JP6136772B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6136772B2
JP6136772B2 JP2013179213A JP2013179213A JP6136772B2 JP 6136772 B2 JP6136772 B2 JP 6136772B2 JP 2013179213 A JP2013179213 A JP 2013179213A JP 2013179213 A JP2013179213 A JP 2013179213A JP 6136772 B2 JP6136772 B2 JP 6136772B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seed crystal
silicon carbide
single crystal
crystal
preparing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013179213A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015048259A (ja
Inventor
泰 浦上
泰 浦上
造 郡司島
造 郡司島
拓也 山口
拓也 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Showa Denko KK
Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK, Denso Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2013179213A priority Critical patent/JP6136772B2/ja
Publication of JP2015048259A publication Critical patent/JP2015048259A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6136772B2 publication Critical patent/JP6136772B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、パワーMOSFET等の素材に利用することができる炭化珪素(以下、SiCという)単結晶の製造方法に関するものである。
従来、SiC単結晶を種結晶上に成長させるSiC単結晶の製造方法として、例えば特許文献1に示す方法が提案されている。この製造方法では、昇華再結晶法によってSiC単結晶を成長させており、c面成長において、{0001}面に対して例えば1〜15°のオフ角を持ったSiC単結晶からなる種結晶を用いてSiC単結晶を成長させている。具体的には、種結晶の表面を低密度螺旋転位領域と螺旋転位発生可能領域に分け、特に{0001}面の上流側を螺旋転位発生可能領域として凸形状でSiC単結晶を成長させている。これにより、種結晶表面に成長するSiC単結晶のc面ファセット、つまり原子配列で段差(ステップ)のない面に螺旋転位を形成し、ステップ成長を促進することで異種多形の発生を抑制している。
このとき、種結晶のうち螺旋転位発生可能領域と対応する場所について、種結晶の表面を斜め研削したり、機械的に荒らすことで、螺旋転位発生可能領域が構成されるようにしている。
特開2004−323348号公報
しかしながら、特許文献1には、種結晶の表面をどの程度斜め研削したり荒らしたりすれば良いか記載されておらず、螺旋転位の発生範囲を限定して、螺旋転位を定量的に制御することが難しい。
本発明は上記点に鑑みて、螺旋転位を形成してステップ成長を促進することで異種多形の発生を抑制しつつ、螺旋転位の発生範囲を限定して、螺旋転位を定量的に制御することが可能なSiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、c面{0001}面に第1オフ角を有するSiC基板にて構成され、該SiC基板の一部が螺旋転位発生可能領域(3a)となり、螺旋転位発生可能領域ではない部分が低密度螺旋転位領域(3b)となった種結晶(3)を用意する工程と、種結晶の表面にSiCの原料ガスを供給することにより、種結晶上にSiC単結晶(4)を成長させる工程と、を含むSiC単結晶の製造方法において、種結晶を用意する工程で、種結晶として、種結晶のオフ方向のうちSiC単結晶に形成されるc面ファセットと対応する側を上流側とし、オフ方向の上流側に、SiC基板に対して第1オフ角よりも小さな第2オフ角となる底面を有するスリット(3d)にて螺旋転位発生可能領域が構成され、かつ、スリットを該スリットの幅に対する深さの比であるアスペクト比を1以下として形成したものを用意することを特徴としている。
