JP3230367B2 - 導電膜形成用組成物 - Google Patents

導電膜形成用組成物

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JP3230367B2
JP3230367B2 JP03555094A JP3555094A JP3230367B2 JP 3230367 B2 JP3230367 B2 JP 3230367B2 JP 03555094 A JP03555094 A JP 03555094A JP 3555094 A JP3555094 A JP 3555094A JP 3230367 B2 JP3230367 B2 JP 3230367B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真記録、透明電
極、帯電防止、熱線反射、面発熱体、タッチパネル等の
分野において利用可能な導電膜形成用組成物に関する。
本発明の組成物は、絶縁体上に塗布あるいは印刷するこ
とにより、透明性と導電性に優れた膜を形成することが
できる。
【0002】
【従来の技術】酸化物半導体透明膜は、一般に可視光に
対して高い透過率を示し、低抵抗で、膜強度が強いため
に、液晶ディスプレイなどの透明電極や太陽電池の窓材
料、熱線反射膜、帯電防止膜など多方面に利用されてい
る。このような酸化物半導体の代表例に、錫を含有する
酸化インジウム (以下、ITOという) がある。
【0003】従来の透明導電膜の形成方法は、絶縁体上
に金属または無機物 (特にITOまたは類似の半導体性
金属酸化物) を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ
ーティングなどの気相法により堆積させる方法、ITO
を樹脂液中に分散させた分散液を塗料またはインクとし
て塗布または印刷する方法等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】蒸着やスパッタリング
法などの気相法は、従来より最も広く用いられている透
明導電膜形成方法であるが、蒸着やスパッタリング時に
生じる異常放電によりターゲットが劣化したり、基板へ
の塗着率が低い(ITOの有効利用効率が40〜55%) と
いう問題がある。また、成膜後にエッチング法により回
路を描く場合には、基板に付着したITOの大半が取り
除かれるという材料の無駄、さらには成膜装置の設備費
が高価であるという欠点もある。
【0005】一方、アクリル系樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂等の透明性に優れた樹脂の溶
液または分散液中に導電性微粒子を分散させて塗料 (ま
たはインク) 化し、これを基材に塗布し、樹脂を硬化さ
せて透明導電膜を形成する方法は、設備が簡単で生産性
に優れ、大面積の膜が容易に形成できる点では優れた方
法である。また、この方法はITO微粒子にも容易に適
用できる。しかし、従来のこの種の塗料は、樹脂成分を
溶解するのに有機溶媒を使用し、有機溶媒による作業環
境や自然環境への汚染が問題となる傾向がある。
【0006】本発明の目的は、作業環境や自然環境への
汚染が少なく、かつ低コストで、導電性と透明性のいず
れにも優れた導電膜を形成することができる、導電膜形
成用組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の水
性樹脂液中にITO粉末を分散させた塗料またはインク
型の導電膜形成用組成物において、樹脂として塩基性官
能基または酸性官能基を持つ樹脂を部分的に中和するこ
とによって、これらの官能基の一部を残した状態で樹脂
の水性化を図ることにより、ITO粉末の分散性が著し
く向上し、かつ分散安定性が保てる結果、透明性と導電
性の良好な膜が得られるという知見を得、本発明に到達
した。
【0008】ここに、本発明の要旨は、アミン価 0.5
〜80 mgHCl/g、中和当量が0.60〜0.99当量の範囲にある
樹脂の水性樹脂液、あるいは酸価 0.5〜120 mgKOH/g
、中和当量が0.60〜0.99当量の範囲にある樹脂の水性
樹脂液中に、ITO粉末が分散していることを特徴とす
る導電膜形成用組成物である。
【0009】ここで、水性樹脂液とは、樹脂中の酸性官
能基または塩基性官能基の一部を中和剤にて中和させた
樹脂の水溶液および水性エマルジョン (水性分散液を含
む)の両者を包含する意味であるが、特に樹脂の水溶液
が好ましい。水性樹脂液の媒質は、水のみからなること
が好ましいが、水性樹脂の溶解を補助する目的で、必要
に応じて水溶性有機溶媒を混合してもよい。水に混合し
うる水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール
等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエ
ーテル類、アセトン等のケトン類が挙げられる。
【0010】本発明の好適態様にあっては、ITO粉末
がInに対するSn含有量が1〜15モル%、平均一次粒子が
0.2 μm以下のものであり、ITO粉末/樹脂液中の樹
脂固形分の重量比が60/40〜90/10の範囲である。
【0011】本発明で用いるITO粉末は市販品を利用
してもよく、或いは公知の方法 (例えば、錫とインジウ
