JP6147708B2 - 動力伝達機構 - Google Patents

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本発明は、平行に配置された駆動軸のドライブギヤと従動軸のドリブンギヤとが噛合する動力伝達機構に関する。
例えば、特許文献1には、モータのモータ軸(駆動軸)の先端部に形成されるドライブギヤと、モータ軸と平行に配置され、軸方向に沿って進退可能に設けられるロッド(従動軸)と、ロッドに固定されて一体的に回転するドリブンギヤとを有する動力伝達機構が開示されている。
特許文献1に開示された動力伝達機構では、平行に配置されたドライブギヤとドリブンギヤとが噛合し、モータの回転駆動力が、ドライブギヤ及びドリブンギヤを介してロッドに伝達される。回転駆動力が伝達されて所定方向に回転するロッドは、ロッドの外周面と螺合するナットを介して、軸方向に進退動作するように設けられている。
特開2013−248896号公報
例えば、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間にギヤ離反力が作用する場合、このギヤ離反力によってドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の当接面積が最大面積から減少し、作動音(ギヤノイズ)が発生するおそれがある。
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化して作動音を低減させることが可能な動力伝達機構を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、回転駆動源の回転駆動力が伝達される駆動軸と、前記駆動軸に設けられるドライブギヤと、前記駆動軸の軸線に対して平行に配置される従動軸と、前記従動軸に設けられ、前記ドライブギヤと噛合するドリブンギヤと、
を有する動力伝達機構であって、前記駆動軸が正転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第1相対角度(θt)を求め、前記駆動軸が逆転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第2相対角度(θc)を求め、前記駆動軸が正転するときに前記ドリブンギヤと接触する前記ドライブギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第1相対角度(θt)を減算した角度(θ−θt)に補正すると共に、前記駆動軸が逆転するときに前記ドリブンギヤと接触する前記ドライブギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第2相対角度(θc)を減算した角度(θ−θc)に補正することを特徴とする。
本発明によれば、駆動軸が正転及び逆転する際、ドライブギヤの歯面の角度を、進み角(θ)に対して相対角度(θt)及び相対角度(θc)だけ減算して補正することで、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の接触面積が最大となり、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化することができる。ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いが最適化されてドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の接触面積が大きくなり、着力点の変位量を小さくすることができることで作動音の発生を抑制することができる。
また、本発明は、回転駆動源の回転駆動力が伝達される駆動軸と、前記駆動軸に設けられるドライブギヤと、前記駆動軸の軸線に対して平行に配置される従動軸と、前記従動軸に設けられ、前記ドライブギヤと噛合するドリブンギヤと、を有する動力伝達機構であって、前記駆動軸が正転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第1相対角度(θt)を求め、前記駆動軸が逆転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第2相対角度(θc)を求め、前記駆動軸が正転するときに前記ドライブギヤと接触する前記ドリブンギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第1相対角度(θt)を加算した角度(θ+θt)に補正すると共に、前記駆動軸が逆転するときに前記ドライブギヤと接触する前記ドリブンギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第2相対角度(θc)を加算した角度(θ+θc)に補正することを特徴とする。
本発明によれば、ドリブンギヤの歯面の角度を、進み角(θ)に対して相対角度(θt)及び相対角度(θc)だけ加算して補正することで、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の接触面積が最大となり、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化することができる。ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いが最適化されてドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の接触面積が大きくなり、着力点の変位量を小さくすることができることで作動音の発生を抑制することができる。
さらに、本発明は、回転駆動源の回転駆動力が伝達される駆動軸と、前記駆動軸に設けられるドライブギヤと、前記駆動軸の軸線に対して平行に配置される従動軸と、前記従動軸に設けられ、前記ドライブギヤと噛合するドリブンギヤと、を有する動力伝達機構であって、前記駆動軸が正転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第1相対角度(θt)を求め、前記駆動軸が逆転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第2相対角度(θc)を求め、前記駆動軸が正転するときに前記ドリブンギヤと接触する前記ドライブギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第1相対角度(θt)を減算した角度(θ−θt)に補正すると共に、前記駆動軸が逆転するときに前記ドライブギヤと接触する前記ドリブンギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第2相対角度(θc)を加算した角度(θ+θc)に補正することを特徴とする。