すなわち、底面が低オフ角となるスリットを形成することで螺旋転位発生可能領域を構成し、このスリットをSiC基板におけるオフ方向の上流側の一部、つまりc面ファセットと対応する位置に形成するようにしている。このように、スリットを限定的に形成することで、スリットの幅や密度に応じて螺旋転位の密度を任意に制御でき、螺旋転位の発生範囲を限定して、螺旋転位を定量的に制御することが可能となる。また、螺旋転位発生可能領域において積極的に螺旋転位を発生させることで、低密度螺旋転位領域に積層欠陥が伸びてくることを抑制することも可能となる。
一方、c面ファセットにおいては、螺旋転位が存在しないと、異種多形の核が発生し、異種多形が成長する不安定な成長になってしまう。しかしながら、上記のように螺旋転位が形成されるようにできるため、スパイラル成長によって表面の原子層にステップが形成され、原子(分子)がステップに取り込まれることでステップフロー成長し、下地の多形を引き継いでSiC単結晶を安定成長させることができる。したがって、スリットをc面ファセットと対応する位置に形成しておくことで、SiC単結晶の成長中にc面ファセット内に螺旋転位(または貫通欠陥)が存在し続けるようにできる。これにより、SiC単結晶に、異種多形結晶の二次元核生成が発生することを抑制でき、異方位結晶が生じないようにすることが可能となる。
このように成長した結晶から取り出して形成したオフ角を有するSiC単結晶基板においては、螺旋転位発生領域側の基底面転位および刃状転位を含めた転位密度は低密度螺旋転位領域側に比べて大きい。言い換えれば、このように形成したSiC単結晶により形成したSiC単結晶基板は、その中心よりもオフ方向の上流側において転位密度(螺旋転位と刃状転位と基底面転位の総和)が大きくなっている。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
本発明の第1実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 種結晶3の部分拡大断面図である。 種結晶3の部分拡大斜視図である。 積層欠陥から螺旋転位4cへの変換メカニズムを示したSiC単結晶4の成長表面の拡大斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態のSiC単結晶の製造に用いられるSiC単結晶の製造装置について説明する。
図1に示すSiC単結晶の製造装置は、円筒状の黒鉛製坩堝1を容器として用いてSiC単結晶の製造を行う。黒鉛製坩堝1は、黒鉛製坩堝1の底部に備えられたSiC原料粉末(SiC原料)2を加熱処理によって昇華させ、SiC単結晶基板にて構成された種結晶3の表面上にSiC単結晶4を結晶成長させるものである。
この黒鉛製坩堝1は、上面が開口している有底円筒状の坩堝本体1aと、坩堝本体1aの開口部を塞ぐ円盤状の蓋材1bとを備えて構成されている。また、黒鉛製坩堝1を構成する蓋材1bの中央部において突き出した部分を台座1cとして、台座1c上に図示しない接着剤等を介して種結晶3が接合される。台座1cは、接合される種結晶3とほぼ同等の寸法とされている。本実施形態では、種結晶3を正方形としており、台座1cも種結晶3と同じく正方形とされている。そして、台座1cの中心が黒鉛製坩堝1の中心軸上に配置されることで、種結晶3もその中心軸上に配置されるようにしている。
種結晶3には、螺旋転位発生可能領域3aと低密度螺旋転位領域3bを有するc面{0001}面に4〜15°、本実施形態の場合は8°のオフ角が有るSiC単結晶基板を用いている。このような種結晶3は、例えば、螺旋転位をほとんど含有しないSiC単結晶からSiC単結晶基板を切り出し、オフ方向の上流側の一部に表面処理を施して螺旋転位発生可能領域3aを形成することにより製造される。オフ方向については、例えば<11−20>方向とすることができるが、他の方向、例えば<1−100>方向であっても良い。
具体的には、まず、{1−100}面を露出させた種結晶を用いて、その成長面である{1−100}面上に、SiC単結晶を成長させる。続いて、このSiC単結晶から{11−20}面を露出する種結晶を作製する。次に、この種結晶の成長面である{11−20}面上に、SiC単結晶を成長させる。この{1−100}面と{11−20}面上の成長は繰返し、交互に行ってもよい。最後が{1−100}面上か{11−20}面上に、SiC単結晶を成長させた後に続いて、このSiC単結晶より、{0001}面から4〜15°、本実施形態の場合は8°のオフ角(第1オフ角に相当)傾く面を成長面として露出させた種結晶3を作製する。この種結晶3は、いわゆるa面成長結晶から作製されたSiC単結晶基板であるため、螺旋転位をほとんど含有していない。その後、種結晶における一方の端部をレーザ加工もしくは機械加工などにより部分的に削る。これにより、図2(a)〜図2(b)に示すように、{0001}面から4より大きく〜15°以下に傾く成長面に対して、それよりも小さなオフ角(第2オフ角に相当)、例えば1〜8°未満、本実施形態の場合は4°となる底面を有するスリット3dを形成する。この際、スリット3dについては、半導体のリソグラフィー技術を用いて、ドライエッチングにより形成しても良い。