ムの各塩化物が溶解した酸性水溶液をアルカリで中和し
て、錫/インジウム水酸化物を共沈させ、この共沈物を
焼成する) で製造することもできる。ITO粉末は、(I
n+Sn) の合計量に対するSnの含有量が1〜15モル%の範
囲内のものが、導電性が高いことから好ましい。Sn含有
量がこの範囲を外れると、ITO粉末自体の抵抗が高く
なるため、膜の導電性が低下する傾向にある。また、I
TO粉末は平均一次粒子径0.2 μm以下の超微粒子であ
ることが好ましい。これは、ロード・レイリーの光の散
乱原理から、光の波長の1/2 程度の粒子径が最も光の散
乱が大きく、それ以下では粒子径の6乗に比例して散乱
が小さくなり、粒子径が0.2 μm以下では透明膜が得ら
れるが、それ以上になると透明性が低下する傾向にある
からである。しかし、透明性が重要でない用途に対して
は、平均一次粒子径が0.2 μmより大きいITO粉末も
使用できる。
【0012】本発明においては、このITO粉末を塗料
化するための樹脂成分として、部分中和することにより
水性樹脂液を形成できる、特定範囲の中和当量とアミン
価または酸価を有する有機樹脂を使用する。この樹脂成
分としては、水溶性樹脂または水分散性樹脂 (以下、両
者を総称して水性樹脂という) として知られる有機樹脂
であって、中和当量が0.60〜0.99当量でかつ 0.5〜80 m
gHCl/gのアミン価または 0.5〜120 mgKOH/g の酸価を有
する任意の樹脂を使用することができる。このような水
性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂、ポリエステルもしくはアルキド樹脂、アミ
ノ樹脂などにおいて、適当な酸性官能基(アニオン基)
または塩基性官能基 (カチオン基) を導入し、中和剤に
て部分的に中和して塩とすることにより水溶性または水
分散性を付与した樹脂が使用できる。
【0013】特に好ましい水性樹脂は、エポキシ樹脂お
よびアクリル樹脂である。本発明で用いるアミン価を有
する水性エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂、または
エポキシ樹脂とポリアルキレングリコールジグリシジル
エーテルとの混合物にビスフェノールAを反応させて変
性した変性エポキシ樹脂を原料とし、このエポキシ樹脂
または変性エポキシ樹脂中のエポキシ基にアミン化合物
を反応させ、こうして導入したアミン基の一部を酸で中
和して水溶化または水分散性化 (以下、両者を水性化と
総称する) した水性エポキシ樹脂がある。中和に用いる
酸が過剰になると、樹脂液中に遊離の酸が存在するよう
になり、これがITO粉末の表面に吸着して導電性の低
下を妨げる。逆に、中和に用いる酸が少なすぎると、水
性化が不十分となり、樹脂液の安定性が低下する。その
ため、中和当量が0.60〜0.99当量でかつ樹脂中
の中和されない残存のアミン官能基が、樹脂のアミン価
で 0.5〜80 mgHCl/g、好ましくは1〜50 mgHCl/gの範囲
内に相当する量で残存するように水性化 (酸による中
和) を行う。この残存した適量のアミン官能基がITO
粉末の分散性に寄与する。アミン価が0.5 mgHCl/g より
小さいと、残存するアミン官能基数が少な過ぎ、逆にア
ミン価が80 mgHCl/gより多いとアミン官能基数が多くな
り過ぎ、いずれの場合もITO粉末の分散性が不十分と
なって、透明性の高い膜を得ることが困難となる。
【0014】この水性エポキシ樹脂の調製において原料
として使用できるエポキシ樹脂としては、ビスフェノー
ルA型、ビスフェノールS型等のエポキシ樹脂があり、
具体例としては、エピコート801, 802, 807, 815, 819,
825, 827, 828, 834, 1001,1002 (以上、油化シェル
エポキシ社製商品) 、DER317, 324, 325, 330, 331J,33
7, 343, 361, 661, 662 (以上、ダウ・ケミカル社製商
品) 、エピクロン840,850, 855, 1050, 1055 (以上、
大日本インキ化学工業社製商品名) 、アラルダイトGY15
0, 260, 280, 255, 257, 6071, 707 (以上、チバ・ガイ
ギー社製商品)等の市販品が挙げられる。
【0015】変性エポキシ樹脂の調製に用いるポリアル
キレングリコールジグリシジルエーテルの例には、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピ
レングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレング
リコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコー
ルジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリ
シジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等が
ある。エポキシ樹脂をこのような化合物およびビスフェ
ノールAと反応させて変性することにより、連鎖内にポ
リオキシアルキレン鎖を導入すると、この部分が樹脂の
水溶化を助けるため、水性樹脂の安定性が高まる。従っ
て、原料としてエポキシ樹脂そのままより、上記の変性
エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
【0016】エポキシ樹脂または変性エポキシ樹脂中の
エポキシ基と反応させるアミン化合物としては、ジエタ
ノールアミン、ジプロパノールアミン、エチルエタノー
ルアミン等のアルカノールアミン類が好ましい。アミン
基の中和に用いる酸は、塩酸、燐酸等の無機酸、酢酸、
乳酸、ホスホン酸類等の有機酸のいずれでもよい。
【0017】本発明で用いる酸価を有する水性エポキシ
樹脂も、アミン価を有する水性エポキシ樹脂の調製と同
様にして調製することができる。即ち、上記のエポキシ
樹脂または変性エポキシ樹脂を原料とし、この原料中の
エポキシ基に二塩基酸 (ジカルボン酸) を反応させて、
酸性官能基であるカルボキシル基を導入し、次いでカル
ボキシル基の一部を塩基で中和して水性化することによ
り、酸価を有するエポキシ樹脂を得ることができる。原
料としては、やはり変性エポキシ樹脂の方が好ましい。
【0018】この場合にも、水性化のために反応させる
塩基が過剰になると、樹脂液中に遊離の塩基が存在する
ようになり、これがITO粉末の表面に吸着して、導電
性の低下を阻害する。逆に、塩基で中和された酸性官能
基が少なすぎると、水性樹脂の安定性が低下する。その
ため中和当量の0.60〜0.99当量でかつ樹脂中の中和され
ない残存の酸性官能基が、樹脂の酸価が 0.5〜120 mgKO
H/g 、好ましくは1〜90 mgKOH/gとなる量で残存するよ
うに水性化 (塩基による中和) を行う。この範囲を外れ
た場合、酸価が0.5 mgKOH/g より小さいと酸性官能基数
が少な過ぎ、逆に酸価が120 mgKOH/g より多いと酸性官
能基が多くなりすぎ、いずれの場合もITO粉末の分散
性が不十分となり、透明性の高い膜が得られにくい傾向
にある。
【0019】酸価を有する水性エポキシ樹脂の調製のた
めに原料エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応させる二塩
基酸としては、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、酒石
酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が使用できる。その後
の中和に用いる塩基としては、アンモニア、モノエチル
アミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、エチル
エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノー
ルアミン等のアミン類が挙げられる。
【0020】本発明で用いるアミン価を有する水性アク
リル樹脂としては、例えば、塩基性官能基 (例、アミノ
基) を有する (メタ) アクリレートモノマーと他のα,
β−エチレン性不飽和モノマーとを重合させることによ
り、塩基性官能基を含有するアクリル樹脂を生成させ、
この樹脂の塩基性官能基の一部を酸で中和して水性化す
ることにより得られる、カチオン型の水性アクリル樹脂
がある。水性エポキシ樹脂の場合と同様に、水溶化時に
加える酸が過剰になると、遊離の酸が樹脂液中に存在す
るようになり、ITO粉末表面に作用して導電性の低下
を妨げる。逆に、酸が少なすぎると、水性化が不十分で
水性樹脂液が不安定になる。そのため、中和当量が0.60
〜0.99当量でかつ樹脂中の中和されない残存の塩基性官
能基が、アミン価で 0.5〜80 mgHCl/g、好ましくは1〜
50 mgHCl/gの範囲内となる量で残存するように、酸によ
る中和 (水性化) を行う。この範囲を外れると、ITO
粉末の分散性が不十分となって、透明性の高い膜が得ら
れにくい傾向にある。
【0021】本発明で用いる酸価を有する水性アクリル
樹脂としては、例えば、酸性官能基(例、カルボキシル
基、スルホニル基、酸性燐酸基) を有する (メタ) アク
リレートモノマーと他のα, β−エチレン性不飽和モノ
マーとを重合させることにより、酸性官能基を含有する
アクリル樹脂を生成させ、この樹脂の酸性官能基の一部
を塩基で中和して水性化することにより得られる、アニ
オン型の水性アクリル樹脂がある。水性エポキシ樹脂の
場合と同様に、水溶化時に加える塩基が過剰になると、
遊離の塩基が樹脂液中に存在し、ITO粉末表面に作用
して導電性の低下を妨げ、塩基が少なすぎると水性樹脂
液が不安定になる。そのため、中和当量が0.60〜0.99当
量でかつ樹脂中の中和されない残存の酸性官能基が、樹
脂の酸価で 0.5〜120 mgKOH/g 、好ましくは1〜90 mgK
OH/gの範囲内となる量で残存するように塩基による中和
(水性化) を行う。この範囲を外れると、ITO粉末の
分散性が不十分となって、透明性の高い膜が得られにく
くなる傾向にある。
【0022】水性アクリル樹脂の製造に用いることので
きる前記モノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル
(メタ) アクリレート、ヒドロキシプロピル (メタ) ア
クリレート、ポリエチレングリコールモノ (メタ) アク
リレート、ポリプロピレングリコールモノ (メタ) アク
リレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリ
