JP2005330163A - 導電性酸化錫粉末、その製造方法、導電性ペースト及び導電性塗料 - Google Patents

導電性酸化錫粉末、その製造方法、導電性ペースト及び導電性塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】
導電性、透明性、撥水性、流動性、及び樹脂や有機溶剤との濡れ性が高く、毒性の危惧がなく、経時変化による抵抗値の上昇が起こり難い導電性酸化錫粉末を提供すること。
【解決手段】
酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層が形成された実質的にアンチモンを含まない導電性酸化錫粉末であって、前記有機表面処理層が脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤を乾燥させて形成されるものであり、前記酸化錫粉末は粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gである導電性酸化錫粉末。前記有機表面処理層は、前記酸化錫粉末100重量部に対して0.05重量部〜10重量部形成されることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性酸化錫粉末、その製造方法、導電性ペースト及び導電性塗料に関し、詳しくは、例えば、紙、プラスチック、ゴム、樹脂、塗料等に混入してこれらに導電性を付与する、実質的にアンチモンを含まない導電性酸化錫粉末及びその製造方法、並びに該導電性酸化錫粉末を用いた導電性ペースト及び該導電性酸化錫粉末を用いた導電性塗料に関するものである。
近年、用途により、プラスチックにも導電性が求められてきている。例えば、ハウジング内の電気部品を大きな電磁界から遮蔽したり、帯電した部品を放電させたりする場合、ハウジング等に用いられるプラスチックは導電性のものであることが好ましい。このようにプラスチックに導電性を付与する方法としてはポリマーに導電性粉末を添加する方法が知られており、導電性粉末としては、例えば、金属粉末、カーボンブラック、アンチモン等をドープした酸化錫粉末等が知られている。
しかし、金属粉末やカーボンブラックをポリマーに添加すると得られるプラスチックが黒色になり、プラスチックの用途が限定されるため好ましくない。また、アンチモン等をドープした酸化錫粉末をポリマーに添加したものを用いると、導電性が高いためこの点では好ましいが、プラスチックが青黒色に着色するためカーボンブラック等と同様にプラスチックの用途が限定されると共に、アンチモン自体に毒性が懸念されるため、使用することは好ましくない。
また、導電性酸化錫粉末が吸湿し易いと、加熱して溶融又は軟化させたポリマーに導電性酸化錫粉末を添加した場合に導電性酸化錫粉末の粒子表面の水分が蒸発してポリマー中にボイドを形成し易いため、導電性酸化錫粉末は撥水性の高いものであることが好ましい。
さらに、導電性酸化錫粉末の流動性が低いとポリマー中で導電性酸化錫粉末が偏在し易いため導電性酸化錫粉末は流動性の高いものであることが好ましい。また、導電性酸化錫粉末はハンドリング性の高いものであることが好ましい。
これに対し、特許文献1(特開平6−345429号公報)には、実質的に二酸化スズからなり、D50が0.01μm〜5μmであり、比表面積が5m/g〜100m/gであり、体積抵抗率が10−1Ω・cm〜10Ω・cmであり、且つドーパントを含有していない導電性超微粉二酸化スズが開示されており、該導電性超微粉二酸化スズは、毒性の危惧がなく、透明性に優れたものとなる。
特開平6−345429号公報(第1頁)
しかしながら、特許文献1記載の導電性超微粉二酸化スズは、アンチモン等のドーパントを含有していないため、空気中に保存していると徐々に酸化されて経時変化により抵抗値が高くなり易く、また、撥水性及び流動性が十分に高くないという問題があった。また、特許文献1記載の導電性超微粉二酸化スズは、粒子表面が親水性の二酸化スズであるため、通常、疎水性を示す樹脂や有機溶剤との間で濡れ性が悪く、導電性超微粉二酸化スズを樹脂や有機溶剤に分散させ難いという問題があった。
従って、本発明の目的は、導電性、透明性、撥水性、流動性、及び樹脂や有機溶剤との濡れ性が高く、毒性の危惧がなく、経時変化による抵抗値の上昇が起こり難い導電性酸化錫粉末を提供することにある。
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層が形成された実質的にアンチモンを含まない導電性酸化錫粉末であって、前記有機表面処理層が特定の有機表面処理成分を含むコーティング剤を乾燥させて形成されるものであり、前記酸化錫粉末は粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gであると、得られる導電性酸化錫粉末は、導電性、透明性、撥水性、流動性、及び樹脂や有機溶剤との濡れ性が高く、毒性の危惧がなく、経時変化による抵抗値の上昇が起こり難いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層が形成された実質的にアンチモンを含まない導電性酸化錫粉末であって、前記有機表面処理層が脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤を乾燥させて形成されるものであり、前記酸化錫粉末は粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gであることを特徴とする導電性酸化錫粉末を提供するものである。
また、本発明(2)は、本発明(1)において、前記酸化錫粉末中の酸化錫が、酸素欠損型の酸化錫であることを特徴とする導電性酸化錫粉末を提供するものである。
また、本発明(3)は、本発明(2)において、前記酸化錫粉末中の酸化錫が、還元焼成により得られたものであることを特徴とする導電性酸化錫粉末を提供するものである。
また、本発明(4)は、本発明(1)〜本発明(3)のいずれかにおいて、前記有機表面処理層が、前記酸化錫粉末100重量部に対して0.05重量部〜10重量部形成されることを特徴とする導電性酸化錫粉末を提供するものである。
