JP7010289B2 - 光熱変換層とその製造方法、および当該光熱変換層を用いたドナーシート - Google Patents

光熱変換層とその製造方法、および当該光熱変換層を用いたドナーシート Download PDF

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Description

本発明は、光熱変換層とその製造方法、および当該光熱変換層を用いたドナーシートに関する。
光熱変換層は、赤外線や近赤外線が照射された部分が発熱し、照射されなかった部分は発熱しない特性を有する層である。そこで、当該光熱変換層へ、赤外線レーザや近赤外線レーザを照射することで、所望の箇所のみで発熱させることが可能になることから、エレクトロニクス、医療、農業、機械、等の広い範囲に分野において適用が期待されている。
尤も、喫緊の用途としては、エレクトロニクス分野において、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造に用いるドナーシートとしての用途が考えられる。そこで、以下、当該ドナーシートの場合を例として、光熱変換層について説明する。
基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する方法として、メタルマスク法、レーザ転写法、インクジェット法等が検討されてきた。メタルマスク法は次世代大型ディスプレイデバイスなどの大面積化への対応が困難であり、インクジェット法は適用への技術的課題が多く残されていることから、大型ディスプレイ向けのプロセスとしてはレーザ転写法が主流となるとみられている。
レーザ転写法はいくつかの方法があるが、ドナーシートと呼ばれるフィルムを用いて成膜を行う方式が主流である。ドナーシートとしては例えば、フィルム基材に光熱変換(LTHC:Light To Heat Conversion)層と呼ばれる光を吸収する層と、被転写層として例えばエレクトロルミネッセンス特性を持つ有機化合物の層とを成膜したものが用いられている。レーザ転写法により、基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する方法について様々な提案がなされているが、基本的な動作原理は共通である。すなわち、光熱変換層の特定箇所にレーザ光が照射されることで、光熱変換層に光が吸収されて熱が発生し、熱の作用により被転写層として形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を転写することができる。
ドナーシートの光熱変換層の光吸収材料としてはさまざまな材料が提案されている。例えば特許文献1では、赤外領域において光を吸収する染料、カーボンブラックのような有機及び無機吸収材料、金属類、金属酸化物または金属硫化物およびその他既知の顔料および吸収材が開示されている。特許文献2では染料、顔料、金属、金属化合物、金属フィルム等が開示されている。特許文献3では黒色アルミニウムが開示されている。特許文献4ではカーボンブラック、黒鉛や赤外線染料が開示されている。
上述したように、レーザ転写法により例えば有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する場合、ドナーシートの光熱変換層における所望の箇所にレーザ光を照射し、ドナーシートに含まれる有機エレクトロルミネッセンス素子を転写することにより行うことができる。しかし、ドナーシート中に例えば異物や塗布ムラ等の欠陥が含まれる場合、レーザ照射箇所の有機エレクトロルミネッセンス素子が正常に転写されず、ディスプレイデバイスとなった際に点灯がされないドットが生じる原因となる。この為、歩留まり向上のためにはレーザ転写の前に欠陥を含むドナーシートを目視あるいは可視光センサ等により検出することが考えられる。
しかしながら、光熱変換層に適用する光吸収材料として特許文献1~4に提案された材料を用いた場合、光熱変換層の可視光の透過性が十分ではない。すなわち、特許文献1~4に開示された光吸収材料を用いた場合、光熱変換層は光透過性を実質的に有しない非常に暗い黒色を示すこととなる。このため、係る光熱変換層をドナーシートに適用した場合、目視や可視光センサ等により欠陥を検出することは出来ないと考えられた。
そこで、本出願人は、近赤外線吸収粒子である複合タングステン酸化物微粒子と、バインダー成分とを含有する可視光透過性を具備した光熱変換層と、当該光熱変換層を用いたドナーシートとを特許文献5として開示した。
特表2000-515083号公報 特表2002-534782号公報 特許第3562830号公報 特開2004-200170号公報 特開2016-009634号公報
上述したように、本出願人が開示した可視光透過性を具備した光熱変換層と、当該光熱変換層を用いたドナーシートとにより、目視や可視光センサ等による欠陥検出が可能になった。
しかし、最近の有機エレクトロルミネッセンス素子の技術革新に伴い、レーザ光の照射によるドナーシートに含まれる有機エレクトロルミネッセンス素子の転写精度に対する要求が格段に高まってきた。
ここで、本発明者らの検討によると、上述した特許文献5に開示した、従来の技術に係る近赤外線吸収粒子である複合タングステン酸化物微粒子と、バインダー成分とを含有する可視光透過性を具備した光熱変換層と、当該光熱変換層を用いたドナーシートでは、当該レーザ光の照射による有機エレクトロルミネッセンス素子の、高い精度での転写が困難になる場合があることを知見した。
本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、可視光透過性を備え、近赤外線吸収特性がすぐれ、エレクトロニクス、医療、農業、機械、等の広い範囲に分野において適用出来、さらにレーザ光の照射による有機エレクトロルミネッセンス素子の転写精度を向上させることの出来る光熱変換層とその製造方法、当該光熱変換層を用いたドナーシートとを提供することである。
