以下、本発明の各実施の形態について説明する。各図において同一、または相当部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるトランスを示す斜視図であり、図2は図1のコイル体を示す斜視図である。図3は図1のプリント配線板表層における配線パターン及びスルーホールを示す上面図であり、図4は図1のコアを示す斜視図である。図5は図1のコアの断面及び板状金属基板を示す図である。図6は図1の板状金属部材を示す正面図であり、図7は図1の隣接する板状金属部材を示す正面図である。図8は図1の絶縁部材を示す正面図であり、図9は図1の板状金属部材及び絶縁部材を示す正面図である。なお、図1、図2においては、プリント配線板16に搭載された部品は省略されている。
電磁誘導機器であるトランス100は、外鉄式のEE型コアであるコア14と、このコア14のコア中脚部14aを囲む様に設置された一次巻線用の板状金属部材18及び二次巻線用の板状金属部材19を有するコイル体70と、を備えている。外鉄式のEE型コア(E形状の2つのコア部材を突き合わせたコア)であるコア14は、フェライト等の磁性材料であるコア部材12、13からなる。コイル体70は、一次巻線用の板状金属部材18と、二次巻線用の板状金属部材19と、板状金属部材18と板状金属部材19とコア14との間を絶縁すると共に、且つ板状金属部材18、19を保持する絶縁部材25と、表層及び内層に一次巻線用の配線パターン21、及び二次巻線用の配線パターン23が設けられたプリント配線板16を備えている。トランス100は、積層された絶縁部材25の一面が冷却器17に接触するように配置され、固定されている。冷却器17は、例えば内部に冷媒が流通する冷却器である。図1に示したトランス100では、プリント配線板16が冷却器17に接触しない位置、この場合では冷却器17の上面から最も離れた箇所に配置されている。なお、図2は図1におけるA方向に見た斜視図であるが、板状金属部材19の配置を容易に理解できるように、板状金属部材19を表面に配置した図にしている。
図4に示すように、コア14は、E形状の2つのコア部材12、13が、3つの突起部を突き合わせて接続されている。中央の突起部はコア中脚部14aを構成し、端側の突起部はコア側脚部14bを構成している。コア中脚部14aと2つのコア側脚部14bとの間には、2つのコア貫通部14cが形成される。
一次巻線用の板状金属部材18は、例えば規定の電気抵抗値を有する銅材である。プリント配線板16の一次巻線用の配線パターン21は、規定の電気抵抗値を有しており、配線パターン21内には、端が半円状の長穴である一次巻線用のスルーホール20を有している。配線パターン21は、1つのスルーホール20が設けられた素パターン21cと、2つのスルーホール20が設けられた素パターン21dとを有している。図3では、2つの素パターン21cと15個の素パターン21dを有する配線パターン21を示した。なお、素パターン21cに板状金属部材18が接続されないスルーホールがあってもよい。尚、プリント配線板16はガラスエポキシ基板等の絶縁性を有した多層基板であり、基板内層(図示せず)においても、図3に示した表層部における一次巻線用の配線パターン21と同様な配線パターンを有している。また、一次巻線用の配線パターン21は、図示されていない接続部を介して電気的にその他回路、電子部品と接続されている。
一次巻線用の板状金属部材18の2つの端部18a、18bは、それぞれ一次巻線用のスルーホール20を貫通させ、プリント配線板16から一次巻線用の板状金属部材18における2つの端部18a、18bが突き出た状態で半田付けされることで接続される。複数の一次巻線用の板状金属部材18と配線パターン21とは、板状金属部材18が配線パターン21を介して複数回巻かれた一次側のコイル部(一次巻線)を構成している。1枚の板状金属部材18と配線パターン21の素パターン21dは、1回巻かれた素コイルであり、この素コイルが互いに電気的に接続されて、かつ図4に示すコア14のコア中脚部14aに規定数重ねられることで、一次巻線が構成される。図5では、一次巻線を構成する一次巻線用の板状金属部材18と、後述する二次巻線を構成する二次巻線用の板状金属部材19とが、コア14のコア中脚部14aの周囲を巻回して配置される断面図を示した。板状金属部材18及び板状金属部材19は、コア14コア貫通部14cを通過するように配置される。
二次巻線用の板状金属部材19を説明する。二次巻線用の板状金属部材19は、基本的に一次巻線用の板状金属部材18と同じである。板状金属部材18及び板状金属部材19は、図6に示す形状の板状金属部材24を共通部品として使用する。板状金属部材24は、2つの端部24a、24bが中心軸24cに対して非対称性を持った位置に配置された形状を成している。また、図7に示すように、板状金属部材24を一次巻線及び二次巻線用の素コイルとして交互に配置される際に、それぞれの板状金属部材24の端部間(中心軸24c側の2つの端部24b間)は、所定の距離d3が設けられている。
二次巻線用の板状金属部材19は、例えば規定の電気抵抗値を有する銅材である。プリント配線板16の二次巻線用の配線パターン23は、規定の電気抵抗値を有しており、配線パターン23内には、端が半円状の長穴である二次巻線用のスルーホール22を有している。配線パターン23は、1つのスルーホール22が設けられた素パターン23cと、2つのスルーホール22が設けられた素パターン23dとを有している。図3では、2つの素パターン23cと16個の素パターン23dを有する配線パターン23を示した。なお、素パターン23cに板状金属部材19が接続されないスルーホールがあってもよい。尚、プリント配線板16は前述したようにガラスエポキシ基板等の絶縁性を有した多層基板であり、基板内層(図示せず)においても、図3に示した表層部における二次巻線用の配線パターン23と同様な配線パターンを有している。また、二次巻線用の配線パターン23は、図示されていない接続部を介して電気的にその他回路、電子部品と接続されている。
二次巻線用の板状金属部材19の2つの端部19a、19bは、それぞれ二次巻線用のスルーホール22を貫通させ、プリント配線板16から二次巻線用の板状金属部材19における2つの端部19a、19bが突き出た状態で半田付けされることで接続される。複数の二次巻線用の板状金属部材19と配線パターン23とは、板状金属部材19が配線パターン23を介して複数回巻かれた二次側のコイル部(二次巻線)を構成している。1枚の板状金属部材19と配線パターン23の素パターン23dは、1回巻かれた素コイルであり、この素コイルが互いに電気的に接続されて、かつ図4に示すコア14のコア中脚部14aに規定数重ねられることで、二次巻線が構成される。図5に示すように、一次巻線を構成する一次巻線用の板状金属部材18と、二次巻線を構成する二次巻線用の板状金属部材19とが、コア14のコア中脚部14aの周囲を巻回して配置される。板状金属部材18及び板状金属部材19は、コア14コア貫通部14cを通過するように配置される。
この実施の形態では、図5や図7のように、一次巻線用の板状金属部材18と二次巻線用の板状金属部材19とを交互に配置することから、一次巻線用の配線パターン21のスルーホール20と二次側巻線用の配線パターン23のスルーホール22とは、図3に示す様に距離d1だけずらしている。次に、隣接した一次巻線用の配線パターン21と二次巻線用の配線パターン23との間の絶縁距離を考える。図3に記載した破線Bは配線パターン21に接続される板状金属部材18の位置を示しており、破線Cは配線パターン23に接続される板状金属部材19の位置を示している。破線Cと重なる右側のスルーホール22に連結された左側のスルーホール22と、破線Bと重なる右側のスルーホール20の距離がd2になっている。図3に示す様に、隣接した一次巻線用の配線パターン21と二次巻線用の配線パターン23との間の絶縁距離を確保する為に、所定の距離d2が設けられている。板状金属部材18を、半田を介して配線パターン21のスルーホール20に接続することにより、配線パターン21の入力21aから出力21bまで繋がった一次側のコイル部が形成される。同様に、板状金属部材19を、半田を介して配線パターン23のスルーホール22に接続することにより、配線パターン23の入力23aから出力23bまで繋がった二次側のコイル部が形成される。
