JP6143652B2 - 燃料噴射装置用ノズルプレートの取付構造 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料噴射装置の燃料噴射口から流出した燃料を微粒化して噴射するために使用される燃料噴射装置用ノズルプレート(以下、適宜「ノズルプレート」と略称する)の取付構造に関するものである。
自動車等の内燃機関(以下、「エンジン」と略称する)は、燃料噴射装置から噴射された燃料と吸気管を介して導入された空気とを混合して可燃混合気を形成し、この可燃混合気をシリンダー内で燃焼させるようになっている。このようなエンジンは、燃料噴射装置から噴射された燃料と空気との混合状態がエンジンの性能に大きな影響を及ぼすことが知られており、特に、燃料噴射装置から噴射された燃料の微粒化がエンジンの性能を左右する重要な要素となることが知られている。
そこで、従来から、図12に示すように、燃料噴射装置100は、燃料噴射口101が形成された金属製のバルブボディ102に金属製のノズルプレート103を溶接し、燃料噴射口101から噴射された燃料をノズルプレート103に形成されたノズル孔104を介して吸気管内に噴射することにより、燃料の微粒化を促進するようになっている(特許文献1、2参照)。
特開平11−270438号公報 特開2011−144731号公報
しかしながら、従来の燃料噴射装置100は、溶接スパッタがノズルプレート103のノズル孔104に浸入し、ノズル孔104が溶接スパッタで塞がれるのを防止するため、マスキング治具を使用して溶接を行わなければならず、溶接を効率的に行うことが困難であった。その結果、従来の燃料噴射装置100は、製造工数が嵩み、製造コストの削減が困難であった。
そこで、本発明は、燃料噴射装置の製造工数を削減でき、燃料噴射装置の製造コストを削減できる燃料噴射装置用ノズルプレートの取付構造を提供する。
本発明は、図1乃至図7に示すように、燃料噴射装置1の燃料噴射口4から流出した燃料を微粒化して噴射するノズル孔7が形成された燃料噴射装置用ノズルプレート3の取付構造に関するものである。この発明において、前記燃料噴射口4が先端側に形成された金属製バルブボディ5は、合成樹脂材料で形成された前記燃料噴射装置用ノズルプレート3を収容する筒状のノズルプレート収容部8と、前記ノズルプレート収容部8内に収容された前記燃料噴射装置用ノズルプレート3を前記燃料噴射口4が形成された先端側で支持するノズルプレート支持部10と、を有している。また、前記ノズルプレート収容部8は、内部に収容した前記燃料噴射装置用ノズルプレート3が抜け出るのを防止する抜け止め突起13が開口端側の内周面12に形成され、前記抜け止め突起13が前記燃料噴射装置用ノズルプレート3に引っ掛けられるようになっている。また、前記燃料噴射装置用ノズルプレート3は、前記ノズル孔7が形成されたノズル孔形成部16と、前記ノズル孔形成部16の径方向外方側に形成された複数のばね作用部17,33と、を有している。そして、前記ばね作用部17,33は、前記燃料噴射用ノズルプレート3が前記ノズルプレート収容部8に収容される際に、前記抜け止め突起13によって縮径方向へ弾性変形させられて、前記燃料噴射用ノズルプレート3が前記抜け止め突起13の径方向内方側を通過するのを可能にし、前記燃料噴射用ノズルプレート3が前記ノズルプレート収容部8内に収容されると、拡径方向へ弾性復元して前記ノズルプレート収容部8の内周面12に当接し、前記燃料噴射装置用ノズルプレート3の中心24と前記バルブボディ5の中心軸11とを芯合わせすると共に、前記抜け止め突起13によって撓み変形させられて、前記ノズル孔形成部16を前記ノズルプレート支持部10に押し付けるようになっている。
本発明によれば、燃料噴射装置用ノズルプレートは、バルブボディのノズルプレート収容部に押し込むだけで、バルブボディの先端側に固定される。したがって、本発明は、金属製のノズルプレートを金属製のバルブボディの先端に溶接固定する従来例に比較し、燃料噴射装置の製造工数を削減でき、燃料噴射装置の製造コストを削減できる。
