JP2010146878A - 導電性酸化亜鉛微粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インジウムなどの高価な金属を用いなくとも、電導性に優れ、かつ水やアルコールなどの溶媒に対する分散性が良好な導電性微粒子及びその導電性微粒子を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛とハロゲン元素とを含有する導電性微粒子であって、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が0.005S/cm以上であることを特徴とする導電性酸化亜鉛微粒子及びその製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】酸化亜鉛とハロゲン元素とを含有する導電性微粒子であって、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が0.005S/cm以上であることを特徴とする導電性酸化亜鉛微粒子及びその製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、導電性塗料、熱線反射塗料などの塗料、着色材、帯電防止材、静電気防止材、電磁波シールド材などの機能性材料の添加剤などとして用いられる分散性が良好な導電性酸化亜鉛微粒子及びその製造方法に関するものである。
近年、電子材料、触媒、医薬・化粧品などの幅広い分野でナノオーダーの微粒子を製造する技術へのニーズが高まっている。特にITO(錫ドープ酸化インジウム)を主成分とする導電性酸化物微粒子は、その高導電性である特徴を利用し、透明導電性膜への利用が盛んになっている。
この導電性酸化物微粒子を透明導電性皮膜とする方法としては、例えば、一次粒子径約0.2μm以下の導電性酸化物微粒子の粉末を、溶媒とバインダー樹脂とからなる溶液中に分散させ、これを、ガラスやプラスチックなどの基材に塗布、印刷、浸漬、スピンコートあるいは噴霧などの手段で塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
こうして作製した透明導電膜は、ガラスやプラスチックなどの帯電防止やほこりの付着防止に有効であり、例えば、ディスプレイや計測器の窓ガラスの帯電防止やほこりの付着防止に利用されている。
さらに、導電性酸化物微粒子は、ICパッケージ回路、クリーンルーム内装材、塗布型透明電極あるいは赤外線遮蔽材料などの用途に利用されはじめてきている。
この導電性酸化物微粒子を透明導電性皮膜とする方法としては、例えば、一次粒子径約0.2μm以下の導電性酸化物微粒子の粉末を、溶媒とバインダー樹脂とからなる溶液中に分散させ、これを、ガラスやプラスチックなどの基材に塗布、印刷、浸漬、スピンコートあるいは噴霧などの手段で塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
こうして作製した透明導電膜は、ガラスやプラスチックなどの帯電防止やほこりの付着防止に有効であり、例えば、ディスプレイや計測器の窓ガラスの帯電防止やほこりの付着防止に利用されている。
さらに、導電性酸化物微粒子は、ICパッケージ回路、クリーンルーム内装材、塗布型透明電極あるいは赤外線遮蔽材料などの用途に利用されはじめてきている。
しかしながらITO微粒子は主原料のInが希少金属であり、高価なことから代替材料が求められている。その代表として酸化亜鉛は従来から検討されてきているが、微粒子としてはITOほどの高い導電性を得ることが困難であり代替できないでいる。
例えば特許文献1には、ZnOに導電性を付与する方法としてアルミニウム、ガリウム又はインジウム元素を水溶性亜鉛塩と混合し、焼成する方法が開示されている。また、特許文献2には、酸化亜鉛、水溶性アルミニウム化合物、炭酸アンモニウム、さらには珪酸塩微粉末などの四種成分を水分散液から共沈させ、ろ過乾燥して600℃以下の温度で加熱処理する方法が開示されている。
しかし、いずれの方法においても、酸化亜鉛単独では導電性が高くならないため、高価なインジウムやガリウムなどの3価の金属元素を添加しており、コストが掛かるという問題点がある。さらに、安定した導電性を得るために、これらの金属元素を水溶液に溶けるような化合物形態にしたり、水溶液から共沈殿させたりなど行われており、製造プロセスが複雑かつ高コストとなる問題点もある。
例えば特許文献1には、ZnOに導電性を付与する方法としてアルミニウム、ガリウム又はインジウム元素を水溶性亜鉛塩と混合し、焼成する方法が開示されている。また、特許文献2には、酸化亜鉛、水溶性アルミニウム化合物、炭酸アンモニウム、さらには珪酸塩微粉末などの四種成分を水分散液から共沈させ、ろ過乾燥して600℃以下の温度で加熱処理する方法が開示されている。
