JP4753265B2 - 地盤注入材および地盤注入工法 - Google Patents

地盤注入材および地盤注入工法 Download PDF

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本発明は地盤注入材および地盤注入工法(以下、単に「注入材」および「注入工法」とも称する)に関し、詳しくは、軟弱地盤の強化や漏水地盤の止水などの目的で使用される地盤注入材および地盤注入工法に関する。
従来より、軟弱地盤等の地盤改良などに用いられるグラウトとして、水ガラスを主成分とする種々の溶液型グラウトが知られている。中でも、シリカゾルを酸性または中性領域でゲル化させる地盤注入工法においては、従来は、酸性液と水ガラスとを用い、酸性液に水ガラスを添加して、酸過剰の状態を保持するように両液を混合しながらpHが1〜2付近の強酸性珪酸水溶液を作成し、その後、この水溶液にpH調整剤を加えてpHを中性方向に移行して注入を行うという、二工程の方法が採られていた。
しかし、酸性液に水ガラスを加えてpHが1〜2の強酸性珪酸水溶液を調製することは容易であるが、同様にしてpH値を2〜7の中間領域の一定値に定めることは、一般に極めて困難である。すなわち、この中間領域ではわずかなpHの変動によりゲルタイムが大きく変わることから、所定のpHに対応したゲルタイムを選定して注入を行うことが非常に困難となる。これに対し、水ガラスを硫酸で処理して得られる非アルカリ性珪酸水溶液(酸性シリカゾル)と、水酸化マグネシウムとを混合する技術が、本出願人により提案されている(特許文献1参照)。
また、例えば、特許文献2には、遅効性アルカリ剤のあらかじめ含有された水ガラス水溶液と、酸性液とを混合して得られる非アルカリ性珪酸水溶液を、地盤注入用薬液として用いる地盤注入工法が開示されている。さらに、特許文献3には、本出願人による、酸性珪酸水溶液に炭酸カルシウムを加えた水ガラスを混合してゲル化させる注入方法が開示されている。その他、酸性シリカゾルグラウトを注入する前に予め地盤に酸中和剤を注入する方法等も公知である。
特公平2−47514号公報(特許請求の範囲等) 特公平3−54154号公報(特許請求の範囲等) 特公平5−4431号公報(特許請求の範囲等)
上記特許文献1記載の技術によれば、ゲル化時間の調整が容易であって固結体を高強度とすることができるとの効果が得られるが、その反面、難溶性アルカリ剤が、酸性シリカゾル中、あるいは水中で、分離するおそれがあるという問題があった。このため、中和作用が注入口の付近だけで起こり、広範囲には発現せず、酸性シリカゾルが地盤中に広がり、かつ先端部は水で希釈されてゲル化が不完全になるか、あるいは強度が大ゆえに低下するかあるいは、地下水が酸性になりやすいという問題があった。
また、特許文献2に係る技術においても、薬液を静置しておくとアルカリ剤がすぐに底部に分離してしまい、それを長尺モールド中に注入すると、注入口付近にアルカリ剤が分離してしまう傾向があった。さらに、特許文献3による方法においては、水ガラス中の炭酸カルシウムが酸性水ガラス中の酸と反応して炭酸ガスを発生し、沈殿物を生じて浸透を阻害したり、注入地盤をポーラスな状態にするなどにより、強度が低くなるか、或いは、強度の低下をもたらすおそれがあった。さらにまた、難溶性アルカリ剤等の酸中和剤をあらかじめ地盤中に注入してから酸性シリカゾルを注入する方法では、難溶性アルカリ剤が地盤中で分離して、注入口付近で沈殿してしまい、広範囲に広がらず、したがって酸性シリカゾルのほとんどがそのまま地盤中に広がって、過剰の酸が地盤中に残存していた。
