JP4757428B2 - 地盤固結用アルカリ性シリカ、その製造装置および地盤固結材 - Google Patents
地盤固結用アルカリ性シリカ、その製造装置および地盤固結材 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水ガラスのアルカリの全部または一部を酸性材で中和してコロイド状にした地盤固結用アルカリ性シリカ(以下、「アルカリ性シリカコロイド」と称する。)その製造装置およびこのアルカリ性シリカコロイドを使用した地盤固結材に係り、詳細には、水ガラスと酸性材を混合してコロイド状としたアルカリ性シリカ、あるいは水ガラスと過剰の酸性材を混合してなる酸性シリカ液にアルカリ材を混合してコロイド状とした地盤固結用アルカリ性シリカ、その製造装置、およびこのアルカリ性シリカを用いた地盤固結材に係り、特にコロイド状とすることによりアルカリ性〜酸性に至る広い範囲で、長いゲル化時間と、安定したゲル化が得られ、かつゲルの収縮やシリカの溶出がなく、長いゲル化時間でも高強度を呈して耐久性に優れ、さらに、シリカ(SiO2 )温度が低くても充分な高強度が得られ、しかも強度の発現が早いのみならず、コンクリート構造物付近や貝殻を多く含むアルカリ性地盤をも確実に固結し、セメント系固結材との併用性にも優れ、かつ、反応剤の使用量を少なくして反応生成物を少なくし、このため低環境負荷にも優れた地盤注入用アルカリシリカ、その製造装置および地盤固結材に関する。
【0002】
【従来の技術】
水ガラスを用いた地盤固結材の技術分野では、従来、アルカリ領域でしかも長いゲル化時間で安定なゲルを形成することは困難であった。この理由は水ガラスを長いゲル化時間でゲル化するには、水ガラス溶液に含まれるアルカリの当量に対して過少の当量の反応剤を用いざるを得ないことにある。このため、ゲルが不安定になり、ゲル化物に多くの未反応水ガラスが含まれ、そのアルカリによってシリカゲルが解重合し、シリカ分が溶解して耐久性が得られず、かつ強度が低く、経日的に強度が大幅に低下し、さらにゲル化物がシネリシスによって収縮し、固結砂の透水性が低下する、等の問題点があった。
【0003】
したがって、従来では、水ガラスグラウトはゲル化時間が短い領域で、しかも仮設用に用いられてきた。すなわち、無機反応剤を使用する場合は、瞬結〜数分、有機系反応剤を用いる場合は瞬結〜数十分であったため、浸透性が悪く、または広範囲の注入が不可能であった。
【0004】
これらの問題を解決するために、水ガラスと酸を混合して得られる酸性〜中性の水ガラスグラウトが、広く使用に供されている。このグラウトは水ガラスのアルカリの中和によって除去したものであり、長いゲル化時間を得ることから、耐久性、浸透性に優れている点できわめて優れた注入材といえる。
【0005】
しかるに、そのゲル化物はシネリシスによる収縮が大きいという問題がある。さらに、水ガラスと酸のPHと、ゲル化時間との関係では、中性領域で10秒以内と短く、アルカリ領域でも、酸性領域でもPH変化に応じてゲル化時間が大幅に変動し、ゲル化時間の調整が難しい。特にアルカリ領域ではゲル化が不安定であり、実用化が困難であった。このため、ゲル化時間を長くするためにはPHが2〜3の酸性にする必要から酸を多く用いなくてはならず、経済性のみならず、反応生成物か多くなり、環境負荷が大きいという問題があった。
【0006】
さらに、環境負荷が少なく、耐久性に優れた固結材として、水ガラスのアルカリをイオン交換樹脂で除去してなるPHが2〜4の活性シリカを加熱濃縮して増粒し、PH9〜10で粒径が10〜20nm、シリカ濃度がほぼ30%のコロイダルシリカを用いた固結材が開発されている。
【0007】
しかし、この固結材はコロイダルシリカが高価で、またシリカ濃度が高いにも係わらず、強度が低く、かつ強度発現も遅いという欠点があった。
【0008】
このため、本出願人は水ガラスをイオン交換樹脂またはイオン交換膜で処理して得られるPH2〜4程度の酸性を呈する活性シリカによるグラウトを開発した。
【0009】
しかし、活性シリカは製造上、シリカ濃度を薄くせざるを得ず、工業的には通常4.5重量%以下、実験室的には6重量%以下である。このため、強度が弱い。また、反応性が高いので、安定性が1日程度である。このため、これを現場に搬入するまでにゲル化してしまい、実用的でない。
【0010】
上述の活性シリカに酸を加えてPH1〜2にすると、20℃の温度では2〜3日間はゲル化しない。しかし、夏場の高温時では、例えばローリー車で現場に搬入する際には、ローリー車の中でゲル化してしまう。
【0011】
【発明が解決すべき課題】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであって、イオン交換樹脂を用いずに水ガラスと酸を反応させて水ガラスのシリカを高分子化し、いわゆるアルカリ性のコロイド状シリカを製造しようとするものである。この種の本発明技術は操作が簡単であって、工場あるいは現場で短時間でアルカリ性シリカコロイドを製造でき、かつ、イオン交換法のように多量の廃水を生じることなく、作業性に優れている。
【0012】
また、このようにして得られたアルカリ性のコロイド状シリカは、コロイド化しているため半透明を呈し、かつ、アルカリ金属中性塩等の無機塩類単独でゲル化する点、水ガラスとは異なる。すなわち、水ガラスに無機塩類、例えば、塩化カリウムや塩化ナトリウムを添加しても全体がゲル化することはなく、また、塩化カリウムを多量に添加しても白色ペースト状の沈殿が生じるのみである。このため、従来の水ガラスグラウトではこれらのアルカリ金属の中性塩は他の反応剤と併用してゲル化促進剤として使用されていた。しかるに、アルカリ性シリカコロイドでは全体が均一にゲル化する。
【0013】
そこで、本発明の目的は水ガラスと酸性材で生成せしめたアルカリ性シリカコロイドを用いることにより、シリカ濃度が高くても安定したシリカ液が製造できて高強度の固結体が得られ、しかも強度の発現も早く、また、シリカ濃度が低くても充分な固結性が得られ、さらに、固結液のシリカ濃度が高いにもかかわらず、少量の反応剤で、酸性領域のみならず、中性〜アルカリ性でも長いゲル化時間で安定した固結液が得られ、さらにまたシリカの溶脱やゲルの収縮が少ないため固結体の耐久性にも優れ、さらに、コロイド状のシリカのゲル化物がアルカリ雰囲気の中でもゲルがアルカリによって溶解しにくいため、コンクリート構造物付近や、貝殻を多く含むアルカリ性地盤でもこれらの影響を受けることなく、確実に固結し、また、コロイド状シリカが少量の反応剤でゲル化するため、反応生成物が少なく、水質保全性にも優れ、上述の公知技術に存する欠点を改良した地盤固結用アルカリ性シリカ、その製造装置および地盤固結材を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の地盤固結用アルカリ性シリカによれば、水ガラスと酸性材とから構成され、コロイド状を呈することを特徴とし、あるいは水ガラスと酸性材とからなるアルカリ性シリカ溶液、または水ガラスと酸性材とからなる酸性水ガラスに、水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ材を混合したアルカリ性シリカ溶液であって、次の(a)、(b)および(c)のうちのいずれかの一工程、または複数の組み合わせ工程によりコロイド状とすることを特徴とする。
【0015】
(a)前記アルカリ性シリカ溶液を半透明ないしは乳白色になるまで、またはアルカリ金属中性塩の存在下で均一にゲル化するようになるまで熟成する。
(b)前記アルカリ性シリカ溶液に酸性材または水ガラス、または水ガラスと酸性材を混合する。
(c)前記アルカリ性シリカ溶液に水ガラス、または酸または水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加することにより、前記アルカリ性シリカを調製する。
【0016】
さらに、上述の目的を達成するため、本発明の製造装置によれば、複数の薬液槽を、内部に連通するように互いに隣接して設け、上流側の薬液槽にはアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカ溶液が導入される導入口を設け、下流側の薬液槽にはコロイド状のアルカリ性シリカが排出される排出口を設け、さらに、前記複数の薬液槽の少なくとも一つには水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材が添加される添加口を設けてなることを特徴とする。
【0017】
