安定なアルカリ性希釈シリカ溶液に対し、酸性反応剤を混合することで、アルカリが除去されて、pHが酸性〜中性を呈し、シラノール基がシロキサン結合によって重合する、安定化したシリカ溶液が形成される(重合反応)。次いで、このシリカ溶液に水ガラスを混合して、強度やゲルタイム、pHを任意に調整することで、地盤改良に使用可能な非アルカリ性複合シリカ溶液が得られる。
第二に、上記アルカリ性シリカ溶液に対し、酸性反応剤および水ガラスを、あらかじめ混合した後に、混合する場合は、以下のようになる。
まず、酸性反応剤と、水ガラスとを混合することで、水ガラスからアルカリが除去されて、シラノール基がシロキサン結合によって重合する、酸性シリカゾルが形成される(重合反応)。次いで、上記非固結性の不安定なアルカリ性希釈シリカ溶液に対し、この酸性シリカゾルを混合して、強度やゲルタイム、pHを任意に調整することで、地盤改良に使用可能な非アルカリ性複合シリカ溶液が得られる。上記アルカリ性シリカ溶液に対し、酸性シリカゾルを混合する場合も、酸性反応剤と水ガラスとを混合して酸性シリカゾルを得る重合反応が省略される以外は上記と同様である。
第三に、上記アルカリ性シリカ溶液に対し、水ガラスおよび酸性反応剤を、この順で混合する場合は、以下のようになる。
まず、上記非固結性の不安定なアルカリ性希釈シリカ溶液に対し、水ガラスを混合することで、強度やゲルタイムを調整したアルカリ性シリカ溶液が形成される。次いで、このアルカリ性シリカ溶液に酸性反応剤を混合することで、アルカリが除去されて、シラノール基がシロキサン結合によって重合する、pHが任意に調整された安定化した非アルカリ性複合シリカ溶液が得られる(重合反応)。
本発明に使用できるコロイド溶液としては、コロイダルシリカの他、鉄コロイド、牛乳など、コロイドを含む溶液であればいかなるものであってもよい。また、水ガラスとしては、水で希釈した水ガラス溶液の他、水ガラスの原液を用いることもできる。
水ガラスをイオン交換樹脂膜やイオン交換膜で処理して得られた活性シリカあるいは金属シリカは、シリカ粒径が1〜5nmに成長して数日後にはゲル化するが、微量の苛性アルカリや水ガラスを加えて弱アルカリ性に安定化させたコロイダルシリカは、上述の活性シリカを加熱することにより濃縮増粒し、pHを9〜10に調整して安定化して得られる。このようにして得られたコロイダルシリカは、シリカ濃度が5質量%以上、通常は30質量%程度であり、また、通常、粒径が10〜20nmである。本発明において、コロイダルシリカは、シリカ濃度が2〜20質量%、特には50質量%以下程度までの高濃度のものを用いることができる。また、水ガラスのシリカの粒径は0.1nm、水ガラスのアルカリを酸で除去した酸性シリカゾルのシリカの粒径はほぼ1nmである。
なお、従来のシリカグラウト製造時の希釈水ガラスの比重は1.05〜1.15(1.15以下)までであったが、本発明においては、水ガラスの比重1.15を超えるものが使用可能であり、好ましくは1.25〜1.43である。
本発明により得られる上記非固結性の不安定なアルカリ性シリカ溶液のpHは、例えばpH7以上の、アルカリ領域の範囲である。
本発明において、酸性反応剤としては、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸、スルファミン酸等の無機酸、および、これらの混酸等を用いることができる。また、有機酸を使用することもでき、これらを併用することも可能である。酸性シリカゾルとしては、水ガラスのアルカリを酸で除去した酸性シリカゾルを用いることができる。
本発明の地盤注入材には、さらに、他のシリカ溶液を配合することもできる。他のシリカ溶液としては、活性シリカ、コロイダルシリカ、金属シリカ等のシリカの他、水ガラスの原液を希釈せずに使用することもでき、これらから選択される複数種を併用してもよい。さらに、シリカコロイドと水ガラスと酸とを加えるか、または、コロイドと酸性シリカゾルを混合した酸性の複合シリカコロイドの他、コロイダルシリカと塩と水を混合した配合や、これにさらに酸が含まれる配合、コロイダルシリカが含まれない水ガラスと酸のみの配合などを用いることもできる。ここで、酸性シリカコロイドは、pH1〜8程度のものである。
本発明の地盤注入材は、小さな粒径の水ガラスまたは酸性シリカゾルと、コロイド化され増粒されたシリカコロイドとの2つの粒子径のシリカによる複合シリカ粒子が形成されることにより、水ガラス単体の配合よりも、地盤改良材として用いる場合に、より強度や耐久性に優れた結果が得られる。本発明の地盤注入材は酸性ないし中性を呈し、pHは、例えば、pH8.6以下の酸性〜中性である。