本実施形態の場合、スリット3dは、オフ方向、つまり種結晶3を構成するSiC単結晶の結晶軸を傾ける方位を示す方向と平行に形成してあり、スリット3dの側面が(11−20)面となっている。また、側面からの成長が安定であり、異種多形は発生しにくい利点がある。また、例えば最後に{1−100}面上にSiC単結晶を成長させた後に、続いてこのSiC単結晶より、{0001}面から4〜15°、本実施形態の場合は8°のオフ角傾く面を成長面として露出させた種結晶3を作製している。この場合、スリット3dは、オフ方向、つまり種結晶3を構成するSiC単結晶の結晶軸を傾ける方位を示す方向と平行に形成してあることから、スリット3dの側面が(1−100)面となる。このような側面とした場合、側面からの成長レートが(11−20)面よりも小さく、より底面から成長しやすくなる。また、スリット3dは、幅に対する深さの比であるアスペクト比、具体的にはスリット3dのうち最も深い位置でのアスペクト比が1以下となるようにしてある。
スリット3dが形成されている範囲については限定的にしてあり、後述するSiC単結晶4の表面のc面ファセット4bと対応する位置に形成してある。具体的には、正方形とされた種結晶3の外縁部におけるオフ方向の先端側の位置であって、4辺のうちの一辺の更に一部、もしくは四隅のうちの1つの角部のみにスリット3dを形成してある。例えば、幅が1〜30mmの範囲において、長さ0.1〜10.0mmで形成している。スリット3dは複数本でも良く、不均一でないほうが良い。
このようにして、スリット3dが形成された領域が螺旋転位発生可能領域3aとなり、残りの領域が低密度螺旋転位領域3bとされた種結晶3を準備することができる。
なお、本明細書において、{0001}、{1−100}、及び{11−20}は、SiC結晶面の面指数を表している。
また、黒鉛製坩堝1は、回転装置5に搭載されている。具体的には、回転装置5は、黒鉛製坩堝1の中心軸を中心として回転する。このため、回転装置5を回転させると、その上に搭載された黒鉛製坩堝1も中心軸を中心として回転させられる。これにより、台座1cに接合された種結晶3も黒鉛製坩堝1の中心軸を中心として回転させることができる。
さらに、黒鉛製坩堝1の外部には、黒鉛製坩堝1の外周を囲むようにヒータ等の加熱装置6が備えられている。加熱装置6の中心は黒鉛製坩堝1や回転装置5の中心軸と同心軸とされている。このように配置された加熱装置6のパワーを制御することにより、黒鉛製坩堝1内の温度が適宜調整される。例えば、SiC単結晶4を結晶成長させる際には、この加熱装置6のパワーを調節することによって種結晶である種結晶3の温度がSiC原料粉末2の温度よりも100℃程度低温に保たれるようにすることができる。なお、図示しないが、黒鉛製坩堝1や回転装置5等は、アルゴンガスが導入できる真空容器の中に収容されており、この真空容器内で加熱できるようになっている。
次に、このように構成されたSiC単結晶の製造装置を用いたSiC単結晶の製造工程について説明する。
まず、上記のように準備した種結晶3を用意する。そして、この種結晶3を台座1cに貼り付けると共に、坩堝本体1a内にSiC原料粉末2を配置したのち、蓋材1bおよび種結晶3を坩堝本体1aに設置する。
続いて、黒鉛製坩堝1を加熱装置6内に配置することで、回転装置5上に設置する。そして、真空容器に備えられた図示しない排気機構を用いてガス排出を行うことで、黒鉛製坩堝1内を含めた真空容器内を真空にする。そして、加熱装置6にて黒鉛製坩堝1を加熱することで黒鉛製坩堝1内を所定温度にする。例えば、黒鉛製坩堝1を約1〜10Torr(1.3×102〜1.3×103Pa)の雰囲気圧で2100〜2300℃に加熱する。これにより、SiC原料粉末2を昇華させて原料ガスを生成し、この原料ガスを種結晶3の表面に供給することで、昇華再結晶法により原料ガスに含まれるSiC原料を種結晶3上に堆積させてSiC単結晶4を作製する。
これにより、図1に示すように、SiC単結晶4の成長途中表面4aには、{0001}面と略平行なc面ファセット4bが形成される。本実施形態では、種結晶3の成長面を{0001}面より4〜15°傾いたオフ角を有する面としているため、成長と共に形成されるc面ファセット4bは、成長途中表面4aの端部、つまり種結晶3におけるオフ方向の先端側と対応する位置に形成される。
一方、本実施形態では、種結晶3のうちのオフ方向の先端側にスリット3dを形成して螺旋転位発生可能領域3aを構成しており、スリット3の底面を低オフ角とし、種結晶3のうちスリット3d以外の部分を高オフ角としている。このため、低オフ角となるスリット3の表面において積層欠陥が螺旋転位4cに変換し易くなるようにできる。
具体的には、積層欠陥から螺旋転位4cへの変換メカニズムは図3(a)〜(f)のように表される。
オフ角を有する種結晶3の表面にSiC単結晶4を形成する際には、ステップフロー成長によってSiC単結晶4が形成される。このとき、図3(a)に示すように、隣り合う所定間隔ごとに並ぶステップ4dの間のテラス4e内に積層欠陥4fが存在すると、それによるステップ4gが構成される。この状態でステップフロー成長が進んだ場合、成長表面全域に形成されているステップ4dでは、ステップ4dの全域に均等にダングリングボンドにより原子が結合できる状態になっているため、ステップ4dの全域で均等に成長が進む。しかしながら、成長表面の途中までしか形成されていない積層欠陥4fによるステップ4gでは、ステップ4gの内側ではダングリングボンドにより原子が結合できる状態になっているが、先端位置ではそのような状態になっていない。このため、ステップ4gの内部だけステップフロー成長が進み、先端位置では成長が進まない。