本発明によれば、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面の角度をそれぞれ駆動軸の正転時と逆転時とでそれぞれ異なるように補正することで、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の接触面積が最大となり、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化することができる。
さらにまた、本発明は、回転駆動源の回転駆動力が伝達される駆動軸と、前記駆動軸に設けられるドライブギヤと、前記駆動軸の軸線に対して平行に配置される従動軸と、前記従動軸に設けられ、前記ドライブギヤと噛合するドリブンギヤと、を有する動力伝達機構であって、前記駆動軸が正転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第1相対角度(θt)を求め、前記駆動軸が逆転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第2相対角度(θc)を求め、前記駆動軸が正転するときに前記ドライブギヤと接触する前記ドリブンギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第1相対角度(θt)を加算した角度(θ+θt)に補正すると共に、前記駆動軸が逆転するときに前記ドリブンギヤと接触する前記ドライブギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第2相対角度(θc)を減算した角度(θ−θc)に補正することを特徴とする。
本発明によれば、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面の角度をそれぞれ駆動軸の正転時と逆転時とでそれぞれ異なるように補正することで、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の接触面積が最大となり、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化することができる。
さらにまた、本発明は、前記ドライブギヤの歯面及び前記ドリブンギヤの歯面の少なくともいずれか一方には、クラウニング処理が施されることを特徴とする。
本発明によれば、ドライブギヤ及び/又はドリブンギヤの歯面に対してクラウニング処理を施すことで、目標外のギヤ離反力に対する相対角度のズレを抑制することができる。この結果、クラウニング処理によって、目標外の範囲をも含めた広範な範囲でギヤ離反力における噛み合いを安定化することができる。
本発明では、ドライブギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化して作動音を低減させることが可能な動力伝達機構を得ることができる。
本発明の実施形態に係る動力伝達機構が適用されたリヤトーコントロールアクチュエータを含むリヤサスペンション装置の概略斜視図である。 図1に示すリヤトーコントロールアクチュエータの軸方向に沿った拡大断面図である。 作動音の発生に至る経緯を簡略化して示したフローチャートである。 ピニオンギヤ及びドリブンギヤの投影歯面が正対する状態における噛み合い変化を経時列に沿って示した模式図である。 ギヤ離反力が大きな領域でリヤトーコントロールアクチュエータを駆動した場合、ギヤ離反力によってピニオンギヤ及びドリブンギヤの投影歯面間の当接領域が減少した状態における噛み合い変化を経時列に沿った示した模式図である。 (a)は、図2に示すリヤトーコントロールアクチュエータに組み込まれた平行2軸ギヤ機構の模式図、(b)は、(a)の矢印X方向からみた矢視拡大模式図である。 ギヤ離反力の方向を示す模式図であり、(a)は、トーコントロールアクチュエータを伸長方向に駆動した場合、(b)は、トーコントロールアクチュエータを収縮方向に駆動した場合をそれぞれ示している。 (a)は、ピニオンギヤ及びドリブンギヤに対してギヤ離反力が付与されたとき、ピニオンギヤ及びドリブンギヤの偏位を示す説明図、(b)は、(a)の偏位の説明に供される平行2軸ギヤ機構の模式図である。 ピニオンギヤ及びドリブンギヤに対してギヤ離反力が付与されたとき、ピニオンギヤ及びドリブンギヤの偏位を示す説明図である。 ドリブンギヤの溝部とピニオンギヤの山部とによって相対角度(θt、θc)を模式的に示した説明図である。 (a)は、着力点が急変する前の状態における各ベアリングの分担荷重を示す模式図、(b)は、着力点が急変した後の状態における各ベアリングの分担荷重を示す模式図である。 求められた相対角度によってピニオンギヤの歯面、又は、ドリブンギヤの歯面を補正することにより、ピニオンギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化する手法を示す説明図である。 (a)は、ピニオンギヤ側の歯面を補正するときに供される説明図、(b)は、ドリブンギヤ側の歯面を補正するときに供される説明図である。 ピニオンギヤとドリブンギヤの相対角度がθt<0、且つ、θc>0の場合における、ピニオンギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化する手法を示す説明図である。 (a)、(b)は、伸び駆動時にピニオンギヤ側の歯面を補正すると共に、縮み駆動時にドリブンギヤ側の歯面を補正する場合の説明図である。 (a)、(b)は、伸び駆動時にドリブンギヤ側の歯面を補正すると共に、縮み駆動時にピニオンギヤ側の歯面を補正する場合の説明図である。 ピニオンギヤの歯面に対してクラウニング処理を施した変形例を示す模式図である。 ドリブンギヤの歯面に対してクラウニング処理を施した変形例を示す模式図である。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る動力伝達機構が適用されたリヤトーコントロールアクチュエータを含むリヤサスペンション装置の概略斜視図、図2は、図1に示すリヤトーコントロールアクチュエータの軸方向に沿った拡大断面図である。なお、各図中において、「前後」は、車両前後方向、「左右」は、左右方向(車幅方向)、「上下」は、車両上下方向をそれぞれ示している。