また、図8、図9に示す絶縁部材25はPPS等の樹脂材料を成型した樹脂部材である。絶縁部材25は、コア14のコア中脚部14aが配置される貫通孔25dが形成されている。また、絶縁部材25は、板状金属部材24と接触する箇所においては板状金属部材24と相似形状にて、板状金属部材24の厚み分を掘り込んで形成された凹部25aが設けられている。板状金属部材24は、端部24a、24bがそれぞれ開口25b、25cから外部に延伸すると共に、絶縁部材25の凹部25a内に納まる形で、すなわち係合するように配置されている。なお、図8、図9における絶縁部材25は板状金属部材19に対応しているので、図8、図9の絶縁部材25における凹部25a、開口25b、25cは板状金属部材19に対応した配置である。板状金属部材18に対応した凹部25a、開口25b、25cの配置は、図8、図9において左右を反転させた配置になる。
このように構成された実施の形態1のトランス100では、一次巻線用の板状金属部材18の端部18a、18bと、二次巻線用の板状金属部材19の端部19a、19bとがそれぞれプリント配線板16内のスルーホール20、22に挿入され、板状金属部材18、19がそれぞれ半田により一次巻線用の配線パターン21、二次巻線用の配線パターン23と接合されている。実施の形態1のトランス100は、冷却器17から離れた位置にプリント配線板16が配置され、板状金属部材18、19とプリント配線板16との接合部、すなわちスルーホール20、22が配置された部分がコイル体70の外周側に配置されるので、外部より接合部の状態が容易に確認することができ、製造の際の目視検査も容易に実施することができる。
また、実施の形態1のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材18の端部18a、18bと、二次巻線用の板状金属部材19の端部19a、19bとをプリント配線板16より突き出すようにすることで、板状金属部材18、19とプリント配線板16との間で形成される接合部における半田フィレット部(図示せず)の形成状態を容易に確認できるので、更に半田フィレット部の目視検査を容易に実施することが可能となる。
また、実施の形態1のトランス100は、一次側巻線用の板状金属部材18の端部18a、18b、及び二次巻線用の板状金属部材19の端部19a、19bが接続されるプリント配線板16が、冷却器17と接触しない面にて配置していることから、プリント配線板16内における配線パターン21、22と板状金属部材18、19との間の接合部前後、すなわち板状金属部材18、19の端部と配線パターン21、23との温度差を抑制できる。このため、実施の形態1のトランス100は、配線パターン21、23と板状金属部材18、19との間の接合部における熱応力に伴う接合不良を抑制することができることから、製品信頼性を高めることができる。
また、一次巻線用の板状金属部材18、二次巻線用の板状金属部材19は、板状に形成された部材であるので、一次巻線及び二次巻線の巻線断面積を大きくすることができることから、実施の形態1のトランス100は、一次側の素コイル及び二次側の素コイルで発生する損失を抑制することができると共に、素コイル間の熱抵抗を低減でき、すなわち放熱性に優れる。また、板状金属部材18、19は製造の際に板金のロール材を打抜き金型にて製作する為、寸法精度を安定させることが可能となる。このため、実施の形態1のトランス100は、寸法精度が安定した板状金属部材18、19を用いるので、漏れインダクタンスのバラツキが抑制でき、一次巻線、二次巻線の損失バラツキを抑制させることができる。また、実施の形態1のトランス100は、放熱性のバラツキも抑制可能となる。
また、一次巻線用の板状金属部材18、二次巻線用の板状金属部材19が1周毎に、すなわち素コイル毎に、スルーホール20、22に接続されることで一次巻線と二次巻線との間隔の寸法精度の安定化が可能となり、実施の形態1のトランス100は、放熱性、漏れインダクタンス及び損失等の電気特性のバラツキを低減させることができる。
また、プリント配線板16をガラスエポキシ基板等の絶縁性を有した多層基板にて構成する場合は、配線パターン21、22を積層することが可能であり、パターン厚みを増加させることができることから、実施の形態1のトランス100は、一次巻線、二次巻線内における配線パターン21、22の配線部での熱損失量を低減させることができる。
また、一次巻線用の板状金属部材18、二次巻線用の板状金属部材19は銅材、例えばタフピッチ銅材とすることで、純銅に近い導電率が得られるので、実施の形態1のトランス100は、一次巻線、二次巻線として低い電気抵抗値と高い放熱性が実現できる。また、タフピッチ銅材は非磁性金属であることから、実施の形態1のトランス100は、自ら発生した漏れ磁束に伴う渦電流の発生、及び渦電流損失を低減させることができる。
また、実施の形態1のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材18、及び二次巻線用の板状金属部材19を交互に配置することで結合度の高いトランスが実現でき、漏れインダクタンスの抑制が可能となる。このため、実施の形態1のトランス100は、漏れインダクタンスが非常に小さくできるので、スイッチング回路にて高周波駆動させる場合における高周波特性を向上させることができ、一次巻線、二次巻線における高周波損失を抑制することが可能となる。実施の形態1のトランス100は、一次巻線及び二次巻線其々の板状金属部材18、19を交互に配置させる構成であることから、結合度の高いトランスが実現でき、漏れ磁束の低減による低損失化も可能となることから、特許文献1のトランスよりも小型化が可能となる。
また、一次巻線用の板状金属部材18及び二次巻線用の板状金属部材19は、図6に示した板状金属部材24を共通に用いているので、図6と同様に端部18a、18b及び19a、19bを中心軸に対して非対称性を持たせた形状とすることで、実施の形態1のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材18、二次巻線用の板状金属部材19を交互で配置した際に、一次巻線用の板状金属部材18、二次巻線用の板状金属部材19の端部18bと端部19bとで距離(空間距離)d3が形成され、トランスに印加される所定電圧に対して絶縁が確保できる。また、実施の形態1のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材18、二次巻線用の板状金属部材19を共通の板状金属部材24で構成することができることから、コスト低減が可能となる。
また、一次巻線用の板状金属部材18と二次巻線用の板状金属部材19との間に配置される絶縁部材25において、板状金属部材18、19と接触する箇所に凹部25aを設け、板状金属部材18、19を絶縁部材25の凹部25a内に納めているので、実施の形態1のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材18と二次巻線用の板状金属部材19との間、及び一次巻線用の板状金属部材18とコア14との間、二次巻線用の板状金属部材19とコア14との間の絶縁を確保することができる。これにより、実施の形態1のトランス100は、板状金属部材18、19、コア14の相互間で絶縁を確保することができるので、トランスとしての性能を安定させることができる。また、実施の形態1のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材18、二次巻線用の板状金属部材19を凹部25a内で保持することが可能となり、且つ、スペース効率が高まることで、トランスの小型化も可能となる。実施の形態1のトランス100は、小型なので更に組立性も高めることができる。
なお、複数の一次巻線用の板状金属部材18、及び複数の二次巻線用の板状金属部材19を、一体物の絶縁部材25の成型の際に同時にインサート成型する部品として形成するようにしてもよい。板状金属部材18、19をインサート成型する場合は、絶縁性を確保することが容易になる。インサート成型により部品を構成する際、冷却器17に対しての保持構造を付加する(図示せず)ことで、実施の形態1のトランス100は、トランスとしての耐振性及び強度を確保することも可能であり、且つ一次巻線用の板状金属部材18と二次巻線用の板状金属部材19との間にそれぞれ個別の絶縁部材25を配置する必要がなくなる為、部品手数削減、コスト低減及び組立作業性向上も実現できる。
