JP2013136908A - 地盤改良工法、シリカ系グラウト及びその原料 - Google Patents

地盤改良工法、シリカ系グラウト及びその原料 Download PDF

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Abstract

【課題】練り混ぜ水に、海水のような塩分を含む水を用いる場合であっても、地盤中で均一なゲルを生じさせることができるような、シリカ系グラウトを用いた地盤改良工法を提供する。
【解決手段】
シリカ系化合物と硬化剤と練り混ぜ水とを含み、pHが中性又は酸性の領域であるシリカ系グラウトを地盤中に注入して固結させるに当たり、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とをそれぞれ用意し、かつ、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とのそれぞれに練り混ぜ水として塩分を含む水を添加するものとして、このシリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整する。
【選択図】図2

Description

本発明は、地盤中にシリカ系グラウトを注入し固結することにより、液状化防止、吸出し防止さらには恒久補強などの恒久的な地盤改良を行う地盤改良工法、特に、シリカ系グラウトの練り混ぜ水として海水や湧水のような塩分を含む水を用いて行う地盤改良工法、シリカ系グラウト及びその原料に関する。
近年、薬液注入工法は従来の仮設注入工に限らず、恒久改良或いは長期間改良を目的とした地盤改良工事において用いられるようになっている。この地盤改良工事では、シリカ系グラウトの適用が要求されるようになってきた。地盤中にシリカ系グラウトを注入し固結することにより、液状化防止、吸出し防止さらには恒久補強などの恒久的な地盤改良を行うことができる。シリカ系グラウトは、特に、近年地震の多発に伴い河川や海岸付近での液状化対策や、堤防等の護岸工事などの止水に利用されている。
液状化対策工が行われる海岸付近では、水道水が得られにくいため、入手が容易な海水をシリカグラウトの配合水として用いることが望まれていた。しかし、アルカリ領域のシリカグラウトの配合水として海水を使用すると、海水中の塩化ナトリウムや塩化マグネシウム等とシリカ分が反応し白濁して不均質なシリカ分を析出する。このため、海岸付近の液状化対策工であっても、配合水として水道水を使用せざるを得なかった。また、アルカリ領域の水ガラスグラウトを、海水を含む地盤に注入した場合、注入液が地盤中の海水と反応して白沈して不均質なゲルを作るため、充分な地盤改良効果を得ることが困難であった。
近年、図1に示すように、水ガラスと酸とを混合してなる酸性シリカ注入材、さらには酸性シリカにpH緩衡剤やアルカリ剤を加えて中性でゲル化時間を調整する非アルカリ性シリカ注入材が提案されている。また、コロイダルシリカと水ガラスと酸を加えてなる非アルカリ性シリカコロイドも耐久性のあるシリカグラウトとして知られている。
これらの酸性又は非アルカリ性シリカ系注入材は、ゲル化時間が長く、広範囲な浸透性に優れ、かつ、水ガラス注入材の劣化要因となるアルカリを酸等で除去しているため、長いゲル化時間で長期耐久性に優れ、広範囲にわたって耐久性の優れた固結領域を得る点で、他のアルカリ領域の水ガラス注入材では得られない特異な特性を有している。
また、水ガラスと酸とを混合してなる酸性シリカ注入材は、海水を含む地盤中に注入しても白濁することなく均質なゲルを形成して優れた効果を得ることは既に知られている。
これらの酸性又は非アルカリ性シリカ系注入材は、主剤となる水ガラスのアルカリを除去する工程において、水ガラスに酸をそのまま添加すると水ガラス中のシリカ濃度が通常20〜50%と高く、瞬時に不均一にゲル化してしまい地盤中に注入することが困難である。そのため、水ガラス、酸それぞれを水道水や工業用水、河川水等の電解質濃度の低い水で希釈していた。希釈することにより、均一なゲルが作成でき、また、練り混ぜ後のpH調整や、シリカ濃度の調整が容易になるため、地盤中で目的のゲル化時間及び強度を得ることができ効率の良い配合を行うことができる。
このようにして希釈して製造されたシリカ系グラウトを注入して液状化対策工や護岸や岩盤等の周囲に地盤改良の施工をする場所が、水道水や工業用水等の入手の困難な場所である場合がある。この場合は、水道水や工業用水等の電解質濃度の低い清水の代わりに、海水や湧水を練り混ぜ水として用いることが考えられる。
