JP6138842B2 - 鞍乗り型車両の吸気構造 - Google Patents

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Description

本発明は、フレームの一部がエアクリーナケースを形成する鞍乗り型車両の吸気構造に関する。
従来、車体フレームがエアクリーナケースを構成するレイアウトが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4773783号公報
特許文献1では、車体フレームでエアクリーナケースを構成する場合、エンジンと車体フレームとの間の狭いスペースに吸気装置が配置されるため、吸気装置のレイアウトの制約が大きく、吸気通路の長さを確保するのが困難となる課題があった。また、吸気装置が車体フレームの下方に視認されるため、車体側方を車体カバーで覆っていない車両では外観性の点で課題があった。
本発明の目的は、吸気装置のレイアウトの制約を受けにくく、吸気装置の配置スペースや吸気通路の長さを確保するとともに外観性向上が可能な鞍乗り型車両の吸気構造を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、ヘッドパイプ(21)から後下方に延びるフレーム(22)と、前記フレーム(22)の下方に配置されたシリンダ部(36)が前傾姿勢とされたエンジン(31)と、前記シリンダ部(36)に設けられるシリンダヘッド(52)に接続された吸気装置(33)とを備え、前記吸気装置(33)にエアクリーナ(48)を備える鞍乗り型車両の吸気構造において、前記フレーム(22)は、前記ヘッドパイプ(21)の直後に設けられたフロント部(22a)と、前記フロント部(22a)から左右にそれぞれ分岐したリア部(22b)とから構成され、前記フロント部(22a)は、前記ヘッドパイプ(21)の直後に前記エアクリーナ(48)を構成するエアクリーナケース(34)が形成され、前記リア部(22b)は、前記フロント部(22a)の後部から左右にそれぞれ分岐して前記吸気装置(33)の側面を覆うと共に、前記フロント部(22a)から前記ヘッドパイプ(21)にかけて、前記フレーム(22)の下部の車幅方向の幅を狭くすることで空間(81)を形成し、前記空間(81)に前記エアクリーナケース(34)内に空気を導入する吸気ダクト(66a)が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、吸気装置の吸気通路をシリンダヘッドから上方に延ばしてもフレームのリア部と干渉することがなく、吸気装置の配置スペースや吸気通路の長さを確保しつつ吸気装置のレイアウトをコンパクトにすることができる。しかも、吸気装置が側方から視認されにくいため、外観性を向上させることができる。
上記構成において、前記エアクリーナケース(34)内に収容されるエアクリーナエレメント(68)は、前記フロント部(22a)の下面に沿って配置されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記フロント部(22a)の下端部には、前記エアクリーナエレメント(68)を保持するエレメントホルダ(66)が配置され、前記エレメントホルダ(66)は、前記吸気ダクト(66a)が一体に形成されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記シリンダヘッド(52)よりも上流側の前記吸気装置(33)が、側面視で全て前記フレーム(22)に重なるようにしても良い。
また、上記構成において、前記吸気装置(33)における前記シリンダヘッド(52)との接続部から前記エアクリーナケース(34)に至る吸気通路(75)は、前記シリンダヘッド(52)から後方斜め上方に延びた後に前方斜め上方に延びるようにしても良い。
また、上記構成において、前記吸気装置(33)は、スロットルボディ(57)から前記フロント部(22a)の後壁(22j)を貫通して前記エアクリーナケース(34)内に延びるコネクティングチューブ(58)を備えるようにしても良い。
本発明のフレームは、ヘッドパイプの直後に設けられたフロント部と、フロント部から左右にそれぞれ分岐したリア部とから構成され、フロント部は、ヘッドパイプの直後にエアクリーナを構成するエアクリーナケースが形成され、リア部は、フロント部の後部から左右にそれぞれ分岐して吸気装置の側面を覆うので、吸気装置の吸気通路をシリンダヘッドから上方に延ばしてもフレームのリア部と干渉することがなく、吸気装置の配置スペースや吸気通路の長さを確保しつつ吸気装置のレイアウトをコンパクトにすることができる。しかも、吸気装置が側方から視認されにくいため、外観性を向上させることができる。