上記のように、注入材中で難溶性アルカリ剤が分離、沈殿してしまうと、地盤中に注入した場合に難溶性アルカリ剤が注入口付近の地盤に溜まってしまい、地盤中に均等に注入されずに、酸過剰のゲル化時間の長いままの酸性シリカ溶液が広範囲に拡散して地下水に希釈され、所期の地盤改良効果が得られないばかりか、過剰の酸の残存などの水質の問題を生ずることになる。また、難溶性アルカリ剤として炭酸塩を用いると、炭酸ガスを発生し、浸透や強度の点で問題になる。したがって、注入材中での難溶性アルカリ剤の分離、沈殿を生ずることなく、また、ガスを生ずることなく注入を行うことが可能な地盤注入材および地盤注入工法の実現が求められていた。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、難溶性アルカリ剤の分離、沈殿を防止しつつ、地盤中への均質な注入を可能として、過剰の酸の残存などの問題を生ずることなく所期の地盤改良効果が得られる地盤注入材および地盤注入工法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、難溶性アルカリ剤として、酸によって炭酸ガスを発生することのない水酸化マグネシウムを用いるとともに、この水酸化マグネシウムをあらかじめ水ガラスとの混合液としておき、これを、水ガラスと酸性液とにより得られる酸性シリカゾルと混合する手法を用いることで、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の地盤注入材は、酸性から中性を呈する地盤注入材であって、水ガラスと酸性液とを混合して得られる酸性シリカゾルをA液とし、水ガラスと水酸化マグネシウムとを混合して得られる混合液をB液として、A液とB液とが混合されてなる混合液のpHが8.5よりも酸性側の非アルカリ性領域を常に保持するような比率で混合されて、最終的な固結体においてはpHが時間とともに中性を示すことを特徴とするものである。
また、本発明の地盤注入工法は、水ガラスと酸性液とを混合して得られる酸性シリカゾルをA液とし、水ガラスと水酸化マグネシウムとを混合して得られる混合液をB液として、A液とB液とを、混合液のpHが8.5よりも酸性側の非アルカリ性領域を常に保持するような比率で混合して得られ、かつ、初期の段階で酸性から中性を示すものの、最終的な固結体においてはpHが時間とともに中性を示す地盤注入材を、地盤中に注入することを特徴とするものである。
本発明によれば、水酸化マグネシウムをあらかじめ水ガラスと混合した混合液としておくことで、酸性シリカゾル中で水酸化マグネシウムが浮遊した状態となるので、水酸化マグネシウムの分離、沈殿を防止することができる。また、この混合液を酸性シリカゾルと混合した後は、水酸化マグネシウムの作用により、ガスを発生することなく、酸過剰の状態から次第に中性方向に移行する効果を得ることができ、ゲル化の前後においても同様に中性方向に移行する効果が得られ、酸性公害の発生を防止することができる。さらに、従来の方法に比してゲル化が安定して、地盤中に浸透している先端部のシリカ溶液中に水酸化マグネシウムが分散している状態なので、先端部の注入液においても所定のゲル化時間と強度を得ることができる。さらにまた、注入材を地盤中に均質に注入でき、地盤中での浸透距離をより広範囲にして確実に固結でき、強度低下を生ずることなく、注入領域すべてを固結することが可能である。
実施例で用いた実験装置を示す概略図である。 浸透距離と供試体の一軸圧縮強度との関係を示すグラフである。 浸透距離と供試体のpHとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明においては、水ガラスと酸性液とを混合して得られる酸性シリカゾルをA液とし、水ガラスと水酸化マグネシウムとを混合して得られる混合液をB液として、A液とB液とを混合することにより酸性から中性を呈する地盤注入材を得、これを地盤中に注入する。
本発明においては、水酸化マグネシウムをあらかじめ水ガラスと混合した混合液(B液)と、酸性シリカゾル(A液)とを混合するものとする。この混合液(B液)においては、水ガラスと水酸化マグネシウムとが結合して、ミセルのシリカ溶液が形成される。したがってこのシリカ溶液には水酸化マグネシウムが浮遊しており、液は白濁した状態となる。このシリカ溶液と酸性シリカゾル水溶液とを混合して得られた酸過剰の酸性シリカゾルは、水ガラスのアルカリと水酸化マグネシウムによって次第に中性化されていくため、ゲル化前後においても同様に中性方向に移行する効果を示すことになる。