ここで、様々な細粒子の粒径を比較した結果を、下記の表1に示す。本発明の注入材には、さらに、ホワイトカーボン、粉末シリカ、ベントナイト、石膏、石灰、セメント、スラグ、水溶性アルミニウム塩等の粉体の少なくとも一種以上を含有させることができる。
図1に、従来および本発明の注入材における粒径の測定結果を示すグラフを示す。上記表1中のホワイトカーボンは、5nm〜5μmの粒径であるが、ホワイトカーボン溶液を用いた土を充填した供試体への浸透試験ではフィルタリングが起き、全体に浸透しなかった。しかし、本発明者らが開発したコロイド溶液を用いた注入材は、より大きな粒径を有するにもかかわらず(図1)、フィルタリングなどされずに浸透することが分かった。なお、図1中、従来の注入材は、シリカ成分として従来のコロイダルシリカを用いたものである。図1に示す結果から、従来の注入材と比較すると、本発明におけるシリカコロイドは粒径が大きいことがわかる。しかし、本発明におけるシリカコロイドを用いた注入材を用いて浸透試験を行ったところ、浸透性および強度等について、優れた結果が得られた。
本発明の地盤注入材には、さらに、塩を含有させてもよい。塩としては、例えば、一価金属塩や多価金属塩を用いることができる。一価金属塩のイオンとしてはLi、Na、Kなどが挙げられる。また、多価金属塩の多価金属イオンとしては、Ca、Mg、Al、Baなどを挙げることができる。多価金属塩としては、中でも、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物を好適に用いることができる。また、本発明の地盤注入材においては、海水を練り混ぜ水として用いることもできる。
本発明の地盤注入材には、マイクロバブルまたはマイクロバブル水等のマイクロバブルを混合した配合液を使用してもよい。また、本発明の地盤注入材と、マイクロバブル液とを、併用して地盤に注入することもできる。マイクロバブルまたはマイクロバブル液を併用することにより、液状化対策等に使用でき、経済的にも従来の注入材より優れたものとなる。マイクロバブル水は、地震動に伴う間隙水圧の上昇を空気が収縮することにより抑制する効果を有することが、実験によって確認されている。しかし、実地盤においては、地下水流があることや、地下水流の影響を排除すべく格子状に閉鎖して行った実験では、浸透したマイクロバブル水が上方に移動する現象等が確認されるなど、長期的な耐久性については明確な結論が出るには至っていない。しかし、マイクロバブルが長期間地盤中に固定されていれば非常に経済的な技術である。
本発明の地盤改良工法は、上記本発明の地盤注入材を地盤に注入することを特徴とするものであり、これにより本発明の所期の効果を得ることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。なお、本発明がこれらの例によて制限されるものでないのはもちろんである。
<試験1>
下記の表中に示す配合に従い、A液を作製した後、A液に酸性反応剤を混合し、さらに残りの成分を混合して、各実施例および比較例の地盤注入材を作製した。ここではA液に対し残りの成分を順次混合したが、A液以外の成分を先に混合してから、その混合液をA液と混合してもよい。
*1)コロイダルシリカ:比重1.21、シリカ濃度30質量%、NaO0.7、モル比103
*2)5号水ガラス:比重1.32、シリカ濃度25.5質量%
*3)硫酸:75%、比重1.674
なお、全量は400mlである。また、本発明において使用できるシリカ成分の濃度は、上記濃度に限られない。
実施例2は、実施例1に対し水ガラス分を増量した例であり、これによりシリカ濃度を高めることができる。また、比較例1は、各成分について実施例1と同じ使用量を用いているが、従来の複合シリカコロイドの配合手順による注入材であり、粒径および透水性において差が見られる。
ここで、図2に示すような浸透水圧養生槽において、養生用モールド内に供試体を配置し、動水勾配i=50の浸透水圧下における各種シリカグラウトの固結豊浦砂の透水試験(長期止水持続性試験、相対密度80%)を行った。供試体の大きさは、直径5cm、高さ10cmであった。その結果を、図3のグラフに示す。図示するように、実施例1の注入材によれば、無機系水ガラスや酸性シリカゾルなどの注入材と比べて透水率が低くなっていることがわかる。
<試験2>
さらに、本発明の注入材について、以下に従い、浸透性の確認を行った。
(試験条件)
供試体は、豊浦砂を用いて相対密度80%で作製した。下記の表中に示すシリカ6質量%配合の注入材で試験を行った。直径5cm×高さ130cmのモールドを使用し、130cmを10区画に分けて、シリカ含有量の測定を行い、浸透性の状況を確認した。