また、エアクリーナケース内に収容されるエアクリーナエレメントは、フロント部の下面に沿って配置されるので、フロント部に吸気装置を配置するスペースを確保することができ、吸気通路を容易に確保することができる。また、エアクリーナケース内の容積をも確保することができる。
また、フロント部の下端部には、エアクリーナエレメントを保持するエレメントホルダが配置され、エレメントホルダは、エアクリーナケース内に空気を導入する吸気ダクトが一体に形成されるので、エレメントホルダに吸気ダクトを一体に設けることで、部品点数を削減でき、コストを抑えることができる。
また、フロント部からヘッドパイプにかけて、フレームの下部の車幅方向の幅を狭くしたので、フレームの下部に配置されたエレメントホルダの吸気ダクト入口の周辺空間を大きく確保して吸気ダクトの吸気量を確保することができる。
また、シリンダヘッドよりも上流側の前記吸気装置が、側面視で全て前記フレームに重なるので、吸気装置が外部から視認されにくくなり、外観性を向上させることができる。
また、吸気装置におけるシリンダヘッドとの接続部からエアクリーナケースに至る吸気通路は、シリンダヘッドから後方斜め上方に延びた後に前方斜め上方に延びるので、吸気通路の長さを容易に確保することができる。
また、吸気装置は、スロットルボディからフロント部の後壁を貫通してエアクリーナケース内に延びるコネクティングチューブを備えるので、コネクティングチューブの露出部を少なくしながら吸気通路を長くすることができる。
本発明に係るエアクリーナ構造を備える車両の要部を示す斜視図である。 シリンダ部に接続された吸気装置とメインフレームとを示す斜視図である。 車体フレーム及びシリンダ部を示す右側面図である。 リンダヘッドに接続された吸気装置と車体フレームとを示す背面図である。 エアクリーナ及びその周囲を示す正面図である。 エアクリーナの断面図であり、図6(A)は図3のVIA−VIA線断面図、図6(B)は図3のVIB−VIB線断面図である。 メインフレーム及び吸気装置とその周囲を示す側面図である。 エアクリーナの分解斜視図である。 側方から見たエアクリーナの分解図である。 メインフレームのケース部を示す斜視図である。 ケース部の開口部及びその周囲を示す正面図であり、図11(A)は開口部の周囲の段部にエレメントホルダを組付けた状態を示す正面図、図11(B)は、開口部を開放させた状態を示す正面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明に係る吸気構造を備える車両10の要部を示す斜視図である。
車両10は、骨格となる車体フレーム11と、車体フレーム11にフロントフォーク12を介して支持される前輪と、車体フレーム11の下部にスイングアームを介して支持される後輪と、車体フレーム11の上部に支持されるシートとを備える二輪の鞍乗り型車両である。
車体フレーム11は、前端部を構成するヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21から後方斜め下方に延びるメインフレーム22と、メインフレーム22の後部上部に接続されて後方斜め上方に延びる左右一対のシートレール25,25とを備える。
ヘッドパイプ21は、フロントフォーク12を操舵可能に支持している。メインフレーム22は、その下部でエンジン31を支持し、前部に設けられた空洞がエンジン31の吸気装置33に備えるエアクリーナケース34の一部を形成している。シートレール25は、シートを支持する。また、メインフレーム22の後端部に設けられるピボット軸に揺動可能にスイングアームが支持され、スイングアームの後端部に車軸を介して後輪が支持される。
フロントフォーク12は、ヘッドパイプ21に回動可能に支持されたステアリングステム26と、ステアリングステム26の下部に取付けられたブリッジ部材27と、ブリッジ部材27の両端部に支持される左右一対のフォークチューブとから構成される。左右のフォークチューブの下端部には、車軸を介して前輪が支持される。
エンジン31は、クランクケース35と、クランクケース35の前部から略前方に延びるシリンダ部36とを備え、シリンダ部36の上部に吸気装置33が接続されている。
図2は、シリンダ部36に接続された吸気装置33とメインフレーム22とを示す斜視図である。
メインフレーム22は、一部が箱形に形成されたフロント部22aと、フロント部22aの後端部の左右から一体に後方斜め下方に延びる左右一対の板状のリア部22b,22bとを備える。