図1に示されるように、リヤサスペンション装置10は、ダブルウィッシュボーンタイプからなり、ナックル12を図示しない車体に対して上下動可能に支持するアッパアーム14及びロアアーム16と、ナックル12と車体とを連結するダンパ18と、ダンパ18の上部外周に装着されるスプリング20とを備えて構成されている。左後輪22は、ナックル12によって回転自在に支持され、ナックル12と共に上下方向等に変位可能に設けられている。
アッパアーム14及びロアアーム16は、基端がそれぞれゴムブッシュ24a、24bを介して図示しない車体に連結され、先端がそれぞれボールジョイント26a、26bを介してナックル12の上部及び下部に連結されている。リヤトーコントロールアクチュエータ28は、基端がゴムブッシュ30を介して図示しない車体に連結され、先端がゴムブッシュ32を介してナックル12の後部に連結されている。また、ダンパ18は、その上端が図示しないゴムブッシュを介して車体に連結され、下端がゴムブッシュ34を介してナックル12の上部に連結されている。
図2に示されるように、リヤトーコントロールアクチュエータ28は、アクチュエータ本体部36と、モータケーシング38を介してアクチュエータ本体部36と一体的に付設されるモータ(回転駆動源)40と、モータ40の回転駆動力を出力ロッド42に伝達する平行2軸ギヤ機構44とを有する。
モータ40は、例えば、ブラシ付モータからなり、図示しないロータと共に回転するモータ軸46を有する。モータ軸46の軸方向に沿った先端には、カップリング手段を介してモータ軸46と同軸に駆動シャフト48が連結されている。
平行2軸ギヤ機構44は、軸線同士がそれぞれ平行に配置され、駆動軸として機能する駆動シャフト48と、従動軸として機能する出力ロッド42を有する。駆動シャフト48の外周面には、ドライブギヤとして機能するピニオンギヤ50が形成され、ピニオンギヤ50と噛合するドリブンギヤ52が設けられている。ピニオンギヤ50の回転軸とドリブンギヤ52の回転軸は、それぞれ平行に配置されている。ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52は、それぞれヘリカルギヤ(はすば歯車)によって構成されているが、例えば、平歯ギヤによって構成してもよい。ドリブンギヤ52は、ピニオンギヤ50よりも大径に設定されている。
ドリブンギヤ52は、円筒状のナット部材54の外周面に固定され、ナット部材54はドリブンギヤ52と一体的に回転する。ナット部材54の内部には出力ロッド42が内嵌され、ナット部材54の内周面に形成された雄ねじと出力ロッド42の外周面に形成された雌ねじとが嵌合することで、出力ロッド42が軸方向に沿って伸縮自在(進退自在)に変位する。
モータ軸46は、その軸方向に沿って離間して配置された一対のボールベアリング56a、56bによって回転自在に軸支されている。駆動シャフト48の軸方向に沿った基端側(モータ40側)には、駆動シャフト48を回転自在に軸支するボールベアリング58が配置されている。駆動シャフト48の軸方向に沿った先端側には、駆動シャフト48を回転自在に軸支するニードルベアリング60が配置されている。
また、ナット部材54は、複列アンギュラベアリング62を介して、アクチュエータ本体部36に対して回転自在に軸支されている。なお、ナット部材54と出力ロッド42との間には、軸方向に沿って所定間隔離間する一対のスライドブッシュ64が介装され、一対のスライドブッシュ64によって出力ロッド42が摺動可能に支持されている。
本実施形態に係る動力伝達機構が適用されたリヤトーコントロールアクチュエータ28を含むリヤサスペンション装置10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその動作及び作用効果について説明する。
モータ40を所定方向に回転させてリヤトーコントロールアクチュエータ28を伸長方向に駆動すると、ナックル12の後部が車幅方向外側に押されて左後輪22のトー角がトーイン方向に変化する。一方、モータ40を前記とは反対方向に回転させてリヤトーコントロールアクチュエータ28を収縮方向に駆動すると、ナックル12の後部が車幅方向内側に引っ張られて左後輪22のトー角がトーアウト方向に変化する。従って、図示しないステアリングホイールの操作による通常の前輪の操舵に加えて、車速やステアリングホイールの操舵角に応じて左右後輪のトー角を制御することで、車両の直進安定性能や旋回性能を向上させることができる。
次に、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52間の作動音(ギヤノイズ)の発生原因について、以下詳細に検討する。
図3は、作動音の発生に至る経緯を簡略化して示したフローチャートである。
先ず、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52間の1噛み合いにつき1回、ギヤ離反力の着力点が急変する(ステップS1参照)。このギヤ離反力に着力点の変動に起因して、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52間の1噛み合いにつき1回、ニードルベアリング60、ボールベアリング58の分担荷重が急変する(ステップS2参照)。
さらに、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52間の1噛み合いにつき1回、ピニオンギヤ50、ニードルベアリング60、ボールベアリング58の変位が急変する(ステップS3参照)。ステップS1〜S3に示される過程を経て、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52とのギヤ噛み合いの作動音(1次作動音)が発生する(ステップS4参照)。なお、ステップS2を経由することがなく、ステップS1からステップS3にバイパスする場合も含まれる。
ここで、着力点の変動について説明する。