上述の課題を解決する為、本発明者らは研究を行った。そしてシリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上である複合タングステン酸化物微粒子に想到した。
当該所定のXRDピーク強度を有する複合タングステン酸化物微粒子は近赤外線吸収特性がすぐれており、例えばレーザ光の照射による有機エレクトロルミネッセンス素子の転写精度を向上させることを初めとする、発熱位置の精度が高く汎用性の高い光熱変換層、当該光熱変換層を用いたドナーシート等を実現出来ることに想到し、本発明を完成した。
即ち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
近赤外線吸収粒子と、バインダー成分とを含有し、
前記近赤外線吸収粒子は、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上の複合タングステン酸化物微粒子である、光熱変換層である。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、化学式がMWO(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子である、第1の発明に記載の光熱変換層である。
第3の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を持つ、第1または第2の発明に記載の光熱変換層である。
第4の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が200nm以下である、第1から第3の発明のいずれかに記載の光熱変換層である。
第5の発明は、
前記光熱変換層の厚さが5μm以下である、第1から第4の発明のいずれかに記載の光熱変換層である。
第6の発明は、
基材上に塗布された、前記近赤外線吸収粒子、分散剤、溶媒、およびバインダー成分を含有するインクの乾燥硬化物である、第1から第5の発明のいずれかに記載の光熱変換層である。
第7の発明は、
第1から第6の発明のいずれかに記載の光熱変換層と、フィルム基材と、被転写層とを有するドナーシートである。
第8の発明は、
近赤外線吸収粒子と、バインダー成分とを含有する光熱変換層の製造方法であって、
前記赤外線吸収材料超微粒子が複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記複合タングステン酸化物粒子を、そのXRDピークトップ強度の比の値が、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、0.13以上となるように焼成して得、
前記XRDピークトップ強度の比の値を0.13以上に保ちながら、前記得られた複合タングステン酸化物粒子を、前記バインダー成分中へ加える光熱変換層の製造方法である。
本発明の光熱変換層によれば、低いヘイズで可視光線の透明性を備えながら、近赤外線を吸収し、熱が発生させることができる。すなわち、本発明の光熱変換層の光の照射を受けた個所のみが高精度な発熱位置となり発熱する。そして、本発明の光熱変換層の光熱変換による熱が熱源となる。
六方晶を有する複合タングステン酸化物の結晶構造の模式図である。 ドナーシートの断面構成例の説明図である。
上述の課題を解決する為、本発明者らは研究を行った。そして、特許文献5に開示した、従来の技術に係る近赤外線吸収粒子である複合タングステン酸化物微粒子と、バインダー成分とを含有する可視光透過性を具備した光熱変換層においては、バインダー成分中に分散している複合タングステン酸化物微粒子に起因したヘイズが発生していることに想到した。当該ヘイズは照射されたレーザ光を散乱し、この結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の転写精度の向上が阻害されていることに想到したものである。
ここで、本発明者らは、ヘイズの低減方法を研究した。そして、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上である複合タングステン酸化物微粒子に想到した。
当該所定のXRDピーク強度を有する複合タングステン酸化物微粒子は近赤外線吸収特性がすぐれ、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子より少ない使用量でも、十分な近赤外線吸収特性を発揮することを知見したものである。そして、可視光透過性を具備した光熱変換層における複合タングステン酸化物微粒子の使用量を低減することでヘイズを低減し、可視光透過性を担保しながら、さらに、例えばレーザ光の照射による有機エレクトロルミネッセンス素子の転写精度を向上させることを初めとする、発熱位置の精度が高く汎用性の高い光熱変換層と、当該光熱変換層を用いたドナーシートとを実現出来ることに想到した。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本発明に係るドナーシートについて、ドナーシートの断面構成例である図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、ドナーシート20は、例えばフィルム基材21の一方の面21A上に、近赤外線吸収粒子221を含む光熱変換層22と、被転写層23と、を積層した構造を有する。そこで、本発明に係るドナーシートの構成について、[1]光熱変換層、[2]フィルム基材、[3]被転写層、[4]ドナーシート、の順に説明する。
