以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面には必要に応じてX軸、Y軸及びZ軸を記載している。
図1は、本発明の実施形態に係る電源装置の概略構成を説明する斜視図である。また、図2は、図1の電源装置の分解斜視図である。本実施形態で説明する電源装置としては、例えば、入力端子に接続された高圧バッテリから入力された直流電圧を電圧変換(降圧)し、所望の直流出力電圧を生成するスイッチング電源装置等が挙げられる。
本実施形態に係る電源装置1は、筐体10、主回路基板20(回路基板)、第1巻線部品30、第2巻線部品40、第1放熱板50及び第2放熱板60を含んで構成される。電源装置1は、主回路基板20と、第1巻線部品30及び第2巻線部品40を含む電子部品とがケースに収容された構成を備える。具体的には、入力コンデンサ、スイッチング素子、メイントランス、チョークコイル、出力コンデンサ等が収容され、これらの部品がバスバーやプリント基板のパターン等の導電部材により接続されることで、例えばDC−DCコンバータとして機能する。
電源装置1では、筐体10内に第1巻線部品30が取り付けられた主回路基板20を収容した後、第1放熱板50をその上部に取り付けられる。さらに、第2巻線部品40が第1放熱板50上に取り付けられた後に、第2放熱板60により第2巻線部品40が覆われた構成となっている。以下、電源装置1を構成する各部材の構成及びその組立方法について説明する。
図1及び図2に示すように、筐体10は、底面を形成するベースプレート11とベースプレート11を取り囲む側壁12とを含んで構成され、電源装置1の金属製ケースの一部として機能する。電源装置1では、筐体10の内部に上記の電子部品を収容されるが、第1放熱板50及び第2放熱板60が金属製ケースのカバーとしても機能する。
筐体10のベースプレート11の裏面側(図1の下側:素子や基板が固定される面とは逆の面側)には、Y軸方向に延びる放熱用のフィン13が取り付けられる。ベースプレート11の裏面に設けられる放熱用のフィン13は、ベースプレート11の四方を囲む側壁12のうちX軸方向に沿って延びて対向配置された側壁12A,12Bの外側にも連続している。放熱用のフィン13は、筐体10の外部においてベースプレート11の裏面側を冷却する空気がY軸方向に移動する際の流路として機能する。また、側壁12A,12Bにおいては、筐体10の外部において空気が放熱用のフィン13に沿ってZ軸方向に移動する際の流路として機能する。放熱用のフィン13の間を空気が移動することで、放熱用のフィン13が空冷される。これにより、ベースプレート11の表面側に固定された電源装置1の各素子において発生する熱がベースプレート11及び側壁12A,12Bに伝熱し、ベースプレート11の裏面側及び側壁12A,12Bの外側から外部に放熱される。このように、ベースプレート11及び側壁12A,12Bは、放熱機能を有するヒートシンクとしても機能する。
なお、放熱用のフィン13は、ベースプレート11及び側壁12A,12Bとは異なる部材から構成されていてもよいし、同一の部材から構成されていてもよい。また、ベースプレート11及び側壁12A,12Bに取り付けられる放熱用のフィン13は、本実施形態のように連続していなくてもよい。また、空冷による放熱用のフィン13を取り付ける構成に代えて、ベースプレート11の裏面側に水冷用の冷却液流路を設けて、ベースプレート11を水冷することで、ベースプレート11の裏面側から外部に放熱する構成としてもよい。
筐体10には、筐体10の内外の回路を電気的に接続する入力端子15及び出力端子16が取り付けられる。入力端子15から直流電圧を入力し、電圧変換(降圧)した後に出力端子16から出力する。本来、入力端子15及び出力端子16は、第1巻線部品30が取り付けられた主回路基板20を筐体10内に収容した後に筐体10に対して取り付けられるが、図2及び図6では、筐体10に対して入力端子15及び出力端子16が先に取り付けられた状態を示している。
主回路基板20及び第1巻線部品30について、図3を参照しながらさらに説明する。筐体10内に収容される主回路基板20は、例えば、樹脂等の絶縁材料からなるベース板の表裏面に導体からなる回路パターンを形成し、さらに樹脂等の絶縁材料によって回路パターンを覆うことにより形成される。本実施形態では、主回路基板20はXY平面に沿って延びる長方形状をなしている。主回路基板20として、絶縁材料と回路パターン(導体層)とが交互に積層された多層基板を用いてもよい。回路パターンの導体は、主回路基板20に対して接続する半導体素子等の電子部品に対して接続されて、電源装置1における電源回路を構成する。本実施形態における主回路基板20には、巻線部品におけるコイルのパターンも形成されている。