さらにまた、上述の目的を達成するため、本発明の製造装置によれば、上流側先端に導入口を有し、下流側末端に排出口を有する導管であって、この導管の中間部分の任意の管壁には添加口を一個、または複数個間隔をあけて設けてなり、上流側先端の導入口からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを導管内に導入し、かつ中間部分の添加口から水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口から排出することを特徴とする。
【0018】
さらに、上述の目的を達成するため、本発明の製造装置によれば、一方の端に導入口およびこの導入口とは反対側の他端に排出口をそれぞれ有する環状導管であって、この導管の任意の管壁には添加口を一個、または複数個間隔をあけて設けてなり、一方の端の導入口からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを環状導管内に導入し、かつ添加口から水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカタ性シリカを製造し、排出口から排出することを特徴とする。
【0019】
さらにまた、上述の目的を達成するため、本発明の地盤固結材によれば、水ガラスと酸性材からなるアルカリ性シリカ溶液、または水ガラスと酸性材からなる酸性水ガラスに水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ材を混合したアルカリ性シリカ溶液であって、次の(a)、(b)および(c)のうちのいずれか一工程または複数の組み合わせ工程によりコロイド状としてなることを特徴とする。
【0020】
(a)前記アルカリ性シリカ溶液を半透明ないしは乳白色になるまで、またはアルカリ金属中性塩の存在下で均一にゲル化するようになるまで熟成する。
(b)前記アルカリ性シリカ溶液および酸性材、または酸性材と水ガラスを混合する。
(c)前記アルカリ性シリカ溶液に水ガラス、または酸または水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してアルカリ性シリカを調製する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の地盤注入用アルカリ性シリカ、地盤注入用アルカリシリカの製造装置および地盤固結材についてそれぞれ順を追って具体的に詳述する。
【0022】
地盤注入用アルカリ性シリカ
本発明にかかる地盤注入用アルカリ性シリカは基本的には水ガラスと酸性材、または水ガラスと酸性材とからなる酸性水ガラスに水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ材を混合したアルカリ性シリカ溶液からなり、コロイド状を呈して構成されるが、さらに水ガラス以外のシリカ溶液を含有してもよい。この溶液のモル比は3〜100程度であり、シリカ濃度は1〜3重量%である。
【0023】
上述の水ガラスとしては液状水ガラス、紛状水ガラス等、任意の水ガラスが用いられるが、特にモル比SiO2 /Na2 O=2〜6のものであり、特に3〜5のものが好ましく、さらに好ましくはモル比3.7以上のものである。さらに、上述の水ガラス以外のアルカリ材としては、アルカリ金属炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、アルミニウム塩等、加水分解してアルカリ性を呈する塩、アルカリ土金属やアルミニウム等の水酸化物等が挙げられる。
【0024】
本発明の特徴は上述の水ガラスと酸性材の混合物をコロイド状に処理され、または上述のアルカリ性シリカ溶液が次の(a)、(b)および(c)のうちのいずれか一工程、または複数の組み合わせ工程によりコロイド状に処理されることに存する。
【0025】
(a)上述のアルカリ性シリカ溶液を半透明または乳白色になるまで、またはアルカリ金属中性塩の存在下で均一にゲル化するまで熟成する。ここで、熟成とは上述のアルカリ性シリカ溶液を適当な期間、例えば1〜2、3日間、あるいはそれ以上、コロイド状を呈するまで静置することをいう。コロイド状を呈する時点は溶液が半透明または乳白色に変わった時点、あるいはアルカリ金属中性塩を添加混合して均一にゲル化した時点である。ここで、アルカリ金属中性塩としては無機中性塩、例えば、塩化カリ(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ソーダ(Na2 SO4 )等が挙げられる。
【0026】
(b)アルカリ性シリカ溶液に酸性材または水ガラスと酸性材を混合してコロイド状のアルカリ性シリカとする。この工程により、アルカリ性シリカのアルカリの一部を中和して実質的なモル比を高め、コロイド化を図ることになる。あるいは、水ガラスと酸性材を混合して水ガラス中のアルカリを中和することにより得られる低分子珪酸を作用させ、コロイド化を図ることになる。
【0027】
(c)アルカリ性シリカ溶液に水ガラス、または酸または水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加することにより調製する。すなわち、アルカリ性シリカ溶液に水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を少しづつ、ゆっくりと添加することによりコロイド状とする。また、特に水ガラス、または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に加えることにより、シリカ濃度を増加させながら、コロイド液をつくる。
【0028】
本発明ではアルカリ性シリカ溶液がコロイド状を呈するように上述の(a)、(b)および(c)の工程のうち一工程を任意に選定して行ってもよく、複数工程を適宜に組み合わせて行ってもよい。
【0029】
地盤注入用アルカリ性シリカの製造装置
上述の本発明にかかる地盤固結用アルカリ性シリカの製造装置は添付図面の図1〜図6に示される。
【0030】
図1は本発明にかかる製造装置の一具体例のフローシートであって、複数の薬液槽1−1、・・・1−nを、内部が導管2を通して連通するように互いに隣接して設ける。そして、上流側の薬液槽1−1には、内部にアルカリ性シリカ溶液を導入するための導入口3を設け、かつ下流側の薬液槽1−nには、製造されたコロイド状のアルカリ性シリカを排出するための排出口4を設ける。さらに上述の複数の薬液槽1−1・・・1−nのうちの少なくとも一つ、図1では薬液槽1−nには、内部に水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材、または水ガラスと酸性材を添加するための添加口5を設ける。図1中、6はバルブ、7はポンプであって、これらはそれぞれコントローラ8に連結され、このコントローラ8からの指示により自動的に制御される。もちろん、薬液槽には攪拌装置が備えられる。
【0031】
このようにして構成される本発明にかかる製造装置はまず、上流側の薬液槽1−1に導入口3を通じてアルカリ性シリカ溶液を導入する。このアルカリ性シリカ溶液は現場で調製されてもよく、また、水ガラスと酸性材を投入して薬液槽1−1内でアルカリ性シリカを形成してもよく、また工場でコロイド状に調製したアルカリ性シリカを現場に搬送し、薬液槽1−1に投入してもよい。次いで、薬液槽1−1中のアルカリ性シリカ溶液を導管2を通じて薬液槽1−nに移送する。ここで、この溶液中に添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加し、攪拌することによりコロイド化し、あるいはコロイドのシリカ濃度が増大し、下流側の薬液槽1−n中にコロイド状のアルカリ性シリカを製造する。得られたコロイド状のアルカリ性シリカは排出口4から排出する。なお、図示しないが、このアルカリ性シリカは後述のように貯溜槽に貯溜され、これに反応剤を添加して地盤固結材をつくり、ポンプで地盤中に注入する。
【0032】
図2は本発明にかかる製造装置の他の具体例であって、上流側の薬液槽1−1にも添加口5を備え、ここからも水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加する例を示す。
【0033】