また、トランスに印加される所定電圧に対して、互いに隣接する一次巻線用の配線パターン21と二次巻線用の配線パターン23との間で絶縁可能な距離d2を設けることで、実施の形態1のトランス100は、一次巻線と二次巻線との間の絶縁性が確保され、トランスとしての性能を安定化させることができる。
また、プリント配線板16における一次巻線用のスルーホール20、二次巻線用のスルーホール22の形状を長穴にすることで、実施の形態1のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材18、二次巻線用の板状金属部材19の端部18a、18b、19a、19bにおける断面積を低減させることがないので、電気抵抗値の抑制、放熱性の確保が可能となる。また、スルーホール20、22を丸穴で構成する場合では、板状金属部材に対するスルーホール20、22の無駄領域(板状金属部材18、19の端部18a、18b、19a、19bとギャップ空間)が大きくなるが、これに対して実施の形態1のトランス100は、スルーホール20、22が長穴なので、スルーホール20、22のスペース効率が向上し、プリント配線板16を小型にできる。このため、実施の形態1のトランス100は、プリント配線板16を小型にできるので、トランス(装置全体)として、小型化、軽量化、及びそれに伴う低コスト化が可能となる。また、スルーホール20、22における長穴の端を半円状にすることで、製造時にスルーホールの穴開け作業における作業性も良い。
また、実施の形態1のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材18及び二次巻線用の板状金属部材19が接触する絶縁部材25の一面を冷却器17に接触するように配置して固定していることから、一次巻線、二次巻線で発生した損失を絶縁部材経由にて放熱することが可能である。図1では、冷却器17に接触させる絶縁部材25の面は、コイル体70におけるプリント配線板16が配置された面と逆側の面である。また、放熱性を更に高める為に絶縁部材25の材質を高熱伝導グレードの材質に変更することも可能である。
また、冷却器17の冷却面上には配置されていないプリント配線板16における一次巻線用の板状金属部材18及び二次巻線用の板状金属部材19との接合部、すなわち、板状金属部材18、19の端部18a、18b、19a、19bに対して、外部よりファン等により風を当てて冷却を補助的に実施してもよい。
また、コア14の冷却面側(図1におけるコア14の下側)に対向する冷却器17の上部に金属放熱プレート(図示せず)を搭載し、コア14の冷却面側を、金属放熱プレートと直接、若しくはグリス、シート等の放熱部材を介して接触させるようにしてもよい。このようにすることで、実施の形態1のトランス100は、コア14から発生した熱を、金属放熱プレートを介して冷却器17に効率よく放熱することが可能である。
また、冷却器17がアルミ材を鋳造して製作されるアルミダイカストの場合には、コア14の冷却面側(図1におけるコア14の下側)に対向するように、冷却器17に台座(図示せず)を設け、アルミ台座とコア14を直接、若しくはグリス、シート等の放熱部材を介して接触させるようにしてもよい。このようにすることで、実施の形態1のトランス100は、コア14の熱を効率よく放熱することが可能であり、金属放熱プレートを削減することも可能である。したがって、この場合には、金属放熱プレートを削減することも可能であることから、実施の形態1のトランス100は、トランスの部品点数が削減でき、トランスのコスト低減も可能である。
また、上述のように、冷却器17の上部に金属放熱プレートを搭載したり、冷却器17に台座を設けることにより、コア14の放熱性が向上することで、実施の形態1のトランス100は、コア14の放熱面積、及びコア14の体積を小さくすることができる。この為、実施の形態1のトランス100は、コア14の小型化に伴いトランスの体積を小さくすることができ、トランスを構成する部材を小型にかつ軽量にすることがでる。実施の形態1のトランス100は、トランスを構成する部材の小型化、軽量化に伴う低コスト化も可能である。
なお、この実施の形態では、板状金属部材18、19とプリント配線板16との接合部前後、すなわち板状金属部材18、19の端部と配線パターン21、23との温度差を抑制し、かつ熱応力に伴う接合不良を抑制する為に、プリント配線板16を冷却器17と接触させることなく構成している例を説明した。しかし、一次巻線、二次巻線における熱損失量が小さく、接合部前後における温度差が小さい場合、またはトランスとしての熱サイクル回数が少ない等の要因から半田接合部における接触不良が懸念されない場合においては、プリント配線板16を冷却器17に接触させて配置させたトランスを構成することも可能である。プリント配線板16を冷却器17に接触させて配置させる場合には、プリント配線板16より突き出た板状金属部材18、19の端部18a、18b、19a、19bを絶縁放熱シート(図示せず)に接触させ、本シート経由で冷却器17に放熱する構成としてもよい。絶縁放熱シートは、絶縁シートと放熱シートの役割を兼ねたシートである。この場合でも、プリント配線板16を冷却器17に搭載する前に、板状金属部材18、19の端部18a、18b、19a、19bとスルーホール20、22との接合部の状態が容易に確認することができ、製造の際の目視検査も容易に実施することができる。
また、プリント配線板16を冷却器17の面に搭載させる際に、板状金属部材18、19の端部18a、18b、19a、19bをプリント配線板16内のスルーホール20、22から突き出させることなく、端部18a、18b、19a、19bがスルーホール20、22における外周側の端面と一致するようにスルーホール20、22と板状金属部材18、19とを接合させてもよく、または、端部18a、18b、19a、19bがスルーホール20、22の内部にて接合させてもよい。この場合には、プリント配線板16の全面にて絶縁放熱シートへの接触が容易になり、冷却器17への放熱面積を増加させることができることから、このように構成した実施の形態1のトランス100は、放熱性が向上する。また、このように構成した実施の形態1のトランス100は、プリント配線板16の冷却器17への固定が容易となることから、トランス全体としての強度、耐振性も高めることができる。
また、絶縁放熱シートを絶縁部材と放熱部材に分離する構成、例えば冷却器17の表面に絶縁テープ(絶縁部材)を貼り、絶縁テープの上部に放熱グリス又は放熱シートを配置する構成にすることも可能である。また、一次巻線、二次巻線、コア14、又はトランス全体を、熱伝導性及び絶縁性を有したポッティング材にて完全に若しくは部分的に封入することで絶縁を確保しながら放熱する構成でもよい。
また、この実施の形態では、一次巻線、二次巻線の構成要素であるプリント配線板16としてガラスエポキシ基板を用いて説明したが、セラミックベースプリント配線板、又は金属ベースプリント配線板であってもよい。
また、この実施の形態では、一次巻線に対して二次巻線のターン数が多い昇圧トランスとして説明したが、二次巻線に対して一次巻線のターン数が多い降圧トランスに関してもこの発明は適応可能である。また、本トランスでは二次側出力が一つであるが、多出力型の複合トランスであっても、この発明は適用可能である。
また、この実施の形態では、コア14は外鉄式であるEE型コアについて説明したが、EI型、EER型、ER型、PQ型、I型等の外鉄式コア、若しくはU型等の内鉄式コアにおいてもこの発明は適応可能である。
なお、この実施の形態では、板状金属部材18、19に銅系材料を使用したが、非磁性であり金属材料であるアルミ系材料にも適応可能である。また、本実施の形態では、電磁誘導機器として、トランスについて説明したが、リアクトル、チョークコイルであってもよい。また、電磁誘導機器を冷却する冷却手段(冷却装置)の例として、内部に冷媒が流通する冷却器17について説明したが、ヒートシンクであってもよい。