また、本発明(5)は、実質的にアンチモンを含まず、粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gである酸化錫粉末を、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤に浸漬した後、乾燥させて、前記酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成することを特徴とする導電性酸化錫粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明(6)は、実質的にアンチモンを含まず、粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gである酸化錫粉末に、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤に塗布した後、乾燥させて、前記酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成することを特徴とする導電性酸化錫粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明(7)は、本発明(1)〜本発明(4)のいずれかに記載の導電性酸化錫粉末と樹脂とを含み、前記導電性酸化錫粉末を50重量%〜98重量%含むことを特徴とする導電性ペーストを提供するものである。
また、本発明(8)は、本発明(1)〜本発明(4)のいずれかに記載の導電性酸化錫粉末と樹脂とを含み、前記導電性酸化錫粉末を0.1重量%以上50重量%未満含むことを特徴とする導電性塗料を提供するものである。
本発明に係る導電性酸化錫粉末は、導電性、透明性、撥水性、流動性、及び樹脂や有機溶剤との濡れ性が高く、毒性の危惧がなく、導電性ペーストや導電性塗料に用いた際、経時変化による抵抗値の上昇、導電性ペーストや導電性塗料の劣化等の不具合が起こり難い。また、本発明に係る導電性酸化錫粉末の製造方法は、本発明に係る導電性酸化錫粉末の製造に好適である。また、本発明に係る導電性ペースト及び導電性塗料は、上記導電性酸化錫粉末中のイオンが溶出してペーストや塗料に変色や粘度上昇等の悪影響を与えることが実質的にない。
<本発明に係る導電性酸化錫粉末>
本発明に係る導電性酸化錫粉末は、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層が形成された粉末であって、導電性酸化錫粉末中に実質的にアンチモンを含まないものである。本発明において導電性酸化錫粉末が実質的にアンチモンを含まないとは、導電性酸化錫粉末中のいずれの部分、すなわち、導電性酸化錫粉末中を構成する酸化錫粉末及び有機表面処理層のいずれの部分にもアンチモンを不純物として含まないことを意味し、具体的には導電性酸化錫粉末中のアンチモンの含有量が重量基準で1000ppm未満であることを意味する。なお、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、導電性を付与するためにアンチモン以外のドーパントを含んでいてもよい。該ドーパントとしては、例えば、インジウム等が挙げられる。
[酸化錫粉末]
本発明で用いられる酸化錫粉末は、少なくともその粒子表面全体に酸化錫(SnO)が存在するものであり、粒子が実質的に粒状、フレーク状又は針状の粉末である。ここで、少なくともその粒子表面全体に酸化錫が存在するとは、酸化錫以外の芯材を有し該芯材粒子表面全体に酸化錫微粒子が付着したもの又は該芯材粒子表面全体に酸化錫を含む被覆層が形成されたもの、及び、該芯材を有さず粒子全体が酸化錫そのものであるものを含む意味で用いる。本発明では、上記芯材を有する酸化錫粉末を「第1の酸化錫粉末」と称し、上記芯材を有さない酸化錫粉末を「第2の酸化錫粉末」と称する。第1の酸化錫粉末及び第2の酸化錫粉末については後で詳細に説明する。
本発明で用いられる酸化錫粉末は、粉体pHが通常1.5〜4、好ましくは2〜4である。本発明において粉体pHとは、JIS K5101で規定される水性スラリーのpH値を意味し、具体的にはJIS K5101で用いられる顔料の水性スラリーにおいて顔料に代えて酸化錫粉末を用いて測定したものである。粉体pHが該範囲内にあると、酸化錫粉末の体積抵抗率が100Ω・cm未満になり、しかも体積抵抗率の値のばらつきが少なくなり易いため好ましい。一方、粉体pHが1.5未満であると、強酸性となり、塗料成分や樹脂等を劣化させ易いため好ましくない。また、粉体pHが4を超えると、酸化錫粉末の体積抵抗率が100Ω・cmを超え易いため好ましくない。
酸化錫粉末は、残留塩分が通常0.7μmol/g〜300μmol/g、好ましくは1μmol/g〜200μmol/g、さらに好ましくは10μmol/g〜100μmol/gである。残留塩分が該範囲内にあると、低抵抗であり、凝集の少ない粉体が得られ易いため好ましい。一方、残留塩分が0.7μmol/g未満であると、抵抗が大きくなり易いため好ましくない。また、残留塩分が300μmol/gを超えると、凝集が強くなり塗膜が平滑でなくなり易いため好ましくない。
酸化錫粉末は、500kgf/cmで加圧した状態における体積抵抗率が通常100Ω・cm未満、好ましくは50Ω・cm未満にあり、導電性が高い。
上記酸化錫粉末は、酸化錫粉末中の酸化錫が酸素欠損型の酸化錫であると、酸素欠損型でない酸化錫に比べて、抵抗が低くなるため好ましい。該酸素欠損型の酸化錫は、例えば、酸化錫粉末の製造の際に還元焼成することにより得ることができる。
本発明で用いられる酸化錫粉末は、D50が通常0.01μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜10μmである。酸化錫粉末のD50が該範囲内にあると、有機表面処理層を形成して得られる導電性粉末の粒度が樹脂等中に分散し易いものとなるため好ましい。一方、酸化錫粉末のD50が0.01μm未満であると、得られる導電性粉末は1次粒子が凝集した分散性の低いものになり易いため好ましくなく、100μmを超えると、該導電性粉末を用いた塗料で作製した塗膜が平滑になり難くなるため好ましくない。本発明においてD10、D50及びD90とは、それぞれ、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積10容量%、50容量%及び90容量%における体積累積粒径(μm)を示す。
酸化錫粉末は、比表面積が通常0.1m/g〜150m/g、好ましくは20m/g〜100m/gである。酸化錫粉末の比表面積が該範囲内にあると、有機表面処理層を形成して得られる導電性粉末の粒度が樹脂等中に分散し易いものとなるため好ましい。一方、該比表面積が0.1m/g未満であると、導電性粉末の粒子が大きいことから塗料化したときに均一な塗膜を得られ難いため好ましくない。また、該比表面積が150m/gを超えると、得られる導電性粉末は1次粒子が凝集して粗大粒子化することにより、該導電性粉末を用いた塗料で作製した塗膜が平滑になり難くなるため好ましくない。本発明で用いられる酸化錫粉末は、上記のように第1の酸化錫粉末及び第2の酸化錫粉末がある。以下、これらについて詳細に説明する。
(第1の酸化錫粉末)
第1の酸化錫粉末は、酸化錫以外の芯材を有し該芯材粒子表面全体に酸化錫微粒子が付着したもの又は該芯材粒子表面全体に酸化錫を含む被覆層が形成されたものである。このうち、第1の酸化錫粉末が、芯材粒子表面全体に酸化錫を含む被覆層が形成されたものであり、且つ、粒子表面が略平滑なものは、流動性に優れるため好ましい。
