JP6143488B2 - スキャナおよびプリンタの複合機、および搬送誤差補正方法 - Google Patents

スキャナおよびプリンタの複合機、および搬送誤差補正方法 Download PDF

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Description

本発明は、原稿を読み取るスキャナと記録媒体に画像を記録するプリンタを用いて、複写処理が可能な複合機に関する。特に、原稿や記録媒体を搬送する際の搬送誤差を補正するための方法に関する。
複写装置では、画像を読み取るためのスキャナ機能と、読み取った画像データを記録するためのプリンタ機能とを備えている。近年では、A4、A3サイズに止まらず、B0サイズ以上の図面や地図、ポスターなどの大判メディアの需要も高まり、大判コピー可能な複合機も提供されている。一般に、大判メディアを取り扱う複合機では、幅広い領域を読み取り可能なスキャンヘッドと、用紙幅方向に移動して画像を記録する記録ヘッドを備え、上記幅方向とは交差する方向に原稿や記録媒体のようなメディアを搬送させながら複写処理を実行することが多い。
しかしこの場合、メディア表面とこれに接触して回転する搬送ローラとの間の摩擦力がメディアの種類によって異なり、メディアによっては搬送量に誤差が生じる場合がある。そしてこのような搬送誤差が生じると、スキャナの場合は、読み取った画像の搬送方向の長さが本来の画像長よりも長くなったり短くなったりするおそれがある。また、プリンタの場合は、出力した画像の搬送方向の長さが、メディアの種類によって異なってしまう恐れがある。
このような弊害を緩和するため、例えば特許文献1には、記録媒体を搬送させながら記録ヘッドにより所定のパターンを記録し、当該パターンを光学センサで読み取り、搬送量の誤差を取得する方法が開示されている。特許文献1の方法によれば、取得した搬送量の誤差を補正するように搬送ローラを回転するための搬送モータの駆動量を調整することにより、誤差が発生しやすい記録媒体でも目的の搬送量で画像を記録することが可能となる。よって、画像データに正確なサイズで画像を出力することが出来る。
一方、特許文献2には、あらかじめ用意された基準チャートを搬送させながら、装置内に設置されたスキャナによってチャートを読み取ることによって、読み取り時の搬送量の誤差を取得する方法が開示されている。特許文献2の方法によれば、取得した搬送量の誤差を補正するように補正処理を行うことにより、搬送誤差が発生しやすいメディアでも、画像データを正確なサイズで出力することが可能となる。
特開2006−272957号公報 特開平3−104476号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2の方法を用いてスキャナおよびプリンタそれぞれの搬送誤差や補正値を求める場合、スキャナとプリンタを併せ持つ複合機では2段階の補正シーケンスが必要になり、搬送量補正のために多大な時間と手間が要される。
また、スキャナ及びプリンタ夫々で補正値を求めた場合、これら補正値にはスキャナやプリンタ夫々で無視できる程度の僅かな誤差が含まれるが、読み取りと記録を同時に行う複写動作では、これら誤差が重畳し無視できない程度の誤差となって現れるおそれがある。すなわちこの場合、スキャナおよびプリンタそれぞれで求めた補正値を単純に加算しても好ましい補正が行えないことになる。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よってその目的とするところは、スキャナおよびプリンタそれぞれの搬送動作で生じる誤差の取得および補正値の算出を単一のシーケンスで実行しつつ、原稿に対し正確なサイズのプリント物を出力することが可能な複合機を提供することである。
