JP6712828B1 - 地盤注入材および地盤注入工法 - Google Patents

地盤注入材および地盤注入工法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間所定の耐久性の持続を可能にし、かつ、地下水の酸性化を低減して、その結果、所定の強度を持続し得る耐久性と地下水のpHを水質規制の範囲内におさめることを要求される本設注入に適用できる地盤注入材および地盤注入工法を提供する。【解決手段】シリカ溶液を用いた地盤注入材であって、シリカ溶液が、シリカコロイド、または、シリカコロイドおよび水ガラスと、難溶性アルカリ剤と、を有効成分とすることを特徴とする地盤注入材である。これを用いた地盤注入工法である。【選択図】なし

Description

本発明は地盤注入材および地盤注入工法(以下、単に「注入材」および「注入工法」とも称する)に関し、詳しくは、軟弱地盤の強化や漏水地盤の止水、液状化防止工などの目的で使用される地盤注入材および地盤注入工法に関する。
本発明は本出願人による先願(特許文献1,2)を更に発展させて、従来の仮設注入目的から本設注入目的を可能にした注入材および注入工法に関する。
従来より、軟弱地盤等の地盤改良などに用いられるグラウトとして、水ガラスを主成分とする種々の溶液型グラウトが知られている。中でも、シリカゾルを酸性または中性領域でゲル化させる地盤注入工法においては、従来は、酸性液と水ガラスとを用い、酸性液に水ガラスを添加して、酸過剰の状態を保持するように両液を混合しながらpHが1〜3付近の強酸性珪酸水溶液を作製し、そのまま注入するか、或いは、さらに、この酸性珪酸水溶液に水ガラスまたはpH調整剤を加えてpHを中性方向に移行して注入を行うという、二工程の方法が採られていた。
これは、水ガラスのpHとゲル化時間との関係ではpHが1〜3付近でゲル化時間が最大値を示すため、水ガラスのゲル化時間の安定領域であるpH1〜3の強酸性珪酸水溶液を調製することが容易であるからである(図1)。この方法では、ゲル化時間が注入液としては長すぎて注入領域より逸脱しやすいという問題があったが、pH値3〜8の中間領域で所定のゲル化時間を調整することは、極めて困難であった。すなわち、この中間領域ではわずかなpHの変動によりゲル化時間が大きく変わることから、所定のpHに対応したゲル化時間を選定して注入を行うことが事実上不可能である。このため、水ガラスを硫酸で処理して得られる非アルカリ性珪酸水溶液(酸性シリカゾル)と、水酸化マグネシウムとを混合する技術が、本出願人により提案されている(特許文献1参照)。
また、特許文献2では、水酸化マグネシウムのあらかじめ含有された水ガラス水溶液と、酸性液とを混合して得られる非アルカリ性珪酸水溶液を、地盤注入用薬液として用いる地盤注入工法が、本出願人により提案されている。
特公平2−47514号公報 特許第4753265号公報
上記特許文献1記載の技術によれば、注入液そのものにおいてはpHが中性方向に移行するというメリットがあるが、地盤に注入した場合、難溶性アルカリ剤である水酸化マグネシウムが、酸性シリカゾル中、あるいは地盤中で、分離するおそれがあるという問題があった。このため、水酸化マグネシウムが土粒子表面に目詰まりして中和作用が注入管の吐出口の付近だけで起こり、広範囲に中和作用が発現せず、水酸化マグネシウムを除いた酸性シリカゾルのみ長いゲル化時間のまま地盤中に広がり、所定の注入領域から逸脱したり、或いは、浸透液の先端部は水で希釈されてゲル化が不完全になって、注入圧による密実な注入ができず強度が低下したり、地下水が酸性になりやすいという問題があった。更に、そのゲル化物は長期にわたって収縮するため、長期的に固結砂の強度が低下する傾向があった。
特許文献2記載の技術は、水ガラスと水酸化マグネシウムと酸とを有効成分とする酸性シリカ溶液とそれを用いた地盤注入工法であって、酸性シリカ溶液中で水酸化マグネシウムが沈殿しやすい問題を解決するために、水酸化マグネシウムをあらかじめ粘性のある水ガラスとの混合液としておけば水酸化マグネシウムは浮遊しやすいため、これを、酸性液と混合して酸性シリカゾルを形成することで、酸性シリカゾル中で水酸化マグネシウムが沈殿しにくい状態で中和反応が進行するという点に着目したものである。
しかるにこの手段では、ゲル化時間が短い場合は水酸化マグネシウムが沈殿しにくいが、ゲル化時間が長い場合は分離沈殿しやすいという問題が残った。また、水ガラスと水酸化マグネシウムは放置しておくと互いに反応して反応物が沈降するため、それを酸と混合して得られた酸性シリカゾル液には、地盤中でその反応物が目詰まりする問題があった。さらに、水ガラスと酸とを用いた酸性シリカゾル注入液は、水ガラスグラウトの劣化要因であるアルカリを酸で除去しているため、仮設注入としての耐久性は優れているが、ゲル化後のゲルの収縮が過大となるため、そのゲルで固結した固結地盤は長期的には強度低下の傾向を生じ、所定の固結強度を永続させることを要求される液状化対策工等(図13)の本設注入に適用するのは難しいという問題があった。
上記の水酸化マグネシウムの特徴は、水酸化マグネシウムが難溶性であり、そのため難溶性アルカリ剤として酸との中和反応が緩やかに行われるという点にある。難溶性アルカリ剤としては、Mg、Ca、Al、Feの水酸化物、酸化物、炭酸塩を挙げることができる。このうち酸化マグネシウムは水溶液が水酸化マグネシウムとなるため水酸化マグネシウムと同等とみなしてよい。カルシウム化合物の場合、水酸化物や酸化物はMg系に比べてアルカリが強いので、酸との中和反応が速いが炭酸塩や硫酸塩は緩やかになる傾向がある。このうち炭酸塩(特公平03−54154号公報)は、酸と反応して炭酸ガスを発生して固結砂がポーラスになりやすいという特徴がある。このため、マグネシウム化合物の水酸化物や酸化物が一番優れている。また、アルミニウム塩としては水酸化アルミニウム、鉄塩としては水酸化鉄を挙げることができる。水ガラスや苛性ソーダ、水溶性アルカリ金属塩は反応性が速く、浸透に十分な長いゲル化時間の範囲内でのゲル化時間の調整が難しい。いずれにせよ上記難溶性アルカリ剤は酸性溶液中に溶解するのに時間がかかるため、難溶性アルカリ剤として作用する。
また、上記酸性シリカゾルに難溶性アルカリ剤を加えても、ゲルの収縮が大きいために、固結土の長期強度の耐久性は、酸性シリカゾルと同様に低下する傾向がある(図2)。
そこで、本出願人は、上記Mgの水酸化物、酸化物、炭酸塩等の難溶性アルカリ剤として水酸化マグネシウムを例として説明する。上述の他の難溶性アルカリ剤も同様である。本発明は、本発明者による特許文献1,2の上記先願発明をさらに発展させて、水酸化マグネシウムがコロイドを含有する溶液中では均質に浮遊分散しやすいことを見出し、難溶性アルカリ剤である水酸化マグネシウムがシリカコロイド溶液中で浮遊しながら分散して酸性シリカ溶液中の過剰の酸を緩やかに中和してpHをゆるやかに中性方向に移行させてゲル化を進行させることによって、注入初期には長いゲル化時間で広範囲に浸透し、中和が進行した時点でゲル化が生じ、土粒子間隙に密実に浸透ゲル化後、コロイドを含有することによる収縮の少ないゲルで固結地盤を形成して長期間所定の耐久性の持続を可能にし、かつ、地下水の酸性化を低減して、その結果、所定の強度を持続し得る耐久性と地下水のpHを水質規制の範囲内におさめることを要求される本設注入に適用できる地盤注入材および地盤注入工法を実現したものである。酸性シリカ溶液は、長いゲル化時間の注入液を注入しても、地盤中に浸透している間にゲル化時間が短縮してゲル化するという特徴がある(図1、図3、図4)。しかし。その注入液の中性方向への移行は地盤条件に依存し、人為的にコントロールができない。地盤の土性や空隙状況によっては、ゲル化が短縮せずに逸脱しやすくなるという問題があった。それに対して、本発明は、人為的に注入液の中性方向への移行をコントロールして、所定の領域にpHが中性領域でかつ密実に固結せしめることを可能にしたものである。また、逸脱しやすい地盤条件や施工条件においてゲル化時間を短縮し、かつ、注入液または注入液が浸透した地盤の地下水が水質基準における中性領域を満たすことによって、用水中へ流入しても環境上の問題を生じないようにしたものである。
以上の課題は、以下の本発明により解決される。