図3は本発明にかかるさらに他の具体例の装置であって、導入口3を有する上流側の薬液槽1−1と、添加口5およひ排出口4を有する下流側の薬液槽1−nとの間に、さらに添加口5を有する中間の薬液槽1−2を設けて薬液槽を三つとし、これら三つの薬液槽を縦方向に重ねることにより互いに隣接して構成される。積み重ねられた薬液槽はバルブ9、9を介して内部が互いに連通される。10はヒータであり、加温することによりコロイド化を促進する。他の図面の装置においても同様である。
【0034】
このように構成される図3の製造装置は上段に位置する上流側の薬液槽1−1にまず、導入口3を通して水ガラスと酸性材またはアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを導入し、次いで、このシリカ溶液をバルブ9を通じて中間の薬液槽1−2に移送し、ここで、添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を添加し、その後、中間の薬液槽1−2中の溶液をさらに、バルブ9を通して下流側の薬液槽1−nに移送し、ここでさらに、添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を添加し、このようにして水ガラス、または水ガラスと酸性材をアルカリ性シリカ溶液中に段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、あるいは増大して排出口4を通して地盤中に注入する。これらの動作はすべて、コントローラ8の制御のもとにバルブ6およびポンプ7の作動により自動的に行われる。さらに、後述するように、反応剤槽11から反応剤をポンプ12の作動により地盤中に注入し、地盤中でコロイド状のアルカリ性シリカと混合され、地盤を固結する。なお、コントローラ8の制御により、地盤への注入速度、アルカリ性シリカ液の各薬液槽への移送、コロイド化のための混合時間、材料の供給時間、加温等を管理することもできる。
【0035】
図4もまた、本発明にかかるさらに他の具体例装置のフローシートであって、上流側の薬液槽1−1と、中間の薬液槽1−2と、下流側の薬液槽1−nとを横方向に並列に隣接し、これら各薬液槽の内部を導管2を介して互いに連通し、上流側の薬液槽1−1には導入口3、中間の薬液槽1−2には導入口3および添加口5、および下流側の薬液槽1−nには導入口3および排出口4をそれぞれ備えて構成される。10はヒータである。
【0036】
このように構成される図4の製造装置は上流側の薬液槽1−1にまず、導入口3を通じて水ガラスと酸性材またはアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを導入し、次いで、このシリカ溶液を導管2を通して導入口3から中間の薬液槽1−2に移送し、ここで、添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を添加し、その後、中間の薬液槽1−2中の溶液をさらに、導管2を通して導入口3から下流側の薬液槽1−nに移送し、ここでさらに、添加口5を通して水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を添加し、このようにして水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材をアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカに段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、あるいはコロイドのシリカ濃度を増大し排出口4を通して地盤中に注入する。これらの動作は図3と同様、すべて、コントローラ8の制御のもとにバルブ6およびポンプ7の作動により自動的に行われる。このとき、後述するように、反応剤槽11から反応剤をポンプ12の作動により排出口4からのコロイド状アルカリ性シリカと混合し、地盤中に注入して地盤を固結する。
【0037】
図5は本発明にかかる具体例装置のフローシートであって、薬液槽として導管13を用いる。この導管13は上流側先端14に導入口3を有し、下流側末端15に排出口4を有し、さらに中間部分の管壁には添加口5を一個、あるいは複数個間隔をあけて設けて構成される。なお、バルブ6、ポンプ7、およびコントローラ8もまた上述と同様に設けられる。
【0038】
上述の構成からなる図5の製造装置は上流側先端14の導入口3から水ガラスと酸性材、またはアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカを導管13内に導入し、かつ、中間部分の添加口5から導管13内に流れるアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカに水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口4から貯溜槽16に貯溜する。これらの動作は上述と同様、すべてコントローラ8の制御のもとに、バルブ6およびポンプ7の作動により自動的に行われる。このとき、後述のように、反応剤槽11から反応剤をポンプ12の作動により貯溜槽16中に添加、混合し、混合液を地盤中に注入して地盤を固結する。
【0039】
図6は本発明にかかる他の具体例装置のフローシートであって、薬液槽として環状導管17を用いる。この環状導管17は一方の端18に導入口3、およびこの導入口3とは反対側の他端19に排出口4をそれぞれ有し、かつ任意の管壁に添加口5を一個、ないしは複数個、間隔をあけて設けて構成される。なお、バルブ6、ポンプ7およびコントローラ8もまた、上述と同様に設けられる。
【0040】
上述の構成からなる図6の製造装置は一方の端18に導入口3から水ガラスと酸性材またはアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状アルカリ性シリカを環状導管17内に導入し、ポンプ20の作動により環状導管17内を矢印方向に循環させ、この状態で添加口5からアルカリ性シリカ溶液に水ガラス、水ガラス以外のアルカリ剤または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口4から貯溜槽16に貯溜する。このとき後述のように、反応剤槽11から反応剤をポンプ12の作動により貯溜槽16中に添加、混合し、混合液を地盤中に注入して地盤を固結する。上述の本発明各装置において、薬液槽、導管または環状導管にヒータを設けて加温し、コロイド化を促進させることもできる。
【0041】
地盤固結材
本発明にかかる地盤固結材は地盤固結用アルカリ性シリカと、反応剤とから構成される。この地盤固結用アルカリ性シリカは上述のように、アルカリ性シリカ溶液からなり、既述の(a)、(b)および(c)のうちのいずれかの工程、または複数の組み合わせ工程によりコロイド状としてなるものであり、詳細には上述を参照とし、記載を省略する。
【0042】
ここで用いられる反応剤は塩、酸または、塩と酸の併用物、有機反応剤、またはセメントおよび/またはスラグ、石灰、石こう等である。塩としては、特に可溶性の無機中性塩が好ましく、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土金属の中性塩、酸性塩等であり、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム等の重炭酸アルカリ金属塩、炭酸のアルカリ金属塩等、水溶液がアルカリを呈する塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等の多価金属塩化物、酸性塩、アルミン酸ソーダ等のアルミニウム塩、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。
【0043】
その他の可溶性塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩や酸性塩、炭酸マグネシウム、ミョウバン、スルファミン酸マグネシウム等の多価金属塩等が挙げられ、このうちでも特に、アルカリ金属塩が均質なゲルをつくるのに適している。また、酸としては、リン酸、硫酸、炭酸、炭酸ガス、スルファミン酸等の無機酸や加水分解して酸性を呈する塩、酢酸、クエン酸、グルコン酸等の有機酸、グリオキザール、ジアセチン、トリアセチン、エチレンカーボネート等の有機酸エステル等、が用いられる。これらの塩や酸は単独で、あるいは複数種を組み合わせはて用いられる。本発明では上述のとおり、アルカリ側でゲル化させる場合には塩または酸を用い、また、非アルカリ側でゲル化させるためには酸を用いれば良いが、塩と酸を併用して用いるのが好ましい。