コールモノ (メタ) アクリレート、グリセロールモノ
(メタ) アクリレート、N-メチロールアクリルアミド、N
-エタノールアクリルアミド等のヒドロキシ基を含有す
る (メタ) アクリレートモノマー;ジメチルアミノエチ
ル (メタ) アクリレート、ジエチルアミノエチル (メ
タ) アクリレート、モノアリルアミン、グリシジル基含
有 (メタ) アクリレートとアミンとの反応生成物等の塩
基性官能基を含有するモノマー; (メタ) アクリル酸、
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2-スルホメチル
(メタ) アクリレート、2-スルホエチル (メタ) アクリ
レート、2-アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン
酸、モノ(2-(メタ) アクロイルオキシエチル) アシッド
ホスフェート、モノ(2-(メタ) アクリロイルポリオキシ
エチル) アシッドホスフェート等の酸性官能基を含有す
るモノマー;アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸ブチルなどのアルキル (メタ) アクリレー
ト;ダイアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノ
プロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミ
ド、スチレン、モルホリンアクリレート等が挙げられ
る。
【0023】アクリル樹脂の合成には、これらのモノマ
ーを通常は2種以上組合わせて使用する。本発明におい
ては、その際に、塩基性官能基を含有する1種もしくは
2種以上のモノマーか、或いは酸性官能基を含有する1
種もしくは2種以上のモノマーと他のα、βエチレン性
不飽和モノマーを使用して、塩基性官能基または酸性官
能基を有するアクリル樹脂を得て、部分中和する。エポ
キシ樹脂の場合と同様に、樹脂の水溶化を助けるために
ポリマー連鎖内にポリオキシアルキレン基を導入するこ
とが好ましい。そのために、モノマーの一部として、ポ
リエチレングリコールモノ (メタ) アクリレート、ポリ
プロピレングリコールモノ (メタ) アクリレートなどの
ポリアルキレングリコールモノ (メタ) アクリレート類
を使用することが好ましい。
【0024】上記範囲内のアミン価または酸価を有する
水性樹脂は、前述したように、水溶液または水性エマル
ジョン (水性分散液を含む) の状態の水性樹脂液として
本発明に用いる。この水性樹脂液中にITO粉末を分散
させると、本発明の導電膜形成用組成物が得られる。樹
脂液とITO粉末との配合割合は、ITO粉末/樹脂液
中の樹脂固形分の重量比が60/40〜90/10の範囲内、特
に63/37〜87/13の範囲内が好ましい。ITO粉末の量
が上記重量比で60/40より少ないと、得られた膜の透明
性は十分であっても、導電性が低下する傾向にある。逆
に、ITO粉末が上記重量比で90/10より多いと、粉末
の分散性が悪くなり、得られた導電膜の透明性や基材へ
の密着性が低くなり、膜性能が低下する傾向にある。
【0025】水性樹脂液へのITO粉末の分散は、常法
により、ペイントシェーカー、ボールミル、セントリミ
ル、サンドグラインドミル、三本ロール等を用いて行う
ことができる。必要であれば、ITO粉末の分散後に、
塗布または印刷に適した粘性となるように溶媒 (水また
は水と水溶性有機溶媒との混合溶媒) で希釈してもよ
い。
【0026】本発明の導電膜形成用組成物には、水性樹
脂とその溶媒 (水または水と水溶性有機溶媒との混合溶
媒) およびITO粉末に加えて、必要に応じて添加剤を
存在させることができる。この添加剤としては、メラミ
ン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ブロックポリイソシア
ネート等の硬化剤、硬化触媒、湿潤剤、分散剤、消泡
剤、酸化防止剤、レベリング剤等が挙げられる。硬化剤
または硬化触媒とその使用量は、水性樹脂の種類に応じ
て当業者が適当に選択できる。
【0027】本発明の導電膜形成用組成物は、塗料また
はインクとして、適当な基材上に塗布 (例、ロールコー
ト、スピンコート) または印刷 (例、スクリーン印刷)
することにより適用でき、その後は、通常は加熱して塗
膜から水などの溶媒を除去して乾燥硬化させると、透明
導電膜が形成される。形成される透明導電膜の膜厚に制
限はないが、通常は 0.5〜5.0 μmの範囲内である。基
材としては、各種合成樹脂、ガラス、セラミックス、金
属等が可能であり、これらはシート状、フィルム状、板
状、管状など任意の形状でよい。合成樹脂基材として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂な
どが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0028】本発明の導電膜形成用組成物は水性樹脂液
にITO粉末を分散させたものであるため、組成物の製
造および使用中 (特に塗膜の乾燥中) に作業環境や自然
環境を汚染することが少ない。また、焼成を必要としな
いので比較的耐熱性の低い合成樹脂基材にも適用できる
上、透明導電膜を連続的に大量生産し、膜の大面積化も