本発明は、シリカ溶液を用いた地盤注入材であって、該シリカ溶液が、シリカコロイドと、水ガラスと、水酸化マグネシウムと、酸性剤と、を有効成分とする酸性シリカ溶液であり、該シリカ溶液が、以下の2),3)の条件を満足することを特徴とする地盤注入材である(請求項1)。
2)前記シリカ溶液中の全シリカ量が1〜50質量%であって、前記シリカコロイドに起因するシリカ量が該全シリカ量の1〜100質量%である。
3)前記水酸化マグネシウムの配合量が、以下のi)〜ii)のうちのいずれかの条件を満足する。
i)前記シリカ溶液100ml当たり0.025〜10g。
ii)α=水酸化マグネシウム(g)/硫酸純分(g)=0.011〜0.306。
前記水酸化マグネシウムが、前記シリカコロイドを含む溶液中に含まれる請求項1記載の地盤注入材である(請求項2)。
前記水酸化マグネシウムと前記シリカコロイドとからなる混合液が、他の成分と混合されてなる請求項2記載の地盤注入材である(請求項3)。
前記シリカ溶液のpHが1〜3の酸性値であって、地盤に注入中にゲル化に到るまでにpHが上昇してpH2〜10の範囲に移行する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の地盤注入材である(請求項4)。
前記水酸化マグネシウムの添加量が、前記シリカ溶液またはゲルの過剰の酸を中和する量である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の地盤注入材(但し、ここで過剰の酸とはpH7または水質基準のpHの範囲を基準とする)である(請求項5)。
前記水酸化マグネシウムの添加量が、前記シリカ溶液の過剰の酸を中和するか該シリカ溶液またはゲルのpHが水質基準の6.0〜8.5の範囲内になる量である請求項1〜5のうちいずれか一項記載の地盤注入材である(請求項6)。
前記水酸化マグネシウムの添加量が、注入地盤による酸の中和を加味して注入液の過剰の酸を中和するか注入液またはゲルのpHが水質基準の6.0〜8.5の範囲内になる量である請求項1〜6のうちいずれか一項記載の地盤注入材である(請求項7)。
前記水酸化マグネシウムの添加量が、注入地盤の観測井における地下水のpH値が6.0〜8.5の範囲内になる量である請求項1〜7のうちいずれか一項記載の地盤注入材である(請求項8)。
さらに、ゲル化時間を調整するためのpH緩衝材を含む請求項1〜8のうちいずれか一項記載の地盤注入材である(請求項9)。
地盤に対し、二次注入の注入液よりゲル化時間の短い注入液または懸濁型の注入液を一次注入した後、請求項1〜9のうちいずれか一項記載の地盤注入材を二次注入することを特徴とする地盤注入工法である(請求項10)。
請求項1〜9のうちいずれか一項記載の地盤注入材の注入にあたって、1ステージ当たりの所定の注入対象土量に対応する注入量を注入するための時間をH、土中ゲル化時間をGTとしたとき、H≧GTを満足することにより、地盤中でゲル化を進行させながら注入範囲を拡大することを特徴とする地盤注入工法である(請求項11)。
請求項1〜9のうちいずれか一項記載の地盤注入材を用いて、注入孔間隔1.0〜3.0mで注入を行うことを特徴とする地盤注入工法である(請求項12)。
前記シリカ溶液に対する前記水酸化マグネシウムの添加を、地盤への注入直前か、所定の混合時間を経過した時点か、または、地盤に対する注入の過程中に行うことによりゲル化時間を調整する請求項12記載の地盤注入工法である(請求項13)。
前記地盤注入液を液状化対策工に用いる請求項10〜13のうちいずれか一項記載の地盤注入工法である(請求項14)。
前記地盤注入液の注入において、点注入、柱状注入、二重管複合注入工法、二重管ダブルパッカ工法および多点注入のうちのいずれかの工法を用いる請求項10〜14のうちいずれか一項記載の地盤注入工法である(請求項15)。
本発明によれば、長期間所定の耐久性の持続を可能にし、かつ、地下水の酸性化を低減して、その結果、所定の強度を持続し得る耐久性と地下水のpHを水質規制の範囲内におさめることを要求される本設注入にも適用できる地盤注入材および地盤注入工法を提供することができた。
非アルカリ性シリカグラウトのゲル化特性の例を示すグラフである。 シリカ溶液のゲルタイムの試験例を示すグラフである。 シリカ濃度と固結豊浦砂の強度の関係を示すグラフである。 (a)各種シリカグラウトの室内試験結果と強度発現と強度低下のメカニズムを示すグラフである(各種シリカグラウトのシリカの溶脱)。(b)各種シリカグラウトの室内試験結果と強度発現と強度低下のメカニズムを示すグラフである(各種シリカグラウトの固結砂の一軸圧縮強度)。(c)各種シリカグラウトの室内試験結果と強度発現と強度低下のメカニズムを示すグラフである(各種シリカグラウトのシリカゲルの体積収縮)。 複合シリカグラウトpHと気中ゲルタイムと土中ゲルタイムを示すグラフである。 異なる注入地盤に注入した複合シリカグラウトの土中ゲルタイム・種々の注入地盤のpHと複合シリカグラウトのゲルタイムを示すグラフである。 異なる注入地盤に注入した複合シリカグラウトの土中ゲルタイム・地盤中のCa含有量が複合シリカグラウトの土中ゲルタイムに及ぼす影響を示すグラフである。 表2(実施例5〜8)に対応するグラフである。 酸性複合シリカの配合液(シリカ濃度:6%)のpHとゲルタイムの関係とシリカ配合液pHが2.4の場合の過剰酸に対応するpH領域を示すグラフである。 酸性複合シリカの配合液の酸の量とpHの関係を示すグラフである。 表4(シリカ濃度10%)に対応するグラフである。 表5(シリカ濃度10%)に対応するグラフである。 表6(シリカ濃度6%)に対応するグラフである。 表7(シリカ濃度8%)に対応するグラフである。 実験8で使用した装置を示す模式図である。 実験8における供試体の一軸圧縮強度の測定結果を示すグラフである。 液状化の可能性のある土の粒径分布を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
上述したように、
(1)水ガラスと水酸化マグネシウム(または酸化マグネシウム、または炭酸マグネシウム)を用いた酸性シリカゾルグラウトは、
i)難溶性アルカリ剤が、シリカゾル溶液中で沈殿分離しやすい。
ii)ゲルの収縮が大きいので、固結地盤の所定の強度の持続性が難しい。
このため、注入地盤で水酸化マグネシウムが沈殿しやすく、注入範囲に広く浸透しきれない点と、ゲルの収縮が大きく固結砂の長期耐久性が得られない点が問題であった。
(2)水ガラスとコロイドと酸とからなる酸性複合シリカは、ゲルの収縮が少なく長期耐久性に優れている。このため、液状化対策工のように、長いゲル化時間で広範囲浸透固結させ、長期にわたって所定の強度以上を維持する固結体を形成するのに適している。しかし、長いゲル化時間の酸性複合シリカは、地盤中で中性方向に移行するが地盤が豊浦砂のように反応性の少ない地盤や酸性土の場合、ゲル化時間が短縮せず逸脱しやすい。また、中性方向に移行する程度は地盤任せで、人為的にコントロールできない(図3、図4)。このため、長いゲル化時間の注入液がそのまま用水中に流入した場合、水質基準(pHが6.5〜8.5または6.0〜8.5)に適合させるのが難しい。また、酸性シリカ溶液は、注入液自体では酸性剤のわずかな違いで直ちにpHが変化してゲル化時間が大幅に変わるので、ゲル化時間の調整が難しい(図1)。このため、地盤条件に関わらず注入液それ自体で緩やかに中性方向に移行することによって、逸脱しやすい地盤においても、或いは用水に近い施工においても、pHまたはゲル化時間を所定の値にコントロールすることにより逸脱を防ぎ、地盤に注入液を密実に充填するのが望ましい。したがって、地盤条件や土質条件のいかんに関わらず、地下水のpHが水質基準の範囲内におさまるようにpHを中性方向に移行し、ゲル化時間を緩やかに調整して、広範囲を逸脱することなく、所定の領域を確実に固結できることが望ましい。
本発明は、上記課題を解決するために、水ガラスとコロイドとを有効成分とするシリカ溶液においてアルカリ中和剤として酸性剤を使用して、シリカ溶液のゲル化時間の安定領域であるpH1〜3の領域の酸性シリカ溶液を得て(図1)、その過剰の酸の中和剤として難溶性アルカリ剤を用いることにより、アルカリ剤の分離、沈殿を防止しつつ、地盤に注入中に注入液のpHが中性方向に上昇することによりpH2〜10の範囲に移行して、地盤中への均質な注入を可能とし、過剰の酸の残存を減らして水質保全、耐久性および注入範囲外への逸脱防止を可能にした注入材および注入工法を提供するものである。また、所定領域内でゲル化させて、注入圧により地盤の土粒子間におけるゲルを加圧脱水させてゲルの収縮を低減し、固結地盤の強度増加および耐久性の向上を図ることを可能にしたものである。