しかし、いずれの方法においても、酸化亜鉛単独では導電性が高くならないため、高価なインジウムやガリウムなどの3価の金属元素を添加しており、コストが掛かるという問題点がある。さらに、安定した導電性を得るために、これらの金属元素を水溶液に溶けるような化合物形態にしたり、水溶液から共沈殿させたりなど行われており、製造プロセスが複雑かつ高コストとなる問題点もある。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、インジウムなどの高価な金属を用いなくとも、電導性に優れ、かつ水やアルコール、ケトンなどの有機溶媒に対する分散性が良好な導電性微粒子及びその導電性微粒子を効率よく製造する方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、酸化亜鉛とハロゲン元素とを特定の割合で含有する導電性微粒子により上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の1〜5を提供する。
すなわち、本発明は、下記の1〜5を提供する。
1.酸化亜鉛とハロゲン元素とを含有する導電性微粒子であって、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が0.005S/cm以上であることを特徴とする導電性酸化亜鉛微粒子。
2.ゼータ電位が+20mV以上であることを特徴とする上記1に記載の導電性酸化亜鉛微粒子。
3.上記1又は2に記載の導電性酸化亜鉛微粒子を溶媒中に分散させてなることを特徴とする分散液。
4.酸化亜鉛粉末とハロゲン化アンモニウムとを、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05となるように混合して混合物とし、得られた混合物を不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下に200〜600℃未満にて加熱することを特徴とする導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法。
5.ハロゲン化アンモニウムが、臭化アンモニウム及び/又は塩化アンモニウムである上記4に記載の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法。
2.ゼータ電位が+20mV以上であることを特徴とする上記1に記載の導電性酸化亜鉛微粒子。
3.上記1又は2に記載の導電性酸化亜鉛微粒子を溶媒中に分散させてなることを特徴とする分散液。
4.酸化亜鉛粉末とハロゲン化アンモニウムとを、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05となるように混合して混合物とし、得られた混合物を不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下に200〜600℃未満にて加熱することを特徴とする導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法。
5.ハロゲン化アンモニウムが、臭化アンモニウム及び/又は塩化アンモニウムである上記4に記載の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法。
本発明によれば、インジウムなどの高価な金属を用いなくとも、電導性に優れ、かつ水やアルコール、ケトンなどの有機溶媒に対する分散性が良好である導電性酸化亜鉛微粒子を安価に製造することができる。さらに、加熱処理するという簡便な方法で効率よく導電性酸化亜鉛微粒子を製造することができる。
[導電性酸化亜鉛微粒子]
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子(以下、単に導電性微粒子ともいう。)には、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05となるように酸化亜鉛とハロゲン元素とが含まれており、該導電性酸化亜鉛微粒子の電気伝導度は、9.81MPaの加圧時において0.005S/cm以上である。
上記原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001未満であると、導電性微粒子の導電性及び分散性を向上させる効果を十分に発揮することができない。一方、分散性向上の効果は飽和する傾向にあるため、原子数の比が0.05超であっても、さらに分散性が向上することは期待できず、導電性においてはむしろ低下してしまう。好ましい原子数の比は、0.001〜0.03であり、より好ましくは0.002〜0.02である。
なお、亜鉛及びハロゲン元素の原子数は、蛍光X線分析などの公知の手段を用いて計測することができる。また、ハロゲン元素(X)の原子数とは、導電性微粒子に含まれるフッ素、塩素、臭素及びヨウ素の少なくとも1種のハロゲン元素の合計原子数をいう。
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子(以下、単に導電性微粒子ともいう。)には、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05となるように酸化亜鉛とハロゲン元素とが含まれており、該導電性酸化亜鉛微粒子の電気伝導度は、9.81MPaの加圧時において0.005S/cm以上である。