【0044】
なお、本発明地盤固結材において、さらに金属イオン封鎖剤を添加することにより、地盤中の微量金属を不動態化し、ゲル化時間への影響を少なくすることができる。ここで使用される金属イオン封鎖剤としてはリン酸、リン酸塩等のリン酸化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ビス(2−ヒドロキシフェニル酢酸)エチレンジアミン、コハク酸、これらの塩類、脂肪族オキシカルボン酸、縮合リン酸塩等が挙げられる。脂肪族オキシカルボン酸としては酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ジヒドロキシエチルグリシン等、縮合リン酸塩としてはピロリン酸、トリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸等のポリリン酸の塩であるが、具体的には、ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウムまたはこれらのカリカム塩等である。
【0045】
なお、本発明において、ゲル化物の強度を高めるために、アルカリ性シリカ溶液にコロイダルシリカを併用してシリカ濃度を高めることができる。あるいは、工場て製造したアルカリ性シリカ溶液を施工現場に搬入してのち、あるいは配合時に水ガラスと反応剤を加えると、シリカ濃度を高め、かつ反応性を高めて強度増加を図ることができる。
【0046】
本発明に用いられる酸性材としては、PH3以下の無機酸、無機塩、有機酸あるいは水溶液中で酸性を呈する化合物であり、特に塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸が好ましい。酸がリン酸、硫酸の場合には混合液は比較的安定である。その他、酸性塩、あるいは水溶液中で酸性を呈する化合物、例えば塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等が挙げられ、これらは無機酸と併用することもできる。また、無機酸のなかでは、広い範囲でコロイドを生成し易いという点で、特に塩酸が好ましい。塩酸を用いた場合、生成する塩化ナトリウムがコロイド化の促進に効果的である思われる。
【0047】
なお、リン酸を用いる場合には、得られるアルカリ性シリカコロイドが長期間安定である点で好ましい。また、塩酸を用いる場合は、工業用塩酸あるいは副生塩酸等、好ましくは塩化水素濃度5〜36重量%の塩酸を用い、必要に応じて水で稀釈する。
【0048】
また、水ガラスと、このような酸性材とを反応させると、塩が生成されるが、最終的に得られたアルカリ性シリカコロイドは地盤改良材として使用されるため、これらの塩が環境への影響の少ないものが好ましく、その点からは、酸性材は少量ですむものが好ましい。また、アルカリ性シリカコロイドに加えてゲル化させる反応剤は少量でゲル化時間を調製できるので、環境負荷の少ないことが特徴である。
【0049】
水ガラスの濃度は、安定化までの工程を容易に操作できれば、特に限定されるものではないが、アルカリ性シリカコロイドを工場で製造して注入現場に搬入する場合には高濃度の方が有利である。例えば、工業製品を水で稀釈する場合、その稀釈率は0〜100%が好ましく、注入現場で製造する場合には、最終アルカリ性シリカコロイドのシリカ濃度として3〜20重量%となるような濃度が好ましい。
【0050】
アルカリ性シリカのPH9〜11.5程度となる量が好ましい。水ガラスと酸性材を混合してなる酸性水ガラスはPHが中性以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。具体的に塩酸を例にとると、水ガラス(水ガラス12の5号珪曹換算)100部に対して塩酸(10%塩酸として)50重量部あるいは10〜40部が好ましい。
【0051】
得られるアルカリ性シリカコロイドのモル比でみると、SiO2 とNa2 O(酸により中和されたナトリウムは計算から除外する)の比率が3〜10となるよな水ガラスと酸性材の比率が好ましい。しかし、このアルカリ性シリカ液に他のシリカ液を加えた場合、例えばコロイダルシリカを加えた場合、そのモル比は3〜100程度になる。なお、水ガラスの濃度にもよるが、PHが9より小さく、3より大きくなる酸の使用量の場合には、ゲル化時間が短くなるので、水ガラスと酸の使用量はでき上がったアルカリ性シリカ液のPHが9以上、好ましくは10以上になるように定める。
【0052】
本発明において、熟成とは水ガラスと酸性材を反応させてシリカをコロイド化することである。水ガラスと酸の反応混合液の熟成時間は水ガラスの濃度と水ガラスに対する酸の量によって決定される。すなわち、シリカコロイド液を製造してから使用するまでの時間が短い場合、あるいは注入に際してゲル化時間を短くする場合、それに応じて熟成時間を短くするが、大量にアルカリ性シリカを製造する場合には、両液を混合の後、室温て30分以上静置して熟成し、コロイド化をはかってシリカ液を安定化すればよい。また、工場で多量のアルカリ性シリカコロイドを製造する場合には、作業工程上、1〜2日以上が適当である。なお、熟成温度は室温でも充分であるが、必要に応じて40〜95℃に加熱することもできる。また、熟成時間の目安は水ガラスと酸の混合液か目視により半透明ないしは乳白色となれば良く、あるいはアルカリ金属中性塩(KCl等)の存在下で均一にゲル化すればよい。この場合、シリカは平均粒径がほぼ1nm以上となっている。
【0053】
水ガラスに対して酸量が極めて少ない場合には、ほとんど水ガラスと変わらない。この場合はさらにを加えることにより水ガラスと酸の量が適量で、アルカリ性領域のPHを呈する場合には、混合初期は透明であるが、徐々に半透明または乳白色になる。これはチンダル現象によりコロイド状になっていることを示している。また、KClのようなアルカリ金属中性塩を加えると全体が均等にゲル化する。
【0054】
しかし、水ガラスに対して酸性材が極めて少ない場合は、混合液は透明のままで、KClを加えて白沈を生じるのみで、コロイド化しない。この場合はさらに酸性材を添加することによってコロイド化できる。この場合酸性材は、段階的に加えて、水ガラスのアルカリを低減しながらアルカリ領域でコロイドを成長することになる。水ガラスに対する酸の量が多い場合、アルカリ領域のPHでもすぐにゲル化してしまう。この場合はゲル化する前に水ガラスを加えることによって、安定したコロイドを形成させることができる。また、ゲル化する前に水ガラスを加えるという工程を段階的に繰り返すことによって、シリカ濃度を高めながらコロイドの濃度を増大することができる。これはすでに存在している大きな粒径のシリカコロイドに、水ガラスの単分子シリカが吸着され、シリカの増粒が行われ、水ガラスのアルカリによってコロイドが安定化、電気二重層が形成されることによる。また、上述の水ガラスを加えるに当たって、水ガラスと酸性材を共に加えてもよい。この場合、アルカリ領域のシリカコロイドに水ガラスと酸性材によって形成される活性シリカの単分子がすでに存在しているシリカコロイドに吸着されてコロイドの増粒と濃度の増加が行われることになる。この場合の追加される水ガラスと酸性材の量は、水ガラスのアルカリの当量に酸性材の酸の当量が過少でも過大でも構わない。
【0055】
なお、水ガラスと酸と塩を混合し、得られたシリカ溶液をアルカリ領域で短時間でゲル化する場合、同じ量の水ガラスと酸と塩を用いてあらかじめ水ガラスと酸を混合してコロイドを形成した上で、塩と反応させると、ゲル化時間が長く、安定した固結液を得る。これはコロイド化したシリカ液はゲル化反応が急激に行われないから、長いゲル化時間で安定したゲル化が行われ、したがって、ゲル化時間の調整も容易であることを示していいる。
【0056】
また、水ガラスと酸、または水ガラスと酸と塩を同時に混合して、アルカリ領域でゲル化させる場合、ゲルは経日的に収縮が大きくなり、やがてゲルが溶けてしまう。これはシリカの単分子が大きく成長しないままゲル化するため、ゲル化後もシラノール基同志の縮合重合により脱水して収縮が大きくなり、さらにアルカリによって重合度の小さなシリカが解重合することに基因する。これに対して、本発明ではシリカ液をゲル化せしめた場合、コロイド化した上でゲル化させるので、シラノール基のシロキサン結合がゲル化後ほとんどコロイド粒子内で完了しているため、収縮が少ない。また、コロイド化した後のゲルは表面積が小さいため、アルカリの存在下でもシリカが溶解しにくく、したがって、ゲルが消滅するようなことはなく、耐久性に優れた固結体を形成する。
