JP5201436B2 - 熱硬化性水系透明導電性塗料と該塗料によって形成した塗膜 - Google Patents
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Description
〔1〕導電粉末の水分散液と水性の熱硬化性樹脂とを混合してなる分散剤を含まない水系透明導電性塗料であり、導電粉末として平均粒子径が10〜300nmのアンチモンドープ酸化スズ粉末、インジウムドープ酸化スズ粉末、アンチモンフリー酸化スズ粉末、またはリンドープ酸化スズ粉末を用い、水性の熱硬化性樹脂としてウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、またはシリコンアクリル樹脂を用い、
上記導電粉末の水分散液をミルで分散処理してさらに遠心分離することによって、
分散後の導電粉末の累積重量50%粒子径(D50)が50〜80nmであって、
分散前の導電粉末の平均一次粒子径(DT50)と分散後のD50との比〔D50/DT50〕が2.5〜8.0になるように、または、
分散前の導電粉末のBET比表面積(B0)と分散後のBET比表面積(B1)の比〔B0/B1〕が0.64〜0.68になるように、
これらの範囲を外れる粗粒を分離して〔D50/DT50〕2.5〜8.0または〔B0/B1〕0.64〜0.68にした導電粉末水分散液を用いることを特徴とする水系透明導電性塗料。
〔2〕ポリエステルフィルム(厚み100μm、ヘーズ2.0%、全光透過率90%)を基材とし、該基材の表面に塗布し、10分間自然乾燥した後にさらに70℃で10分間加熱乾燥して膜厚5μmの塗膜を形成したときに、塗膜の比全光透過率が90%以上であって、基材を含むヘーズ値が3.0%以下である上記[1]に記載する水系透明導電性塗料。
〔3〕請求項2に記載する塗膜を形成したときに、該塗膜についてJIS K5400に規定するクロスカット試験の残存率が80%以上である上記[1]〜上記[2]の何れかに記載する水系透明導電性塗料。
〔4〕上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する水系透明導電性塗料によって形成された透明導電性塗膜。
〔5〕上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する水系透明導電性塗料を用い、ポリエステルフィルム(ヘーズ2.0%、全光透過率90%)を基材とし、該基材の表面に塗布し、10分間自然乾燥した後にさらに70℃で10分間加熱乾燥して形成された塗膜であって、膜厚5μmにおいて、塗膜の比全光透過率が90%以上、基材を含むヘーズ値が3.0%以下であり、JIS K5400に規定するクロスカット試験の残存率が80%以上である透明導電性塗膜。
本発明の導電性塗料は、導電粉末の水分散液と水性の熱硬化性樹脂とを混合してなる分散剤を含まない水系透明導電性塗料であり、導電粉末として平均粒子径が10〜300nmのアンチモンドープ酸化スズ粉末、インジウムドープ酸化スズ粉末、アンチモンフリー酸化スズ粉末、またはリンドープ酸化スズ粉末を用い、水性の熱硬化性樹脂としてウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、またはシリコンアクリル樹脂を用い、
上記導電粉末の水分散液をミルで分散処理してさらに遠心分離することによって、
分散後の導電粉末の累積重量50%粒子径(D50)が50〜80nmであって、
分散前の導電粉末の平均一次粒子径(DT50)と分散後のD50との比〔D50/DT50〕が2.5〜8.0になるように、または、
分散前の導電粉末のBET比表面積(B0)と分散後のBET比表面積(B1)の比〔B0/B1〕が0.64〜0.68になるように、
