JP4018942B2 - シリカ系グラウトおよび地盤改良方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水ガラスを脱アルカリ処理して得られる活性珪酸(活性シリカ)や、コロイダルシリカ等を有効成分とし、PHが8〜11に調整されたシリカ系グラウトを地盤に注入する地盤改良方法に係り、特に、固結後に高固結強度を呈するとともに、初期強度の発現にすぐれ、固結体の耐久性および環境保全性にも優れ、しかも他種のグラウトと併用しても正常にゲル化して劣化を起さない地盤改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水ガラスを原料とするシリカ系グラウトとして従来、水ガラスそのものを主成分としたグラウト、酸性シリカゾルを主成分としたグラウト、コロイダルシリカを主成分としたグラウト、水ガラスを陽イオン交換樹脂またはイオン交換膜で処理して得られる活性珪酸を主成分としたグラウト、活性珪酸とコロイダルシリカの混合物を中性乃至酸性に調整されたグラウト等が知られている。
【0003】
【発明が解決すべき課題】
上述の公知グラウトのうち、水ガラスを陽イオン交換樹脂で処理して得られる活性珪酸は陽イオン交換樹脂面のHイオンと水ガラスのナトリウムイオンとが置換反応を起こしてアルカリ分が除去されるため、PHが2〜4になってしまう。この際、水ガラス濃度を高めると、水ガラスが陽イオン交換樹脂を通過する際にゲル化を起こしてしまう。このゲル化を防ぐためには、濃度の低い水ガラス水溶液を用いなければならず、SiO2 濃度が低くなって高強度のゲルは得られなくなる。
【0004】
このようにして、活性珪酸を用いたグラウトは強度が低くなる。一方、コロイダルシリカは活性珪酸よりも強度が大きくなるものの、シリカ濃度が濃いわりには強度がそれ程でもなく、さらには、初期強度の発現が遅い。このため、注入後、所望の効果を得るためには養生日数を多くする必要があり、掘削工事や地盤補強工事には不適であり、せいぜい止水目的に用いられる程度であった。
【0005】
なお、上述の活性珪酸はアルカリを除去して得られるため、本来的にはシリカゲルの解重合を起こしにくく、このため、生成されたゲルは安定性や耐久性に優れたものである。しかしこれは、製造中にゲル化しないように、あるいは工場から現場への運搬時にゲル化しないように、また、注入作業中にゲル化しないように、さらには浸透が充分に行なわれるように、充分なゲル化時間を有することが必要であり、このためには希薄な水ガラス水溶液を用いて製造されなければならない。何となれば、濃い水ガラスを用いたのでは水ガラスを陽イオン交換樹脂中に通過処理する間に水ガラスがゲル化してしまうからである。このようにして、活性珪酸は通常、シリカ分の高い濃度のものは得られず、したがって、これを用いた従来の注入工法では、高強度のゲル化は期待できない。また、この活性珪酸はアルカリ雰囲気の地盤中ではゲル化しない。特に、セメント系固結材を注入したところに注入すると、そのアルカリに基因してゲル化が不充分になる。
【0006】
本出願人はこのような活性珪酸に存する欠点を解決する特許として、特許第3205900号をすでに取得している。これは活性珪酸と、コロイダルシリカとを含み、PH値を酸性乃至ほぼ中性領域に調整したグラウトであって、ゲル化時間が長いにもかかわらず、固結体の強度が増強され、かつゲル収縮が減少されるという効果を奏するものである。
【0007】
ここで用いられるコロイダルシリカは水ガラスをイオン交換樹脂に通過させ、得られる活性珪酸水溶液を加熱等によって数万あるいはそれ以上の分子量に縮合安定化し、20〜30%のSiO2 濃度に濃縮したものである。このコロイダルシリカは通常、PH値が中性ないしは10付近の弱アルカリ性を呈するが、酸や酸性塩を添加することにより酸性を呈するようにすることもできる。
【0008】