[1]光熱変換層
本発明に係る光熱変換層は、近赤外線吸収粒子とバインダー成分とを含有し、当該近赤外線吸収粒子がバインダー成分中に分散している。以下、(1)近赤外線吸収粒子、(2)バインダー成分、(3)光熱変換層の構成、の順に説明する。
(1)近赤外線吸収粒子
本発明に係る近赤外線吸収粒子は、光熱変換層にレーザ光を照射した場合に、係るレーザ光を吸収し、熱を発生することができる材料を選択することができる。ただし、本実施形態の光熱変換層は可視光透過性を備えていることから、近赤外線吸収粒子についても可視領域の光については透過性が高い材料であることが好ましい。
具体的には、近赤外線吸収粒子は複合タングステン酸化物微粒子であり、特に、近赤外領域のレーザ光を吸収し、熱を発生することができ、かつ可視領域の光の透過率が高い材料であることが好ましい。以下、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子について、1)組成、2)結晶構造、3)XRDピークトップ強度の比の値、4)アモルファス相の体積比率・結晶子径、5)光熱変換層における近赤外線吸収粒子の分散粒子径、の順に説明する。
尚、本発明に係る光熱変換層においては近赤外線吸収性粒子として、複合タングステン酸化物微粒子を好適に用いられるが、複数の異なる種類の近赤外線吸収性粒子を含むことができる。
1)組成
複合タングステン酸化物微粒子は、例えば化学式がMWO(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子とから選ばれる1種類以上であることが好ましい。
次に、化学式MWOで示される複合タングステン酸化物微粒子について説明する。
近赤外線吸収粒子としては、タングステン酸化物にさらに元素Mを添加した複合タングステン酸化物(MWO)を用いることもできる。タングステン酸化物に元素Mを添加して複合タングステン酸化物とした場合、当該複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外領域に自由電子由来のより強い吸収特性が発現する。このため、波長1000nm付近の近赤外線を吸収する近赤外線吸収粒子として有効となり好ましい。
複合タングステン酸化物微粒子を示す化学式MWO中、Wはタングステン、Oは酸素を示している。また、上記式中の元素Mとしては例えば、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上の元素であることが好ましい。
特に元素Mを添加された当該複合タングステン酸化物微粒子における安定性の観点から、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上の元素であることがより好ましい。
複合タングステン酸化物微粒子の光学特性と耐候性を向上させる観点からは、上述した元素Mとしてより好ましい元素の内、アルカリ金属、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素(希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Hf、Os)に属するものがさらに好ましい。
複合タングステン酸化物微粒子については、タングステン酸化物の酸素量の制御と、自由電子を生成する元素Mの添加とを併用することで、より効率の良い近赤外線吸収粒子を得ることができる。酸素量の制御と、自由電子を生成する元素Mの添加とを併用した場合、複合タングステン酸化物を示す化学式MWOにおいて、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0の関係を満たすことが好ましい。
ここで、上述の複合タングステン酸化物の化学式中の元素Mの添加量を示すyの値について説明する。yの値が0.1以上の場合、十分な量の自由電子が生成され、目的とする近赤外線吸収効果を得ることができるため好ましい。そして、元素Mの添加量が多いほど自由電子の供給量が増加し、近赤外線吸収効率も上昇するが、yの値が0.5程度で当該効果も飽和する。また、yの値が0.5以下であれば、当該近赤外線吸収粒子中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
次に、酸素量の制御を示すzの値について説明する。zの値については、MWOで表記される近赤外線吸収粒子においても、Wで表記される近赤外線吸収材料と同様の機構が働くことに加え、z=3.0においても上述した元素Mの添加量による自由電子の供給がある。このため、2.2≦z≦3.0が好ましい。
2)結晶構造
複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物の結晶構造は特に限定されるものではなく、任意の結晶構造の複合タングステン酸化物を含有することができる。ただし、複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物が六方晶の結晶構造を有する場合、当該粒子の可視領域の光の透過率、及び近赤外領域の光の吸収が特に向上するため好ましい。
係る六方晶の結晶構造の模式的な平面図を図1に示す。図1において、符号11で示されるWO単位により形成される8面体が、6個集合して六角形の空隙(トンネル)が構成されている。そして、当該空隙中に、符号12で示される元素Mを配置して1箇の単位を構成し、この1箇の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。