ギヤ離反力が微小な領域でリヤトーコントロールアクチュエータ28を駆動した場合、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の投影歯面は正対する状態となる。図4は、ピニオンギヤ及びドリブンギヤの投影歯面が正対する状態における噛み合い変化を経時列に沿って示した模式図である。図4では、ピニオンギヤ50の歯先上がり、又は、ドリブンギヤ52の歯元上がり、若しくは、その両方の場合の噛み合い状態を示している。図5は、ギヤ離反力が大きな領域でリヤトーコントロールアクチュエータを駆動した場合、ギヤ離反力によってピニオンギヤ及びドリブンギヤの投影歯面間の当接領域が減少した状態における噛み合い変化を経時列に沿って示した模式図である。
なお、「着力点」とは、ピニオンギヤ50の投影歯面とドリブンギヤ52の投影歯面とが当接する当接領域に発生するギヤ離反力の中央位置を示している。また、図4及び図5において、○印は、着力点を示し、太線矢印は、ピニオンギヤによる押圧荷重を示している。「歯面」とは、歯末の面(tooth face)と歯元の面(tooth flank)との両者を合わせた面をいう。
ギヤ離反力が微小な領域でリヤトーコントロールアクチュエータ28を駆動した場合、ピニオンギヤ50の歯面とドリブンギヤ52の歯面とが正対する噛み合い状態となる。この正対状態では、図4に示されるように、投影歯面間の当接領域がピニオンギヤ50の歯すじ方向における略全長となり、(c)の噛み合い区間から(d)の噛み合い区間に変化するときに着力点の最大変位量がA1となる。
これに対して、ギヤ離反力が大きな領域でリヤトーコントロールアクチュエータ28を駆動した場合、ピニオンギヤ50の投影歯面とドリブンギヤ52の投影歯面との当接領域が、ピニオンギヤ50の歯すじ方向における全長の半分よりも短縮された噛み合い状態となる。このギヤ離反力発生状態では、図5に示されるように、(d)の噛み合い区間から(e)の噛み合い区間に変化するときに着力点の最大変位量がA2となる(最大変位量A1≪最大変位量A2)。
このように、ギヤ離反力が大きくなり歯すじ方向における歯面間の当接領域が短縮(減少)するにつれて、着力点の最大変位量が大きくなる。
次に、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52に作用するギヤ離反力について説明する。
図6(a)は、図2に示すリヤトーコントロールアクチュエータに組み込まれた平行2軸ギヤ機構の模式図、図6(b)は、図6(a)の矢印X方向からみた矢視拡大模式図である。なお、なお、図6(a)において、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52との間に示される斜線部分53は、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52との歯面間の噛合部分を示している。
駆動シャフト48の先端を支持するニードルベアリング60と、駆動シャフト48の基端を支持するボールベアリング58と、ナット部材54を支持する複列アンギュラベアリング62の三者間におけるガタの大小関係は、以下のようになっている。
(ニードルベアリング60のガタ)>(ボールベアリング58のガタ)≒(複列アンギュラベアリング62のガタ)
この三者間におけるガタの大小関係において、ニードルベアリング60のガタが最も大きいことから、駆動シャフト48の先端が最も大きく振れる。
また、駆動シャフト48の先端を支持するニードルベアリング60と、駆動シャフト48の基端を支持するボールベアリング58と、ナット部材54を支持する複列アンギュラベアリング62の三者間における支持点剛性の大小関係は、以下のようになっている。
(ニードルベアリング60の剛性)<(ボールベアリング58の剛性)<(複列アンギュラベアリング62の剛性)
この三者間における剛性の大小関係において、ニードルベアリング60の剛性が最も低いことからも、駆動シャフト48の先端が最も大きく振れる。
図7は、ギヤ離反力の方向を示す模式図であり、図7(a)は、トーコントロールアクチュエータを伸長方向に駆動した場合、図7(b)は、トーコントロールアクチュエータを収縮方向に駆動した場合をそれぞれ示している。また、図7中において、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の回転方向をそれぞれ「CW」、「CCW」で表示している。「CW」は、ギヤ回転方向が時計回り方向(clockwise)、「CCW」は、ギヤ回転方向が反時計回り方向(counterclockwise)をそれぞれ示している。
図7(a)に示されるように、リヤトーコントロールアクチュエータ28が伸長方向に駆動される際、ピニオンギヤ50は、反時計回り方向(CCW方向)で、歯面がモータ40側に傾斜する力(ギヤ離反力)F1aを受ける。また、図7(b)に示されるように、リヤトーコントロールアクチュエータ28が収縮方向に駆動される際、ピニオンギヤ50は、時計回り方向(CW方向)で、歯面がニードルベアリング60側に傾斜する力(ギヤ離反力)F1bを受ける。
リヤトーコントロールアクチュエータ28が伸長方向に駆動される際、ドリブンギヤ52は、時計回り方向(CW方向)で、歯面がニードルベアリング60側に傾斜する力(ギヤ離反力)F2aを受ける。また、リヤトーコントロールアクチュエータ28が収縮方向に駆動される際、ドリブンギヤ52は、反時計回り方向(CCW方向)で、歯面がモータ40側に傾斜する力(ギヤ離反力)F2bを受ける。
なお、各ギヤ離反力がピニオンギヤ50の回転軸に対して直交する方向から、モータ40側又はニードルベアリング60側に傾くのは、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52が、それぞれ、歯すじ(tooth trace)がつるまき線で傾斜したヘリカルギヤを用いていることに起因する。
図8(a)は、ピニオンギヤ及びドリブンギヤに対してギヤ離反力が付与されたとき、ピニオンギヤ及びドリブンギヤの偏位を示す説明図、図8(b)は、図8(a)の偏位の説明に供される平行2軸ギヤ機構の模式図である。
図8(a)の左側縦欄の表題において、「静止時」とは、リヤトーコントロールアクチュエータ28の駆動が停止してピニオンギヤ50の歯面とドリブンギヤ52の歯面とが正対している状態をいう。また、「伸び駆動時」とは、出力ロッド42が伸長方向に駆動される場合をいい、「縮み駆動時」とは、出力ロッド42が収縮方向に駆動される場合をいう。