しかし、酸性又は非アルカリ性シリカ系注入材を製造するために、水ガラスと酸を用いた非アルカリ性のシリカ溶液又はシリカコロイド溶液の配合水として海水や湧水を用いた場合、海水や湧水に含まれる電解質により水ガラスと海水又は湧水とが反応して不均質な塊状シリカを析出すると考えられる。そのため従来は、不均質な塊状シリカを析出させないように、水ガラス、酸を、それぞれ水道水や工業用水、河川水等の電解質濃度の低い水で希釈して用いていた。よって、あらかじめコンテナなどで施工現場に練り混ぜ水としての水道水や工業用水、河川水等の電解質濃度の低い水を運搬することから、経済的に割高になっていた。
これらの課題を解決するために、主剤の水ガラスのモル比を下げる方法や、アルカリ材を添加する方法がある(特許文献1)。しかしながら、これらの方法は、高アルカリ性であるため、シリカ系グラウトに用いる場合は溶脱して耐久性が得られない。
特開平1−192912号公報
上述したように、酸性又は非アルカリ性シリカ系注入材を製造するために、海水や湧水を練り混ぜ水として用いると、シリカ化合物は海水や湧水に含まれる電解質によりシリカ分子の凝集が起こりゲル化するため、注入前に混合出来ても、地盤中で不均一なゲル化が起こる、あるいは注入経路内でゲル化してしまう。このため、従来ではあらかじめコンテナなどで施工現場に練り混ぜ水としての水道水や工業用水、河川水等の電解質濃度の低い水を運搬するする必要があり、経済的に割高になる。
本発明は、上記の問題を有利に解決するためになされたもので、pHが中性又は酸性領域の溶液型シリカ系グラウトにおいて、配合水すなわち練り混ぜ水に、海水のような塩分を含む水を用いる場合であっても、地盤中で均一なゲルを生じさせることができるような、シリカ系グラウトを用いた地盤改良工法を、そのシリカ系グラウト及び原料と共に提供することを目的とするものである。
本発明者らは、pHが中酸性領域の溶液型シリカ系グラウトの配合時に用いる練り混ぜ水に海水を用いる場合におけるゲル化の抑制について、以下の事実関係を基に研究開発を行った。
水ガラスやシリカコロイドは、NaO等のアルカリを含有することによって長期にわたり安定化する。地盤改良注入材として水ガラスやシリカコロイドを用いる場合は、酸を用いてナトリウムイオンを中和するか、塩等の電解質によりシリカを凝集させることにより地盤中でゲル化させる。このときに硬化剤として添加する酸や電解質の量を調整することでゲル化時間を調整するため、練り混ぜ水にはゲル化時間に影響の少ない、工業用水や水道水等の電解質濃度の少ないものを使う。
海水は通常、比重1.02〜1.03、塩分濃度3.1〜3.8%の物性を有するため、シリカ化合物と混合すると硬化剤と同様の働きをするから、単に海水を工業用水や水道水等の代わりに練り混ぜ水に用いるのでは、目的のゲル化時間に調整することが困難である。
そこで本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、NaOの異なるシリカ化合物においても海水の添加量を変えることによりゲル化しないことを見出した。本発明は、この知見に立脚するものである。
本発明の地盤改良工法は、シリカ系化合物と硬化剤と練り混ぜ水とを含み、pHが中性又は酸性の領域であるシリカ系グラウトを地盤中に注入して固結させるに当たり、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とをそれぞれ用意し、かつ、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とのそれぞれに練り混ぜ水として塩分を含む水を添加するものとして、このシリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整することを特徴とする。
本発明の地盤改良工法においては、シリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液のNaOの濃度(g)と塩分を含む水の塩の濃度(g)の比が0.7以上になるように設定し、シリカ系グラウトに必要とされる残りの練り混ぜ水を硬化剤配合液に添加することが好ましい。また、本発明の地盤改良工法における上記シリカ化合物は、水ガラス、シリカコロイド、活性シリカ及び活性シリカコロイドから選ばれる1種又は2種以上とすることができ、硬化剤がリン酸、硫酸、塩から選ばれる1種又は2種以上とすることができる。更に、本発明の地盤改良工法においては、シリカ化合物はNaO量が異なる2種以上であり、シリカ系化合物溶液を、シリカ化合物毎に2液以上を用意し、これらのシリカ系化合物溶液のうち、NaO量が少ない溶液には、それ以外のシリカ化合物溶液よりも低い塩分濃度の塩分を含む水を添加するか、塩分濃度が0の清水を添加するか、又は練り混ぜ水を添加しない構成とすることもできる。