以上のように、実施の形態1の電磁誘導機器(トランス100)は、閉磁路を構成するコア14と、コア14の一部を囲むように配置された複数の金属部材(板状金属部材18、19)がプリント配線板16により接続されたコイル部を有するコイル体70と、を備えた。プリント配線板16は、スルーホール20(22)が設けられた素パターン21c、21d(23c、23d)を複数有する。コイル部は、隣接する金属部材(板状金属部材18、19)を互いに絶縁する絶縁部材25を有し、金属部材(板状金属部材18、19)の2つの端部18a、18b(19a、19b)がそれぞれ異なる素パターンのスルーホール20(22)に挿入されて接続され、金属部材(板状金属部材18、19)の数だけコア14を周回した構造体である。プリント配線板16は、当該電磁誘導機器が実装される冷却器17の実装面に接触しない位置に配置されている。実施の形態1の電磁誘導機器は、複数の金属部材(板状金属部材18、19)を有し、金属部材(板状金属部材18、19)の2つの端部18a、18b(19a、19b)がプリント配線板16のスルーホール20(22)に挿入されて接続されたコイル体70を備えるので、製造の際での検査が容易にでき、製品信頼性が高く、小型で、且つ巻線及びコアの放熱が効率的に行うことができる。
実施の形態1のトランス100は、金属部材(板状金属部材18、19)が、板状に形成された板状金属部材であり、コイル体70は、コイル部を2つ備え、一方のコイル部を一次コイル(一次巻線)とし、他方のコイル部を二次コイル(二次巻線)としたトランスである。実施の形態1のトランス100は、複数の金属部材(板状金属部材18、19)を有し、金属部材(板状金属部材18、19)の2つの端部18a、18b(19a、19b)がプリント配線板16のスルーホール20(22)に挿入されて接続されたコイル体70を備えるので、製造の際での検査が容易にでき、製品信頼性が高く、小型で、且つ巻線及びコアの放熱が効率的に行うことができる。また、実施の形態1のリアクトルは、金属部材(板状金属部材18)が、板状に形成された板状金属部材であり、コイル体70はコイル部を1つ備えたリアクトルである。実施の形態1のリアクトルは、複数の金属部材(板状金属部材18)を有し、金属部材(板状金属部材18)の2つの端部18a、18bがプリント配線板16のスルーホール20に挿入されて接続されたコイル体70を備えるので、製造の際での検査が容易にでき、製品信頼性が高く、小型で、且つ巻線及びコアの放熱が効率的に行うことができる。
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2によるトランスを示す斜視図であり、図11は図10のコイル体を示す斜視図である。図12は図10の板状金属部材を示す正面図であり、図13は図10の隣接する板状金属部材を示す正面図である。図14は図10の絶縁部材を示す正面図であり、図15は図10の板状金属部材及び絶縁部材を示す正面図である。実施の形態2のトランス100は、突起部32dが設けられた一次巻線用の板状金属部材32と突起部34dが設けられた二次巻線用の板状金属部材34を有するコイル体70を備えた点で実施の形態1のトランス100と異なる。なお、図10、図11においては、プリント配線板16に搭載された部品は省略されている。
実施の形態2のトランス100は、図10、図11に示す様に、一次巻線、二次巻線より発生した熱を冷却器17に対して効率よく放熱する構成である。具体的には、一次巻線用の板状金属部材32、及び二次巻線用の板状金属部材34から冷却器17の配置側に延伸した、それぞれ一次巻線用の突起部32d、二次巻線用の突起部34dを設け、それぞれの突起部32d、34dを冷却器17上に配置した絶縁放熱シート103に接触させるようにしている。実施の形態2のコイル体70は、一次巻線用の板状金属部材32と、二次巻線用の板状金属部材34と、板状金属部材32と板状金属部材34とコア14との間を絶縁すると共に、且つ板状金属部材32、34を保持する絶縁部材29と、プリント配線板16を備えている。なお、図11は図10におけるA方向に見た斜視図であるが、板状金属部材34の配置を容易に理解できるように、板状金属部材34を表面に配置した図にしている。
一次巻線用の板状金属部材32の2つの端部32a、32bは、それぞれプリント配線板16のスルーホール20を貫通させ、プリント配線板16から一次巻線用の板状金属部材32における2つの端部32a、32bが突き出た状態で半田付けされることで接続される。同様に、二次巻線用の板状金属部材34の2つの端部34a、34bは、それぞれプリント配線板16のスルーホール22を貫通させ、プリント配線板16から二次巻線用の板状金属部材34における2つの端部34a、34bが突き出た状態で半田付けされることで接続される。
一次巻線用の板状金属部材32及び二次巻線用の板状金属部材34は、実施の形態1と同様に例えば規定の電気抵抗値を有する銅材である。突起部32dを設けた一次巻線用の板状金属部材32及び突起部34dを設けた二次巻線用の板状金属部材34は、図12、図13に示す突起部36dを設けた板状金属部材36を共通部品として使用する。板状金属部材36においても端部36a、36b及び突起部36dを、中心軸36cに対して非対称性を持たせた形状とすることで、図13に示す様に一次巻線、二次巻線の構成要素である板状金属部材36を交互に配置した際、両板状金属部材間に距離d4、距離d5の空間を形成する。距離d4は、一次巻線用の板状金属部材32の端部32bと二次巻線用の板状金属部材34の端部34bとの距離に該当する。距離d5は、一次巻線用の板状金属部材32の突起部32dと二次巻線用の板状金属部材34の突起部34dとの距離に該当する。
また、図14、図15に示す絶縁部材29はPPS等の樹脂材料を成型した樹脂部材である。絶縁部材29は、コア14のコア中脚部14aが配置される貫通孔29eが形成されている。また、絶縁部材29は、板状金属部材36と接触する箇所においては板状金属部材36と相似形状にて、板状金属部材36の厚み分を掘り込んで形成された凹部29aが設けられている。板状金属部材36は、端部36a、36b及び突起部36dがそれぞれ開口29b、29c、29dから外部に延伸すると共に、絶縁部材29の凹部29a内に納まる形で、すなわち係合するように配置されている。なお、図14、図15における絶縁部材29は板状金属部材34に対応しているので、図14、図15の絶縁部材29における凹部29a、開口29b、29c、29dは板状金属部材34に対応した配置である。板状金属部材32に対応した凹部29a、開口29b、29c、29dの配置は、図14、図15において左右を反転させた配置になる。
このように構成することで、実施の形態2のトランス100は、実施の形態1と同様の効果を奏する。また、実施の形態2のトランス100は、一次巻線、二次巻線より発生した損失熱を、突起部34d、36dから絶縁放熱シート103を介して冷却器17へ放熱するので、冷却器17への放熱を実施の形態1よりも効率良く行うことが可能である。また、実施の形態2のトランス100は、一次巻線用の板状金属部材32及び二次巻線用の板状金属部材34を一枚毎に絶縁放熱シート103を介して冷却器17に放熱することができることから、更に放熱性能向上が可能となる。
また、実施の形態2のトランス100は、放熱性が向上することで、一次巻線、二次巻線における投影面積を小さくでき、一次巻線、二次巻線、トランスの体積を小さくさせることができる。したがって、実施の形態2のトランス100は、トランスを構成する部材の小型、軽量化、及びそれに伴う低コスト化も可能となる。また、実施の形態2のトランス100は、板状金属部材32と板状金属部材34との間に距離d4、距離d5の空間を設けることで、一次巻線、二次巻線間の絶縁を確保することができ、トランスとしての性能を安定化させることができる。また、実施の形態2のトランス100は、板状金属部材32における端部32a、32b、突起部32dと、板状金属部材34における端部34a、34b、突起部34dとが外部に延伸すると共に、絶縁部材29の凹部29a内に納まる形で板状金属部材32、34が配置されているので、絶縁部材29の厚みを増加させることなく、構成することができる。
実施の形態3.
