JP6140655B2 - 誘導加熱ユニット、およびこれを備えた定着装置、画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導加熱ユニット、およびこれを備えた定着装置、画像形成装置に関する。
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置は、像担持体(例えば感光体ドラム)上に画像を形成する画像形成部と、像担持体上のトナー像を記録媒体の一例としてのシート上に転写させる転写部と、用紙上に転写されたトナー像を該シート上に加熱定着させる定着装置とを含む。
定着装置として、急速加熱や高効率加熱が可能な電磁誘導加熱(IH)ユニットを備えたものが知られている。このような電磁誘導加熱方式では、誘導コイルに高周波電流を流して発生させた磁束によって定着ローラーや定着ベルトに誘導電流が誘起され、定着ローラーや定着ベルトがジュール発熱(誘導加熱)する。このジュール熱によりトナー像がシート(記録媒体)上に定着される。
特許文献1には、電磁誘導加熱ユニットを備えた定着装置において、磁路を形成するアーチコアが所定のホルダーに保持される技術が開示されている。アーチコアとホルダーとの間には、弾性部材が配置される。そして、蓋形状からなるシールドがホルダーに装着される際に、弾性部材の弾性力によってアーチコアが位置決めされる。
特開2009−109648号公報
特許文献1に記載された定着装置では、シールドがホルダーに装着される際に、弾性部材の位置がずれ、アーチコアの位置が正確に設定されないという課題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、電磁誘導加熱方式の誘導加熱ユニット、およびこれを備えた定着装置、画像形成装置において、コア部材の位置を精度良く設定することを目的とする。
本発明の一の局面に係る誘導加熱ユニットは、所定の回転方向に回転する加熱部材を磁束によって誘導加熱する誘導加熱ユニットであって、ハウジングと、前記回転方向と交差するシート幅方向に延びるように前記ハウジングに固定され、前記磁束を発生させる磁束発生源と、磁性材料からなり、前記ハウジングに固定され、前記磁束が通る磁路を形成するコア部材と、熱収縮材料からなり、所定の温度で加熱されることで収縮し、前記コア部材を前記ハウジングに固定する固定部材と、を有し、前記コア部材は、前記回転方向に沿ってアーチ形状に延びるアーチコアであって、前記回転方向の上流側に配置された一端部と、前記回転方向の下流側に配置された他端部とを備え、前記ハウジングは、前記アーチコアの前記一端部または前記他端部に沿って突設される突片を備え、前記固定部材は、前記アーチコアの前記一端部または前記他端部と前記突片とを一体的に束ねる第1リング形状を少なくとも備えることを特徴とする。
本構成によれば、固定部材は、熱収縮材料からなり、所定の温度で加熱されることで収縮し、コア部材を前記ハウジングに固定する。この結果、誘導加熱ユニットの組立工程において、固定部材が加熱されるだけで、コア部材がハウジングに短時間で固定される。したがって、誘導加熱ユニットの組立効率が向上される。また、固定部材が熱収縮材料からなるため、加熱部材の誘導加熱に際して誘導加熱ユニットの温度が上昇しても、接着剤による固定態様などと比較して、コア部材の位置が変動することが抑止される。
また、本構成によれば、固定部材が、第1リング形状からなり、アーチコアの一端部または他端部とハウジングの突片とが一体的に束ねられることによって、アーチコアの位置が安定して維持される。
上記の構成において、前記固定部材は、前記第1リング形状に連結され、前記アーチコアの前記一端部の先端部または前記他端部の先端部、および、前記突片の先端部に対向する封止面を更に備えるキャップ形状からなるものでもよい。
本構成によれば、アーチコアの一端部または他端部とハウジングの突片とが一体的に強く固定され、アーチコアの位置が安定して維持される。
上記の構成において、前記アーチコアは、前記固定部材の前記第1リング形状の一部が嵌め込まれる第1溝部を備えるものでもよい。
本構成によれば、固定部材がアーチコアから外れることが防止される。
上記の構成において、前記固定部材は、前記第1溝部よりも先端側の前記アーチコアの一部が挿通される開口部を備えるものでもよい。
本構成によれば、固定部材がアーチコアから外れることが更に防止される。
上記の構成において、前記アーチコアの前記一端部および前記他端部のうちの一方に前記固定部材が装着され、前記アーチコアは、前記一端部および前記他端部のうちの他方から、前記回転方向と交差する方向に向かって突出した係合部を備え、前記ハウジングは、前記係合部が係合する被係合部を備えるものでもよい。
本構成によれば、アーチコアの端部の係合部が支点として機能し、アーチコアが固定部材によってハウジングに安定して固定される。
本発明の他の局面に係る誘導加熱ユニットは、所定の回転方向に回転する加熱部材を磁束によって誘導加熱する誘導加熱ユニットであって、ハウジングと、前記回転方向と交差するシート幅方向に延びるように前記ハウジングに固定され、前記磁束を発生させる磁束発生源と、磁性材料からなり、前記ハウジングに固定され、前記磁束が通る磁路を形成するコア部材と、熱収縮材料からなり、所定の温度で加熱されることで収縮し、前記コア部材を前記ハウジングに固定する固定部材と、を有し、前記コア部材は、前記回転方向に沿ってアーチ形状に延びるアーチコアであって、前記回転方向の上流側に配置された一端部と、前記回転方向の下流側に配置された他端部と、前記一端部と前記他端部との間において前記回転方向と交差する方向に向かって突設された突起部と、を備え、前記ハウジングは、前記アーチコアの前記突起部が挿通される孔部を備え、前記固定部材は、前記孔部の内径よりも大きな外径を有し、前記孔部を貫通した前記突起部の先端部に外嵌される第2リング形状からなることを特徴とする