また、高強度を得るためにはシリカ濃度を濃くしてそれに対応して酸の量を増量しなくてはならないが、本発明では、その酸の量を緩やかに中和することによって、地下水の酸性化を防ぐことができるため、シリカ濃度を高くすることによる高強度地盤改良と水質保全の面からも優れた特性を有するものである。
(実験1)
図1に、本出願人の研究によるシリカ溶液のpHとゲルタイムと豊浦砂の固結強度の試験例を示す。
図2に、本出願人によるシリカコロイド系、複合シリカ系、シリカゾル系、有機水ガラス系のシリカグラウトのゲルからのシリカの溶出、ゲルの収縮、サンドゲルの長期強度の変化に関する研究例を示す。この図より、酸性シリカ溶液を用いた地盤注入に関して、以下の特性が判った。
(1)水ガラスと酸とを混合して水ガラスのアルカリを除去した酸性シリカゾル溶液は収縮が大きく、固結砂は強度低下が生じやすい。その課題を、本出願人は、水ガラスとコロイドと酸とを混合して得られる非アルカリ性複合シリカ溶液(コロイドとゾルとからなる酸性複合シリカ)を用いることによって解決した。
(2)ゲルの収縮は長期耐久性に影響し、過大なゲルの収縮は長期的な強度の低下をもたらす。
(3)コロイドのゲルの収縮はきわめて少ない。また、強度の低下は認められない。
コロイドとゾルとを含有する複合シリカのゲルの収縮はきわめて少ない。また、強度の低下は認められない。ここで、複合シリカ溶液とは、水ガラスをイオン交換法で脱アルカリして増粒(粒径:0.5〜100nm)したシリカと、水ガラスのアルカリを酸で中和した酸性シリカゾル(シリカ粒子(粒径:1nm程度))との混合液をいう。なお、混合液の粒径は1〜100nmの範囲にあると考えられる。
(4)コロイドを含有しないシリカゾル液はゲルの収縮は大きく、固結砂の長期強度は低下する傾向がある。
(5)水ガラスとコロイドと酸性剤とからなる酸性複合シリカグラウトは、シリカの溶脱は無視できるほど小さく、ゲルの収縮が少なく、その固結土は所定の強度の長期持続性に優れており、液状化対策工等の本設注入に多く用いられている(図2(b),(c))。
(実験2)
本出願人の研究による図3、図4より、以下のことが判った。
酸性複合シリカ溶液の土中ゲルタイムは、注入地盤によって大きく変わる。そして、pHが1〜3付近のゲル化時間の安定したシリカ溶液(シリカ濃度が4〜20%、ゲル化時間が40〜8000分,図1参照)は、注入地盤によっては、土中ゲル化時間が十分短縮する場合もあるが、ゲル化時間が短縮するにしても長いままの場合があることが判る(図3、図4(a),(b))。この場合、注入液は注入範囲外へ逸脱しやすいことになる。本発明は、このような問題に対して、必要な浸透性を確保しながらゲル化時間を調整することを可能にしたものである。また、施工条件および水質保全の点からのpHの水質基準を満たす注入を可能にしたものである。
この複合シリカグラウトを地盤中に注入した場合、注入液のpHが土のpHよりも低いため、地盤中に浸透している間にpHが上昇してゲル化が短縮し、所定の注入領域で確実に固結するという傾向をもつ。しかるに土のpHは地盤ごとに異なるため、ゲル化時間の短縮の程度は不明確である(図4(a))。また、地盤が不均質地盤の場合や豊浦砂のように反応性の少ない真砂や酸性土等である場合、空隙の大きい地盤の場合、或いは逸脱しやすい地盤条件や施工条件の注入の場合、所定領域外へ注入液が逸脱する恐れがある。また、用水に近い場合、用水中に直接流入する恐れがある。このため、注入領域外への逸脱を防ぎ、所定領域に注入材を密実に充填するためには、ゲル化時間やpHの調整が必要となる。
酸性シリカ溶液は、水ガラスの中和剤が硫酸のように強酸を含む場合、わずかの酸の違いでpHとゲル化時間が大幅に変動する(図1(a),(b)、図7)。このため、注入液のゲル化時間が安定しているpH1〜3付近で注入する場合が多い。この場合のゲル化時間は数十時間になるが(図1)、注入にあたっては、注入液自体でゲル化時間の調整が困難となる。このため、地盤条件や施工条件、注入目的に応じて、注入材自体でゲル化時間やpHの調整が可能になることが望ましい。また、薬液注入工法は、注入孔間隔は0.7〜1.0mであるが、特に、液状化防止等(図13)の本設注入工では注入孔間隔を1.0〜3.0mと広範囲にとるため長いゲル化時間を用いるが、この場合、注入液が所定領域外、或いは地表面や用水に逸脱しやすい。このため、地盤条件や土のpHや施工条件にかかわらず、所定の広範囲を逸脱することなく、密実に固結できることが望ましい。
図13は、液状化の可能性のある土の粒径分布を示す。液状化は粒径の細かい土質のみならず粒径の大きい土質を含めて広範囲な土質条件下で起こり、しかも液状化対策工では経済性を考慮して大きな注入孔間隔で広範囲の改良効果が永続することが要求される。このため、注入液のゲル化時間を長くとることができ、しかも所定範囲から注入液が逸脱して地下水の水質が規準を超えることがない浸透並びにゲル化の挙動を示す注入材および注入工法が要求される。
図3は、シリカ溶液のゲル化時間(気中ゲルタイムGT、すなわち、配合液のゲルタイム)とpHとの関係を●で示す。○は、豊浦砂とシリカ溶液の混合液のpHとゲル化時間(土中ゲルタイム)との関係を示す。豊浦砂は反応性の少ない砂であるため、シリカ液と豊浦砂との混合液のゲルタイムは、気中ゲルタイムとほとんど変わらないことが判る。すなわち、土中ゲルタイムは、豊浦砂のような砂ではほとんど変わらないが、他の現場土(A、B、C、D)の気中ゲルタイムと土中ゲルタイムの関係は現場ごとに異なり、地盤によって土中ゲルタイムの短縮の程度は大きく異なることが判る。従って、酸性シリカ溶液の土中ゲル化時間と地盤中に浸透したシリカ溶液のpHを人為的に調整することは難しいことが判る。
以上の課題を解決するための本発明の技術思想は以下の通りである。
1.シリカグラウトの耐久性の付与のためには、水ガラスの劣化要因であるアルカリを酸で中和除去しなくてはならない。
2.不均質なシリカゲルを析出することなく長いゲル化時間のシリカグラウトを得るには、酸性液に水ガラスを加えることによって、酸性シリカゾルを作らなくてはならない。
3.所定の強度を長期間持続する固結地盤を得るには、コロイド粒子とシリカゾルとからなる酸性複合シリカ溶液が優れている。
4.ゲル化時間が安定した酸性シリカ溶液は、pHが1〜3付近である。
5.pHが1〜3付近の酸性シリカ溶液はゲル化時間が過大であるため、注入対象領域や地表面に逸脱しやすい。また、pHが1〜3のシリカ溶液は過剰の酸を含むため、注入範囲外へ逸脱すると水質保全の点から好ましくない。
6.しかし、注入にあたってゲル化時間を短縮するためには、pHが2〜8の中間領域でのゲル化時間で注入するのが望ましい。しかし、この領域では、わずかなpHの変化でゲル化時間が大幅に変動するので、実質的に不可能である。
7.酸性シリカ溶液は、それより中性側の地盤中に注入すると注入液の酸が地盤中で中和消費されてpHが中性側に移行し、ゲル化時間が短縮する傾向がある。しかし、そのような現象は地盤の状況や土性によって異なるため、人為的に調整できない。
8.このような課題を解決するために、
1)安定した酸性シリカ溶液に難溶性アルカリ剤を加えて地盤に注入することによって、アルカリ剤の酸との中和反応が不十分な初期の段階では長いゲル化時間を保持して広範囲に浸透し、その間、中和反応が進み、注入液のpHが中性方向に近づくにつれ、ゲル化に至り、ゲル化後もゲルの内部で中和反応が完了して、ほぼ中性付近の固結体が形成される。
2)水ガラスと酸性液とからなる酸性シリカ溶液に難溶性の難溶性アルカリ剤を加える技術は、すでに本出願人によって提示され、公知である(引用文献1)。難溶性アルカリ剤は、マグネシウムやカルシウムの水酸化物、酸化物、炭酸塩等、難溶性アルカリ剤である。その他、例としてはCaSO、BaSO、CaCO、MgSO、Fe(OH)、Al(OH)等の難溶性塩が挙げられ、水に難溶性であれば酸性シリカ溶液中でpHが徐々に中性方向に移行し、効果が上げられる。これらは難溶性であるため、酸性シリカ溶液中で直ちに酸の全量を中和することなく、時間の経過と共に中和する。