容易である。得られた膜は、光透過率90%のガラス基板
上に形成した場合で、表面抵抗値が 103〜106 Ω/□、
光透過率が80%以上と、導電性と透明性のいずれにも優
れている。
【0029】
【実施例】以下に実施例によって本発明を具体的に説明
する。なお、実施例中、部および%は特に指定しない限
り重量部および重量%であり、メラミン樹脂としては U
-VAN 20SE-60 (三井東圧化学社製商品名) を用いた。ま
た、実施例で用いたITO粉末は、いずれも(In+Sn) の
合計量に対するSn含有量が5モル%、平均一次粒子径が
0.05μmの粉末であった。
【0030】(実施例1)還流管、温度計、窒素ガス導入
装置および攪拌機を備えたフラスコに、ビスフェノール
A系エポキシ樹脂 [エピコート828(油化シェルエポキシ
社製商品名) エポキシ当量 187] を50部、ポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテル [エポライト200E (共
栄油脂社製商品名) エポキシ当量 200] を25部、ビスフ
ェノールAを20部仕込み、窒素ガスを導入しながら150
℃で10時間反応させて、エポキシ樹脂を変性した。次い
で、フラスコにさらに、ジエタノールアミン14.5部を水
溶性有機溶媒のエチレングリコールモノブチルエーテル
55部と共に加え、このアミンをエポキシ基と反応させ、
エポキシ樹脂中にアミン官能基を導入した。その後、20
%酢酸水溶液37.5部と水188.0 部とを加えて部分中和
し、不揮発分30.0%、樹脂の重量平均分子量10,000、ア
ミン価が4.1 mgHCl/g 、中和当量が0.91当量の水性エポ
キシ樹脂溶液を得た。
【0031】この樹脂溶液41.7部、ITO粉末85.0部、
水96.0部、ブチルセロソルブ24.0部およびガラスビーズ
250.0 部を容器に加え、ペイントシェーカーで粒ゲージ
により分散状態を確認しながら5時間練合した。練合
後、エポキシ硬化剤としてメラミン樹脂2.5 部を加えて
均一溶解させた後、ガラスビーズを取り除き、ITO粉
末が樹脂溶液に均一分散した粘稠な液状物を得た。その
後、アプリケーターを用いて、粘稠液状物を光透過率90
%のガラス基板上に塗布し、150 ℃で1時間の焼付けに
より塗膜を乾燥・硬化させ、厚み2μmの塗膜を作製し
た。
【0032】(実施例2)実施例1と同様な方法でエポキ
シ樹脂の合成、変性、アミン化まで行った後、20%酢酸
水溶液27.0部と水191.5 部とを加えて部分中和し、不揮
発分30.0%、樹脂の重量平均分子量10,000、アミン価1
5.2 mgHCl/g、中和当量が0.65当量の水性エポキシ樹脂
溶液を得た。この樹脂溶液41.7部、ITO粉末85.6部、
水96.0部、ブチルセロソルブ24.0部およびガラスビーズ
250.0 部を容器に加え、ペイントシェーカーで粒ゲージ
により分散状態を確認しながら5時間練合した。練合
後、メラミン樹脂2.5 部を加えて均一溶解させてから、
実施例1と同様にガラス基板上に厚み2μmの硬化塗膜
を作製した。
【0033】(実施例3)実施例1で調製した水性エポキ
シ樹脂溶液98.5部、ITO粉末64.0部、水64.0部、ブチ
ルセロソルブ17.0部およびガラスビーズ250.0 部を容器
に加え、ペイントシェーカーで粒ゲージにより分散状態
を確認しながら5時間練合した。練合後、メラミン樹脂
6.5 部を加えて均一溶解させ、実施例1と同様にガラス
基板上に厚み2μmの硬化塗膜を作製した。
【0034】(比較例1)実施例1と同様な方法でエポキ
シ樹脂の合成、変性、アミン化まで行った後、20%酢酸
水溶液41.4部と水186.5 部とを加えて完全に中和し、不
揮発分30.0%、樹脂の重量平均分子量10,000の、アミン
価を有していない水性エポキシ樹脂溶液を得た。この樹
脂溶液41.7部、ITO粉末85.0部、水96.0部、ブチルセ
ロソルブ24.0部およびガラスビーズ250.0 部を容器に加
え、ペイントシェーカーで粒ゲージにより分散状態を確
認しながら5時間練合した。練合後、メラミン樹脂2.5
部を加えて均一溶解させ、実施例1と同様にガラス基板
上に厚み2μmの硬化塗膜を作製した。
【0035】(実施例4)還流管、温度計、窒素ガス導入
装置、および攪拌機を備えたフラスコに、ビスフェノー
ルA系エポキシ樹脂 [エピコート828(油化シェルエポキ
シ社製商品名)エポキシ当量187]を50部、ポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテル [エポライト200E (共
栄油脂社製商品名) エポキシ当量200]を25部、ビスフェ
ノールAを20部仕込み、窒素ガスを導入しながら150 ℃
で10時間反応させて、エポキシ樹脂を変性させた。次い
で、フラスコに水溶性溶媒のエチレングリコールモノブ
チルエーテル50部と共にセバチン酸43.5部を加え、この
酸をエポキシ基と反応させて、カルボキシル基 (酸性
基) を導入した。その後、ジエチルアミン14.9部と水30
8.0部とを加えて酸性基を部分中和し、不揮発分30.0
%、樹脂の重量平均分子量が9000、酸価が4.0 mgKOH/g
、中和当量が0.95当量の水性エポキシ樹脂溶液を得
た。
【0036】この樹脂溶液41.7部、ITO粉末85.0部、