そのために本発明は、読み取りヘッドに対し第1の搬送手段を用いて原稿を搬送することにより前記原稿を読み取るスキャナと、記録ヘッドに対し第2の搬送手段を用いて記録媒体を搬送することにより前記記録媒体に画像を記録するプリンタと、を備えた複合機であって、所定の補正用原稿を前記第1の搬送手段を用いて搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記補正用原稿の画像を読み取って原稿画像データとして記憶する手段と、記録媒体を前記第2の搬送手段を用いて搬送させながら、前記原稿画像データに従って前記記録ヘッドにより前記記録媒体に記録を行い調整用画像として出力する手段と、記第1の搬送手段を用いて前記補正用原稿の搬送時の設置の向きと等しい向きで設置された前記調整用画像を搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記調整用画像を読み取って第1の調整用画像データとして記憶する手段と、記第1の搬送手段を用いて前記補正用原稿の搬送時の向きに対し90度回転した向きで設置された前記調整用画像を搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記調整用画像を読み取って第2の調整用画像データとして記憶する手段と、前記第1の調整用画像データと前記第2の調整用画像データのそれぞれが示す画像長から、前記第1の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第1の補正値を算出する手段と、前記原稿画像データと前記第2の調整用画像データのそれぞれが示す画像長から、前記第2の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第2の補正値を算出する手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、搬送量補正のために多大な時間と手間を要することなく、複写動作において原稿に対し正確なサイズのプリント物を出力することが可能となる。
本発明で使用可能な大判複合機(複写装置)20の外観図である。 複合機の制御構成を説明するためのブロック図である。 スキャナの内部機構を示す図である。 プリンタの内部構成を示す図である。 搬送誤差補正シーケンスにおける各工程を説明するためのフローチャートである。 実施例1における補正用原稿の一例を示した図である。 実施例1における「原稿画像データ」を示す図である。 実施例1における「調整用画像」を示す図である。 (a)および(b)は、「調整用画像」をスキャナに設置する向きを示す図である。 実施例1における「第1の調整用画像データ」を示す図である。 実施例1における「第2の調整用画像データ」を示す図である。 第1の補正値を取得する処理を説明するためのブロック図である。 第2の補正値を取得する処理を説明するためのブロック図である。 実施例2における補正用原稿を示した図である。 実施例2における「原稿画像データ」を示す図である。 実施例2における「調整用画像」を示す図である。 実施例2における「第1の調整用画像データ」を示す図である。
図1は、本発明で使用可能な大判複合機(複写装置)20の外観図である。複合機20はスキャナ14およびプリンタ15を有し、スキャナ14はスキャナスタンド17にプリンタ15はプリンタスタンド16に夫々支持されている。ユーザはタッチパネルモニタ18を介して、複合機に対してコマンド入力したり複合機の状況を監視したりすることが出来る。パーソナルコンピュータ19はタッチパネルモニタ18に接続され、タッチパネルモニタ18から受信したコマンドを複合機のコントローラに転送したり、コントローラの指示に従って様々な情報をタッチパネルモニタ18に表示させたりする。
図2は、複合機20の制御構成を説明するためのブロック図である。複合機全体の制御を司るコントローラ21は、主にCPU22、RAM23およびROM24を備えている。CPU22は、ROM24に記憶されたプログラムに従い、RAM23をワークエリアとしながら各種処理を実行する。ROM24には制御プログラムのほか、複写処理に必要な各種パラメータなども記憶されている。プリンタ15やスキャナ14もCPU22に接続され、コントローラ21によってその動作が制御される。タッチパネルモニタ19やハードディスク(HDD)25はパーソナルコンピュータ19を介してCPUに接続されている。HDD25は、スキャナ14によって読み取った画像データを保存したり、後述する搬送誤差補正シーケンスによって得られた補正値を記憶したりするのに使用される。なお、CPU22の演算処理を軽減するために、装置特有の処理をハードウェア化したASICなどを用意しても良い。