また、本発明によれば、燃料噴射装置用ノズルプレートは、バルブボディのノズルプレート収容部に収容されると、ばね作用部が弾性変形させられた状態で固定され、ノズル孔形成部がばね作用部の弾性力でバルブボディのノズルプレート支持部に押し付けられるようになっている。したがって、本発明は、燃料噴射装置用ノズルプレートとバルブボディの組み付け誤差をばね作用部の弾性変形によって吸収できると共に、燃料噴射装置用ノズルプレートとバルブボディの熱膨張差をばね作用部の弾性変形によって吸収でき、燃料噴射装置用ノズルプレートをバルブボディの先端側に確実に固定することができる。
燃料噴射装置の使用状態を模式的に示す図である。 本発明の第1実施形態に係るノズルプレートの取付構造を示す図である。図2(a)が燃料噴射装置の先端側正面図であり、図2(b)が図2(a)のA1−A1線に沿って切断して示す燃料噴射装置の先端側断面図である。 本発明の第1実施形態に係るバルブボディを示す図である。図3(a)がバルブボディの先端側正面図であり、図3(b)がバルブボディの先端側側面図であり、図3(c)が図3(a)のA2−A2線に沿って切断して示すバルブボディの先端側断面図である。 本発明の第1実施形態に係るノズルプレートを示す図である。図4(a)がノズルプレートの正面図であり、図4(b)が図4(a)のA3−A3線に沿って切断して示すノズルプレートの断面図であり、図4(c)がノズルプレートの背面図である。 本発明の第2実施形態に係るノズルプレートの取付構造を示す図である。図5(a)が燃料噴射装置の先端側正面図であり、図5(b)が図5(a)のA4−A4線に沿って切断して示す燃料噴射装置の先端側断面図である。 本発明の第2実施形態に係るバルブボディを示す図である。図6(a)がバルブボディの先端側正面図であり、図6(b)がバルブボディの先端側側面図であり、図6(c)が図6(a)のA5−A5線に沿って切断して示すバルブボディの先端側断面図である。 本発明の第2実施形態に係るノズルプレートを示す図である。図7(a)がノズルプレートの正面図であり、図7(b)が図7(a)のA6−A6線に沿って切断して示すノズルプレートの断面図であり、図7(c)がノズルプレートの背面図である。 本発明の変形例1に係るノズルプレートの取付構造を示す図であり、燃料噴射装置の先端側正面図である。 本発明の変形例2に係るノズルプレートを示す図である。図9(a)がノズルプレートの正面図であり、図9(b)が図9(a)のC1方向から見たノズルプレートの一部側面図である。 本発明の変形例3に係るノズルプレートを示す図である。 本発明の変形例4に係るノズルプレートを示す図である。 従来のノズルプレートの取付構造を示す燃料噴射装置の先端側断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
[第1実施形態]
(燃料噴射装置)
図1は、燃料噴射装置1の使用状態を模式的に示す図である(図2参照)。この図1に示すように、ポート噴射方式の燃料噴射装置1は、エンジンの吸気管2の途中に設置され、燃料を吸気管2内に噴射して、吸気管2に導入された空気と燃料とを混合し、可燃混合気を形成するようになっている。
図2は、燃料噴射装置用ノズルプレート3(以下、ノズルプレートと略称する)が取り付けられた燃料噴射装置1の先端側を示す図である。
図2に示すように、燃料噴射装置1は、燃料噴射口4が形成された金属製バルブボディ5の先端側に合成樹脂材料製のノズルプレート3が取り付けられている。この燃料噴射装置1は、図外のソレノイドによってニードルバルブ6が開閉されるようになっており、ニードルバルブ6が開かれると、バルブボディ5内の燃料が燃料噴射口4から噴射され、燃料噴射口4から噴射された燃料がノズルプレート3のノズル孔7を通過して外部に噴射されるようになっている。なお、ノズルプレート3は、PPS、PEEK、POM、PA、PES、PEI、LCP等の合成樹脂材料を使用して射出成形される。
(ノズルプレートの取付構造)
以下、図2乃至図4に基づき、本実施形態に係るノズルプレート3の取付構造を説明する。
図2乃至図3に示すように、バルブボディ5は、正面側から見た形状が円形状であり、先端側にノズルプレート3を収容するためのノズルプレート収容部8が形成され、このノズルプレート収容部8に収容されたノズルプレート3をバルブボディ5の先端面10(ノズルプレート支持部)で支持するようになっている。