第1の酸化錫粉末で用いられる芯材は、酸化錫以外の材料からなるものであればよく、特に限定されるものではない。該芯材の材質としては、例えば、硫酸バリウム、二酸化チタン、アルミナ、二酸化珪素、雲母、タルク、ホウ酸アルミニウム、酸化亜鉛(ZnO)及びチタン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。
芯材は、D50が通常0.01μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜10μmである。芯材の粒径が該範囲内にあると、第1の酸化錫粉末の粒度が樹脂等中に分散し易いものとなるため好ましい。本明細書においてD50とは、前述の意味の平均粒径である。
芯材は、比表面積が通常0.1m/g〜150m/g、好ましくは10m/g〜50m/gである。芯材の比表面積が該範囲内にあると、第1の酸化錫粉末の粒度が樹脂等中に分散し易いものとなるため好ましい。一方、該比表面積が0.1m/g未満であると、第1の酸化錫粉末の粒子が大きいことから塗料化したときに均一な塗膜を得られ難いため好ましくない。また、該比表面積が150m/gを超えると、酸化錫の粒径と同じ大きさに近くなることから密着性の良いコート層を形成し難くなるため好ましくない。
第1の酸化錫粉末は前記酸化錫の含有量が、通常10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%である。上記含有量が該範囲内にあると、第1の酸化錫粉末の導電性が高いと共に、芯材と酸化錫との結合が比較的強く第1の酸化錫粉末を樹脂等に混練しても酸化錫が剥離し難いものとなるため好ましい。一方、上記含有量が10重量%未満であると、酸化錫の量が少なく、第1の酸化錫粉末の導電性が不十分になり易いため好ましくない。また、上記含有量が90重量%を超えると、第1の酸化錫粉末の凝集が強くなり、塗膜の平滑性が失われることによりコート粉のメリットがなくなり易いため好ましくない。上記第1の酸化錫粉末は、例えば、下記の第1の酸化錫粉末の製造方法により製造することができる。
(第1の酸化錫粉末の製造方法)
第1の酸化錫粉末の製造方法は、芯材を水中に分散させたスラリーに、水溶性錫化合物を添加後、酸又はアルカリを用いて中和反応を行い、前記芯材の粒子表面に酸化錫水和物が存在する酸化錫粉末の前駆体を生成し、該前駆体を洗浄し、乾燥した後、非酸化性雰囲気中600℃を超え且つ1200℃以下で5分〜60分焼成するものである。
第1の酸化錫粉末の製造方法では、まず、芯材を水中に分散させてスラリーを調製する。ここで、芯材としては、第1の酸化錫粉末で説明したものを用いることができる。
上記スラリーは、例えば、芯材を水に凝集粒子がほとんどなくなるまで分散させる方法により得られる。該スラリーの生成に用いる水としては、特に限定されないが、純水等を用いると、不純物含有量の少ない酸化錫水和物を生成することにより、最終的に得られる第1の酸化錫粉末の塗料分散性が良くなるため好ましい。
上記スラリー中における水と芯材との配合比率は、水1lに対して芯材が、通常10g〜100g、好ましくは30g〜80gである。上記配合比率が該範囲内にあると、酸化錫被覆層を形成し易いため好ましい。
次に、該スラリーに、水溶性錫化合物を添加する。第1の酸化錫粉末の製造方法で用いられる水溶性錫化合物としては、芯材の粒子表面に酸化錫水和物を形成することができるものであればよく特に限定されないが、例えば、錫酸ナトリウム、四塩化錫等が挙げられる。錫酸ナトリウム及び四塩化錫は水への溶解が容易であるため好ましい。
また、上記スラリー中における水と水溶性錫化合物との配合比率は、水に対する水溶性錫化合物中のSn濃度が、通常1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜10重量%である。上記配合比率が該範囲内にあると、分散性の高い第1の酸化錫粉末が得られ易いため好ましい。
次に、水溶性錫化合物を添加したスラリーに、酸又はアルカリを用いて中和反応を行う。中和反応を行う方法としては、該スラリーに酸性物質やアルカリ性物質を添加する方法が挙げられる。ここで、酸性物質としては、例えば、硫酸、硝酸、酢酸等が挙げられる。硫酸は、希硫酸であると平滑性の高い酸化錫被覆層を形成し易いため好ましい。希硫酸の濃度は、通常10容量%〜50容量%である。また、アルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア水等が挙げられる。このうち、水酸化ナトリウムは濃度を管理し易いため好ましい。
中和を行う際、スラリーのpHは、通常pH0.5〜pH5、好ましくはpH2.0〜pH4.0、さらに好ましくはpH2.0〜pH3.0とする。中和の際のpHを該範囲内にすることにより、水溶性錫化合物をスラリーに溶解して得られた錫酸が酸化錫水和物を生成し、芯材の粒子表面に酸化錫水和物(SnO・nHO)が存在する酸化錫粉末の前駆体が生成する。
次に、該酸化錫粉末の前駆体を、洗浄水の伝導度が、通常50μS〜3000μS、好ましくは100μS〜2000μS、さらに好ましくは200μS〜1500μS、特に好ましくは400μS〜1000μSになるまで洗浄する。この洗浄を3000μSを超えるまで行うと、残留塩分により粒子が凝集してしまい、分散性の良い第1の酸化錫粉末を得ることが困難になるため好ましくない。また、この洗浄を50μS未満になるまで行うと洗浄水を大量に用いるため不経済であり、得られる第1の酸化錫粉末の体積抵抗が高くなり易いため好ましくない。洗浄した酸化錫粉末の前駆体は、脱水濾過後、乾燥させる。乾燥方法としては特に限定されない。
次に、乾燥した酸化錫粉末の前駆体を非酸化性雰囲気中で焼成する。ここで、非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気、水素を含有した窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等が挙げられる。このうち、水素を含有した窒素雰囲気は、安価であるため好ましい。また、水素を含有した窒素雰囲気の場合、水素の含有量は、通常0.1体積%〜10体積%、好ましくは1体積%〜3体積%である。水素の含有量が該範囲内にあると、酸化錫について還元によるメタル化を抑制し酸素欠損を形成させ易いため好ましい。
焼成温度としては、通常600℃を超え且つ1200℃以下、好ましくは700℃〜900℃であり、焼成時間としては、通常5分〜60分、好ましくは10分〜30分である。焼成条件が、上記範囲内にあると、酸化錫が焼結することなく、酸化錫に効率的に酸素欠損を形成させ易いため好ましい。上記の工程を行うことにより、第1の酸化錫粉末を製造することができる。
(第2の酸化錫粉末)