シリカ6w/vol%配合の注入材は、以下のようにして作製した。まず、コロイダルシリカ、水ガラスおよび水を混合して、A液を調製した。次に、このA液と、B液の配合成分である水ガラスおよび水とを混合した。さらに、このA液とB液との混合液に、C液である硫酸を混合して、注入材を得た。なお、本発明においては、まずB液の配合成分である水ガラスおよび水と、C液である硫酸とを混合したのち、このB液とC液との混合物をA液に混合してもよく、また、まずA液とC液である硫酸とを混合したのち、このA液とC液との混合物をB液の配合成分である水ガラスおよび水に混合してもよく、いずれの手順で得られた注入材でも、同様の効果が得られる。
(試験結果)
1.A液のみの浸透性確認
結果として、A液のみの浸透は不可能であった。上載圧力0.25MPa、浸透圧力0.17MPaでモールド下端から3cm浸透させるのに30分かかり、その後の浸透は見られなかった。直径5cm×高さ10cmモールドで同様に注入を行ったが、結果は同じであった。
2.A液を希釈した場合の浸透性確認
下記の表中に示すように、A液以外の残りB液およびC液の液量をすべて水に置き換え、A液を希釈(10倍)した作液で浸透試験を行った(6w/vol%濃度比)。上載圧力0.28MPa、浸透圧力0.18MPaで4時間注入したが、排液させるに至らず、浸透できた範囲は下段から80cm〜95cm程度(目視)となった(A−8〜A−9付近)(図4参照)。動粘度計で粘度を測定したところ、A液のみでは4.35mPa・sであった。希釈したA液(水で10倍)は0.94mPa・sであった。
本来なら、排液からシリカ含有量を測定する予定であったが、排液させることができなかったので、A液を希釈(10倍)した作液については、供試体を10分割で解体して、シリカ含有量の測定を行った。その結果を、下記の表中に示す。表中の試料名は図4に対応し、下部からA−1〜A−10とした。なお、pHは試験紙にて目視確認した。また、図5に、A液(希釈)のシリカ含有量およびpHの関係について、グラフで示す。
上記表5および図5から、77cm〜110cm(A−8〜A−10)の区間で、シリカ含有量とpH値に矛盾が生じている。目視で確認したA液(希釈)の浸透状況とpH値には関係性がみられるが、シリカ含有量には関係性がみられなかった。
結果として、A液のみでは、アルカリ領域で粒径が大きいためか、豊浦砂(相対密度80%)には浸透させることはできなかった。A液を水道水で希釈した場合(約10倍)は、ある程度注入させることはできたが、高さ130cmモールドから排液させることはできなかった。シリカ含有量の計測では、注入開始位置から20cm程度まで高いシリカの含有量を計測したが、それ以降は大きな数値の変化は見られなかった。A液の粒径が大きなものが、注入開始位置でとどまったと考えることもできる。
3.シリカ6w/vol%配合(水飽和後注入)の浸透性確認
供試体を水飽和させてから、シリカ6w/vol%配合の注入を行った(水飽和後注入)。まず、水道水で注入を行い、最初の排水まで40分注入した。その後、水飽和した状態で上記シリカ6w/vol%配合の注入材を注入し、3時間45分で2.0l排液させて終了した。上載圧力0.05〜0.28MPa、浸透圧は常に上載圧力の半分とした。シリカ含有量の測定結果を下記の表中に示す。表中の試料名は図4に準じて、下部から1−1〜1−10とした。
4.シリカ6w/vol%配合(直接注入)の浸透性確認
供試体が乾燥状態のまま、シリカ6w/vol%配合の注入を行った(直接注入)。最初の排液まで1時間30分注入(排液があった時点で終了)した。上載圧力0.05〜0.2MPa、浸透圧は常に上載圧の半分とした。シリカ含有量の測定結果を下記の表中に示す。表中の試料名は図4に準じて、下部から2−1〜2−10とした。
図6に、A液(希釈)の場合、シリカ6w/vol%配合(水飽和後注入)の場合、および、シリカ6w/vol%配合(直接注入)の場合のシリカ含有量のグラフを示す。図6中の採取位置は図4に準じて、下部から1〜10とした。
シリカ6w/vol%配合について水飽和後注入と直接注入とを比較すると、注入直後では、水飽和後注入で大きな値を示したが、それ以降では対比する限り、大きな数値の変化は見られなかった。A液のみの注入(希釈)と比較すると、シリカ含有量は約10,000〜15,000mg/kgの差が見られた。A液のみでは注入は難しかったが、シリカ6w/vol%配合としては水飽和後の注入、および、乾燥状態での直接注入のどちらにおいても、計測結果からは、十分な浸透が行えたと推測される。この結果から、A液にB液、C液を加えていく過程で、粒径の変化が生じて、最終的な注入液は、浸透性が十分得られる粒径になっているものと推測される。
<試験3>
さらに、本発明の注入材について、以下に従い、強度の確認を行った。
(試験条件)
(1)直径5cm×高さ130cmモールド