フロント部22aは、その前端部が、ヘッドパイプ21にボルト43及びナット44で締結されている。リア部22b、22bは、左右に隔てて配置され、左右のリア部22b、22b間に吸気装置33が配置された空間47が形成されている。
吸気装置33は、エンジン31のシリンダ部36の上部に接続されて左右のリア部22b,22b間を上方に延び、フロント部22aの後壁22jに接続される。
リア部22bの後端部には、センターフレームを締結する締結部、詳しくは、締結用のボルトを挿入する複数のボルト挿通穴22yが開けられている。
図3は、車体フレーム11及びシリンダ部36を示す右側面図である。
ヘッドパイプ21の上部後部及び下部後部には、左右一対の板状の上部ステー41及び左右一対の下部ステー42が取付けられ、左右の上部ステー41及び左右の下部ステー42にそれぞれボルト43及びナット44でメインフレーム22の前端部が着脱可能に連結されている。
メインフレーム22のフロント部22aは、ヘッドパイプ21に接続されたフロント接続部22dと、フロント接続部22dの後部に一体に形成された箱形のケース部22eとから構成されている。
フロント接続部22dは、車幅方向に幅が狭く形成された板からなる板状部22fと、板状部22fの上端部から車幅方向両側に突出するように一体に形成された左右一対の庇部22gとを備え、板状部22fの前端部がヘッドパイプ21に接続される。
ケース部22eは、前壁22h、後壁22j(図2参照)、左壁22k(図1参照)、右壁22m、上壁22nからなり、下方に開口する開口部がケースカバー46で覆われて、エアクリーナ48のエアクリーナケース34が形成される。即ち、エアクリーナケース34は、ケース部22eとケースカバー46とから構成される。
左右のリア部22bは、それぞれ側面に側部開口部22pが形成され、側部開口部22pを通して吸気装置33を構成するスロットルボディ57をメンテナンスすることが可能である。
エンジン31(図10参照)のシリンダ部36は、そのシリンダ軸線36aが大きく前傾する、即ち略水平に配置され、シリンダブロック51、シリンダヘッド52、ヘッドカバー53を備える。
シリンダブロック51は、シリンダ穴が形成され、そのシリンダ穴にピストンが移動可能に挿入される。シリンダ穴の軸線が上記のシリンダ軸線36aである。シリンダヘッド52は、シリンダブロック51の前端部に取付けられ、シリンダヘッド52の上部に吸気装置33が接続されている。ヘッドカバー53は、シリンダヘッド52の前端部に設けられた開口を塞いでいる。側面視では、吸気装置33は、その全体が、側部開口部22pから一部が視認されるのを除いて、視認されない。従って、車体の側方が車体カバーで覆われていない車両では、外観性を向上させることができる。
メインフレーム22のフロント接続部22dの側方に出来る空間81には、エアクリーナ48内に空気を導入する管状の吸気ダクト66aが、ケースカバー46側から上方斜め後方に延びるように配置されている。
図4は、シリンダヘッド52に接続された吸気装置33と車体フレーム11とを示す背面図である。
メインフレーム22の左右のリア部22b,22bは、フロント部22aに対して車幅方向内側に括れるように形成されている。従って、シートに着座した運転者の脚部が配置しやすくなるとともに、リア部22b,22bより前方に配置されたフロント部22aを、運転者の脚部の影響を受けずに幅広く形成することができ、エアクリーナケース34の容量をより大きくすることができる。
メインフレーム22のフロント部22aの上面22qには、その右縁部寄りに、スロットルケーブル64を通すケーブル溝22rが形成されている。これにより、スロットルケーブル64を位置決めすことができる。また、スロットルケーブル64を位置決め・支持する部材を減らすことができる。
吸気装置33は、シリンダヘッド52の上部に接続された吸気管56と、吸気管56の上端部に接続されたスロットルボディ57と、スロットルボディ57の上端部にコネクティングチューブ58を介して接続されたエアクリーナ48とを備える。吸気装置33は、両側方からメインフレーム22のリア部22b,22bで覆われている。符号70はメインフレーム22の車幅方向の中央を通って上下に延びるフレーム中心線70である。
スロットルボディ57の右側面側にはスロットルケーブル64が連結されている。
コネクティングチューブ58は、メインフレーム22の車幅方向の中央を通って上下に延びるフレーム中心線70に対して右側にオフセットして後壁22jに接続されている。
図5は、エアクリーナ48及びその周囲を示す正面図である。