本構成によれば、固定部材がアーチコアの突起部をハウジングに固定することによって、アーチコアの位置が安定して維持される。
上記の構成において、前記突起部の先端部には、前記固定部材が嵌め込まれる第2溝部が形成されていてもよい。
本構成によれば、固定部材がアーチコアの突起部から外れることが防止される。
上記の構成において、前記コア部材と前記ハウジングとの間に配置され、前記固定部材の収縮に伴って圧縮変形する弾性部材を更に備えるものでもよい。
本構成によれば、コア部材が磁路を形成する際に、磁界によってコア部材が振動する場合であっても、弾性部材が振動エネルギーを吸収することができる。この結果、固定部材が振動によってコア部材から外れることや異音の発生が抑止される。
本発明の他の局面に係る定着装置は、上記の何れか1に記載の誘導加熱ユニットと、所定の回転方向に回転し、前記磁束によって誘導加熱され、シートに定着処理を施す加熱部材と、を備えることを特徴とする。
本構成によれば、誘導加熱ユニットにおいて、コア部材の位置が精度良く設定される。この結果、加熱部材が安定して加熱された状態で、シートに定着処理が施される。
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、表面にトナー像が形成される像担持体と、前記トナー像をシート上に転写する転写部と、上記に記載の定着装置と、を有することを特徴とする。
本構成によれば、誘導加熱ユニットを含む定着装置を備えた画像形成装置において、トナー像が転写されたシートに安定して定着処理が施される。
本発明によれば、電磁誘導加熱方式の誘導加熱ユニット、およびこれを備えた定着装置、画像形成装置において、コア部材の位置を精度良く設定することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置の内部構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る誘導加熱ユニットの分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係る誘導加熱ユニットのハウジングの一部の斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るコア部材、ハウジングおよび固定部材の分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るコア部材がハウジングに固定された様子を示す斜視図(A)および断面斜視図(B)である。 本発明の第2の実施形態に係るコア部材がハウジングに固定された様子を示す斜視図(A)および断面斜視図(B)である。 本発明の第3の実施形態に係るコア部材がハウジングに固定された様子を示す斜視図(A)および断面斜視図(B)である。 本発明の変形実施形態に係るコア部材がハウジングに固定された様子を示す断面斜視図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として複写機を例示するが、画像形成装置1は、IH定着方式を採用している限りにおいて、プリンタ、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着装置60と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40から画像形成部30及び定着装置60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
自動原稿給送装置20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。自動原稿給送装置20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給送装置20は上方に開かれる。自動原稿給送装置20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
読取ユニット25は、装置本体10の上面の自動原稿給送装置20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取
ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33(転写部)と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321(像担持体)と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332、従動ローラー333、テンションローラー334及びバックアップローラー336を備える。中間転写ベルト331は、これらローラー332、333、334、336及び一次転写ローラー325に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される(一次転写)。
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。二次転写ローラー35も導電性のローラーである。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。二次転写ローラー35には、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、駆動ローラー332は接地される。