上記原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001未満であると、導電性微粒子の導電性及び分散性を向上させる効果を十分に発揮することができない。一方、分散性向上の効果は飽和する傾向にあるため、原子数の比が0.05超であっても、さらに分散性が向上することは期待できず、導電性においてはむしろ低下してしまう。好ましい原子数の比は、0.001〜0.03であり、より好ましくは0.002〜0.02である。
なお、亜鉛及びハロゲン元素の原子数は、蛍光X線分析などの公知の手段を用いて計測することができる。また、ハロゲン元素(X)の原子数とは、導電性微粒子に含まれるフッ素、塩素、臭素及びヨウ素の少なくとも1種のハロゲン元素の合計原子数をいう。
電気伝導度は高い方が好ましいが、9.81MPaの加圧時において0.005S/cm以上であれば、導電性微粒子としての機能を十分発現することができる。
また、本発明の導電性酸化亜鉛微粒子は、ゼータ電位が+20mV以上であることが好ましい。
ゼータ電位は、導電性微粒子の分散性の指標となるものであり、+20mV以上とすることにより、導電性微粒子を分散性が良く、凝集しにくい粒子とすることができる。なお、ゼータ電位の上限は特に制限がないが、通常+50mV程度である。
導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径は、導電性酸化亜鉛微粒子を含有する分散液やペーストとして用いる観点から、1〜10000nmとすることが好ましく、凝集の防止及び生産性の観点から、10〜1000nmがより好ましい。
また、本発明の導電性酸化亜鉛微粒子は、ゼータ電位が+20mV以上であることが好ましい。
ゼータ電位は、導電性微粒子の分散性の指標となるものであり、+20mV以上とすることにより、導電性微粒子を分散性が良く、凝集しにくい粒子とすることができる。なお、ゼータ電位の上限は特に制限がないが、通常+50mV程度である。
導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径は、導電性酸化亜鉛微粒子を含有する分散液やペーストとして用いる観点から、1〜10000nmとすることが好ましく、凝集の防止及び生産性の観点から、10〜1000nmがより好ましい。
[導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法]
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法は、酸化亜鉛粉末とハロゲン化アンモニウムとを、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05となるように混合して混合物とし、得られた混合物を不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下に200〜600℃未満にて加熱するものである。
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法は、酸化亜鉛粉末とハロゲン化アンモニウムとを、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05となるように混合して混合物とし、得られた混合物を不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下に200〜600℃未満にて加熱するものである。
(混合物)
酸化亜鉛粉末とハロゲン化アンモニウムとの混合物は、原子数の比が前記の範囲となるように、ハロゲン化アンモニウムを溶液にして酸化亜鉛に添加することで得ることができる。また、得られた混合物を遊星ボールミルなどの適当な粉砕機により、粉砕しながら十分混合することで、平均粒子径が1〜1000nmの混合粉体とすることが好ましい。
酸化亜鉛粉末とハロゲン化アンモニウムとの混合物は、原子数の比が前記の範囲となるように、ハロゲン化アンモニウムを溶液にして酸化亜鉛に添加することで得ることができる。また、得られた混合物を遊星ボールミルなどの適当な粉砕機により、粉砕しながら十分混合することで、平均粒子径が1〜1000nmの混合粉体とすることが好ましい。
酸化亜鉛粉末は、純度99.0%以上のものが好ましく、その平均粒子径は1〜100nmのものが好ましい。酸化亜鉛粉末は、ハロゲン化アンモニウム含有溶液を添加する前に、予め粉砕しておいてもよい。
ハロゲン化アンモニウムは、溶媒に溶解するものであればよく、具体例としては、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム及びヨウ化アンモニウムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。取り扱いの容易さ及び価格の点で、臭化アンモニウム及び塩化アンモニウムが好ましい。