第2の酸化錫粉末は、全体が実質的に酸化錫のみからなるものである。第2の酸化錫粉末は、芯材を含まないこと以外は第1の酸化錫粉末と同様である。この第2の酸化錫粉末は、例えば、下記の第2の酸化錫粉末の製造方法により製造することができる。
(第2の酸化錫粉末の製造方法)
第2の酸化錫粉末の製造方法は、水中に溶解させた水溶性錫化合物について、酸又はアルカリを用いて中和反応を行い、酸化錫水和物の前駆体を生成し、該前駆体を洗浄し、乾燥した後、非酸化性雰囲気中600℃を超え且つ1200℃以下で5分〜60分焼成するものである。
第2の酸化錫粉末の製造方法では、水中に溶解させた水溶性錫化合物について所定の中和反応を行って酸化錫水和物の前駆体を直接生成する点以外は第1の酸化錫粉末の製造方法と同様であるため、同様の点については説明を省略し、以下では相違点のみ説明する。
第2の酸化錫粉末の製造方法では、最初に水溶性錫化合物を水中に溶解させる。ここで用いる水溶性錫化合物及び水の種類は、上記第1の酸化錫粉末の製造方法と同様であるため説明を省略する。
上記水溶液中における水と水溶性錫化合物との配合比率は、水に対する水溶性錫化合物中のSn濃度を、上記第1の酸化錫粉末の製造方法と同様であるため説明を省略する。
次に、水溶性錫化合物の水溶液について、酸又はアルカリを用いて中和反応を行う。ここで中和反応を行う方法、酸性物質及びアルカリ性物質並びに上記水溶液を中和する際の水溶液のpHは、上記第1の酸化錫粉末の製造方法と同様であるため説明を省略する。該工程を行うと、上記水溶性錫化合物の水溶液中に、酸化錫水和物(SnO・nHO)が酸化錫粉末の前駆体として生成する。
上記工程の後、上記酸化錫粉末の前駆体を、洗浄し、乾燥した後、非酸化性雰囲気中で焼成すると、第2の酸化錫粉末を製造することができる。なお、これらの工程は、上記第1の酸化錫粉末の製造方法と同様であるため、その説明を省略する。
[有機表面処理層]
本発明に係る導電性酸化錫粉末は、上記酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層が形成される。該有機表面処理層は有機表面処理成分を含むコーティング剤を乾燥させて形成されるものであり、該有機表面処理成分としては、脂肪酸、該脂肪酸の塩、エステル等の脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。なお、本発明において、ゼラチンとはニカワを含む意味で用いる。
また、上記脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、上記脂肪酸化合物としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等が挙げられる。また、上記油脂としては、例えば、オリーブオイル、アマニ油、菜種油、鉱物油等が挙げられる。また、上記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシロキサン等が挙げられ、上記変性シリコーンオイルとしては、例えば、上記シリコーンオイルの直鎖の途中にアミノ基、アルコキシ基、カルボキシル基等を導入して変性したものが挙げられる。また、上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、テトラメトキシシランカップリング剤、メチルトリメトキシシランカップリング剤、ジフェニルジメトキシシランカップリング剤等が挙げられる。
上記有機表面処理層は、上記有機表面処理成分を含むコーティング剤を乾燥させて形成されるものである。本発明で用いられるコーティング剤は、有機表面処理成分を含む液状のものであり、有機表面処理成分だけからなるものであってもよいし有機表面処理成分以外に水や有機溶媒等の溶媒を含むものであってもよい。また、コーティング剤は、常温で固体である場合、加熱して融解又は軟化させることにより液状としたものであってもよい。例えば、有機表面処理成分がステアリン酸である場合、常温ではステアリン酸が固体であるためコーティング剤にならないが、これを融点以上の例えば75℃まで加熱することにより溶融した液状のステアリン酸からなるコーティング剤を作製することができる。有機表面処理層は、実質的に有機表面処理成分がそのまま固化したもの又は有機表面処理成分同士が重合して固化したものである。
上記のようにして有機表面処理層が形成された本発明に係る導電性酸化錫粉末は、有機表面処理層が、酸化錫粉末100重量部に対して、通常0.05重量部〜10重量部、好ましくは0.2重量部〜7重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜5重量部形成される。有機表面処理層が該範囲内の比率で形成されると、得られる導電性酸化錫粉末は導電性、透明性、撥水性及び流動性に優れるのみならず、樹脂や有機溶剤との濡れ性が高く、経時変化による抵抗値の上昇が起こり難いため好ましい。一方、有機表面処理層が0.05重量部未満であると、得られる導電性酸化錫粉末の撥水性及び流動性に劣るばかりか、樹脂や有機溶剤との濡れ性が十分に高くなく、経時変化による抵抗値の上昇が起こり易いため好ましくない。また、10重量部を超えると、得られる導電性酸化錫粉末の導電性及び透明性が低下し易いため好ましくない。
本発明に係る導電性酸化錫粉末は、構成される酸化錫粒子の大きさに対してその粒子表面に形成される有機表面処理層の厚みが非常に小さく、酸化錫粒子と導電性酸化錫粒子とは大きさが実質的に同一であるため、導電性酸化錫粉末のD50は、上記の酸化錫粉末のD50と同様の範囲内にあり、通常0.01μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜10μmである。導電性酸化錫粉末のD50が該範囲内にあると、樹脂等中に分散し易いものとなるため好ましい。一方、導電性粉末のD50が0.01μm未満であると、1次粒子が凝集した分散性の低いものになり易いため好ましくなく、100μmを超えると、該導電性粉末を用いた塗料で作製した塗膜が平滑になり難くなるため好ましくない。
また、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、構成される酸化錫粒子の大きさに対して有機表面処理層の厚みが非常に小さく、酸化錫粒子と導電性酸化錫粒子とは大きさが実質的に同一であるため、導電性酸化錫粉末の比表面積は、上記の酸化錫粉末の比表面積と同様の範囲内にあり、通常0.1m/g〜150m/g、好ましくは20m/g〜100m/gである。導電性酸化錫粉末の比表面積が該範囲内にあると、樹脂等中に分散し易いものとなるため好ましい。一方、該比表面積が0.1m/g未満であると、導電性粉末の粒子が大きいことから塗料化したときに均一な塗膜を得られ難いため好ましくない。また、該比表面積が150m/gを超えると、得られる導電性粉末は1次粒子が凝集して粗大粒子化することにより、該導電性粉末を用いた塗料で作製した塗膜が平滑になり難くなるため好ましくない。