図3はスキャナ14の内部機構を示す図である。第1の搬送手段であるスキャナ搬送ローラ12とスキャナピンチローラ13に挟持されたメディア(原稿)3は、スキャナ搬送ローラ12の回転に伴って、図のC方向に所定の速度で搬送される。画像読み取りヘッドであるスキャンヘッド10は、その下方を通過するメディア3を所定の周期で光学検出し、スキャンヘッド10の読み取り位置にあるメディアは、原稿ガイド11によってその背面が支持され、平面性が保たれている。スキャンヘッド10は、CCDやCISのような光学的読み取り素子を原稿の幅に対応する距離だけD方向に配列されて構成されたラインヘッドであり、個々の素子が取得した画像データはCPU22に転送される。
スキャナ14では、原稿サイズに対する読み取った画像データの画像長の比が1に近いほど、長さ精度は高いことになる。原稿3は2次元平面であるので、長さ精度はC方向とD方向に分解して考えることが出来る。ここで、D方向については、スキャンヘッドに配列する個々の素子が原稿を検出したか否かで原稿の長さを検出することが出来るので、メディアの材質などに影響を受けることはなく、原稿サイズに対する画像データの画像長の比はほぼ1に保たれる。すなわちD方向において長さ精度は確保される。一方、C方向については、スキャナ搬送ローラ12に対する摩擦力がメディアの種類によって異なることから、メディアの種類によっては搬送ローラ12との間ですべりが生じ、搬送誤差が生じる場合がある。具体的に説明すると、スキャナ搬送ローラ12の回転に対しメディアが多く搬送されてしまう場合、読み取られた画像データは原稿よりも短いものとなってしまう。反対にスキャナ搬送ローラ12の回転量に対しメディアが少なく搬送された場合、読み取られた画像データは原稿よりも長いものとなってしまう。
図4はプリンタ15の内部構成を示す図である。第2の搬送手段となるプリンタ搬送ローラ7とプリンタピンチローラ8に挟持されたメディア(記録媒体)3は、プリンタ搬送ローラ7の回転に伴って図のA方向に所定の量ずつ間欠的に搬送される。記録ヘッド2を搭載したキャリッジ1は、ガイドシャフト5に案内支持されてB方向に移動可能になっている。キャリッジ1のB方向における位置は、B方向に張架されたリニアスケール61のメモリをエンコーダセンサ62が検出することによって判断される。
記録ヘッド2はインクジェット記録ヘッドであり、インクを吐出可能な記録素子がA方向に複数配列されており、カラー画像を記録する構成であれば、このような記録素子列がインク色の数だけさらにB方向に並列配置されている。そして、キャリッジ1がB方向へ移動する最中に、記録ヘッド2における個々の記録素子が画像データとエンコーダセンサ62から得られるB方向の位置に従って吐出動作を行うことにより、記録媒体3に対し1バンド分の画像が記録される。さらに、このような1バンド分の記録走査とプリンタ搬送ローラ7による搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に順次画像が形成されていく。記録ヘッド2によって記録可能な位置にある記録媒体は、プラテン4によって背面が支持され、その平面性が保たれている。
プリンタ15においては、画像データの画像長に対する出力画像の長さの比が1に近いほど、その長さ精度は高いことになる。出力画像は2次元平面であるので、長さ精度はA方向とB方向に分解して考えることが出来る。ここで、B方向については、エンコーダセンサ62がリニアスケールを検出しながら記録幅を管理しているので、メディアの材質などに影響を受けることはなく、原稿サイズに対する画像データの画像長の比はほぼ1に保たれる。すなわちB方向において長さ精度は確保される。一方、A方向については、プリンタ搬送ローラ7に対する摩擦力がメディアの種類によって異なることから、メディアの種類によってはプリンタ搬送ローラ7との間ですべりが生じ、搬送誤差が生じる場合がある。具体的に説明すると、プリンタ搬送ローラ7の回転に対しメディアが多く搬送されてしまう場合、出力された画像は画像データよりも長いものとなってしまう。反対にプリンタ搬送ローラ12の回転量に対しメディアが少なく搬送される場合、出力された画像は画像データよりも短いものとなってしまう。
図5は、本実施例における搬送誤差補正シーケンスにおいて、CPU22が実行する各工程を説明するためのフローチャートである。本処理は、ユーザがタッチパネルモニタ18を介して、搬送誤差補正シーケンスの実行コマンドを入力することにより開始される。ユーザは、スキャナ14に対する原稿の設置も行う。