このように、複合タングステン酸化物微粒子がWO単位で形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、該空隙中に元素Mを配置した単位構造を含む複合タングステン酸化物を含有する場合、可視領域の光の透過率及び近赤外領域の光の吸収を特に向上できる。なお、複合タングステン酸化物微粒子全体が図1に示した構造を有する結晶質の複合タングステン酸化物微粒子により構成されている必要はなく、例えば局所的に係る構造を有する場合でも可視領域の光の透過率及び近赤外領域の光の吸収を向上する効果を得ることができる。このため、複合タングステン酸化物微粒子全体としては、結晶質であっても非晶質であってもよい。
複合タングステン酸化物の元素Mとして、イオン半径の大きな元素Mを添加したときに上述の六方晶が形成され易い。具体的には元素Mとして例えばCs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上を添加したとき六方晶が形成され易い。なお、六方晶が形成されるためには、これら以外の元素でもWO 単位で形成される六角形の空隙に元素Mが存在すれば良く、元素Mとして上記元素を添加した場合に限定される訳ではない。
複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物の結晶構造を、均一な六方晶とする場合、元素Mの添加量は、yの値で0.20以上0.50以下が好ましく、0.25以上0.40以下であることがさらに好ましい。yについては既述のように、2.2≦z≦3.0とすることが好ましい。なお、z=3.0の時、yの値が0.33となることで、元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
また、複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物は、上述の六方晶以外に、正方晶、立方晶のタングステンブロンズの構造をとることもでき、係る構造の複合タングステン酸化物も近赤外線吸収材料として有効である。複合タングステン酸化物はその結晶構造によって、近赤外領域の吸収位置が変化する傾向がある。例えば、近赤外領域の吸収位置は、立方晶よりも正方晶のときの方が長波長側に移動し、さらに六方晶のときは正方晶のときよりも長波長側に移動する傾向がある。また、当該吸収位置の変動に付随して、可視領域の光の吸収は六方晶が最も少なく、次に正方晶であり、立方晶はこれらの中では可視領域の光の吸収が最も大きい。よって、可視領域の光の透過率が高く、近赤外領域の光の吸収率が高いことが求められる用途には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加した元素Mの種類や、添加量、酸素量によっても変化するものであり、本実施形態の光熱変換層に用いる赤外吸収性粒子の材料がこれに限定されるわけではない。
本実施形態の光熱変換層に用いることができる複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物の結晶構造は上述のように限定されず、例えば、異なる結晶構造の複合タングステン酸化物を同時に含んでいてもよい。
ただし、上述のように六方晶の複合タングステン酸化物微粒子は可視光の透過率と、近赤外の光の吸収を高めることができるため、本実施形態の光熱変換層に用いる近赤外線吸収粒子として特に好ましく用いることができる。そして、元素Mとして例えばセシウムを用いた場合、複合タングステン酸化物の結晶構造が六方晶となり易いことから、複合タングステン酸化物微粒子として、六方晶セシウム酸化タングステン微粒子や六方晶ルビジウム酸化タングステン微粒子をより好ましく用いることができる。
3)XRDピークトップ強度の比の値
本発明の発明者らの検討によると、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上である複合タングステン酸化物微粒子は波長1000nm近傍の光についてモル吸光係数が非常に高い。さらに、可視領域の光の透過率が高く、赤外領域、特に近赤外領域の光の透過率が低いため、可視領域の光の透過率と、近赤外領域の光の透過率とのコントラストが大きい。従って、光熱変換層に複合タングステン酸化物微粒子を近赤外領域の光を十分吸収する量を添加した場合でも、特に可視領域の光の透過率を高く維持することができ、近赤外線吸収粒子として特に好適に用いることができる。
さらに、近赤外線吸収特性の観点から、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面に係るXRDピーク強度を1としたときの、前記複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度の比の値が0.13以上である。
ここで標準試料は、当業界にて普遍性のあるシリコン粉末標準試料(NIST製、640c)を使用することとし、複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークと重なり合わない、前記シリコン粉末標準試料における(220)面を基準とすることとした。
さらに客観的な定量性を担保するため、その他の測定条件も常に一定にすることとした。
具体的には、深さ1.0mmの試料ホルダーへ、X線回折測定の際における公知の操作によって微粒子試料を充填する。具体的には、微粒子試料において優先方位(結晶の配向)が生じるのを回避する為、ランダム且つ徐々に充填し、尚且つムラなく出来るだけ密に充填することが好ましい。
X線源として、陽極のターゲット材質がCuであるX線管球を45kV/40mAの出力設定で使用し、ステップスキャンモード(ステップサイズ:0.0165°(2θ)および計数時間:0.022m秒/ステップ)のθ-2θの粉末X線回折法で測定することとしたものである。
