JP6136622B2 - 透明導電膜用水系塗工液及びこれを用いた透明導電膜 - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電膜用の水系塗工液及びこれを用いた透明導電膜に関するものであり、より詳しくは、低温で分解可能なカルボン酸化合物が配位したITO微粒子を含有する透明導電膜用水系塗工液、及びこれを製膜、200℃以下で乾燥することで得られる、透明導電膜に関するものである。
パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ノートPC、OA機器、医療機器又はカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段を兼ね備える、タッチパネルが広く用いられている。
このようなタッチパネルに用いられる透明導電膜としては、液晶ディスプレイ等の透明電極に用いられているスズを含有する酸化インジウムが、優れた透明性と電気導電性とを持ち合わせることからこれまで広く使用されている。
しかし、一般的にこれらスズを含有する酸化インジウムは、スパッタリング方式で蒸着されることから、工程が複雑であること、材料の使用効率が低いこと、また高価な真空製膜装置が必要であること、などの課題が指摘されている。
これに対し、真空工程を必要とせず、大面積や複雑形状の製膜が可能である塗工型の材料が注目されており、これまでに貴金属又は金属酸化物の微粒子分散液を塗工して得られる透明導電膜が報告されている。
そして、貴金属微粒子を用いるものは、具体的には表示装置の表示面上に金、銀、銅等の貴金属微粒子を液中に均一に分散させた塗布液を塗布し乾燥することで、導電性の透明貴金属薄膜を形成し、この透明貴金属薄膜の上層及び/又は下層に、これとは屈折率が異なる透明層を積層して電磁波遮蔽、帯電防止、反射防止等を図るものである。例えば、平均粒子径2〜200nmの範囲内の少なくとも銀を含む貴金属微粒子による導電層と、これと屈折率が異なる透明層とからなる電磁波遮蔽効果と反射防止効果に優れた透明導電膜(例えば特許文献1参照。)、が提案されている。
しかし、特許文献1に提案の方法においては、電磁波遮蔽効果は期待できるものの、銀の光透過スペクトルに依存して400〜500nmの透過光に吸収が生じ、導電膜が黄色に着色し、透過画像の色相が不自然に変化する、膜の光線透過率が低いため膜厚分布に起因した透過色のムラが目立ち易く生産性を悪化させる、塩霧環境では導電膜の表面抵抗率が上昇し電磁波遮蔽効果が低下するため、海岸等塩霧の影響を受け易い場所では耐久性が低下する、等の課題を有するものであった。
また、金属酸化物微粒子を用いるものでは、スズ含有酸化インジウム(以下ITOと略すこともある)の微粒子を有機溶媒に溶解または分散した塗布液を基材上に塗布し、乾燥・焼成することにより透明導電膜を作製する方法が提案されている。例えば、インジウム・スズ複合酸化物の粒子を含有するゾル組成物を塗布液として用い、この塗布液を基材上に塗布し、乾燥・焼成することにより、導電性酸化インジウム粒子からなる被膜を形成する方法(例えば特許文献2参照。)、が提案されている。
しかし、通常、塗布液に含まれるインジウム化合物は、無機または有機のインジウム塩など、いわゆる酸化インジウムの前駆体であり、このような分散液を基材上に塗工した後に乾燥しただけでは高い導電性、透明性を示す結晶性酸化インジウムの塗工膜は得られず、基材上に塗工した後の塗膜を400℃以上の高温で焼成し、インジウム塩を熱分解するとともに得られた酸化インジウムを結晶化することにより、はじめて高導電性の酸化インジウム被膜が形成されるものである。そして、特許文献2に提案されている方法においても、インジウム・スズ複合酸化物ゾル中の複合酸化物微粒子は、非晶質の酸化物であり、該非晶質の酸化物は、高温で焼成することにより結晶化させることを必要としており、実施例でも、500℃で焼成する工程を経て導電性被膜が形成されている。しかしながら、塗膜を高温、500℃程度の温度で加熱すると、基材がプラスチック基材である場合には基材が損傷してしまう、また基材がガラス基材である場合には基材に歪み、割れなどが生じるという、課題を発生する場合があった。
そこで、高温での焼成工程を必要とせず、塗工及びプラスチック基材に適応可能な200℃以下の低温乾燥のみで高い導電性を発現させるために、結晶性の金属酸化物微粒子を塗工膜として用いることが期待される。
そして、400℃以上での高温による焼結を必要とせず、結晶性の金属酸化物微粒子を得る方法(例えば特許文献3、4参照。)、350℃以下の加熱により、常圧で結晶性のITO微粒子を得る方法(例えば特許文献5,6,7参照。)、さらにオレイルアミンの配位したスズ含有酸化インジウム微粒子合成(例えば非特許文献1参照。)、等が提案されている。
特開平08−077832号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開昭59−223229号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2004−123418号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2006−096636号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2007−269617号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2009−084122号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2011−126746号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
J.Am.Chem.Soc.2009,131,17736−17737
しかし、特許文献3,4に提案の方法においては、加圧条件下での処理工程を必須とするものであり、大量生産プロセスに適したものとは言い難い上に、導電性の点においても課題を有するものであった。
また粒径の小さなITO微粒子は、一旦凝集すると再分散させることが難しく、単分散状態を長時間保持することが難しい。特に、一般的な有機溶媒よりも毒性が低く、低環境負荷な溶媒である水を分散媒とした透明導電膜用塗工液においては、高い分散性を有し、かつ高い導電性を発現する透明導電膜が得られるものは、これまでに報告されていない。特許文献5、6、7に提案されるITO微粒子は水に分散可能な粒子であるものの、高沸点の有機物で表面を保護することで高い分散性を付与したものであり、塗工及び200℃以下の低温乾燥で得られた塗工膜は、有機物が多く残留するために、透明導電膜として十分な導電性を発現することができない。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の低温分解可能な配位子を有するITO微粒子の水分散液が、高い分散性を有し、かつ製膜、低温乾燥することで、高い導電性を発現する透明導電膜を製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、低毒性、低環境負荷な溶媒である水を使用した透明導電膜用水系塗工液、及びこれを用いた透明導電膜に関するものである。より詳しくは、配位子としてカルボン酸化合物を有し、透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径が3〜60nmであるITO微粒子を、0.1〜50重量%含有することを特徴とする、透明導電膜用水系塗工液、及びこれを製膜、200℃以下で乾燥して得られる透明導電膜に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の透明導電膜用水系塗工液は、配位子としてカルボン酸化合物を有し、透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径が3〜60nmであるITO微粒子を、0.1〜50重量%含有することを特徴とするものである。