具体的には、本発明においては、酸性シリカゾル(A液)と上記シリカ溶液(B液)とを混合することで、酸性シリカゾルと、水ガラスと水酸化マグネシウムとからなるミセルのシリカとが緩やかに反応してゲル化し、かつ、ゲル化後も水酸化マグネシウムによる反応が継続して中性領域まで達する。
ここで、A液とB液とを混合して地盤中に注入すると、水酸化マグネシウムは注入材中に均等に分散しながら土粒子間を注入口から広範囲に浸透して、注入範囲を均等に中性方向に移行させて固結する。その理由は、A液が水ガラスと酸との混合により酸性シリカゾルを形成していることに加え、B液が水ガラスと水酸化マグネシウムとの混合により、水酸化マグネシウムの微粒子の周りに水ガラスのシリカ分子が絡んだ白色を呈するゾルを形成し、この二つのゾル同士が反抗しながら水溶液中に分散しているため分散性に優れること、地盤中に注入しても水酸化マグネシウムが分離沈殿することなくシリカゾルとともに浸透拡大し、酸性シリカゾル中の過剰の酸がB液のゾル中のアルカリと中和反応を起こしゲル化が緩やかに進行してゲル化するとともに、ゲル化後においてはゲル中の水酸化マグネシウムが溶解しゲル中の過剰の酸を中和してゲルを中性化すること、さらには、水酸化マグネシウムは炭酸カルシウムのように酸と反応して炭酸ガスを生じないため、均質な固結が可能であること、によると考えられる。
本発明の注入材においては、地盤中に注入された後、そのpH値が自動的に中性方向に移行する現象が注入対象地盤全体において生ずるので、過剰の酸の残存を抑制して、酸性公害を防止することができる。また、注入材が地盤中に均質に注入されるので、注入液の先端部においても水酸化マグネシウムが酸性シリカゾル中に浮遊しており、ゲル化を促進するために、浸透距離が広範囲となっても、注入領域すべてを確実に固結することができる。しかも、注入先端部で地下水による希釈分散が生じにくく、注入対象領域外に逸脱することなく確実に固結することが可能であって、注入対象地盤がほぼ中性領域に保たれるので、水質保全上も優れるものである。
結果として、本発明においては、以下の効果が得られることになる。
(1)注入材が注入口付近で水酸化マグネシウムを分離することなく地盤中に広範囲に浸透して、注入材全体を中性方向に移行させることができる。
(2)酸性シリカゾルの過剰の酸の中和が緩やかに行われ、しかもゲルも中性化するため、ゲル化時間の調整をすることなく所定の注入量に対応した所定の固結体が形成される。
(3)注入材における注入中の先端部にアルカリ剤が含まれているため、注入中でもゲル化を生じつつ、先端の注入材が乗り越えながら注入領域を広げていくので、先端の注入材が地下水で薄まることなく地盤中でゲル化することができる。
(4)酸との反応によるガスの発生がないため浸透性に優れ、かつ、均等な固結体が形成される。
なお、本発明においてA液とB液とは、二重管を使用して先端部で合流させて地盤中に注入してもよく、また、注入管に送流する前に混合してもよい。また、ミキサー中で混合して地盤中に注入してもよい。
本発明において、酸過剰を保持するようなA液とB液との合流比率とは、合流液が不安定になってゲル化時間が短くなる電気化学的中和点、すなわち、pH8.5付近、好ましくはpH7付近よりも酸性側の非アルカリ性領域を常に保持するような合流比率をいう。本発明においては、B液の水ガラス中に水酸化マグネシウムを混合しているので、ゲル化物のpH値がアルカリ側に移行することもあるが、A液とB液との合流時に酸性領域にあれば、塊状シリカ分を析出せずに均質な注入材を形成することが可能である。
本発明における酸性液(酸性反応剤)とは、無機酸(硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(ギ酸、酢酸等)のような酸、酸性塩(リン酸一カルシウム、リン酸一ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)等をいう。