【0057】
本発明において、安定化とは水ガラスと酸性材を反応させ、シリカがコロイド状になった段階、あるいは水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ材を添加することによりコロイド状となった段階、あるいはアルカリ材を添加しない場合では、全体がゲル化する配合液だったものが、アルカリ材を添加することにより、コロイド状になって、安定化した段階をいう。したがって、水ガラスと酸を一段階で反応させた液がシリカ濃度およびPHの選択によりコロイドが生成されて、なお、かつ、長期間安定であれば、水ガラスと酸の反応液に安定化のためにアルカリ材を添加しなくてもよい場合もある。
【0058】
コロイド生成液に添加して安定化させるアルカリ材とはPHが9以上のアルカリ性を示す化合物であり、水に完全に溶解するものが好ましい。具体的には水ガラスあるいは苛性アルカリ、その他のアルカリ性を呈する塩が挙げられる。ここで、添加するアルカリ材は添加して液の粘度が上昇したり、不均一にゲル化を生じる場合には、徐々に添加するか、添加量を二回以上に分割して添加することが好ましい。
【0059】
得られたアルカリ性シリカコロイドは、従来からコロイドが形成されていることが確認されている加熱濃縮して増粒したコロイダルシリカと同様、半透明で、かつ低粘度である。また、得られたアルカリ性シリカコロイドに水ガラス以外シリカ溶液を添加して、該アルカリ性シリカのシリカ濃度を高くすることができる。ここで、他のシリカ溶液とは水ガラスからイオン交換樹脂またはイオン交換膜によってナトリウムを除去し、PHを調整した後、加熱造粒工程を経ないで得られる酸性活性シリカまたはこれにアルカリを加えたアルカリ性シリカ等、水ガラス以外のシリカやコロイダルシリカ溶液である。
【0060】
また、コロイダルシリカとは水ガラスをイオン交換樹脂またはイオン交換膜と接触させ、水ガラス中のナトリウムイオンを除去してPH2〜4の酸性シリカ溶液とし、PH調整した後、加熱造粒し、必要に応じて濃縮したもので、PHが10付近の、例えばシリカ濃度10〜30%、平均粒径10〜20mμ程度のものである。
【0061】
本発明にかかるアルカリ性シリカコロイドは反応剤と混合して地盤に注入され、地盤を固化する。このような地盤固結材はシリカ濃度の合計量が1〜30重量%が好ましく、また、水ガラスと酸性材を混合したシリカ液のシリカ濃度は0.1〜20.0%が好ましい。例えば、低濃度のアルカリ性シリカコロイド使用する場合には、液状防止用注入材としては充分なサンドゲル強度が得られるが、都市土木等の汎用グラウトとしては水ガラスまたは水ガラスと酸性材を併用することが好ましい。さらに、本発明では水性コロイダルシリカや前述の活性シリカ等、水ガラス以外のシリカ液を併用してもよい。
【0062】
本発明にかかる地盤固結材は上述のとおり、アルカリ性シリカコロイドにさらに反応剤を加えてなり、固結体の強度が大幅に増加されるとともに、強度発現も早い。本発明のアルカリ性シリカを液状化防止用注入材に使用する場合、注入材中のシリカ濃度は0.5〜7.0%が好ましい。なお、アルカリ性シリカコロイドに水溶性シリカ化合物を添加する場合、あらかじめ両者をゲル化しない範囲で混合、熟成し、使用することもできる。
【0063】
本発明のアルカリ性シリカコロイドを使用した注入材は同一成分と濃度を用いてコロイド化によって、中性領域でもゲル化時間を長くすることができるが、塩または塩と酸を併用すれば、その量を調整して少ない反応剤の量でゲル化時間を短縮できる。また、PHは酸で任意に調整し、ゲル化時間の調整は塩で効果的に行えるので、反応剤の量を少なくして任意のPHとゲル化時間を得ることができる。ゲル化時間を長くする場合には、PHを4以下、あるいは10以上にするのが好ましく、また、硬化物の耐久性を良くする場合には、PHを10以下にするのが好ましい。水ガラスを用いて中性領域で長いゲル化時間でも、短いゲル化時間でも得ることができる。本発明は水ガラスのコロイド化によって可能になったもので、他に例をみない。
【0064】
本発明において、アルカリ性シリカコロイドに無機塩を添加してPH8以上のアルカリ領域でゲル化させる場合、あるいは酸性剤を併用してPH10〜8の間で調整しても、固結体の初期強度は大きく、耐久性も極めて向上する。したがって、コンクリート構造物付近ないしは該構造物が構築された地盤、アルカリ地盤、コンクリート構造物の中、または背部の空間、セメント系固結地盤等に本発明の地盤固結材を注入すれば、固結体の耐久性は充分に得られる。もちろん、酸性〜中性領域で注入することもできる。いずれも本発明地盤固結材はコロイド化しているため、アルカリ性の地盤中でも耐久性を維持できる。
【0065】
具体的には、スラグを高モル比水ガラスやアルカリ材で固結した地盤に、本発明地盤固結材を注入しても、やはり固結体の耐久性は充分に得られる。このため、懸濁型グラウトの浸透しきれない部分に本発明地盤固結材を浸透することにより恒久的地盤改良が可能になる。アルカリ性地盤あるいはコンクリート等のアルカリ性を呈する構造物と接触するような個所に注入する場合には、配合液のPHを8以上にして、ゲルタイムの短縮や遅延を防ぐことができる。なお、アルカリ性シリカコロイドあるいはこれに反応剤、水ガラスや酸を組み合わせてなる本発明にかかる地盤固結材(ただし、セメントを使用した場合を除く)は、PHが12、好ましくはPHが11を越えない範囲が固結体の耐久性向上のために好ましい。また、アルカリ性シリカコロイドからなる本発明地盤固結材にコロイダルシリカを併用することにより、さらに強アルカリ性地盤に対する耐久性が向上される。
【0066】
さらに、本発明にかかるアルカリ性シリカコロイドに酸を加えたPHを中性ないし酸性の配合液とし、さらにこれを塩を添加すると、この配合液をアルカリ雰囲気の地盤に注入しても正常にゲル化し、固結体の耐久性が阻害されることはない。しかも、この場合、アルカリ性シリカコロイドをゲル化させるためには少量の酸と塩で足り、このため反応生成物は少量であって、水質保全上の問題は生ぜず、環境負荷の少ない地盤改良が可能になる。これはコロイド化したアルカリ性シリカ液に少量のKClやNaClのようなアルカリ金属中性塩を加えただけで均一にゲル化することからも理解できる。本発明の地盤固結材はゲル化のために塩を用いることにより、ゲル化時間が数十時間でも確実に固結し、しかも耐久性に優れた固結体を得、したがって液状化防止の目的で数十時間の連続注入が可能になる。
【0067】
また、従来法である水ガラスとセメントを主成分とする注入材では、ゲルタイムが1分程度で用いられ、それ以上長くするとゲル可化が不確実になり、充分な強度が得られない。また、10秒以下の瞬結にすることは難しい。また、酸性シリカゾルとセメントを主成分とする注入材では、瞬結とはなるが、ゲルが弱く、豆腐を崩したようなゲル化物となってしまう。さらに、材料として強酸を現場で使用するために、取扱いの問題があるばかりでなく、注入機器関係に耐酸性の機材を使用する必要がある。これに対し、本発明のアルカリ性シリカコロイド−セメント系注入材は、ゲル化時間が数秒から数十分まで安定した強固な固結体を得、使用する材料がどちらもアルカリ性であり、取扱いが容易であるばかりでなく、通常使用している注入機器を使用することができる。さらに、得られる硬化物は強度発現が速く、例えば、セメント量の同一配合で比較すると、酸性シリカゾルを使用した場合の1時間強度(サンドゲル)が0.01MN/m2 以下であるのに対し、アルカリ性シリカコロイドを使用した場合のそれは、0.08MN/m2 と極めて大きく、ゲル化時間は溶液型も懸濁型も瞬結から緩結まで可能である。このため二重管瞬結工法や瞬結・緩結二重管複合注入工法が可能である。例えば、二重管ダブルパッカ工法の一次注入としてセメント−ベントナイトのようなアルカリ材を用い、二次注入材として、ゲル化時間が数十時間の注入方式に適合する等、任意の注入工法に適用することができる。このアルカリ性シリカコロイド液を用いた懸濁型グラウトとしての懸濁材料は普通セメント、高炉セメント等のほか、微粒子セメント、スラグ微粒子スラグ、石こう、石灰等、一種ないしは複数種を併用してもよい。さらに、炭酸塩、重炭酸塩、苛性ソーダ、アルミニウム塩等の水溶性アルカリ材を併用してもよい。
【0068】
瞬結性固結材としては、水ガラスを使用した溶液型注入材、例えば、水ガラス−無機酸系、酸性シリカゾル系、セメントを主成分として懸濁型注入材、例えば、一次注入材として使用される。
【0069】