カルボン酸化合物を配位子に有するITO微粒子は、透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径が3〜60nmであり、好ましくは4〜50nm、さらに好ましくは5〜40nmである。平均粒径が3nm未満の場合、ITO微粒子の比表面積が大きくなるために、粒子表面に配位するカルボン酸化合物の割合が増加し、透明導電膜とした際に、ITO同士の距離が離れてしまうため、透明導電膜として十分な導電性を発現できない恐れがある。一方、平均粒径が60nmを超える場合、低分子化合物であるカルボン酸化合物配位子の分散力が不足し、ITO微粒子の凝集が進行しやすくなるため、塗工液及び透明導電膜の透明性低下が懸念される。
カルボン酸化合物を配位子に有するITO微粒子の平均粒子径については、該微粒子を水に分散させた、濃度0.01重量%以下の低濃度分散液を用意し、これをコロジオン膜展張したカーボンコーティング銅メッシュに滴下して水を揮発させ、透過型顕微鏡で観察する方法により測定を行う。そして、ITO微粒子の平均粒子径の測定には、倍率20万倍で観察された像の写真を撮影し、300個以上の粒子の粒子径を測定し、平均化することで、平均粒子径を求める。
本発明の透明導電膜用水系塗工液中のITO微粒子の、配位子として使用されるカルボン酸化合物とは、カルボキシル基を少なくとも1つ以上有する化合物である。構造体中の合計炭素数は、ITO微粒子への配位しやすさ、及び200℃以下での分解性が良好であることから、20以下が好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。すなわち、モノカルボン酸だけでなく、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、その他カルボン酸誘導体を含むものである。また、1種類だけでなく、2種類以上のカルボン酸化合物を組み合わせて使用することもできる。なお、構造体中の合計炭素数が20以下である低分子カルボン酸化合物は分解温度が比較的低いため、ITO微粒子に配位させ、透明導電膜とする際に、200℃以下の低温で乾燥することで、カルボン酸化合物が分解除去されやすく、優れた導電性を発現する透明導電膜を得ることができる。
カルボン酸化合物の一例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸などの飽和モノカルボン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸などの不飽和モノカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、コハク酸、イタコン酸、グルタル酸、アジピン酸、α−ケトグルタル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、フマル酸、マレイン酸などのジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸、オキサロコハク酸、アコニット酸などのトリカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸、メソーブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸などのテトラカルボン酸などが挙げられる。
上記のカルボン酸化合物の例示の中でも特に、シュウ酸、マロン酸、コハク酸より選ばれるカルボン酸化合物1種類以上を配位子とすることで、特に分散性に優れた透明導電膜用水系塗工液ができる。これは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸がいずれもITO微粒子への配位が容易な構造であり、かつ水に対して高い溶解性を示す化合物であることから、これらのカルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子が、分散媒である水に対し、高い分散性を発現するためである。さらに、シュウ酸、マロン酸、コハク酸はいずれも分解温度が200℃以下の化合物であることから、これらのカルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子を、水に分散させた透明導電膜用水系塗工液を製膜し、透明導電膜を製造する際に、200℃以下で乾燥することによって、これらのカルボン酸化合物配位子の大部分を分解除去することができ、高い導電性を発現する透明導電膜を得ることができる。
本発明の透明導電膜用水系塗工液は、カルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子(カルボン酸化合物配位ITO微粒子)を0.1〜50重量%を含む分散液であり、特に該カルボン酸化合物配位ITO微粒子の分散安定性に優れ、透明導電膜の製膜性にも優れるものとなることから、該カルボン酸化合物配位ITO微粒子0.1〜30重量%含むことが好ましく、さらには0.1〜20重量%を含むものであることが好ましい。ここで、カルボン酸化合物配位ITO微粒子が0.1重量%未満である場合、塗工膜中のITO微粒子間の距離が遠くなることから、十分な導電性を有する導電膜を得ることが困難となる。一方、カルボン酸化合物配位ITO微粒子が50重量%を超える場合、塗工液中でのITO微粒子が不安定となり、分散安定性に劣るものとなる。
本発明の透明導電膜用水系塗工液におけるカルボン酸化合物は、ITO微粒子の分散性及び透明導電膜としたときの導電性の観点から、ITO微粒子全体の0.1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。
該ITO微粒子中の配位子の含量の測定方法は、ITO微粒子分散液を0.5μmフィルタで濾過した後、80℃、減圧下で乾固することでITO微粒子紛体を調製し、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、(商品名)TG/DTA6200等)により、窒素雰囲気中、80℃で60分保持した後、10℃毎分で500℃まで昇温、その後500℃で180分間保持し、80℃から500℃の範囲における重量の減少値を配位子の配位量とする。
本発明の透明導電膜用水系塗工液は、カルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子を、0.1重量%の濃度で分散させた際に、該分散液の溶液ヘイズが5%以下であることが好ましい。この際の溶液ヘイズは、日本電色工業社製ヘイズメーター(商品名NDH−5000)により、厚み10mmの液体用セルを用いて、JIS K 7136を準拠し測定する。またこのほかの分散性指標のとしては、上記の分散液を遠心分離し、ITO微粒子が沈降しないことで確認することも可能である。この際の評価条件の一例としては、回転半径10.1cmのアングルロータを取り付けた遠心機(コクサン(株)製、(商品名)H−201F)を使用し、該分散液を3,000rpm、30分間の遠心分離をした際に、ITO微粒子の沈降層と、透明な上澄みとに分離するか否かを、目視により判定する。
以下に、本発明の透明導電膜用水系塗工液の製造方法の好ましい例示を示す。
