JP2004196922A - 地盤固結用アルカリ性シリカ、その製造装置および地盤固結材 - Google Patents

地盤固結用アルカリ性シリカ、その製造装置および地盤固結材 Download PDF

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俊介 島田
Motomu Miwa
求 三輪
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【目的】活性シリカを用いたアルカリ性シリカ溶液からなるコロイド状の地盤注入用アルカリ性シリカ、その製造装置および地盤固結材であって、特にコロイド状とすることにより広いPH範囲で長いゲル化時間と安定したゲル化が得られる等、その他種々の利点を得る。
【構成】活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材、または活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材からなるアルカリ性シリカ溶液であって、この溶液を熟成し、または、この溶液に酸性材または水ガラスと酸性材を混合し、または活性シリカに水ガラスを、または水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加することにより、コロイド状を呈するようにして構成される。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は活性シリカを用いたアルカリ性シリカ溶液からなるコロイド状の地盤注入用アルカリ性シリカ、その製造装置および地盤固結材に係り、特にコロイド状とすることによりアルカリ性〜酸性に至る広い範囲で、長いゲル化時間と、安定したゲル化が得られ、かつゲルの収縮やシリカの溶出がなく、長いゲル化時間でも高強度を呈して耐久性に優れ、さらに、シリカ(SiO2 )濃度が低くても充分な高強度が得られ、しかも強度の発現が早いのみならず、コンクリート構造物付近や貝殻を多く含むアルカリ性地盤をも確実に固結し、セメント系固結材との併用性にも優れ、かつ、反応剤の使用量を少なくして反応生成物を少なくし、このため低環境負荷にも優れた地盤注入用アルカリシリカ、その製造装置および地盤固結材に関する。
【0002】
【従来の技術】
水ガラスを用いた地盤固結材の技術分野では、従来、アルカリ領域でしかも長いゲル化時間で安定なゲルを形成することは困難であった。この理由は水ガラスを長いゲル化時間でゲル化するには、水ガラス溶液に含まれるアルカリの当量に対して過少の当量の反応剤を用いざるを得ないことにある。このため、ゲルが不安定になり、ゲル化物に多くの未反応水ガラスが含まれ、そのアルカリによってシリカゲルが解重合し、シリカ分が溶解して耐久性が得られず、かつ強度が低く、経日的に強度が大幅に低下し、さらにゲル化物がシネリシスによって収縮し、固結砂の透水性が低下する、等の問題点があった。
【0003】
したがって、従来では、水ガラスはゲル化時間が短い領域で、しかも仮設用に用いられてきた。すなわち、無機反応剤を使用する場合は、瞬結〜数分、有機系反応剤を用いる場合は瞬結〜数十分であったため、浸透性が悪く、または広範囲の注入が不可能であった。
【0004】
これらの問題を解決するために、水ガラスと酸を混合して得られる酸性〜中性の水ガラスグラウトが、広く使用に供されている。このグラウトは水ガラスのアルカリの中和によって除去したものであり、長いゲル化時間を得ることから、耐久性、浸透性に優れている点できわめて優れた注入材といえる。
【0005】
しかるに、そのゲル化物はシネリシスによる収縮が大きいという問題がある。さらに、水ガラスと酸のPHと、ゲル化時間との関係では、中性領域で10秒以内と短く、アルカリ領域でも、酸性領域でもPH変化に応じてゲル化時間が大幅に変動し、ゲル化時間の調整が難しい。特にアルカリ領域ではゲル化が不安定であり、実用化が困難であった。このため、ゲル化時間を長くするためにはPHが2〜3の酸性にする必要から酸を多く用いなくてはならず、経済性のみならず、反応生成物か多くなり、環境負荷が大きいという問題があった。
【0006】
さらに、環境負荷が少なく、耐久性に優れた固結材として、水ガラスのアルカリをイオン交換樹脂で除去してなるPHが2〜4の活性シリカを加熱濃縮して増粒し、PH9〜10で粒径が10〜20nm、シリカ濃度がほぼ30%のコロイダルシリカを用いた固結材が開発されている。
【0007】
しかし、この固結材はコロイダルシリカが高価で、またシリカ濃度が高いにも係わらず、強度が低く、かつ強度発現も遅いという欠点があった。
【0008】
このため、本出願人は水ガラスをイオン交換樹脂またはイオン交換膜で処理して得られるPH2〜4程度の酸性を呈する活性シリカによるグラウトを開発した。
【0009】
しかし、活性シリカは製造上、シリカ濃度を薄くせざるを得ず、工業的には通常4.5重量%以下、実験室的には6重量%以下である。このため、強度が弱い。また、反応性が高いので、安定性が1日程度である。このため、これを現場に搬入するまでにゲル化してしまい、実用的でない。
【0010】
上述の活性シリカに酸を加えてPH1〜2にすると、20℃の温度では2〜3日間はゲル化しない。しかし、夏場の高温時では、例えばローリー車で現場に搬入する際には、ローリー車の中でゲル化してしまう。
【0011】
【発明が解決すべき課題】
このような問題を解決するために、本出願人は活性シリカに水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ材を添加し、コロイド化したアルカリ性シリカを用いることによって、従来技術の問題点を解決し、さらに作業性も改善することに成功し、実用化を可能にしたものである。
【0012】
本発明者の研究によれば、活性シリカに水ガラスを加えてアルカリ領域のシリカ液をつくる場合、シリカ液がそれ自体不均質な白沈を生じて、豆腐状のゲルをつくりやすく、それ自体を注入しても地盤注入に必要な強度を得ることが困難である。
【0013】
すなわち、この場合、活性シリカは水ガラスと同じ特性を示し、充分な強度あるいは長いゲル化時間を得るには多量の酸を加えて中性〜酸性領域にして注入しなくてはならない。したがって、ゲル化物は収縮が大きく、酸を多く必要とし、環境負荷が高いという問題点があった。
【0014】
酸性ないし中性を呈する活性シリカの現場での適用に当たっては次の問題がある。
(1)地盤がアルカリ雰囲気の場合、酸性ないし中性の活性シリカはゲル化時間の変動が著しい。特に地盤中にセメント系固結物やコンクリート構造物が存在する場合や、海砂地盤のように貝殻等によってアルカリを呈する場合、あるいは石灰質地盤のようにアルカリ雰囲気にある場合等、ゲル化が短縮しやすい。
【0015】
(2) 一次注入としてアルカリ性の瞬結グラウトを注入する二重管複合注入工法、セメントグラウトを一次注入する二重管ダブルパッカ工法等の各種工法に前記シリカ溶液を一次注入材として用いると、アルカリの影響を強く受けることになる。
【0016】
(3)シリカ溶液中のシリカ濃度が低い場合、地盤のPHの影響を受けやすく、また、地下水圧の影響を受けやすくなる。
【0017】
(4)シリカ溶液を酸性領域にしてゲル化時間を長くするには、多量の酸を必要とする。この結果生じる多量の反応生成物はゲルの収縮の原因となるのみならず、反応剤の反応生成物の溶出による環境負荷が大きくなり、水質保全上好ましくない。
【0018】
そこで、本発明の目的はアルカリ領域でコロイド化したシリカコロイドを用いることにより酸性領域のみならず、中性〜アルカリ領域で長いゲル化時間を得、それにより任意のゲル化時間を小量の反応剤の使用で容易に達成し得、しかもゲルの収縮やシリカの溶出がなく、長いゲル化時間で高強度を呈して耐久性に優れ、かつ、シリカ(SiO2 )濃度が低くても充分な強度が得られ、しかも強度の発現が早いのみならず、コンクリート構造物付近や貝殻を多く含むアルカリ性地盤を確実に固結し、さらにセメント系固結材との併用に優れ、かつ低環境負荷にも優れ、上述の公知技術に存する欠点を改良した地盤注入用アルカリシリカ、その製造装置および地盤固結材を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の地盤固結用アルカリ性シリカによれば、活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材からなり、コロイド状を呈することを特徴とし、活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材からなるアルカリ性シリカ溶液であって、次の(a)、(b)および(c)のうちのいずれかの一工程、または複数の組み合わせ工程によりコロイド状とすることを特徴とする。
【0020】
(a)前記アルカリ性シリカ溶液を半透明ないしは乳白色になるまで、またはアルカリ金属中性塩の存在下で均一にゲル化するまで熟成する。
(b)前記アルカリ性シリカ溶液に酸性材または水ガラスと酸性材を混合する。
(c)活性シリカに水ガラスを、または水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加することにより前記アルカリ性シリカ溶液を調製する。
【0021】
さらに、上述の目的を達成するため、本発明の地盤注入用アルカリ性シリカの製造装置によれば、複数の薬液槽を、内部に連通するように互いに隣接して設け、上流側の薬液槽にはアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカ溶液が導入される導入口を設け、下流側の薬液槽にはコロイド状のアルカリ性シリカが排出される排出口を設け、さらに、前記複数の薬液槽の少なくとも一つには水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材が添加される添加口を設けてなることを特徴とする。