図8(a)の横上欄の表題において、「ピニオンギヤ姿勢」とは、ピニオンギヤ50にギヤ離反力が付与された時、ドリブンギヤ52と接触するピニオンギヤ50の歯面の角度をいう。また、「ドリブンギヤ姿勢」とは、ドリブンギヤ52にギヤ離反力が付与された時、ピニオンギヤ50と接触するドリブンギヤ52の歯面の角度をいう。
さらに、図8(a)の横上欄の表題において、「相対角度」とは、リヤトーコントロールアクチュエータ28の駆動時に出力ロッド42が変位する際、ギヤ離反力によって相対的にCW側又はCCW側にオフセット(偏位、傾動、離間)するピニオンギヤ50の回転中心線(太実線参照)とドリブンギヤ52の回転中心線(細実線参照)との間で形成される角度をいう。この相対角度は、相対角度(第1相対角度)θtと相対角度(第2相対角度)θcとによって構成される。
相対角度θtは、出力ロッド42が伸長方向に変位する際、ギヤ離反力によってCCW側に傾動するピニオンギヤ50の回転中心線とCW側に傾動するドリブンギヤ52の回転中心線との間で形成される相対角度をいう。また、相対角度θcは、出力ロッド42が収縮方向に変位する際、ギヤ離反力によってCW側に傾動するピニオンギヤ50の回転中心線とCCW側に傾動するドリブンギヤ52の回転中心線との間で形成される相対角度をいう。
「静止時」では、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52に対してギヤ離反力が付与されていないため、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の姿勢に変化がなく、ピニオンギヤ50の回転中心線とドリブンギヤ52の回転中心線との間で形成される相対角度(θt、θc)は、零である。
「伸び駆動時」では、ピニオンギヤ50にCCW方向のギヤ離反力が付与されるため、ギヤ離反力付与前の回転中心線に対してピニオンギヤ50の回転中心線がTOP側において相対角度θtだけ傾動する。なお、図8(a)中における一点鎖線は、ギヤ離反力が付与される前のピニオンギヤ50の回転中心線を示している。
また、「伸び駆動時」では、ドリブンギヤ52にCW方向のギヤ離反力が付与されるため、ギヤ離反力付与前の回転中心線に対してドリブンギヤ52の回転中心線がBOTTOM側において相対角度θtだけ傾動する。そこで、相対角度θtを有するピニオンギヤ50の回転中心線と、相対角度θtを有するドリブンギヤ52の回転中心線とを平行移動して両者を重ね合わせると、伸長方向側の相対角度(θt;第1相対角度)が求められる。
すなわち、この相対角度θtは、ドリブンギヤ52に対するピニオンギヤ50の相対角度(ドリブンギヤ52から見たピニオンギヤ50の傾動角度)をいい、ピニオンギヤ50側の相対角度θtからドリブンギヤ52側の相対角度θtを減算することで求められる(θt=θt−θt)。なお、この相対角度θtは、基準とするドリブンギヤ52の中心線を零とすると、θt>0となる。
次に、「縮み駆動時」では、ピニオンギヤ50にCW方向のギヤ離反力が付与されるため、ギヤ離反力付与前の回転中心線に対してピニオンギヤ50の回転中心線がTOP側において相対角度θcだけ傾動する。
また、「縮み駆動時」では、ドリブンギヤ52にCCW方向のギヤ離反力が付与されるため、ギヤ離反力付与前の回転中心線に対してドリブンギヤ52の回転中心線がBOTTOM側において相対角度θcだけ傾動する。そこで、相対角度θcを有するピニオンギヤ50の回転中心線と、相対角度θcを有するドリブンギヤ52の回転中心線とを平行移動して両者を重ね合わせると、収縮方向側の相対角度(θc;第2相対角度)が求められる。
すなわち、この相対角度θcは、ドリブンギヤ52に対するピニオンギヤ50の相対角度(ドリブンギヤ52から見たピニオンギヤ50の傾動角度)をいい、ピニオンギヤ50側の相対角度θcからドリブンギヤ52側の相対角度θcを減算することで求められる(θc=θc−θc)。なお、この相対角度θcは、基準とするドリブンギヤ52の中心線を零とすると、θc<0となる。
前記した図8(a)では、相対角度θt>0、且つ、相対角度θc<0の場合を示しているが、例えば、図9に示されるように、相対角度θt<0、且つ、相対角度θc>0の場合もあり、ギヤ離反力は図と反対方向に発生する。なお、相対角度θt<0、且つ、相対角度θc>0の場合では、駆動シャフト48の先端を支持するニードルベアリング60と、駆動シャフト48の基端を支持するボールベアリング58と、ナット部材54を支持する複列アンギュラベアリング62の三者間におけるガタの大小関係が図8(a)と異なるように設定される。
相対角度を決定する要素としては、ピニオンギヤ50側の要素とドリブンギヤ52側の要素とに大別される。ピニオンギヤ50側の要素としては、例えば、ピニオンギヤ50のTOP側支持点ガタ、ピニオンギヤ50のTOP側支持点剛性、ピニオンギヤ50のBOTTOM側支持点ガタ、ピニオンギヤ50のBOTTOM側支持点剛性、ピニオンギヤ50のTOP側支持点と噛み合い位置との間の距離、ピニオンギヤ50のBOTTOM側支持点と噛み合い位置との間の距離、ピニオンギヤ50のギヤ離反力等が挙げられる。
また、ドリブンギヤ52側の要素としては、例えば、ドリブンギヤ52のTOP側支持点ガタ、ドリブンギヤ52のTOP側支持点剛性、ドリブンギヤ52のTOP側支持点と噛み合い位置との間の距離、ドリブンギヤ52のギヤ離反力等が挙げられる。
図10は、ドリブンギヤの溝部とピニオンギヤの山部とによって相対角度(θt、θc)を模式的に示した説明図である。
図10に示されるように、相似形からなり平行で幅狭な一組の対辺と平行で幅広な一組の対辺とによって構成される2つの平行四辺形において、内側の小さな平行四辺形は、ピニオンギヤ50の山部66を上面視で模式的に示したものであり、外側の大きな平行四辺形は、ピニオンギヤ50の山部66に対応するドリブンギヤ52の溝部68を上面視で模式的に示したものである。
「静止時」では、ピニオンギヤ50の山部66の歯面とドリブンギヤ52の溝部68の歯面とが非接触状態にある。この結果、ピニオンギヤ50の回転中心線とドライブギヤ52の回転中心線との間で形成される相対角度(θt、θc)は、零である。なお、静止時において、2つの平行四辺形の斜辺と鉛直線とが交差する鋭角側の角度θは、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の各歯面における進み角を示している。この進み角θは、はすば歯車では、θ>0であり、平歯車では、θ=0である。