ハロゲン化アンモニウムを溶解させる溶媒としては、例えば、水、アセトン及びアルコールなどを用いることができ、溶媒に対するハロゲン化アンモニウムの割合は、通常、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましい。
ハロゲン化アンモニウムを溶媒に溶解させて溶液とするのは、酸化亜鉛粉末の表面に均一にハロゲン元素を付着させ、その後の加熱処理により、導電性微粒子の表面にハロゲン元素を含有させるようにすることが容易だからである。
ハロゲン化アンモニウムは、溶媒に溶解するものであればよく、具体例としては、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム及びヨウ化アンモニウムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。取り扱いの容易さ及び価格の点で、臭化アンモニウム及び塩化アンモニウムが好ましい。
ハロゲン化アンモニウムを溶解させる溶媒としては、例えば、水、アセトン及びアルコールなどを用いることができ、溶媒に対するハロゲン化アンモニウムの割合は、通常、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましい。
ハロゲン化アンモニウムを溶媒に溶解させて溶液とするのは、酸化亜鉛粉末の表面に均一にハロゲン元素を付着させ、その後の加熱処理により、導電性微粒子の表面にハロゲン元素を含有させるようにすることが容易だからである。
(加熱処理)
次に、得られた混合物を不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下、200〜600℃未満にて加熱処理する。加熱処理手段は、通常の電気炉やマイクロ波加熱炉などを用いて行うことができる。
加熱処理における、加熱雰囲気、加熱温度及び加熱時間などの加熱処理条件については、下記の条件により処理することが好ましい。
〈加熱雰囲気〉
不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下で行う。
窒素などの不活性ガスに加え、さらに水素ガスを添加することは、反応が促進され、より高い電気伝導度の導電性微粒子が得られるので好ましい。好ましい水素ガスの添加量は全体のガスに対して、0.5〜5体積%程度である。水素ガスの添加量が上記範囲内であれば、反応促進や電気伝導度の改善に効果的であり、安全上においても問題が生じることがない。
また、加熱雰囲気として、大気中でもよいが、より高い導電性を得るためには、低酸素雰囲気が好ましく、酸素濃度は好ましくは1体積%以下であり、より好ましくは0.1体積%以下である。
次に、得られた混合物を不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下、200〜600℃未満にて加熱処理する。加熱処理手段は、通常の電気炉やマイクロ波加熱炉などを用いて行うことができる。
加熱処理における、加熱雰囲気、加熱温度及び加熱時間などの加熱処理条件については、下記の条件により処理することが好ましい。
〈加熱雰囲気〉
不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下で行う。
窒素などの不活性ガスに加え、さらに水素ガスを添加することは、反応が促進され、より高い電気伝導度の導電性微粒子が得られるので好ましい。好ましい水素ガスの添加量は全体のガスに対して、0.5〜5体積%程度である。水素ガスの添加量が上記範囲内であれば、反応促進や電気伝導度の改善に効果的であり、安全上においても問題が生じることがない。
また、加熱雰囲気として、大気中でもよいが、より高い導電性を得るためには、低酸素雰囲気が好ましく、酸素濃度は好ましくは1体積%以下であり、より好ましくは0.1体積%以下である。
〈加熱温度〉
200℃以上であり、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上である。
この加熱温度が高すぎると、ハロゲン元素を加えた場合に、加熱によりハロゲン元素の脱離が生じるだけでなく、粒成長が著しくなることがあるので、上限は600℃未満であり、500℃以下にすることが好ましい。
〈加熱時間〉
通常1〜120分程度であり、好ましくは5〜90分、より好ましくは10〜60分である。
加熱時間が長くなると、微粒子が成長する傾向にあるが、加熱温度の影響ほどは微粒子
の成長に影響しない。
200℃以上であり、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上である。
この加熱温度が高すぎると、ハロゲン元素を加えた場合に、加熱によりハロゲン元素の脱離が生じるだけでなく、粒成長が著しくなることがあるので、上限は600℃未満であり、500℃以下にすることが好ましい。
〈加熱時間〉
通常1〜120分程度であり、好ましくは5〜90分、より好ましくは10〜60分である。