【0022】
さらにまた、上述の目的を達成するため、本発明の地盤注入用アルカタ性シリカの製造装置によれば、上流側先端に導入口を有し、下流側末端に排出口を有する導管であって、この導管の中間部分の任意の管壁には添加口を一個、または複数個間隔をあけて設けてなり、上流側先端の導入口からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを導管内に導入し、かつ中間部分の添加口から水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口から排出することを特徴とする。
【0023】
さらに、上述の目的を達成するため、本発明の地盤注入用アルカリ性シリカの製造装置によれば、一方の端に導入口およびこの導入口とは反対側の他端に排出口をそれぞれ有する環状導管であって、この導管の任意の管壁には添加口を一個、または複数個間隔をあけて設けてなり、一方の端の導入口からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを環状導管内に導入し、かつ添加口から水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口から排出することを特徴とする。
【0024】
さらにまた、上述の目的を達成するため、本発明の地盤固結材によれば、活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材からなり、かつ、コロイド状を呈する地盤固結用アルカリシリカと、反応剤とからなることを特徴とし、さらに地盤固結用アルカリ性シリカと、反応剤とからなり、前記地盤固結用アルカリ性シリカは活性シリカおよび水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ剤からなるアルカリ性シリカ溶液であって、次の(a)、(b)または(c)の手段によたコロイド状としてなることを特徴とする。
【0025】
(a)前記アルカリ性シリカ溶液を半透明ないしは乳白色になるまで、またはアルカリ金属中性塩の存在下で均一にゲル化するまで熟成する。
(b)前記アルカリ性シリカ溶液に酸性材または水ガラスと酸性材を混合する。
(c)活性シリカに水ガラスを、または水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加することにより前記アルカリ性シリカ溶液を調製する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の地盤注入用アルカリ性シリカ、地盤注入用アルカリシリカの製造装置および地盤固結材についてそれぞれ順を追って具体的に詳述する。
【0027】
地盤注入用アルカリ性シリカ
本発明にかかる地盤注入用アルカリ性シリカは基本的には活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ剤、例えば、苛性アルカリ、アルカリ性塩、等からなり、コロイド状を呈して構成されるが、さらにコロイダルシリカを含有してもよい。この溶液のモル比は4〜100程度であり、シリカ濃度は1〜30重量%である。
【0028】
本発明に用いられる活性シリカは水ガラスから、イオン交換樹脂またはイオン交換膜によりアルカリを除去して得られ、あるいは水ガラスと酸を混合してなる酸性珪酸水溶液から、イオン交換樹脂またはイオン交換膜を用いた電気透析によって得られ、シリカ(SiO2 )濃度が8重量%以下、通常4.5%以下である。上述の水ガラスとしては液状水ガラス、紛状水ガラス等、任意の水ガラスが用いられるが、特にモル比SiO2 /Na2 O=2〜6のものであり、特に3〜5のものが好ましく、さら好ましくはモル比3.7以上のものである。さらに、上述の水ガラス以外のアルカリ剤としては、アルカリ金属炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、アルミニウム塩等、加水分解してアルカリ性を呈する塩、アルカリ土金属やアルミニウム等の水酸化物等か挙げられる。
【0029】
本発明の特徴は活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ剤を含む上述のアルカリ性シリカ溶液が次の(a)、(b)および(c)のうちのいずれか一工程、または複数の組み合わせ工程によりコロイド状に処理されることに存する。
【0030】
(a)活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ剤を含む上述のアルカリ性シリカ溶液を半透明または乳白色になるまで、またはアルカリ金属中性塩の存在下で均一にゲル化するまで熟成する。ここで、熟成とは上述のアルカリ性シリカ溶液を適当な期間、例えば1〜2、3日間、コロイド状を呈するまで放置することをいう。コロイド状を呈する時点は溶液が透明または乳白色に変わった時点、あるいはアルカリ金属中性塩を添加混合して均一にゲル化した時点である。ここで、アルカリ金属中性塩としては無機中性塩、例えば、塩化カリ(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ソーダ(Na2 SO4 )等が挙げられる。
【0031】
(b)アルカリ性シリカ溶液に酸性塩または水ガラスと酸を混合してコロイド状のアルカリ性シリカとする。この酸としては、リン酸、硫酸、塩酸等の無機酸、硫酸バンド、硫酸水素ナトリウム、塩アルミニウム等の加水分解して酸性を呈する酸性塩、有機酸等が挙げられるが特に無機酸が好ましい。この工程により、アルカリ性シリカのアルカリの一部を中和して実質的なモル比を高め、コロイド化を図ることになる。あるいは、水ガラスと酸を混合して水ガラス中のアルカリを中和することにより得られる低分子珪酸を作用させ、コロイド化を図ることになる。上述の本発明におけるモル比とは、シリカ液に含まれるシリカ分と酸性材との反応によって中和するアルカリ分を除いた残存アルカリとの比、すなわち、実質的モル比をもってモル比とする。
【0032】
(c)アルカリ性シリカ溶液を調製する際、活性シリカに水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加することにより調製する。すなわち、活性シリカに水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ剤を少しづつ、ゆっくりと添加することによりコロイド状となる。また、特に水ガラス、または水ガラスと酸を段階的に、ないしは経時的に加えることにより、シリカ濃度を増加させながら、コロイド液をつくる。活性シリカはシリカ濃度が通常4.5%以下の薄いものであり、かつ1〜2日でゲル化する。このため、まず工場で活性シリカに苛性アルカリまたは水ガラスを加えてシリカ濃度が6%以下の半透明のコロイド状のアルカリ性シリカをつくる。次いで、このアルカリ性シリカに水ガラスまたはアルカリ材を段階的に加えてコロイド状にしながらシリカ濃度を上昇し、本発明にかかるコロイド状アルカリ性シリカをつくる。
【0033】
本発明ではアルカリ性シリカ溶液がコロイド状を呈するように上述の(a)、(b)および(c)の工程のうち一工程を任意に選定して行ってもよく、複数工程を適宜に組み合わせて行ってもよい。
【0034】
地盤注入用アルカリ性シリカの製造装置
上述の本発明にかかる地盤固結用アルカリ性シリカの製造装置は添付図面の図1〜図6に示される。
【0035】
図1は本発明にかかる製造装置の一具体例のフローシートであって、複数の薬液槽1−1、・・・1−nを、内部が導管2を通して連通するように互いに隣接して設ける。そして、上流側の薬液槽1−1には、内部にアルカリ性シリカ溶液を導入するための導入口3を設け、かつ下流側の薬液槽1−nには、製造されたコロイド状のアルカリ性シリカを排出するための排出口4を設ける。さらに上述の複数の薬液槽1−1・・・1−nのうちの少なくとも一つ、図1では薬液槽1−nには、内部に水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸を添加するための添加口5を設ける。図1中、6はバルブ、7はポンプであって、これらはそれぞれコントローラ8に連結され、このコントローラ8からの指示により自動的に制御される。もちろん、薬液槽には攪拌装置が備えられる。
【0036】
このようにして構成される本発明にかかる製造装置はまず、上流側の薬液槽1−1に導入口3を通じて活性シリカ、および水ガラスまたはアルカリ剤からなるアルカリ性シリカ溶液を導入する。このアルカリ性シリカ溶液は現場で調製されてもよく、薬液槽1−1に活性シリカと水ガラスを投入してアルカリ性シリカを形成してもよく。また工場でコロイド状に調製したアルカリ性シリカを現場に搬送し、薬液槽1−1に投入してもよい。次いで、薬液槽1−1中のアルカリ性シリカ溶液を導管2を通じて薬液槽1−nに移送する。ここで、この溶液中に添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加し、攪拌することによりコロイド化し、あるいはコロイドのシリカ濃度が増大し、下流側の薬液槽1−n中にコロイド状のアルカリ性シリカを製造する。得られたコロイド状のアルカリ性シリカは排出口4から排出する。なお、図示しないが、このアルカリ性シリカは後述のように貯溜槽に貯溜され、これに反応剤を添加して地盤固結材をつくり、ポンプで地盤中に注入