したがって、図3(b)に示すようにステップ4gの先端位置を中心としてステップ4gが曲がる。そして、図3(c)に示すようにステップ4gの先端位置において、ステップ4gが螺旋状になり、図3(d)に示すようにステップフロー成長が進むに連れて螺旋状のステップ4gが2段になって螺旋転位4cが構成される。これが図3(e)に示すように、成長してきた次のステップ4dと結合してからも、さらに図3(f)に示すように螺旋状のステップ4gの中心を転位芯として螺旋転位4cが引き継がれる。このようにして、積層欠陥4fが螺旋転位4cに変換される。
このような現象は、テラス4eの幅が広い場合に起き易く、オフ角が小さい方がテラス4eの幅が広くなることから、オフ角を小さくしてあるスリット3dの底面上において積極的に発生させることができる。したがって、スリット3dを形成してある螺旋転位発生可能領域3aにおいて積極的に螺旋転位4cを発生させることができ、低密度螺旋転位領域3bに積層欠陥が伸びることを抑制しつつ、螺旋転位4cの発生を抑制することが可能となる。
そして、スリット3dの形成範囲を限定的にし、c面ファセット4bと対応する部分にスリット3dを形成しているため、c面ファセット4bと対応する部分のみに螺旋転位4cを集中的に発生させることができる。また、スリット3dのアスペクト比を1以下に設定しているため、スリット3dの底面上において側面上よりもSiC単結晶4の成長が優位に行われ、側面での成長によってスリット3d内が塞がる前に螺旋転位4cを形成することができる。
また、本実施形態では、a面成長結晶から作製したSiC単結晶基板を切り出すことで種結晶3を得ているが、このような種結晶3は、螺旋転位4cに変換する結晶欠陥が形成されたものとなる。このため、より螺旋転位発生可能領域3aにおいて積層欠陥を積極的に螺旋転位4cに変換させることが可能となる。
このようにして、種結晶3におけるオフ方向の先端側に対応する位置にc面ファセット4bが形成され、かつ、このc面ファセット4bに集中して螺旋転位4cが発生させられたSiC単結晶4を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態では、螺旋転位発生可能領域3aに底面が低オフ角となるスリット3dを形成し、このスリット3dをc面ファセット4bと対応する位置に形成するようにしている。このように、スリット3dを限定的に形成することで、スリット3dの幅や密度に応じて螺旋転位4cの密度を任意に制御でき、螺旋転位4cの発生範囲を限定して、螺旋転位4cを定量的に制御することが可能となる。また、螺旋転位発生可能領域3aにおいて積極的に螺旋転位4cを発生させることで、低密度螺旋転位領域3bに積層欠陥が伸びてくることを抑制することも可能となる。スリット3dについて、幅に対する深さの比であるアスペクト比、最も深い位置でのアスペクト比が1以下となるようにしてあるのは側面からの成長の影響を受けにくくし、底部から成長により螺旋転位の発生を制御するためである。スリット3dの側面が(11−20)面となっているが、側面からの成長が安定であり、異種多形は発生しにくいという利点がある。また、スリット3dの側面が(1−100)面の場合は側面からの成長レートが(11−20)面よりも小さく、より底面から成長しやすくなり、より螺旋転位4cを制御しやすくなる。
一方、c面ファセット4bにおいては、螺旋転位4cが存在しないと、異種多形の核が発生し、異種多形が成長する不安定な成長になってしまう。しかしながら、本実施形態では、螺旋転位4cが形成されるようにできるため、スパイラル成長によって表面の原子層にステップが形成され、原子(分子)がステップに取り込まれることでステップフロー成長し、下地の多形を引き継いでSiC単結晶4を安定成長させることができる。したがって、本実施形態のように、スリット3dをc面ファセット4cと対応する位置に形成しておくことで、SiC単結晶4の成長中にc面ファセット4b内に螺旋転位4c(または貫通欠陥)が存在し続けるようにできる。これにより、SiC単結晶4に、異種多形結晶の二次元核生成が発生することを抑制でき、異方位結晶が生じないようにすることが可能となる。よって、SiC単結晶4における低密度螺旋転位領域3bを螺旋転位が少なく、SiC半導体などの用途に適したものとすることが可能となる。
また、スリット3dを複数本形成することで、螺旋転位発生可能領域3aにより多くの螺旋転位4cを発生させることが可能となる。そして、各スリット3dが不均一な間隔でない方が螺旋転位発生可能領域3a中に発生させられる螺旋転位4cの密度を一定にすることも可能となる。