直径5cm×高さ130cmのモールドを使用した。浸透性の確認を行った供試体から、一軸圧縮強度を測定した(相対密度Dr=80%)。また、水飽和後注入から10本採取して、一軸圧縮試験を行った。さらに、直接注入から10本採取して、一軸圧縮試験を行った。
(2)直径5cm×高さ10cmモールド
上記(1)との対比のために、直径5cm×高さ10cmのモールドの供試体を直接注入で作製して、一軸圧縮試験を行った(相対密度Dr=80%)。直径5cm×高さ10cmのモールドは、シリカ6w/vol%濃度以外に4w/vol%および8w/vol%の場合についても、強度対比のために作製した。強度測定は7日強度および28日強度について行ったが、6w/vol%のみ60日強度も測定した。
(試験結果)
1.高さ130cmモールド(浸透試験で用いた供試体より)の28日強度
図7に、シリカ6w/vol%配合についての、高さ130cmモールドにおける水飽和後注入および直接注入の採取位置別、並びに、高さ10cmモールド(平均値)の28日強度(一軸圧縮強度)の試験結果を、まとめて示す。水飽和後注入の採取位置1番は、供試体がモールドから脱型できず、供試体高さが10cm(実測5.4cm)未満で強度試験を行ったので、結果には示さない。
2.高さ10cmモールドの強度
図8に、各シリカ濃度の場合の経過日数別の一軸圧縮強度をまとめて示す。
直径5cm×高さ10cmモールドの28日平均強度(220kN/m)と比較すると、この強度を下回ったのは水飽和後注入の採取位置8〜10(注入始点から77cm〜110cm)となる。最も低い強度を示した(水飽和後注入8番199kN/m)数値と直径5cm×高さ10cmモールドの28日平均強度との差は−21kN/mで約10%の差であり、大きな差とは考えにくい。強度の対比から推測すると、水飽和後注入、直接注入ともにシリカコロイドの浸透は十分なされており、概ね10cmモールドと同程度の強度を確認することができた。
図9に、図6における、A液(希釈)の場合、シリカ6w/vol%配合(水飽和後注入)の場合、および、シリカ6w/vol%配合(直接注入)の場合のシリカ含有量と、図7における、シリカ6w/vol%配合についての、高さ130cmモールドにおける水飽和後注入および直接注入の採取位置別、並びに、高さ10cmモールド(平均値)の28日強度(一軸圧縮強度)の試験結果とを、併せて示す。
以上の結果、浸透性について、シリカ含有量測定からシリカ6w/vol%配合は問題ないと推測できた。高さ10cmモールドの強度比較からも、浸透性は問題ないと推測できた。また、A液のみでは浸透しないが、A液を含む注入材は上述より浸透することが推測できた。A液を含む注入材を完成させるために加えるB液、C液の過程で粒径の変化が起きていると推測され、C液の酸性反応剤が大きく寄与していると推測される。

Claims (8)

  1. コロイダルシリカと、水ガラス溶液と、酸性反応剤または酸性シリカゾルとが混合されてなり、酸性ないし中性を呈する地盤注入材であって、
    (1)前記コロイダルシリカと前記水ガラス溶液とを混合してなるアルカリ性シリカ溶液が、25℃において白濁を呈するとともに、直径5cm×高さ130cmのモールドにおいて豊浦砂を相対密度80%で用いて浸透性試験を行った際に、浸透しきれないシリカ粒子を含み、
    (2)前記地盤注入材が、シリカ6w/vol%にて、酸成分として硫酸を使用し直径5cm×高さ130cmのモールドにおいて豊浦砂を相対密度80%で用いて浸透性試験を行った際に、浸透しきれることを特徴とする地盤注入材。
  2. 前記コロイダルシリカおよび前記水ガラス溶液を含み、25℃において白濁を呈する前記アルカリ性シリカ溶液と、前記酸性シリカゾル、または、前記酸性反応剤および水ガラスと、を混合してなり、酸性ないし中性を呈する請求項1記載の地盤注入材。
  3. 海水を練り混ぜ水とする請求項1または2記載の地盤注入材。
  4. さらに、塩を含有する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
  5. さらに、粉体の少なくとも一種以上を含有する請求項1〜のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
  6. さらに、マイクロバブルを含む請求項1〜のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
  7. 請求項1〜のうちいずれか一項記載の地盤注入材を地盤に注入することを特徴とする地盤改良工法。
  8. 請求項1〜のうちいずれか一項記載の地盤注入材と、マイクロバブル液とを、地盤に注入することを特徴とする地盤改良工法。
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