図2乃至図3に示すように、ノズルプレート収容部8は、バルブボディ5の先端面10の外周縁に沿って(バルブボディ5の中心軸11の周りに)円筒状に形成されており、開口端側の内周面12に抜け止め突起13が形成されている。この抜け止め突起13は、ノズルプレート収容部8の内周面12に沿ってリング状に形成されており、ノズルプレート収容部8の開口端からノズルプレート収容部8の内方へバルブボディ5の中心軸11に沿って向かうにしたがって内径寸法を減ずるようなテーパー面14を有している。この抜け止め突起13のテーパー面14は、ノズルプレート3をノズルプレート収容部8内に円滑に押し込むためのガイド面として機能する。また、図3(c)及び図4(b)に示すように、抜け止め突起13の下面15とバルブボディ5の先端面10との間の中心軸11に沿った方向の寸法dは、ノズルプレート3のノズル孔形成部16の板厚寸法tよりも小さく、ばね作用部17の板厚寸法(t−h)よりも大きくなるように設定されている。
図2乃至図3に示すように、バルブボディ5の先端面10は、ノズルプレート収容部8の根本部分の内周面12に沿った部分に、抜け止め突起13によって撓み変形させられたノズルプレート3のばね作用部17のさらなる撓み変形を可能にするばね作用部逃がし溝18が形成されている。このばね作用部逃がし溝18は、バルブボディ5の正面側から見た形状が円環形状であり、溝幅寸法が抜け止め突起13の突起高さ(径方向内方への突出量)Lよりも十分に大きな寸法となるように形成され、抜け止め突起13によって撓み変形させられたばね作用部17が溝底に接触することがない溝深さに形成されている。
図2及び図4に示すように、ノズルプレート3は、バルブボディ5の先端側のノズルプレート収容部8に収容される板状体であり、外形寸法がノズルプレート収容部8の内周面12の内径寸法よりも大きく形成され、ノズル孔形成部16の裏面20がバルブボディ5の先端面10(ノズルプレート支持部)に当接するようになっている。このノズルプレート3は、ノズル孔7が複数形成されたノズル孔形成部16と、このノズル孔形成部16の外周縁に沿って形成された接続プレート部21と、この接続プレート部21の外周方向に沿って等間隔で4箇所形成された片持ち梁状のばね作用部17と、を有している。
図2及び図4に示すように、ノズル孔形成部16は、ノズルプレート3がバルブボディ5のノズルプレート収容部8に収容された際に、バルブボディ5の燃料噴射口4に対向して位置するように略円板形状に形成されており、中央部にすり鉢状(逆円錐台状)の凹部22が形成されている。このノズル孔形成部16の凹部22の底壁23には、複数のノズル孔7が形成されている。ノズル孔7は、凹部22の中心24(ノズルプレート3の中心24)の周りに等間隔で複数形成されており、バルブボディ5の燃料噴射口4から噴射された燃料を微粒化するようになっている。なお、本実施形態において、ノズル孔7は、ノズル孔形成部16に等間隔で6箇所形成されているが、これに限られず、使用条件等に応じた必要な個数だけ形成される。また、ノズル孔7は、ノズル孔形成部16に等間隔で複数形成する態様に限定されるものではなく、ノズル孔形成部16に不等ピッチで複数形成するようにしてもよい。
図2及び図4に示すように、接続プレート部21は、ノズル孔形成部16の外周縁に沿ってリング状に形成されたノズルプレート3の一部分である。この接続プレート部21は、ノズル孔形成部16の裏面20に対して段差寸法h分だけ引っ込んで位置するように形成されており、ばね作用部17の基端部分25と同一の肉厚に形成されている。
図2及び図4に示すように、ばね作用部17は、接続プレート部21から径方向外方へ延びる基端部分25と、この基端部分25から接続プレート部21の周方向に沿うように延びる片持ち梁状部分26と、この片持ち梁状部分26の先端側から径方向外方へ向かって突出する突き当て部分27と、を有している。そして、このばね作用部17は、裏面28側がノズル孔形成部16の裏面20よりも段差寸法h分だけ引っ込んで位置するように、全体がノズル孔形成部16よりも薄肉に形成されている。ばね作用部17の基端部分25は、片持ち梁状部分26よりも曲げ剛性が大きく、片持ち梁状部分26に比較して弾性変形し難くなっている。ばね作用部17の片持ち梁状部分26は、突き当て部分27が径方向内方へ(中心方向へ)押されると、基端部分25側を支点として径方向内方側へ撓み変形(縮径変形)する。