しかし、上述の活性珪酸とコロイダルシリカの混合物を酸性乃至中性のPH領域でゲル化させる上述のグラウトでは、上述の利点を有するものの、次の問題も発生する。
【0009】
(1)ゲル化時間の調整のため、酸や塩等の反応剤使用量が多量となり、経済的に不利であるのみならず、地下水の水質保全上好ましくない。
【0010】
(2)シリカ濃度を濃くしてもなお、強度発現が遅く、強度もそれほど高くならない。
【0011】
(3)セメント・ベントナイト等、アルカリ性を呈するグラウトを併用するとゲルタイムが急速に短縮して浸透性が低下する。また、液状化防止工事は貝殻を含む海岸地帯の砂地盤を対象とするが、このような地盤はPHが10付近を呈し、やはりゲル化時間が急速に短縮し、浸透性が低減する。
【0012】
(4)また、液状化防止の対象となるコンクリート構造物周辺や貝殻地盤では、PHが11以上のアルカリ性を呈し、そのアルカリがゲル化したシリカの耐久性に悪影響をもたらす。
【0013】
そこで、本発明の目的はアルカリ雰囲気の地盤や、セメントやスラグを含む固結体と地盤中で接触しても正常にゲル化し、かつ初期強度の発現が速く、高固結強度を呈するとともに、固結体の耐久性および環境保全性にも優れ、上述の公知技術に存する欠点を改良した地盤改良方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明グラウトによれば、活性珪酸と、コロイダルシリカとを有効成分として含み、PHが8〜11に調整されたシリカ系グラウトを地盤中に注入してなり、該シリカ系グラウトは地盤中でアルカリ雰囲気の地盤や、セメントやスラグを含む固結体と接触しても耐久性を損なうことなく、正常にゲル化し、高強度に固結することを特徴とする。
【0015】
前記シリカ系グラウトはさらに塩および/または酸を含むこともできる。
【0016】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を具体的に詳述する。
【0017】
本発明者は種々研究の結果、活性珪酸(活性シリカ)とコロイダルシリカを有効成分とする配合液(シリカ液)はPHが8〜11のアルカリ領域で地盤改良の目的に非常に優れた以下の(1)〜(5)の特徴を生じることを見出して本発明を完成するに至った。
【0018】
(1)酸を添加して酸性側にしなくても、弱アルカリ領域で長いゲル化時間を保持し得、かつ強度も耐久性も優れている。
【0019】
(2)小量の反応剤の添加で、ゲル化時間を容易に調整し得るので、経済的である。
【0020】
(3)酸性ないし中性領域の活性シリカはアルカリ雰囲気の地盤に注入すると、ゲル化しなかったり、あるいは耐久性が損なわれたり等の問題を生じるが、活性シリカにシリカコロイドを加えてPHを8〜11に調整した場合、アルカリ雰囲気の地盤や、セメントや、スラグを含む固結体と地盤中で接触しても正常にゲル化し、かつ耐久性が損なわれることがない。
【0021】
(4)PHを8〜11のアルカリ性に調整さえしておけば、さらに酸等によってPHを調整してゲル化時間を管理しなくても、アルカリ金属の中性塩、例えば、NaClや、KClや、重炭酸塩等の小量の添加でゲル化時間を管理できる。なお、PHが11よりも高くなるとゲル化時間の管理が難しくなり、また、強度の経時的低下等、耐久性に問題が生じ、本発明効果が期待できなくなる。これはアルカリが高くなると、コロイダルシリカの溶解が増加して単なる水ガラス液に近くなってしまうためと思われる。
【0022】
(5)コロイダルシリカのみでは、シリカ濃度を高くしても、強度発現が遅く、かつシリカ濃度が高いわりには強度が上昇しない。特に酸性ないし中性領域では、活性シリカにコロイダルシリカを加えても、コロイダルシリカの増量による強度の増加は極めて少ない。しかるに、PHが8以上のアルカリ領域では、活性シリカとコロイダルシリカを含むシリカ溶液は強度発現が非常に早くなるとともに、シリカ濃度が低くても強度が大きく、特に、コロイダルシリカの増量が強度の増加に著しく寄与する。