する。
【0037】
図2は本発明にかかる製造装置の他の具体例であって、上流側の薬液槽1−1にも添加口5を備え、ここからも水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加する例を示す。
【0038】
図3は本発明にかかるさらに他の具体例の装置であって、導入口3を有する上流側の薬液槽1−1と、添加口5およひ排出口4を有する下流側の薬液槽1−nとの間に、さらに添加口5を有する中間の薬液槽1−2を設けて薬液槽を三つとし、これら三つの薬液槽を縦方向に重ねることにより互いに隣接して構成される。積み重ねられた薬液槽はバルブ9、9を介して内部が互いに連通される。10はヒータであり、加温することによりコロイド化を促進する。他の図面の装置においても同様である。
【0039】
このように構成される図3の製造装置は上段に位置する上流側の薬液槽1−1にまず、導入口3を通してアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを導入し、次いで、このシリカ溶液をバルブ9を通じて中間の薬液槽1−2に移送し、ここで、添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を添加し、その後、中間の薬液槽1−2中の溶液をさらに、バルブ9を通して下流側の薬液槽1−nに移送し、ここでさらに、添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を添加し、このようにして水ガラス、または水ガラスと酸性材をアルカリ性シリカ溶液中に段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、あるいは増大して排出口4を通して地盤中に注入する。これらの動作はすべて、コントローラ8の制御のもとにバルブ6およびポンプ7の作動により自動的に行われる。さらに、後述するように、反応剤槽11から反応剤をポンプ12の作動により地盤中に注入し、地盤中でコロイド状のアルカリ性シリカと混合され、地盤を固結する。なお、コントローラ8の制御により、地盤への注入速度、アルカリ性シリカ液の各薬液槽への移送、コロイド化のための混合時間、材料の供給時間、加温等を管理することもできる。
【0040】
図4もまた、本発明にかかるさらに他の具体例装置のフローシートであって、上流側の薬液槽1−1と、中間の薬液槽1−2と、下流側の薬液槽1−nとを横方向に並列に隣接し、これら各薬液槽の内部を導管2を介して互いに連通し、上流側の薬液槽1−1には導入口3、中間の薬液槽1−2には導入口3および添加口5、および下流側の薬液槽1−nには導入口3および排出口4をそれぞれ備えて構成される。
【0041】
このように構成される図4の製造装置は上流側の薬液槽1−1にまず、導入口3を通じてアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを導入し、次いで、このシリカ溶液を導管2を通して導入口3から中間の薬液槽1−2に移送し、ここで、添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を添加し、その後、中間の薬液槽1−2中の溶液をさらに、導管2を通して導入口3から下流側の薬液槽1−nに移送し、ここでさらに、添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を添加し、このようにして水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材をアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカに段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、あるいはコロイドのシリカ濃度を増大し排出口4を通して地盤中に注入する。これらの動作は図3と同様、すべて、コントローラ8の制御のもとにバルブ6およびポンプ7の作動により自動的に行われる。このとき、後述するように、反応剤槽11から反応剤をポンプ12の作動により排出口4からのコロイド状アルカリ性シリカと混合し、地盤中に注入して地盤を固結する。
【0042】
図5は本発明にかかる具体例装置のフローシートであって、薬液槽として導管13を用いる。この導管13は上流側先端14に導入口3を有し、下流側末端15に排出口4を有し、さらに中間部分の管壁には添加口5を一個、あるいは複数個間隔をあけて設けて構成される。なお、バルブ6、ポンプ7、およびコントローラ8もまた上述と同様に設けられる。
【0043】
上述の構成からなる図5の製造装置は上流側先端14の導入口3からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを導管13内に導入し、かつ、中間部分の添加口5から導管13内に流れるアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカに水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口4から貯溜槽16に貯溜する。これらの動作は上述と同様、すべてコントローラ8の制御のもとに、バルブ6およびポンプ7の作動により自動的に行われる。このとき、後述のように、反応剤槽11から反応剤をポンプ12の作動により貯溜槽16中に添加、混合し、混合液を地盤中に注入して地盤を固結する。
【0044】
図6は本発明にかかる他の具体例装置のフローシートであって、薬液槽として環状導管17を用いる。この環状導管17は一方の端18に導入口3、およびこの導入口3とは反対側の他端19に排出口4をそれぞれ有し、かつ任意の管壁に添加口5を一個、ないしは複数個、間隔をあけて設けて構成される。なお、バルブ6、ポンプ7およびコントローラ8もまた、上述と同様に設けられる。
【0045】
上述の構成からなる図6の製造装置は一方の端18に導入口3からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状アルカリ性シリカを環状導管17内に導入し、ポンプ20の作動により環状導管17内を矢印方向に循環させ、この状態で添加口5からアルカリ性シリカ溶液に水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口4から貯溜槽16に貯溜する。このとき後述のように、反応剤槽11から反応剤をポンプ12の作動により貯溜槽16中に添加、混合し、混合液を地盤中に注入して地盤を固結する。上述の本発明各装置において、薬液槽、導管または環状導管にヒータを設けて加温し、コロイド化を促進させることもできる。
【0046】
地盤固結材
本発明にかかる地盤固結材は地盤固結用アルカリ性シリカと、反応剤とから構成される。この地盤固結用アルカリ性シリカは上述のように、活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材からなり、コロイド状を呈するものまたは活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材からなるアルカリ性シリカ溶液であって、既述の(a)、(b)および(c)のうちのいずれかの工程、または複数の組み合わせ工程によりコロイド状としてなるものであり、詳細には上述を参照とし、記載を省略する。
【0047】
ここで用いられる反応剤は塩、酸または、塩と酸の併用物、有機反応剤、またはセメントおよび/またはスラグ、石灰、石こう等である。塩としては、特に可溶性の無機中性塩が好ましく、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土金属の中性塩、酸性塩等であり、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム等の重炭酸アルカリ金属塩、炭酸のアルカリ金属塩等、水溶液がアルカリを呈する塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等の多価金属塩化物、酸性塩、アルミン酸ソーダ等のアルミニウム塩、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。
【0048】
その他の可溶性塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩や酸性塩、炭酸マグネシウム、ミョウバン、スルファミン酸マグネシウム等の多価金属塩等が挙げられ、このうちでも特に、アルカリ金属塩が均質なゲルをつくるのに適している。また、酸としては、リン酸、硫酸、炭酸、炭酸ガス、スルファミン酸等の無機酸、加水分解して酸性を得る塩、酢酸、クエン酸、グルコン酸等の有機酸、グリオキザール、ジアセチン、トリアセチン、エチレンカーボネート等の有機酸エステル等、が用いられる。これらの塩や酸は単独で、あるいは複数種を組み合わせはて用いられる。本発明では上述のとおり、アルカリ側でゲル化させる場合には塩または酸を用い、また、非アルカリ側でゲル化させるためには酸を用いれば良いが、塩と酸を併用して用いるのが好ましい。
【0049】