本発明のシリカ系グラウトは、シリカ系化合物と硬化剤と練り混ぜ水とを含み、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とのそれぞれに練り混ぜ水として塩分を含む水を添加して調製された原料の混合物であって、このシリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整してなることを特徴とする。
本発明のシリカ系グラウトは、地盤改良工法に用いられるシリカ系グラウトであって、原料の一つがシリカ系化合物溶液に練り混ぜ水として塩分を含む水を添加して調製され、このシリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整してなることを特徴とする。
本発明によれば、シリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整することにより、練り混ぜ水にコストが有利な電解質を含む水、例えば施工現場の近くで入手し得る海水や湧水を用いることができ、よってシリカ化合物のモル比を低アルカリに限定しなくても地盤を均一で恒久的な改良効果を確保することができる。
シリカ系グラウトのpH領域と水ガラス濃度とゲル化時間と強度との一般的な関係を示すグラフである。 モル比の異なる複数のシリカ化合物のNa2O量と海水の塩分の量との比がゲル化時間に及ぼす影響を示すグラフである。
以下、本発明の地盤改良工法、シリカ系グラウト及びその原料を、より具体的に説明する。
本発明の地盤改良工法は、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とをそれぞれ用意し、かつ、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とのそれぞれに練り混ぜ水として塩分を含む水を添加するものとして、このシリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整することを要点とする。
本発明者の実験によれば、例えば、表1に示すNaO(%)、SiO(%)、モル比の異なるシリカ化合物I〜IIIにおいて、比重1.23、塩分濃度3.5%の海水を種々の量で添加してゲル化時間を測定すると、図2のようなグラフが得られる。
Figure 2013136908
図2の結果より、本発明者は、シリカ化合物と海水濃度による安定性はシリカ化合物のモル比に依存せず、シリカ化合物中のNaO濃度と練り混ぜ水中の塩濃度の比に依存することを見出した。
液状化対策工においては、シリカ系注入材をタンク内で配合し、ポンプで地盤内に設置された注入管内より地盤へ注入する場合、シリカ化合物と練り混ぜ水との混合物の安定時間は30分以上、好ましくは1時間以上が必要となる。
そのためには図2においてNaO濃度と練り混ぜ水中の塩濃度(塩分)との比は0.7以上、好ましくは1.0以上に設定すれば白濁せず安定して配合が行える。
海水や湧水は、地下水や河川等の電解質の少ない水に希釈される場合もあるが、表3に示すように塩分濃度の異なる水においても、本発明が適用できる。
Figure 2013136908
×:ゲル化、△:白濁または30分以上安定化、○:透明な状態で60分以上安定化
注入に当たっては、対象地盤の強度変化を加味して供用期間中の必要とする強度を期待できる最適なシリカ注入材について、シリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整して配合設計することで、耐久性を有する地盤改良を行うことができる。
本発明に用いられるシリカ系化合物溶液は、水ガラス、水ガラスの酸で除去した非アルカリ性水ガラス(シリカゾル)、シリカコロイド(コロイダルシリカ)、活性シリカ及び活性シリカコロイドの1種又は2種以上の混合物を有効成分とする。
有効成分の水ガラスは、モル比1.0〜4.5の水ガラスを使用することもできるが、さらに高モル比のものも使用することができる。有効成分のシリカコロイドとしては、粒径が5〜50nmの弱アルカリ性に安定させてなるコロイドがある。また、有効成分は、水ガラス、又は水ガラスと酸を混合してなる酸性水ガラスをイオン交換樹脂やイオン交換膜で処理して得られる活性シリカ、更に増粒した活性シリカコロイドでもよい。更に、有効成分は、この活性シリカコロイドに水ガラス、酸あるいは塩を加えてなる活性シリカコロイド等であってもよい。