図16は本発明の実施の形態3によるトランスを示す斜視図であり、図17は図16のコイル体を示す斜視図である。図18は図16のコイル体を示す正面図である。図19は、図16のプリント配線板表層における配線パターン及びスルーホールを示す上面図である。図20は図16の板状金属部材を示す正面図であり、図21は図16の隣接する板状金属部材を示す正面図である。尚、図16、図17においては、プリント配線板41、42に搭載された回路、部品等は省略されている。
電磁誘導機器である実施の形態3のトランス100は、一次巻線、二次巻線それぞれに一次巻線用のプリント配線板41、二次巻線用のプリント配線板42が配置されたコイル体70を備え、一次巻線用のプリント配線板41及び二次巻線用のプリント配線板42が冷却器17に接触しない箇所であり、且つ対称となる位置関係に配置された構成としている。実施の形態3のコイル体70は、一次巻線用の板状金属部材45と、二次巻線用の板状金属部材46と、板状金属部材45と板状金属部材46とコア14との間を絶縁すると共に、且つ板状金属部材45、46を保持する絶縁部材43と、表層及び内層に配線パターン50が設けられたプリント配線板41、42を備えている。なお、図17は図16におけるA方向に見た斜視図であるが、板状金属部材46の配置を容易に理解できるように、板状金属部材46を表面に配置した図にしている。
一次巻線用の板状金属部材45には、プリント配線板41に接続する端部45a、45bが設けられると共に、実施の形態2と同様に巻線放熱用の突起部45dが設けられている。また、二次巻線用の板状金属部材46には、プリント配線板42に接続する端部46a、46bが設けられると共に、実施の形態2と同様に巻線放熱用の突起部46dが設けられている。実施の形態3のトランス100は、一次巻線用のプリント配線板41、二次巻線用のプリント配線板42が、冷却器17に対して接触させない位置にて配置されると共に、一次巻線用の突起部45d、二次巻線用の突起部46dが冷却器17上に配置された絶縁放熱シート103に接触させて、冷却器17に固定されている。
図19に、一次巻線、二次巻線を構成するプリント配線板41、42の表層に配置された配線パターン50及びスルーホール49を模式的に示した。配線パターン50は、1つのスルーホール49が設けられた素パターン50cと、2つのスルーホール49が設けられた素パターン50dとを有している。図19では、2つの素パターン50cと15個の素パターン50dを有する配線パターン50を示した。なお、素パターン50cに板状金属部材45、46が接続されないスルーホールがあってもよい。本実施の形態におけるプリント配線板41には一次巻線用の配線パターン50が配置され、本実施の形態におけるプリント配線板42には二次巻線用の配線パターン50が配置される。一次巻線用のプリント配線板41には一次巻線用の板状金属部材45が接合され、二次巻線用のプリント配線板42には二次巻線用の板状金属部材46が接合される。なお、昇圧トランスの場合は、一次巻線用の配線パターン50に対して二次巻線用の配線パターン50のターン数が多い、すなわち二次巻線用の素パターン50dの数が一次巻線用の素パターン50dの数よりも多くする。また、降圧トランスの場合は、二次巻線用の配線パターン50に対して一次巻線用の配線パターン50のターン数が多い、すなわち一次巻線用の素パターン50dの数が二次巻線用の素パターン50dの数よりも多くする。プリント配線板41、42と板状金属部材45、46の接合は、次のように行う。
一次巻線用の板状金属部材45の2つの端部45a、45bは、それぞれプリント配線板41のスルーホール49を貫通させ、プリント配線板41から一次巻線用の板状金属部材45における2つの端部45a、45bが突き出た状態で半田付けされることで接続される。同様に、二次巻線用の板状金属部材46の2つの端部46a、46bは、それぞれプリント配線板42のスルーホール49を貫通させ、プリント配線板42から二次巻線用の板状金属部材46における2つの端部46a、46bが突き出た状態で半田付けされることで接続される。
一次巻線用の板状金属部材45及び二次巻線用の板状金属部材46は、実施の形態1と同様に例えば規定の電気抵抗値を有する銅材である。突起部45dを設けた一次巻線用の板状金属部材45及び突起部46dを設けた二次巻線用の板状金属部材46は、図20、図21に示す突起部51dを設けた板状金属部材51を共通部品として使用する。板状金属部材51の端部51a、51bは、中心軸51cに対して対称性を持たせた配置にて形成している。
板状金属部材45を、半田を介してプリント配線板41における配線パターン50のスルーホール49に接続することにより、配線パターン50の入力50aから出力50bまで繋がった一次側のコイル部、すなわち板状金属部材45が配線パターン50を介して複数回巻かれた一次巻線が形成される。同様に、板状金属部材46を、半田を介してプリント配線板42における配線パターン50のスルーホール49に接続することにより、配線パターン50の入力50aから出力50bまで繋がった二次側のコイル部、すなわち板状金属部材46が配線パターン50を介して複数回巻かれた二次巻線が形成される。絶縁部材43はPPS等の樹脂材料を成型した樹脂部材である。絶縁部材43は、コア14のコア中脚部14aが配置される貫通孔43aが形成されている。また、絶縁部材43は、板状金属部材51と接触する箇所においては板状金属部材51と相似形状にて、板状金属部材51の厚み分を掘り込んで形成された凹部が設けられている。板状金属部材51は、端部51a、51b及び突起部51dが外周部に設けられた3つの開口から外部に延伸すると共に、絶縁部材43の凹部内に納まる形で、すなわち係合するように配置されている。なお、絶縁部材43の凹部は、図14の凹部29aに相当する。絶縁部材43の3つの開口は、位置は異なるが、それぞれ図14の開口29b、29c、29dに相当する。