また、ばね作用部17の片持ち梁状部分26は、突き当て部分27が図4(b)における下方向(−Z方向)へ向けて押されると、基端部分25側を支点として図4(b)における下方向(−Z方向)へ撓み変形(弾性変形)する。また、ばね作用部17の突き当て部分27は、ノズルプレート3がノズルプレート収容部8内に収容された場合に、図4(b)における上面30側が抜け止め突起13に当接して下方向(−Z方向)へ押されると共に、ノズルプレート収容部8の内周面12に当接して径方向内方へ向けて(中心へ向けて)押される。また、ばね作用部17の突き当て部分27は、径方向外方端の下面側に傾斜面31が形成され、この傾斜面31が抜け止め突起13のテーパー面14に案内されてスライド移動(下降移動)させられると、ばね作用部17の片持ち梁状部分26を縮径変形(弾性変形)させる。また、このばね作用部17の片持ち梁状部分26と接続プレート部21との間には、ノズルプレート収容部8の抜け止め突起13の突起高さLよりも大きな寸法の隙間32が形成されている。その結果、ばね作用部17は、接続プレート部21との間の隙間32分だけ縮径変形が可能である。
以上のように形作られたノズルプレート3は、バルブボディ5のノズルプレート収容部8に押し込まれる際に(収容される際に)、ばね作用部17の突き当て部分27の傾斜面31がノズルプレート収容部8の抜け止め突起13のテーパー面14に案内されてスライド移動すると共に、ばね作用部17の片持ち梁状部分26が縮径変形(弾性変形)させられて、ノズルプレート収容部8の抜け止め突起13の径方向内方側を通過することができる。そして、ノズルプレート3のノズル孔形成部16がバルブボディ5の先端面10に着座した後、ばね作用部17の突き当て部分27(又は片持ち梁状部分26の先端側)をさらに押し込むと、ばね作用部17の片持ち梁状部分26がバルブボディ5の先端面10との隙間を減じる方向へ撓み変形(弾性変形)し、ばね作用部17の突き当て部分27が抜け止め突起13とバルブボディ5の先端面10との間の空間に収容され、ばね作用部17の片持ち梁状部分26が拡径方向へ弾性復元し、ばね作用部17の突き当て部分27がばね作用部17の片持ち梁状部分26の弾性力でノズルプレート収容部8の内周面12に突き当てられる。この際、4箇所のばね作用部17の弾性力が等しく且つ中心24で交わるため、ノズルプレート3の中心24がバルブボディ5の中心軸11に合致するように、ノズルプレート3がバルブボディ5に対して位置決めされる(芯合わせされる)。また、この際、ばね作用部17の突き当て部分27が抜け止め突起13によって押され、ばね作用部17の片持ち梁状部分26がバルブボディ5の先端面10に近づくように撓み変形させられるため(段差寸法hよりも少なく弾性変形させられるため)、ノズルプレート3のノズル孔形成部16がばね作用部17の弾性力でバルブボディ5の先端面10に押し付けられ、ノズルプレート3のノズル孔形成部16の裏面20とバルブボディ5の先端面10が密着する。その結果、燃料噴射口4から噴射された燃料は、ノズルプレート3のノズル孔形成部16とバルブボディ5の先端面10との間から漏出することがない。
(第1実施形態の効果)
以上のような本実施形態に係るノズルプレート3の取付構造によれば、ノズルプレート3は、バルブボディ5のノズルプレート収容部8内に押し込むだけで、バルブボディ5の先端側に固定される。したがって、本実施形態に係るノズルプレート3の取付構造は、金属製のノズルプレート103を金属製のバルブボディ102の先端に溶接固定する従来例に比較し(図12参照)、燃料噴射装置1の製造工数を削減でき、燃料噴射装置1の製造コストを削減できる。
また、本実施形態に係るノズルプレート3の取付構造によれば、ノズルプレート3は、バルブボディ5のノズルプレート収容部8に収容されると、ばね作用部17が弾性変形させられた状態で固定され、ノズル孔形成部16がばね作用部17の弾性力でバルブボディ5の先端面10(ノズルプレート支持部)に押し付けられるようになっている。したがって、本発明は、ノズルプレート3とバルブボディ5の組み付け誤差をばね作用部17の弾性変形によって吸収できると共に、ノズルプレート3とバルブボディ5の熱膨張差をばね作用部17の弾性変形によって吸収でき、ノズルプレート3をバルブボディ5の先端側に確実に固定することができる。