また、本実施形態のように形成されたSiC単結晶4を切り出して形成したオフ角を有するSiC単結晶基板においては、螺旋転位発生領域3a側の基底面転位および刃状転位を含めた転位密度は低密度螺旋転位領域3b側に比べて大きい。言い換えれば、このように形成したSiC単結晶により形成したSiC単結晶基板は、C面(カーボン面)を表面、Si面(シリコン面)を裏面とした場合に、その中心よりもオフ方向の上流側の転位密度(螺旋転位と刃状転位と基底面転位の総和)が大きな結晶となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してスリット3dの形状を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態では、スリット3dを配置しつつ、オフ方向にもスリット3dを分離させて複数のミシンの目状に配置している。複数のスリット3dは、それぞれ底面が低オフ角とされている。このように、スリット3dを複数のミシンの目状に配置したレイアウトとしても良い。このようなレイアウトのスリット3dによって螺旋転位発生可能領域3aを構成しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態に対してスリット3dのレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態では、スリット3dを各スリット3dの長手方向をオフ方向に対して所定角度斜めにしたレイアウトとしている。このように、スリット3dの長手方向がオフ方向に対して斜めとなるようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、このような構成にすると、螺旋転位4cの渦の向きを制御することも可能となる。すなわち、スリット3dの長手方向をオフ方向に対して斜めにすると、スリット3dの両側面が異なった面方位となる。このため、スリット3dの両側面それぞれでのSiC単結晶4の成長レートが異なり、その両側面での成長レートの相違とスリット3dの底面からの成長との兼ね合いで、螺旋転位4cの渦の向きが決まる。したがって、例えば、{0001}面上において、種結晶3の端面から見たスリット3dの方向がオフ方向となる<11−20>方向に対して時計回り方向において所定角度斜めとなるようにする。もしくは、それとは逆方向、つまり種結晶3の端面から見たスリット3dの方向がオフ方向となる<11−20>方向に対して反時計回り方向において所定角度斜めとなるようにする。これにより、{0001}面の法線方向から見て、螺旋転位4cが時計回りになるか反時計回りになるかを制御することが可能となる。
また、本実施形態のように、スリット3dをオフ方向に対して斜めにすると、第1実施形態とオフ方向の長さが等しくても、斜めにした分だけスリット3dの全長を長くできる。このため、より容易にスリット3dの底面のオフ角を小さく設計できる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態に対してスリット3dのレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態では、スリット3dをオフ方向において分離させて複数のミシンの目状に配置しつつ、オフ方向において分離された各スリット3dがオフ方向に対して斜めにされる方向が交互に逆方向になるようにしてある。また、所定ピッチで隣り合って並べた各スリット3dについても、隣り合うスリット3d同士が、オフ方向に対して斜めにされる方向が逆方向になるようにしてある。
このように、オフ方向に対して斜めにする方向を逆にしたスリット3dを複数個備えるようにすれば、{0001}面の法線方向から見た螺旋転位4cの渦の方向を、時計回りと反時計回りの両方混在した状態にできる。したがって、スリット3dをオフ方向に対して斜めにする方向を制御することで、螺旋転位4cの渦の方向を制御できる。そして、スリット3dをオフ方向に対して斜めにする方向とそのスリット3dの数に応じて、螺旋転位4cの渦の方向の割合を制御することも可能となる。したがって、逆方向の渦によって内部応力緩和を図ることが可能となり、螺旋転位4cの渦の方向の割合を均等となるようにすれば、より内部応力緩和が可能となって、更に高品質なSiC単結晶4を成長させることが可能となる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記各実施形態では、種結晶3および台座1cを正方形とする場合について説明したが、種結晶3および台座1cの形状は任意であり、正方形に限らず、円形や、長方形などの他の四角形、六角形、八角形など、他の多角形状であっても構わない。
また、上記実施形態では、昇華再結晶法によって種結晶3の表面にSiC単結晶4を成長させる場合について説明したが、SiC原料ガスをガス導入孔から導入して種結晶3の表面にSiC単結晶4を成長させるガス供給法にも本発明を適用できる。
さらに、種結晶3をa面成長結晶から切り出した場合の一例を示したが、a面方向に少なくとも1回成長させたSiC単結晶を切り出すことで種結晶3を用いたものであれば、種結晶3に螺旋転位をほとんど含有していないものにできる。
なお、結晶の方位を示す場合、本来ならば所望の数字の上にバー(−)を付すべきであるが、電子出願に基づく表現上の制限が存在するため、本明細書においては、所望の数字の前にバーを付すものとする。