図17、図18、図21のように、一次巻線用の板状金属部材45と二次巻線用の板状金属部材46とは交互に配置される。絶縁部材43を介在させることにより互いに絶縁された一次側のコイル部と二次側のコイル部は、1回巻かれた素コイル毎に交互に差し込まれる様に積層される。なお、図21の破線58は、下側に配置された板状金属部材51における隠れた外周部を示している。コイル体70は、一次側のコイル部(一次巻線)と二次側のコイル部(二次巻線)とが交互に配置されたコイル体として構成している。一次巻線用の板状金属部材45、及び二次巻線用の板状金属部材46の共通部品である板状金属部材51は、コイル体70を形成するために端部51a、51bの位置を変えた状態で交互に配置される際、図21に示す様に端部51a、51bが延伸する延伸部(図20の破線104、105で囲んだ部分)において、放熱用の突起部51d、端部51a、51bの先端部分を除いて全ての領域が、重なる形状になる様に、形成されている。このようにすることで、図21のように2つの板状金属部材51を重ねると、コア中脚部14aを囲む部分の外周、すなわちコイルの結合度に強く影響する実効コイル外周は、以下のようになる。2つの延伸部を繋いでいる部分を連結部とする。2つの板状金属部材51の連結部の外周と、2つの板状金属部材51の延伸部の重なり部分の外周とを合わせた外周が実効コイル外周になる。実効コイル外周は、図21では上側の板状金属部材51から外周部58より外側を除き、かつ下側の板状金属部材51の連結部の外周を合わせた部分になる。
このように構成することで、実施の形態3のトランス100は、実施の形態1と同様の効果を奏する。また、実施の形態3のトランス100では、板状金属部材51の2つの端部51a、51bを中心軸51cに対して対称性を持たせていることから、実施の形態1、2のコイル体70と異なり、交互に積層された一次巻線用の板状金属部材45と二次巻線用の板状金属部材46とが、端部が延伸する延伸部(図20参照)において、ほぼ全ての領域にて重なっており、板状金属部材45の延伸部及び板状金属部材46の延伸部において、板状金属部材45の延伸部と板状金属部材46の延伸部とが重なる部分からはみ出す部分を極力少なくすることができる。このようにすることで、コア中脚部14aを囲む板状金属部材45、46の実効コイル外周からはみ出す部分を極力少なくすることができる。したがって、実施の形態3のトランス100は、板状金属部材45、46の実効コイル外周からはみ出す部分を極力少なくすることができるので、一次巻線と二次巻線との間での結合度を実施の形態1及び2のトランス100よりも高めることができ、漏れインダクタンス及び電気抵抗値の高周波数特性に関して非常に有効であり、一次巻線、二次巻線の高周波成分における熱損失量の更なる低減が可能となる。
また、実施の形態3のトランス100は、熱損失量が低減し、放熱性が高まることにより、更に小型化、軽量化が可能となり、それに伴う低コスト化も実現可能となる。また、実施の形態3のコイル体70を構成する板状金属部材51は、2つの端部51a、51bを中心軸51cに対して対称性を持たせ、端部51a、51bが配置される側を開放形状としたので、板状金属部材51を製造する際に、具体的には板金ロール材からプレス機にて打抜いて製作する際に、一方の板状金属部材51の連結部の近くに他方の板状金属部材51の端部51a、51bを配置することができるので、部品取数を高めることができる。実施の形態3の板状金属部材51は、1つの板金ロール材から製造できる部品取数が高いので、板状金属部材51のコスト低減が可能となる。
なお、本実施の形態では、コア14のコア貫通部14cにコイル体70の一次巻線用のプリント配線板41及び板状金属部材45と、二次巻線用のプリント配線板42及び板状金属部材46とが内包するように配置され、かつ突起部45d、46dが冷却器17上に配置された絶縁放熱シート103に接触させて、冷却器17に固定されている例を示した。しかし、一次巻線、二次巻線における熱損失量が小さく自然空冷にて放熱可能な場合等は、図22に示す様に、コア14の一面を冷却器17に接触するように配置して固定してもよい。図22は、本発明の実施の形態3による他のトランスを示す斜視図である。なお、図22においては、プリント配線板16に搭載された部品は省略されている。
図22では、板状金属部材45、46において突起部45d、46dがないトランス100の例を示した。また、図22のようにコア14の一面を冷却器17に接触するように配置して固定したトランス100であっても、この形状にて巻線(板状金属部材45、46)の放熱を冷却器17経由で行うことが必要な場合には、コア14の外部に露出している板状金属部材45、46の箇所に突起部を設けて、この突起部が絶縁放熱シート103を介して冷却器17に固定するようにしてもよい。
なお、この実施の形態では、コア14は外鉄式であるEE型コアについて説明したが、EI型、EER型、ER型、PQ型、I型等の外鉄式コア、若しくはU型等の内鉄式コアにおいてもこの発明は適応可能である。
実施の形態4.