「伸び駆動時」では、前記したギヤ離反力の作用によってピニオンギヤ50の回転中心線とドリブンギヤ52の回転中心線との間で相対角度θtが発生し、ピニオンギヤ50の山部66の左下角部67がドリブンギヤ52の溝部68の歯面と点接触した噛み合い状態となる。この結果、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52との間で接触する歯面間の作動音が大きくなる。
「縮み駆動時」では、前記したギヤ離反力の作用によってピニオンギヤ50の回転中心線とドリブンギヤ52の回転中心線との間で相対角度θcが発生し、ピニオンギヤ50の山部66の右下角部69がドリブンギヤ52の溝部68の歯面と点接触した噛み合い状態となる。この結果、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52との間で接触する歯面間の作動音が大きくなる。
次に、着力点が変動した際の各ベアリング間における分担荷重の変化について説明する。
図11(a)は、着力点が急変する前の状態における各ベアリングの分担荷重を示す模式図、図11(b)は、着力点が急変した後の状態における各ベアリングの分担荷重を示す模式図である。なお、図中では、各要素に記載された太線矢印の長さによって、分担荷重の増減を表している。
ピニオンギヤ50が形成された駆動シャフト48の先端48aは、ニードルベアリング60によって回転自在に支持され、駆動シャフト48の基端は、ボールベアリング58によって支持されている。図11(a)と図11(b)とを比較して諒解されるように、着力点の急変後では、急変前と比較して、先端48a側のニードルベアリング60の分担荷重が急増していると共に、基端側のボールベアリング58の分担荷重が急減している。
次に、本願の発明者は、上記のような作動音の発生原因について鋭意検討した結果、ギヤ離反力の着力点の変動を要因として作動音が発生するため、歯面に対して以下のような補正を行なうことで、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の歯面間の噛み合いを最適化できることがわかった。
先ず、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52の相対角度がθt>0、且つ、θc<0の場合で、ピニオンギヤ50の歯面の補正について説明する。
図12は、求められた相対角度によってピニオンギヤの歯面、又は、ドリブンギヤの歯面を補正することにより、ピニオンギヤ及びドリブンギヤの歯面間の噛み合いを最適化する手法を示す説明図、図13(a)は、ピニオンギヤ側の歯面を補正するときに供される説明図、図13(b)は、ドリブンギヤ側の歯面を補正するときに供される説明図、図14は、ピニオンギヤとドリブンギヤの相対角度がθt<0、且つ、θc>0の場合で、ドリブンギヤの歯面を補正する説明図である。
図12に示されるように、伸び駆動時における相対角度θtを求め(θt=θt−θt)、この相対角度θtを保持したままドリブンギヤ52の回転中心線を基準線(一点鎖線)に合わせて0度に置換する。続いて、ドリブンギヤ52と接触するCW側のピニオンギヤ50の歯面の角度(内側の小さな平行四辺形の向かって左側の斜辺の角度)を、ピニオンギヤ50の歯面の進み角θ(図10参照)に対して前記で求めた相対角度θtを減算した角度(θ−θt)に補正する。
すなわち、図13(a)に示されるように、角度(θ−θt)の補正は、内側の小さな平行四辺形で示されるピニオンギヤ50の山部66の歯面において、幅狭な上側の対辺の左端から下側の対辺に向かって相対角度θtを有してCCW側に立ち下がる太線斜線とすることで補正される。
図12に戻って、縮み駆動時では、縮み駆動時における相対角度θcを求め(θc=θc−θc)、この相対角度θcを保持したままドリブンギヤ52の回転中心線を基準線(一点鎖線)に合わせて0度に置換する。続いて、ドリブンギヤ52と接触するCCW側のピニオンギヤ50の歯面の角度(内側の小さな平行四辺形の向かって右側の斜辺の角度)を、ピニオンギヤ50の歯面の進み角θ(図10参照)に対して前記で求めた相対角度θcを減算した角度(θ−θc)に補正する。
すなわち、図13(a)に示されるように、角度(θ−θc)の補正は、内側の小さな平行四辺形で示されるピニオンギヤ50の山部66の歯面において、点Oを回転中心として破線で示す右側の幅広な斜辺を時計回り方向に相対角度θcだけ回転させた太線斜線とすることで補正される。
このように、本実施形態では、出力ロッド42が伸長方向及び収縮方向に変位する際、ドリブンギヤ52の歯面と接触するピニオンギヤ50のCCW側の歯面の角度、及び、ピニオンギヤ50のCW側の歯面の角度をそれぞれ、進み角θに対して相対角度θt及び相対角度θcだけ減算して補正することで、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の歯面間の接触面積が最大となり、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の歯面間の噛み合いを最適化することができる。
換言すると、本実施形態では、補正しない場合と比較して、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の歯面間の接触面積を大きくすることで、着力点の変位量を小さくすることができ、作動音の発生を抑制することができる。
次に、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52の相対角度がθt>0、且つ、θc<0の場合で、ドリブンギヤ52の歯面の補正について説明する。
ドリブンギヤ52の歯面の補正は、伸び駆動時及び縮み駆動時における相対角度θt及び相対角度θcをそれぞれ求めて、ドリブンギヤ52の回転中心線を0度に置換する点まで、ピニオンギヤ50の歯面の補正と同一である。
図12に示されるように、伸び駆動時におけるドリブンギヤ52側の補正では、ピニオンギヤ50と接触するCW側のドリブンギヤ52の歯面の角度(外側の大きな平行四辺形の向かって左側の斜辺の角度)を、ピニオンギヤ50の歯面の進み角θに対して前記で求めた相対角度θtを加算した角度(θ+θt)に補正する。