エアクリーナ48は、メインフレーム22に設けられたケース部22eと、ケース部22eの開口を塞ぐケースカバー46と、ケース部22e及びケースカバー46のそれぞれに挟まれて保持されるエレメントホルダ66とを備える。エレメントホルダ66は、ケースカバー46と協働してエアクリーナエレメント(不図示)を保持する部品であり、ケースカバー46側から上方斜め後方に延びて外気を上端に設けられた開口からエアクリーナ48内に取り込む左右一対の吸気ダクト66a,66aを備える。
ケース部22e及びケースカバー46は、エアクリーナケース34を構成する。
ケース部22eの左壁22k(図4参照)及び右壁22m(図4参照)の下部である側壁下部23a,23aは、ケースカバー46よりも車幅方向外側に突出している。また、左右の側壁下部23a,23aの内面23c,23cと、ケース部22eの後壁22j(図4参照)の下部である後壁下部23bの内面23dとからなる下部内面23eは、ケースカバー46を囲むように形成されている。
左右の吸気ダクト66a,66aは、正面視で、ヘッドパイプ21の両側方に配置されている。
図6は、エアクリーナ48の断面図である。図6(A)は図3のVIA−VIA線断面図、図6(B)は図3のVIB−VIB線断面図である。
図6(A)に示すように、メインフレーム22のケース部22eの内側には空洞22zが形成され、空洞22zの内面に段部22tが形成されている。段部22tの内側には空洞22zの開口部22sが設けられ、段部22tにエレメントホルダ66の周縁部66bが当てられている。
周縁部66bは、ケースカバー46の周壁部46aに押えられて固定される。また、エレメントホルダ66の周縁部66bの内側に上下に突出するように一体に形成された上下に突出する環状壁部66cと、ケースカバー46の周壁部46aの内側に一体に形成された環状の内方突出壁46bとにエアクリーナエレメント68(詳しくは、側方突出部68c)が挟まれて保持されている。
ケースカバー46は、図示せぬ締結部材によってメインフレーム22のケース部22eに締結されている。
エアクリーナエレメント68は、エアクリーナケース34内の空間を、ケースカバー46側のダーティサイド71と、ケース部22e側のクリーンサイド72とに区画している。
図6(B)に示すように、メインフレーム22のフロント接続部22dは、縦に延びる板状部22fと、板状部22fの上端部から車幅方向外側に一体に延びる左右の庇部22g,22gとを備える。図中の符号W1は板状部22fの車幅方向の幅(厚さ)、W2は左右の庇部22g,22gの車幅方向の幅である。
上記したように、板状部22fから略直角に庇部22g,22gを延ばすことで、強度・剛性を高めることができ、また、一方で軽量化を図ることができる。
エレメントホルダ66は、平板状のベースプレート66dと、ベースプレート66dの車幅方向両縁部近傍に設けられた吸気ダクト66a,66aとを備える。
吸気ダクト66aの上端部に設けられた上部開口66eは、メインフレーム22の左右の庇部22g,22gの端部近傍に開口し、吸気ダクト66aの下端部に設けられた下部開口66fは、ベースプレート66dとケースカバー46との間のダーティサイド71に開口している。
図7は、メインフレーム22及び吸気装置33とその周囲を示す側面図である。
吸気装置33は、吸気管56に取付けられた燃料噴射弁74を備える。燃料噴射弁74は、シリンダブロック51内のシリンダ穴と、シリンダ穴内のピストンと、シリンダヘッド52とで囲まれる燃焼室へ、吸気管56、シリンダヘッド52に形成された吸気ポートを通じて燃料を噴射する。
吸気装置33には、吸気管56からコネクティングチューブ58まで吸気通路75が延びている。
吸気通路75は、吸気管56内では、シリンダヘッド52側から上方斜め後方に湾曲し、スロットルボディ57内では、吸気管56側から後方斜め上方に延び、コネクティングチューブ58内では、スロットルボディ57側から上方斜め後方に延びた後に湾曲して上方斜め前方に延び、更にエアクリーナケース34内で湾曲して下方斜め前方に延びている。
スロットルボディ57は、内部を貫通する吸気通路75を開閉するスロットルバルブ(不図示)と、スロットルバルブを支持するスロットル軸76と、スロットル軸76の端部に取付けられたスロットルプーリー77とを備える。スロットルプーリー77には、スロットルケーブル64が巻き掛けられている。スロットルケーブル64は、メインフレーム22のリア部22bに固定されたケーブル支持部材85に端部が支持されたアウターケーブル86,86と、アウターケーブル86,86内に移動可能に挿入されたインナーワイヤ87とからなる。
スロットルプーリー77には、インナーワイヤ87が巻き掛けられている。フロントフォーク12(図1参照)の上端部に支持されたバーハンドルの端部にはスロットルグリップが設けられ、スロットルグリップにインナーワイヤ87の両端部が固定されている。従って、スロットルグリップを回動させることにより、インナーワイヤ87の一端が引かれ、スロットルプーリー77が回動する。この結果、スロットル軸76を介してスロットルバルブが開閉される。