図23は本発明の実施の形態4によるコイル体を示す斜視図であり、図24は図23のコイル体を示す正面図である。図25は、図23のプリント配線板表層における配線パターン及びスルーホールを示す上面図である。図26は図23の板状金属部材を示す正面図であり、図27は図23の隣接する板状金属部材を示す正面図である。実施の形態4のコイル体70は、実施の形態3のコイル体70における一次巻線用の板状金属部材45、二次巻線用の板状金属部材46の両端部の幅を増加させた一次巻線用の板状金属部材53、二次巻線用の板状金属部材54を備えたコイル体である。なお、図23においては、プリント配線板16に搭載された部品は省略されている。
実施の形態4のコイル体70は、一次巻線用の板状金属部材53と、二次巻線用の板状金属部材54と、板状金属部材53と板状金属部材54とコア14との間を絶縁すると共に、且つ板状金属部材53、54を保持する絶縁部材74と、表層及び内層に配線パターン56が設けられたプリント配線板41、42を備えている。実施の形態4のコイル体70を備えた実施の形態4のトランス100(図示せず)は、図16のコイル体70を図23のコイル体70に変更した構成である。すなわち、実施の形態4のトランス100は、一次巻線用のプリント配線板41及びプ二次巻線用のプリント配線板42が冷却器17に接触しない箇所であり、且つ対称となる位置関係に配置された構成である。
一次巻線用の板状金属部材53には、プリント配線板41に接続する端部53a、53bが設けられると共に、巻線放熱用の突起部53dが設けられている。また、二次巻線用の板状金属部材54には、プリント配線板42に接続する端部54a、54bが設けられると共に、巻線放熱用の突起部54dが設けられている。
図25に、一次巻線、二次巻線を構成するプリント配線板41、42の表層に配置された配線パターン56及びスルーホール55を模式的に示した。配線パターン56は、1つのスルーホール55が設けられた素パターン56cと、2つのスルーホール55が設けられた素パターン56dとを有している。図25では、2つの素パターン56cと15個の素パターン56dを有する配線パターン56を示した。なお、素パターン56cに板状金属部材53、54が接続されないスルーホールがあってもよい。本実施の形態におけるプリント配線板41には一次巻線用の配線パターン56が配置され、本実施の形態におけるプリント配線板42には二次巻線用の配線パターン56が配置される。一次巻線用のプリント配線板41には一次巻線用の板状金属部材53が接合され、二次巻線用のプリント配線板42には二次巻線用の板状金属部材54が接合される。なお、昇圧トランスの場合は、一次巻線用の配線パターン56に対して二次巻線用の配線パターン56のターン数が多い、すなわち二次巻線用の素パターン56dの数が一次巻線用の素パターン56dの数よりも多くする。また、降圧トランスの場合は、二次巻線用の配線パターン56に対して一次巻線用の配線パターン56のターン数が多い、すなわち一次巻線用の素パターン56dの数が二次巻線用の素パターン56dの数よりも多くする。プリント配線板41、42と板状金属部材53、54の接合は、次のように行う。
一次巻線用の板状金属部材53の2つの端部53a、53bは、それぞれプリント配線板41のスルーホール55を貫通させ、プリント配線板41から一次巻線用の板状金属部材53における2つの端部53a、53bが突き出た状態で半田付けされることで接続される。同様に、二次巻線用の板状金属部材54の2つの端部54a、54bは、それぞれプリント配線板42のスルーホール55を貫通させ、プリント配線板42から二次巻線用の板状金属部材54における2つの端部54a、54bが突き出た状態で半田付けされることで接続される。
一次巻線用の板状金属部材53及び二次巻線用の板状金属部材54は、実施の形態3と同様に例えば規定の電気抵抗値を有する銅材である。突起部53dを設けた一次巻線用の板状金属部材53及び突起部54dを設けた二次巻線用の板状金属部材54は、図26、図27に示す突起部57dを設けた板状金属部材57を共通部品として使用する。板状金属部材57の端部57a、57bは、中心軸57cに対して対称性を持たせた配置にて形成している。板状金属部材57の端部57a、57bは、実施の形態3の板状金属部材51の端部51a、51bよりも幅が広くなっている。これに対応してプリント配線板41、42のスルーホール55は、実施の形態3のスルーホール49よりも長手方向の長さが長くなり、すなわちスルーホールの開口が広くなっている。
板状金属部材53を、半田を介してプリント配線板41における配線パターン56のスルーホール55に接続することにより、配線パターン56の入力56aから出力56bまで繋がった一次側のコイル部、すなわち板状金属部材53が配線パターン56を介して複数回巻かれた一次巻線が形成される。同様に、板状金属部材54を、半田を介してプリント配線板42における配線パターン56のスルーホール55に接続することにより、配線パターン56の入力56aから出力56bまで繋がった二次側のコイル部、すなわち板状金属部材54が配線パターン56を介して複数回巻かれた二次巻線が形成される。絶縁部材74はPPS等の樹脂材料を成型した樹脂部材である。絶縁部材74は、コア14のコア中脚部14aが配置される貫通孔74aが形成されている。また、絶縁部材74は、板状金属部材57と接触する箇所においては板状金属部材57と相似形状にて、板状金属部材57の厚み分を掘り込んで形成された凹部が設けられている。板状金属部材57は、端部57a、57b及び突起部57dが外周部に設けられた3つの開口から外部に延伸すると共に、絶縁部材74の凹部内に納まる形で、すなわち係合するように配置されている。なお、絶縁部材74の凹部は、図14の凹部29aに相当する。絶縁部材74の3つの開口は、位置及び幅は異なるが、それぞれ図14の開口29b、29c、29dに相当する。
図23、図24、図27のように、一次巻線用の板状金属部材53と二次巻線用の板状金属部材54とは交互に配置される。絶縁部材74を介在させることにより互いに絶縁された一次側のコイル部と二次側のコイル部は、1回巻かれた素コイル毎に交互に差し込まれる様に積層される。なお、図27の破線58は、下側に配置された板状金属部材57における隠れた外周部を示している。コイル体70は、一次側のコイル部(一次巻線)と二次側のコイル部(二次巻線)とが交互に配置されたコイル体として構成している。一次巻線用の板状金属部材53、及び二次巻線用の板状金属部材54の共通部品である板状金属部材57は、コイル体70を形成するために端部57a、57bの位置を変えた状態で交互に配置される際、図27に示す様に端部57a、57bが延伸する延伸部(図26の破線104、105で囲んだ部分)において、放熱用の突起部57d、端部57a、57bの先端部分を除いて全ての領域が重なる形状になる様に、形成されている。このようにすることで、図27のように2つの板状金属部材57を重ねると、2つの板状金属部材57の連結部の外周と、2つの板状金属部材57の延伸部の重なり部分の外周とを合わせた外周が実効コイル外周になる。実効コイル外周は、図27では上側の板状金属部材57から外周部58より外側を除き、かつ下側の板状金属部材57の連結部の外周を合わせた部分になる。
このように構成することで、実施の形態4のコイル体70を備えたトランス100は、実施の形態1と同様の効果を奏する。また、実施の形態4のコイル体70では、実施の形態3と同様に、板状金属部材57の2つの端部57a、57bを中心軸57cに対して対称性を持たせていることから、実施の形態1、2のコイル体70と異なり、交互に積層された一次巻線用の板状金属部材53と二次巻線用の板状金属部材54とが、端部が延伸する延伸部(図26参照)において、全ての領域にて重なっており、板状金属部材53の延伸部及び板状金属部材54の延伸部において、板状金属部材53の延伸部と板状金属部材54の延伸部とが重なる部分からはみ出す部分を極力少なくすることができる。このようにすることで、コア中脚部14aを囲む板状金属部材53、54の実効コイル外周からはみ出す部分を極力少なくすることができる。したがって、実施の形態4のトランス100は、板状金属部材53、54の実効コイル外周からはみ出す部分を極力少なくすることができるので、一次巻線と二次巻線との間での結合度を実施の形態1及び2のトランス100よりも高めることができ、漏れインダクタンス及び電気抵抗値の高周波数特性に関して非常に有効であり、一次巻線、二次巻線の高周波成分における熱損失量の更なる低減が可能となる。また、実施の形態4のトランス100は、熱損失量が低減し、放熱性が高まることにより、更に小型化、軽量化が可能となり、それに伴う低コスト化も実現可能となる。
また、実施の形態4のトランス100は、実施の形態3のトランス100よりも更なる低損失化を図る手法として、特にコイル体70における一次巻線、二次巻線の直流電気抵抗値分の熱損失を低減させる手法を採用した。一次巻線、二次巻線の直流電気抵抗値分の熱損失を低減させるには、図23、図24に示す様に一次巻線用の板状金属部材53、二次巻線用の板状金属部材54の端部53a、53b、54a、54bの幅を増加させることが有効である。また、図26、図27に示す様に、板状金属部材57の2つの端部57a、57bの距離を小さくすることで、板状金属部材57が挿入されて接合される配線パターン56のスルーホール55間の配線部の長さが小さくなり、配線パターン56における直流電気抵抗値を低減させることができる。したがって、実施の形態4のコイル体70は、配線パターン56における直流電気抵抗値を低減させることができるので、一次巻線、二次巻線における熱損失量における直流電気抵抗成分を低減することが可能となる。
実施の形態5.