すなわち、図13(b)に示されるように、伸び駆動時における角度(θ+θt)の補正は、外側の大きな平行四辺形で示されるドリブンギヤ52の溝部68の歯面において、点Oを回転中心として破線で示す左側の幅広な斜辺を時計回り方向に相対角度θtだけ回転させた太線斜線とすることで補正される。
図12に戻って、縮み駆動時におけるドリブンギヤ52側の補正では、ピニオンギヤ50と接触するCCW側のドリブンギヤ52の歯面の角度(外側の大きな平行四辺形の向かって右側の斜辺の角度)を、ピニオンギヤ50の歯面の進み角θに対して前記で求めた相対角度θcを加算した角度(θ+θc)に補正する。
すなわち、図13(b)に示されるように、縮み駆動時における角度(θ+θc)の補正は、外側の大きな平行四辺形で示されるドリブンギヤ52の溝部68の歯面において、点Oを回転中心として破線で示す右側の幅広な斜辺を反時計回り方向に相対角度θcだけ回転させた太線斜線とすることで補正される。
以上は、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52の相対角度がθt>0、且つ、θc<0のときに、ピニオンギヤ側の歯面又はドリブンギヤ側の歯面を補正する場合について説明している。これに対して、図14に示されるように、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52の相対角度がθt<0、且つ、θc>0のときも図12と同様にして、ピニオンギヤ50側の歯面又はドリブンギヤ52側の歯面を補正することができる。
前記では、伸び駆動時及び縮み駆動時の両方において、ピニオンギヤ50の歯面、又は、ドリブンギヤ52の歯面のいずれか一方を補正する場合について説明しているが、次に、伸び駆動時と縮み駆動時とにおいて、それぞれ、異なる補正を行なう場合について説明する。
図15(a)及び図15(b)は、伸び駆動時にピニオンギヤ側の歯面を補正すると共に、縮み駆動時にドリブンギヤ側の歯面を補正する場合の説明図である。
伸び駆動時におけるピニオンギヤ50側の補正では、ドリブンギヤ52と接触するCW側のピニオンギヤ50の歯面の角度(内側の小さな平行四辺形の向かって左側の斜辺の角度)を、ピニオンギヤ50の歯面の進み角θに対して前記で求めた相対角度θtを減算した角度(θ−θt)に補正する。なお、角度(θ−θt)の補正は、図13(a)と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
縮み駆動時におけるドリブンギヤ52側の補正では、ピニオンギヤ50と接触するCCW側のドリブンギヤ52の歯面の角度(外側の大きな平行四辺形の向かって右側の斜辺の角度)を、ピニオンギヤ50の歯面の進み角θに対して前記で求めた相対角度θcを加算した角度(θ+θc)に補正する。なお、角度(θ+θc)の補正は、図13(b)と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
図16(a)及び図16(b)は、伸び駆動時にドリブンギヤ側の歯面を補正すると共に、縮み駆動時にピニオンギヤ側の歯面を補正する場合の説明図である。
伸び駆動時におけるドリブンギヤ52側の補正では、ピニオンギヤ50と接触するCW側のドリブンギヤ52の歯面の角度(外側の大きな平行四辺形の向かって左側の斜辺の角度)を、ピニオンギヤ50の歯面の進み角θに対して前記で求めた相対角度θtを加算した角度(θ+θt)に補正する。なお、角度(θ+θt)の補正は、図13(b)と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
縮み駆動時におけるピニオンギヤ50側の補正では、ドリブンギヤ52と接触するCCW側のピニオンギヤ50の歯面の角度(内側の小さな平行四辺形の向かって右側の斜辺の角度)を、ピニオンギヤ50の歯面の進み角θに対して前記で求めた相対角度θcを減算した角度(θ−θc)に補正する。なお、角度(θ−θc)の補正は、図13(a)と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
このように伸び駆動時と縮み駆動時とにおいて、ピニオンギヤ50とドリブンギヤ52とのいずれかで補正することによっても、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の歯面間の接触面積が最大となり、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の歯面間の噛み合いを最適化することができる。
次に、ピニオンギヤ50及び/又はドリブンギヤ52の歯面に対してクラウニング処理を行なう点について、以下説明する。
ピニオンギヤ50及び/又はドリブンギヤ52の歯面を補正する最適化手法では、目標とするギヤ離反力下において、相対角度を零として噛み合いを最適化している。しかしながら、例えば、外力の変化やピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の回転速度の増加等によってギヤ離反力が目標値から外れた場合(想定範囲外となった場合)、相対角度が零とならず零より大きい相対角度が残存する。
そこで、目標外のギヤ離反力によって発生する相対角度分だけ、ピニオンギヤ50及び/又はドリブンギヤ52の歯面に対してクラウニング処理を施すことで、目標外のギヤ離反力に対する相対角度のズレを抑制することができる。この結果、クラウニング処理によって、目標外の範囲をも含めた広範な範囲でギヤ離反力における噛み合いを安定化することができる。
図17は、ピニオンギヤの歯面に対してクラウニング処理を施した変形例を示す模式図、図18は、ドリブンギヤの歯面に対してクラウニング処理を施した変形例を示す模式図である。図17に示されるように、ピニオンギヤ50には、山部66の対向する両側の歯面に複合曲線で構成されるクラウニング70(太実線参照)が設けられる。また、図18に示されるように、ドリブンギヤ52には、溝部68の対向する両側の歯面に複合曲線で構成されるクラウニング72(太実線参照)が設けられる。