加熱時間が長くなると、微粒子が成長する傾向にあるが、加熱温度の影響ほどは微粒子
の成長に影響しない。
[導電性酸化亜鉛微粒子の用途]
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の用途としては、例えば、溶媒中に分散させてなる分散液が挙げられる。
溶媒としては、本発明の導電性微粒子を分散させることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、水や有機溶媒を用いることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサンなどのケトン類、トルエン及びキシレンなどの芳香族溶媒などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
さらに、必要に応じて、スルホン酸アミド系、ε−カプトラクトン系、ハイドロステアリン酸系、ポリカルボン酸系及びポリエステル系などの分散剤を使用することも可能である。
この分散液は、そのまま塗料として使用することができる。また、さらに、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、ポリエーテル樹脂及びフェノール樹脂などの塗膜形成成分を加えて分散液としたものを塗料として使用することもできる。
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の用途としては、例えば、溶媒中に分散させてなる分散液が挙げられる。
溶媒としては、本発明の導電性微粒子を分散させることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、水や有機溶媒を用いることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサンなどのケトン類、トルエン及びキシレンなどの芳香族溶媒などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
さらに、必要に応じて、スルホン酸アミド系、ε−カプトラクトン系、ハイドロステアリン酸系、ポリカルボン酸系及びポリエステル系などの分散剤を使用することも可能である。
この分散液は、そのまま塗料として使用することができる。また、さらに、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、ポリエーテル樹脂及びフェノール樹脂などの塗膜形成成分を加えて分散液としたものを塗料として使用することもできる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらによって、制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例における、物性測定方法は次のとおりである。
〔原子数の比〕
原子数の比[X/(Zn+X)]は、蛍光X線(型式:ZSX101e、(株)リガク製)を用いて求めた。
〔平均粒子径〕
平均粒子径は、BET法(一点法)による比表面積(m2/g)から測定した。
〔電気伝導度〕
電気伝導度は、粉体抵抗システム((株)ダイアインスツルメント製)を用い、加圧しながら測定し、圧力−電気伝導度のグラフから9.81MPaにおける電気伝導度を測定した。
〔ゼータ電位〕
ゼータ電位は、試料0.02gを入れたサンプル瓶に、10cm3のイオン交換水を入れ、10分間超音波洗浄機にて分散させた後、シメックス(株)製ゼータサイザーナノシリーズを用いて測定した。
〔原子数の比〕
原子数の比[X/(Zn+X)]は、蛍光X線(型式:ZSX101e、(株)リガク製)を用いて求めた。
〔平均粒子径〕
平均粒子径は、BET法(一点法)による比表面積(m2/g)から測定した。
〔電気伝導度〕
電気伝導度は、粉体抵抗システム((株)ダイアインスツルメント製)を用い、加圧しながら測定し、圧力−電気伝導度のグラフから9.81MPaにおける電気伝導度を測定した。
〔ゼータ電位〕
ゼータ電位は、試料0.02gを入れたサンプル瓶に、10cm3のイオン交換水を入れ、10分間超音波洗浄機にて分散させた後、シメックス(株)製ゼータサイザーナノシリーズを用いて測定した。
[実施例1]
原料の純度99.8%の酸化亜鉛粉末(ハクスイテック(株)製、第一種)100g(1.228モル)及び炭酸アンモニウム4gを溶解させた水溶液20gをメノウ乳鉢に添加して、原料粉末を混合した。
その後、さらに混合、粉砕をするために、遊星ボールミルで6時間混合、粉砕した後にいったん遊星ボールミルの回転を止め、臭化アンモニウム1.5g(0.0123モル)を溶解させた水溶液20gを追加し、さらに1時間混合を続け、混合粉体を得た。
次に、得られた混合粉体を90℃で3時間乾燥させ、乾燥後、この混合粉体をアルミナボートに入れ、このアルミナボートを管状炉の中に挿入し、処理雰囲気として、水素含有窒素ガスとするために、水素2体積%を混合した窒素ガスを0.5リットル/分の流量で流した。そして、加熱温度を400℃、加熱時間を30分とするために、室温から400℃まで約20分間かけて昇温し、400℃で30分間保持し、その後加熱を止め、アルミナボートを取り出して急冷し、白色の粉体を得た。