本処理が開始されると、CPU22はまずステップS101において、スキャナ14を用いて所定の補正用原稿の読みとり処理を行う。この際、スキャナ搬送ローラ12は標準的な駆動量で回転させる。
ステップS102では、ステップS101で取得した画像データを「原稿画像データ」としてHDD25などの記憶手段に記憶する。
ステップS103では、プリンタ15により「原稿画像データ」に従って記録動作を行い「調整用画像」を出力する。この際、プリンタ搬送ローラ7は標準的な駆動量で回転させる。
ステップS104では、再度スキャナ14を用いて「調整用画像」の読みとり処理を行う。この際、スキャナ14に対する原稿の設置はユーザが行ってもよいが、原稿の搬送方向が、ステップS101における原稿の搬送方向と一致するように設置する。
ステップS105では、ステップS104で取得した画像データを「第1の調整用画像データ」としてHDD25などの記憶手段に記憶する。
ステップS106では、スキャナ14を用いて、再び上記「調整用画像」の読み取り処理を行う。ただし、この際、原稿の搬送方向は、ステップS101における原稿の搬送方向とは直交するようにする。すなわちステップS104での読み取り作業に対し、「調整用画像」を90度回転させた状態で、原稿を設置する。
ステップS107では、ステップS106で取得した画像データを「第2の調整用画像データ」としてHDD25などの記憶手段に記憶する。
ステップS108では、ステップS105で記憶した「第1の調整用画像データ」とステップS107で記憶した「第2の調整用画像データ」を用いて、第1の補正値を算出する。第1の補正値およびその算出方法については後に詳しく説明する。
ステップS109では、ステップS102で記憶した「原稿画像データ」とステップS107で記憶した「第2の調整用画像データ」を用いて第2の補正値を算出する。第2の補正値およびその算出方法については後に詳しく説明する。
さらに、ステップS110では第1の補正値を記憶手段にて更新し、続くステップS111では第2の補正値を記憶手段にて更新する。以上で本処理を終了する。
以後、通常の複写処理を実行する際、CPU22は、スキャナ14にて原稿を読み取る際には記憶手段にて更新された第2の補正値に従ってスキャナ14による読み取り動作を制御する。同様に、プリンタ15にて印刷物を出力する際にはは記憶手段にて更新された第1の補正値に従ってプリンタ15による記録動作を制御する。
以下、第1の補正データおよび第2の補正データの算出方法について説明する。ここでは、読み取りの対象となる原稿の長さに対する読み取った画像データの画像長の比、或いは記録の対象となる画像データの画像長に対する記録した画像の長さの比を、誤差倍率と定義する。具体的には、原稿のY方向の長さに対し、当該原稿をスキャナ搬送ローラ12にて搬送しながらスキャナが読み取った結果、取得される画像データのY方向の画像長の比を誤差倍率Sとする。また、画像データのY方向の画像長に対し、当該画像データに従って、プリンタ搬送ローラ7にて搬送しながらプリンタが画像を記録した結果、出力される画像のY方向の長さの比を誤差倍率Pとする。
図6は、ステップS101で読み取る補正用原稿の一例を示した図である。ステップS101では、当該補正用原稿のY方向がC方向に一致するように設置されるものとし、X方向は読み取り素子の配列方向Dに一致する。原稿の特徴部分において、X方向の長さをMx、Y方向の長さをMyとする。
図7は、図6に示す補正用原稿を読み取った際において、ステップS102で記憶する「原稿画像データ」を示す図である。スキャナ14における搬送時の誤差倍率はSであるので、「原稿画像データ」における特徴部分のY方向の長さは、My×Sとなる。一方、特徴部分のX方向の長さは、搬送動作に影響を受けることはないので、Mxのまま変わらない。
図8は、図7に示す「原稿画像データ」に従って、プリンタ15が記録した結果得られる「調整用画像」を示す図である。プリンタにおける搬送時の誤差倍率はPであるので、「調整用画像」における特徴部分のY方向の長さは「原稿画像データ」のさらにP倍、すなわちMy×S×Pとなる。一方、特徴部分のX方向の長さは、搬送動作に影響を受けることはないので、Mxのまま変わらない。
図9(a)および(b)は、ステップS104およびステップS106のそれぞれにおいて、「調整用画像」をスキャナ14に設置する際の向きを説明するための図である。ステップS104では、「調整用画像」の搬送方向をステップS101における補正用原稿の搬送方向と一致させるため、「調整用画像」は図9(a)のように設置する。一方、ステップS106では、原稿の搬送方向をステップS101における原稿の搬送方向と直交させるため、「調整用画像」は図9(b)のように設置する。