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40B及び手差し給紙用の給紙トレイ46を備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。給紙カセット40A、40Bは、自動給紙用に設けられたカセットであるが、手差し給紙用の給紙トレイ46は、その下端部において装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。
給紙カセット40A(40B)は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。一方、給紙トレイ46に載置されたシートは、同様にピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30を経由して定着装置60の出口までシートを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを画像形成部30に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット55の内部に備えられているシート搬送路で構成されている。
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。主搬送路50Aを搬送されてきたシートは、停止状態のレジストローラー対51に付き当たって一旦停止され、スキュー矯正が行われる。その後、画像転写のための所定のタイミングで、レジストローラー対51が駆動モーター(図略)で回転駆動されることで、シートは二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー対52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。
搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー対53が搬送ユニット55の図1において左側に隣接して配置されている。排紙ローラー対53は、装置本体10に接続されて配置される図略の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方にシート排出トレイが設けられる。
搬送ユニット55は、定着装置60から搬出されるシートを、シート排出口10Eまで搬送するユニットである。搬送ユニット55は、装置本体10の右側面10Rから左側面10Lに向けて、シートを水平方向に搬送する。
定着装置60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置である。図2は、定着装置60の内部構造を示す断面図、図3は、誘導加熱ユニット65の分解斜視図である。
定着装置60は、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64(加熱部材)、誘導加熱ユニット65及び搬送ローラー対66を含む。また、定着装置60は、定着ユニット60Uとして装置本体10に装着される。定着ユニット60Uは、定着ハウジング600を備える。定着ハウジング600は、断面形状が略矩形状であり、定着処理を行うための各部材を収容する。
加熱ローラー61は、誘導加熱ユニット65により誘導加熱されるローラーであって、例えば鉄やステンレス等の磁性金属からなり、その表面には例えばPFAからなる離型層が形成されている。加熱ローラー61は、図2において、軸回りに反時計回りに回転する。
定着ローラー62及び加圧ローラー63は、定着ベルト64を挟んで周面同士が圧接され、定着ニップ部60Nを形成するローラーである。二次転写部35Aにおいてトナー像が二次転写されたシートは、定着ニップ部60Nを通過し、加熱及び加圧されることで、トナー像がシート表面に定着される。
定着ローラー62は、弾性層を表層に有する弾性ローラーである。前記弾性層としては
、シリコンスポンジからなる弾性層を用いることができる。定着ローラー62は、図2において、軸回りに反時計回りに回転される。
加圧ローラー63は、定着ローラー62を加圧し、定着ベルト64との間で所定幅の定着ニップ部60Nを形成するためのローラーである。加圧ローラー63の好ましい構成の一つは、鉄やアルミニウム等の金属芯材と、この芯材の上に形成されたシリコンゴム層と、シリコンゴム層の表面に形成されたフッ素樹脂層とを備える構成である。加圧ローラー63は、定着ローラー62の表層の硬度よりも高い表層の硬度を有しており、その内部にはハロゲンヒーター等の加熱エレメントが備えられている。加圧ローラー63は、図2において、軸回りに時計回りに回転される。
定着ベルト64は、加熱ローラー61と定着ローラー62とに架け渡され、回転され、加熱ローラー61と同様に誘導加熱ユニット65により誘導加熱されるベルトである。定着ベルト64は、誘導加熱ユニット65に対向して配置される。この定着ベルト64の内周面には、当該定着ベルト64に張力を与えるためのテンションローラー641が当接されている。定着ベルト64は、例えばニッケルのような強磁性材料からなる基材上に、シリコンゴム弾性層及びPFA離型層が順次形成されてなる。なお、定着ベルト64に被加熱機能を具備させず単に加熱ローラー61が発する熱のキャリアとする場合は、ポリイミド(PI)等の樹脂ベルトを用いることができる。
誘導加熱ユニット65は、定着処理に必要な熱を発生させるためのユニットであり、加熱ローラー61および定着ベルト64を磁束によって誘導加熱する。誘導加熱ユニット65は、誘導加熱コイル651(磁束発生源)と、センターコア652、複数対のアーチコア653(コア部材)及び一対のサイドコア654からなるコアと、これらを収容するユニットハウジング650とを備える。誘導加熱ユニット65は、定着ハウジング600の左端部に収容されている。また、誘導加熱ユニット65は、水平方向において定着ベルト64に対向して配置されている。