1 黒鉛製坩堝
1c 台座
2 SiC原料粉末
3 種結晶
3a 螺旋転位発生可能領域
3b 低密度螺旋転位領域
3d スリット
4 SiC単結晶
4b c面ファセット
4c 螺旋転位

Claims (9)

  1. c面{0001}面に第1オフ角を有する炭化珪素基板にて構成され、該炭化珪素基板の一部が螺旋転位発生可能領域(3a)となり、前記螺旋転位発生可能領域ではない部分が低密度螺旋転位領域(3b)となった種結晶(3)を用意する工程と、
    前記種結晶の表面に炭化珪素の原料ガスを供給することにより、前記種結晶上に炭化珪素単結晶(4)を成長させる工程と、を含み、
    前記種結晶を用意する工程では、前記種結晶として、該種結晶のオフ方向のうち前記炭化珪素結晶に形成されるc面ファセットと対応する側を上流側とし、前記オフ方向の上流側に、前記炭化珪素基板に対して前記第1オフ角よりも小さな第2オフ角となる底面を有するスリット(3d)にて前記螺旋転位発生可能領域が構成され、かつ、前記スリットを該スリットの幅に対する深さの比であるアスペクト比を1以下として形成したものを用意することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記種結晶を用意する工程では、a面方向に少なくとも1回成長させた炭化珪素単結晶を切り出すことで種結晶を作製することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記種結晶を用意する工程では、前記種結晶として、前記スリットを複数本形成したものを用意することを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記種結晶を用意する工程では、前記種結晶として、複数本の前記スリットが同じ幅で形成されたものを用意することを特徴とする請求項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記種結晶を用意する工程では、前記種結晶として、前記スリットが該種結晶のオフ方向に対して斜めに形成されたものを用意することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 前記種結晶を用意する工程では、前記種結晶として、前記スリットが前記オフ方向において複数に分離されていると共に、分離された複数の前記スリットそれぞれが該種結晶のオフ方向に対して斜めにされる方向が交互に逆方向とされているものを用意することを特徴とする請求項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 前記種結晶を用意する工程では、前記種結晶として、前記第1オフ角の方向が<11−20>方向であるものを用意することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  8. 前記種結晶を用意する工程では、前記種結晶として、前記第1オフ角の方向が<1−100>方向であるものを用意することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  9. 前記種結晶を用意する工程では、前記種結晶として、四角形もしくは円形のものを用意し、該四角形もしくは円形の外縁部に前記スリットが形成されたものを用意することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
JP2013179213A 2013-08-30 2013-08-30 炭化珪素単結晶の製造方法 Active JP6136772B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013179213A JP6136772B2 (ja) 2013-08-30 2013-08-30 炭化珪素単結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013179213A JP6136772B2 (ja) 2013-08-30 2013-08-30 炭化珪素単結晶の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015048259A JP2015048259A (ja) 2015-03-16
JP6136772B2 true JP6136772B2 (ja) 2017-05-31

Family

ID=52698564

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013179213A Active JP6136772B2 (ja) 2013-08-30 2013-08-30 炭化珪素単結晶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6136772B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6583989B2 (ja) 2015-04-21 2019-10-02 昭和電工株式会社 SiC単結晶シード、SiCインゴット、SiC単結晶シードの製造方法及びSiC単結晶インゴットの製造方法