このとき、X線管球の使用時間によってXRDピーク強度は変化するので、X線管球の使用時間は試料間で殆ど同じであることが望ましい。客観的な定量性を確保するため、X線管球使用時間の試料間の差は、最大でもX線管球の予測寿命の20分の1以下に収めることが必要である。より望ましい測定方法として、複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンの測定毎に、シリコン粉末標準試料の測定を実施して、前記XRDピークトップ強度の比を算出する方法が挙げられる。本発明ではこの測定方法を用いた。市販のX線装置のX線管球予測寿命は数千時間以上で且つ1試料当たりの測定時間は数時間以下のものが殆どであるため、上述の望ましい測定方法を実施することで、X線管球使用時間によるXRDピークトップ強度の比への影響を無視できるほど小さくすることが出来る。
また、X線管球の温度を一定とするため、X線管球用の冷却水温度も一定とすることが望ましい。
XRDピークトップ強度は、X線回折パターンにおいて最もピークカウントが高い2θにおけるピーク強度である。そして、六方晶のCs複合タングステン酸化物やRb複合タングステン酸化物では、X線回折パターンにおけるピークカウントの2θは、25° ~31°の範囲に出現する。
上述した複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度は、当該微粒子の結晶性と密接な関係があり、さらには当該微粒子における自由電子密度と密接な関係がある。本発明者らは、当該XRDピークトップ強度が、当該複合タングステン酸化物微粒子の近赤外線遮蔽特性に大きく影響を及ぼすことを知見したものである。具体的には、当該XRDピークトップ強度比の値が0.13以上をとることにより、当該微粒子における自由電子密度が担保され、所望の近赤外線遮蔽特性が得られることを知見したものである。尚、当該XRDピークトップ強度比の値は0.13以上であれば良く、0.7以下であることが好ましい。
4)アモルファス相の体積比率・結晶子径
さらに、複合タングステン酸化物微粒子においては、アモルファス相の体積比率が50%以下である単結晶であることが好ましい。
複合タングステン酸化物微粒子が、アモルファス相の体積比率50%以下である単結晶であると、XRDピークトップ強度を維持しながら結晶子径を200nm以下にすることが出来る。複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径を200nm以下とすることで、その分散粒子径を、当該複合タングステン酸化物微粒子の近赤外線吸収特性の観点から、好ましい範囲である10nm以上200nm以下とすることが出来る。
一方、複合タングステン酸化物微粒子において、分散粒子径は1nm以上200nm以下ではあるが、アモルファス相が体積比率で50%を超えて存在する場合や、多結晶の場合、当該複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度比の値が0.13未満となり、結果的に、近赤外線吸収特性が不十分で近赤外線遮蔽特性を発現が不十分となる場合がある。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、後述する実施例に記載するようにプラズマ合成法、固相反応法により製造することができる。当該プラズマ合成法、固相反応法の製造条件を、複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度比の値が0.13を超えるように設定する。
このとき、近赤外線吸収特性の観点から当該複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径は、10nm以上であることが好ましい。そして、複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が200nm以下10nm以上であることが、より好ましい。結晶子径が200nm以下10nm以上の範囲であれば、XRDピークトップ強度比の値が0.13を超え、さらに優れた赤外線遮蔽特性が発揮されるからである。
尚、後述する解砕、粉砕または分散された後の複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンは、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液中の揮発成分を除去して得られた複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンや、前記分散液から得られる分散体中に含まれる複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンにおいても維持される。
結果的に、複合タングステン酸化物微粒子分散液や該分散液から得られる複合タングステン酸化物微粒子分散体中の複合タングステン酸化物微粒子のXRDパターン、XRDピークトップ強度、結晶子径など結晶の状態が、本発明で用いることができる複合タングステン酸化物微粒子の結晶の状態であれば、本発明の効果は発揮される。
尚、複合タングステン酸化物微粒子が単結晶であることは、透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡像において、各微粒子内部に結晶粒界が観察されず、一様な格子縞のみが観察されることから確認することができる。また、複合タングステン酸化物微粒子においてアモルファス相の体積比率が50%以下であることは、同じく透過型電子顕微鏡像において、粒子全体に一様な格子縞が観察され、格子縞が不明瞭な箇所が殆ど観察されないことから確認することができる。アモルファス相は粒子外周部に存在する場合が多いので、粒子外周部に着目することで、アモルファス相の体積比率を算出可能な場合が多い。例えば、真球状の複合タングステン酸化物微粒子において、格子縞が不明瞭なアモルファス相が当該粒子外周部に層状に存在する場合、その粒子径の20%以下の厚さであれば、当該複合タングステン酸化物微粒子におけるアモルファス相の体積比率は、50%以下である。