水96.0部、ブチルセロソルブ24.0部およびガラスビーズ
250.0 部を容器に加え、ペイントシェーカーで粒ゲージ
により分散状態を確認しながら5時間練合した。練合
後、メラミン樹脂2.5 部を加え均一溶解させた後、ガラ
スビーズを取り除き、ITO粉末が樹脂溶液に均一分散
した粘稠な液状物を得た。その後、アプリケーターを用
いて粘稠液状物を、実施例1と同様のガラス基板上に塗
布し、150 ℃で1時間の焼付けにより塗膜を乾燥・硬化
させて、厚み2μmの塗膜を作製した。
【0037】(実施例5)実施例4と同様な方法でエポキ
シ樹脂の合成、変性、酸性基導入まで行った後、ジエチ
ルアミン9.5 部と水295.3 部とを加えて酸性基を部分中
和し、不揮発分30.0%、樹脂の重量平均分子量10,000、
酸価32.2 mgKOH/g、中和当量0.60当量の水性エポキシ樹
脂溶液を得た。この樹脂溶液41.7部、ITO粉末85.0
部、水96.0部、ブチルセロソルブ24.0部およびガラスビ
ーズ250.0 部を容器に加え、ペイントシェーカーで粒ゲ
ージにより分散状態を確認しながら5時間練合した。練
合後、メラミン樹脂2.5 部を加えて均一溶解させ、実施
例4と同様にガラス基板上に厚み2μmの硬化塗膜を作
製した。
【0038】(実施例6)実施例4で調製した水性エポキ
シ樹脂溶液98.5部、ITO粉末64.0部、水64.0部、ブチ
ルセロソルブ17.0部およびガラスビーズ250.0 部を容器
に加え、ペイントシェーカーで粒ゲージにより分散状態
を確認しながら5時間練合した。練合後、メラミン樹脂
6.5 部を加えて均一溶解させ、実施例4と同様にガラス
基板上に厚み2μmの硬化塗膜を作製した。
【0039】(比較例2)実施例4と同様な方法でエポキ
シ樹脂の合成、変性、酸性基導入まで行った後、ジエチ
ルアミン15.7部と水310.0 部とを加えて酸性基を完全に
中和し、不揮発分30.0%、樹脂の重量平均分子量10,000
の、酸価を有していない水性エポキシ樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液41.7部、ITO粉末85.0部、水96.0部、ブ
チルセロソルブ24.0部およびガラスビーズ250.0 部を容
器に加え、ペイントシェーカーで粒ゲージにより分散状
態を確認しながら5時間練合した。練合後、メラミン樹
脂2.5 部を加えて均一溶解させ、実施例4と同様にガラ
ス基板上に厚み2μmの硬化塗膜を作製した。
【0040】(実施例7)還流管、温度計、滴下ロートお
よび攪拌機を備えたフラスコに、グリシジルメタクリレ
ート142 部を仕込み、150 ℃に昇温した後、モノエチル
アミン45部を1時間かけて加えて5時間反応し、アミン
基を有する塩基性メタクリレートを得た。次に、還流
管、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えたフラスコ
に、水40部とエチルアルコール20部とを仕込み、80℃に
昇温した後、上記塩基性メタクリレート25部、メタクリ
ル酸メチル4部、ポリエチレングリコールモノメタクリ
レート4部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル7部および
アゾビスイソブチロニトリル2部からなる混合物を4時
間かけて加え、更に10時間反応させて、アミン基含有ア
クリル樹脂を合成した。その後、20%酢酸水溶液39.5部
と水25.0部を加えて、アミン基を部分中和することによ
り樹脂を水溶化し、不揮発分30.0%、樹脂の重量平均分
子量9000、アミン価1.5 mgHCl/g 、中和当量が0.98当量
の水性アクリル樹脂溶液を得た。
【0041】この樹脂水溶液41.7部、ITO粉末85.0
部、水120.0 部、およびガラスビーズ250.0 部を容器に
加え、ペイントシェーカーで粒ゲージにより分散状態を
確認しながら5時間練合した。練合後、メラミン樹脂2.
5 部を加えて均一混合した後、ガラスビーズを取り除
き、ITO粉末が樹脂溶液に均一分散した粘稠な液状物
を得た。その後、アプリケーターを用いて粘稠液状物
を、実施例1と同様のガラス基板上に塗布し、150 ℃で
1時間の焼付けにより塗膜を乾燥・硬化させ、厚み2μ
mの塗膜を作製した。
【0042】(実施例8)実施例7と同様な方法でアミン
基含有アクリル樹脂を合成した後、20%酢酸水溶液30.0
部と水28.0部とを加えて樹脂を水溶化し、不揮発分30.0
%、樹脂の重量平均分子量9000、アミン価25.6 mgHCl/
g、中和当量が0.75当量の水性アクリル樹脂溶液を得
た。この樹脂水溶液41.7部、ITO粉末85.0部、水120.
0 部、およびガラスビーズ250.0 部を容器に加え、ペイ
ントシェーカーで粒ゲージにより分散状態を確認しなが
ら5時間練合した。練合後、メラミン樹脂2.5 部を加え
て均一混合し、実施例7と同様にガラス基板上に厚み2
μmの硬化塗膜を作製した。
【0043】(実施例9)実施例7と同様な方法でアミン
基含有アクリル樹脂を合成した後、20%酢酸水溶液24.5
部と水30.0部とを加えて樹脂を水溶化し、不揮発分30.0
%、樹脂の重量平均分子量9000、アミン価40.4 mgHCl/
g、中和当量が0.60当量の水性アクリル樹脂溶液を得
た。この樹脂水溶液41.7部、ITO粉末85.0部、水120.