図7は水ガラスのPHとゲル化時間(分)との関係およびアルカリ性シリカのPHとゲル化時間(分)との関係を表したグラフである。図7において、「●」印でプロットされた曲線は(1)がSiO2 3.00%の水ガラス(モル比3.3)を温度25℃で、硫酸で中和したときのPHとゲル化時間との関係を示し、(2)がSiO2 3.50%の水ガラス(モル比3.3)を温度25℃で、硫酸で中和したときのPHとゲル化時間との関係を示し、(3)がSiO2 6.0%の水ガラス(モル比3.3)を温度25℃で、硫酸で中和したときのPHとゲル化時間との関係を示す。また、「○」印でプロットされた曲線はSiO2 6.0%のアルカリ性シリカを硫酸で中和したときのPHとゲル化時間との関係を示し、「▲」印でプロットされた曲線はSiO2 3.0%のアルカリ性シリカを硫酸で中和したときのPHとゲル化時間との関係を示し、「△」印でプロットされた曲線はSiO2 3.0%のアルカリ性シリカを硫酸で中和し、KClを5g/400ml添加してゲル化時間を短縮したときのPHとゲル化時間との関係を示す。
【0070】
図7において、コロイド化されていない水ガラスについては、SiO2 6.0%の曲線(3)はもちろんのこと、SiO2 3.0%の曲線(1)および(2)も中性領域で急激にゲル化時間が短縮し、かつアルカリ側および酸性側で大幅にゲル化が延長し、曲線が急激になる、これに対して、アルカリ性シリカについては、SiO2 濃度が6.0%、あるいは3.0%であって、相当に高いにもかかわらず、ゆるやかな曲線を示す。したがって、本発明にかかるアルカリ性シリカの場合、酸性領域のみならず、アルカリ領域でも、すなわち全PH領域でゲル化が可能であた、このため少ない反応剤量でゲル化が可能であるのみならず、中性領域でも長いゲル化時間で浸透注入でき、低環境負荷型注入材ということができる。
【0071】
さらに、本発明の基本的理念等について以下のとおりに詳述する。
【0072】
本発明は水ガラスのアルカリを酸性材で中和し、水ガラス中のシリカとアルカリの比率(モル比)を高めることにより重合を促進し、シリカをコロイド化してアルカリ性シリカコロイドを調製するのもである。しかし、水ガラスが酸性になるまで酸を添加すると、液全体かゲル化してしまう。また、水ガラスにPH6〜10程度になるまで酸を添加すると、酸の種類にもよるが、瞬結〜1時間程度でゲル化する。したがって、そのような場合には、水ガラスに酸を添加した後、適当に重合が行われた段階で活性化されている反応液を安定化する必要がある。そこで、水ガラスに、好ましくはPH3以下になるまで酸を添加して2時間以上ゲル化しない反応液をつくり、熟成の後、必要に応じてさらにアルカリ材を添加してアルカリ側に移向せしめ、安定化してアルカリシリカコロイドを形成する。
【0073】
本発明は基本的にはアルカリ領域で、水ガラスと酸性材を混合してコロイド状のアルカリ性シリカを形成し、あるいはさらに、水ガラスまたは水ガラスと酸性材とを混合してシリカ濃度の高い安定したシリカコロイドを形成せしめ、このシリカコロイドに反応剤を加えて所定のゲル化時間で硬化し、従来技術の問題を解決した。すなわち、本発明はアルカリ性シリカコロイドに水ガラスまたは水ガラスと酸性材を混合してアルカリを含むシリカ液を重合反応によって高分子化し、コロイド化することにより、以下の特性を生ずる。
【0074】
(1)シリカコロイドは水ガラスと酸性材や、アルカリを混合して形成される。このアルカリ性シリカコロイドに水ガラスまたは水ガラスと酸を加えると、さらに水ガラスの低分子シリカや活性シリカがすでに存在するコロイドに吸着されて、コロイドが成長し、水ガラスのアルカリで電気二重層を形成して安定化する。したがって、このようにして形成されたコロイドにさらに水ガラスを加えるか、あるいは水ガラスと酸と共に加えるという工程を段階的に続けることによって、加熱濃縮しなくてもシリカコロイドの増粒とシリカコロイドの濃度を高めることができる。
【0075】
(2)酸性領域のシリカ溶液はゲル化後、脱水が多く、収縮が大きい。これは、シリカが線状に重合し、それが絡み合ってゲル化するため、ゲルが圧縮しやすく、構造が弱いからであると思われる。それに対して、アルカリ領域では、球状のシリカコロイドが形成され、その粒子同士がシロキサン結合で結合しあうので、ゲル化後の脱水が少なく、また、収縮が少なく、このためゲルの構造が強いと考えられる。
【0076】
このアルカリ性シリカのシリカ濃度を高めるために、コロイダルシリカや活性シリカ等、水ガラス以外のほかのシリカ溶液を加えることができるが、活性シリカは、(a)水ガラスのアルカリの一部、または全てをイオン交換樹脂またはイオン交換膜で除去してなるシリカ溶液、(b)水ガラスと酸の混合液の塩の一部または全てをイオン交換樹脂またはイオン交換膜で除去してなるシリカ溶液、(c)水ガラスと酸を混合して、水ガラスのアルカリの一部または全てを除去してなるシリカ溶液、として得られる。これらの活性シリカ単独は、水ガラスの単分子のNaイオンが水素イオンに置き換わった単分子の珪酸であって、PHが酸性〜中性を呈する。これらの活性シリカは、ゲル化後もシラノール基の縮合重合によってゲル中で脱水が生ずるため、ゲルの収縮が大きい。
【0077】
それに対し、アルカリ領域でコロイドにした本発明アルカリ性シリカ液はコロイドの形成後には既にコロイド内部のシロキサン結合が完了し、ゲル化時にはコロイド表面のシロキサン結合のみであるので、ゲル化後の脱水収縮が極めて少ない。一方、上記アルカリ性シリカコロイドに活性シリカを加えることによって、活性シリカの活性がゲル化に際して付与され、初期強度の増大、固結物の強度の促進に効果を生ずる。
【0078】
(3)コロイド状になっているシリカ溶液では、アルカリ領域であるにもかかわらず、シリカコロイドを解重合しにくく、重合度の少ないシリカはアルカリと接触して溶解しやすい。もちろん、アルカリ含有量が低いほど、シリカは溶解しにくいが、一度コロイド状にすると、かなりのアルカリ液でもコロイドが溶解することなく保ちうる。
【0079】
(4)コロイド状のアルカリ性シリカは同一のシリカ濃度でゲル化時間が長い。また、長いゲル化時間で強度が高く、均質な、構造的に安定したゲル化物を得る。特に、アルカリ領域ないし酸性領域においてゆるやかなゲル化時間の曲線を画くため、長時間のゲル化時間を得ることができる。反応剤の量を調節して任意のPH領域で、長時間から短時間まで、ゲル化時間を調整できる。このため、長いゲル化時間でも充分な強度を保持しながら、ゲル化時間を容易に調製し得る。したがって、酸性〜中性の領域はもちろんのこと、アルカリ領域でも、安定性の良い長結〜瞬結グラウトを得ることができる。これに対して、水ガラスと酸の混合によるゲル化時間の曲線は中性領域で瞬結〜1分以内でアルカリ領域では急速にゲル化時間が長くなり、ゲル化が不安定となるため、中性グラウトは瞬結領域で使用し、長期グラウトはPH2〜3付近の酸性領域で使用せざるを得なかった。このこた、中性領域で長いゲル化時間を得ることは不可能であった。本発明はコロイド化しているため、中性領域でも長いゲル化時間を得ることができ、注入地盤のPHが変化しないため、水質保全上優れている。またアルカリ領域でも充分ゲル化時間の調整が可能なため小量の反応剤の使用ですみ、反応生成物が少なく、低環境負荷に優れている。
【0080】
(5)コロイド状になっているか否かの判定はチンダル現象のみならず、アルカリ金属中性塩を添加することにより容易に判定できる。単なる単分子シリカの溶液である水ガラス水溶液や、コロイドに達していないシリカ液の場合、透明であり、KClやNaClを添加すると、塩析による水ガラス中のシリカの部分的な白色沈殿を生じるのみで、全体が均質なゲルを形成することはできない。このため、従来の水ガラス系注入材では、これらの塩は硬化剤としてではなく、他の硬化剤と併用してゲル化促進剤として使用されて来た。
【0081】
ところが、コロイド状態では、これらの中性塩の添加により液全体を均質なゲルにすることができる。これはシリカ分が大きな粒径のコロイド状になっているため、中性塩のみでコロイド表面の電気二重層が破壊され、コロイド表面のシラノール基同志が重合してシロキサン結合を起こし、粒子同志が架橋することによるものである。
【0082】
(6)本発明によりゲル化したゲル化物はアルカリ領域であっても、シリカの溶脱がきわめて少なく、また、ゲルの収縮も極めて少ない。これは本発明が高分子化したコロイドのゲル化であるため、ゲル化物が経時的なシラノール基の縮合重合の脱水による収縮現象が少なくなるためと思われる。
【0083】