好ましい例示としては、炭素数6〜24のアルコール類またはアミン類を配位子として有するITO微粒子(ITO微粒子前駆体)を製造した後、配位子交換によってカルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子(カルボン酸化合物配位ITO微粒子)を製造し、該カルボン酸化合物配位ITO微粒子に分散媒である水を添加することにより透明導電膜用水系塗工液を製造する方法を挙げることができる。
炭素数6〜24のアルコール類またはアミン類を配位子として有するITO微粒子を製造方法としては、例えば前出の非特許文献1にあるように、公知の手法に基づき、製造することができる。用いる炭素数6〜24のアルコール類またはアミン類としては、ITO微粒子に対し単座配位、多座配位のいずれの形態を有するものでもよく、例えばヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ヘキサデカノール、オレイルアルコール、テトラコサノール、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、ステアリルアミン、ノナデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサメチレンジアミン等を挙げることができる。
アルコール類またはアミン類を配位子として有するITO微粒子を製造した後、前記カルボン酸化合物と配位子交換によってカルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子を製造する。
その際、速やかに配位子交換反応を進行させるため、アルコール類またはアミン類を配位子として有するITO微粒子に対し、大過剰のカルボン酸化合物を用いることが好ましい。ここでいう大過剰とは、アルコール類またはアミン類を配位子として有するITO微粒子中の、インジウムとスズの合計モル数に対し、3倍以上のモル数のカルボン酸化合物を使用することをいう。
反応の際の雰囲気は無酸素条件下であることが好ましく、窒素気流中であることが好ましい。この際の加熱温度は、より配位子交換反応を迅速に進行させるために、60℃以上、更には70℃以上が好ましい。また反応時間については、反応温度に応じて適宜設定することができ、5時間以上が好ましく、交換反応の進行具合を確認しながら決定することできる。反応の進行具合の確認方法としては、反応液を遠心分離してITO微粒子を単離し、このITO微粒子の1H NMRスペクトルもしくは13C NMRスペクトルから、交換前の配位子であるアルコール類もしくはアミン類と、交換後の配位子であるカルボン酸化合物との比率を算出することにより求める。この際の、交換後の配位子であるカルボン酸化合物の割合が、交換前の配位子であるアルコール類もしくはアミン類の8倍以上となったとことで、配位子交換反応が進行したものと判断する。
配位子交換反応においては、溶媒を用いることが好ましく、使用する溶媒としては、配位子とするカルボン酸化合物を溶解するものであれば特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、及びテルピネオール等のアルコール類、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、及びジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、及びエトキシエタノール等のエーテルアルコール類、ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、及びトリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、および、シクロオクタン等の環状アルカン等の常温で液体の溶媒を適宜選択して使用すればよい。
配位子交換によって得られた、カルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子は、配位子交換前の、アルコール類またはアミン類の配位したITO微粒子から、配位子部分のみが交換されたものであり、ITO微粒子自身の形状はほとんど変化しない。ITO微粒子の外観については、TEM像を観察することで確認することができ、交換前後のITO微粒子の平均粒子径の変化は±10%以内である。
得られたITO微粒子を精製、例えば遠沈精製することにより、より不純物濃度の低い、ITO微粒子分散液を得ることができる。この際の遠沈精製とは、遠心分離装置を用いて、得られた反応液又は分散液をITO微粒子と上澄み液に分離し、上澄み液を除去後、沈降したITO微粒子沈殿物に分散溶媒を添加して再分散させ、更に必要に応じてITO微粒子が沈降する沈殿溶媒を添加し、遠心分離を繰り返すことで、ITO微粒子の洗浄を行う方法を示す。
使用する分散溶媒については、ITO微粒子が十分に分散、沈降する分散溶媒であれば、特に制限はなく、例えば、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、エキネン、及びテルピネオール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸ベンジル等のエステル類;メトキシエタノール、及びエトキシエタノール等のエーテルアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の酸アミド、アミン類などが挙げられ、中でも分散性の高さと実用性から、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミドを使用することが好ましい。
また、該沈殿溶媒としては、特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの塩化脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類などが挙げられ、中でも沈降性の高さと実用性から、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトンを使用することが好ましい。
また、遠心分離精製の際、ITO微粒子と上澄みの分離が可能な条件であれば、遠心分離装置の条件にも、特に制約はなく、例えば回転半径10.1cmのアングルロータを取り付けた遠心機(コクサン(株)製、(商品名)H−201F)を使用し、該分散液を10,000rpm、30分間の遠心分離することで、分離することが可能である。
そして、該カルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子に、分散溶媒である水を添加することで、本発明の透明導電膜用水系塗工液を得ることができる。なお、本発明の透明導電膜用水系塗工液は、カルボン酸化合物配位ITO微粒子と水を主成分とするものであれば、これらの他にも、有機溶媒、高分子分散剤(バインダー樹脂)、その他分散助剤、増粘剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、乳化剤等のドープ成分として、任意の元素の単体・化合物等を含有していてもよい。
本発明の透明導電膜用水系塗工液は、例えば基材上に塗工し、200℃以下で乾燥することにより、透明性、導電性に優れる透明導電膜を製造することができる。その際の塗工方法としては、例えばスピンコート法、ドロップコート法、ロールコート法、スプレー法、バーコート法、ディップ法、メニスカスコート法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、Tダイ法、リップコーター法、ロールコート法等の公知の方法がいずれも使用可能である。