一方、複合タングステン酸化物微粒子が、複合タングステン酸化物微粒子分散体を構成する塗布膜、塗布膜に所定の操作を施して当該塗布膜の樹脂を硬化させた膜(本発明において「硬化膜」と記載する場合がある。)、樹脂等の内部で分散している場合、当該分散している複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径から結晶子径を引いたとの差違が20%以下であれば、当該複合タングステン酸化物微粒子は、アモルファス相の体積比率50%以下の単結晶であると言える。
ここで、複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径は、硬化膜(光熱変換層)の透過型電子顕微鏡像から画像処理装置を用いて複合タングステン酸化物微粒子100個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めることが出来る。そして、複合タングステン酸化物微粒子分散体に分散された複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径と結晶子径との差が20%以下になるように、複合タングステン酸化物微粒子の合成工程、粉砕工程、分散工程を、製造設備に応じて適宜調整すればよい。
5)光熱変換層における近赤外線吸収粒子の分散粒子径
近赤外線吸収粒子の光熱変換層における分散粒子径は、特に限定されるものではなく、光熱変換層に要求される透明性の程度や、レーザ光の吸収の程度等に応じて任意に選択することができる。例えば、近赤外線吸収粒子は微粒子であることが好ましく、具体的には近赤外線吸収粒子の分散粒子径が1nm以上200nm以下であることが好ましい。
近赤外線吸収粒子の分散粒子径が、1nm以上200nm以下であれば、幾何学散乱またはミー散乱によって光を散乱することが無くなるいので、ヘイズ(曇り)が減少する。この結果を、例えばレーザ光の照射による有機エレクトロルミネッセンス素子等の転写に用いた場合、本発明に係る光熱変換層は光を散乱しないので、加工位置などの精度を向上させる観点、および、可視光透過率の増加を図る観点から好ましいからである。さらに、レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上する。そこで、分散粒子径が200nm以下となると散乱光は非常に少なくなり、より透明性が増す観点から好ましい。
当該、高い位置の精度をもって、所望の箇所のみで発熱させることが可能になることから、エレクトロニクス、医療、農業、機械、等の広い範囲に分野において適用可能であると考えられる。
例えば、エレクトロニクスにおける有機エレクトロルミネッセンスの分野においては、熱硬化樹脂の硬化や熱転写等が可能となる。具体的には、本発明の光熱変換層をレーザ光の照射による有機エレクトロルミネッセンス素子等の製造に用いるドナーシートに応用すれば、低いヘイズのため、転写の精度を向上させることの出来る、可視光透過性を備えたドナーシートを製造することが出来る。
以上の観点より、光熱変換層のヘイズは3%以下であることが好ましい。
尚、分散粒子径とはレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味しており、本明細書において他の部分でも分散粒子径は同じ意味を有している。
これは、近赤外線吸収粒子の分散粒子径を1nm以上とすることにより、例えばドナーシートに適用した場合にレーザ光を十分に吸収することができるためである。また、近赤外線吸収粒子の分散粒子径が200nm以下とすることにより、近赤外線吸収粒子を例えば分散剤や溶媒等と混合した際に、安定して分散させることができ、基材上に特に均一に塗布することができるためである。また、散乱により光を完全に吸収することが無く、特に可視領域の光の透過性を保持して光熱変換層の透明性を高めることができる。
(2)バインダー成分
バインダー成分としては特に限定されるものではなく、任意のバインダー成分を用いることができる。ただし、本発明においては、可視光透過性を備えた光熱変換層を提供することを目的とすることから、固体状になった場合の可視光透過性に優れたバインダー成分を用いることが好ましい。また、光熱変換層に対してレーザ光を照射した場合に、光熱変換層に含まれる近赤外線吸収粒子に当該レーザ光を照射できるよう、赤外領域、特に近赤外領域の光の透過性も優れたバインダー成分を用いることが好ましい。
バインダー成分としては具体的には例えば、UV硬化樹脂(紫外線硬化樹脂)、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑樹脂等が目的に応じて選定可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独使用であっても混合使用であっても良い。また、バインダー成分として金属アルコキシドの利用も可能である。金属アルコキシドとしては、Si、Ti、Al、Zr等のアルコキシドが挙げられる。これら金属アルコキシドを用いたバインダーは、加熱等により加水分解・縮重合させることで、酸化物膜を形成することが可能である。
(3)光熱変換層と、その構成
上述したように本発明に係る光熱変換層は、高い位置の精度をもって、所望の箇所のみで発熱させることが可能である。この結果、エレクトロニクス、医療、農業、機械、等の広い範囲に分野において適用可能であると考えられるものである。