しかし、これらは難溶性であるため、水ガラスと酸とからなる酸性シリカ溶液中で沈殿を生じやすい。このため、注入孔付近の土粒子間に目詰まりを生じ、酸性シリカ溶液と共に広範囲に浸透するのが困難である(実験3)。
3)以上の問題を解決するために、本出願人は、水酸化マグネシウムと水ガラスの混合液と酸性液とを混合した非アルカリ性シリカグラウトを発明している(引用文献2)。
この発明は、水酸化マグネシウムを粘性のある水ガラスと予め混合することにより、水酸化マグネシウムが浮遊しやすいことに着目したものである。
しかし、この発明は水酸化マグネシウムを水に混合して酸性シリカ溶液に加えるよりもシリカ溶液中で沈殿しにくい利点はあったが、水ガラスと水酸化マグネシウムとは、水ガラスのシリカと多価金属が反応するため、シリカの固形分が生じやすい傾向があることが判った(実験3)。
4)本発明者らが以上の課題を解決するために検討した結果、コロイド液に上記難溶性アルカリ剤を混合した結果、沈殿しにくいことが判った(実験3)。その理由は不明確であるが、コロイドの粘性が水ガラスに比べて高いことや、水ガラスのシリカ分子が粒径0.1nm、シリカゾルの分子が粒径1nmであるのに比べて、コロイドのシリカ分子は粒径5〜100nm、一般に10〜20nmであることから、シリカゾルに比べて比表面積が小さく反応性が低いこと等や、コロイドが構造的に粉体の沈殿を阻害しやすいため、コロイド溶液中で難溶性アルカリ剤が浮遊分散して地盤中に注入され、その間、酸性シリカ溶液中で溶解して緩やかにアルカリ剤と酸との中和反応が進行するためと思われる。
以上の結果に基づき、シリカコロイドとシリカゾルと酸とを有効成分とする酸性複合シリカと難溶性アルカリ剤を用いて、注入初期には十分浸透性を保ちながら注入中に過剰の酸を中和して、或いは更に地盤中で過剰の酸が消費されてpHが中性方向に移行し、注入液が逸脱しても或いは固結土のpHが水質基準の範囲内におさまるように難溶性アルカリ剤の添加量の範囲を設定することができる(実験4)。
(実験3)
注入液の均質性、水酸化マグネシウムの分散、沈降状況の試験を行った。
本発明における水ガラス、シリカコロイド、水酸化マグネシウムおよび酸性剤を有効成分とする酸性シリカ溶液を実施例1、水ガラス、シリカコロイドおよび酸性剤を有効成分とする酸性シリカ溶液を比較例1、水ガラス、水酸化マグネシウムおよび酸性剤を有効成分とする酸性シリカ溶液を比較例2、水ガラスおよび酸性剤を有効成分とする酸性シリカ溶液を比較例3、シリカコロイドおよび水酸化マグネシウムの混合液であるシリカ溶液を参考例1、水ガラスおよび水酸化マグネシウムを有効成分とするシリカ溶液を比較例4、水ガラス、シリカコロイドおよび水酸化マグネシウムを有効成分とするシリカ溶液を参考例2とする。
以上のシリカ溶液について、水酸化マグネシウムの沈殿の有無について試験した。その結果を、表1に示す。
実施例1および参考例1では、水酸化マグネシウムはシリカ溶液中で浮遊した安定した溶液を形成した。また、実施例1は、均質なゲルを形成した。
それに対して、コロイドを含まない比較例2では、水酸化マグネシウムは沈降しやすいことが判った。これは、シリカコロイドを含む酸性シリカ溶液は、シリカコロイドを含まない酸性シリカ溶液よりも水酸化マグネシウムを浮遊しやすいためと思われる。すなわち、シリカ溶液中のシリカコロイドの粒径が水ガラスに起因するシリカゾルの粒径よりも大きいため、粘性が大きいか或いは比表面積が小さく反応性が低く、また、構造的に水酸化マグネシウムの粒子の沈降を阻害しながら酸性シリカ中の酸が水酸化マグネシウムのアルカリを中和していく際の電気化学的作用によるものと思われる。
参考例1と比較例4とを比較した場合、参考例1は水酸化マグネシウムが均質に浮遊分散して安定したシリカ液を形成した。それに対して、比較例4は、静止していると底部に固い塊状の沈澱物が沈降した。
(実験4)
使用材料として以下を用いた。
(1)コロイダルシリカ
水ガラスJIS 3号品(旭電化工業(株)製品、SiO:29.0%、NaO:9.0%)を水で希釈し、SiO:5.8%、NaO:1.8%の希釈品を得、これを水素型陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製品、アンバーライトIR−120B)塔に通液して脱アルカリして得られた、SiO:5.8%、pH3.0の活性珪酸をアルカリ水中に投入して、SiO濃度4%、pH9とした後、90℃まで加熱し、2時間攪拌してコロイダルシリカ母液を得た。この母液を濃縮して得られたSiOの含量が30.1%、pHがほぼ10であるコロイダルシリカを使用した。粒径は10〜20nmであった。
(2)水ガラス
5号水ガラスは比重(20℃):1.32、SiO:25.5%、NaO:7.03%、モル比:3.75のものを使用した。
(3)酸:75%硫酸
(4)添加剤A:市販の水酸化マグネシウム
配合液の配合濃度、pH、ゲル化時間、1日後のゲルのpHの試験例を表2に示す。
実施例2は、添加剤Aとして水酸化マグネシウムを入れたことにより、中性領域になり、ゲルタイムは数分で固まった。
実施例3、4は、水酸化マグネシウムの添加量の違いによりpHとGTが変わり、多ければpHが高くなりゲルタイムが短くなった。
図5は、比較例5の配合に水酸化マグネシウムを加えた実施例5、6、7、8とゲル化時間とpHのグラフを示す。
○は、水酸化マグネシウムの量とシリカ溶液のゲル化時間の関係を示す。
●は、比較例5のゲル化時間を示す(pH=2.4)。
△は、配合直後のシリカ溶液のpHと水酸化マグネシウムの量の関係を示す。
▲は、ゲル化後のゲルのpHと水酸化マグネシウムの量の関係を示す。
図1は、シリカグラウトのpHとゲル化時間の関係を示す。
図6(a)は、pHとゲル化時間の関係、図6(b)はpHと酸(硫酸)の関係を示す。ここで、図6(b)は、表3に示す配合に対応する。
図1および図6より、pHのわずかな違いでゲル化時間が大幅に変動することが判る。
また、酸性シリカグラウトは、酸の量によるpHの調整でゲル化時間の調整はほとんど不可能であることも判る。
それに対して、本発明は、図5より、水酸化マグネシウムの量を変えて、緩やかにシリカ溶液のpHを中性方向に移行させ、それに対応してゲル化時間を調整できることが判った。
すなわち、図5では、ゲル化時間を2880分から2分まで調整できることが判る。しかも注入後、ゲルはそれ自体で中性方向に移行するので、水質保全に優れている。それに対して、水酸化マグネシウムを含まない場合は、図3、図4に示すようにゲル化時間が短縮するものの、地盤が粗い場合や酸性領域にある場合、或いは豊浦砂のように反応性の少ない砂質土の場合は、ゲル化の短縮が困難か或いはどの程度か不明確で地盤によっては大きくばらつき予測がつかないため、酸性の注入液は注入範囲外へ逸脱しやすくなる。これに対して、本発明は地盤のいかんに関わらず注入液自体でシリカ溶液のpHとゲル化時間を人為的にコントロールして、所定領域に密実に充填することができる。本発明は、このように前記課題を解決したものである。
実施例5、6、7、8のすべてが、水酸化マグネシウムの添加量においてpHが比較例5よりも中性方向に寄っている。さらに、実施例5、6、7、8のすべてが、ゲル化後のゲルのpHが注入液配合直後のpHよりも上昇していた。
実施例9、10は、シリカ濃度を高濃度にし、水酸化マグネシウムは同量を用い、酸の添加量を変えpHを緩やかに変動可能なことを確認した。
実施例11、12は、シリカ濃度を高濃度にし、水酸化マグネシウムの添加量を変えてpHとゲルタイムを確認した。水酸化マグネシウムが多ければpHが高くなり、ゲルタイムが短くなることを確認した。従って、高強度地盤改良、或いは巨大地震の液状化対策等で地盤の強度を高くするには、シリカ濃度を高くすればよい(図1(c))。しかし、高強度を得るためには水ガラスの濃度を濃くして、かつ、長いゲル化時間による浸透性を確保するには酸の量を増加する必要があり、強酸性シリカ溶液になり、従って水質の問題を生ずる。本発明は難溶性アルカリ剤を用いることにより、注入初期に十分な浸透性を確保しながら、最終的に注入液または固結土のpHを水質基準の中性領域に保持することができる。
(実験5)