本発明に係る導電性酸化錫粉末は、導電性が高く、製造直後においては、500kgf/cmで加圧した状態における体積抵抗率が通常200Ω・cm未満、好ましくは150Ω・cm未満、さらに好ましくは60Ω・cm未満である。また、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、空気中等の酸化性雰囲気下で長期保存していても、酸化錫粉末の粒子表面に形成された有機表面処理層により酸化錫粉末の酸化が抑制されるため、上記体積抵抗率が長期間にわたって低く維持され続ける。例えば、有機表面処理されていない酸化錫粉末粒子のみからなる従来の導電性酸化錫粉末でも、製造当初の上記体積抵抗率を100Ω・cm未満とすることは可能であるが、これを空気中で放置すると徐々に酸化されて体積抵抗率が上昇し、製造1年間後には上記体積抵抗率は通常100000Ω・cm以上となってしまう。これに対し、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、有機表面処理されているため上記体積抵抗率が低く維持され続け、同様の条件で放置した後の上記体積抵抗率が通常200Ω・cm未満、好ましくは150Ω・cm未満である。なお、上記500kgf/cmで加圧した状態における体積抵抗率は、例えば、三菱化学株式会社製ロレスタPAシステムを用い500kgf/cmで加圧した状態における三菱化学株式会社製ロレスタAPで測定した値である。
また、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、有機表面処理されているため、撥水性が高い。なお、本発明における撥水性は、例えば、導電性酸化錫粉末と水とをペイントシェーカーで良く混合して試料溶液を調製し、該試料溶液について分光光度計を用いて測定した500nmにおける透過率と、純水について同様にして測定した透過率とから、後者の透過率に対する前者の透過率の比率が大きいものを撥水性が高いとして評価したものである。具体例としては、純水についての透過率を100としたときに、試料溶液の透過率が95のものと30のものとでは、前者のほうが撥水性が高いと評価することができる。該評価方法は、撥水性の高い粉末は試料溶液中で粉末と水とが明確に分離し粉末が沈降して水の透過率を測定することに近くなるから透過率が高くなるのに対し、撥水性の低い粉末は試料溶液中で粉末が水に分散して透過率が低くなることを利用するものである。
また、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、有機表面処理されて粒子表面が平滑化されているため、流動性が高く、安息角が通常60度以下、好ましくは55度以下である。
また、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、粒子表面の有機表面処理層が透明度の高い有機表面処理成分からなるため、透明性が高く、該粉末を用いて塗料化し塗膜を形成した場合のヘイズが小さい。例えば、上記導電性酸化錫粉末を実質的に無色透明のアクリル樹脂溶液に分散させて調製した塗料を、全光線透過率が98%、ヘイズ2%のポリエチレン製透明シートに塗布して形成した厚さ1μmの塗膜のヘイズが、通常5%以下、好ましくは3%以下である。
上記本発明に係る導電性粉末は、例えば、下記の本発明に係る導電性粉末の製造方法により製造することができる。
<本発明に係る導電性酸化錫粉末の製造方法>
本発明に係る導電性酸化錫粉末の製造方法は、第1の実施の形態が、実質的にアンチモンを含まず、粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gである酸化錫粉末を、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤に浸漬した後、乾燥させて、前記酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成する方法である。なお、本発明において該方法を「湿式法」ともいう。また、第2の実施の形態が、実質的にアンチモンを含まず、粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gである酸化錫粉末に、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤に塗布した後、乾燥させて、前記酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成する方法である。なお、本発明において該方法を「乾式法」ともいう。
(本発明に係る導電性酸化錫粉末の製造方法の第1の実施の形態)
第1の実施の形態で用いられる実質的にアンチモンを含まず、粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gである酸化錫粉末としては、本発明に係る導電性酸化錫粉末について説明したものを用いることができる。
第1の実施の形態で用いられるコーティング剤は、有機表面処理成分を含む液状のものであり、有機表面処理成分としては、本発明に係る導電性酸化錫粉末について説明したものを用いることができる。該コーティング剤は、液状であって乾燥により有機表面処理層を形成することができるものであればよく、例えば、有機表面処理成分だけからなるものであってもよいし、また有機表面処理成分以外に水や有機溶媒等の溶媒を含むものであってもよい。必要により用いられる有機溶媒は、有機表面処理成分を溶解可能なものであればよく特に限定されないが、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、MEK、トルエン、キシレン等を用いることができる。また、コーティング剤は、常温で固体である場合、加熱して融解又は軟化させることにより液状としたものであってもよい。
また、本形態で用いられるコーティング剤は、溶媒を用いる場合、溶媒を含めたコーティング剤中の有機表面処理成分の含有量が、通常0.05重量%〜50重量%、好ましくは0.05重量%〜20重量%であると、酸化錫粉末の粒子表面に塗布される有機表面処理成分の量を、有機表面処理層を形成するのに好適な範囲内にし易いため好ましい。
本形態では、上記酸化錫粉末を上記コーティング剤に浸漬する。浸漬時間としては、例えば、通常30秒〜60分とすると、酸化錫粉末の粒子表面にコーティング剤が十分に濡れて緻密な有機表面処理層が形成され易いため好ましい。
本形態では、上記のように浸漬し、濾過等により導電性酸化錫粉末とコーティング剤とを分離した後、乾燥させて、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成する。該有機表面処理層は、本発明に係る導電性酸化錫粉末について説明したように、実質的に有機表面処理成分がそのまま固化したもの又は有機表面処理成分同士が重合して固化したものである。