誘導加熱ユニット65は、ユニットハウジング650(ハウジング)(図3)を備える。ユニットハウジング650は、誘導加熱ユニット65の各部材を支持する。ユニットハウジング650は、ハウジング本体650Lと、アーチコア保持ユニット650Hとを備える。図4は、アーチコア保持ユニット650Hの斜視図である。ハウジング本体650Lは、ユニットハウジング650の下方部分に相当する。アーチコア保持ユニット650Hは、ハウジング本体650Lの上面部に装着される。
誘導加熱コイル651は、加熱ローラー61及び定着ベルト64を誘導加熱するための磁束を発生するもので、ユニットハウジング650のハウジング本体650Lにおいて、加熱ローラー61及び定着ベルト64の断面視における円弧面に対向する仮想的な円弧面上に配置されている(図2)。誘導加熱コイル651は、左方から見た側面視でセンターコア652を囲むように略楕円形状に周回された巻線である。誘導加熱コイル651は、加熱ローラー61の回転方向と交差するシート幅方向(前後方向、加熱ローラー61の軸方向)に延びるようにハウジング本体650Lに固定されている。
センターコア652、複数対のアーチコア653及び一対のサイドコア654は、フェライト製(磁性材料)のコア部材であり、加熱ローラー61及び定着ベルト64の一部を経由する磁路を形成するために配置されている。センターコア652は、誘導加熱コイル651に周囲を囲まれるように前後方向に延びるように配置されている。アーチコア653は、誘導加熱コイル651を左方から覆うように、かつ、センターコア652を上下方向に挟むように一対配置されている。なお、アーチコア653は前後方向に連続的に伸びる形状ではなく、図2に示すようなアーチ形状からなる部材が、前後方向に間隔をおいて複数配置されている。このため、誘導加熱コイル651は、隣接するアーチコア653同士の間において部分的に左側に露出している。誘導加熱コイル651が発生した磁束が前記磁路を通過することで、加熱ローラー61及び定着ベルト64には渦電流が発生し、これに伴うジュール熱を発生することになる。
ユニットハウジング650のハウジング本体650Lは、上記の誘導加熱コイル651及びサイドコア654を保持するハウジング部材であって、加熱ローラー61及び定着ベルト64の一部が入り込む円弧状の凹部65H(図2)を備えている。誘導加熱ユニット65のユニットハウジング650と定着ユニットの定着ハウジング600とは位置決めされた状態で嵌合され、凹部65Hの内周面と定着ベルト64の表面との間には所定間隔のギャップが形成されている。
図2を参照して、搬送ローラー対66は、定着ニップ部60Nを通過したシートを定着ハウジング600の下流側の水平搬送路50D(図1)へ送り出すための搬送ローラー対である。搬送ローラー対66は、定着ハウジング600に回転自在に支持される第1搬送ローラー661と第2搬送ローラー662とからなる。第1搬送ローラー661は、回転駆動力が装置本体10側から入力される駆動ローラーであり、第2搬送ローラー662は、第1搬送ローラー661の回転に伴って従動回転する従動ローラーである。第2搬送ローラー662は、シート搬送力を具備させるために、所定のニップ圧で第1搬送ローラー661に圧接されている。
図3を参照して、アーチコア保持ユニット650Hは、アーチコア保持部70(ハウジングの一部)と、センターコア対向部71とを備える。アーチコア保持部70は、アーチコア保持ユニット650Hにおいてシート幅方向に間隔をおいて複数配置されたアーチ状の保持部材である。前後方向に隣接する複数のアーチコア保持部70は、上下方向において対向するように一対配置されている。アーチコア保持部70のそれぞれに、アーチコア653が固定される。センターコア対向部71は、対向するアーチコア保持部70同士の間に配置される。センターコア対向部71は、左方からセンターコア652を部分的に覆うように配置されている。センターコア対向部71も、アーチコア保持部70と同様に、前後方向に間隔をおいて複数配置されている。
次に、本発明の第1の実施形態に係るアーチコア653のアーチコア保持ユニット650Hに対する固定態様について説明する。図4は、アーチコア保持ユニット650Hの斜視図である。図5は、本実施形態に係るアーチコア653、アーチコア保持ユニット650Hのアーチコア保持部70および熱収縮キャップ80の分解斜視図である。図6は、アーチコア653がアーチコア保持部70に固定された様子を示す斜視図(A)および断面斜視図(B)である。なお、図5では、図6(A)におけるアーチコア653が図中矢印の右方に移動され、熱収縮キャップ80が同下方に移動された状態で示されている。
図2を参照して、アーチコア653は、定着ベルト64の回転方向と交差する断面視で矩形形状からなり、定着ベルト64の回転方向に沿ってアーチ形状に延びる部材である。また、図5を参照して、アーチコア653は、コア第1端部653A(一端部)と、コア第2端部653B(他端部)と、係合部653Cと、溝部653D(第1溝部)と、突出部653Eとを備える。コア第1端部653Aは、アーチ形状からなるアーチコア653の一端部であり、コア第2端部653Bは、アーチコア653の他端部である。なお、図2および図5を参照して、コア第1端部653Aは、アーチコア653のうち定着ベルト64の回転方向上流側に位置し、コア第2端部653Bは、アーチコア653のうち定着ベルト64の回転方向の下流側に位置している。
係合部653Cは、コア第1端部653Aの先端部に形成された突片である。係合部653Cは、コア第1端部653Aの先端から、定着ベルト64の回転方向と交差する方向に突出した形状からなる。