図17及び図18には、縮み駆動時のドリブンギヤ52の溝部68とピニオンギヤ50の山部66との相対関係において、ピニオンギヤ50又はドリブンギヤ52に発生するギヤ離反力が変化する状態を示している(図中における太線矢印の大きさ参照)。また、図17において、破線で囲んだ部分は、ピニオンギヤ50のクラウニング70とドリブンギヤ52の溝部68の歯面とが接触する接触部分を示している。ギヤ離反力が小さい状態から真ん中の状態を経てギヤ離反力が大きい状態となるにしたがって、接触部分が歯すじ方向で変化している。図18において、破線で囲んだ部分は、ピニオンギヤ50の山部66の歯面とドリブンギヤ52のクラウニング72とが接触する接触部分を示している。
変形例では、ピニオンギヤ50及び/又はドリブンギヤ52の歯面にクラウニング70
72を設けることで、ピニオンギヤ50及びドリブンギヤ52の歯面間における総合的な噛み合いをより一層安定化させることができる。
28 リヤトーコントロールアクチュエータ
40 モータ(回転駆動源)
42 出力ロッド(従動軸)
44 平行2軸ギヤ機構
48 駆動シャフト(駆動軸)
50 ピニオンギヤ(ドライブギヤ)
52 ドリブンギヤ
70、72 クラウニング
θt 相対角度(第1相対角度)
θc 相対角度(第2相対角度)
θ 進み角

Claims (5)

  1. 回転駆動源の回転駆動力が伝達される駆動軸と、
    前記駆動軸に設けられるドライブギヤと、
    前記駆動軸の軸線に対して平行に配置される従動軸と、
    前記従動軸に設けられ、前記ドライブギヤと噛合するドリブンギヤと、
    を有する動力伝達機構であって、
    前記駆動軸が正転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第1相対角度(θt)を求め、
    前記駆動軸が逆転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第2相対角度(θc)を求め、
    前記駆動軸が正転するときに前記ドリブンギヤと接触する前記ドライブギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第1相対角度(θt)を減算した角度(θ−θt)に補正すると共に、
    前記駆動軸が逆転するときに前記ドリブンギヤと接触する前記ドライブギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第2相対角度(θc)を減算した角度(θ−θc)に補正することを特徴とする動力伝達機構。
  2. 回転駆動源の回転駆動力が伝達される駆動軸と、
    前記駆動軸に設けられるドライブギヤと、
    前記駆動軸の軸線に対して平行に配置される従動軸と、
    前記従動軸に設けられ、前記ドライブギヤと噛合するドリブンギヤと、
    を有する動力伝達機構であって、
    前記駆動軸が正転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第1相対角度(θt)を求め、
    前記駆動軸が逆転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第2相対角度(θc)を求め、
    前記駆動軸が正転するときに前記ドライブギヤと接触する前記ドリブンギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第1相対角度(θt)を加算した角度(θ+θt)に補正すると共に、
    前記駆動軸が逆転するときに前記ドライブギヤと接触する前記ドリブンギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第2相対角度(θc)を加算した角度(θ+θc)に補正することを特徴とする動力伝達機構。
  3. 回転駆動源の回転駆動力が伝達される駆動軸と、
    前記駆動軸に設けられるドライブギヤと、
    前記駆動軸の軸線に対して平行に配置される従動軸と、
    前記従動軸に設けられ、前記ドライブギヤと噛合するドリブンギヤと、
    を有する動力伝達機構であって、
    前記駆動軸が正転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第1相対角度(θt)を求め、
    前記駆動軸が逆転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第2相対角度(θc)を求め、
    前記駆動軸が正転するときに前記ドリブンギヤと接触する前記ドライブギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第1相対角度(θt)を減算した角度(θ−θt)に補正すると共に、
    前記駆動軸が逆転するときに前記ドライブギヤと接触する前記ドリブンギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第2相対角度(θc)を加算した角度(θ+θc)に補正することを特徴とする動力伝達機構。
  4. 回転駆動源の回転駆動力が伝達される駆動軸と、
    前記駆動軸に設けられるドライブギヤと、
    前記駆動軸の軸線に対して平行に配置される従動軸と、
    前記従動軸に設けられ、前記ドライブギヤと噛合するドリブンギヤと、
    を有する動力伝達機構であって、
    前記駆動軸が正転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第1相対角度(θt)を求め、
    前記駆動軸が逆転する際、ギヤ離反力によって相対的に離間する前記ドライブギヤの回転中心線と前記ドリブンギヤの回転中心線との間の第2相対角度(θc)を求め、
    前記駆動軸が正転するときに前記ドライブギヤと接触する前記ドリブンギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第1相対角度(θt)を加算した角度(θ+θt)に補正すると共に、
    前記駆動軸が逆転するときに前記ドリブンギヤと接触する前記ドライブギヤの歯面の角度を、前記歯面の進み角(θ)に対して前記第2相対角度(θc)を減算した角度(θ−θc)に補正することを特徴とする動力伝達機構。
  5. 請求項1乃至請求項4記載の動力伝達機構において、
    前記ドライブギヤの歯面及び前記ドリブンギヤの歯面の少なくともいずれか一方には、クラウニング処理が施されることを特徴とする動力伝達機構。
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