【0023】
本発明に用いられる活性珪酸は水ガラスを脱アルカリ処理して得られる。上述の脱アルカリ処理としては、水ガラスをイオン交換樹脂またはイオン交換膜によって水ガラス中のアルカリの全部または一部を除去する処理、水ガラスを酸と混合して水ガラス中のアルカリを中和し、得られる酸性水ガラスをイオン交換樹脂またはイオン交換膜によって酸性水ガラス中の酸または塩の全部または一部を除去する処理、等が挙げられる。このようなアルカリ処理によって得られる活性珪酸は酸性乃至アルカリ性のPH領域に調整され、安定化される。
【0024】
水ガラスとコロイダルシリカの混合液(シリカ溶液)からアルカリの一部または全部を除去すれば、PHが酸性〜弱アルカリのシリカ液を得ることができ、これをPHが8〜11の弱アルカリ性シリカに調整して本発明にかかるシリカ系グラウトとすることもできる。このときのPHの調整は水ガラスや苛性アルカリ、アルカリ性を呈する塩を添加して行う。また、上述の酸性水ガラスと、コロイダルシリカとからなる酸性シリカ溶液を、イオン交換樹脂またはイオン交換膜で処理し、酸性シリカ溶液の酸または塩の全部または一部を除去してPHが酸性〜弱アルカリのシリカ液を得ることができ、これをPH8〜11に調整して本発明シリカ系グラウトとすることもできる。さらにまた、水ガラス(あるいは酸性水ガラス)をイオン交換樹脂またはイオン交換膜で脱アルカリ処理して得られるPH2〜4の活性珪酸と、コロイダルシリカと、水ガラスとを有効成分とし、PH8〜11の本発明シリカ系グラウトに調整することもできる。
【0025】
本発明では、上述のシリカ系グラウトにさらに、塩および/または酸からなる反応剤を含むことができる。
【0026】
このようにして得られる本発明にかかるシリカ系グラウトはセメント・ベントナイトグラウト等、アルカリ性を呈するグラウトとともに地盤中に注入され、地盤改良を行なう。例えば、上記シリカ系グラウトをあらかじめセメント系グラウトあるいはスラグ系グラウト等のアルカリ性を呈するグラウトを注入した地盤に注入するが、これらアルカリ性を呈するグラウトを、上記シリカ系グラウトを注入した後に注入する。このような本発明グラウトはカルシウム等を含むアルカリ性海砂中に注入しても、急速なゲル化による浸透性の低減を起こさず、また、コンクリート構造物や、セメントの高圧噴射注入による固結体周辺のアルカリ溶出領域や貝殻地盤等のアルカリ地盤でも優れた耐久性を発揮する。
【0027】
本発明で用いられる水ガラスはいかなるモル比のものでもよいが、実用的にはJIS3号水ガラスあるいモル比4付近の高モル比水ガラスである。なお、この水ガラスの代わりに珪酸カリ、珪酸アルミニウム等の水溶性珪酸塩を用いることもできる。
【0028】
上述活性珪酸が陽イオン交換樹脂を通過する際、ゲル化を防止するためには、SiO2 濃度10%以下、好ましくは2〜6%である。また、この活性珪酸はSiO2 濃度、PH、温度等を適当に調整することにより、約1〜3日間はゲル化することなく安定化される。しかし、活性珪酸を注入現場に搬入する場合、製造から施工までに10日以上を要するので、このままでは実用不能であり、これに苛性アルカリ、または水ガラスを加えてPHを8以上のアルカリ側に調整することにより、数ケ月の可使時間とすることができる。
【0029】
このような活性珪酸は上述のとおり、それ自体遅かれ早かれゲル化するが、酸性であるため、これにアルカリ剤や塩類あるいは酸を反応剤として添加することによりゲル化時間を調整する。また、この活性珪酸は上述のとおり、アルカリを除去して得られるため、シリカゲルの解重合を起こしにくく、このため、生成されたゲルは安定性や耐久性に優れる。
【0030】