図10は、図8に示す「調整用画像」を、図9(a)のように設置した際において、ステップS105で記憶される「第1の調整用画像データ」を示す図である。スキャナにおける搬送時の誤差倍率はSであるので、「第1の調整用画像データ」における特徴部分のY方向の長さは「調整用画像」のさらにS倍、すなわちMy×S×P×Sとなる。一方、特徴部分のX方向の長さはMxのまま変わらない。
図11は、図8に示す「調整用画像」を、図9(b)のように設置した際において、ステップS107で記憶される「第2の調整用画像データ」を示す図である。スキャナにおける搬送時の誤差倍率はSであるが、この場合、特徴部分のX方向とY方向がC−D座標に対して逆転しているので、「第2の調整用画像データ」における特徴部分のX方向の長さが「調整用画像」のS倍、すなわちMx×Sとなる。一方、特徴部分のY方向の長さは、「調整用画像」におけるY方向の長さMy×S×Pが維持される。
ここで、「原稿画像データ」、「第1の調整用画像データ」および「第2の調整用画像データ」は、HDD25などの記憶手段に格納された画像データであるので、CPU22は、夫々のX方向およびY方向の画素数から互いの画像長の比を求めることが出来る。
図12は、ステップS108において、CPU22が第1の補正値を取得する処理を説明するためのブロック図である。「第1の調整用画像データ」における特徴領域のY方向の画像長がMy×S×P×Sであり、「第2の調整用画像データ」における特徴領域のY方向の画像長がMy×S×Pであるので、両者の比からスキャナ14における搬送時の誤差倍率Sを求めることが出来る。すなわち、
S=(第1の調整用画像データにおける特徴領域のY方向の画像長)/(第2の調整用画像データにおける特徴領域のY方向の画像長)=(My×S×P×S)/(My×S×P)となる。
誤差倍率Sは、原稿長に対する読み取り画像長の比であるので、その値が大きいほど所定の駆動に対して搬送量は標準より短く、その値が小さいほど所定の駆動に対する搬送量は標準より長いことになる。そこでCPU22は、この値を1とするような第1の補正値を算出する。この際、第1の補正値は、読み取り時におけるスキャナ搬送ローラ12の駆動量を調整するためのパラメータであっても良いし、得られた画像データに対し伸縮を行うためのパラメータであっても良い。また、標準の駆動量で搬送中の原稿に対してスキャンヘッドがデータを取得する周期を調整するためのパラメータとすることも出来る。
第1の補正値がスキャナ搬送ローラの駆動量を調整するためのパラメータである場合、Sの値が大きいほど搬送ローラの駆動量は標準より大きくなるように調整され、Sの値が小さいほど搬送ローラの駆動量は標準より小さくなるように調整される。また、第1の補正値が画像データに対し伸縮を行うためのパラメータである場合、読み取った画像データに対し、Y方向の画素数が1/Sになるような短縮あるいは拡張処理が行われる。さらに、第1の補正値がスキャンヘッドがデータを取得する周期を調整するためのパラメータである場合、Sの値が大きいほど個々の読み取り素子の検出周期が長くなるように調整され、Sの値が小さいほど個々の読み取り素子の検出周期が短くなるように調整される。上記いずれのパラメータを用いる方法にせよ、原稿長に対する読み取り画像長の比をほぼ1に調整することが可能となる。
一方、図13は、ステップS109において、CPU22が第2の補正値を取得する処理を説明するためのブロック図である。Y方向における「原稿画像データ」における特徴領域のY方向の画像長がMy×Sであり、「第2の調整用画像データ」における特徴領域のY方向の画像長がMy×S×Pであるので、両者の比からプリンタにおける搬送時の誤差倍率Pを求めることが出来る。すなわち、
P=(第2の調整用画像データにおける特徴領域のY方向の画像長)/(原稿画像データにおける特徴領域のY方向の画像長)=(My×S×P)/(My×S) となる。
誤差倍率Pは、画像データの画像長に対する出力画像の長さの比であるので、その値が大きいほど所定の駆動量に対して搬送量は標準より長く、その値が小さいほど所定の駆動に対する搬送量は標準より短いことになる。そこで、CPU22は、この値を1とするような第2の補正値を算出する。第2の補正値は、プリンタ搬送ローラ7に対する駆動量をその搬送量が1/Pとなるような補正値であればよい。