実験4における添加剤Aの代わりに、添加剤B:炭酸マグネシウムを用いた例を、図7および表4に示す。水酸化マグネシウムと類似の特性を示す。但し、配合にあたって炭酸ガスを発生する。
(実験6)
本発明者らは更に研究を進めた結果、必要とするシリカ濃度とゲル化時間と地盤条件に関わらず、それ自体で水質基準を満たす難溶性アルカリ剤を添加した複合シリカグラウトを可能にした。
以下、実験4、図3、図4、図5、図6を参照する。
酸性シリカ溶液をそれよりも中性側のpH値の地盤中に注入する場合、酸性シリカ液の作液にあたっての酸の含有量をX、水ガラスのアルカリを中和する酸の量をX、酸性シリカ溶液(pH1〜3)中の過剰の酸の量をX=X−X、地盤中に浸透する間に土によって中和(消費)される酸の含有量をX、地盤中に残存する過剰の酸の量をX=X−Xとする。
シリカ溶液中の過剰の酸の量Xを中和(pH7または水質基準のpHの範囲を基準とする)するのに相当する難溶性アルカリ剤の量をYとすると、難溶性アルカリ剤の添加量をYとすれば、中性の固結体が形成される。または、地盤によって消費される酸の量を考慮して、地盤中の残存酸Xを中和するのに相当する難溶性アルカリ剤の量をYとすれば、難溶性アルカリ剤の添加量をYとすれば、中性の固結体が形成される。
しかし、実際には、水質基準における水素イオン濃度(pH)は、類型AA、A、B、Cで6.5〜8.5、D、Eで6.0〜8.5であることから、水質保全上、注入による注入地盤の観測井における地下水のpH値は6.0〜8.5を維持すれば良いと考える。しかし、地盤中のpHは土性によって異なるため(図4(a))、Xを明白に知ることはできないことから、難溶性アルカリ剤の添加量YをXに対する比率(γ=Y/X)で考え、その比率が水質基準の範囲内に収まる量を設定すれば、用水中に直接注入液が流入しても問題を生じない。一方、現地盤土とシリカ溶液の反応によるpH変化から土の酸の消費量を考慮すれば、γ=Y/Xの比率が水質基準の範囲内に収まる量を設定すればよいと考えることができる。
図5において、注入液(pH2.4、SiO濃度6%)のpH値が水質基準の6.5〜8.5であるためには、添加剤Aは0.7〜0.9g/400mlであればよい。
ゲル化後のゲル化物のpHが6.5〜8.5であるためには、添加剤Aは0.5〜0.75g/400mlであればよい。
前者の場合は、注入液がそのまま用水中に流入しても水質基準を満足し、後者の場合は、地盤中のゲル化物の酸成分を含む地下水が水質基準を満たすことになる。
しかるに実際は、酸性シリカ注入液は、地盤に注入中に土によって酸分が消費されて中性方向に移行する。
一方、地盤が酸性地盤の場合、或いは反応性の少ない砂層の場合は、注入液のpHは地盤中で変動しにくく、注入液のゲル化時間はそのままで短縮しないことが生ずる。この場合は、難溶性アルカリ剤の量を増やすことによって、ゲル化時間を短縮することができる。
以下に、図4(a)の貝殻混じり砂の場合を例にとる。図6(a)は、シリカ濃度:SiO濃度6%におけるpHとゲルタイム(20℃)の関係である。図6(b)は、シリカ濃度:SiO濃度6%における硫酸量とpHの関係を示す。図3より、シリカ濃度6%、pH2.4、ゲルタイム2880分のシリカ溶液を用いてpH6.7の貝殻混じり砂の地盤に注入する(図4(a))。この注入液は、図6(b)より、pH7を中性とすると過剰酸はX=7.4−7.0=0.4ml/400mlである。この場合の注入液の土中ゲルタイムは、図4(a)より30分だったことから、図6(a)より、土中におけるシリカ溶液のゲル化時間30分のpHは5とみなせる。図6(b)より、pH5のシリカ溶液中の酸の量は7.1ml/400mlに相当する。従って、図6(b)より、pH2.4、ゲルタイム2880分で酸の量は7.4ml/400mlのシリカ溶液を地盤に注入中においてpHが5、酸の量が7.1mlになったのであるから、X=過剰酸7.4−7.0=0.4ml/400mlのうち、X=7.4−7.1=0.3ml/400mlが土中で消費されたことになる。従って、地盤中の残存酸の量は、X=7.1−7.0=0.1ml/400mlである。0.1ml/400mlの酸は、図5より、pH5からpH7に要する水酸化マグネシウムの添加量はY=0.75−0.48=0.27g/400mlがあれば、中和されてpHが7になることがわかる。すなわち、このようなシリカ注入液と地盤条件では、水酸化マグネシウムの添加量は、0.27g/400ml加えればpHが7になる。また、この場合、用水中に直接流入する条件下でも、注入液のpHが6.0〜8.5の範囲内になることが判る。この場合、注入液のpHが水質基準の6.5〜8.5の範囲になるためには、水酸化マグネシウムの添加量は図5より、0.7〜0.9g/400mlにすればよいことが判る。用水に流入する恐れがないが用水に近い場合は、ゲル化物のpHが6.5〜8.5の範囲になる添加剤Aの量は、図5より、0.5(pH:6.5)〜0.75(pH:8.5)g/400mlと設定すれば安全である。
また、セメントベントナイト(CB)を一次注入した地盤のpHは8.0であった。pH2.4、GT2880の注入液は土中GT1分であった。図6(a)より、シリカ溶液のpHは7となる。この場合、水酸化マグネシウムは0でよい。なお、一般にセメントベントナイト(CB)を注入した地盤は注入直後にはpHが10付近になる場合があるが、その後pHが低下する。
従って、添加剤として水酸化マグネシウムを加えなくても、水質基準範囲に入りうる。従って、以上より添加量は、0〜0.9g/400mlの範囲で地盤条件および配合条件に応じて、水酸化マグネシウムの添加量を設定すればよい。
また、ゲル中の酸分が地下水中で薄まりやすい条件下では、pH値は10倍に薄まればpHが1上がり、100倍に薄まればpHが2上がる。従って、地下水の検査孔の測定値が水質基準の値内の条件下では、ゲル中の酸の全量が地盤中で消費されなくても問題ない。従って、そのような場合も加味して、添加量は0〜0.9g/400mlとなる。
難溶性アルカリ剤の添加量の設定値を注入液の中性値(pH7)を基準にすると(図5より)、
γ=0.70/0.75〜0.9/0.75 =0.93〜1.2
従って、γ=0〜1.2;用水への流入の恐れがある場合である。
ゲル化後のゲルの中性値(pH7)を基準とすると(図5より)、
γ=0.50/0.55〜0.75/0.55=0.9〜1.4
したがって、γ=0〜1.4;用水に近くて地下水のpHが水質基準を満たしていない懸念がある場合である。
一方、酸性土の場合、アルカリ分が消費されることも起こりうる。従って、図5より、注入液のpHが中性を基準とすると、添加量=0.75g/400mlとなるが、上述の不確実性を考慮すると、添加剤の最大値は1.0g/400ml、従って、添加剤の幅は0〜1.0g/400mlとなる。ゲルのpH値が中性値7となる水酸化マグネシウムの量0.55g/400mlを基準とすると、A剤の設定量の最大値は0〜1.0g/400mlであれば十分である。しかるにこの最大値は、シリカ配合液のシリカ濃度、酸の量や難溶性アルカリ剤によって異なるから、注入液を中和するのに要する難溶性アルカリ剤を基準にして、その比率を設定することにすると、上述したγ、γの範囲になり、最大値をγ=0.75/0.55=1.4とすることができる。すなわち、過剰酸量に対し、γ=1.4を最大値として難溶性アルカリ剤の配合量を設定すればよいことが判る。
本発明のシリカ溶液(注入液)の配合の具体例は表2に示したが、以下の通りである。以下のようにまとめることができる。
1)シリカ溶液のpHは、1〜10である。
2)シリカ溶液中の全シリカ量は1〜50質量%であって、このうちシリカコロイドに起因するシリカ量は全シリカ量の1〜100質量%である。
3)難溶性アルカリ剤の配合量は、以下のi)〜iii)のうちのいずれかの条件を満足する。
i)シリカ溶液100ml当たり0〜10g。10gを超えると難溶性アルカリ剤が配合液中で過剰酸の中和以上に過大となり、注入液中で沈殿して浸透を阻害する。
ii)コロイドに起因するアルカリはほとんど無視してよいので、水ガラスに起因するアルカリとそれを中和する酸の量を考慮する。水ガラスの濃度が高ければ酸の量も多くなり、それを中和する難溶性アルカリ剤も多くなる。表2、表4〜7に硫酸量に対して用いた難溶性アルカリ剤の例を示した。
α=難溶性アルカリ剤(g)/硫酸純分(g)=0.011〜0.306