しかし、上述活性珪酸はすでに述べたように、製造中にゲル化しないように、あるいは工場から現場への運搬時にゲル化しないように、また、注入作業中にもゲル化しないように、さらに、浸透が充分に行なわれるように、充分なゲル化時間を有することが必要であり、このためには、希薄な水ガラス水溶液を用いて製造されなければならない。濃い水ガラスを用いたのでは、水ガラスを陽イオン交換樹脂中に通過処理する間に水ガラスがゲル化してしまう。したがって、活性珪酸は通常、シリカ分の高い濃度のものは得られない。
【0031】
本発明にかかるコロイダルシリカは水ガラスをイオン交換樹脂に通過し、得られる活性珪酸水溶液を加熱等によって数万あるいはそれ以上の分子量に縮合安定化し、20〜30%のSiO2 濃度に濃縮したものである。このコロイダルシリカは通常、PH値が中性ないしは10付近の弱アルカリ性を呈するが、酸や酸性塩を添加することにより酸性を呈するようにすることもできる。
【0032】
本発明にかかるシリカ系グラウトは上述のコロイダルシリカを活性珪酸と混合してPH8〜11を呈するように調整することにより得られる。このグラウトはアルカリ側のシリカ溶液となっても、通常の水ガラスとちがってシリカロイドが形成されているので、塩や酸で容易にゲル化しやすい状態になっている。このため、本発明にかかるシリカ系グラウトは少量の酸や塩で容易にゲル化し、かつゲル化時間も容易に調整できる。したがって、グラウトによる地下水の汚染が防止され、環境負荷が少なくなる。
【0033】
また、活性珪酸とコロイダルシリカを有効成分とする、PHが8〜11のシリカグラウトは強度の発現も早く、かつ最終強度も大きくなることも判明した。強度増加が達成される理由はコロイダルシリカの主成分がSiO2 であるため、混合物中のSiO2 濃度が増大し、かつ、コロイダルシリカの大きなシリカ粒子間に活性珪酸に起因する小さなシリカ粒子が充填されるためである。特に、PHが8〜11のアルカリ領域では、コロイダルシリカの表面がアルカリによって一部溶解されてシリカ単量体を表面に形成し、この単量体を媒介として活性シリカのコロイドが大きなコロイダルシリカに吸着し、シロキサン結合により密実なシリカを形成するものと思われる。PHが11以下の場合、大きなシリカコロイドは完全な単量体になることなく、大きなコロイドも保持するため、短時間のうちに強度増加が達成され、かつ耐久性も保持される。
【0034】
さらに詳述すると、コロイダルシリカは通常10〜20nmの粒子からなる。一方、活性珪酸は時間とともにシラノール基同志が反応してほぼ5nm以下のコロイドに成長している。また、シリカの単量体は通常、0.1nm程度の粒径である。これら粒径の異なるシリカがアルカリ領域において共存すると、小さなシリカは大きなシリカに吸着され、シリカ粒子が成長する。このため最も小さな粒子をバインダーとして複合シリカコロイドの密実なゲル化が生じるものと思われる。
【0035】
例えば、アルカリ領域における活性珪酸およびコロイダルシリカの混合物の本発明グラウトと、酸性領域における活性珪酸およびコロイダルシリカの混合物と、アルカリ領域におけるコロイダルシリカ単独のものとを同じSiO2 濃度下でゲル化させて比較すると、本発明グラウトは初期強度も、最終強度も大きく、かつ反応剤の使用量も少なく、しかも浸透時間も充分である。
【0036】
このような本発明グラウトはSiO2 濃度を高くしても充分なゲル化時間を得、あるいはSiO2 濃度を低くしても高い強度を得、さらにまた、同じSiO2 濃度の他のシリカグラウトと比較しても、長期固結強度が増大し、ゲルの収縮も小さい。
【0037】
本発明において、コロイダルシリカと活性珪酸を有効成分とする配合液(シリカ液)はシリカの濃度が0.4〜10%であることが望ましい。0.4%以下の濃度では、ほとんど固結効果が得られず、また10%以上の濃度では、配合液の安定性が悪くなり、注入する前に不均質なシリカ分が析出しやすくなる。
【0038】