原料の純度99.8%の酸化亜鉛粉末(ハクスイテック(株)製、第一種)100g(1.228モル)及び炭酸アンモニウム4gを溶解させた水溶液20gをメノウ乳鉢に添加して、原料粉末を混合した。
その後、さらに混合、粉砕をするために、遊星ボールミルで6時間混合、粉砕した後にいったん遊星ボールミルの回転を止め、臭化アンモニウム1.5g(0.0123モル)を溶解させた水溶液20gを追加し、さらに1時間混合を続け、混合粉体を得た。
次に、得られた混合粉体を90℃で3時間乾燥させ、乾燥後、この混合粉体をアルミナボートに入れ、このアルミナボートを管状炉の中に挿入し、処理雰囲気として、水素含有窒素ガスとするために、水素2体積%を混合した窒素ガスを0.5リットル/分の流量で流した。そして、加熱温度を400℃、加熱時間を30分とするために、室温から400℃まで約20分間かけて昇温し、400℃で30分間保持し、その後加熱を止め、アルミナボートを取り出して急冷し、白色の粉体を得た。
[実施例2]
臭化アンモニウムの量を0.5gとした以外は、実施例1と同様の条件で実施し、白色の粉体を得た。
[実施例3]
ハロゲン化アンモニウムとして塩化アンモニウム0.8gとした以外は、実施例1と同様の条件で実施し、白色の粉体を得た。
[実施例4]
臭化アンモニウムの量を3.0gとした以外は、実施例1と同様の条件で実施し、白色の粉体を得た。
[比較例1]
ハロゲン化アンモニウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で実施し、白色の粉体を得た。
臭化アンモニウムの量を0.5gとした以外は、実施例1と同様の条件で実施し、白色の粉体を得た。
[実施例3]
ハロゲン化アンモニウムとして塩化アンモニウム0.8gとした以外は、実施例1と同様の条件で実施し、白色の粉体を得た。
[実施例4]
臭化アンモニウムの量を3.0gとした以外は、実施例1と同様の条件で実施し、白色の粉体を得た。
[比較例1]
ハロゲン化アンモニウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で実施し、白色の粉体を得た。
上記実施例及び比較例において用いたハロゲン化アンモニウム及びその配合量、加熱処理雰囲気、加熱温度、加熱時間、得られた白色の粉体の物性を測定した結果を表1に示す。
表1から、実施例1〜4で得られた導電性酸化亜鉛微粒子は、良好な電気伝導度を示し、優れたゼータ電位を示すことから分散性が良好であることがわかる。一方、ハロゲン化アンモニウムを添加しなかった比較例1で得られた導電性酸化亜鉛微粒子は、電気伝導度が2.6×10-7S/cmと非常に低くかつ粒径も大きくなっていた。
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子は、電導性に優れ、溶媒に対する分散性が良好であり、安価に効率よく製造することができるので、導電性塗料、熱線反射塗料などの塗料、着色材、帯電防止材、静電気防止材、電磁波シールド材などの機能性材料の添加剤などとして好適に用いられる。
Claims (5)
- 酸化亜鉛とハロゲン元素とを含有する導電性微粒子であって、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が0.005S/cm以上であることを特徴とする導電性酸化亜鉛微粒子。
- ゼータ電位が+20mV以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化亜鉛微粒子。
- 請求項1又は2に記載の導電性酸化亜鉛微粒子を溶媒中に分散させてなることを特徴とする分散液。
- 酸化亜鉛粉末とハロゲン化アンモニウムとを、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05となるように混合して混合物とし、得られた混合物を不活性ガス又は不活性ガスと水素ガスの存在下に200〜600℃未満にて加熱することを特徴とする導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法。
- ハロゲン化アンモニウムが、臭化アンモニウム及び/又は塩化アンモニウムである請求項4に記載の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法。
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JP2017043505A (ja) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | 住友金属鉱山株式会社 | 紫外線遮蔽材料微粒子の製造方法、紫外線遮蔽材料微粒子を用いた紫外線遮蔽材料微粒子分散体、並びに紫外線遮蔽体 |
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