なお、本発明地盤固結材において、さらに金属イオン封鎖剤を添加することにより、地盤中の微量金属を不動態化し、ゲル化時間への影響を少なくすることができる。ここで使用される金属イオン封鎖剤としてはリン酸、リン酸塩等のリン酸化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ビス(2−ヒドロキシフェニル酢酸)エチレンジアミン、コハク酸、これらの塩類、脂肪族オキシカルボン酸、縮合リン酸塩等が挙げられる。脂肪族オキシカルボン酸としては酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ジヒドロキシエチルグリシン等、縮合リン酸塩としてはピロリン酸、トリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸等のポリリン酸の塩であるが、具体的には、ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウムまたはこれらのカリカム塩等である。
【0050】
なお、本発明において、ゲル化物の強度を高めるために、アルカリ性シリカ溶液にコロイダルシリカを併用してシリカ濃度を高めることができる。あるいは、工場て製造したアルカリ性シリカ溶液を施工現場に搬入してのち、あるいは配合時に水ガラスと反応剤を加えると、シリカ濃度を高め、かつ反応性を高めて強度増加を図ることができる。
【0051】
さらに、本発明の基本的理念等について以下のとおりに詳述する。
【0052】
本発明は基本的には、活性シリカと水ガラスやアルカリ材とを混合し、あるいはこれらにさらに酸性材または水ガラスと酸性材を混合してシリカ濃度の高い安定なシリカコロイドを形成し、このシリカコロイドに反応剤を添加して所望のゲル化時間で地盤を固結するものである。これは活性シリカと水ガラスまたはアルカリ剤とを含むシリカ液を重合反応によって高分子化し、コロイド化することに基づくものであり、これにより以下の特性を生じる。
【0053】
1)シリカコロイドをは活性シリカと、水ガラスやアルカリ材とを混合して形成される。活性シリカにアルカリを添加すると酸から中性ないしアルカリに移向し、これにより活性シリカが高分子化してコロイドになる。特に、活性シリカと水ガラスの場合、活性シリカが水ガラスのアルカリによってコロイド化され、さらに、水ガラスの低分子シリカが、すでに存在するコロイドに吸着されて、コロイドは成長する。このコロイドは水ガラスのアルカリで電気二重層と形成して安定化する。このようにして形成されたコロイドにさらに、水ガラスを加えるか、あるいは水ガラスを酸とともに加えることによって、加熱濃縮しなくてもシリカコロイドが増粒し、かつ、シリカコロイドの濃度が高められる。
【0054】
2)活性シリカや酸性水ガラスのように、酸性領域のシリカ溶液はゲル化後の脱水が多く、このためゲルの収縮が大きい。この理由はシリカは酸性領域では線状に重合し、これが絡み合ってゲル化するため、ゲルが圧縮されやすく、構造的に弱いからであると思われる。これに対して、アルカリ領域では、球状のコロイドが形成され、その粒子同志がシロキサン結合し合うため、ゲル化後の脱水が少なく、このため、ゲルの収縮が少なく、かつゲルの構造が強いと考えられている。
【0055】
活性シリカは(a)水ガラスのアルカリの一部、または全部をイオン交換樹脂またはイオン交換膜で除去してなるシリカ溶液、または(b)水ガラスと酸の混合液の塩の一部または全部をイオン交換樹脂またはイオン交換膜で除去してなるシリカ溶液として得られる。
【0056】
3)活性シリカは水ガラスのNaイオンが水素イオンに置き換った単分子の珪酸であって、PH2〜4の値を呈する。また、酸性水ガラスは水ガラスを酸と混合してなる酸性シリカであって、PH1〜4を呈する。このような酸性シリカはゲル化後もシラノール基の縮合重合によってゲル中で脱水現象を起こすため、ゲルの収縮が大きい。これに対して、アルカリ領域でコロイド状を呈する本発明のアルカリ性シリカはコロイドの形成後には、すでにコロイド内部のシロキサン結合が完了しており、ゲル化時にはコロイド表面のシロキサン結合のみであるので、ゲル化後の脱水収縮が極めて少ない。
【0057】
4)シリカ濃度が薄い場合には、活性シリカが少量の水ガラスまたはアルカリ材を添加混合し、数日間あるいはそれ以上静置して熟成することにより、混合液は透明ないし半透明となり、1年以上実質的にゲル化しない安定したコロイド状のアルカリ性シリカを得る。
【0058】
5)活性シリカに対して水ガラス量が多い場合、混合中、または混合後時間の経過とともに、強度のない豆腐状の白濁沈殿物となり、均質なコロイドを形成してゲル化するという現象が生じない。このようなシリカ液はもちろん、地盤改良の目的には不適である。
【0059】
6)活性シリカに対して水ガラス量が過大な場合、混合液は透明のままであり、コロイドを形成しない。このような混合液は水ガラス液とほとんど同じである。
【0060】
7)上述2)および3)の場合、活性シリカと水ガラスの混合液に酸を少量添加してアルカリの一部を中和し、あるいは水ガラスに酸を加えた酸性水ガラスや水ガラスと酸を同時に添加して水ガラスのアルカリの一部を中和したり、あるいは水ガラスのアルカリを酸で除去した低分子の活性シリカを加えることにより、安定で、均質な半透明のコロイド液となり、あるいはコロイドのシリカ濃度を増大させる。
【0061】
8)活性シリカに水ガラスを段階的に添加することにより、あるいは経時的に添加することにより、白沈を生じることなく、コロイドを形成しながらシリカ濃度を高めることができる。
【0062】
9)このようにして、活性シリカと水ガラスを混合して最初は透明な液から徐々に半透明、あるいは乳白色のコロイドを形成し、ゲル化しないか、あるいは数分、数十分〜数日、数ケ月間安定したコロイドを形成する。この安定なコロイド状のシリカ液に反応剤を添加して地盤中に注入し、アルカリ性ないし酸性に至るまでの任意のPH領域で瞬結から長結のゲル化時間で地盤を固結する。
【0063】
10)コロイド状のシリカ溶液はアルカリ領域にもかかわらず、シリカコロイドの解重合を起こしにくい。一方、コロイドに至っていない重合度の小さいシリカはアルカリと接触して溶解しやすい。もちろん、アルカリ含有量が低いほど、シリカは溶解しにくいが、一度コロイド状になると、かなりのアルカリ液でもコロイド状が溶解することなく保持される。
【0064】
11.コロイド状のアルカリ性シリカは同一のシリカ濃度でゲル化時間が長い。また、長いゲル化時間で強度が高く、均質な、構造的に安定したゲル化物を得る。特に、アルカリ領域ないし酸性領域においてゆるやかなゲル化時間の曲線を画くため、長時間のゲル化時間を得ることができる。反応剤の量を調節して任意のPH領域で、長時間から短時間まで、ゲル化時間を調整できる。このため、長いゲル化時間でも充分な強度を保持しながら、ゲル化時間を容易に調製し得る。したがって、酸性〜中性の領域はもちろんのこと、アルカリ領域でも、安定性の良い長結〜瞬結グラウトを得ることができる。これに対して、水ガラスと酸の混合によるゲル化時間の曲線は中性領域で瞬結〜1分以内でアルカリ領域では急速にゲル化時間が長くなり、ゲル化が不安定となるため、中性グラウトは瞬結領域で使用し、長期グラウトはPH2〜3付近の酸性領域で使用せざるを得なかった。このこた、中性領域で長いゲル化時間を得ることは不可能であった。
本発明はコロイド化しているため、中性領域でも長いゲル化時間を得ることができ、注入地盤のPHが変化しないため、水質保全上優れている。またアルカリ領域でも充分ゲル化時間の調整が可能なため小量の反応剤の使用ですみ、反応生成物が少なく、低環境負荷に優れている。
【0065】
12)コロイド状になっているか否かの判定はチンダル現象のみならず、アルカリ金属中性塩を添加することにより容易に判定できる。単なる単分子シリカの溶液である水ガラス水溶液や、コロイドに達していないシリカ液の場合、透明であり、KClやNaClを添加すると、塩析による水ガラス中のシリカの部分的な白色沈殿を生じるのみで、全体が均質なゲルを形成することはできない。このため、従来の水ガラス系注入材では、これらの塩は硬化剤としてではなく、他の硬化剤と併用してゲル化促進剤として使用されて来た。
【0066】
ところが、コロイド状態では、これらの中性塩の添加により液全体を均質なゲルにすることができる。これはシリカ分が大きな粒径のコロイド状になっているため、中性塩のみでコロイド表面の電気二重層が破壊され、コロイド表面のシラノール基同志が重合してシロキサン結合を起こし、粒子同志が架橋することによるものである。
【0067】
13)本発明によりゲル化したゲル化物はアルカリ領域であっても、シリカの溶脱がきわめて少なく、また、ゲルの収縮も極めて少ない。これは本発明が高分子化したコロイドのゲル化であるため、ゲル化物が経時的なシラノール基の縮合重合の脱水による収縮現象が少なくなるためと思われる。
【0068】
14)アルカリ領域において、長いゲル化時間でシリカの溶脱がなく、また収縮も少ない。したがって、得られる固結体は耐久性に優れ、かつ高強度を呈する。アルカリ性のシリカコロイドは少量の反応剤でゲル化するので、反応生成物は少ない。すなわち、アルカリ領域〜中性領域でも安定した長いゲル化時間でゲル化し、少量の反応剤ですむので反応生成物が少なく、したがって環境負荷が少なく、地下水の水質汚染を起こさない。
【0069】
15)コロイド状のアルカリ性シリカによるゲル化物はアルカリに対して耐久性に優れている。このため地盤が貝殻混じりのアルカリ性地盤でも、セメントによる改良地盤でも、アルカリ性注入材を併用しても、また、コンクリート構造物周辺部でも、本発明にかかるコロイド状のアルカリ性シリカは使用可能であり、確実に固結する。また、本発明にかかるコロイド状のアルカリ性シリカはセメントとの混合液として地盤固結に利用できるのみならず、コンクリート構造物付近ないしは該構造物が構築される地盤、アルカリ性地盤、コンクリート構造物の中、またはコンクリート構造物背部の空間に注入して固結することにより、恒久的な止水や地盤改良を行うことも可能になり、また、土と混合して固結体を形成することも可能になる。