溝部653Dは、コア第2端部653Bの一面に形成された溝である。溝部653Dは、コア第2端部653Bのうち、誘導加熱コイル651(図2)に対向する面に前後方向に沿って形成されている。なお、溝部653Dには、後記の熱収縮キャップ80のキャップ側部801の一部が嵌め込まれる。突出部653Eは、溝部653Dがコア第2端部653Bに形成されることで、溝部653Dよりも先端側のコア第2端部653Bの一部が突出して形成された部分である。なお、突出部653Eは、後記の熱収縮キャップ80の開口部80Gに挿通される。
なお、上下方向において図5のアーチコア653に対向する他のアーチコア653も、同様の形状を備える。ただし、当該他のアーチコア653においては、コア第1端部653Aは、アーチコア653のうち定着ベルト64の回転方向下流側に位置し、コア第2端部653Bは、アーチコア653のうち定着ベルト64の回転方向の上流側に位置している。
図5を参照して、各アーチコア保持部70は、設置面70Sと、一対の側壁70Tと、被係合部70Gと、保持片70H(突片)と、を備える。設置面70Sは、アーチコア653に対向する面であって、アーチコア653と同様にアーチ形状からなる。一対の側壁70Tは設置面70Sの前後の側縁から立設された側壁である。設置面70Sおよび一対の側壁70Tによってアーチコア653が収容される収容部が形成される。
被係合部70G(図5、図6(B))は、設置面70Sの一端側に連結された壁面である。被係合部70Gには、アーチコア653の係合部653Cが係合する。この結果、アーチコア653のコア第1端部653Aが固定される。
保持片70Hは、設置面70Sのうち被係合部70Gとは反対側、すなわち、設置面70Sの他端側に連結された突片である。保持片70Hは、アーチコア653のコア第2端部653Bに沿うように下方に向かって突設されている。なお、上下方向において図5のアーチコア保持部70に対向する他のアーチコア保持部も、同様の形状を備える。
熱収縮キャップ80は、アーチコア653のコア第2端部653Bに装着される。熱収縮キャップ80は、熱収縮材料からなり、所定の温度で初期的に加熱されることで収縮し、アーチコア653をアーチコア保持部70に固定する機能を備える。熱収縮キャップ80は、その一面が開口されることで、内部空間が開放された略直方体形状のキャップである。換言すれば、熱収縮キャップ80は、キャップ側部801(第1リング形状を備える部分)と、キャップ対向部802(封止面)とを備える。また、熱収縮キャップ80は、開口部80Gを備える。
キャップ側部801は、アーチコア653のコア第2端部653Bと保持片70Hとを一体的に束ねる形状を備える。換言すれば、キャップ側部801は、略直方体形状からなる熱収縮キャップ80のうち、互いに連結されることで、矩形形状をなす4つの側面からなる。キャップ対向部802は、熱収縮キャップ80のうち、4つの側面からなるキャップ側部801に連結される封止面である。キャップ対向部802はアーチコア653のコア第2端部653Bおよび保持片70Hの先端部に対向して配置される。
開口部80Gは、熱収縮キャップ80の右側の側面に形成された開口部である。開口部80Gには、アーチコア653の突出部653Eが挿通される。
図5、図6(A)および図6(B)を参照して、アーチコア653がアーチコア保持部70に固定されるに際して、組立作業者はコア第1端部653Aの係合部653Cを被係合部70Gに係合させる。そして、コア第2端部653Bが保持片70Hに沿うように、アーチコア653が一対の側壁70Tの間に配置される。更に、組立作業者は熱収縮キャップ80の開口部80Gに突出部653Eが挿通されるように、熱収縮キャップ80をコア第2端部653Bおよび保持片70Hに装着する。このとき、熱収縮キャップ80のキャップ側部801の一面が溝部653Dに係合する。
図4に示すように、上下方向において線対象に配置されるとともに、前後方向において複数配置されたアーチコア保持部70のそれぞれに、複数のアーチコア653および熱収縮キャップ80が装着される。そして、組立作業者は、所定の加熱治具を用いて、隣接する熱収縮キャップ80を順に加熱する。この結果、熱収縮キャップ80が熱収縮することで、保持片70Hおよびコア第2端部653Bが一体的に固定される。そして、アーチコア653の係合部653Cが被係合部70Gに係合され、コア第2端部653Bが保持片70Hに固定されることで、アーチコア653が安定してアーチコア保持部70に固定される。このとき、アーチコア653の係合部653Cが支点として機能するため、一つの熱収縮キャップ80によってアーチコア653がアーチコア保持部70に安定して固定される。なお、熱収縮キャップ80が加熱される際、熱収縮キャップ80のキャップ側部801がコア第2端部653Bおよび保持片70Hを束ねるような拘束力が付与される。更に、熱収縮キャップ80のキャップ対向部802が収縮しながら、コア第2端部653Bおよび保持片70Hの先端部に密着することで、アーチコア653がアーチコア保持部70に強く固定される。
このように、本実施形態では、誘導加熱ユニット65の組立工程において、熱収縮キャップ80が加熱され、収縮するだけで、アーチコア653がアーチコア保持ユニット650Hに短時間で固定される。したがって、誘導加熱ユニット65の組立効率が向上される。特に、本実施形態では、図4において、センターコア対向部71に隣接するアーチコア保持部70のコア第2端部653B(図5)側に熱収縮キャップ80が装着される。そして、コア第2端部653Bとは反対側のコア第1端部653Aでは、係合部653Cが被係合部70Gに係合されている。このため、作業者は、センターコア対向部71の近傍に加熱治具を配置し、前後方向にそって加熱治具を移動させながら、それぞれの熱収縮キャップ80を加熱することができる。この結果、アーチコア保持ユニット650Hにおいて複数の熱収縮キャップ80を加熱する作業を短時間で実行することができる。