主回路基板20は、筐体10のベースプレート11上に載置されている。平面視において筐体10の大きさは主回路基板20の形状に対応したものとされているが、筐体10の形状は適宜変更することができる。
第1巻線部品30は、主回路基板20に取り付けられる電子部品の1つである。電源装置1では、メイントランスとして機能する第1巻線部品30のほか、1次側のチョークコイルである共振インダクタ35を構成する一対の磁性体コア36が搭載されている。その他、主回路基板20には、入力フィルタ、整流素子、スイッチング素子等、種々の電子部品が主回路基板20に搭載されるが、本実施形態では、電源装置1における特徴的な構成である第1巻線部品30、共振インダクタ35及び後述の第2巻線部品40について抜粋して説明する。
主回路基板20上の第1巻線部品30は、1次側と2次側との間に配置されるメイントランスを構成する。第1巻線部品30は、一対の磁性体コア31(第1磁性体コア)と、主回路基板20に形成されたパターンコイル32(図3参照)とを含んで構成される。
メイントランスとして機能する第1巻線部品30を構成する磁性体コア31は、所謂EI型の磁性体コアを構成している。具体的には、主回路基板20の上方側にY軸方向が長手方向となるようにE型コア31Aを配置し、下方側にI型コア31B(図14参照)を配置している。主回路基板20には、E型コア31Aの脚部を挿通させるための3つの開口21A,21B,21CがY軸方向に沿って設けられている。E型コア31Aの3つの脚部は、それぞれ開口21A,21B,21Cに対して挿入される。主回路基板20内には、中央の開口21Bの周囲を巻回するように、1次側及び2次側のパターンコイル32(図3参照)が形成されると共に、パターンコイル部分の上流側及び下流側の回路パターン(図示せず)が形成される。パターンコイル32におけるコイルの巻数は特に限定されない。なお、共振インダクタ35を構成する磁性体コア36も第1巻線部品30と同様の所謂EI型の磁性体コアであり、E型コア36A及びI型コア36B(図14参照)から構成されている。
なお、図2に示すように、主回路基板20を載置する筐体10のベースプレート11は、主回路基板20の裏面側と可能な限り熱的に接続可能とされている。ベースプレート11と主回路基板20との熱的な接続を行うため、両者の間にサーマルコンパウンド等を塗布してもよい。また、図2及び図6等に示すように、本実施形態の電源装置1では、第1巻線部品30のI型コア31Bを収容可能な凹部17と、共振インダクタ35のI型コア36Bを収容可能な凹部18と、を形成する。これにより、凹部17,18との段差を利用して主回路基板20の裏面側とベースプレート11の表面とを熱的に接続している。
以下の電源装置1に係る説明においても、特定の部材の間を「熱的に接続」する構成について説明する場合がある。本実施形態において「熱的に接続」するとは、部材間の熱量の移動が可能な状態となることをいう。この場合、特定の部材の間に、熱量の移動が可能な他の部材を挟んだ状態であっても熱量の移動が可能であれば、「熱的に接続」された状態であるということができる。熱量の移動が可能な他の部材としては、例えば、絶縁性の伝熱シート、サーマルコンパウンド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、主回路基板20及び第1巻線部品30上に取り付けられる第1放熱板50について、図4及び図5等を参照しながら説明する。
第1放熱板50は、略平板状の部材であるが、主回路基板20上に取り付けられる電子部品の形状に応じた凹凸を有している。具体的には、第1放熱板50は、入力端子15側から、第1平板部51と、平板部よりも下方(主回路基板20側)に突出して主回路基板20のパターンコイル32に対して熱的に接続する溝部52と、溝部52に連続して形成され主回路基板20上の第1巻線部品30の磁性体コア31と熱的に接続するコア当接部53と、第2巻線部品40の取り付け位置となる巻線部品収容部54と、巻線部品収容部54から出力端子16側へ延在する第2平板部55と、を含んで構成される。
第1平板部51は、主回路基板20上の電子部品の高さに応じた凹凸形状を有してもよいが、略平板状とされている。本実施形態に係る電源装置1では、主回路基板20の電子部品の一部が側壁12の上端よりも背高である(図14参照)ので、背高の電子部品を覆うことができるように上方に凸となった領域が形成されている。