【0070】
16)本発明にかかる地盤固結材およびこの固結材と埋め戻し土との混合物を掘削地盤に充填することにより、または前記地盤固結材、または該固結材と、土やその他の紛状体との混合物を地盤中の空隙や裏込め空間に充填したり、軟弱地盤に圧入することにより、地盤改良を行うことができる。
【0071】
17)本発明にかかる熟成は加温することによりコロイドの形成を促進できる。加温による促進は地盤注入における工期の促進上きわめて有用である。
【0072】
18)本発明において、活性シリカと水ガラスの混合液のモル比は4〜100が望ましい。混合液のアルカリ量が高く、モル比が4以下の場合、コロイドが形成されなかったり、あるいは一度形成したコロイドが溶けやすくなるが、酸を添加して水ガラスのアルカリの一部を中和して、モル比を高くすることにより、コロイドを形成することができる。この場合、混合液のモル比は加えた酸と同一の当量のNa2 Oが除去されたとみなしてモル比(実質的モル比)を算出する。
【0073】
19)活性シリカや酸性水ガラス等はアルカリに溶けやすい。これは低分子シリカが線状に重合しているものと思われる。また、アルカリ地盤において、アルカリの影響を受けやすい。しかし、本発明のアルカリ性シリカは活性シリカよりも大きな粒径のコロイド状シリカを形成するため、アルカリに対する抵抗力が大きく、溶けにくい。したがって、アルカリ領域でゲル化しても、そのゲル化物は耐久性があり、かつ地盤のアルカリ雰囲気にも抵抗性がある。また、コロイダルシリカのように活性シリカを加熱濃縮して弱アルカリで安定化したシリカコロイドに比べて粒径が小さく、活性も残っており、薄いシリカ濃度でも強度が高く、かつ強度発現が早い。
【0074】
このような性質を得るには、地盤固結材のシリカ濃度が1重量%以上であり、好ましくは3〜30重量%である。この場合の活性シリカの量はイオン交換樹脂またはイオン交換膜で水ガラスのアルカリを除去したシリカ分のシリカ量、または水ガラスと酸を加えてなる酸性水ガラスからイオン交換樹脂またはイオン交換膜で脱塩したあとのシリカ量をいう。また、水ガラスまたは酸性水ガラスの一部をイオン交換樹脂またはイオン交換膜で脱アルカリや脱塩した場合、脱アルカリまたは脱塩の量の当量に相当するシリカが活性シリカに相当するものとみなす。活性シリカに由来するシリカ(SiO2 )濃度は1/100%が好ましい。
【0075】
20)無機反応剤を用いた水ガラスグラウトあるいは酸性水ガラスグラウトでは、瞬結にゲル化する。しかし、ゲル化時間を長くする場合、アルカリ領域では反応剤の少量の変化で大幅にゲル化時間が変化したり、ゲル化しなかったりするので、ゲル化時間の調製はほとんど不可能である。これに対して、シリカをコロイド状にした本発明では、中性〜アルカリ領域でも長いゲル化時間で確実にゲル化し、ゲル化時間を容易に調製できる。
【0076】
本発明において、反応剤としては塩、酸または塩と酸の併用物が用いられ、任意のPHでゲル化させることかできるが、少なくとも塩を反応剤として用いると、コロイド状シリカは塩のみでもゲル化するため、アルカリ雰囲気の地盤でも確実にゲル化し、耐久性も損なわれることはない。また、酸を用いてアルカリへ酸性の任意のPH領域で充分に長いゲル化時間を得、さらに塩を併用することによりゲル化時間を短縮できる。
【0077】
本発明者等の研究によれば、反応剤として酸のみを使用した場合、地盤がコンクリート構造物のようなアルカリ性固結物、セメント系地盤改良材による改良地盤、石灰地盤、スラグ系改良地盤、水ガラス系グラウトによる改良地盤、あるいは貝殻等が存在する海砂等のようなアルカリ性地盤の場合、注入した酸性のシリカ溶液は地盤中の遊離のアルカリによってアルカリ領域ではゲル化が不安定になる。しかし、反応剤として塩と酸を併用すると、地盤のPHに関係なくゲル化が確実に行われる。
【0078】
本発明におけるアルカリ性シリカ溶液はシリカ(SiO2 )濃度が1重量%でもよいが、3重量%以上であれば、反応剤として少なくとも塩を用いることにより、塩析の作用によってアルカリ性雰囲気の地質条件でも確実に固結する。また、上述のように、反応剤として少なくとも塩を用いることにより、シリカ濃度が3%以上であれば、30秒以内の短時間ゲル化が可能であり、このため、二重管瞬結工法や、瞬結・緩結二重管複合注入工法が可能である。例えば、二重管ダブルパッカ工法の一次注入としてセメントベントナイトのようなアルカリ材を用い、二次注入材として、ゲル化時間が数十時間の注入方式に適合する等、任意の注入工法に適用することができる。また、反応剤としてセメントおよび/またはスラグを用いる場合には、ポルトランドセメントや高炉セメント等、各種セメントや高炉スラグを用いることがてきるが、それぞれ、6000 cm2/g 〜20000cm2/g の微粒子の場合でも確実に固結する。
【0079】
さらに、上述の本発明に用いられるアルカリ性シリカ溶液は高分子化が進んでシラノール基が少なくなっているため、脱水が少なく、このためゲル化後にほとんど収縮が生じない。また、反応生成物も極めて少量であって、地下水を汚染しない。また、ゲル化したシリカの累積溶解量は3週間でほぼ0.01%で一定になりこのため、シリカの溶脱、ほとんど無視できるほど少ない。このことから本発明にかかる地盤固結材は耐久性に優れ、極めて現場負荷の少ない地盤固結材ということができる。本発明固結材をあらかじめイオン交換樹脂またはイオン交換膜によって脱塩あるいはシリカ分以外のイオンを除去することにより、塩あるいはシリカ分以外のイオンを完全に、あるいは大部分除去して殆ど純粋な、しかも溶出しないシリカ分のみで地盤を固結でき、完全無公害注入材となる。しかも、本発明固結材は反応剤が少量ですむため、脱塩処理により回収される塩は少なくてすむ。このため現場で使用するイオン交換樹脂の量ももちろん少なくてすみ、あるいはイオン交換膜を用いた電解透析の設備も小さくてすみ、また、脱塩シリカのゲル化時間が短くなっても、そのまま地盤に注入すればよく、極めて作業性に優れ、かつ経済的な施工が可能になる。
【0080】
本発明では、工場で製造したアルカリ度の高いアルカリ性シリカに現場で酸を添加してアルカリの一部を中和したアルカリ性シリカをつくることもできる。また、現場にゲル化時間の長い活性シリカを搬入して、現場で上述のコロイドを形成してもよい。さらに、活性シリカに水ガラスを添加する際、酸を添加してアルカリの一部を酸で中和し、実質的にモル比の高いアルカリ性シリカを製造することもできる。また、アルカリ性シリカ溶液に注入現場においてコロイダルシリカを添加し、アルカリ性シリカ溶液のシリカ濃度を高めてすなわち、モル比を高めて固結強度の増大を図ることもできる。
【0081】
アルカリ性シリカ溶液は工場で製造された場合には、重合反応を起こして大きなシリカ粒子に成長され、コロイド化して安定化される。このようなコロイド状アルカリ性シリカ溶液に反応剤を加えると、大きなシリカ粒子同志がネット状に結合してゲルが形成される。
【0082】
通常市販されているコロイダルシリカはシリカを加熱濃縮してシリカ濃度30%、PH10付近、粒径10〜20nmとしたものである。これに対して、本発明に用いられる活性シリカは粒径が0.1nm付近である。この活性シリカにアルカリ剤または水ガラスを加えてコロイド状にしたシリカコロイドは粒径1〜10nmである。これにコロイダルシリカを加えれば、1〜20nmの粒径に分布されたコロイド液となる。また、コロイド状のアルカリ性シリカにさらに水ガラスまたは水ガラスと酸を加えたコロイド液はシリカの粒径が0.1〜10nmの範囲に分布すると思われている。このように、本発明のコロイド状アルカリ性シリカは大きな粒径のシリカコロイドと、小さな粒径のシリカコロイドが共存して大きなコロイドの安定性と小さなコロイドの活性が備わり、これが注入材としての強度発現を早め、シリカ濃度が薄くても強度を大きくする。
【0083】
本発明にかかる地盤固結材はアルカリ性シリカ溶液にさらに、水ガラスと反応剤を加えると、固結体の強度が大幅に増加され、かつ強度発現も早くなる。この理由は水ガラスと反応剤の反応によって生じる低分子量のシリカが、アルカリ性シリカ溶液に起因する大きなシリカの網状体に吸着され、反応を起こしてゲルの構造を補強するためと推察される。さらに、反応剤として水ガラスのアルカリ当量以上の酸を用いることにより、低分子量の酸性珪酸が大きなシリカに吸着されてゲルを補強する。
【0084】
なお、アルカリ性シリカ溶液のシリカ濃度が同一である場合、現場で添加される水ガラスに起因するシリカが存在する方が、酸性の低分子珪酸の結合力によるゲルの補強効果により、強度発現が早く、しかも長期強度も高い。しかし、本発明のアルカリ性シリカ溶液は高分子化されているので、中性領域でも長いゲル化時間を保持でき、このため環境保全にも優れている。
【0085】
なお、本発明では、コロイダルシリカを上述のアルカリ性シリカ溶液に混合してもよく、あるいは、活性シリカにコロイダルシリカを混合し、その後、水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ材を添加してアルカリ性シリカ溶液としてもよい。このときのシリカ濃度は活性シリカに起因するシリカと、コロイダルシリカに起因するシリカとの合計量を30重量%まで増加させることができる。
【0086】