更に、本実施形態では、アーチコア653の突出部653Eが開口部80Gに挿通され、熱収縮キャップ80のキャップ側部801が溝部653D(図5)に係合している。この結果、熱収縮キャップ80がアーチコア653から外れることが防止される。
また、熱収縮キャップ80が熱収縮材料からなるため、定着ベルト64の誘導加熱に際して誘導加熱ユニット65の温度が上昇しても、熱収縮キャップ80は収縮するように変形するだけであり、アーチコア653の固定構造が緩むことがない。したがって、接着剤による他の固定態様などと比較して、アーチコア653の位置が変動することが抑止される。
なお、略リング形状からなるキャップ側部801が径方向に内側に収縮すると、アーチコア653は設置面70Sに向かって付勢される。設置面70Sは誘導加熱ユニット65の定着ベルト64(図2参照)に対向する面である。このため、アーチコア653の定着ベルト64に対する位置が安定して維持される。したがって、アーチコア653によって磁路が安定して形成されるため、加熱時の定着ベルト64の温度が安定して維持される。
次に、本発明の第2の実施形態に係るアーチコア653P(コア部材)の固定構造について説明する。図7は、本実施形態に係るアーチコア653Pがアーチコア保持部70P(ハウジングの一部)に固定された様子を示す斜視図(A)および断面斜視図(B)である。なお、本実施形態では、先の第1の実施形態と比較して、アーチコア653Pおよび熱収縮キャップ80Pの形状において相違するため、当該相違点について説明し、共通する点の説明を省略する。また、図7では、先の第1の実施形態に係る部材と同様の構造および機能を備える部材については、第1の実施形態に係る部材の付号の末尾にPを付して示している。
アーチコア653Pは、コア第1端部653AP(一端部)と、コア第2端部653BP(他端部)と、係合部653CPとを備える。コア第1端部653APは、アーチ形状からなるアーチコア653Pの一端部であり、コア第2端部653BPは、アーチコア653Pの他端部である。コア第1端部653APは、アーチコア653Pのうち定着ベルト64(図2)の回転方向上流側に位置し、コア第2端部653BPは、アーチコア653Pのうち定着ベルト64の回転方向の下流側に位置している。
係合部653CPは、コア第1端部653APの先端部に形成された突片である。係合部653CPは、コア第1端部653APの先端から、定着ベルト64の回転方向と交差する方向に突出した形状からなる。アーチコア保持部70Pは、設置面70SPと、被係合部70GPと、保持片70HP(突片)と、を備える。設置面70SPは、アーチコア653Pに対向する面であって、アーチコア653Pと同様にアーチ形状からなる。
熱収縮キャップ80P(固定部材)は、キャップ側部801P(第1リング形状を備える部分)と、キャップ対向部802P(封止面)とを備える。キャップ側部801Pは、アーチコア653Pのコア第2端部653BPと保持片70HPとを一体的に束ねる形状を備える。換言すれば、キャップ側部801Pは、略直方体形状からなる熱収縮キャップ80Pのうち、互いに連結されることで、矩形形状をなす4つの側面からなる。キャップ対向部802Pは、熱収縮キャップ80Pのうち、4つの側面からなるキャップ側部801Pに連結される封止面である。キャップ対向部802Pはアーチコア653Pのコア第2端部653BPおよび保持片70HPの先端部に対向して配置される。
本実施形態においても、アーチコア653Pの係合部653CPはアーチコア保持部70Pの被係合部70GPに係合される。また、アーチコア653Pのコア第2端部653BPとアーチコア保持部70Pの保持片70HPとが熱収縮キャップ80Pによって一体的に固定される。本実施形態では、先の第1の実施形態の溝部653Dや開口部80Gに相当する構成は備えられていない。このような構成においても、熱収縮キャップ80Pが初期的に加熱されることで、アーチコア653Pを安定してアーチコア保持部70Pに固定することが可能となる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るアーチコア653Q(コア部材)の固定構造について説明する。図8は、本実施形態に係るアーチコア653Qがアーチコア保持部70Q(ハウジングの一部)に固定された様子を示す斜視図(A)および断面斜視図(B)である。なお、本実施形態では、先の第1の実施形態と比較して、アーチコア653Qおよび熱収縮リング81の構造において相違するため、当該相違点について説明し、共通する点の説明を省略する。また、図8では、先の第1の実施形態に係る部材と同様の構造および機能を備える部材については、第1の実施形態に係る部材の付号の末尾にQを付して示している。
本実施形態においても、アーチコア653Qの係合部653CQはアーチコア保持部70Qの被係合部70GQに係合される。また、アーチコア653Qのコア第2端部653BQ(他端部)とアーチコア保持部70Qの保持片70HQ(突片)とが熱収縮キャップ80Q(固定部材)によって一体的に固定される。この際、熱収縮キャップ80Qのキャップ側部801Qは、アーチコア653Qのコア第2端部653BQと保持片70HQとを一体的に束ねる。キャップ側部801Qの一部は、アーチコア653Qの溝部653DQに係合される。キャップ対向部802Qは、封止面として、4つの側面からなるキャップ側部801Qに連結される。キャップ対向部802Qはアーチコア653Qのコア第2端部653BQおよび保持片70HQの先端部に対向して配置される。更に、アーチコア653Qは、係合突起653F(突起部)と、リング溝653G(第2溝部)とを備える。また、熱収縮キャップ80Qに加え、熱収縮リング81(固定部材)がアーチコア653Qをアーチコア保持部70Qに固定する。