本発明における上記シリカコロイドは、液状のアルカリ金属シリカ塩水溶液(水ガラス)からアルカリ金属イオンのほとんどを除去して得られるものを用いることができ、例えば、ゼオライト系陽イオン交換体、アンモニウム系イオン交換体のイオン交換樹脂に水ガラスを通過させ、生成したシリカコロイドを80℃〜90℃の温度で更に水ガラスに加え、再び上記イオン交換樹脂に通過してイオン交換を行って得られるものであり、この製法により比較的純粋な(希薄な)シリカコロイド(活性シリカコロイド)が得られる。
更に、純粋なシリカコロイドを得るには、前述の希薄なシリカコロイドを微アルカリ性に調製し、これに更に前述のシリカコロイドを加えながら蒸発させ、安定化と濃縮とを同時に行う方法、又はイオン交換後の活性シリカコロイドを適当なアルカリの下に加熱し、これに更に活性シリカコロイドを加えて安定化する製法が用いられる。
本発明におけるシリカコロイド溶液は、上述したシリカコロイドを用いることができ、Naイオンがほとんど分離除去されているため、通常pHが10以下の弱アルカリ性を示しており、NaOは、液中濃度が0.2質量%〜4.0質量%の範囲にある。NaOの液中濃度が4質量%を超えるとシリカコロイドは溶けてしまい、ケイ酸塩の水溶液となってしまう。一方、NaOの量が0.2質量%より少なくなるとシリカコロイドは安定して存在し得ず、凝集してしまう。すなわち、NaOが0.2質量%〜4.0質量%の範囲で、Naイオンがシリカコロイドの表面に分布して安定したコロイド状に保ち得る。したがって、NaOが0.2質量%〜4.0質量%の範囲になるシリカコロイド溶液が好ましい。
このようにして調製されたシリカコロイド溶液は、ほとんど中性に近く、かつ、半永久的に安定しており、これを注入液として用いる場合、工場から現場への搬入ならびに注入操作の際にゲル化する心配がない。
また、モル比の少ない水ガラスやコロイダルシリカは、含有するNaイオンが少ないために少量の硬化剤でゲル化することができ、またゲル化後においても脱水縮合が起こりにくく、体積収縮が少ない。したがって、これらのシリカ系化合物を原料としたシリカ系グラウトは、注入後においてゲルの収縮や劣化が少なく、長期において改良効果が得られる、良質な地盤改良を行える。
本発明におけるシリカ系化合物溶液は、pHが中性又は酸性の領域である。具体的には、pHが1〜8の範囲とすることができる。シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量は、水ガラスの場合JIS規格水ガラスによって規定される。また、安定性を高める為に水酸化ナトリウムを添加してもよい。
本発明における塩分を含む水は、例として海水や湧水が挙げられる。この塩分を含む水に含まれる塩分は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウム等があり、これらの分析方法は、フレーム原子吸光法、ICP発光分光分析法、イオンクロマトグラフ法にて測定することができる。また、簡易の塩分濃度計によって測定される。
シリカ系化合物溶液のNaOの量(g)と塩分を含む水の塩の量(g)との比は、0.7以上であることが白濁せずに安定して配合が行えることから、好ましい。より好ましい比は、1.0以上である。
本発明において、シリカ化合物として、NaO量が異なる2種以上のシリカ化合物を用いる場合は、シリカ系化合物溶液を、シリカ化合物毎に2液以上で用意し、それぞれの溶液に対して塩分を含む水を添加すればよく、このとき、各溶液に対して添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整する。2液以上のシリカ系化合物溶液のうち、NaO量が少ない溶液には、それ以外のシリカ化合物溶液よりも低い塩分濃度の塩分を含む水を添加するか、塩分濃度が0の清水を添加するか、又は練り混ぜ水を添加しない態様とすることができる。
本発明に用いられる硬化剤としては、リン酸、硫酸等の鉱酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等、水に溶解して比較的強酸性を呈する塩類、炭酸ガス、炭酸塩、その他の無機塩類、金属有機酸等を挙げることができる。この中で特に、リン酸、リン酸系化合物をはじめとする金属イオン封鎖剤、キレート剤、又は更に硫酸等と併用した反応剤は、シリカと共に地中のコンクリート構造物をマスキング作用によって難溶性シリカ化合物の被覆膜を形成するため、海水中の塩による塩害や硬化剤中の硫酸イオンとカルシウムの結合によるエトリンガイトの生成による劣化から、コンクリートを保護する効果があるので好ましい。また、リン酸イオン等の金属イオン封鎖剤を含むシリカは、地盤中に注入されたときに、土中の微量金属や貝殻などのカルシウム分と反応して不溶性又は難溶性のシリカ化合物をつくるため、地盤中のアルカリ成分を不動態化して、浸透中の土中シリカの急激なpHの増加によるゲル化の短縮を抑えることができると推測される。