本発明にかかる地盤固結材において、アルカリ性シリカ溶液に起因するシリカ量は好ましくは、懸濁型固結材の場合0.1重量%以上であり、溶液型固結材の場合、1重量%以上である。また、活性シリカと水ガラスからなるシリカ溶液のシリカ量の合計はアルカリ性シリカ溶液の1〜30重量%が望ましく、これにコロイダルシリカを加えれば、シリカ濃度がさらに高くなる。さらに、現場において、アルカリ性シリカ溶液に水ガラスを酸とともに添加すればシリカ濃度は一層増大する。また、溶液型固結材の場合、反応剤の使用量は配合液のゲル化時間により適宜変動することができ、具体的にはシリカ(SiO2 )1重量部に対して固型分として0.01〜1重量部である。また、反応剤水溶液の濃度は0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜15重量部である。特に、本発明にかかるコロイド状アルカリ性シリカは小量の反応剤添加量で任意のゲル化時間に調製できこのため、経済的であるのみならず、反応生成物が少なく、環境負荷が少ない。
【0087】
アルカリ性シリカ溶液、あるいはこれに反応剤、水ガラスや酸を組み合わせてなる本発明にかかる地盤固結材はPHが12を越えない範囲が固結体の耐久性向上のために好ましい。また、アルカリ性シリカ溶液に水ガラスを添加した場合のように、一時的にPH12よりもアルカリ性側にあると、コロイドの部分的溶解を起こしやすいため、これを防ぐために酸でPH12以下に中和することが好ましい。この場合、アルカリ性シリカのアルカリ分の一部が酸によって中和されるため、アルカリ性シリカ溶液のモル比が高くなる。
【0088】
なお、本発明は上述の懸濁型反応剤とともに、水ガラス類、石灰、重炭酸塩、炭酸塩、アルミン酸ソーダ等を添加してゲル化時間を任意に調製することができる。
【0089】
本発明は二次注入材として用いる場合、一次注入材として水ガラスを使用した溶液型注入材、例えば、水ガラス−無機酸系、酸性シリカゾル系、セメントを主成分とした懸濁型注入材、例えばセメント−水ガラス系等が用いられるが、本発明の固結体にこれらの一次注入材が悪影響を与えるようなことはない。
【0090】
また、本発明のアルカリ性シリカにセメントを含有せしめた懸濁型固結材で産廃土を固結させて廃棄したり、埋め込し土を本発明の地盤固結材と混合し、地盤の空隙や裏込め空間に充填して固結させることもできる。
【0091】
本発明固結材は上述のとおり、収縮がほとんど無く、かつ溶出物もほとんどないことから、用水に近い地盤改良、水中生物に影響される地域の地盤改良に適しているのみならず、被圧水下の止水層の形成に優れている。このため、トンネルやシールド背面に注入することにより恒久的な止水壁を作ることもでき、さらに、ダムの止水壁や、地下ダムの止水壁にも用いることもできる。また、地中構造物を構築するために掘削して生じた埋め戻し土に本発明固結材を混合し、これを構築物周辺に埋め戻すと、恒久止水層が形成され、構造物内への漏水の発生を防止し、その後の補修費を節減できる。また、本発明にかかる地盤固結材は収縮が少ないため、トンネル掘削に際して、補強材をあらかじめ削孔に挿入し、次いで補強材と削孔との間の空間に本発明固結材を圧入し、グリオキザールのような反応剤で高強度ゲル化物とし、あるいは懸濁型反応剤で超高強度ゲル化物として補強材を地山に定着し、地盤を固結することができる。
【0092】
さらにまた、本発明地盤固結材は掘削溝中に充填し、あるいは土砂と混合して掘削溝中に充填し、止水層を形成することもできる。さらに、注入管とともに合成樹脂膜を地盤中に敷設し、その後該注入管を通して本発明固結材を該膜中に注入することにより恒久止水が形成される。このような合成樹脂膜は廃棄物処理場の底面に敷設されてもよい。本発明固結材はコロイドで形成されているため、収縮が少なく、止水性に優れ、廃棄物処理場の底面に用いても劣化したり、等の不都合が生じない。
【0093】
また、本発明固結材を地盤中に噴射することにより、土砂と混合した固結体を地盤中に形成することもできる。このとき地盤中に攪拌翼を挿入し、この回転とともに本発明固結体を噴射、混合し、固結体を形成することもできる。いずれも、固結体からアルカリが殆ど溶出しないので、水質保全性に優れている。
【0094】
また、本発明固結体をセメントやスラグ等、高強度を呈する懸濁液と合流または混合して地盤中に注入することにより、これらの懸濁液の固結性を阻害することなく、任意の時間にゲル化せしめ、止水性と固結性の両方を発現することができる。
【0095】
【発明の実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に詳述するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0096】
1 使用材料
(1)水ガラス
【0097】
【表1】
Figure 2004196922
【0098】
(2)活性シリカ
【0099】
【表2】
Figure 2004196922
【0100】
活性シリカ1
3号水ガラスを水で希釈した液を陽イオン交換樹脂に通過して処理し、得られるPH2.7、比重1.03、SiO2 =4.0%の活性シリカ。
活性シリカ2
上述と同様にして得られ、PH3.0、SiO2 =6.0%のシリカ。
【0101】
(3)シリカ液の作成−1
上記活性シリカに苛性ソーダまたは水ガラスを添加して安定化させたシリカ溶液。最初は透明を呈し、一週間静置熟成して半透明のコロイドとした。KClを400cc当たり5g添加すると、全体が均一にゲル化する。これらシリカ液1、2、3を表4以下のシリカ液の製造に用いた。
【0102】
(4)市販コロイダルシリカ(AT)
SiO2 =30%、Na2 O=0.7%、
モル比=44.23、比重=1.20、PH=10.0、
平均粒径15nm。
【0103】
(5)セメント1
普通セメント。
(6)セメント2
平均粒径3μmの微粒子セメント。
(7)スラグ
比表面積が15,000cm2 /gの微粒子スラグ。
(8)消石灰
比表面積が10,000cm2 /gの微粒子消石灰。
(9)リン酸
75%工業用リン酸。
(10)その他
工業用KCl、工業用KHCO3 、75重量%工業用硫酸、40.6重量%グリオキザール、一級試薬クエン酸。
【0104】
2 測定方法
(1) ゲル化時間
カップ倒立法により、カップから流動しない時点をゲル化時間とした。
(2) 土中ゲル化時間
千葉の海岸砂(PH:10.0、貝殻に基因すると思われるカルシウム分含有量3重量%)100gと、測定すべき試料50mlを混合したカップを静置し、竹串で突き刺してゲル化状態を観察し、固化による抵抗を生じた時点をゲル化時間とした。
【0105】
(3) シリカの溶脱およびホモゲルの体積変化
200mlのガラス製メスフラスコに測定すべき試料100mlを注ぎ込み、ゲル化させた。その後、標線まで水を入れて所定の日数養生した。測定日に養生水を全量取り出し、ゲルの体積変化を測定してシリカの測定に供した。さら
、にメスフラスコに標線まで水を入れ、再度養生した。
【0106】
3 シリカ溶液の作成−2
表2のシリカ液と、表1の水ガラス水溶液、またはコロイダルシリカとを混合してシリカ液を作成した。これら各試料について室温における安定性とコロイドの生成を判定し、結果を表4〜表8に示した。なお、シリカ液2、シリカ液3と、表1の水ガラス1、水ガラス2を組み合わせて種々の比率、濃度で混合し、活性シリカと水ガラスの混合液を作成し、結果を表3に示した。
【0107】
【表3】
Figure 2004196922
【0108】
【表4】
Figure 2004196922
【0109】
【表5】
Figure 2004196922
【0110】
【表6】
Figure 2004196922
【0111】
【表7】
Figure 2004196922
【0112】
【表8】
Figure 2004196922
【0113】
表3より、活性シリカとアルカリまたは水ガラスを混合することによりアルカリ性を呈する半透明のコロイド液が形成されることがわかる。
【0114】
表4はシリカ液2に水ガラス1を加えて得たシリカ液を示す。シリカ濃度を31%まで増大することができる。活性シリカの比率が多いと、安定したコロイドを形成するが、全シリカ量に対する活性シリカの比率が小さくなると、配合直後、または混合中に豆腐状の白沈を生じる。これは構造的強度をもたないため、単なるシリカの沈殿物であって、コロイドを形成しない。しかし、水ガラスの比率が最も大きくて、条件の悪いシリカ液No.12 に酸を加えたアルカリ性シリカNo.13 はアルカリを低減してモル比が高くなり、コロイド化してPHが低くなるにもかかわらず、白沈することなく半透明な安定したコロイドになる。表示していないが、白沈しているNo.4〜No.11 も同様に酸を加えることによって半透明になり、コロイド化する。
【0115】
表5は表4の水ガラス(水ガラス1)を稀釈した水ガラス4を用いた例を示す。この場合も、白沈を生じるNo.17 、No.21 は酸を加えることにより、水ガラスのアルカリが低減し、モル比が高くなる。これによって、それぞれNo.18 、No.22 に示すように、PHを低下するにもかかわらず、安定したゲル化時間の長いコロイドを形成することがわかる。
【0116】
表6はモル比が高い水ガラス2を用いた例である。この場合、さらにコロイド化の範囲が広くなる。すなわち、モル比の高い水ガラスを用いた方がコロイド化しやすいことがわかる。しかし、活性シリカの比率が非常に薄い例(No.30、31) はコロイド化しないが、酸を加えることにより、モル比を高めると、アルカリ領域で安定したコロイドを形成する。(No.33、34) 。
【0117】
表7はシリカの濃度の高い、シリカ液3にモル比の高い水ガラス2を加えた例であって、安定したコロイドの形成がさらに容易となり、白沈が生じにくくなる。この場合も、シリカ濃度が高く、かつアルカリ分が多いと、No.43、44に示されるようにコロイド化されにくくなるが、酸を加えてモル比を高めるとコロイド化することがわかる。(No.45)。