さらに、本発明グラウトはゲル化物からの塩や酸の溶出が少なく、かつ、PH値が弱アルカリ性にあるので、従来の水ガラスグラウトのようなアルカリ公害はなく、かつ酸や塩等の反応生成物も少なく、水質保全性、環境保全性にも優れている。特に、本発明シリカグラウトの大きな特徴は地盤のアルカリ雰囲気に強い点にある。この特徴は活性シリカに粒径の大きなコロイダルシリカが存在する点と、PHが8以上のアルカリ側でゲル化させることによると思われる。この結果、本発明シリカはセメント系グラウト、スラグ系グラウトを注入して地盤やセメント固結物と接触して注入しても、そのゲル化に影響がなく、かつアルカリによって耐久性を阻害されることがない。
【0039】
【発明の実施例】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
使用材料
1.水ガラス
比重(20℃):1.39、SiO:29.0%のJIS3号水ガラス。
【0041】
2.活性珪酸−1
17.5%の水ガラス水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して得られるPH:2.7比重(20℃):1.03、SiO2 :5.0%の活性珪酸。この活性珪酸は室温でのゲル化に1.5〜2日を要す。
【0042】
活性珪酸−2
17.5%の水ガラス水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して得られるPH:2.7比重(20℃):1.03、SiO2 :5.0%の活性珪酸に苛性ソーダを添加して得られるPH:9.0、比重(20℃):1.03、SiO2 :5.0%の活性珪酸。この活性珪酸は半年以上ゲル化せずに安定。
【0043】
3.コロイダルシリカ
陽イオン交換樹脂で処理した水ガラス水溶液にアルカリを添加し、加熱して縮合安定化せしめ、濃縮した無水珪酸の膠質溶液であって、SiO2 :約30%、Na2 O:0.7%以下、比重(20℃):1.21〜1.22、PH:9〜10の物性を呈するコロイダルシリカ。
【0044】
4.酸性シリカゾル
水ガラス−硫酸系であって、PH:1.8、SiO2 8.9%、ゲル化時間:約50時間の酸性シリカゾル。
【0045】
5.反応剤
(1)硫酸水素ナトリウム
試薬一級 NaHSO4 ・H2 O
【0046】
(2)塩化ナトリウム
試薬一級、NaCl
【0047】
(3)炭酸ナトリウム
無水炭酸ナトリウム、試薬一級、Na2 CO3
【0048】
(4)20%水酸化ナトリウム水溶液
水酸化ナトリウム(試薬一級)を水に溶解した20%水溶液。
【0049】
(5)10%硫酸水溶液
75%工業用硫酸を水で稀釈した10%水溶液。
【0050】
本発明グラウトの配合例とその物性を本発明以外のグラウトと比較し、表1、表2および表3に一括して示す。
【0051】
表1、2および3中、SiO2 は各実施例、あるいは比較例における活性珪酸、水ガラス、コロイダルシリカまたは酸性シリカゾル中のSiO2 合計量を配合液中の%で表示した。PH値はガラス電極PH計で測定し、ゲル化時間はカップ倒立法により測定した。一軸圧縮強度は豊浦標準砂によるサンドゲルをポリ塩化ビニリデン密閉養生して、土質工学会基準の「土の一軸圧縮試験方法」により測定した。ホモゲルの収縮率(%)はポリプロピレン樹脂製の密閉容器中にホモゲルを20℃の温度で5日間放置して生じた離漿水の量から算出した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
表1より、活性珪酸とコロイダルシリカを含む酸性領域の比較例1〜3では、一軸圧縮強度も低く、ホモゲルの収縮率も大きいことがわかる。一方、アルカリ領域の実施例1〜5では、一軸圧縮強度も高く、ホモゲルの収縮率も小さい。また、活性珪酸の代わりに水ガラスを用いた比較例4〜5では、ホモゲルの収縮率が非常に大きくなる。これはわずかのアルカリの存在がシリカコロイド表面の一部を溶かして大きなシリカコロイド(コロイダルシリカ)と小さなシリカコロイド(活性珪酸)同志を互いに単分子シリカで結合せしめるためと推定される。しかし、水ガラスの共存は単分子シリカ生成に役立つが、ゲル中にNaOが多く存在すると、経時的に離漿水となって収縮が大きくなると思われる。