また、第1平板部51の裏面側には、下方の電子部品を押圧固定するための押圧支持部材が適宜取り付けられる。第1放熱板50の場合、図5に示すように、共振インダクタ35の磁性体コア36Aを押圧するバネ状の押圧支持部材71,72と、主回路基板20上の半導体素子等を押圧するための複数の押圧支持部材73とが第1平板部51の裏面側に取り付けられる。押圧支持部材71〜73は、主回路基板20上に取り付けられる電子部品のうち、特に高温となりやすい電子部品を下方に押圧するために取り付けられる。押圧支持部材により下方に押圧されることで、電子部品が主回路基板20を介してベースプレート11に対して熱的に接続されやすくなる。これにより、電子部品からの放熱を好適に行うことができる。
第1放熱板50の溝部52は、Y軸方向に沿って筐体10内を横断するように延び、XY平面と平行な底面部52aと、底面部52aを挟んで対向して上方に延びる側壁部52bとを有する。溝部52は、底面部52aが主回路基板20と熱的に接続可能となる高さ位置になるように、その形状が規定されている。底面部52aの下方には、主回路基板20のパターンコイル32が設けられている。すなわち、第1放熱板50の溝部52は、主回路基板20に取り付けられた第1巻線部品30のパターンコイル32と熱的に接続される。
コア当接部53は、溝部52の側壁部52bから連続して形成され、XY平面に沿って延びる平板状の領域であり、組み立て時に第1巻線部品30の磁性体コア31Aと熱的に接続可能な高さ位置とされる。また、コア当接部53から連続して、第2巻線部品40を収容するための凹部である巻線部品収容部54が形成される。巻線部品収容部54は、Y軸方向に沿って延びる底面部54aを有する。底面部54aはコア当接部53よりも低い高さ位置である。したがって、コア当接部53と、巻線部品収容部54の底面部54aとの間には段差が形成される。
第1放熱板50の溝部52の底面部52aから見た場合、溝部52を形成する一方側の側壁部52b、コア当接部53、及び、コア当接部53と巻線部品収容部54の底面部54aとの間の段差部分は、上方(+Z軸方向)に突出した形状となる。この上方に突出した形状の内側には、図14に示すように、第1巻線部品30の磁性体コア31Aが配置される。すなわち、第1放熱板50は、磁性体コア31Aを覆うような形状となっていて、各面(側壁部52b、コア当接部53、及び、コア当接部53と底面部54aとの間の段差部分)がそれぞれ磁性体コア31Aと熱的に接続される。なお、コア当接部53には、開口が形成されているが、開口を備えていなくてもよい。
巻線部品収容部54には、後述の第2巻線部品40を取り付けるために底面部54aから突出する位置決め部54bが設けられている。位置決め部54bは、平板の巻線部品収容部54の一部を切り欠いて折り曲げて形成されている。
巻線部品収容部54と、XY平面に沿って延びる第2平板部55とは、第2巻線部品40と下方の主回路基板20とが当接することを防止するために両者の間を区切る機能も備えている。第2平板部55には、上方の第2巻線部品40と下方の主回路基板20との電気的接続を確保するための開口55a及び放熱のための開口55b(放熱用開口)が形成される。開口55aの位置及び形状等は、主回路基板20と第2巻線部品40との接続方法等によって適宜変更される。電源装置1では、第2巻線部品40と下方の主回路基板20との電気的接続を確保する開口55aが2つ設けられ、主回路基板20に取り付けられた接続端子が下方から開口55aに挿入されて、上部の第2巻線部品40との電気的接続を行う。また、放熱用の開口55bには、筐体10の一部が下方から挿入され、上部の第2巻線部品40と熱的に接続する構成とすることで、第2巻線部品40からの放熱性が高められている。
上記の筐体10、第1巻線部品30を備える主回路基板20、及び第1放熱板50の組み立て方法を図6に示す。まず筐体10内に第1巻線部品30が取り付けられた主回路基板20を収容する。このとき、磁性体コア31,36のI型コア31b、36bがそれぞれ筐体10の凹部17,18に収容される。主回路基板20は、筐体10のベースプレート11に対してネジ留め固定される。
その後、主回路基板20を覆うように第1放熱板50が取り付けられる。このとき、溝部52が主回路基板20との間、及び、コア当接部53と磁性体コア31との間がそれぞれ熱的に接続された状態で、筐体10に対して第1放熱板50が取り付けられる。そして、筐体10の側壁12に対して第1放熱板50の周縁がネジ留め固定されることで、第1放熱板50が筐体10に対して固定される。