上記したように、吸気通路75が、従来に比べて長く確保されている。これは、メインフレーム22の左右のリア部22bの間に吸気装置33の一部を配置することができるからである。しかも、左右のリア部22b間で吸気通路75を屈曲させているため、吸気通路75をより長く形成することができる。コネクティングチューブ58は、前後に長い直線部58aと、直線部58aの両端部から略直角に曲げられた屈曲部58b,58cとから構成されている。直線部58aをメインフレーム22のケース部22eの後壁22jを貫通させ、後壁22jからケース部22e内の前端付近まで延ばすことで、直線部58aを長くすることができ、これによっても吸気通路75を長くすることができる。
また、吸気通路75を長くしても、吸気装置33は、その全体が側方からリア部22bで覆われるため、外観性を向上させることができる。
図8は、エアクリーナ48の分解斜視図である。図9は、側方から見たエアクリーナ48の分解図であり、メインフレーム22を前後方向に切断した断面を共に示している。
図8及び図9に示すように、エレメントホルダ66は、枠状の部材であり、ベースプレート66dの開口66gの周囲に環状壁部66cが設けられている。
エアクリーナエレメント68は、矩形の枠部68aと、枠部68aの内側に設けられたろ紙からなるフィルター68bとから構成される。枠部68aは、側方に突出する環状の側方突出部68cが形成される。
ケースカバー46は、箱型のトレイ部46cと、トレイ部46cの周縁を形成する周壁部46aと、周壁部46aの内側に形成された内方突出壁46b(図6(A)参照)とを備える。
エアクリーナエレメント68は、側方突出部68cが、エレメントホルダ66の環状壁部66cとケースカバー46の内方突出壁46bとで挟まれて保持される(図6(A)も参照)。
メインフレーム22のケース部22eの前壁22hは、フロント接続部22dの板状部22fの後端から外側方斜め後方に延びる左傾斜壁22u、右傾斜壁22vからなる。
ケース部22eの前壁22hと、フロント接続部22dの板状部22f及び左右の庇部22gとで囲まれる左右の空間81は、それぞれ吸気ダクト66aから外気を吸入する吸入空間であり、吸入に十分な大きさの空間81が確保されている。
図9に示すように、ケースカバー46は、その下面46eが、周壁部46aの端面46dと略平行な平坦面46fと、平坦面46fの前縁から平坦面46fに対して前上がりに傾斜するように形成された傾斜面46gとから構成されている。このように、ケースカバー46の下面46eの前側に傾斜面46gを設けることで、走行風をシリンダ部36に向けることができ、シリンダ部36をより一層冷却することができる。
コネクティングチューブ58は、ケース部22e内に位置する直線部58aの上端部が、ケース部22eの上壁22nの内面22wに近接又は当接している。これにより、コネクティングチューブ58の振動を抑制することができる。
また、コネクティングチューブ58は、嵌合部58dからエアクリーナケース34内の前端部までの長さL1と、嵌合部58dからスロットルボディ57側の後端部までの長さL2とが略等しい。このように、嵌合部58dからエアクリーナケース34内の前端部までの長さL1を、嵌合部58dからスロットルボディ57側の後端部までの長さL2と略等しくすることで、コネクティングチューブ58が外部に露出する長さを短くするとともに、吸気通路75(図7参照)を長く確保することができる。なお、長さL1,L2は、ここでは、ケース部22eの段部22tに沿った長さであり、嵌合部58dにおける段部22tに沿った方向の中央を基準とした長さである。
図10は、メインフレーム22のケース部22eを示す斜視図である。
ケース部22eの開口部22sを囲む段部22tは、略五角形状に形成され、この段部22tにシール部材を介してエレメントホルダ66(図8参照)が当てられる。
ケース部22eの下部内面23eは、コ字状に配置された3つの内面23c,23c,23dからなり、前壁22h側には、上記のような内面は設けられておらず、前壁22hの下端が段部22tとなっている。
ケース部22eの上壁22nには、その内面22wから下方に突出するリブ22xが形成され、強度・剛性のアップが図られている。
吸気装置33のコネクティングチューブ58には、その直線部58aの中間部に、ケース部22eの後壁22jに開けられた貫通穴と嵌合する嵌合部58dが形成されている。