【0118】
表8はシリカ2とコロイダルシリカを用いてシリカ濃度を15〜20%付近にした場合、アルカリ性を呈する安定したコロイド液が形成されることを示す。表には示さないが、コロイダルシリカの配合量を増大することにより、25%のシリカ濃度が可能になる。
【0119】
以上より、活性シリカの濃度はせいぜい4〜6%程度であるが、水ガラスを加えて、表4に示されるように、シリカ濃度が30重量%の濃い安定したコロイド状シリカが形成されることがわかる。本発明のシリカ濃度の最少限は活性シリカの濃度によるが、薄いシリカ濃度の場合、容易に製造可能であるが、地盤固結用には1%以上が好ましい。そして活性シリカに水ガラスを加えることにより活性シリカ単独よりも、同一シリカ濃度で大きな強度が得られる。活性シリカと水ガラスの混合液のシリカ濃度は1%以上、好ましくは3%以上が動水地盤や水圧の大きな地盤の改良に好ましい。したがって、本発明のコロイド状を呈するシリカ濃度の範囲は1〜30重量%が好ましい。
【0120】
各シリカ液に対して、塩(KCl、KHCO3 )、無機酸(H2 SO4 、H3 PO4 )、有機酸(クエン酸)、有機反応剤(グリオキザール)を反応剤として用いた固結液のゲル化の試験結果を表9に示す。また、これらの強度と耐久性の試験結果を表10に示す。
【0121】
【表9】
Figure 2004196922
【0122】
【表10】
Figure 2004196922
【0123】
表9より、シリカ液をコロイド化することによりアルカリ領域でも、中性〜酸性領域でも、数秒、数十秒、数時間、数十時間の安定したゲル化時間を得ることがわかる。特にKCl単独を用いた場合、コロイド化した本発明にかかるシリカ液(No.5、6 、7 、8 、9 、10、17、18、19、20、24、27) は全体的にゲル化するにもかかわらず、水ガラス(No.29 、30) ではゲル化しないことがわかる。また、酸の量を変化させてPHを酸性〜アルカリ性の範囲で変化し、これによりゲル化時間を調製することもでき、酸でPHを所定の値にして、塩でゲル化時間をコントロールし得ることもわかる。さらに、シリカ濃度が高い(No.8、9 、27) にもかかわらず、無機塩のみで、アルカリ領域で長いゲル化時間が得られることもわかる。
【0124】
これに対して、アルカリ領域でゲル化させる水ガラスグラウトは水ガラスに反応剤を加えた場合、KClのようなアルカリ金属の中性塩はそれ単独ではゲル化剤としては使用できず、他の反応剤とともにゲル化促進剤として用いられるにすぎない。また、重曹や、リン酸、硫酸等の無機反応剤では、アルカリ領域では数分以内のゲル化時間の短い領域でしか確実にゲル化しない。また、無機酸で長いゲル化時間を得るには酸性領域でゲル化させる以外にない。
【0125】
表10に土中ゲル化時間と、固結標準砂の強度試験結果、と耐久性(ホモゲルからシリカの溶脱率と収縮率)を示す。コロイド化することにより、土中ゲル化時間におけるゲル化の急速な短縮が生じないため、浸透性が阻害されない。比較例6に比べてシリカ濃度が低いにもかかわらず、酸性領域でなくても、アルカリ領域で強度が高く、強度増加も早いことがわかった。
【0126】
なお、本発明ではシリカ液のシリカ濃度が4重量%〜23重量%(表3〜8)でも、モル比4.0〜88まで安定したコロイドを得ることがわかる。活性シリカが薄くても、アルカリを加えてコロイド化でき、このため、シリカ濃度の下限は活性シリカの下限であって、1%であってもかまわない。しかし、強度的ゲル化からいうと、3%以上が好ましい。
【0127】
また、モル比は実施例では4.0(シリカ液No.13)から39(シリカ液No.41)であるが、実施例にはないが、例えば、シリカ液を100ml、コロイダルシリカを900mlのシリカ液はモル比が44であるから、その上限は44付近とすることができる。次に、シリカ濃度が11%(シリカ液No.5 )から31%(シリカ液No.12)、モル比3.8(シリカ液No.12)〜5.5(シリカ液No.5 )の範囲で白沈を生じており、また、シリカ濃度21%(シリカ液No.30)〜23%(シリカ液No.31)、モル比4.4(シリカ液No.31)〜4.5(シリカ液No.30)の範囲で透明のままコロイドを生じないが、これらのいずれも、酸を加えることによって、半透明の均質なコロイドを形成する。すなわち、シリカ濃度1.0〜31%、モル比4.0(No.13)〜44の範囲のコロイド化が可能である。しかし、コロイダルシリカはモル比を100以上にすることができるから、コロイダルシリカを加えた本シリカのモル比の上限は100とすることができる。また、全シリカ量に対する活性シリカに起因するシリカの比率は最少は1%(No.13)で、最大は100%(No.1) である。
【0128】
したがって、以上をまとめると、アルカリが多い場合、シリカ濃度の高い場合は酸を加え、モル比を高めてコロイド化することにより、シリカ濃度1重量%〜31重量%、モル比4.0〜100、全シリカ量に対する活性シリカに起因するシリカの比率が1〜100%の範囲を半透明のコロイド化とすることができることがわかる。
【0129】
また、表9、表11より、コロイド化したシリカ液を用いた固結液はアルカリ領域でゲル化させても、長いゲル化時間で充分な強度が得られ、強度発現も早く、強度増加にも優れ、強度が低下することがない。また、シリカの溶脱は0.1%以下であり、ホモゲル体積の収縮も1%以下である。すなわち、長いゲル化時間で、ゲル化が確実であるのみならず、高強度が得られ、強度低下はなく、シリカの溶脱も収縮も極めて少なく、耐久性に優れている。
【0130】
これに対して、アルカリ領域の水ガラスグラウトは強度が低く、強度低下があり、シリカの溶脱も大きく、ゲルの収縮が大きい。また、酸性領域の水ガラスグラウトでは、ゲルの収縮が大きい。さらに、コロイダルシリカはシリカ濃度が大きいにもかかわらず、強度が低く、強度増加も遅い。
【0131】
シリカ2に対して、KClおよびリン酸をそれぞれ単独で添加したときのゲル化時間を表12に示す。ゲル化時間の値は図7、図8、および図9にそれぞれ示す。
【0132】
図7により、アルカリ領域で、KCl単独で、かつシリカ濃度23.1%で、ゲル化時間を広範囲調整できることが示される。また、図8により、KClを一定にし、リン酸でPHを調整することにより任意のPH値とゲル化時間を得ることが示される。さらに、図9により、リン酸単独でゲル化時間を調整し得ることが示される。
【0133】
図10は各種シリカについて、経過日数(日)と一軸圧縮強度(MN/m2 )との関係を表したグラフである。図10からKClによるアルカリ領域のゲル化はリン酸による酸性領域のゲル化よりも強度発現が早く、かつ強度が高いことが示される。また、活性シリカのみの場合は、強度発現が遅く、強度が低いことも示される。さらに、同一シリカ濃度でコロイダルシリカを用いる場合には、強度が低く、強度発現も低いことが示される。また、本発明は図7、図8より中性領域で長いゲル化時間を得、地下水のPHを変化させない低環境負荷型グラウトであるということもできる。
【0134】
図11は水ガラスのPHとゲル化時間との関係、およびコロイド状アルカリ性シリカ(シリカ液2)のPHとゲル化時間との関係を表したグラフである。図11において、「○」印の曲線はSiO2 4%のシリカ液2を温度25℃で硫酸で中和したときのPHとゲル化時間との関係を示す。また、「●」印の曲線は(1)がSiO2 3.00%の水ガラス(モル比3.3)を温度25℃で、硫酸で中和したときのPHとゲル化時間との関係を示し、(2)がSiO2 3.50%の水ガラス(モル比3.3)を温度25℃で、硫酸で中和したときのPHとゲル化時間との関係を示す。
【0135】
図11において、シリカ液2はSiO2 濃度4%であって、水ガラスのSiO2 濃度よりも高いにもかかわらず、ゆるやかな曲線を示すのに対し、コロイド化されていない水ガラスは中性領域で急激にゲル化時間が短縮し、かつアルカリ側および酸性側で大幅にゲル化が延長し、曲線が急激になる。これにより、本発明にかかるシリカ液2は反応剤として酸を用いてゲル化時間を調整し得、かつ塩を併用してゲル化時間をさらに容易調整し得ることがわかる。また、本発明のシリカ液2では、酸性領域のみならず、アルカリ領域でも、すなわち全PH領域でもゲル化が可能であり、したがって、少ない反応剤量でゲル化可能であるのみならず、中性領域でも長いゲル化時間で浸透注入でき、このため、低環境負荷型注入材ということができる。
【0136】
表9、10は種々のシリカ液に反応剤として酸、塩、有機反応剤を用いた固結液のPH、ゲル化時間、強度、ホモゲルからのシリカ溶脱、および収縮率の測定結果を示したものである。また、比較として、アルカリ性水ガラスグラウト、酸性水ガラスグラウト、コロイダルシリカグラウトの例を示す。これより、本発明にかかる固結液はPHがアルカリ領域から酸性領域に至るPH領域で、数秒から数日間のゲル化時間を調整し得、かつ、コロイド化することによりシリカの溶脱も少なく、ホモゲルの収縮も小さいことがわかる。
【0137】
比較例では、酸性水ガラスの固結液はシリカの溶脱については小さいものの、収縮率が大きい。また、アルカリ性水ガラスの固結液は経時的に強度が低下し、また、ホモゲルの収縮が非常に大きい。さらに、コロイダルシリカでは、シリカ濃度が高いにもかかわらず、強度が低い。一方、本発明はコロイド化により固結液のPHがアルカリ領域でもゲル化が安定し、強度が高く、経時的に強度増加を来たし、強度発現も早く、シリカの溶脱が少なく、ホモゲルの収縮が少ない。
【0138】