本発明において行われる乾燥は、コーティング剤に含まれる有機表面処理成分が固化等を行って有機表面処理層を形成することができるものであればよく、乾燥方法としては特に限定されないが、乾燥方法としては、コーティング剤が溶媒を含むものである場合は、例えば、コーティング剤との分離後の導電性酸化錫粉末を、通常50℃〜300℃で、好ましくは100℃〜200℃にして乾燥させる方法が挙げられる。乾燥温度が該範囲内にあると有機表面処理層が好適に形成され易いため好ましい。一方、乾燥温度が300℃を超えると、有機表面処理層が形成されなかったり一旦形成された有機表面処理層が劣化したりすることにより導電性酸化錫粉末中の酸素欠陥が失われ易いため好ましくない。
また、コーティング剤が溶媒を含まず有機表面処理成分の加熱融解により液状としたものである場合は、例えば、コーティング剤との分離後の導電性酸化錫粉末を、常温中に放置して冷却する方法が挙げられる。上記のようにしてコーティング剤を乾燥させ、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成すると本発明に係る導電性酸化錫粉末が得られる。
(本発明に係る導電性酸化錫粉末の製造方法の第2の実施の形態)
本発明に係る導電性酸化錫粉末の製造方法の第2の実施の形態と本発明に係る導電性酸化錫粉末の製造方法の第1の実施の形態との相違点は、第1の実施の形態において酸化錫粉末をコーティング剤に浸漬することを、第2の実施の形態において酸化錫粉末にコーティング剤に塗布することとする点にあり、他の点については一致するため、他の点については説明を省略し、相違点についてのみ以下に説明する。
第2の実施の形態で用いられるコーティング剤は、有機表面処理成分や溶媒の種類は、第1の実施の形態と同様である。ただし、本形態で用いられるコーティング剤は、溶媒を含めたコーティング剤中の有機表面処理成分の含有量が、通常0.1重量%〜100重量%、好ましくは1重量%〜50重量%であると、酸化錫粉末の粒子表面に塗布される有機表面処理成分の量を、有機表面処理層を形成するのに好適な範囲内にし易いため好ましい。
本形態では、上記酸化錫粉末の粒子表面に上記コーティング剤を塗布する。塗布方法としては、例えば、導電性酸化錫粉末のみをミキサー中で高速攪拌した状態にしておき、該高速攪拌されている導電性酸化錫粉末にコーティング剤を添加して導電性酸化錫粉末の粒子表面にコーティング剤を均一に被覆する方法、導電性酸化錫粉末のみをミキサー中で高速攪拌した状態にしておき、該高速攪拌されている導電性酸化錫粉末に実質的に有機表面処理成分のみからなるコーティング剤を添加して導電性酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理成分を付着させ、付着した有機表面処理成分を加熱する等により融解させて導電性酸化錫粉末の粒子表面を有機表面処理成分で被覆する方法(該方法を、特に「加熱乾式法」ともいう。)、導電性酸化錫粉末にコーティング剤をスプレーで噴霧して導電性酸化錫粉末の粒子表面にコーティング剤を均一に被覆する方法、導電性酸化錫粉末とコーティング剤とをヘンシェルミキサー中で混合して導電性酸化錫粉末の粒子表面にコーティング剤を均一に被覆する方法等が挙げられる。塗布時間としては、例えば、通常30秒〜60分とすると、酸化錫粉末の粒子表面にコーティング剤が十分に濡れて緻密な有機表面処理層が形成され易いため好ましい。
本形態では、上記のように塗布した後、乾燥させて、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成する。本形態における乾燥方法も、第1の実施の形態と同様に特に限定されないが、乾燥方法としては、コーティング剤が溶媒を含むものである場合は、例えば、コーティング剤の塗布後の導電性酸化錫粉末を、通常50℃〜300℃で、好ましくは100℃〜200℃にして乾燥させる方法が挙げられる。乾燥温度が該範囲内にあると、有機表面処理層が好適に形成され易いため好ましい。一方、乾燥温度が300℃を超えると、有機表面処理層が形成されなかったり一旦形成された有機表面処理層が劣化したりすることにより導電性酸化錫粉末中の酸素欠陥が失われ易いため好ましくない。
また、コーティング剤が溶媒を含まず有機表面処理成分の加熱融解により液状としたものである場合は、例えば、コーティング剤の塗布後の導電性酸化錫粉末を、常温中に放置して冷却する方法が挙げられる。上記のようにしてコーティング剤を乾燥させ、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成すると本発明に係る導電性酸化錫粉末が得られる。
<本発明に係る導電性ペースト>
本発明に係る導電性ペーストは、本発明に係る導電性酸化錫粉末と樹脂とを含むものである。本発明に係る導電性ペーストに用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、本発明に係る導電性ペーストは、本発明に係る導電性酸化錫粉末の含有量が、50重量%〜98重量%、好ましくは60重量%〜90重量%である。導電性酸化錫粉末の含有量が該範囲内にあると、導電性ペーストを乾燥により固化した際に、該固化した樹脂が低抵抗で強度の高いものとなり易いため好ましい。
<本発明に係る導電性塗料>
本発明に係る導電性塗料は、本発明に係る導電性酸化錫粉末と樹脂とを含むものである。本発明に係る導電性塗料に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、本発明に係る導電性塗料は、本発明に係る導電性酸化錫粉末の含有量が、0.1重量%以上50重量%未満、好ましくは1重量%以上30重量%未満である。導電性酸化錫粉末の含有量が該範囲内にあると、導電性塗料中に導電性粉末が良く分散していることにより該塗料から得られる塗膜の平滑性が高くなり易いため好ましい。
上記本発明に係る導電性粉末は、例えば、紙、プラスチック、ゴム、樹脂、塗料等に混入してこれらに導電性を付与する導電性フィラーとして、また、電池等の電極改質剤として使用することができる。また、上記導電性粉末の製造方法は、上記本発明に係る導電性粉末の製造に使用することができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
比較例1
(実質的に酸化錫のみからなる導電性酸化錫粉末(第2の酸化錫粉末)の製造)
水3.5lにSn含有量41重量%の錫酸ナトリウム576gを投入し、錫酸ナトリウムを溶解させた。該溶解液に20%希硫酸を溶解液のpHが2.5になるまで98分間かけて添加して中和した。該反応液を温水を用いて洗浄した。洗浄は、洗浄水の伝導度が2860μSになるまで繰り返した。洗浄終了後は、脱水濾過を行い、濾滓(ケーキ)を回収した。