なお、本実施形態において、ばね作用部17は、ノズル孔形成部16の周囲に等間隔で4箇所形成するようになっているが、これに限られず、ノズル孔形成部16の周囲に等間隔で2箇所以上形成される。また、ばね作用部17は、ノズル孔形成部16の周囲に不等間隔で複数形成するようにしてもよいが、ノズルプレート3の中心24をバルブボディ5の中心軸11に芯合わせすることができるようにばね力(弾性力)を調整する必要がある。
また、本実施形態において、ばね作用部17の裏面28とノズル孔形成部16の裏面20との段差寸法hが大きく、且つ、ノズルプレート3のばね作用部17の突き当て部分27をバルブボディ5の抜け止め突起13と先端面10との間に無理なく押し込むことができる場合には、バルブボディ5の先端面10のばね作用部逃がし溝18を省略してもよい。
[第2実施形態]
図5乃至図7は、本発明の第2実施形態に係るノズルプレート3の取付構造を説明するための図である。なお、本実施形態に係るノズルプレート3の取付構造は、ノズルプレート3の形状が第1実施形態に係るノズルプレート3と相違するが、他の構成が第1実施形態に係るノズルプレート3の取付構造の構成と共通するため、第1実施形態に係るノズルプレート3の取付構造と共通する構成に同一符号を付し、第1実施形態に係るノズルプレート3の取付構造の説明と重複する説明を省略する。
本実施形態において、ノズルプレート3は、ばね作用部33が接続プレート部21の外周に沿って等間隔で3箇所形成されている。このばね作用部33は、接続プレート部21の周方向に離れて位置する一対の基端部分34と、この基端部分34に張り渡すように接続された両端固定梁状部分35と、この両端固定梁状部分35の周方向中央部分に形成された突き当て部分36と、を有している。なお、本実施形態に係るノズルプレート3は、第1実施形態に係るノズルプレート3と同様に、ノズル孔形成部16に複数のノズル孔7が形成され、このノズル孔形成部16の外周側に接続プレート部21が形成されている。
ばね作用部33の基端部分34は、隣り合う他のばね作用部33の基端部分34と共通しており、接続プレート部21の外周に沿って等間隔で3箇所形成され、接続プレート部21から径方向外方へ向けて突出するように形成されている。
ばね作用部33の両端固定梁状部分35は、ノズルプレート3の表裏を貫通する周方向溝37によって接続プレート部21から溝幅寸法Wだけ離れて位置している。この両端固定梁状部分35と接続プレート部21との間の周方向溝37の溝幅寸法Wは、抜け止め突起13の突起高さLよりも十分に大きな寸法である。そして、この両端固定梁状部分35は、突き当て部分36が径方向内方へ向けて押されると、縮径変形し(径方向内方へ向けて弾性変形し)、突き当て部分36への押圧力が解除されると、元の形状に弾性復元する。また、この両端固定梁状部分35は、ノズル孔形成部16の裏面20がバルブボディ5の先端面10で支持された状態において、突き当て部分36がバルブボディ5の先端面10側に向けて押されると、バルブボディ5の先端面10に近づくように撓み変形(弾性変形)し、突き当て部分36への押圧力が解除されると、元の形状に弾性復元する。また、このばね作用部33の両端固定梁状部分35は、押圧用突起38が周方向中央部分の上面40(ばね作用部33の裏面41に対して反対側に位置する面)に周方向に沿って細長く形成されており、この押圧用突起38を図示しない押圧工具によって押すことにより、押圧工具によって両端固定梁状部分35のみを撓み変形させることができ、ノズル孔形成部16を押圧工具で変形させるようなことがない。
ばね作用部33の突き当て部分36は、両端固定梁状部分35の周方向中央部分から径方向外方へ向けて出っ張るように形成されており、径方向外方端の下面側に傾斜面42が形成されている。このばね作用部33の突き当て部分36は、傾斜面42が抜け止め突起13のテーパー面14に案内されてスライド移動(下降移動)させられると、ばね作用部33の両端固定梁状部分35を縮径変形(弾性変形)させる。