以下、本発明に係る光熱変換層の構成について、1)近赤外線吸収粒子とバインダー成分との比率、2)光熱変換層の日射透過率、3)光熱変換層の厚さ、4)光熱変換層の製造方法、の順に説明する。
1)近赤外線吸収粒子とバインダー成分との比率
光熱変換層に含まれる近赤外線吸収粒子と、バインダー成分との比率は特に限定されるものではなく、光熱変換層の厚さや、光熱変換層に要求されるレーザ光の吸収特性等に応じて任意に選択することができ、特に限定されるものではない。ただし、例えば各種用途において光熱変換層を使用する際、光熱変換層が膜の形態を保てるように近赤外線吸収粒子と、バインダー成分との比率を選択することが好ましい。
光熱変換層は、上述した近赤外線吸収粒子、及びバインダー成分以外にもさらに任意の成分を添加することができる。また、後述のように、光熱変換層を形成する際、光熱変換層の原料となるインクには例えば分散剤や、溶媒等を添加することができ、これらの成分が残留し、光熱変換層に含まれていても良い。
2)光熱変換層の日射透過率
本発明に係る光熱変換層は、日射透過率が45%以下であることが好ましい。光熱変換層の日射透過率が45%以下であれば、当該光熱変換層において十分な発熱が得られるからである。
これは、例えばドナーシートにおいて被転写層を転写する際には主に近赤外領域、特に波長1000nm近傍の波長を有するレーザ光が用いられている。このため、光熱変換層は係る領域の光の吸収率が高いことが好ましいからである。すなわち、係る領域の光の透過率が低いことが好ましい。そして、日射透過率が45%以下の場合、光熱変換層は波長1000nm近傍の光を十分に吸収し、熱発生することができるため好ましい。波長1000nm近傍の光を十分に吸収するため、光熱変換層の波長1000nmの透過率は20%以下が好ましく、さらに15%以下であることがより好ましい。
光熱変換層の厚さは特に限定されるものではなく、光熱変換層に添加した近赤外線吸収粒子の赤外線の吸収特性、光熱変換層内の近赤外吸収性粒子の充填密度、要求される可視光透過率、日射透過率の程度等に応じて任意に選択できる。
3)光熱変換層の厚さ
本発明に係る光熱変換層の厚さは、5μm以下とすることが好ましく、3μm以下とすることがより好ましい。これは光熱変換層の厚さが厚くなると、光熱変換層にレーザ光を照射した際に生じた熱が拡散しやすくなるためである。例えばドナーシートの光熱変換層として用いた場合、レーザ光を照射した点から面内方向に熱が拡散すると、レーザ光を照射していない部分についても被転写層が剥離し転写される恐れがあり、好ましくないためである。
光熱変換層の厚さの下限値は特に限定されるものではなく、近赤外線吸収粒子の近赤外線吸収特性等に応じて任意に選択することができる。尤も、光熱変換層の厚さは500nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。これは光熱変換層の厚さが500nm以上であれば、レーザ光を照射した際に生じる熱量を確保出来るので、光熱変換層内に分散している近赤外線吸収粒子の密度を過度に高めることなく、光熱変換層の形状を維持することが容易だからである。
4)光熱変換層の製造方法
本発明に係る光熱変換層の製造方法の一構成例について説明する。
上述の光熱変換層は、例えば近赤外線吸収粒子、分散剤、溶媒、及びバインダー成分を含有するインクを製造し、当該インクを基材上に塗布し、塗布したインクを乾燥させた後、乾燥させたインクを硬化させることにより形成することができる。
尚、近赤外線吸収粒子、分散剤、溶媒、及びバインダー成分を含有するインクを塗布する基材は、例えばフィルム基材がある。当該基材は、フィルム基材のみから構成することもできるが、フィルム基材上に任意の層を形成した物を用いることもできる。
従って、近赤外線吸収粒子、分散剤、溶媒、及びバインダー成分を含有するインクを基材上に塗布するとは、上述のインクをフィルム基材上に直接塗布する場合に限定されるものではない。例えば、フィルム基材上に後述する中間層等を形成し、フィルム基材上に形成された該中間層上に係るインクを塗布する場合も包含する。このようにフィルム基材上に任意の層を配置した場合も、インクを塗布後、インクを乾燥、硬化させることにより光熱変換層を形成することもできる。
以下、本発明に係る光熱変換層の製造方法について、(I)インクの製造工程、(II)インクの塗布工程、(III)インクの乾燥工程、(IV)インクの硬化工程、(V)製造された光熱変換層、の順に説明する。
(I)インクの製造工程
本発明に係るインクは、上述した近赤外線吸粒子と、分散剤と、溶媒と、上述したバインダー成分、等を含有している。
以下、本発明に係るインクの製造工程について(i)分散剤、(ii)溶媒、(iii)インクにおける分散剤、溶媒の添加量、(iv)粉砕・分散工程、(v)混合工程、の順に説明する。
(i)分散剤
分散剤は、インクにした際に近赤外線吸収粒子を溶媒中で安定して分散するための添加剤であり、公知の各種分散剤を用いることができる。
尤も、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有するものであることが好ましい。これらの官能基は、複合タングステン酸化物微粒子の表面に吸着して凝集を防ぎ、インク中や光熱変換層においても本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を均一に分散させる効果を持つ。これらの官能基のいずれかを分子中にもつ高分子系分散剤がさらに好ましい。
例えばアクリル系高分子分散剤等の高分子系分散剤やシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を好ましく用いることができる。