次に、得られた濾滓を150℃の雰囲気中に15時間放置して、乾燥させた。得られた乾燥ケーキをアトマイザーを用いて解砕し、該解砕物について水素を2体積%含有した窒素ガスを流通させながら、700℃で20分間焼成を行い、導電性酸化錫粉末(導電性酸化錫粉末A)を得た。
該粉末について、以下のようにして、粉体pH、残留塩分、D50、比表面積、体積抵抗率、安息角、撥水性、ヘイズ、表面抵抗率及び塗料の粘度を測定した。粉体pHは3.6であり、残留塩分は163μmol/gであった。結果を表2〜表4に示す。
(粉体pHの測定方法):JIS K5101で規定される方法にて測定した。
(残留塩分の測定方法):純水100g中に導電性酸化錫粉末5gを分散したスラリー中に含まれるSO 2−イオンのイオン濃度を硫酸バリウム重量法により測定した。
(D50の測定方法):200ccのサンプル容器に試料約0.1gを採り、0.2g/lのヘキサメタリン酸ソーダを10ml添加混合後、純水90mlを添加し、超音波分散機日本精機株式会社製US−300Tにより10分間分散しサンプル液を調製した。該サンプル液につき、日機装株式会社製マイクロトラックHRAを用いてレーザー回折散乱法で求められる累積体積が50容量%の時点における粒径(μm)を、D50とした。
(比表面積):ユアサアイオニクス株式会社製モノソーブを用いて測定したBET比表面積を用いた。
(体積抵抗率の測定方法):試料粉体を三菱化学株式会社製ロレスタPD−41を用いて500kgf/cmに加圧した状態で、三菱化学株式会社製ロレスタAPを用いた測定値を体積抵抗率として求めた。
(安息角の測定方法):株式会社セイシン企業製マルチテスターMT−10001型を用いて測定した。
(撥水性の測定方法):試料粉末10gを50mlのポリプロピレン製ビンに入れ、純水30mlを加え、ペイントシェーカーで良く混合して試料溶液を調製し、該試料溶液について分光光度計を用いて500nmにおける透過率Tを測定した。一方、純水について同様にして分光光度計を用いて500nmにおける透過率Tを測定した。T及びTより、(T*100)/Tを算出し、これを撥水性とした。
(ヘイズの測定方法):試料粉末7.95gとアクリル系樹脂溶液7.41g(三菱レイヨン株式会社製ダイヤナールLR46重量%とトルエン/ブタノール溶剤54重量%とからなる溶液)とを配合し(固形分重量比=70(試料粉末):30(ダイヤナールLR167))、浅田鉄工株式会社製ペイントシェーカーにて10時間分散処理を行い、塗料を調製した。得られた塗料をバーコーターにてポリエチレン製透明シート(全光線透過率98%、ヘイズ2%)に塗布し、90℃で30分間乾燥して、厚み1μmの塗膜を形成した。該塗膜を日本電色工業株式会社製ヘイズメーター1001DPを用いてヘイズを測定した。測定は、製膜直後の塗膜及び製膜1年後の塗膜について行った。
(塗料の粘度の測定方法):ヘイズの測定方法で作製した塗料について、オストワルド粘度計を用い25℃における粘度(cP)を塗料の製造直後及び塗料の製造1月後に測定した。
(表面抵抗率の測定方法):ヘイズの測定の際に形成した塗膜につき、三菱油化株式会社製高抵抗測定機ハイレスタHPを用いて表面抵抗率を測定した。測定は、製膜直後の塗膜及び製膜1年後の塗膜について行った。
(有機表面処理層が形成された導電性酸化錫粉末の製造:加熱乾式法)
比較例1で作製した導電性酸化錫粉末A70gをミキサー(大阪ケミカル株式会社製小型強力粉砕機フォースミル)のチャンバー内で22000rpmで略水平方向に高速攪拌させ、チャンバー内にステアリン酸(コーティング剤A)0.7gを投入し、1分間攪拌を続けた後、チャンバー内から粒子表面に粉状のステアリン酸が付着した酸化錫粉末を取り出し、100℃で加熱処理することにより粒子表面に付着した粉状のステアリン酸を溶融し、放置して乾燥させ、導電性酸化錫粉末を得た。該導電性酸化錫粉末の酸化錫粉末に対する有機表面処理層の被覆量を表1に示す。
また、該導電性酸化錫粉末について、比較例1と同様にして、諸特性を測定した。結果を表2〜表4に示す。
(コーティング剤の調製)
シリコーンオイル(信越化学株式会社製KF96L)3.5gとメタノールとを混合して、20mlのコーティング剤(コーティング剤B)を調製した。
(有機表面処理層が形成された導電性酸化錫粉末の製造:乾式法)
比較例1で作製した導電性酸化錫粉末A70gをミキサーのチャンバー内で略水平方向に高速攪拌させ、チャンバー内にコーティング剤Bを滴下し、1分間攪拌を続けた後、粉末をチャンバー内から取り出し、100℃に加熱して乾燥させ、導電性酸化錫粉末を得た。該導電性酸化錫粉末の酸化錫粉末に対する有機表面処理層の被覆量を表1に示す。
また、該導電性酸化錫粉末について、比較例1と同様にして、諸特性を測定した。結果を表2〜表4に示す。
(コーティング剤の調製)
メチルハイドロジェンシロキサン(信越化学株式会社製KF99)0.7gとメタノールとを混合して、20mlのコーティング剤(コーティング剤C)を調製した。
(有機表面処理層が形成された導電性酸化錫粉末の製造:乾式法)
コーティング剤Bに代えてコーティング剤Cを用いた以外は、実施例2と同様にして導電性酸化錫粉末を得た。該導電性酸化錫粉末の酸化錫粉末に対する有機表面処理層の被覆量を表1に示す。
また、該導電性酸化錫粉末について、比較例1と同様にして、諸特性を測定した。結果を表2〜表4に示す。
(コーティング剤の調製)
ニカワ(新田ゼラチン株式会社製UDB)50gと水450gとを混合して、コーティング剤(コーティング剤D)を調製した。
(有機表面処理層が形成された導電性酸化錫粉末の製造:湿式法)
比較例1で作製した導電性酸化錫粉末A100gを、コーティング剤Dを満たしたバットに10分間浸漬し、導電性酸化錫粉末をヌッチェで濾過した後、濾滓を105℃に加熱して乾燥させ、導電性酸化錫粉末を得た。該導電性酸化錫粉末の酸化錫粉末に対する有機表面処理層の被覆量を表1に示す。
また、該導電性酸化錫粉末について、比較例1と同様にして、諸特性を測定した。結果を表2〜表4に示す。
(コーティング剤の調製)
アミノシランカップリング剤(信越化学株式会社製KBM903)0.35gと水とを混合して、500mlのコーティング剤(コーティング剤E)を調製した。
(有機表面処理層が形成された導電性酸化錫粉末の製造:湿式法)
コーティング剤Dに代えてコーティング剤Eを用いた以外は、実施例4と同様にして導電性酸化錫粉末を得た。該導電性酸化錫粉末の酸化錫粉末に対する有機表面処理層の被覆量を表1に示す。
また、該導電性酸化錫粉末について、比較例1と同様にして、諸特性を測定した。結果を表2〜表4に示す。
(コーティング剤の調製)
アミノ基アルコキシ基含有シリコーンオイル(信越化学株式会社製KF862)0.7gとメタノールとを混合して、20mlのコーティング剤(コーティング剤F)を調製した。
(有機表面処理層が形成された導電性酸化錫粉末の製造:乾式法)