これらの範囲を外れる粗粒を分離して〔D50/DT50〕2.5〜8.0または〔B0/B1〕0.64〜0.68にした導電粉末水分散液を用いることを特徴とする水系透明導電性塗料である。
導電性粉末としてATO粉末(比表面積75m2/g、商品名T−1)を用い、これを水に懸濁させてpHを7に調整し、ビーズミルで分散処理した後、遠心分離して粗粒をカットし、メジアン径(累積重量が50%となる粒子径:D50)50nm、粒子径比〔D50/DT50〕2.5、BET比0.65の導電粉末水分散液を調製した。この分散液の溶媒を乾燥して得た粉末の比表面積を測定すると120m2/gであった。この水分散液を固形分濃度17.7%に希釈した。この分散液100gと水系熱硬化型樹脂として熱硬化型ウレタン樹脂水溶液(ディスパージョンタイプ)33.4gを混合して水系透明導電性塗料を調製した。この塗料のD50は60nm、粒子径比〔D50/DT50〕3.0であった。塗料中の導電性粉末/熱硬化型樹脂バインダー比は70/30である。この塗料を用いてポリエステルフィルム表面に塗膜(膜厚5μm)を形成した。この塗膜について、表面抵抗、ヘーズ、全光透過率、クロスカット試験(JIS K5400)による密着性を測定した。結果を表1に示す(試料A1)。
上記試料A1と同様のATO粉末を用い、この粉末と樹脂の量比を表1に示すように調整した以外は実施例1と同様にして水系透明導電性塗料を調製した。この塗料のD50および粒子径比〔D50/DT50〕を表1に示す。この塗料を用いて塗膜(膜厚5μm)を形成した。この塗膜について実施例1と同様の測定を行なった。結果を表1に示す(試料A2、A3、B1)。
導電粉末として、アンチモンフリー酸化スズ粉末(商品名S-2000)と、リンドープ酸化スズ粉末(株式会社ジェムコ社製品:NPTO)を用いること以外は実施例1と同様にして水系透明導電性塗料を調製した。この塗料のD50および粒子径比〔D50/DT50〕を表1に示す。この塗料を用いて塗膜(膜厚5μm)を形成した。この塗膜について実施例1と同様の測定を行なった。結果を表1に示す(試料A4、A5)。
導電性粉末としてITO粉末(比表面積45m2/g、商品名ITO)を用い、これを水に懸濁させてpHを5に調整し、ビーズミルで分散処理した後、遠心分離して粗粒をカットし、メジアン径(累積重量が50%となる粒子径:D50)80nm、分散後の粒子径比〔D50/DT50〕2.8、分散後のBET比0.64の導電粉末水分散液を調製した。この分散液の溶媒を乾燥して得た粉末の比表面積を測定すると70m2/gであった。この水分散液を固形分濃度17.7%に希釈した。このITO水分散液を用い、実施例1と同様にして水系導電性塗料を調製した。この塗料のD50および粒子径比〔D50/DT50〕を表1に示す。この塗料を用いて塗膜(膜厚5μm)を形成した。この塗膜について実施例1と同様の測定を行なった。結果を表1に示す(試料A6)。
水系熱硬化型樹脂として、アクリルウレタン系熱硬化型樹脂水溶液(エマルジョンタイプ)とシリコンアクリル系熱硬化型樹脂水溶液(エマルジョンタイプ)を用いること以外は実施例1と同様にして水系透明導電性塗料を調製この塗料のD50および粒子径比〔D50/DT50〕を表1に示す。この塗料を用いて塗膜(膜厚5μm)を形成した。この塗膜について実施例1と同様の測定を行なった。結果を表1に示す(試料B2、B3)。
実施例1と同様にしてATO濃度17.7%の水分散液を調製した。このATO水分散液100gと、40重量%水溶性UV硬化型樹脂水溶液(エマルジョンタイプ)43.2g、および光重合開始剤0.34gを混合して、水系透明導電性塗料を調製した(塗料中の導電粉末/UV硬化型樹脂比は50/50)。この塗料中の導電粉末のD50は65nm、粒子径比〔D50/DT50〕は3.3であった。この塗料を用い、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム表面に塗布した後に10分間自然乾燥を行い、さらに70℃で1分間乾燥させた後、紫外線を照射して樹脂を硬化させて塗膜(膜厚5μm)を形成した。この塗膜について実施例1と同様の測定を行なった。結果を表1に示す(試料C1)。