0 部、およびガラスビーズ250.0 部を容器に加え、ペイ
ントシェーカーで粒ゲージにより分散状態を確認しなが
ら5時間練合した。練合後、メラミン樹脂2.5 部を加え
て均一混合し、実施例7と同様にガラス基板上に厚み2
μmの硬化塗膜を作製した。
【0044】(実施例10)実施例7で調製した水性アクリ
ル樹脂溶液96.0部、ITO粉末64.0部、水82.8部、およ
びガラスビーズ250.0 部を容器に加え、ペイントシェー
カーで粒ゲージにより分散状態を確認しながら5時間練
合した。練合後、メラミン樹脂7.2 部を加えて均一混合
し、実施例7と同様にガラス基板上に厚み2μmの硬化
塗膜を作製した。
【0045】(比較例3)実施例7と同様な方法でアミン
基含有アクリル樹脂を合成した後、20%酢酸水溶液32.5
部と水27.2部とを加えて樹脂を完全に中和することによ
り水溶化し、不揮発分30.0%、樹脂の重量平均分子量90
00の、アミン価を持たない水性アクリル樹脂溶液を得
た。この樹脂水溶液41.7部、ITO粉末85.0部、水120.
0 部およびガラスビーズ250.0 部を容器に加え、ペイン
トシェーカーで粒ゲージにより分散状態を確認しながら
5時間練合した。練合後、メラミン樹脂2.5 部を加えて
均一混合し、実施例7と同様にガラス基板上に厚み2μ
mの硬化塗膜を作製した。
【0046】(比較例4)実施例7と同様な方法でアミン
基含有アクリル樹脂を合成した後、20%酢酸水溶液6.25
部と水25.0部を加えて樹脂を水溶化し、不揮発分30.0
%、樹脂の重量平均分子量9000、アミン価95.2 mgHCl/
g、中和当量が0.16当量の水性アクリル樹脂溶液を得
た。この樹脂溶液41.7部、ITO粉末85.0部、水120.0
部、およびガラスビーズ250.0 部を容器に加え、ペイン
トシェーカーで粒ゲージにより分散状態を確認しながら
5時間練合した。練合後、メラミン樹脂2.5 部を加えて
均一混合し、実施例7と同様にガラス基板上に厚み2μ
mの硬化塗膜を作製した。
【0047】(実施例11)還流管、温度計、滴下ロートお
よび攪拌機を備えたフラスコに、水40部とエチルアルコ
ール20部を仕込み、80℃に昇温した後、アクリル酸20
部、メタクリル酸メチル4部、ポリエチレングリコール
モノメタクリレート6部、アクリル酸2-ヒドロキシエチ
ル10部、およびアゾビスイソブチロニトリル2部からな
る混合物を4時間かけて加え、更に10時間反応させて、
酸性官能基 (カルボキシル基) を有するアクリル樹脂を
合成した。その後、ジエチルアミン20部と水84.5部とを
加えて酸性官能基を部分中和することによって樹脂を水
溶化し、不揮発分30.0%、樹脂の重量平均分子量8500、
酸価3.4 mgKOH/g 、中和当量が0.98当量の水性アクリル
樹脂溶液を得た。
【0048】この樹脂水溶液41.7部、ITO粉末85.0
部、水120.0 部、およびガラスビーズ250.0 部を容器に
加え、ペイントシェーカーで粒ゲージにより分散状態を
確認しながら5時間練合した。練合後、メラミン樹脂2.
5 部を加えて均一混合した後、ガラスビーズを取り除
き、ITO粉末が樹脂溶液に均一分散した粘稠な液状物
を得た。その後、アプリケーターを用いて粘稠液状物
を、実施例1と同様のガラス基板上に塗布し、150 ℃で
1時間の焼付けにより塗膜を乾燥・硬化させ、厚み2μ
mの塗膜を作製した。
【0049】(実施例12)実施例11と同様な方法で酸性官
能基を有するアクリル樹脂を合成した後、ジエチルアミ
ン16.9部と水77.4部とを加えて酸性官能基を部分中和す
ることにより樹脂を水溶化し、不揮発分30.0%、樹脂の
重量平均分子量8500、酸価44.1 mgKOH/g、中和当量が0.