次に、第2巻線部品40を第1放熱板50上に取り付ける。まず、第2巻線部品40について、図7及び図8を参照しながら説明する。第2巻線部品40は、電源装置1において平滑部品として機能する部品である。
第2巻線部品40は、コイル部41と、出力端子16と接続するためのバスバー42と、コイル部41に取り付けられる一対の磁性体コア43(第2磁性体コア)と、磁性体コア43とコイル部41との間に設けられるスペーサ44と、バスバー42に取り付けられるノイズ除去用のフェライトコア45とを含んで構成される。コイル部41、磁性体コア43及びスペーサ44がチョークコイルを形成する。
コイル部41は、略円環状であって、間を隔てて並設された有端リング状の2つの巻線部材41A,41Bを連結したものである。巻線部材41A,41Bは、それぞれ板金を折り曲げ加工することにより形成することができる。巻線部材41Aの一端部は後述のように、主回路基板20の電子部品とネジ46を用いた固定によって接続される。巻線部材41Aの他端部は、巻線部材41Bの一端部とネジ47を用いた固定により連結されている。巻線部材41Bの他端部は、バスバー42とネジ48を用いた固定により連結されている。これにより巻線部材41A,41Bは巻数が2ターンのコイルを形成する。なお、コイル部41は、上述のように複数の巻線部材をネジを用いた固定により連結してもよいし、1枚の板金を折り曲げ加工等により加工してコイルを形成してもよい。また、コイル部41は、図7及び図8に示す形状に限定されない。
磁性体コア43は、フェライトコアであって、2つのE型コア43A,43Bにより構成される。E型コア43A,43Bはそれぞれ3つの脚部を有し、3つの脚部が対向するように取り付けられる。取り付け時には、E型コア43A,43Bの中央の脚部が巻線部材41A,41Bの中央の開口を通過するように取り付けられる。E型コア43A,43Bを取り付ける際には、巻線部材41A,41Bはスペーサ44と一体的に組み立てられた状態となっている。巻線部材41A,41Bに対するE型コア43A,43Bの位置決めは、スペーサ44に設けられるガイド部を利用して行われる。
スペーサ44は、図7及び図8に示すように、巻線部材41A,41Bの積層方向(Z軸方向)に沿って延びる側壁部44a,44bと、側壁部44a,44bの図示上方側の端部同士をそれぞれ連結する円環状の連結部44cと、側壁部44a,44bの図示下方側の端部同士を連結する円環状の連結部44dと、連結部44c,44dの間に設けられ、側壁部44a,44bに対して接続する円環状の区画部44eと、を含んで構成される。
スペーサ44の連結部44c,44dには、外方へ突出する複数のガイド部44fが複数設けられる。このガイド部44fは、磁性体コア43を取り付ける際の位置決めの部材として機能すると共に、磁性体コア43が振動等により動くことを防止する。
スペーサ44の連結部44dと区画部44eとの間に巻線部材41Aが挿入される。また、スペーサ44の連結部44cと区画部44eとの間に巻線部材41Bが挿入される。このとき、巻線部材41A,41Bの端部が同一側となるように、同一方向から挿入する。その後、巻線部材41A,41Bの端部同士をネジ46により固定することで、巻線部材41A,41B及びスペーサ44が一体化される。このとき、ガイド部44fに沿って磁性体コア43を取り付けることで、コイル部41及びスペーサ44に対する位置決めが容易となる。その後、巻線部材41A,41Bの開口を貫く軸線に沿って、一体化された巻線部材41A,41B及びスペーサ44を挟み込むように、E型コア43A,43Bが配置される。これにより、コイル部41、磁性体コア43及びスペーサ44が一体化される。
さらに、巻線部材41Bの端部に対してノイズ除去用のフェライトコア45が取り付けられたバスバー42の一端側をネジ48により接続することで、平滑部品としての第2巻線部品40が形成される。なおバスバー42の他端側は、ネジ49により出力端子16に対して接続される。
ここで、巻線部材41Aは第1放熱板50の開口55bを介して筐体10と熱的に接続するための接続端子401を備える。また、巻線部材41Bは第1放熱板50の開口55bを介して筐体10と熱的に接続するための接続端子402を備える。この接続端子401,402を介して、第2巻線部品40に含まれる導体部分(コイル部41及びバスバー42)が筐体10と熱的に接続される。筐体10と熱的に接続されることで第2巻線部品40の導体で発生した熱を筐体10に対して好適に放熱することができる。したがって、第2巻線部品40の放熱性が高められる。