以上のように形作られたノズルプレート3は、バルブボディ5のノズルプレート収容部8に押し込まれる際に(収容される際に)、ばね作用部33の突き当て部分36の傾斜面42がノズルプレート収容部8の抜け止め突起13のテーパー面14に案内されてスライド移動すると共に、ばね作用部33の両端固定梁状部分35が縮径変形(弾性変形)させられて、ノズルプレート収容部8の抜け止め突起13の径方向内方側を通過することができる。そして、ノズルプレート3のノズル孔形成部16がバルブボディ5の先端面10に着座した後、ばね作用部33の両端固定梁状部分35に形成された押圧用突起38をさらに押し込むと、ばね作用部33の両端固定梁状部分35がバルブボディ5の先端面10との隙間を減じる方向へ撓み変形(弾性変形)し、ばね作用部33の突き当て部分36が抜け止め突起13とバルブボディ5の先端面10との間の空間に収容され、ばね作用部33の両端固定梁状部分35が拡径方向へ弾性復元し、ばね作用部33の突き当て部分36がばね作用部33の両端固定梁状部分35の弾性力でノズルプレート収容部8の内周面12に突き当てられる。この際、3箇所のばね作用部33の弾性力が等しく且つ中心24で交わるため、ノズルプレート3の中心24がバルブボディ5の中心軸11に合致するように、ノズルプレート3がバルブボディ5に対して位置決めされる(芯合わせされる)。また、この際、ばね作用部33の突き当て部分36が抜け止め突起13によって押され、ばね作用部33の両端固定梁状部分35がバルブボディ5の先端面10に近づくように撓み変形させられるため(ノズル孔形成部16の裏面20とばね作用部33の裏面41との段差寸法hよりも少なく弾性変形させられるため)、ノズルプレート3のノズル孔形成部16がばね作用部33の弾性力でバルブボディ5の先端面10に押し付けられ、ノズルプレート3のノズル孔形成部16の裏面20とバルブボディ5の先端面10が密着する。その結果、燃料噴射口4から噴射された燃料は、ノズルプレート3のノズル孔形成部16とバルブボディ5の先端面10との間から漏出することがない。
以上のような構成の本実施形態に係るノズルプレート3の取付構造によれば、第1実施形態に係るノズルプレート3の取付構造と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態において、ノズルプレート3は、押圧用突起38をばね作用部33の両端固定梁状部分35に形成してあるが、両端固定梁状部分35と突き当て部分36の少なくとも一方を押圧することができる押圧工具を使用する場合に限り、押圧用突起38を省略してもよい。
[変形例1]
図8は、本発明の変形例1を説明するための図であり、第1実施形態に係るノズルプレート3の取付構造の変形例を示す燃料噴射装置1の先端側正面図である。
この図8に示すように、ノズルプレート3のばね作用部17のうちで変形し難い基端部分25には、回り止め突起43が径方向外方へ出っ張るように形成されている。また、ノズルプレート3が収容されるバルブボディ5のノズルプレート収容部8には、ノズルプレート3の回り止め突起43と係合する回り止め溝44が形成されている。
このように構成された本変形例に係るノズルプレート3の取付構造によれば、ノズルプレート3の回り止め突起43をノズルプレート収容部8の回り止め溝44に係合することにより、ノズルプレート3をバルブボディ5の先端側の周方向に対して正確に位置決めすることができる。
[変形例2]
図9は、本発明の変形例2を説明するための図であり、第2実施形態に係るノズルプレート3の変形例を示す図である。
この図9に示すように、本変形例に係るノズルプレート3は、ばね作用部33のうちの両端固定梁状部分35の両端部近傍(基端部分近傍)で且つばね作用部33の裏面41に対して反対側に位置する上面40側に、径方向に沿って延びる切り欠き溝45が形成されている。この両端固定梁状部分35に形成された切り欠き溝45は、両端固定梁状部分35を撓み変形し易くするためのものであり、両端固定梁状部分35の両端部近傍の曲げ剛性を両端固定梁状部分35の他部の曲げ剛性よりも小さくしている。また、この両端固定梁状部分35の切り欠き溝45は、溝直角断面の形状が円弧形状となるように形成され、両端固定梁状部分35の両端部近傍に応力が集中しないようになっている。
[変形例3]
図10は、本発明の変形例3を説明するための図であり、第1実施形態に係るノズルプレート3の変形例を示す図である。