以上説明した本実施例によれば、スキャナおよびプリンタ夫々の誤差が重畳された結果である第1の調整用画像データや第2の調整用画像データに基づいて、単一のシーケンスでスキャナおよびプリンタ夫々における搬送時の誤差倍率および補正値を算出している。よって、搬送量補正のために多大な時間と手間を要することなく、複写動作において原稿に対し正確なサイズのプリント物を出力することが可能となる。
上記実施例では、特徴領域におけるX方向の長さがMx、Y方向の長さがMyであるような補正用原稿を用いた。これに対し本実施例では、真円や正方形のように90度回転した形状が等しく、特徴領域においてMx=Myが成り立つような補正用原稿を用い、より簡略化された搬送誤差補正シーケンスについて説明する。
図14は、本実施例における補正用原稿を示した図である。ここでは、特徴領域においてMx=My=Mが成り立つ正方形が描かれた原稿となっている。
図15は、図14に示す補正用原稿を読み取った際の「原稿画像データ」を示す図である。スキャナ14における搬送時の誤差倍率はSであるので、「原稿画像データ」における特徴部分のY方向の長さは、M×Sとなる。一方、特徴部分のX方向の長さは、搬送動作に影響を受けることはないので、Mのまま変わらない。
図16は、図15に示す「原稿画像データ」に従って、プリンタが記録した結果得られる「調整用画像」を示す図である。プリンタにおける搬送時の誤差倍率はPであるので、「調整用画像」における特徴部分のY方向の長さは「原稿画像データ」のさらにP倍、すなわちM×S×Pとなる。一方、特徴部分のX方向の長さは、搬送動作に影響を受けることはないので、Mのまま変わらない。
図17は、図16に示す「調整用画像」を、そのままの向きで設置した際に得られる「第1の調整用画像データ」を示す図である。スキャナにおける搬送時の誤差倍率はSであるので、「第1の調整用画像データ」における特徴部分のY方向の長さは「調整用画像」のさらにS倍、すなわちM×S×P×Sとなる。一方、特徴部分のX方向の長さはMxまま変わらない。
本実施例では、補正用原稿における特徴部分のX方向の長さとY方向の長さが等しいので、「原稿画像データ」における特徴部分のY方向の長さM×SとX方向の長さMとの比から、スキャナ14における搬送時の誤差倍率Sを求めることが出来る。すなわち、
S=(原稿画像データにおけるY方向の画像長)/(原稿画像データにおけるX方向の画像長)=(M×S)/M となる。
一方、上記式に基づいて求めたSと「第1の調整用画像データ」との比から、プリンタにおける搬送時の誤差倍率Pを求めることが出来る。すなわち、
P=(第1の調整用画像データにおけるY方向の画像長)/(原稿画像データのY方向の画像長)/S=(M×S×P×S×M)/(M×S)/(M×S) となる。
このように、本実施例によれば「原稿画像データ」と「第1の調整用画像データ」のみから、スキャナにおける搬送時の誤差倍率Sもプリンタにおける搬送時の誤差倍率Pも算出することが出来る。
すなわち、本実施例によれば第2の調整用画像データを必要としないので、図16で示す「調整用画像」を90度回転した方向でスキャナに設置したりこれを読み取ったりする工程が省略可能となる。その結果、実施例1に比べ更に短時間で搬送誤差補正シーケンスを完了させることが出来る。
以上説明した搬送誤差補正シーケンスは、どのようなタイミングで行うことも可能である。但し、スキャナが読み取る原稿とプリンタが出力する用紙の種類の組み合わせが変わるタイミングでは、上記搬送誤差補正シーケンスを行ってメディアの組み合わせに適した新たな補正値を算出することが好ましい。つまり、新たな原稿に対する複写動作を実行する際、使用する原稿と記録媒体の組み合わせで上記搬送誤差補正シーケンスを事前に実行することが好ましい。
1 キャリッジ
2 記録ヘッド
3 メディア(記録媒体)
7 プリンタ搬送ローラ
8 プリンタピンチローラ
10 スキャンヘッド(読み取りヘッド)
12 スキャナ搬送ローラ
13 スキャナピンチローラ
14 スキャナ
15 プリンタ
20 複合機
21 コントローラ
22 CPU
23 RAM
24 ROM
25 HDD

Claims (11)