アーチコア653Qは、定着ベルト64(図2)回転方向の上流側に配置されたコア第1端部653AQ(一端部)と、前記回転方向の下流側に配置されたコア第2端部653BQ(他端部)と、を備える。係合突起653Fは、コア第1端部653AQとコア第2端部653BQとの間において、定着ベルト64の回転方向と交差する方向(左方向)に向かって突設された突起部である。本実施形態では、係合突起653Fは円柱形状からなる。リング溝653Gは、係合突起653Fの先端側において、リング状に形成された溝部である。リング溝653Gには、熱収縮リング81が嵌め込まれる。
アーチコア保持部70Qは、孔部70Xを備える。孔部70Xは、設置面70SQからアーチコア保持部70Qを貫通して円形状に開口された開口部である。孔部70Xには、アーチコア653Qの係合突起653Fが挿通される。
熱収縮リング81は、係合突起653Fに外嵌されるリング状の部材であって、熱収縮キャップ80Qと同様に熱収縮材料からなる。なお、熱収縮リング81は、孔部70Xの内径よりも大きな外径を有する。
図8(A)、(B)に示すように、アーチコア653Qがアーチコア保持部70Qに装着されると、係合突起653Fが孔部70Xに挿通される。そして、アーチコア保持部70Qの外側に露出した係合突起653Fのリング溝653Gに熱収縮リング81が装着される。そして、熱収縮キャップ80Qとともに、熱収縮リング81が所定の加熱治具によって初期的に加熱されると、熱収縮リング81が収縮し、アーチコア653Qの中央部がアーチコア保持部70Qに安定して固定される。この際、アーチコア653Qが設置面70SQに対して位置決めされるため、アーチコア653Qが形成する磁路が安定して維持される。また、熱収縮リング81がリング溝653Gに嵌め込まれるため、熱収縮リング81が係合突起653Fから外れることが防止される。更に、熱収縮リング81は、孔部70Xから突出したアーチコア653Qの係合突起653Fをアーチコア保持部70Qに固定するため、アーチコア653Qの位置が安定して維持される。
なお、他の実施形態において、係合部653CQおよび被係合部70GQ、並びに、係合突起653Fおよび熱収縮リング81によって、アーチコア653Qがアーチコア保持部70Qに固定され、アーチコア653Qに熱収縮キャップ80Qが装着されない態様でもよい。
以上、本発明の実施形態に係る誘導加熱ユニット65、およびこれを備えた定着装置60、画像形成装置1について説明した。本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)図9は、本発明の変形実施形態に係るアーチコア653R(コア部材)がアーチコア保持部70R(ハウジングの一部)に固定された様子を示す断面斜視図である。なお、本変形実施形態では、先の第1の実施形態と比較して、弾性シート82を備える点において相違するため、当該相違点について説明し、共通する点の説明を省略する。また、図9では、先の第1の実施形態に係る部材と同様の構造および機能を備える部材については、第1の実施形態に係る部材の付号の末尾にRを付して示している。
本変形実施形態では、誘導加熱ユニット(不図示)は、弾性シート82(弾性部材)を備える。弾性シート82は、フッ素系またはシリコン系の耐熱性のスポンジ材からなる。弾性シート82は、アーチコア653Rとアーチコア保持部70Rとの間に配置される板状部材である。弾性シート82は、熱収縮キャップ80R(固定部材)の熱収縮に伴って、アーチコア653Rとアーチコア保持部70Rとの間で圧縮変形する。このような構成によれば、アーチコア653Rが磁路を形成する際に、磁界によってアーチコア653Rが振動する場合であっても、弾性シート82が振動エネルギーを吸収することができる。この結果、熱収縮キャップ80Rが振動によってアーチコア653Rから外れることが抑止される。また、振動による異音の発生が防止される。
(2)上記の第1の実施形態では、加熱ローラー61及び定着ベルト64を備える定着ユニット60Uを例示したが、これらが存在しないタイプの定着ユニットを用いても良い。具体的には、定着ローラー62の外周に、定着ベルト64と同様な磁性体で形成された円筒状ベルトが巻かれた構成である。この変形実施形態では、誘導加熱ユニット65は、前記円筒状ベルトを誘導加熱することになる。
(3)上記の第1の実施形態では、コア部材としてアーチコア653が熱収縮キャップ80によって固定される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の変形実施形態として、サイドコア654などの他のコア部材が熱収縮材料からなる固定部材によってユニットハウジング650に固定される態様でもよい。
(4)上記の第1の実施形態では、熱収縮キャップ80がキャップ形状からなる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。熱収縮キャップ80は、キャップ対向部802を備えることなく、キャップ側部801のみからなる態様でもよい。また、キャップ側部801は、矩形状に連結された4つの側面に限定されるものではなく、円形のリング形状からなるものでもよい。本発明のリング形状とは、保持片70Hおよびコア第2端部653B(アーチコア653の端部)を束ねることが可能な無端状の部材であればよく、初期的に加熱される前の形状に限定されるものではない。
(5)また、上記の第1の実施形態では、アーチコア653のコア第1端部653A側は被係合部70Gに係合され、コア第2端部653B側が熱収縮キャップ80によって固定される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。アーチコア653のコア第1端部653Aおよびコア第2端部653Bの両方が、熱収縮キャップ80によって固定される態様でもよい。