使用する基材についても特に制限はなく、例えば、ガラス系などの無機基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルホンなどのポリマーフイルム基材等を使用することができる。これらの基材は、透明導電膜との密着性を優れたものとするために表面処理剤を用い表面処理を行ってもよく、該表面処理剤としては、例えばシランカップリング剤、有機金属等が挙げられる。該シランカップリング剤としては、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、有機金属としては、例えば有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウム等が挙げられる。
塗工後の乾燥温度は、200℃以下の温度範囲であれば特に制限はなく、透明導電膜用水系塗工液中の水を揮発させるために、80〜200℃が好ましく、さらにITO微粒子に配位したカルボン酸化合物が効率的に分解し、透明導電膜中の有機物含量が低下することから、150〜200℃が好ましい。また乾燥雰囲気は空気中、窒素雰囲気中、減圧下など、特に制限されない。
本発明の透明導電膜の厚みとしては、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて任意であり、その中でも特に透明性と導電性のバランスに優れる透明導電膜となることから0.001〜5μmが好ましく、さらに0.01〜2μmが好ましく、特に0.05〜1μmが好ましい。
本発明の導電膜用水系塗工液より得られる透明導電膜は、カルボン酸化合物を配位子として有するITO微粒子を含むものであり、製膜後200℃以下で乾燥することで、該ITO微粒子中のカルボン酸化合物が分解除去されるため、高い導電性が発現する透明導電膜を得ることが可能となるものである。得られた透明導電膜のシート抵抗としては、10Ω/□以下が好ましく、さらに5×10Ω/□以下が好ましく、特に10Ω/□以下が好ましい。
本発明の透明導電膜は、基材に対して十分に高い密着性を有するものである。基材への密着性は、例えばJIS K 5600のクロスカット法によって評価可能であり、100個の碁盤目中、剥離個数は10個以下が好ましく、特に好ましくは5個以下である。また透明導電膜として十分な透明性を有することからJIS K 7361−1に準拠し測定した光線透過率が80%以上が好ましく、特に85%以上が好ましい。また、JIS K 7136に準拠し測定したヘイズが5%以下が好ましく、特に3%以下が好ましい。
本発明の透明導電膜用水系塗工液は、特定のITO微粒子を含有するものであり、従来の有機溶媒分散系塗工液よりも低毒性、低環境負荷であることから、様々な用途への展開が期待される。また該塗工液を基材に塗工し200℃以下の乾燥によって、優れた透明性と導電性を発現する透明導電膜が得られることから、プラスチックフイルム基材への応用が可能となり、産業に大きく貢献するものと考えられる。
以下に本発明を実施例により、詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
<ITO微粒子の精製>
得られたITO微粒子分散液は、遠心機(コクサン(株)製、(商品名)H−201F)を使用し、遠心分離を繰り返すことにより精製を行った。
<ITO微粒子の紛体作製>
ITO微粒子の水分散液を0.5μmフィルタで濾過した後、80℃減圧中で乾固させ、ITO微粒子紛体を得た。
<ITO微粒子の平均粒子径の算出>
ITO微粒子を水に分散させた、濃度0.01%以下の分散液を用意し、これをコロジオン膜展張したカーボンコーティング銅メッシュに落として水を揮発させ、このサンプルを透過型顕微鏡で観察した。また得られた像から、ITO微粒子の粒子径を読み取り、300個以上のITO微粒子について平均した値をITO微粒子の平均粒子径とした。
<ITO微粒子中の配位子の配位量分析>
上記ITO紛体を用い、熱重量減少測定により分析した。測定には示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、(商品名)EXSTAR TG/DTA6200)を使用した。該ITO微粒子紛体を窒素雰囲気中、80℃で60分保持した後、10℃毎分で500℃まで昇温、その後500℃で180分間保持し、80℃から500℃の範囲における重量の減少値を、加熱分解した配位子の配位量として算出した。
<配位子交換反応進行確認>
反応液を3mL抜出し、遠心分離を実施してITO微粒子を単離した。沈降性が悪い場合は、反応液と等量のジクロロメタン等のハロゲン系溶媒を添加し、遠心分離を実施した。得られたITO微粒子を重水に分散させ、核磁気共鳴装置(日本電子社製、(商品名)JMN−EC400)を用い、1H NMRもしくは13C NMRを測定した。得られたスペクトルより、交換前の配位子と、交換後の配位子との比率を算出し、比率が8倍以上をもって反応が進行したものと判断した。
<ITO微粒子分散液の溶液ヘイズ>
水に対して固形分濃度0.1重量%の割合でITO微粒子を分散させた分散液を、厚さ10mmの溶液セルにとり、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、(商品名)NDH−5000)を用い、JIS K 7136に準拠して溶液ヘイズの測定を行った。
<透明導電膜の導電性の測定>
抵抗率計((商品名)Loresta−AP、三菱油化(株)製)を用い、4探針法にてシート抵抗の測定を行った。
<結晶性スズ含有酸化インジウム微粒子の分散液の光線透過率及びヘイズの測定>
日本電色工業社製ヘイズメーター((商品名)NDH−5000、日本電色工業(株)製)を用い、厚み10mmの液体用セル中に該分散液を入れ、JIS K 7361−1に準拠して結晶性スズ含有インジウム微粒子分散液の光線透過率を、JIS K 7136に準拠してヘイズの測定を行った。
<透明導電膜の光線透過率及びヘイズの測定>
ヘイズメーター((商品名)NDH−5000、日本電色工業(株)製)を用い、JIS K 7361−1に準拠して透明導電膜の光線透過率を、JIS K 7136に準拠してヘイズの測定を行った。
<透明導電膜の基材への密着性の評価>
塗料一般試験方法JIS K 5600に準拠してクロスカット試験を実施し、100個の碁盤目のうち剥離個数が10個以下のものを、密着性良好と判断した。
<ITO微粒子前駆体の製造例1(オレイルアミンの配位したITO微粒子)>
100mlフラスコ中に酢酸インジウム(III)315mg、2−エチルヘキサン酸スズ(II)39μl、オレイルアミン3.3ml、1−吉草酸380μl、n−ジオクチルエーテル9mlを仕込み、真空中80℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中150℃で1時間加熱し、次いで窒素雰囲気中270℃で2時間加熱還流し、オレイルアミンの配位したITO微粒子の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエタノール、分散溶媒にクロロホルムを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、オレイルアミンの配位したITO微粒子を得た。
得られたITO微粒子の一部をクロロホルムに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、オレイルアミンの配位したITO微粒子の平均粒子径は13.3nmであった。
<ITO微粒子前駆体の製造例2(ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子)>