【0056】
表2は液状化防止を対象とする低濃度活性珪酸の配合例である。本発明実施例では、同じ活性珪酸の場合、活性珪酸あるいはコロイダルシリカ単独の比較例と比べて強度が大きく、かつ収縮率が小さいことがわかる。収縮率が小さいと、地震時における地下水の流動をおさえるため、間隙水圧の増大が防止できる。これに対して、収縮率が大きいと、地下水が空隙を通して流動するため、地震時に間隙水圧が上昇し、液状化現象を起こさせる要因となる。
【0057】
表3はコロイダルシリカの濃度を高くしたときの配合例を示す。一般に活性珪酸の製造限界はシリカ濃度4〜6%付近である。それ以上では、イオン交換樹脂にシリカが吸着して脱アルカリが困難になる。したがって、活性珪酸とコロイダルシリカを併用する場合、シリカ濃度を高くするためにはコロイダルシリカの濃度を高くする必要がある。表3に示されるように、コロイダルシリカの濃度を高くすると高強度のゲルが得られる。また、水ガラスを併用すると、前述の理由により強度は高くなるが、収縮も大きい傾向にある。
【0058】
さらに、セメントと標準砂を用い、ビーカー中にセメント砂固結物を200cm3 作り、28日後にビーカー中のこの固結物上に表4に示すシリカ配合液200ccを注いでゲル化させ、3ケ月後の状況を目視により観察した。結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
表4中、○印は変化なし、×印は境界面に空間が生じた、××印はゲル化せずをそれぞれ示す。また、比較25は活性珪酸1を用い、比較例26は活性珪酸1に重曹を添加してPH5.0に調整し、ゲル化時間を1時間とした。
【0061】
表4より、セメント系グラウトを一次注入材として併用したり、あるいはセメント固結物に接して注入する場合、活性珪酸とコロイダルシリカを混合してアルカリ領域のPHで固結したものはセメントのアルカリによって何ら阻害されないことがわかる。
【0062】
【発明の効果】
以上のとおり、水ガラスを陽イオン交換樹脂またはイオン交換膜で処理して得られた活性珪酸をベースとし、これにコロイダルシリカあるいはさら反応剤を添加してアルカリ性の領域に調整したシリカ系グラウトを用いて地盤改良することにより次の効果を奏し得る。
【0063】
1.酸性乃至中性領域の従来グラウトに比べて本発明では同程度のSiO2 濃度でも高強度を示す。特に初期強度が高く、注入後数日以内に掘削工事等の施工が可能となる。
【0064】
2.さらに、SiO2 濃度を濃厚にし、しかも長いゲル化時間を得ることができるので、一層の強度増強と浸透性向上が可能になる。
【0065】
3.酸性乃至中性の公知グラウトに比べて収縮率が小さい。
【0066】
4.したがって、本発明は優れた耐久性を示し、広範囲にわたるゲル化時間の調整が容易である。
【0067】
5.また、本発明は反応剤使用量が少なくても優れた強度を発現でき、このため反応生成物が少なくなり、水質保全、環境保全性に優れている。
【0068】
6.セメント懸濁液の一次注入によって粗詰注入してのち、二次注入材として用いても、あるいはセメント系固結物に接して注入しても、セメントのアルカリで耐久性を損なわれることはない。
Claims (2)
- 活性珪酸と、コロイダルシリカとを有効成分として含み、PHが8〜11に調整されたシリカ系グラウトを地盤中に注入してなり、該シリカ系グラウトは地盤中でアルカリ雰囲気の地盤や、セメントやスラグを含む固結体と接触しても耐久性を損なうことなく、正常にゲル化し、高強度に固結することを特徴とする地盤改良方法。
- 請求項1において、前記シリカ系グラウトがさらに塩および/または酸を含む請求項1に記載の地盤改良方法。
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