本発明に用いられるリン酸系化合物および/またはキレート剤は、キレート効果を有するものであり、例えば、リン酸、各種の酸性リン酸塩、中性リン酸塩、塩基性リン酸塩が挙げられ、テトラポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、酸性ヘキサメタリン酸塩、酸性ピロリン酸塩等の縮合リン酸塩類等を挙げることができ、縮合リン酸塩類がナトリウム塩であることが好ましい。非アルカリ性シリカ溶液を形成するリン酸化合物としては、ヘキサメタリン酸ソーダが特に強固なマスキングシリカを形成するため、好ましい。また、キレート剤としては、上記リン酸化合物の他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、グルコン酸、酒石酸またはこれらの塩類等を挙げることができ、本発明においては、リン酸化合物がシリカ溶液の存在下でコンクリート表面に最も効果的な被覆を形成する。
なお、反応剤としては水溶性の塩化ナトリウム、塩化カリ、塩化カルシウム等の鉱酸のアルカリ金属塩、アルカリ土金属塩、あるいは硫酸バンド、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、明ばん等のアルミニウム塩等があり、これらを少量添加して、又は併用して緩衝能を高め、ゲル化時間調整剤としての機能を保持させることもできる。更に、本発明において、リン酸化合物以外の金属イオン封鎖剤を使用し、金属イオンのマスキングを期待させることもできる。このような金属封鎖剤としては、テトラポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩(特にナトリウム塩が良い)、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、酸性ヘキサメタリン酸塩、酸性ピロリン酸塩等の縮合リン酸塩類、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、グルコン酸、酒石酸またはこれらの塩類等を挙げることができる。
また、ゲルタイム調整材として、アルカリ材や高分子材、を添加することもできる。
(実施例1)
以下、本発明を、実施例に基づいてより具体的に説明する。
表3に示す4種のシリカ化合物I〜IVを用意した。
Figure 2013136908
実施例1及び比較例1においては、上記のシリカ化合物Iを用いて、シリカ系グラウトを製造した。この際に、硬化剤配合液(A液)と、シリカ化合物溶液(B液)とを調製した。配合後に得られた注入材は、シリカ濃度が6質量%、pH3のシリカ系グラウトであった。このシリカ系グラウトの配合を表4に示す。実施例1及び比較例1から、酸性硬化剤を用いた練り混ぜ後のpHが酸性〜中性の場合においては、シリカ化合物の希釈に用いる練り混ぜ水量を、NaO量との関係で本発明に従い0.7以上とし、残りの練り混ぜ水を酸性硬化剤と練り混ぜることにより、混合後のシリカ濃度を調整することができる。
Figure 2013136908
Total 1000ml
×:ゲル化、△:白濁または30分以上安定化、○:透明な状態で60分以上安定化
(実施例2、実施例3)
実施例2、実施例3は、上記のシリカ化合物IIを用いて、シリカ系グラウトを製造した。この際に、実施例1と同じく硬化剤配合液(A液)と、シリカ化合物溶液(B液)とを調製した。配合後に得られた注入材は、シリカ濃度が6質量%、pH3のシリカ系グラウトであった。これらのシリカ系グラウトの配合を表5に示す。実施例2、実施例3は、実施例1とはシリカ化合物に由来するNaO量が異なるため、B液の安定性を保つためには練り混ぜ水の添加量が異なる。また、比較例1と実施例3を比較すると、練りあがり後のシリカ濃度は同じであるが、シリカ化合物を変えることによって、同量のB液でも海水への安定性が高くなることが分かる。
Figure 2013136908
Total 1000ml
×:ゲル化、△:白濁または30分以上安定化、○:透明な状態で60分以上安定化
(実施例4)
実施例4は、モル比の高いシリカ化合物IVを用いた場合、及びシリカ化合物が2種以上の場合の実施例を示す。上記のシリカ化合物I及びシリカ化合物IVを用いて、シリカ系グラウトを製造した。この際に、硬化剤配合液(A液)と、シリカ化合物溶液(B液)とシリカ化合物溶液(C液)とを調製した。配合後に得られた注入材は、シリカ濃度が6質量%、pH3のシリカ系グラウトであった。これらのシリカ系グラウトの配合を表6に示し、B液及びC液の安定性評価の結果を表7に示す。