従って、純酸量(純分)に対する難溶性アルカリ剤の比率の最大値を0.3としてα=0〜0.3の範囲で設定をすればよい。
iii)シリカ溶液の過剰の酸の量に対する難溶性アルカリ剤の配合量の割合の最大値をγ=1.4と設定する。
上述した、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムのような多価金属の水酸化物や酸化物、或いは炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムのような多価金属の炭酸塩は、難溶性であるため、難溶性アルカリ剤として優れており、リン酸二ナトリウムはpHの急激な変化を妨ぐアルカリ性を呈するpH緩衝剤として、また、硫酸アルミニウムや塩化アルミニウムは酸性を呈するpH緩衝剤として優れている。また、硫酸カルシウムのような多価金属の硫酸塩は難溶性であるため、遅効性のpH調整剤として優れている。
これらのうち難溶性アルカリ剤、アルカリ性を呈する緩衝剤は水ガラスと混合し、遅効性酸、酸性を呈する緩衝剤は酸と混合して用いることにより所定のゲル化時間を保持しながらゲル化後のpH値を中性領域に保持したり、或いはpHの変動を少なくすることによりゲル化時間の調整を容易にするという効果を得る。
上記難溶性アルカリ剤としては、マグネシウムやカルシウムの水酸化物、酸化物、炭酸塩やCaSO、BaSO、CaCO、MgSO、Fe(OH)、Al(OH)等の難溶性アルカリ剤や難溶性塩が挙げられ、水に難溶性であって、酸性液で溶解し、徐々にpHが中性方向に移行するため難溶性アルカリ剤としての効果を生ずる。
さらに、本発明では、A液またはB液にpH緩衝剤を添加することもできる。この場合、A液およびB液の合流比率がばらついても、pH緩衝剤の作用でpHが大幅に変化しないため、安定した所望のpH値の配合液を得ることができる。このようなpH緩衝剤として、例えば、リン酸二ナトリウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。
また、さらに本発明においては、A液またはB液に難溶性アルカリ剤およびpH緩衝剤の両方を組み合わせて用いることもできる。この場合、A,B合流液のpH値は変化しにくく、かつ、時間の経過とともに徐々に中性方向に移行する。
以下、難溶性アルカリ剤およびpH緩衝剤を用いた本発明の実験例を示す。
この場合、難溶性アルカリ剤を少量にして、pH緩衝材と併用してゲル化時間の変動を緩やかにすることができる。
(実験7)
A液およびB液として表5〜表7に示す配合のものを用いた。また、その結果を、図8〜図10に示す。
(1)A液には1.6gのMg(OH)の他に、pH緩衝剤としてNaHPOを添加した(表6)。実験1と同様の方法でA液およびB液を合流し、得られた合流液のゲル化時間ならびにpHの挙動を測定し、結果を図9に示した。
(2)A液およびB液として表7に示す配合のものを用いた。A液には2.5gのMg(OH)の他に、pH緩衝剤としてヘキサメタリン酸ソーダを、図10のグラフの横軸に示す各量で添加した。A液の水ガラス濃度ならびにB液の酸濃度はそれぞれ(1)のものよりも濃厚である。実験1と同様の方法でA液およびB液を合流し、得られた合流液のゲル化時間ならびにpHの挙動を測定し、結果を図10に示した。
(3)A液およびB液として表4に示す配合のものを用いた。A液には難溶性アルカリ剤としてMgCOを添加した。実験1と同様の方法でA液およびB液を合流し、得られた合流液のゲル化時間ならびにpHの挙動を測定し、図7に示した。
(4)A液およびB液として表5に示す配合のものを用いた。A液には難溶性アルカリ剤として2.5gのMgCOを添加し、pH緩衝剤としてAl(SOを添加した。前述のA液およびB液を実験1と同様の方法で合流し、得られた合流液のゲル化時間ならびにpHの挙動を測定し、結果を図8に示した。
上述の図5、図7より、A液に難溶性アルカリ剤を添加しておけば、A・B合流液は合流時にはpH値2ないし5の弱酸性を呈するが、その後、徐々に増大して中性方向に移行してゲル化し、ゲル化後にはほぼ中性領域を呈している。
また、pH緩衝剤をA液またはB液に添加すると、図8、図9、図10からわかるようにゲル化時間の曲線がゆるやかになり、ゲル化時間の調整が容易となる。なお、ここで、水酸化マグネシウムおよび/または水酸化カルシウムについては「水酸化マグネシウム」を例として用い、また、ヘキサメタリン酸アルカリ金属塩については「ヘキサメタリン酸ナトリウム」を用いて、それぞれ説明したが、もちろん、水酸化マグネシウムの代わりに、水酸化カルシウムまたは水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムの併用物を用いても、また、ヘキサメタリン酸ナトリウムの代わりにヘキサメタリン酸カリウムを用いても、それぞれ、水酸化マグネシウムあるいはヘキサメタリン酸ナトリウムの場合と類似した結果が得られる。
上述したように、本発明はpH緩衝材を用いてpHの急激な変動を抑え、ゲル化の急激な短縮を抑え、浸透性を向上させることができる。pH緩衝材としてはアルミニウム塩やリン酸塩を例として挙げることができる。また、酸としてリン酸を使用すれば、pH緩衝材を兼ねることができる。
(実験8)
図11に示す装置を用いて、試料砂(豊浦砂)を長さ1000mm、内径約50mmのアクリルモールド10の上部より自由落下させて充填し(相対密度Dr=60%)、注入材の注入に先立って、脱気水で飽和させた。
次いで、表2の実施例8のA液およびB液をそれぞれタンク1,2に入れ、ポンプ3により、水槽4中に投入した。この時の投入量は流量計5によって管理した。混合槽4に投入された薬液は、攪拌機6によって攪拌され、コンプレッサー7によって押し出されて、アクリルモールド10内の試料砂中に浸透された。混合された薬液は、アクリルモールド10の下部より0.03MPaで定圧注入された。比較例2についても同様に注入を行った。
浸透固結後に作製されたサンドゲル(浸透固結サンドゲル)供試体を、4週間静置した後に切断して、浸透距離20cmごとに、一軸圧縮強度を測定して、浸透距離との関係を評価した。供試体の一軸圧縮強度の測定結果を図12に示す。
上記の結果より、比較例2の酸性シリカゾル液でコロイドを含まない水酸化マグネシウムを含むシリカ溶液では、水酸化マグネシウムが注入液から分離して、注入口付近で目詰まりを起こし、地盤中で均質な浸透が不十分であった。そのため、注入口付近では中性値を示したが、注入口から離れるにつれ酸性を呈した。また、コロイドを含む水酸化マグネシウムを含む酸性シリカ溶液を用いた実施例8では、pHはほぼ水質基準の範囲のpH値を示し、強度の大幅な低下は見られなかった。
また、難溶性アルカリ剤として水酸化マグネシウムを用いた例では、注入液中で水酸化マグネシウムが分離することなくほぼ中性領域で広範囲にかつ均質に固結体が形成され、固結体の強度もほぼ均質となることが判った。また、炭酸ガスのようなガスは発生せず、均等な白濁シリカ溶液が保持された。
上記表中の結果からは、本発明の注入材は、それ自体が初期の段階で酸性から中性を示すものの、最終的な固結体においては、所定の浸透性を得るゲル化時間と注入中あるいは注入後において、水質基準を満たす地盤改良を示す配合設定を行うことができる。これにより、本発明によれば、酸性シリカ溶液中における難溶性アルカリ剤の分離浸透性、固結土の強度分布、水質保全の問題を解決できることが確かめられた。
本発明はシリカゾルとシリカコロイドの酸性〜中性の複合シリカのゲル化において、マグネシウムイオンやカルシウムイオンが介在して固化するため、固結強度が大きくなる。また、初期の強度発現が大きくなることが判った。シリカコロイドは単独ではゲル化に当たってゲルの強度発現は遅いが長期的には強度が大きくなり強度低下はないが、シリカ濃度が大きいことが必要となる。一方、水ガラスと酸からなる酸性シリカゾルは強度発現は速くシリカ濃度が小さい割には強度が高いものの、ゲルの収縮が大きく固結砂の強度が低下する傾向があるが、コロイドとゾルと水酸化マグネシウムからなる酸性複合シリカは、おそらくマグネシウムイオンが大きな粒径のコロイドと小さな粒径のシリカゾルとの間にイオン結合によって介在するために、強度発現が速く、強度が大きくなるものと思われる。