JP7005122B6 (ja) * 2015-12-18 2023-10-24 昭和電工株式会社 SiCシード及びSiCインゴット

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3764462B2 (ja) * 2003-04-10 2006-04-05 株式会社豊田中央研究所 炭化ケイ素単結晶の製造方法
JP2006124244A (ja) * 2004-10-29 2006-05-18 Shikusuon:Kk 炭化珪素単結晶の製造方法および炭化珪素ウエハ
JP2007197231A (ja) * 2006-01-24 2007-08-09 Toyota Motor Corp SiC単結晶の製造方法
TWI408262B (zh) * 2007-09-12 2013-09-11 Showa Denko Kk 磊晶SiC單晶基板及磊晶SiC單晶基板之製造方法
JP6025306B2 (ja) * 2011-05-16 2016-11-16 株式会社豊田中央研究所 SiC単結晶、SiCウェハ及び半導体デバイス
JP5076020B2 (ja) * 2011-10-25 2012-11-21 昭和電工株式会社 SiCエピタキシャルウェハ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015048259A (ja) 2015-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3764462B2 (ja) 炭化ケイ素単結晶の製造方法
JP4547031B2 (ja) 炭化珪素単結晶製造用坩堝、並びに炭化珪素単結晶の製造装置及び製造方法
WO2016088883A1 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶基板
US9145622B2 (en) Manufacturing method of silicon carbide single crystal
JP2008074662A (ja) 炭化珪素単結晶製造装置
JP4924290B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造装置およびその製造方法
JP2007055881A (ja) AlN結晶およびその成長方法ならびにAlN結晶基板
JP2011184208A (ja) 炭化ケイ素単結晶の製造装置及び炭化ケイ素単結晶の製造方法
JP6136772B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP2011011926A (ja) 炭化珪素単結晶の製造装置
CN108026662B (zh) 碳化硅基板
JP6722578B2 (ja) SiCウェハの製造方法
JP5516167B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造装置
JP3738647B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法及び単結晶製造装置
JP5333315B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造装置および炭化珪素単結晶の製造方法
JP2007137763A (ja) 窒化ガリウム単結晶厚膜の製造方法
JP5087489B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造装置及び炭化珪素単結晶の製造方法
JP6618179B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP7194407B2 (ja) 単結晶の製造方法
JP6986960B2 (ja) 炭化珪素単結晶インゴット、炭化珪素単結晶の製造方法
RU2499324C2 (ru) ГЕТЕРОСТРУКТУРЫ SiC/Si И Diamond/SiC/Si, А ТАКЖЕ СПОСОБЫ ИХ СИНТЕЗА
JP2017139263A (ja) 半導体装置の製造方法
JP6910047B2 (ja) ランダムマイクロニードル
JP2014024705A (ja) 炭化珪素基板の製造方法
JP6747510B2 (ja) 炭化珪素エピタキシャル基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170323

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170417

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6136772

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350