上記の第2巻線部品40は、図9に示すように、筐体10上に対して固定された第1放熱板50の上方に取り付けられる。第2巻線部品40のE型コア43Bは、巻線部品収容部54内に載置される。このとき、E型コア43Bは、位置決め部54Bによって位置決めされると共に、位置決め部54BによってY軸方向への移動が規制される。また、第2平板部55に形成された2つの開口55a内に挿入された主回路基板20からの接続端子27(図3及び図4も参照)に対して第2巻線部品40のネジ46,48が固定される。このとき、接続端子401,402が第2平板部55の開口55b内に挿入された筐体10の突出部19(図9参照)と熱的に接続する。さらに、バスバー42の端部が、ネジ49により出力端子16に対して接続される。これにより、第2巻線部品40が第1放熱板50上に取り付けられる。
次に、第2巻線部品40上に取り付けられる第2放熱板60について、図10〜図12等を参照しながら説明する。
第2放熱板60は、第2巻線部品40を覆った状態で第1放熱板50に対して固定される略平板状の部材である。第2放熱板60は、第2巻線部品40の上方を覆うため、上方に突出する領域が設けられる。また、第2放熱板60は、第1放熱板50に対して熱的に接続する領域を増やすことで、第2放熱板60からの放熱性を高めると共に、筐体10に設けられるフィンとは別に上方(+Z軸方向)に突出するフィンを備えることで、第2放熱板60からの放熱性を更に高める構成となっている。
第2放熱板60は、平板状であって、第2巻線部品40を覆う形状の凹部61aを有する平板部61と、平板部61に対して取り付けられる放熱部材62と、第2巻線部品40を上方から押圧支持するバネ状の押圧支持部材63,64と、を備える。また、出力端子16の周囲を覆うように開口65が形成されている。
放熱部材62は、本体部62aと、本体部62aから一方側に突出する3枚のフィン62b〜62dとを有する。そして、平板部61に設けられた3つの開口61b〜61dに対して3枚のフィン62b〜62dが下方(−Z軸方向)から挿入された状態で、平板部61に対してネジ留め固定される。放熱部材62は熱伝導性を有する材料から形成されていて、平板部61の裏面側で固定される本体部62aの形状は、第2放熱板60の平板部61と、第1放熱板50とを熱的に接続する形状とされている。すなわち、本体部62aの底面形状は、第1放熱板50の溝部52及びコア当接部53に対応した形状である(図14参照)。そして、第2放熱板60を取り付けた際には、放熱部材62も第1放熱板50と熱的に接続される。
また、図11、図12に示す押圧支持部材63,64は、第2巻線部品40のE型コア43Aを押圧支持する。なお、押圧支持部材63と押圧支持部材64との間に、熱伝導性を有する部材を備え、この部材とE型コア43A及び第2放熱板60とを熱的に接続させることにより、第2巻線部品40のE型コア43Aから第2放熱板60へ伝熱させることができる。第2放熱板60は上面側が外部に晒されているので、外部への放熱性が高い。また、第2放熱板60では、フィン62b〜62dを利用して放熱が促進されている。
上記の第2放熱板60は、図13等に示すように、周縁が第1放熱板50に対してネジ留め固定される。また、第2放熱板60の開口65が出力端子16の周囲と当接した状態で固定される。これによって、図14に示すように、第2巻線部品40の周囲が第2放熱板60に覆われた状態で、第2放熱板60が第1放熱板50に対して固定される。
ここで、電源装置1のXZ平面に沿った断面図である図14に示すように、第1巻線部品30の磁性体コア31Aの上面は、第1放熱板50のコア当接部53によって熱的に接続される。また、磁性体コア31Aの側面は、第1放熱板50の溝部52の側壁部52b及び巻線部品収容部54の段差部分と熱的に接続される。また、第1巻線部品30において、主回路基板20に形成されたパターンコイル32に対しても第1放熱板50の溝部52が当接する。このように、電源装置1における第1放熱板50は、第1巻線部品30の磁性体コア31Aの上部及び側面と、パターンコイル32とに対して同時に熱的に接続可能な構成を備える。