100mlフラスコ中に2−エチルヘキサン酸インジウム(III)1176mg、酢酸スズ(II)51mg、ヘキサデシルアミン4.5ml、n−オクタン酸700μl、n−ジオクチルエーテル25mlを仕込み、真空中70℃で3時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中270℃で3時間加熱還流し、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエタノール、分散溶媒にクロロホルムを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子を得た。
得られたITO微粒子の一部をクロロホルムに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子の平均粒子径は10.5nmであった。
<ITO微粒子前駆体の製造例3(1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子)> 100mlフラスコ中に2−エチルヘキサン酸インジウム(III)1176mg、2−エチルヘキサン酸スズ(II)139μl、1−ヘキサデカノール4.8g、n−オクタン酸800μl、1−オクタデセン30mlを仕込み、真空中80℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中150℃で1時間加熱し、次いで窒素雰囲気中250℃で4時間加熱還流し、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエキネン、分散溶媒にクロロホルムを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子を得た。
得られたITO微粒子の一部をクロロホルムに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子の平均粒子径は8.9nmであった。
<製造例4(オレイルアルコールの配位したITO微粒子)>
100mlフラスコ中に酢酸インジウム(III)315mg、酢酸スズ(II)36mg、オレイルアルコール2.5ml、1−ペンタン酸300μl、1−オクタデセン10mlを仕込み、真空中70℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中170℃で2時間加熱し、次いで窒素雰囲気中280℃で1.5時間加熱還流し、オレイルアルコールの配位したITO微粒子の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にメタノール、分散溶媒にヘキサンを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、オレイルアルコールの配位したITO微粒子を得た。
得られたITO微粒子の一部をヘキサンに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、オレイルアルコールの配位したITO微粒子の平均粒子径は7.1nmであった。
実施例1
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、シュウ酸0.5g、イソプロパノール30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃7時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が9.2倍含有されており、オレイルアミンからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、シュウ酸が3.8重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、シュウ酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、シュウ酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は13.2nmであり、配位子交換前の13.3nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してシュウ酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率89.8%、ヘイズ1.2%、シート抵抗800Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例2
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、マロン酸0.5g、イソプロパノール30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃7時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が9.2倍含有されており、オレイルアミンからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、マロン酸が4.2重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、マロン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.5%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、マロン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、マロン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は13.3nmであり、配位子交換前の13.3nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してマロン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚250nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率90.4%、ヘイズ1.0%、シート抵抗760Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例3
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、クエン酸1.0g、N,N−ジメチルホルムアミド30mlを仕込み、窒素雰囲気中100℃7時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.3倍含有されており、オレイルアミンからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、クエン酸が4.9重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、クエン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.0%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、クエン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、クエン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は13.1nmであり、配位子交換前の13.3nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率88.9%、ヘイズ0.8%、シート抵抗620Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例4