1 画像形成装置
10 装置本体
30 画像形成部
321 感光体ドラム(像担持体)
33 中間転写ユニット(転写部)
60 定着装置
600 ハウジング
60N 定着ニップ部
60U 定着ユニット
61 加熱ローラー
62 定着ローラー
63 加圧ローラー
64 定着ベルト(加熱部材)
65 誘導加熱ユニット
650 ユニットハウジング(ハウジング)
650H アーチコア保持ユニット
650L ハウジング本体
651 誘導加熱コイル(磁束発生源)
652 センターコア
653、653P、653Q、653R アーチコア(コア部材)
653A コア第1端部(一端部)
653B コア第2端部(他端部)
653C 係合部
653D 溝部(第1溝部)
653E 突出部
653F 係合突起(突起部)
653G リング溝(第2溝部)
654 サイドコア
70、70P、70Q、70R アーチコア保持部(ハウジング)
70G 被係合部
70H 保持片(突片)
70S 設置面
70T 側壁
70X 孔部
71 センターコア対向部
80、80P、80Q、80R 熱収縮キャップ(固定部材)
801 キャップ側部
802 キャップ対向部(封止面)
80G 開口部
81 熱収縮リング(固定部材)
82 弾性シート(弾性部材)

Claims (10)

  1. 所定の回転方向に回転する加熱部材を磁束によって誘導加熱する誘導加熱ユニットであって、
    ハウジングと、
    前記回転方向と交差するシート幅方向に延びるように前記ハウジングに固定され、前記磁束を発生させる磁束発生源と、
    磁性材料からなり、前記ハウジングに固定され、前記磁束が通る磁路を形成するコア部材と、
    熱収縮材料からなり、所定の温度で加熱されることで収縮し、前記コア部材を前記ハウジングに固定する固定部材と、
    を有し、
    前記コア部材は、前記回転方向に沿ってアーチ形状に延びるアーチコアであって、前記回転方向の上流側に配置された一端部と、前記回転方向の下流側に配置された他端部とを備え、
    前記ハウジングは、前記アーチコアの前記一端部または前記他端部に沿って突設される突片を備え、
    前記固定部材は、前記アーチコアの前記一端部または前記他端部と前記突片とを一体的に束ねる第1リング形状を少なくとも備えることを特徴とする誘導加熱ユニット。
  2. 前記固定部材は、前記第1リング形状に連結され、前記アーチコアの前記一端部の先端部または前記他端部の先端部、および、前記突片の先端部に対向する封止面を更に備えるキャップ形状からなることを特徴とする請求項に記載の誘導加熱ユニット。
  3. 前記アーチコアは、前記固定部材の前記第1リング形状の一部が嵌め込まれる第1溝部を備えることを特徴とする請求項またはに記載の誘導加熱ユニット。
  4. 前記固定部材は、前記第1溝部よりも先端側の前記アーチコアの一部が挿通される開口部を備えることを特徴とする請求項に記載の誘導加熱ユニット。
  5. 前記アーチコアの前記一端部および前記他端部のうちの一方に前記固定部材が装着され、
    前記アーチコアは、前記一端部および前記他端部のうちの他方から、前記回転方向と交差する方向に向かって突出した係合部を備え、
    前記ハウジングは、前記係合部が係合する被係合部を備えることを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の誘導加熱ユニット。
  6. 所定の回転方向に回転する加熱部材を磁束によって誘導加熱する誘導加熱ユニットであって、
    ハウジングと、
    前記回転方向と交差するシート幅方向に延びるように前記ハウジングに固定され、前記磁束を発生させる磁束発生源と、
    磁性材料からなり、前記ハウジングに固定され、前記磁束が通る磁路を形成するコア部材と、
    熱収縮材料からなり、所定の温度で加熱されることで収縮し、前記コア部材を前記ハウジングに固定する固定部材と、
    を有し、
    前記コア部材は、前記回転方向に沿ってアーチ形状に延びるアーチコアであって、前記回転方向の上流側に配置された一端部と、前記回転方向の下流側に配置された他端部と、前記一端部と前記他端部との間において前記回転方向と交差する方向に向かって突設された突起部と、を備え、
    前記ハウジングは、前記アーチコアの前記突起部が挿通される孔部を備え、
    前記固定部材は、前記孔部の内径よりも大きな外径を有し、前記孔部を貫通した前記突起部の先端部に外嵌される第2リング形状からなることを特徴とする誘導加熱ユニット
  7. 前記突起部の先端部には、前記固定部材が嵌め込まれる第2溝部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の誘導加熱ユニット。
  8. 前記コア部材と前記ハウジングとの間に配置され、前記固定部材の収縮に伴って圧縮変形する弾性部材を更に備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の誘導加熱ユニット。
  9. 請求項1乃至の何れか1項に記載の誘導加熱ユニットと、
    所定の回転方向に回転し、前記磁束によって誘導加熱され、シートに定着処理を施す加熱部材と、
    を備えることを特徴とする定着装置。
  10. 表面にトナー像が形成される像担持体と、
    前記トナー像をシート上に転写する転写部と、
    請求項に記載の定着装置と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
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