第1巻線部品30は、主回路基板20と一体化された状態で、筐体10のベースプレート11上に載置されるので、従来から第1巻線部品30で発生した熱はベースプレート11側へ放出されていた。しかしながら、上方側、特に主回路基板20よりも上方で発生した熱については、ベースプレート11への放熱が不十分となることも考えられる。特に、第1巻線部品30がメイントランスとして機能する本実施形態の電源装置1のように、第1巻線部品30で発生する熱量が大きい場合には、第1巻線部品30の下方からの放熱だけは放熱が不十分となり、電源装置としての性能が低下する可能性も考えられる。下方からの放熱だけで巻線部品を適切に冷却しようとすると、フィン13を冷却するための冷却空気の温度を下げるか移動速度を大きくして、フィン13を用いた冷却効率を向上させる必要があった。この場合、フィン13を用いた冷却効率を向上させるための装置の追加や大型化が必要となることも考えられた。
これに対して、本実施形態に係る電源装置1では、第1巻線部品30における磁性体コア31Aの上部及びパターンコイル32を第1放熱板50が覆い、第1放熱板50と磁性体コア31Aとの間、及び第1放熱板50及びパターンコイル32との間が熱的に接続される構成とすることで、第1巻線部品30の上方からも第1放熱板50を介した放熱が行われる。これにより、電源装置1の上方からも放熱が可能となるため、放熱性が向上する。
第1放熱板50は、主回路基板20上の電子部品よりも上方に設けられる第1平板部51は外部に露出しているので、第1平板部51からの放熱が好適に行われる。また、第1巻線部品30上方では、図14に示すように、第1放熱板50の上方に第2放熱板60が重なる構成となっているが、第2放熱板60の放熱部材62が第1放熱板50と熱的に接続されている。したがって、第1巻線部品30からの熱は、第1放熱板50から放熱されるだけではなく、放熱部材62を介して第2放熱板60へも放熱される。第2放熱板60は上方が外部に露出しているので、第2放熱板60からの放熱が好適に行われる。また、第1放熱板50と熱的に接続する放熱部材62は、第2放熱板60の平板部61から上方に突出するフィン62b〜62dを備えている。したがって、第1放熱板50からの熱は、フィン62b〜62dを介した放出が可能となっているため、放熱性が高められている。
さらに、第1放熱板50上には第2巻線部品40が積層されるが、第2巻線部品40は、下方が第1放熱板50と熱的に接続すると共に上方が第2放熱板60の押圧支持部材63,64を介して第2放熱板60と熱的に接続されている。したがって、第2巻線部品40で発生した熱についても、第1放熱板50及び第2放熱板60を介して外部に好適に放出できる。
また第2巻線部品40を第1放熱板50上に配置することで、第1巻線部品30と第2巻線部品40とを近接配置することができる。具体的には、図14に示すように、第1巻線部品30のパターンコイル32が形成される領域の上部に第2巻線部品40の磁性体コア43A,43Bが配置される。従来の電源装置では、高温となりがちな巻線部品同士を近接配置することは困難であり、このことが装置の大型化につながっていた。これに対して、本実施形態の電源装置1では、第1巻線部品30及び第2巻線部品40からの放熱経路を十分に確保する構成とした上で、これらを近接配置する構成としている。これにより、電源装置1は、放熱性を十分維持しつつ小型化を実現している。また、電源装置1からの放熱性が高められているので、フィン13を冷却するための冷却空気に係る設備を増強しなくてもよく、電源装置1の周辺装置の大型化等も不要となる。
以上、本発明の一実施形態の電源装置について説明したが、本発明は、上記実施形態の態様に限定されない。
例えば、上記実施形態では、1枚の主回路基板20が筐体10に収容された構成について説明したが、筐体10に収容される回路基板の数及び形状は特に限定されない。また、第1放熱板50及び第2放熱板60の形状についても、例えば、主回路基板20における電子部品の配置等に応じて適宜変更することができる。また、第1巻線部品30及び第2巻線部品40の形状についても適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、第1巻線部品30の上方の第2放熱板60が上方からの放熱用のフィン62b〜62dを備える構成について説明したが、放熱用のフィン62b〜62dを第1放熱板50に設ける構成とすることもできる。上記実施形態では、第1巻線部品30の上方で、第1放熱板50と第2放熱板60とが積層されている場合について説明したが、第1巻線部品30の上方には少なくとも第1放熱板50が設けられていればよい。また、第2放熱板60は、少なくとも第2巻線部品40を覆う構成であればよい。この場合、第1巻線部品30からの熱をより好適に放出するためには、第1放熱板50の表面から上方に延びるフィンを取り付ける構成とすることも考えられる。このように、第1放熱板50、第2放熱板60及びフィンの取り付け位置等は適宜変更することができる。