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、シュウ酸1.1g、エタノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃12時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にエタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が9.6倍含有されており、ヘキサデシルアミンからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、シュウ酸が6.5重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、シュウ酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、2.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、シュウ酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は10.5nmであり、配位子交換前の10.5nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してシュウ酸の配位したITO微粒子1.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ50μmのポリカーボネートフイルム(帝人化成(株)製、商品名「ピュアエースWR))に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率86.0%、ヘイズ1.6%、シート抵抗1,600Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例5
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、マロン酸1.2g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中90℃12時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が9.8倍含有されており、ヘキサデシルアミンからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、マロン酸が6.6重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、マロン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.5%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、マロン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、マロン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は10.5nmであり、配位子交換前の10.5nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してマロン酸の配位したITO微粒子1.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ50μmのポリカーボネートフイルム(帝人化成(株)製、商品名「ピュアエースWR」)に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚200nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率87.2%、ヘイズ2.0%、シート抵抗3,100Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例6
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、クエン酸2.3g、エタノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃12時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にエタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.7倍含有されており、ヘキサデシルアミンからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、クエン酸が6.0重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、クエン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、クエン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、クエン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は10.4nmであり、配位子交換前の10.5nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子1.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ50μmのポリカーボネートフイルム(帝人化成(株)製、商品名「ピュアエースWR」)に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚250nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率86.1%、ヘイズ1.4%、シート抵抗900Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例7
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、シュウ酸0.9g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃6時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が8.3倍含有されており、1−ヘキサデカノールからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、シュウ酸が5.9重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、シュウ酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、シュウ酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は8.9nmであり、配位子交換前の8.9nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してシュウ酸の配位したITO微粒子3.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ125μmのPENフイルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)に塗工し、窒素雰囲気中180℃で5時間乾燥して、塗工厚150nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率85.5%、ヘイズ2.2%、シート抵抗8,900Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例8