83当量の水性アクリル樹脂溶液を得た。この樹脂水溶液
41.7部、ITO粉末85.0部、水120.0 部、およびガラス
ビーズ250.0 部を容器に加え、ペイントシェーカーで粒
ゲージにより分散状態を確認しながら5時間練合した。
練合後、メラミン樹脂2.5 部を加えて均一混合し、実施
例11と同様にガラス基板上に厚み2μmの硬化塗膜を作
製した。
【0050】(実施例13)実施例11と同様な方法で酸性官
能基を有するアクリル樹脂を合成した後、ジエチルアミ
ン14.5部と水71.5部を加えて樹脂を水溶化し、不揮発分
30.0%、樹脂の重量平均分子量8500、酸価78.6 mgKOH/
g、中和当量が0.72当量の樹脂溶液を得た。この樹脂溶
液41.7部、ITO粉末85.0部、水120.0 部、およびガラ
スビーズ250.0 部を容器に加えペイントシェーカーで粒
ゲージにより分散状態を確認しながら5時間練合した。
練合後、メラミン樹脂2.5 部を加えて均一混合し、実施
例11と同様にガラス基板上に厚み2μmの硬化塗膜を作
製した。
【0051】(実施例14)実施例11で調製した水性アクリ
ル樹脂溶液96.0部、ITO粉末64.6部、水82.8部、およ
びガラスビーズ250.0 部を容器に加え、ペイントシェー
カーで粒ゲージにより分散状態を確認しながら5時間練
合した。練合後、メラミン樹脂7.2 部を加えて均一混合
し、実施例11と同様にガラス基板上に厚み2μmの硬化
塗膜を作製した。
【0052】(比較例5)実施例11と同様な方法で酸性官
能基を有するアクリル樹脂を合成した後、ジエチルアミ
ン20.3部、水85.4部を加えて酸性官能基を完全に中和す
ることにより樹脂を水溶化して、不揮発分30.0%、樹脂
の重量平均分子量8500の、酸価を持たない水性アクリル
樹脂溶液を得た。この樹脂水溶液41.7部、ITO粉末8
5.0部、水120.0 部およびガラスビーズ250.0 部を容器
に加え、ペイントシェーカーで粒ゲージにより分散状態
を確認しながら5時間練合した。練合後、メラミン樹脂
2.5部を加えて均一混合し、実施例11と同様のガラス基
板上に厚み2μmの硬化塗膜を作製した。
【0053】(比較例6)実施例11と同様な方法で酸性官
能基を有するアクリル樹脂を合成した後、ジエチルアミ
ン10.0部と水61.3部を加えて樹脂を水溶化し、不揮発分
30.0%、樹脂の重量平均分子量8500、酸価152 mgKOH/g
、中和当量が0.49当量の水性アクリル樹脂溶液を得
た。この樹脂水溶液41.7部、ITO粉末85.0部、水120.
0 部およびガラスビーズ250.0 部を容器に加えペイント
シェーカーで粒ゲージにより分散状態を確認しながら5
時間練合した。練合後、メラミン樹脂2.5 部を加えて均
一混合し、実施例11と同様にガラス基板上に厚み2μm
の硬化塗膜を作製した。
【0054】前記の各実施例および比較例で得た透明な
硬化被膜について、その全光線透過率を日本分光 (株)
製のUBEST 55型分光光度計で、ヘーズをスガ試験機
(株) 製のSMカラーコンピューターで、そして表面抵抗
値を三菱油化 (株) 製のローレスタAPMCP-T400表面抵抗
測定器でそれぞれ測定した。表1に試験結果を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明により、 0.5〜80 mgHCl/gの範囲
内のアミン価、または 0.5〜120 mgKOH/g の範囲内の酸
価を持ち、かつ中和当量が0.60〜0.99当量の水性樹脂液
中にITO粉末を分散させて導電膜形成用組成物を調製
し、この組成物から硬化被膜を形成した場合には、得ら
れた膜の表面抵抗値は 103〜106 Ω/□のオーダー、光
透過率は80%以上、ヘーズは5%以下と、導電性と透明
性がいずれもが良好であった。
【0057】これに対し、水性樹脂のアミン価または酸
価が上記範囲外であると、多量のITO粉末を配合して
も、得られた膜の透明性と導電性のいずれもが大きく低
下した。
【0058】本発明の導電膜形成用組成物は実質的に水
性系であるので、作業環境や自然環境を汚染することな
く、上記の優れた特性の透明導電膜を塗布または印刷に
より形成することができ、比較的耐熱性の低い基板にも
適用できる。また、特性の優れ透明導電膜を大量に連続
生産することが可能で、膜の大面積化も容易である。従
って、本発明の導電膜形成用組成物は、液晶ディスプレ
イなどの透明電極、タッチパネル、太陽電池の窓材料、
赤外線反射膜、帯電防止膜、面発熱体、電子写真記録な
ど広範囲な分野に優れた効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西原 明 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社 中央研究所内 (72)発明者 石原 真興 栃木県宇都宮市富士見が丘2−9−16 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミン価 0.5〜80 mgHCl/gかつ中和当量
    が0.60〜0.99当量の範囲にある樹脂の水性樹脂液中に、
    錫を含有する酸化インジウム粉末が分散していることを
    特徴とする導電膜形成用組成物。
  2. 【請求項2】 錫を含有する酸化インジウム粉末が、In
    に対するSn含有量が1〜15モル%、平均一次粒子が0.2
    μm以下のものである、請求項1記載の導電膜形成用組
    成物。
  3. 【請求項3】 錫を含有する酸化インジウム粉末と前記
    樹脂液中の樹脂固形分との重量比が60/40〜90/10の範
    囲である、請求項1または2記載の導電膜形成用組成
    物。
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