また、本発明はアルカリ領域でも短いゲル化時間から長いゲル化時間まで確実に調整し得るため、小量の反応剤で充分な強度と浸透時間を得る。このため、反応生成物が少なく、かつシリカの溶脱もほとんど起こらず、したがって、地下水の水質を低下させることもなく、低環境負荷型固結材ということができる。
【0139】
表13はアルカリ性シリカに水ガラスを段階的に添加することにより、コロイド化しながらシリカ濃度を上昇させる例を示す。すなわち、表4のシリカ液8は白沈するが、これに水ガラスを段階的に添加することにより、表13に示されるように、最終的に表4のシリカ8と同じ配合であるにもかかわらず、コロイド化している。
【0140】
【表11】
Figure 2004196922
【0141】
【表12】
Figure 2004196922
【0142】
【表13】
Figure 2004196922
【0143】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明はコロイド状のアルカリ性シリカ、この製造装置、およびこのコロイド状アルカリ性シリカを使用した地盤固結材であって、次の効果を奏し得る。
【0144】
(1)PHがアルカリ領域から酸性領域に至る領域で、数秒から数日間のゲル化時間を調整し得る。
【0145】
(2)コロイド化によりアルカリ領域のPHでも固結液はゲル化が安定し、強度が高く、経時的に強度増加を来たし、強度発現も早く、シリカの溶脱が少なく、ホモゲルの収縮が少ない。また、中性領域でも長いゲル化時間を得るので、浸透性に優れ、かつ地下水のPHを変化させず、低環境負荷に優れている。
【0146】
(3)アルカリ領域でも短いゲル化時間から長いゲル化時間まで確実に調整し得るため、小量の反応剤で充分な強度と浸透時間を得る。このため、反応生成物が少なく、かつシリカの溶脱もほとんど起こらず、したがって、地下水の水質を低下させることもなく、低環境負荷型である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製造装置の一具体例のフローシートである。
【図2】本発明にかかる製造装置の他の一具体例のフローシートである。
【図3】薬液槽を縦方向に積み重ねた本発明にかかる製造装置の具体例のフローシートである。
【図4】薬液槽を横方向に並列した本発明にかかる製造装置の具体例のフローシートである。
【図5】薬液槽が導管である本発明にかかる製造装置の具体例のフローシートである。
【図6】薬液槽が環状導管である本発明にかかる製造装置の具体例のフローシートである。
【図7】SiO2 3.1%におけるKCl量とゲル化時間との関係を表したグラフである。
【図8】SiO2 3.1%におけるリン酸量とゲル化時間との関係を表したグラフである。
【図9】SiO2 4.6%におけるリン酸量とゲル化時間との関係を表したグラフである。
【図10】シリカ液、活性シリカおよびコロイダルシリカの経過日数と一軸圧縮強度との関係を表したグラフである。
【図11】シリカ液2および水ガラスについてのPHとゲル化時間の関係を表したグラフである。
【符号の説明】
1−1 上流側の薬液槽
1−2 中間の薬液槽
1−n 下流側の薬液槽
2 導管
3 導入口
4 排出口
5 添加口
6 バルブ
7 ポンプ
8 コントローラ
9 バルブ
10 ヒータ
11 反応剤槽
12 ポンプ
13 導管
14 上流側先端
15 下流側末端
16 貯溜槽
17 環状導管
18 一方の端
19 反対側の他端
20 ポンプ

Claims (19)

  1. 活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材からなり、コロイド状を呈してなる地盤固結用アルカリ性シリカ。
  2. 活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材からなるアルカリ性シリカ溶液であって、次の(a)、(b)および(c)のうちのいずれかの一工程、または複数の組み合わせ工程によりコロイド状とすることを特徴とする地盤固結用アルカリ性シリカ。
    (a)前記アルカリ性シリカ溶液を半透明ないしは乳白色になるまで、またはアルカリ金属中性塩の存在下で均一にゲル化するまで熟成する。
    (b)前記アルカリ性シリカ溶液に酸性材または水ガラスと酸性材を混合する。
    (c)活性シリカに水ガラスを、または水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加することにより前記アルカリ性シリカ溶液を調製する。
  3. 請求項2において、アルカリ性シリカ溶液がさらにコロイダルシリカを含有する請求項2に記載のアルカリ性シリカ。
  4. 請求項2において、アルカリ性シリカ溶液のモル比が4〜100である請求項2に記載のアルカリ性シリカ。
  5. 請求項2において、アルカリ性シリカ溶液のシリカ濃度が1〜30重量パーセントである請求項2に記載のアルカリ性シリカ。
  6. 請求項2において、アルカリ金属中性塩が塩化カリ(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)または硫酸ソーダ(Na2 SO4 )からなる無機中性塩である請求項2に記載のアルカリ性シリカ。
  7. 請求項2において、酸性材がリン酸、硫酸、塩酸および酸性塩の群から選択される請求項2に記載の地盤注入用アルカリ性シリカ。
  8. 複数の薬液槽を、内部が連通するように互いに隣接して設け、上流側の薬液槽には活性シリカと水ガラスまたはアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカ溶液が導入される導入口を設け、下流側薬液槽にはコロイド状のアルカリ性シリカが排出される排出口を設け、さらに前記複数の薬液槽の少なくとも一つには水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材が添加される添加口を設けてなる地盤固結用アルカリ性シリカの製造装置。
  9. 請求項8において、複数の薬液槽を縦方向に積み重ねることにより互いに隣接して設けた請求項8に記載のアルカリ性シリカの製造装置。
  10. 請求項8において、複数の薬液槽を横方向に並列することにより、互いに隣接して設けた請求項8に記載のアルカリ性シリカの製造装置。
  11. 上流側先端に導入口を有し、下流側末端に排出口を有する導管であって、この導管の中間部分の任意の管壁には添加口を一個、または複数個間隔をあけて設けてなり、上流側先端の導入口からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカ溶液を導管内に導入し、かつ中間部分の添加口から水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口から排出することを特徴とする地盤固結用アルカリ性シリカの製造装置。
  12. 一方の端に導入口およびこの導入口とは反対側の他端に排出口をそれぞれ有する環状導管であって、この導管の任意の管壁には添加口を一個、または複数個間隔をあけて設けてなり、一方の端の導入口からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカ溶液を環状導管内に導入し、かつ添加口から水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口から排出することを特徴とする地盤固結用アルカリ性シリカの製造装置。
  13. 請求項8、11、または12において、薬液槽、導管または環状導管に加温装置を備えてなる請求項8、11、または12に記載のアルカリ性シリカの製造装置。
  14. 請求項8、11、または12において、酸性材がリン酸、硫酸、塩酸および酸性塩の群から選択される請求項8、11、または12に記載のアルカリ性シリカの製造装置。
  15. 活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ剤を含み、コロイド状を呈してなる地盤固結用アルカリ性シリカと、反応剤とからなり、アルカリ性ないしは酸性のPH領域でゲル化する地盤固結材。
  16. 地盤固結用アルカリ性シリカと、反応剤とからなり、前記地盤固結用アルカリ性シリカは活性シリカおよび水ガラス、または水ガラス以外のアルカリ材を含むアルカリ性シリカ溶液であって、次の(a)、(b)および(c)のうちのいずれかの一工程、または複数の組み合わせ工程によりコロイド状としてなる地盤固結材。
    (a)前記アルカリ性シリカ溶液を半透明ないしは乳白色になるまで、またはアルカリ金属中性塩の存在下で均一にゲル化するまで熟成する。
    (b)前記アルカリ性シリカ溶液に酸性材または水ガラスと酸性材を混合する。
    (c)活性シリカに水ガラスを、または水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加することにより前記アルカリ性シリカ溶液を調製する。
  17. 請求項15または16において、前記反応剤が塩および/または酸性材である請求項15または16に記載の地盤固結材。
  18. 請求項16において、酸性材がリン酸、硫酸、塩酸および酸性塩の群から選択される請求項16に記載の地盤固結材。
  19. 請求項15または16において、得られる地盤固結材に含まれるシリカ分以外のイオンの全部または一部をイオン交換樹脂またはイオン交換膜によって除去してなる請求項15または16に記載の地盤固結材。
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