図28は、本発明の実施の形態5によるコイル体を示す斜視図である、図29は図28の板状金属部材を示す正面図であり、図30は図29の板状金属部材における端部形状の一例を示す正面図である。図31は図29の板状金属部材における他の端部形状を示す正面図であり、図32は図29の板状金属部材における更に他の端部形状を示す正面図である。
図28に示した実施の形態5のコイル体70は、図2に示した実施の形態1のコイル体70における一次巻線用の板状金属部材18及び二次巻線用の板状金属部材19を、一次巻線用の板状金属部材59及び二次巻線用の板状金属部材59に変更したコイル体である。他の構成は、実施の形態1と同じである。図29に示した板状金属部材59は、2つの端部59a、59bが中心軸59cに対して非対称性を持った位置に配置された形状を成している。2つの端部59a、59bには、それぞれ2つの凹部75が形成されている。
図29において円80で囲んだ板状金属部材59の端部59aを、図30に示した。図30では、プリント配線板16に対する凹部75の位置が分かるように、プリント配線板16を破線で示した。実施の形態1における板状金属部材18、19の共通部品である板状金属部材24では、端部24aの外周及び端部24bの外周はフラットな矩形状をしている(図6参照)。これに対して、板状金属部材59の端部59aの外周には、凹部75が設けられている。図29、30では、プリント配線板16のスルーホール20、22(図3参照)に挿入される先端から内側でかつ端部の延伸方向(図29において上方向)に垂直な幅方向の両側面に、凹部75が設けられた例を示した。
前述したように、実施の形態1の板状金属部材24は、端部24aの外周及び端部24bの外周がフラットな矩形状をしている。このため、板状金属部材24における熱容量が大きく、且つ広い表面積を有していることから、半田付けによりプリント配線板16と板状金属部材24とを接合する際、板状金属部材が半田溶融温度まで昇温しない、又は昇温するまでには多大な時間を必要とする場合もある。これに対しては、凹部75が設けられた端部59aは、局部的に板状金属部材59の断面積が低減するので、この部分で局部的に熱抵抗が増加し、半田付けの際に端部59aの昇温を容易に実施することが可能となる。
半田付けによりプリント配線板16と板状金属部材59とを接合する際に、端部59aの昇温を容易に実施することができる形状は、図30の形状以外も考えられる。例えば、図31で示す様に先端に凹部76を設けて、先端を分割した端部59aや、図32に示す様に図30、図31の両形式の凹部75及び凹部76を設けた端部59aでもよい。図31、図32の端部59aも、局部的に板状金属部材59の断面積が低減するので、局部的に熱抵抗が増加し、半田付けの際昇温を容易に実施することが可能となる。また、端部外周に凹部を設ける方式以外にも、端部金属部品内に穴を設けること(図示せず)で断面積を局所的に低減させる方式でもよい。
以上のように、実施の形態5のコイル体70は、一次巻線及び二次巻線を構成する板状金属部材59が端部59a、59bにおいて、凹部75や凹部76を設けたので、局部的に板状金属部材59の断面積が低減した部分で熱抵抗が増加し、半田付けによりプリント配線板16と板状金属部材59とを接合する際に端部59aの昇温を容易に実施することが可能となる。したがって、実施の形態5のコイル体70は、板状金属部材59が半田溶融温度まで昇温でき、又は昇温するまでの時間を実施の形態1よりも短縮することができる。
実施の形態6.
図33は、本発明の実施の形態6によるコイル体を示す斜視図である、図34は図33の板状金属部材を示す正面図であり、図35は図34の板状金属部材における端部形状の一例を示す正面図である。図36は図34の板状金属部材における他の端部形状を示す正面図であり、図37は図34の板状金属部材における更に他の端部形状を示す正面図である。
図33に示した実施の形態6のコイル体70は、図17に示した実施の形態3のコイル体70における一次巻線用の板状金属部材45及び二次巻線用の板状金属部材46を、一次巻線用の板状金属部材62及び二次巻線用の板状金属部材62に変更したコイル体である。他の構成は、実施の形態3と同じである。図34に示した板状金属部材62は、突起部62dを有しており、かつ2つの端部62a、62bが中心軸62cに対して対称性を持った位置に配置された形状を成している。2つの端部62a、62bには、それぞれ2つの凹部75が形成されている。
図34において円81で囲んだ板状金属部材62の端部62aを、図35に示した。図35では、プリント配線板41に対する凹部75の位置が分かるように、プリント配線板41を破線で示した。実施の形態3における板状金属部材45、46の共通部品である板状金属部材51では、端部51aの外周及び端部51bの外周はフラットな矩形状をしている(図20参照)。これに対して、板状金属部材62の端部62aの外周には、凹部75が設けられている。図34、35では、プリント配線板41のスルーホール49(図19参照)に挿入される先端から内側でかつ端部の延伸方向(図34において右方向)に垂直な幅方向の両側面に、凹部75が設けられた例を示した。
前述したように、実施の形態3の板状金属部材51は、端部51aの外周及び端部51bの外周がフラットな矩形状をしている。このため、板状金属部材51における熱容量が大きく、且つ広い表面積を有していることから、半田付けによりプリント配線板41、42と板状金属部材51とを接合する際、板状金属部材が半田溶融温度まで昇温しない、又は昇温するまでには多大な時間を必要とする場合もある。これに対しては、凹部75が設けられた端部62aは、局部的に板状金属部材62の断面積が低減するので、この部分で局部的に熱抵抗が増加し、半田付けの際に端部62aの昇温を容易に実施することが可能となる。
半田付けによりプリント配線板41、42と板状金属部材62とを接合する際に、端部62aの昇温を容易に実施することができる形状は、図35の形状以外も考えられる。例えば、図36で示す様に先端に凹部76を設けて、先端を分割した端部62aや、図37に示す様に図35、図36の両形式の凹部75及び凹部76を設けた端部62aでもよい。図36、図37の端部62aも、局部的に板状金属部材62の断面積が低減するので、局部的に熱抵抗が増加し、半田付けの際昇温を容易に実施することが可能となる。また、端部外周に凹部を設ける方式以外にも、端部金属部品内に穴を設けること(図示せず)で断面積を局所的に低減させる方式でもよい。
以上のように、実施の形態6のコイル体70は、一次巻線及び二次巻線を構成する板状金属部材62が端部62a、62bにおいて、凹部75や凹部76を設けたので、局部的に板状金属部材62の断面積が低減した部分で熱抵抗が増加し、半田付けによりプリント配線板41、42と板状金属部材62とを接合する際に端部62aの昇温を容易に実施することが可能となる。したがって、実施の形態6のコイル体70は、板状金属部材62が半田溶融温度まで昇温でき、又は昇温するまでの時間を実施の形態3よりも短縮することができる。
なお、実施の形態1〜6では、電磁誘導機器として、トランスについて説明したが、リアクトル、チョークコイルであってもよい。また、本発明は、矛盾のない範囲内において、各実施の形態の内容を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。