シリカ化合物IVを用いた場合、比較例2、比較例3に示すように塩分濃度3.5%の海水を用いると練り混ぜ水に25mlを添加するとNaO(g)/塩(g)の量比が0.7未満となり、B液の安定性が悪化する。B液を安定化させるには、本発明に従い、NaO(g)/塩(g)の量比が0.7以上となるように、シリカ化合物IVを25mlに対して、練り混ぜ水は3ml以下とする必要がある。そこで、実施例4では、練り混ぜ水の添加量を0ml、すなわち、B液には海水を添加しなかった。その結果、実施例4は、B液の安定性もC液の安定性も優れていた。
なお、実施例4では、B液には海水を添加しなかったが、海水を添加しない代わりに、B液に塩分濃度が薄い海水を添加すれば、B液への練り混ぜ水の量を多くすることができる。例えば、塩分濃度0.4%の海水を用いると、シリカ化合物IVに対して、練り混ぜ水を同量(シリカ化合物IVが25mlであれば、練り混ぜ水を25ml)添加しても、NaO(g)/塩(g)の量比0.7以上となるため、安定性が得られる配合が可能になる。
Figure 2013136908
Total 1000ml
Figure 2013136908
×:ゲル化、△:白濁または30分以上安定化、○:透明な状態で60分以上安定化
(実施例5、実施例6)
実施例5、実施例6は、配合後において中性(pH7.6)になる例である。これらの実施例の配合においては、表8に示すように硬化剤配合液とシリカ化合物溶液とに分け、本発明のとおりB液におけるシリカ化合物と練り混ぜ水の割合はNaO(g)/塩(g)の量比が0.7以上となるように設定し、A液と混合する。
Figure 2013136908
×:ゲル化、△:白濁または30分以上安定化、○:透明な状態で60分以上安定化
本発明は、地盤中にシリカ系グラウトを注入し固結することにより、液状化防止、吸出し防止さらには恒久補強などの恒久的な改良効果を期待する地盤改良工法に関し、安価なシリカ系グラウトを用いて恒久的な改良効果を確保することができる。

Claims (7)

  1. シリカ系化合物と硬化剤と練り混ぜ水とを含み、pHが中性又は酸性の領域であるシリカ系グラウトを地盤中に注入して固結させるに当たり、
    シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とをそれぞれ用意し、かつ、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とのそれぞれに練り混ぜ水として塩分を含む水を添加するものとして、このシリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整することを特徴とする地盤改良工法。
  2. シリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液のNaOの量(g)と塩分を含む水の塩の量(g)の比が0.7以上になるように設定し、シリカ系グラウトに必要とされる残りの練り混ぜ水を硬化剤配合液に添加する請求項1記載の地盤改良工法。
  3. シリカ化合物が水ガラス、シリカコロイド、活性シリカ及び活性シリカコロイドから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2項記載の地盤改良工法。
  4. シリカ化合物が、NaO量が異なる2種以上であり、シリカ系化合物溶液を、シリカ化合物毎に2液以上を用意し、これらのシリカ系化合物溶液のうち、NaO量が少ない溶液には、それ以外のシリカ化合物溶液よりも低い塩分濃度の塩分を含む水を添加するか、塩分濃度が0の清水を添加するか、又は練り混ぜ水を添加しない請求項3記載の地盤改良方法。
  5. 硬化剤がリン酸、硫酸、塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の地盤改良工法。
  6. シリカ系化合物と硬化剤と練り混ぜ水とを含み、シリカ系化合物溶液と硬化剤配合液とのそれぞれに練り混ぜ水として塩分を含む水を添加して調製された原料の混合物であって、このシリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整してなることを特徴とするシリカ系グラウト。
  7. 地盤改良工法に用いられるシリカ系グラウトであって、原料の一つがシリカ系化合物溶液に練り混ぜ水として塩分を含む水を添加して調製され、このシリカ系化合物溶液に添加する塩分を含む水の量を、シリカ系化合物溶液に含まれるNaOの量と塩分を含む水に含まれる塩分の量とに応じて調整してなることを特徴とするシリカ系グラウト。
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