(7)アルカリ領域において、長いゲル化時間でシリカの溶脱がなく、また収縮も少ない。したがって、得られる固結体は耐久性に優れ、かつ高強度を呈する。アルカリ性のシリカコロイドは少量の反応剤でゲル化するので、反応生成物は少ない。すなわち、アルカリ領域〜中性領域でも安定した長いゲル化時間でゲル化し、少量の反応剤ですむので反応生成物が少なく、したがって環境負荷が少なく、地下水の水質汚染を起こさない。本発明固結材あらかじめイオン交換樹脂またはイオン交換膜によって脱塩あるいはシリカ分以外のイオンを除去することにより、塩あるいはシリカ分以外のイオンを完全に、あるいは大部分除去して殆ど純粋な、しかも溶出しないシリカ分のみで地盤を固結でき、完全無公害注入材となる。しかも、本発明固結材は反応材が少量ですむため、脱塩処理により回収される塩は少なくてすむ。このため現場で使用するイオン交換樹脂の量ももちろん少なくてすみ、あるいはイオン交換膜を用いた電解透析の設備も小さくてすみ、また、脱塩シリカのゲル化時間が短くなっても、そのまま地盤に注入すればよく、極めて作業性に優れ、かつ経済的な施工が可能になる。
【0084】
(8)コロイド状のアルカリ性シリカによるゲル化物はアルカリに対して耐久性に優れている。このため地盤が貝殻混じりのアルカリ性地盤でも、セメントによる改良地盤でも、アルカリ性注入材を併用しても、また、コンクリート構造物周辺部でも、本発明にかかるコロイド状のアルカリ性シリカは使用可能であり、確実に固結する。また、本発明にかかるコロイド状のアルカリ性シリカはセメントとの混合液として地盤固結に利用できるのみならず、コンクリート構造物付近ないしは該構造物が構築される地盤、アルカリ性地盤、コンクリート構造物の中、またはコンクリート構造物背部の空間に注入して固結することにより、恒久的な止水や地盤改良を行うことも可能になり、また、土と混合して固結体を形成することも可能になる。
【0085】
(9)本発明にかかる地盤固結材およびこの固結材と埋め戻し土との混合物を掘削地盤に充填することにより、または前記地盤固結材、または該固結材と、土やその他の紛状体との混合物を地盤中の空隙や裏込め空間に充填したり、軟弱地盤に圧入することにより、地盤改良を行うことができる。また、本発明は収縮がないため、トンネル掘削に際して補強材をあらかじめ削孔中に挿入し、補強材と削孔との間の空間に本発明固結材を圧入し、グリオキザールやエチレンカーボネート等の有機反応剤で高強度ゲル化物とし、あるいは懸濁型反応剤で超高強度ゲル化物とし、補強材を地山に定着して補強することもできる。
【0086】
(10)本発明にかかる熟成は加温することによりコロイドの形成を促進できる。加温による促進は地盤注入における工期の促進上きわめて有用である。
【0087】
(11)本発明において、水ガラスと酸性材の混合液のモル比は3〜100が望ましい。混合液のアルカリ量が高く、モル比が3以下の場合、コロイドが形成されなかったり、あるいは一度形成したコロイドが溶けやすくなるが、酸を添加して水ガラスのアルカリの一部を中和して、モル比を高くすることにより、コロイドを形成することができる。この場合、混合液のモル比は加えた酸と同一の当量のNa2 Oが除去されたとみなしてモル比(実質的モル比)を算出する。
【0088】
(12)活性シリカや酸性水ガラス等はアルカリに溶けやすい。これは低分子シリカが線状に重合しているものと思われる。また、アルカリ地盤において、アルカリの影響を受けやすい。しかし、本発明のアルカリ性シリカは活性シリカよりも大きな粒径のコロイド状シリカを形成するため、アルカリに対する抵抗力が大きく、溶けにくい。したがって、アルカリ領域でゲル化しても、そのゲル化物は耐久性があり、かつ地盤のアルカリ雰囲気にも抵抗性がある。また、コロイダルシリカのように活性シリカを加熱濃縮して弱アルカリで安定化したシリカコロイドに比べて粒径が小さく、活性も残っており、薄いシリカ濃度でも強度が高く、かつ強度発現が早い。このような性質を得るには、地盤固結材のシリカ濃度が1重量%以上であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0089】
(13)無機反応剤を用いた水ガラスグラウトあるいは酸性水ガラスグラウトでは、瞬結にゲル化する。しかし、ゲル化時間を長くする場合、アルカリ領域では反応剤の少量の変化で大幅にゲル化時間が変化したり、ゲル化しなかったりするので、ゲル化時間の調製はほとんど不可能である。これに対して、シリカをコロイド状にした本発明では、中性〜アルカリ領域でも長いゲル化時間で確実にゲル化し、ゲル化時間を容易に調製できる。
【0090】
実施例
以下、本発明を実施例によって具体的に詳述するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0091】
1.使用材料
(1)水ガラス 表1のとおり。
【0092】
【表1】
【0093】
(2)活性シリカ
3号水ガラスを約5.5倍に稀釈した液を陽イオン交換樹脂に通過、処理し、得られるPH2.7、比重1.03、SiO2 =5.0%の活性シリカ
(3)ASF アルカリ性シリカゾル
上記活性シリカに水ガラスを加えたもの。比重1.03、モル比19.1
シリカ濃度=4.5%、 平均粒径 5nm
(4)酸 表2のとおり。試薬を使用した。
【0094】
【表2】
【0095】
(5)市販コロイダルシリカ(AT)
SiO2 =30%、比重=1.20、PH=10.0、平均粒径=15nm
(6)その他の反応剤
塩化カリウム(KCl) 工業用
重炭酸カリウム(KHCO3) 試薬
苛性ソーダ 試薬
重曹 試薬
グリオキザール 工業用
エチレンカーボネート 試薬
(7)セメント、スラグ、消石灰。表3のとおり。
【0096】
【表3】
【0097】
2.測定法
(1)シリカの溶脱およびホモゲルの体積変化
200mlのガラス製メスフラスコに測定すべき試料100mlを注ぎ込み、ゲル化させた、その後、標線まで水を入れて所定日数養生した。測定日に養生水を全量取り出し、シリカの測定に供した。さらに標線まで水を入れ、再度養生を行った。ホモゲルの体積は算出により求めた。
【0098】
実施例1〜10
アルカリ性シリカコロイドの調製
表4、5、6、7に記載されるように、水ガラスと酸を必要に応じて水で稀釈した後、所定量を混合した(工程1)。その後所定時間室温で熟成した後、アルカリ材を添加して安定化した。なお、工程1で得られた混合液のPHが10以上で安定な場合にはアルカリ材を添加しなかった。得られたアルカリ性シリカはASF4と同様に、半透明、低粘度(4cps以下)であった。
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
実施例9において、熟成時間を10分、6時間、24時間と変えてアルカリ性シリカを調製し、塩化カリウムでゲル化させたところ、熟成時間の短いものほどゲルタイムは長かったが均一にゲル化した。また、実施例10−aの粘度は4.5cpsと他の実施例のものとは比較して若干高かった。
【0104】
実施例10−1〜10−3および比較例a、b
アルカリ性シリカのシリカ濃度アップ
実施例No.1のアルカリ性シリカ100mlに中性コロイダルシリカ30mlを添加した。これによりアルカリ性シリカのシリカ濃度6.1%を、12.1%に大きくすることができた。配合液のPHは10.9であった。この配合液は6ケ月経過後も均一でゲル化しなかった。
【0105】
比較例a
比較のため水ガラスとATを混合したところ、白色沈殿を生成し、注入材原料としては使用できなかった。、
比較例b
ASF4は単独で塩化カリウムで硬化させると均一にゲル化するが、ASF4:水ガラス2=2:8(容量)で混合した液を、塩化カリウムで硬化させたが、均一にゲル化せず、ゲル化物が沈殿した。これに対し、本発明のアルカリ性シリカコロイドは塩化カリウムで均一にゲル化することから、上記混合液よりコロイド化が進んでいることがわかる。
【0106】
実施例11〜30−1および比較例1、2
上記実施例で調製したアルカリ性シリカコロイドを使用し、各種反応剤を添加、混合し、溶液型および懸濁型の配合液を作成した。各実施例試料について、SiO2 濃度(重量〜容量)%、ゲルタイムおよびサンドゲル強度をそれぞれ算出または測定し、結果を表8、9および10に示した。また、比較例No.1の各試料も作成し、同様の試験を行って結果を表8、9および10に示した。実施例No.20 のホモゲルの1時間強度は0.08mn/m2 であった。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
【表10】
【0110】
実施例30−1