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、マロン酸1.0g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃6時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が8.7倍含有されており、1−ヘキサデカノールからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、マロン酸が6.9重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、マロン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.9%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、マロン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、マロン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は8.7nmであり、配位子交換前の8.9nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してマロン酸の配位したITO微粒子3.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ125μmのPENフイルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)に塗工し、窒素雰囲気中180℃で5時間乾燥して、塗工厚200nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率85.8%、ヘイズ2.6%、シート抵抗6,800Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例9
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、クエン酸1.9g、イソプロパノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃6時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にクロロホルム、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が8.1倍含有されており、1−ヘキサデカノールからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、クエン酸が7.0重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、クエン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.0%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、クエン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、クエン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は8.9nmであり、配位子交換前の8.9nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子3.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ125μmのPENフイルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)に塗工し、窒素雰囲気中180℃で5時間乾燥して、塗工厚200nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率85.2%、ヘイズ1.9%、シート抵抗7,000Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例10
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、シュウ酸0.6g、メタノール50mlを仕込み、窒素雰囲気中60℃15時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にメタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が8.8倍含有されており、オレイルアルコールからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、シュウ酸が8.5重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、シュウ酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、シュウ酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は7.0nmであり、配位子交換前の7.1nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してシュウ酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚350nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率89.8%、ヘイズ1.2%、シート抵抗3,100Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例11
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、マロン酸0.7g、イソプロパノール50mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃12時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が9.0倍含有されており、オレイルアルコールからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、マロン酸が8.9重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、マロン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、2.0%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、マロン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、マロン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は7.0nmであり、配位子交換前の7.1nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してマロン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率91.5%、ヘイズ0.9%、シート抵抗3,500Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