この嵌合部58dを設けることで、コネクティングチューブ58と後壁22jの貫通穴及び貫通穴の周辺とを強固に嵌合させることができ、コネクティングチューブ58のがたつきを無くすことができる。
図11は、ケース部22eの開口部22s及びその周囲を示す正面図である。図11(A)は開口部22sの周囲の段部22tにエレメントホルダ66を組付けた状態を示す正面図、図11(B)は、開口部22sを開放させた状態を示す正面図である。
図11(A)に示すように、エレメントホルダ66は、略矩形のベースプレート66dに矩形の開口66gが開けられ、ベースプレート66dの前側の角部の近傍に吸気ダクト66a,66aが設けられている。吸気ダクト66a,66aは、板状部22fを左右で挟み込むように配置される。
吸気ダクト66aは、断面が車幅方向に長軸が延びる断面長円形状のパイプである。これにより、通路断面積が車幅方向に拡大され、吸気量を増やすことができる。
エレメントホルダ66の環状壁部66cは、ベースプレート66dから下方に突出し、エアクリーナエレメント68(図8参照)を保持する部分である。
図11(B)に示すように、正面視では、ケース部22eの段部22tは、前上がりに形成されているため、その全体が視認可能に形成されている。これにより、例えば、ケース部22eへのコネクティングチューブ58の組み付けや、空洞22zの開口部22sへのエレメントホルダ66、エアクリーナエレメント68、ケースカバー46の着脱を車両前方から容易に行うことができる。従って、組み付け性、メンテナンス性を向上させることができる。
また、ケース部22eの前壁22h、詳しくは左傾斜壁22u及び右傾斜壁22vをそれぞれ車幅方向側方から見て斜め後方に傾斜させたので、走行抵抗を減らすことができる。
上記の図1、図3、図5及び図7に示したように、ヘッドパイプ21から後下方に延びるフレームとしてのメインフレーム22と、メインフレーム22の下方に配置されたシリンダ部36が前傾姿勢とされたエンジン31と、シリンダ部36に設けられるシリンダヘッド52に接続された吸気装置33とを備え、吸気装置33にエアクリーナ48を備える鞍乗り型車両としての車両10の吸気構造において、メインフレーム22は、ヘッドパイプ21の直後に設けられたフロント部22aと、フロント部22aから左右にそれぞれ分岐した左右一対のリア部22bとから構成され、フロント部22aは、ヘッドパイプ21の直後にエアクリーナ48を構成するエアクリーナケース34が形成され、リア部22bは、フロント部22aの後部から左右にそれぞれ分岐して吸気装置33の側面を覆う。
この構成によれば、吸気装置33の吸気通路75をシリンダヘッド52から上方に延ばしてもメインフレーム22のリア部22bと干渉することがなく、吸気装置33の配置スペースや吸気通路75の長さを確保しつつ吸気装置33のレイアウトをコンパクトにすることができる。しかも、吸気装置33が側方から視認されにくいため、外観性を向上させることができる。
吸気通路75の長さが確保できれば、吸気慣性効果を利用してエンジンに吸入される空気の体積効率を改善することが可能になり、エンジン性能を高めることができる。
また、フロント部22aでエアクリーナケース34を形成するため、運転者の脚部の影響が受けにくくなり、エアクリーナケース34の容量を大きくすることができる。
また、図7、図8及び図9に示したように、エアクリーナケース34内に収容されるエアクリーナエレメント68は、フロント部22aの下面に沿って配置されるので、フロント部22aに吸気装置33、詳しくはコネクティングチューブ58を配置するスペースを確保することができ、吸気通路75を容易に確保することができる。また、エアクリーナケース34内の容積をも確保することができる。
また、フロント部22aの下端部には、エアクリーナエレメント68を保持するエレメントホルダ66が配置され、エレメントホルダ66は、エアクリーナケース34内に空気を導入する吸気ダクト66aが一体に形成されるので、エレメントホルダ66に吸気ダクト66aを一体に設けることで、部品点数を削減でき、コストを抑えることができる。
また、図6(B)及び図8に示したように、フロント部22aからヘッドパイプ21にかけて、メインフレーム22の下部の車幅方向の幅を狭くしたので、メインフレーム22の下部に配置されたエレメントホルダ66の吸気ダクト66aの入口の周辺空間である空間81を大きく確保して吸気ダクト66aの吸気量を確保することができる。
また、図3及び図7に示したように、シリンダヘッド52よりも上流側の吸気装置33が、側面視で全てメインフレーム22に重なるので、吸気装置33が外部から視認されにくくなり、外観性を向上させることができる。また、吸気装置33をメインフレーム22のリア部22bで側方から保護することができる。