酸性複合シリカ溶液に水ガラスや水溶性アルカリ性無機塩を加えてpH値を3ないし7の中間値に定めることはきわめて難しい。そこで、上記強酸性複合シリカ溶液に、はじめから難溶性アルカリ剤を混入しておけば、強酸性複合シリカ溶液をそのまま注入してもpH値が中性領域に移行するから施工がきわめて簡便になる。
この場合、注入された酸性複合シリカ溶液は、難溶性アルカリ剤が地盤中で自動的に酸を中和するので、水質保全の面から一層公害防止に役立つという利点が生じる。
本発明においては、水酸化マグネシウムの混合順序は任意でよいが、水酸化マグネシウムをあらかじめコロイド溶液と混合した混合液(B液)と、酸性シリカゾル(A液)とを混合することができる。この混合液(B液)においては、コロイドと水酸化マグネシウムとからなる、ミセルのシリカ液が形成されると思われる。したがって、このシリカ液には水酸化マグネシウムが浮遊しており、液は白濁した状態となる。このシリカ液と酸性シリカゾル水溶液とを混合して得られた酸過剰の酸性複合シリカは、水酸化マグネシウムによって次第に中性化されていくため、ゲル化後においても同様に中性方向に移行する。また、(1)コロイド水溶液と(2)水ガラス水溶液と(3)酸と(4)水酸化マグネシウムの酸性〜中性のシリカ溶液において、混合順序は、(1)+(4)+(3)+(2)、(3)+(2)+(1)+(4)のいずれの順序でもよいが、((1)+(4))+((2)+(3))が好ましく、((1)+(3)+(2))+(4)であってもよい。(1)+(4)が好ましい。
具体的には、本発明においては、酸性シリカゾル(A液)とコロイドと水酸化マグネシウムとの混合液(B液)とを混合することで、酸性シリカゾルと、シリカコロイドと水酸化マグネシウムとからなるミセルのシリカとが緩やかに反応してpHが中性方向に進みゲル化し、かつ、ゲル化後も固結土中で水酸化マグネシウムによる反応が継続して固結土のpHは水質基準の中性領域まで達するように配合設計することができる。また、注入液が直接用水に流入しても用水のpHが変わらない配合設計をすることができる。
結果として、本発明においては、以下の効果が得られることになる。
(1)難溶性アルカリ剤はコロイドを含む酸性シリカ溶液中で均等に浮遊分散して沈下しにくいシリカ溶液を形成する。
(2)注入材が注入口付近で難溶性アルカリ剤を分離することなく地盤中に広範囲に浸透して、注入材全体を中性方向に移行させることができる。
(3)酸性シリカ溶液の過剰の酸の中和が緩やかに行われ、しかもゲル化後も中性化が進行するため、ゲル化時間の調整が容易で所定の注入量に対応した所定の固結体が形成される。
(4)注入材における注入中の先端部に難溶性アルカリ剤が含まれているため、注入中でもゲル化を生じつつ、先端の注入材が乗り越えながら注入領域を広げていくので、先端の注入材が地下水で薄まることを低減して地盤中でゲル化することができる。その結果、注入領域に加圧注入してゲルを脱水して実質的にゲルのシリカ濃度を濃くしたゲル化物で地盤を固結して、耐久性の優れた地盤注入が可能になる。
(5)ゲルの収縮が少なく、所定の強度を長期にわたって持続することができる。
本注入材はその特性を利用して以下の地盤注入工法を用いることができる。
なお、本発明において注入方法はA液とB液に分けて、二重管を使用して先端部で合流させて地盤中に注入してもよく、また、注入管に送流する前に混合してもよく、また、ミキサー中で混合して1液にして地盤中に注入してもよい。
本発明において、酸過剰を保持するような組成分の配合比率とは、ゲル化時間が最も短くなる電気化学的中和点、すなわち、pH8.5付近、好ましくはpH7付近よりも酸性側の非アルカリ性領域を常に保持するような配合比率をいう。
本発明は、以下に示す手法によって、液状化対策工等(図13)、経済的に注入孔間隔を広くとり広範囲に所定の注入効果が永続する地盤改良に適している。
1)一次注入として、二次注入の注入液よりゲル化時間の短い注入液またはセメント:ベントナイトや難溶性アルカリ剤等の懸濁型の注入液を注入して、大きな空隙や粗い土層を充填して地盤構成を均質化、或いは拘束化した後、二次注入として、本発明シリカ溶液を注入すれば、ゲル化を伴うため広範囲を逸脱することなく密実に地盤改良することができる(請求項10)。
2)本発明の地盤注入材の注入にあたって、1ステージ当たりの所定の注入対象土量に対応する注入量を注入するための時間をH、土中ゲル化時間をGTとすると、H≧GTとすることにより、地盤中でゲル化を進行させながら、注入範囲を拡大することができる。
地盤の土質や空隙状況のいかんに関わらず、pHおよびゲル化時間の調整が可能であるので、注入中にゲル化しつつあるゲルを乗り越えながら注入液が圧入されて注入領域を拡大するため、土粒子の間隙にシリカゲルが密実に注入されて広範囲の地盤改良が可能になる(請求項11)。
3)本発明の地盤注入材を用いて、注入孔間隔1.0〜3.0mと注入孔間を広範囲にとっても、上記の地盤中における、ゲル化の特性があるため、確実な注入効果を得るので液状化対策工等(図13)で経済的地盤注入が可能である。確実な注入効果を得ることができる(請求項12、請求項14)。
4)シリカ溶液に対する難溶性アルカリ剤の添加は、地盤への注入直前か、所定の混合時間を経過した時点とするか、または、地盤に注入の過程中に行うことにより、ゲル化時間や注入中の注入液のpHを調整することができる(請求項13)。
5)本発明の地盤注入材は、上記浸透性とゲル化の特性があるため、点注入、柱状注入、二重管複合注入工法、二重管ダブルパッカ工法、多点注入のいずれの工法にも適用できる(請求項15)。
本発明における酸性液(酸性反応剤)とは、無機酸(硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(ギ酸、酢酸等)のような酸、酸性塩(リン酸一カルシウム、リン酸一ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化アルミニウム等)等をいう。本発明は酸の他に、更に任意の反応剤を用いることができる。以下に例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
また、本発明におけるコロイドと水ガラスとの比率は、全シリカ濃度が1〜50%として全シリカ濃度中のコロイドの比率が1〜60%にすることができる。また、水酸化マグネシウム等、難溶性アルカリ剤の添加量は上述に基づいて設定すればよい。
本発明における水ガラスとしては、モル比(SiO/NaO):1.5〜5.0の液状水ガラス、無水水ガラス、和水ガラス、結晶水ガラス等を含めた任意のモル比の珪酸の金属塩と珪酸との混合物が用いられる。また、本発明におけるシリカコロイドは、水ガラスをイオン交換法によって得られた活性シリカを増粒してpHを9〜10付近に安定化したシリカコロイドや金属シリカを溶融して得られたシリカコロイド、微粒子のシリカコロイドとしてホワイトカーボン、微細化シリカゲル、析出シリカ(塩析シリカ)、水酸化アルミニウム等のアルミコロイド、鉄コロイド、粘土コロイド等を挙げることができる。本発明における任意の反応剤としては、アルカリの存在の下に加水分解して酸基を生ずる物質(エステル類、例えば、多価アルコール酢酸エステル、エチレンカーボネート、α−ブチルラクトン等;アルデヒド類、例えば、グリオキザール等;アミド類、例えば、ホルムアミド等)をいう。
また、本発明には、ゲル化調整剤として以下を添加してもよい。
ゲル化調整剤としては、塩(無機塩、有機塩、塩基性塩、中性塩、酸性塩等)、アルコール類、苛性ソーダのようなアルカリ類等を用いることができ、また、珪酸と反応したり、pHを変動せしめたり、或いは他の化学的、電気化学的作用により、珪酸ゲルを形成せしめたり、ゲル時間を変動せしめたり、流動性を変動せしめたり、あるいはpH緩衝剤のようにpHの変動を少なくしたり、またはpHの変動をゆるやかにしてゲル化をゆるやかに行わせたり、さらには固結を増大せしめたりするものを用いることができる。
以下にその一例を示す。
無機塩:
酸性塩、中性塩、塩基性塩など。
塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリ、塩化アルミニウムなどの塩化物、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウムなどの硫酸塩、アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリウムなどのアルミン酸塩、塩化アルミニウム等のアルミニウム塩、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの塩酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウムなどの塩素酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸アンモニウムなどの重硫酸塩、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウムなどの重亜硫酸塩、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウムなどのケイフッ酸塩、珪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩等の珪酸塩、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウムなどのホウ酸塩、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素アンモニウムなどのリン酸水素塩、ピロ硫酸ナトリウム、ピロ硫酸カリウム、ピロ硫酸アンモニウムなどのピロ硫酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸アンモニウムなどのピロリン酸塩、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウムなどの重クロム酸塩、過マンガン酸カリ、過マンガン酸ナトリウムなどの過マンガン酸塩等。
アルカリ:
苛性ソーダ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の一価アルカリ金属または多価金属の水酸化物、或いは酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物。
有機塩:
酢酸ソーダ、コハク酸ソーダ、ギ酸カリ、ギ酸ソーダ等。
なお、これらはpH調整剤、あるいはゲル化時間調節剤として作用する他、強度増強剤としての効果もある。
また、地中コンクリートの保全を考慮して、金属イオン封鎖材をシリカ溶液に含有して、コンクリートの表面にハイドロキシアパタイトやリン酸カルシウム等のマスキングシリカの防護層を形成して、硫酸や酸性雨に対するコンクリートの保全を行うことができる。このようにすれば、本発明は地下水のpHに関する水質保全、コンクリートに対する保全のほか、ゲル化を伴うことから注入液は所定範囲外に逸脱することなく、注入圧力で密実に土粒子間に圧入され、地盤の空隙が大きくてもゲルの収縮が低減して固結地盤の耐久性を向上させることができる。
上述の金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ビス(2−ヒドロキシフェニル酢酸)エチレンジアミン、コハク酸、これらの塩類、脂肪族オキシカルボン酸およびその塩類、縮合リン酸塩等が挙げられる。
脂肪族オキシカルボン酸類としては、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ジヒドロキシエチルグリシン酸等、およびその塩、縮合リン酸塩としてはピロリン酸、トリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸等のポリリン酸の塩であるが、具体的にはピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウムまたはこれらのカリウム塩等である。
また、リン酸系化合物としては、リン酸、各種の酸性リン酸塩、中性リン酸塩、塩基性リン酸塩等が挙げられる。このようにして、環境条件に応じた組成を選定してコンクリート構造物の近傍における耐久性地盤を形成することができる。なお、上記は一例を示したものであって、本発明がこれらの例によって制限されるものではないのはもちろんである。
1,2 タンク
3 ポンプ
4 混合槽
5 流量計
6 攪拌機
7 コンプレッサー
10 アクリルモールド

Claims (15)

  1. シリカ溶液を用いた地盤注入材であって、該シリカ溶液が、シリカコロイドと、水ガラスと、水酸化マグネシウムと、酸性剤と、を有効成分とする酸性シリカ溶液であり、該シリカ溶液が、以下の2),3)の条件を満足することを特徴とする地盤注入材。
    2)前記シリカ溶液中の全シリカ量が1〜50質量%であって、前記シリカコロイドに起因するシリカ量が該全シリカ量の1〜100質量%である。
    3)前記水酸化マグネシウムの配合量が、以下のi)〜ii)のうちのいずれかの条件を満足する。
    i)前記シリカ溶液100ml当たり0.025〜10g。
    ii)α=水酸化マグネシウム(g)/硫酸純分(g)=0.011〜0.306。
  2. 前記水酸化マグネシウムが、前記シリカコロイドを含む溶液中に含まれる請求項1記載の地盤注入材。
  3. 前記水酸化マグネシウムと前記シリカコロイドとからなる混合液が、他の成分と混合されてなる請求項2記載の地盤注入材。
  4. 前記シリカ溶液のpHが1〜3の酸性値であって、地盤に注入中にゲル化に到るまでにpH2〜10の範囲に移行する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
  5. 前記水酸化マグネシウムの添加量が、前記シリカ溶液またはゲルの過剰の酸を中和する量である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の地盤注入材(但し、ここで過剰の酸とはpH7または水質基準のpHの範囲を基準とする)。
  6. 前記水酸化マグネシウムの添加量が、前記シリカ溶液の過剰の酸を中和するか該シリカ溶液またはゲルのpHが水質基準の6.0〜8.5の範囲内になる量である請求項1〜5のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
  7. 前記水酸化マグネシウムの添加量が、注入地盤による酸の中和を加味して注入液の過剰の酸を中和するか注入液またはゲルのpHが水質基準の6.0〜8.5の範囲内になる量である請求項1〜6のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
  8. 前記水酸化マグネシウムの添加量が、注入地盤の観測井における地下水のpH値が6.0〜8.5の範囲内になる量である請求項1〜7のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
  9. さらに、ゲル化時間を調整するためのpH緩衝材を含む請求項1〜8のうちいずれか一項記載の地盤注入材。
  10. 地盤に対し、二次注入の注入液よりゲル化時間の短い注入液または懸濁型の注入液を一次注入した後、請求項1〜9のうちいずれか一項記載の地盤注入材を二次注入することを特徴とする地盤注入工法。
  11. 請求項1〜9のうちいずれか一項記載の地盤注入材の注入にあたって、1ステージ当たりの所定の注入対象土量に対応する注入量を注入するための時間をH、土中ゲル化時間をGTとしたとき、H≧GTを満足することにより、地盤中でゲル化を進行させながら注入範囲を拡大することを特徴とする地盤注入工法。
  12. 請求項1〜9のうちいずれか一項記載の地盤注入材を用いて、注入孔間隔1.0〜3.0mで注入を行うことを特徴とする地盤注入工法。
  13. 前記シリカ溶液に対する前記水酸化マグネシウムの添加を、地盤への注入直前か、所定の混合時間を経過した時点か、または、地盤に対する注入の過程中に行うことによりゲル化時間を調整する請求項12記載の地盤注入工法。
  14. 前記地盤注入液を液状化対策工に用いる請求項10〜13のうちいずれか一項記載の地盤注入工法。
  15. 前記地盤注入液の注入において、点注入、柱状注入、二重管複合注入工法、二重管ダブルパッカ工法および多点注入のうちのいずれかの工法を用いる請求項10〜14のうちいずれか一項記載の地盤注入工法。
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