実施例12
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、クエン酸1.3g、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃12時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.2倍含有されており、オレイルアルコールからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、クエン酸が9.2重量%配位したものであることが確認された。
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、クエン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、0.9%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、クエン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、クエン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は7.1nmであり、配位子交換前の7.1nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率90.5%、ヘイズ0.8%、シート抵抗2,200Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
比較例1
製造例1と同様の手法で、平均粒径13.3nmの、オレイルアミンを配位子として有するITO微粒子を製造した。得られた微粒子の一部を乾固して微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、オレイルアミンが4.5重量%配位したものであることが確認された。
次いで得られたオレイルアミンを配位子として有するITO微粒子に水を添加して、固形分濃度0.1重量%のITO微粒子分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、20.8%と高く、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したところ、ほぼ全量のITO微粒子が沈降した。すなわち、カルボン酸化合物ではなくオレイルアミンを配位子として有するITO微粒子は、水に対して十分な分散性を有していないといえる。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、オレイルアミンの配位したITO微粒子2.0重量%を含む分散液を得た。該分散液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚約600nmの塗工膜を得た。この塗工膜は、塗膜の基材への密着性が低く、光線透過率25.6%、ヘイズ59.9%以上、シート抵抗9.9×10Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していないものであった。
比較例2
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、オレイン酸1.4g、N,N−ジメチルホルムアミド30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃2時間加熱攪拌を実施した。
得られた溶液をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、ITO微粒子の沈殿物を得た。得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるオレイン酸が5.2倍と8倍未満であることから、得られたITO微粒子は、カルボン酸化合物が配位していないものであった。
また、得られた沈降微粒子に水を添加して、固形分濃度0.1重量%のITO微粒子分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、6.5%と高く、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したところ、一部のITO微粒子の沈降が確認されたことから、本ITO微粒子は水に対して十分に高い分散性を有していないものであった。
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、該ITO微粒子は非常に凝集の強いものであったが、ITO微粒子の平均粒子径は13.2nmであり、配位子交換前の13.3nmからほとんど変化していないことが確認された。
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む分散液を得た。該分散液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚約600nmの塗工膜を得た。この塗工膜は、塗膜の基材への密着性が低く、光線透過率30.8%、ヘイズ45.1%以上、シート抵抗6.8×10Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していないものであった。
Figure 0006136622
本発明の透明導電膜用水系塗工液は、特定のITO微粒子を含有するものであり、従来の有機溶媒分散系塗工液よりも低毒性、低環境負荷であることから、様々な用途への展開が期待される。また該塗工液を基材に塗工し200℃以下の乾燥で高い透明性と導電性を発現する透明導電膜が得られることから、プラスチックフイルム基材への応用が可能となり、産業に大きく貢献するものと考えられる。

Claims (6)

  1. 配位子としてシュウ酸またはマロン酸であるカルボン酸化合物を有し、該カルボン酸化合物が配位子全体の8/9以上(モル比)であるITO微粒子であって、透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径が3〜60nmであるITO微粒子を、0.1〜50重量%含有することを特徴とする、透明導電膜用水系塗工液。
  2. 配位子として有するカルボン酸化合物が、ITO微粒子全体の0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜用水系塗工液。
  3. 溶液ヘイズが5%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電膜用水系塗工液。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜用水系塗工液を基材上に塗工し、180〜200℃の温度で乾燥することにより得られることを特徴とする、透明導電膜。
  5. シート抵抗が10Ω/□以下であることを特徴とする請求項4に記載の透明導電膜。
  6. JIS K 7361−1に準拠し測定した光線透過率が80%以上、かつJIS K 7136に準拠し測定したヘイズが5%以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の透明導電膜。
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