また、本発明における水酸化マグネシウム(Mg(OH))は、水ガラスと多量に混合しても水ガラスをゲル化せしめず、A液と混合して初めて反応が活性化されるため、本発明に最適である。
さらに、本発明における水ガラスとしては、モル比(SiO/NaO):1.5〜5.0の液状水ガラス、無水水ガラス、和水ガラス、結晶水ガラス等を含めた任意のモル比の珪酸の金属塩と珪酸との混合物が用いられる。
なお、上記は一例を示したものであって、本発明がこれらの例によって制限されるものではないのはもちろんである。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実験1>
下記表1中に示すA液およびB液の組み合わせの配合をそれぞれ用いて、比較例1〜5および実施例1の注入材を作製し、配合直後の配合液のpHと、配合から2日後の上澄み液のpHを測定した。また、水酸化マグネシウムの沈殿の有無を評価した。その評価結果を、下記表2中に示す。なお、練り上がりシリカ濃度は約5%または6%であり、全量400mlであった。
(比較例1)
A液として、水ガラスに水酸化マグネシウムをあらかじめ混合しておいたものを用い、B液として、酸性水溶液を用いた。これらA液とB液とを混合して得られた酸性シリカゾル水溶液では、水酸化マグネシウムの沈殿が生じた。
(比較例2)
A液として、水ガラスを用い、B液として、酸性水溶液と水酸化マグネシウムとをあらかじめ混合しておいたものを用いた。これらA液とB液とを混合して得られた酸性シリカゾル水溶液では、水酸化マグネシウムの沈殿が生じた。
(比較例3)
A液として、水ガラスと酸性水溶液とをあらかじめ混合して得られた酸性シリカゾルを用い、B液として、水酸化マグネシウムを用いた。これらA液とB液とを混合して得られた酸性シリカゾル水溶液では、水酸化マグネシウムの沈殿が生じた。
(比較例4)
A液として、水ガラスと酸性水溶液とをあらかじめ混合して得られた酸性シリカゾルを用い、B液として、水ガラスと炭酸カルシウムとをあらかじめ混合して得られた混合液を用いた。これらA液とB液とを混合して得られた酸性シリカゾル水溶液では、気泡が発生し、懸濁状となった。
(比較例5)
A液として、水ガラスと酸性水溶液とをあらかじめ混合して得られた酸性シリカゾルを用い、B液として水ガラスを用いた。これらA液とB液とを混合して得られた酸性シリカゾル水溶液では、沈殿等の発生はなかった。
(実施例)
A液として、水ガラスと酸性水溶液とをあらかじめ混合して得られた酸性シリカゾルを用い、B液として、水ガラスと水酸化マグネシウムとあらかじめ混合して得られた混合液を用いた。これらA液とB液とを混合して得られた酸性シリカゾル水溶液では、水酸化マグネシウムは沈殿せず、浮遊した状態となり、液の性状は透明ないし懸濁状であり、気泡の発生はなかった。
Figure 0004753265
*1)水ガラス:3号水ガラス,比重1.41,シリカ濃度29%
*2)酸性水溶液:75%硫酸,比重1.674
*3)水酸化マグネシウム:比重2.4
*4)炭酸カルシウム:比重2.7
Figure 0004753265
*5)ゲルタイムが1日以上の配合は、いずれも1日以後にはゲル化した。
<実験2>
次に、本発明の注入材と比較例の注入材とのpHおよび固結強度の違いを確認するために、下記条件に従い、上記表1の比較例1−1,比較例2−1,比較例3−1,比較例4−1,実施例1−1の注入材を使用して、豊浦砂を用いた浸透法によりサンドゲル供試体を作製し(相対密度Dr=60%)、一軸圧縮強度を測定した。
(実験装置)
事前準備として、図1に示す装置を用いて、試料砂(豊浦砂)を長さ1000mm、内径約50mmのアクリルモールド10の上部より自由落下させて充填し(相対密度Dr=60%)、注入材の注入に先立って、脱気水で飽和させた。
次いで、A液およびB液をそれぞれタンク1,2に入れ、ポンプ3により、水槽4中に投入した。この時の投入量は流量計5によって管理した。混合槽4に投入された薬液は、攪拌機6によって攪拌され、コンプレッサー7によって押し出されて、アクリルモールド10内の試料砂中に浸透された。混合された薬液は、アクリルモールド10の下部より0.03MPaで定圧注入され、試料砂中を通過した薬液は、アクリルモールド10の長手方向に等間隔に4箇所配置された検出コック11〜14およびアクリルモールド10の上部より排出され、メスシリンダー(図示せず)に採取された。