実施例11のアルカリ性シリカを、実施例10−1のアルカリ性シリカに代え、他は同一条件で実験を行った。その結果、ゲルタイムは30分であった。またサンドゲルを作成したところ、その強度は0.18MN/m2 (2日)、0.24MN/m2 (28日)であった。
【0111】
比較例2
水ガラス3号40ml、75%硫酸7mlおよび水をミキサーで混合して酸性シリカゾル200mlを調製した(A液)また、別に普通セメント60gおよび重曹2gを水に懸濁させて200mlとした(B液)。各200mlを混合したところゲルタイムは10秒であった。この割合で調製した配合液5φ×10cmのモールドに直ちに流し込み、ホモゲルを作成し、1時間強度を測定したところ0.01MN/m2 以下であった。
【0112】
実施例11と比較例1は、使用している水ガラス、10%塩酸およびKClを同一量使用しているが、実施例11では水ガラスの一部がコロイド状シリカになっているのに対し、比較例1でコロイド状シリカを生成していないのであり、そのため前者の方配合液のPHは後者のそれと比較するとやや高く、ゲルタイムは同じく前者のがやや長い。強度においても前者の方がやや小さくなっている。これらの性能上の相違は、実施例11のアルカリ性シリカがコロイド状となっていることを示している。さらに、後述するようにホモゲルの収縮では顕著な差となって現れている。
【0113】
実施例31〜36および比較例No. 3、4
表4および表5に示されるアルカリ性シリカコロイドを使用し、表11記載の配合液について、シリカの溶脱およびホモゲルの収縮率(%)を測定した。なお、比較のためにコロイドを生成しない方法でゲル化させた配合液(比較例No.1) についても、シリカの溶脱率(%)およびホモゲルの収縮率(%)を測定した。結果表11に示す。
【0114】
【表11】
【0115】
実施例37〜39および比較例No. 5
試料として、表6に示されるように、実施例No.11 のAS(アルカリ性シリカコロイド)−KCl系、実施例No.12 のAS−KCl−燐酸系、および実施例No.17 のAS−AT−KCl−燐酸系を用い、これをそれぞれ、同量のLWゲル化物上に注ぎ込み、ゲルタイムを測定して水ガラス系注入材から溶出されるアルカリのゲルタイムへの影響を観察した。LWゲル化物は200ml中、水ガラス3、(3号水ガラス)50ml、セメント1を50g、残り水、PH12.5の配合のゲル化物である。なお、参考のために試料としては比較例No.2のAS−燐酸系についても上述と同様にゲルタイムを測定した。結果を表12に示す。
【0116】
【表12】
【0117】
実施例40、41および比較例No. 6〜8
16φ×13cmのプラスチック製容器に、セメント1を50g、ベントナイトを15.6gと水250mlの比率でセメントを硬化させ、厚さ5cmの固結物とした。この固結物を2日養生後、該固結物上に表7に示される実施例No.40 、41の各配合液をそれぞれ約1リットルずつ注ぎ込んでゲル化させ、これらのゲルタイムおよびゲルの状態を観察して前記固結物のアルカリの影響を述べた。同様に比較例No.6〜8の配合液についても行った。結果を表13に示す。
【0118】
【表13】
【0119】
実施例42
表2の実施例1のアルカリ性シリカコロイド100ml(A液)、普通セメント150g、消石灰5g、スラグ95g、ベントナイト90g、残り水からなる懸濁液900ml(B液)を混合したところ、15秒でゲル化し、1時間後には0.04MN/m2 となり、1ケ月後の固結体の収縮率は0.2%であった。これより、このような配合液は、充分裏込め材、空洞充填材として使用可能であることがわかった。
【0120】
実施例No. 43
透水係数が2.5×10-3cm/sの砂地盤に以下の複合注入を行った。
実施例No.16 の瞬結配合液(ゲルタイム10秒)を190リットル注入後、実施例No.16 −1の緩結配合液(ゲルタイム15時間)を580リットル注入した。注入1ケ月後、透水係数を測定したところ、4.1×10-5cm/sとなっており、充分改良されていることがわかった。
【0121】
【発明の効果】
1.簡便な工程、操作でコロイド状シリカを製造することができる。
【0122】
2.コロイド状シリカを用いることにより、コロイド状ではない水ガラスと反応剤とからなる水ガラスグラウトとくらべて、ゲル化物の収縮が少なく、広い範囲で安定なゲル化領域を得、かつ、シリカの溶脱が少なく、優れた耐久性を得る。また、シリカ濃度が低くても、中性コロイダルシリカを使用した場合に比べて、同一シリカ濃度でも、サンドゲルの強度が大きく、かつ強度発現も早い。
【0123】
3.反応剤の使用量が少量であるため、反応生成物が少なく、低環境負荷型注入材である。
【0124】
4.アルカリ性を呈するコロイド状シリカのPHとゲル化時間との関係はゆるやかな曲線を呈し、長いゲル化時間を得、かつゲル化時間の調製が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製造装置の一具体例のフローシートである。
【図2】本発明にかかる製造装置の他の一具体例のフローシートである。
【図3】薬液槽を縦方向に積み重ねた本発明にかかる製造装置の具体例のフローシートである。
【図4】薬液槽を横方向に並列した本発明にかかる製造装置の具体例のフローシートである。
【図5】薬液槽が導管である本発明にかかる製造装置の具体例のフローシートである。
【図6】薬液槽が環状導管である本発明にかかる製造装置の具体例のフローシートである。
【図7】水ガラスおよびアルカリ性シリカコロイドについてのPHとゲル化時間(分)の関係をそれぞれ表したグラフである。
【符号の説明】
1−1 上流側の薬液槽
1−2 中間の薬液槽
1−n 下流側の薬液槽
2 導管
3 導入口
4 排出口
5 添加口
6 バルブ
7 ポンプ
8 コントローラ
9 バルブ
10 ヒータ
11 反応剤槽
12 ポンプ
13 導管
14 上流側先端
15 下流側末端
16 貯溜槽
17 環状導管
18 一方の端
19 反対側の他端
20 ポンプ
Claims (9)
- 水ガラスと酸性材とからなるアルカリ性シリカ溶液、または水ガラスと酸性材とからなる酸性水ガラスに、水ガラスまたは水ガラス以外のアルカリ材を混合したアルカリ性シリカ溶液であって、前記アルカリ性シリカ溶液に水ガラス、または水ガラスと酸性材を段階的にゆっくりと、ないし経時的にゆっくりと添加することにより、PH9〜11.5のコロイド状を呈するアルカリ性シリカを調整することを特徴とする地盤固結用アルカリ性シリカ。
- 請求項1において、アルカリ性シリカ溶液がさらに水ガラス以外のシリカ溶液を含有する請求項1に記載のアルカリ性シリカ。
- 請求項1において、アルカリ性シリカ溶液のモル比が3〜100である請求項1に記載のアルカリ性シリカ。
- 請求項1において、アルカリ性シリカ溶液のシリカ濃度が1〜30重量パーセントである請求項1に記載のアルカリ性シリカ。
- 請求項1において、酸性材がリン酸、硫酸、塩酸および酸性塩の群から選択される請求項1に記載のアルカリ性シリカ。
- 上流側先端に導入口を有し、下流側末端に排出口を有する導管であって、この導管の中間部分の任意の管壁には添加口を一個、または複数個間隔をあけて設けてなり、上流側先端に導入口からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカ溶液を導管内に導入し、かつ中間部分の添加口から水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口から排出することを特徴とする地盤固結用アルカリ性シリカの製造装置。
- 一方の端に導入口および導入口とは反対側の他端に排出口をそれぞれ有する環状導管であって、この導管の任意の管壁には添加口を一個、または複数個間隔をあけて設けてなり、一方の端に導入口からアルカリ性シリカ溶液またはコロイド状のアルカリ性シリカ溶液を環状導管内に導入し、かつ添加口から水ガラス、水ガラス以外のアルカリ材または水ガラスと酸性材を段階的に、ないしは経時的に添加してコロイド状のアルカリ性シリカを製造し、排出口から排出することを特徴とする地盤固結用アルカリ性シリカの製造装置。
- 導管または環状導管に加温装置を備えてなる請求項6または7に記載のアルカリ性シリカの製造装置。
- 酸性材がリン酸、硫酸、塩酸および酸性塩の群から選択される請求項6または7に記載のアルカリ性シリカの製造装置。
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