水系熱硬化型樹脂として、ポリウレタン・シリカハイブリッド系熱硬化型樹脂水溶液(ディスパージョンタイプ)と、アクリル系熱硬化型樹脂水溶液(エマルジョンタイプ)とをおのおの用いた以外は比較例1と同様にして水系透明導電性塗料を調製し、塗膜(膜厚5μm)を形成した。この塗膜について比較例1と同様の測定行なった。結果を表1に示す(試料C2、C3)。試料C2のポリウレタン・シリカハイブリッド系樹脂は含有されているシリカが基材のPETに対して馴染みが悪いために密着性が低く、クロスカット試験が良くない。一方、試料C3のアクリル系熱硬化型樹脂を用いた塗料は、一般にアクリル樹脂がPETに対して非常に濡れ性が悪いため、この塗料C3もクロスカット試験が良くない。
表1に示すATO粉末を用い、分散溶媒を用いずにイソプロピルアルコールに分散させ、粉末濃度30%の有機系分散液を調製した。この分散液100gを光重合開始剤と共にUV硬化型樹脂と混合し、導電粉末/UV硬化型樹脂の量比50/50の有機系塗料を調製した。この塗料をPET表面に塗布した後にUV照射して塗膜(膜厚5μm)を形成し、その特性を測定した。結果を表1に示す(試料C4)。
Claims (5)
- 導電粉末の水分散液と水性の熱硬化性樹脂とを混合してなる分散剤を含まない水系透明導電性塗料であり、導電粉末として平均粒子径が10〜300nmのアンチモンドープ酸化スズ粉末、インジウムドープ酸化スズ粉末、アンチモンフリー酸化スズ粉末、またはリンドープ酸化スズ粉末を用い、水性の熱硬化性樹脂としてウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、またはシリコンアクリル樹脂を用い、
上記導電粉末の水分散液をミルで分散処理してさらに遠心分離することによって、
分散後の導電粉末の累積重量50%粒子径(D50)が50〜80nmであって、
分散前の導電粉末の平均一次粒子径(DT50)と分散後のD50との比〔D50/DT50〕が2.5〜8.0になるように、または、
分散前の導電粉末のBET比表面積(B0)と分散後のBET比表面積(B1)の比〔B0/B1〕が0.64〜0.68になるように、
これらの範囲を外れる粗粒を分離して〔D50/DT50〕2.5〜8.0または〔B0/B1〕0.64〜0.68にした導電粉末水分散液を用いることを特徴とする水系透明導電性塗料。 - ポリエステルフィルム(厚み100μm、ヘーズ2.0%、全光透過率90%)を基材とし、該基材の表面に塗布し、10分間自然乾燥した後にさらに70℃で10分間加熱乾燥して膜厚5μmの塗膜を形成したときに、塗膜の比全光透過率が90%以上であって、基材を含むヘーズ値が3.0%以下である請求項1に記載する水系透明導電性塗料。
- 請求項2に記載する塗膜を形成したときに、該塗膜についてJIS K5400に規定するクロスカット試験の残存率が80%以上である請求項1〜請求項2の何れかに記載する水系透明導電性塗料。
- 請求項1〜請求項3の何れかに記載する水系透明導電性塗料によって形成された透明導電性塗膜。
- 請求項1〜請求項3の何れかに記載する水系透明導電性塗料を用い、ポリエステルフィルム(ヘーズ2.0%、全光透過率90%)を基材とし、該基材の表面に塗布し、10分間自然乾燥した後にさらに70℃で10分間加熱乾燥して形成された塗膜であって、膜厚5μmにおいて、塗膜の比全光透過率が90%以上、基材を含むヘーズ値が3.0%以下であり、JIS K5400に規定するクロスカット試験の残存率が80%以上である透明導電性塗膜。
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