また、吸気装置33におけるシリンダヘッド52との接続部からエアクリーナケース34に至る吸気通路75は、シリンダヘッド52から後方斜め上方に延びた後に前方斜め上方に延びるので、限られた空間47内で吸気通路75の長さを容易に確保することができる。
また、図9に示したように、吸気装置33は、スロットルボディ57からフロント部22aの後壁22jを貫通してエアクリーナケース34内に延びるコネクティングチューブ58を備えるので、コネクティングチューブ58の外部への露出部を少なくしながら吸気通路75(図7参照)を長くすることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、図2に示したように、ヘッドパイプ21にメインフレーム22の前端をボルト43及びナット44で締結したが、これに限らず、ヘッドパイプ21とメインフレーム22とを溶接にて接合しても良い。
本発明は、二輪の車両10に適用する場合に限らず、二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。
10 車両(鞍乗り型車両)
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム(フレーム)
22a フロント部
22b リア部
31 エンジン
33 吸気装置
34 エアクリーナケース(ケース)
36 シリンダ部
48 エアクリーナ
52 シリンダヘッド
57 スロットルボディ
61 ECU
66 エレメントホルダ
66a 吸気ダクト
68 エアクリーナエレメント
75 吸気通路

Claims (6)

  1. ヘッドパイプ(21)から後下方に延びるフレーム(22)と、前記フレーム(22)の下方に配置されたシリンダ部(36)が前傾姿勢とされたエンジン(31)と、前記シリンダ部(36)に設けられるシリンダヘッド(52)に接続された吸気装置(33)とを備え、前記吸気装置(33)にエアクリーナ(48)を備える鞍乗り型車両の吸気構造において、
    前記フレーム(22)は、前記ヘッドパイプ(21)の直後に設けられたフロント部(22a)と、前記フロント部(22a)から左右にそれぞれ分岐したリア部(22b)とから構成され、
    前記フロント部(22a)は、前記ヘッドパイプ(21)の直後に前記エアクリーナ(48)を構成するエアクリーナケース(34)が形成され、前記リア部(22b)は、前記フロント部(22a)の後部から左右にそれぞれ分岐して前記吸気装置(33)の側面を覆うと共に、
    前記フロント部(22a)から前記ヘッドパイプ(21)にかけて、前記フレーム(22)の下部の車幅方向の幅を狭くすることで空間(81)を形成し、前記空間(81)に前記エアクリーナケース(34)内に空気を導入する吸気ダクト(66a)が設けられていることを特徴とする鞍乗り型車両の吸気構造。
  2. 前記エアクリーナケース(34)内に収容されるエアクリーナエレメント(68)は、前記フロント部(22a)の下面に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の吸気構造。
  3. 前記フロント部(22a)の下端部には、前記エアクリーナエレメント(68)を保持するエレメントホルダ(66)が配置され、前記エレメントホルダ(66)は、前記吸気ダクト(66a)が一体に形成されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両の吸気構造。
  4. 前記シリンダヘッド(52)よりも上流側の前記吸気装置(33)が、側面視で全て前記フレーム(22)に重なることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の吸気構造。
  5. 前記吸気装置(33)における前記シリンダヘッド(52)との接続部から前記エアクリーナケース(34)に至る吸気通路(75)は、前記シリンダヘッド(52)から後方斜め上方に延びた後に前方斜め上方に延びることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の吸気構造。
  6. 前記吸気装置(33)は、スロットルボディ(57)から前記フロント部(22a)の後壁(22j)を貫通して前記エアクリーナケース(34)内に延びるコネクティングチューブ(58)を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の吸気構造。
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