  1. 読み取りヘッドに対し第1の搬送手段を用いて原稿を搬送することにより前記原稿を読み取るスキャナと、記録ヘッドに対し第2の搬送手段を用いて記録媒体を搬送することにより前記記録媒体に画像を記録するプリンタと、を備えた複合機であって、
    所定の補正用原稿を前記第1の搬送手段を用いて搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記補正用原稿の画像を読み取って原稿画像データとして記憶する手段と、
    記録媒体を前記第2の搬送手段を用いて搬送させながら、前記原稿画像データに従って前記記録ヘッドにより前記記録媒体に記録を行い調整用画像として出力する手段と、
    記第1の搬送手段を用いて前記補正用原稿の搬送時の設置の向きと等しい向きで設置された前記調整用画像を搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記調整用画像を読み取って第1の調整用画像データとして記憶する手段と、
    記第1の搬送手段を用いて前記補正用原稿の搬送時の向きに対し90度回転した向きで設置された前記調整用画像を搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記調整用画像を読み取って第2の調整用画像データとして記憶する手段と、
    前記第1の調整用画像データと前記第2の調整用画像データのそれぞれが示す画像長から、前記第1の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第1の補正値を算出する手段と、
    前記原稿画像データと前記第2の調整用画像データのそれぞれが示す画像長から、前記第2の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第2の補正値を算出する手段と、
    を備えることを特徴とする複合機。
  2. 読み取りヘッドに対し第1の搬送手段を用いて原稿を搬送することにより前記原稿を読み取るスキャナと、記録ヘッドに対し第2の搬送手段を用いて記録媒体を搬送することにより前記記録媒体に画像を記録するプリンタと、を備えた複合機であって、
    90度回転した形状が等しくなるような特徴領域を有する所定の補正用原稿を前記第1の搬送手段を用いて搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記補正用原稿の画像を読み取って原稿画像データとして記憶する手段と、
    記録媒体を前記第2の搬送手段を用いて搬送させながら、前記原稿画像データに従って前記記録ヘッドにより前記記録媒体に記録を行い調整用画像として出力する手段と、
    記第1の搬送手段を用いて前記補正用原稿の搬送時の設置の向きと等しい向きで設置された前記調整用画像を搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記調整用画像を読み取って第1の調整用画像データとして記憶する手段と、
    前記原稿画像データと前記第の調整用画像データのそれぞれが示す画像長から、前記第1の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第1の補正値を算出し、更に前記第2の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第2の補正値を算出する手段と、
    を備えることを特徴とする複合機。
  3. 前記第1の補正値に従って前記スキャナを制御しながら原稿を読み取り、前記第2の補正値に従って前記プリンタを制御しながら前記スキャナが読み取った原稿の画像データに従って記録媒体に画像を記録することを特徴とする請求項1または2に記載の複合機。
  4. 前記第1の補正値は、前記第1の搬送手段の駆動量を調整するためのパラメータであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合機。
  5. 前記第1の補正値は、前記読み取りヘッドが読み取った画像データに対し伸縮を行うためのパラメータであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合機。
  6. 前記第1の補正値は、前記読み取りヘッドがデータを取得する周期を調整するためのパラメータであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合機。