この図10に示すように、本変形例に係るノズルプレート3は、ばね作用部17の片持ち梁状部分26を弾性変形(撓み変形)し易くするため、切り欠き溝46が片持ち梁状部分26の基端部分25側の端部に形成され、片持ち梁状部分26の基端部分25側の端部の曲げ剛性を片持ち梁状部分26の他部の曲げ剛性よりも小さくしている。この切り欠き溝46は、片持ち梁状部分26の板厚方向に沿って延びる溝であり、片持ち梁状部分26の基端部分25側に応力が集中しないように、溝直角断面の形状が円弧形状になっている。
[変形例4]
図11は、本発明の変形例4を説明するための図であり、第1実施形態に係るノズルプレート3の変形例を示す図である。
この図11に示すように、本変形例に係るノズルプレート3は、片持ち梁状部分26の先端側上面30(ばね作用部17の裏面28に対して反対側に位置する面(図4参照))に押圧用突起47が形成されており、図示しない押圧工具によって押圧用突起47を押すことにより、片持ち梁状部分26のみを撓み変形(弾性変形)させることができ、ノズル孔形成部16が押圧工具によって変形させられることを防止できる。なお、ノズルプレート3は、片持ち梁状部分26に押圧用突起47を形成する代わりに、押圧工具によって押されのが好ましくない部分(例えば、ノズル孔形成部16)の上面を片持ち梁状部分26の上面よりも凹ませるようにしてもよい。
1……燃料噴射装置、3……ノズルプレート(燃料噴射装置用ノズルプレート)、4……燃料噴射口、5……バルブボディ、7……ノズル孔、8……ノズルプレート収容部、10……先端面(ノズルプレート支持部)、11……中心軸、12……内周面、13……抜け止め突起、16……ノズル孔形成部、17,33……ばね作用部、24……中心

Claims (4)

  1. 燃料噴射装置の燃料噴射口から流出した燃料を微粒化して噴射するノズル孔が形成された燃料噴射装置用ノズルプレートの取付構造において、
    前記燃料噴射口が先端側に形成された金属製バルブボディは、合成樹脂材料で形成された前記燃料噴射装置用ノズルプレートを収容する筒状のノズルプレート収容部と、前記ノズルプレート収容部内に収容された前記燃料噴射装置用ノズルプレートを前記燃料噴射口が形成された先端側で支持するノズルプレート支持部と、を有し、
    前記ノズルプレート収容部は、内部に収容した前記燃料噴射装置用ノズルプレートが抜け出るのを防止する抜け止め突起が開口端側の内周面に形成され、前記抜け止め突起が前記燃料噴射装置用ノズルプレートに引っ掛けられるようになっており、
    前記燃料噴射装置用ノズルプレートは、前記ノズル孔が形成されたノズル孔形成部と、前記ノズル孔形成部の径方向外方側に形成された複数のばね作用部と、を有し、
    前記ばね作用部は、前記燃料噴射用ノズルプレートが前記ノズルプレート収容部に収容される際に、前記抜け止め突起によって縮径方向へ弾性変形させられて、前記燃料噴射用ノズルプレートが前記抜け止め突起の径方向内方側を通過するのを可能にし、前記燃料噴射用ノズルプレートが前記ノズルプレート収容部内に収容されると、拡径方向へ弾性復元して前記ノズルプレート収容部の内周面に当接し、前記燃料噴射装置用ノズルプレートの中心と前記バルブボディの中心軸とを芯合わせすると共に、前記抜け止め突起によって撓み変形させられて、前記ノズル孔形成部を前記ノズルプレート支持部に押し付けるようになっている、
    ことを特徴とする燃料噴射用ノズルプレートの取付構造。
  2. 前記ノズルプレート支持部は、前記抜け止め突起によって撓み変形させられた前記ばね作用部のさらなる撓み変形を可能にするばね作用部逃がし溝が形成された、
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射用ノズルプレートの取付構造。
  3. 前記ばね作用部は、前記抜け止め突起によって撓み変形させられても、前記ノズルプレート支持部に当接しないように形成された、
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射用ノズルプレートの取付構造。
  4. 前記燃料噴射用ノズルプレートは、前記ノズルプレート収容部に形成された回り止め溝に係合される回り止め突起を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のノズルプレートの取付構造。
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