最初にアクリルモールド10内で飽和した水が溢れ出した後、薬液が溢出した。アクリルモールド10内の間隙は約750cmである。間隙量に相当する溢出が終わった後の溢出液は、pHが中性から酸性に向かい徐々に低下した。
浸透中に、検出コック11〜14からそれぞれ薬液を採取し、採取した薬液のpH(20℃)を測定した。また、この薬液について採取から1日経過後に再度pHを測定し、pHの変化を、下記表3中に示す。
Figure 0004753265
さらに、浸透後に作製されたサンドゲル(浸透固結サンドゲル)供試体を、4週間静置した後に切断して、浸透距離25cmごとに、一軸圧縮強度と供試体のpHを測定して、浸透距離との関係を評価した。具体的には、上記薬液注入から4週間後にアクリルモールドを25cm間隔で切断して、アクリルモールド中の浸透固結体を削り取って試料50gを採取し、それぞれ蒸留水125g(質量比2.5)中に混合攪拌した。得られた水溶液について、2時間静置後にpHを測定した。その結果を、供試体の一軸圧縮強度の測定結果とともに、下記の表4および図2,3中に示す。
Figure 0004753265
上記の結果より、比較例1−1,3−1では、水酸化マグネシウムが注入液から分離して、注入口付近で目詰まりを起こし、地盤中で均質な浸透が不十分であった。そのため、注入口付近では中性値を示したが、注入口から離れるにつれ酸性を呈した。また、比較例2−1では、水酸化マグネシウムが酸によって中和してしまい、水酸化マグネシウムとして機能せず、注入液は低い酸性値を呈した。さらに、比較例4−1では、炭酸ガスが激しく発生し、気泡と沈殿物を生じたため、均質な浸透ができなかった。また、炭酸ガスによりポーラスな固結体が形成されたため、強度は低くなった。
すなわち、本発明の広範囲で均質な固結体を得る目的のためには、酸性値を呈するシリカゾルを用いることを必要とするが、炭酸カルシウムを用いた配合は、炭酸ガスの発生により、このような目的には適用できないことが判った。また、本発明では、注入液中で水酸化マグネシウムが分離することなくほぼ中性領域で広範囲にかつ均質に固結体が形成され、固結体の強度もほぼ均質となることが判った。また、炭酸ガスのようなガスは発生せず、均等な白濁シリカ溶液が保持された。
上記表中の結果からは、本発明の注入材は、それ自体が初期の段階で酸性から中性を示すものの、最終的な固結体においては、時間とともにpHが中性を示すことがわかる。これにより、本発明によれば、酸性シリカゾル中における難溶性アルカリ剤の分離の問題を解決できることが確かめられた。
1,2 タンク
3 ポンプ
4 混合槽
5 流量計
6 攪拌機
7 コンプレッサー
10 アクリルモールド
11〜14 検出コック

Claims (2)

  1. 酸性から中性を呈する地盤注入材であって、水ガラスと酸性液とを混合して得られる酸性シリカゾルをA液とし、水ガラスと水酸化マグネシウムとを混合して得られる混合液をB液として、A液とB液とが混合されてなる混合液のpHが8.5よりも酸性側の非アルカリ性領域を常に保持するような比率で混合されて、最終的な固結体においてはpHが時間とともに中性を示すことを特徴とする地盤注入材。
  2. 水ガラスと酸性液とを混合して得られる酸性シリカゾルをA液とし、水ガラスと水酸化マグネシウムとを混合して得られる混合液をB液として、A液とB液とを、混合液のpHが8.5よりも酸性側の非アルカリ性領域を常に保持するような比率で混合して得られ、かつ、初期の段階で酸性から中性を示すものの、最終的な固結体においてはpHが時間とともに中性を示す地盤注入材を、地盤中に注入することを特徴とする地盤注入工法。
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