  7. 前記第2の補正値は、前記第2の搬送手段の駆動量を調整するためのパラメータであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合機。
  8. 前記記録ヘッドは、画像データに従ってインクを吐出する記録素子を備えたインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複合機。
  9. 前記読み取りヘッドは、CCDあるいはCISの光学的読み取り素子を備えたラインヘッドであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の複合機。
  10. 読み取りヘッドに対し第1の搬送手段を用いて原稿を搬送することにより前記原稿を読み取るスキャナと、記録ヘッドに対し第2の搬送手段を用いて記録媒体を搬送することにより前記記録媒体に画像を記録するプリンタと、を備えた複合機の搬送誤差補正方法であって、
    所定の補正用原稿を前記第1の搬送手段を用いて搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記補正用原稿の画像を読み取って原稿画像データとして記憶する工程と、
    記録媒体を前記第2の搬送手段を用いて搬送させながら、前記原稿画像データに従って前記記録ヘッドにより前記記録媒体に記録を行い調整用画像として出力する工程と、
    記第1の搬送手段を用いて前記補正用原稿の搬送時の設置の向きと等しい向きで設置された前記調整用画像を搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記調整用画像を読み取って第1の調整用画像データとして記憶する工程と、
    記第1の搬送手段を用いて前記補正用原稿の搬送時の向きに対し90度回転した向きで設置された前記調整用画像を搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記調整用画像を読み取って第2の調整用画像データとして記憶する工程と、
    前記第1の調整用画像データと前記第2の調整用画像データのそれぞれが示す画像長から、前記第1の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第1の補正値を算出する工程と、
    前記原稿画像データと前記第2の調整用画像データのそれぞれが示す画像長から、前記第2の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第2の補正値を算出する第2の補正値を算出する工程と、
    を有することを特徴とする搬送誤差補正方法。
  11. 読み取りヘッドに対し第1の搬送手段を用いて原稿を搬送することにより前記原稿を読み取るスキャナと、記録ヘッドに対し第2の搬送手段を用いて記録媒体を搬送することにより前記記録媒体に画像を記録するプリンタと、を備えた搬送誤差補正方法であって、
    90度回転した形状が等しくなるような特徴領域を有する所定の補正用原稿を前記第1の搬送手段を用いて搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記補正用原稿の画像を読み取って原稿画像データとして記憶する工程と、
    記録媒体を前記第2の搬送手段を用いて搬送させながら、前記原稿画像データに従って前記記録ヘッドにより前記記録媒体に記録を行い調整用画像として出力する工程と、
    記第1の搬送手段を用いて前記補正用原稿の搬送時の設置の向きと等しい向きで設置された前記調整用画像を搬送させながら、前記読み取りヘッドにより前記調整用画像を読み取って第1の調整用画像データとして記憶する工程と、
    前記原稿画像データと前記第の調整用画像データのそれぞれが示す画像長から、前記第1の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第1の補正値を算出し、更に前記第2の搬送手段による搬送の方向における搬送誤差を補正するための第2の補正値を算出する工程と、
    を有することを特徴とする搬送誤差補正方法。
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