コーティング剤Bに代えてコーティング剤Fを用いた以外は、実施例2と同様にして導電性酸化錫粉末を得た。該導電性酸化錫粉末の酸化錫粉末に対する有機表面処理層の被覆量を表1に示す。
また、該導電性酸化錫粉末について、比較例1と同様にして、諸特性を測定した。結果を表2〜表4に示す。
比較例2
(実質的に酸化錫のみからなる導電性酸化錫粉末(第2の酸化錫粉末)の製造)
洗浄水の伝導度が5300μSになるまで洗浄した以外は、比較例1と同様にして酸素欠損型の実質的に酸化錫のみからなる導電性酸化錫粉末(導電性酸化錫粉末B)を得た。
該粉末について、比較例1と同様にして、粉体pH及び残留塩分を測定した。粉体pHは3.0であり、残留塩分は380μmol/gであった。
(有機表面処理層が形成された導電性酸化錫粉末の製造:乾式法)
導電性酸化錫粉末Aに代えて導電性酸化錫粉末Bを用い、且つ、コーティング剤Bに代えてコーティング剤Fを用いた以外は、実施例2と同様にして導電性酸化錫粉末を得た。該導電性酸化錫粉末の酸化錫粉末に対する有機表面処理層の被覆量を表1に示す。
また、該導電性酸化錫粉末について、比較例1と同様にして、諸特性を測定した。結果を表2〜表4に示す。
比較例3
(実質的に酸化錫のみからなる導電性酸化錫粉末(第2の酸化錫粉末)の製造)
洗浄水の伝導度が80μSになるまで洗浄した以外は、比較例1と同様にして酸素欠損型の実質的に酸化錫のみからなる導電性酸化錫粉末(導電性酸化錫粉末C)を得た。
該粉末について、比較例1と同様にして、粉体pH及び残留塩分を測定した。粉体pHは5.6であり、残留塩分は0.2μmol/gであった。
(有機表面処理層が形成された導電性酸化錫粉末の製造:乾式法)
導電性酸化錫粉末Aに代えて導電性酸化錫粉末Cを用い、且つ、コーティング剤Bに代えてコーティング剤Fを用いた以外は、実施例2と同様にして導電性酸化錫粉末を得た。該導電性酸化錫粉末の酸化錫粉末に対する有機表面処理層の被覆量を表1に示す。
また、該導電性酸化錫粉末について、比較例1と同様にして、諸特性を測定した。結果を表2〜表4に示す。


表1〜表4より、粉体pH及び残留塩分が特定範囲内にある酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理を行った導電性酸化錫粉末(実施例1〜実施例6)は、経時変化による抵抗値の上昇が極めて小さく、撥水性及び流動性が高く、塗料の粘度が低く、塗料の粘度の経時変化も小さく、ヘイズの数値が低く且つその経時変化が小さく、また、撥水性が高いことから樹脂や有機溶剤との濡れ性が良いことが判る。また、該導電性酸化錫粉末は、塗料の粘度の経時変化が小さいことから、該粉末を用いて作製した導電性ペーストや導電性塗料は、ペーストや塗料に変色や粘度上昇等の悪影響を与えることが実質的にないか又は非常に少ないことが判る。
一方、有機表面処理を行っていない導電性酸化錫粉末(比較例1)は、経時変化による抵抗値の上昇が極めて大きく、撥水性及び流動性が低く、塗料の粘度の経時変化が大きく、ヘイズの数値が高く且つその経時変化が大きく、また、撥水性が低いことから樹脂や有機溶剤との濡れ性が悪いことが判る。
また、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理を行っているものの酸化錫粉末の残留塩分が非常に大きい導電性酸化錫粉末(比較例2)は、塗料の粘度の経時変化が大きく、ヘイズの数値が高く且つその経時変化が大きいことが判る。
また、酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理を行っているものの酸化錫粉末の粉体pHが大きく且つ残留塩分が非常に少ない導電性酸化錫粉末(比較例3)は、抵抗値が導電性酸化錫粉末の製造直後から非常に大きくて導電性が悪いことが判る。
本発明に係る導電性酸化錫粉末、その製造方法、導電性ペースト及び導電性塗料は、精密電子機器の静電気障害防止、静電気災害の発生防止、防塵等のためのハウジング、建材、繊維、機械部品;電池等の用途に使用することができる。



Claims (8)

  1. 酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層が形成された実質的にアンチモンを含まない導電性酸化錫粉末であって、前記有機表面処理層が脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤を乾燥させて形成されるものであり、前記酸化錫粉末は粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gであることを特徴とする導電性酸化錫粉末。
  2. 前記酸化錫粉末中の酸化錫が、酸素欠損型の酸化錫であることを特徴とする請求項1記載の導電性酸化錫粉末。
  3. 前記酸化錫粉末中の酸化錫が、還元焼成により得られたものであることを特徴とする請求項2記載の導電性酸化錫粉末。
  4. 前記有機表面処理層が、前記酸化錫粉末100重量部に対して0.05重量部〜10重量部形成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の導電性酸化錫粉末。
  5. 実質的にアンチモンを含まず、粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gである酸化錫粉末を、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤に浸漬した後、乾燥させて、前記酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成することを特徴とする導電性酸化錫粉末の製造方法。
  6. 実質的にアンチモンを含まず、粉体pHが1.5〜4且つ残留塩分が0.7μmol/g〜300μmol/gである酸化錫粉末に、少なくとも脂肪酸、脂肪酸化合物、油脂、ゼラチン、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機表面処理成分を含むコーティング剤に塗布した後、乾燥させて、前記酸化錫粉末の粒子表面に有機表面処理層を形成することを特徴とする導電性酸化錫粉末の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の導電性酸化錫粉末と樹脂とを含み、前記導電性酸化錫粉末を50重量%〜98重量%含むことを特徴とする導電性ペースト。
  8. 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の導電性酸化錫粉末と樹脂とを含み、前記導電性酸化錫粉末を0.1重量%以上50重量%未満含むことを特徴とする導電性塗料。


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