市販の分散剤における好ましい具体例としては、日本ルーブリゾール(株)製SOLSPERSE3000、SOLSPERSE9000、SOLSPERSE11200、SOLSPERSE13000、SOLSPERSE13240、SOLSPERSE13650、SOLSPERSE13940、SOLSPERSE16000、SOLSPERSE17000、SOLSPERSE18000、SOLSPERSE20000、SOLSPERSE21000、SOLSPERSE24000SC、SOLSPERSE24000GR、SOLSPERSE26000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE28000、SOLSPERSE31845、SOLSPERSE32000、SOLSPERSE32500、SOLSPERSE32550、SOLSPERSE32600、SOLSPERSE33000、SOLSPERSE33500、SOLSPERSE34750、SOLSPERSE35100、SOLSPERSE35200、SOLSPERSE36600、SOLSPERSE37500、SOLSPERSE38500、SOLSPERSE39000、SOLSPERSE41000、SOLSPERSE41090、SOLSPERSE53095、SOLSPERSE55000、SOLSPERSE56000、SOLSPERSE76500等;
ビックケミー・ジャパン(株)製Disperbyk-101、Disperbyk-103、Disperbyk-107、Disperbyk-108、Disperbyk-109、Disperbyk-110、Disperbyk-111、Disperbyk-112、Disperbyk-116、Disperbyk-130、Disperbyk-140、Disperbyk-142、Disperbyk-145、Disperbyk-154、Disperbyk-161、Disperbyk-162、Disperbyk-163、Disperbyk-164、Disperbyk-165、Disperbyk-166、Disperbyk-167、Disperbyk-168、Disperbyk-170、Disperbyk-171、Disperbyk-174、Disperbyk-180、Disperbyk-181、Disperbyk-182、Disperbyk-183、Disperbyk-184、Disperbyk-185、Disperbyk-190、Disperbyk-2000、Disperbyk-2001、Disperbyk-2020、Disperbyk-2025、Disperbyk-2050、Disperbyk-2070、Disperbyk-2095、Disperbyk-2150、Disperbyk-2155、Anti-Terra-U、Anti-Terra-203、Anti-Terra-204、BYK-P104、BYK-P104S、BYK-220S、BYK-6919等;
BASFジャパン(株)社製 EFKA4008、EFKA4046、EFKA4047、EFKA4015、EFKA4020、EFKA4050、EFKA4055、EFKA4060、EFKA4080、EFKA4300、EFKA4330、EFKA4400、EFKA4401、EFKA4402、EFKA4403、EFKA4500、EFKA4510、EFKA4530、EFKA4550、EFKA4560、EFKA4585、EFKA4800、EFKA5220、EFKA6230、JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL611、JONCRYL680、JONCRYL682、JONCRYL690、JONCRYL819、JONCRYL-JDX5050等;
味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPB-711、アジスパーPB-821、アジスパーPB-822等が挙げられる。
(ii)溶媒、
溶媒は、インクを製造する場合に近赤外線吸収粒子を分散させるための溶媒であり、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、水系など、種々のものを選択することが可能である。具体的には例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;3-メチル-メトキシ-プロピオネートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;フォルムアミド、N-メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。これらの中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特に、イソプロピルアルコール、エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n-ブチルなどがより好ましい。これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(iii)インクにおける分散剤、溶媒の添加量
分散剤、溶媒の添加量に関しても特に限定されるものではない。
分散剤については近赤外線吸収粒子の添加量と、分散剤の分散性能等に応じて任意にその添加量を選択することができる。
また、溶媒については、基材上にインクを塗布する際の作業性や、塗布後の乾燥工程に要する時間等を考慮して任意のその添加量を選択することができる。
また、インクには、上述の近赤外線吸収粒子、分散剤、溶媒、バインダー以外にも必要に応じて任意の添加成分を添加することができる。例えば近赤外線吸収粒子の分散性を高めるために、界面活性剤等のコーティング補助剤を添加しても良い。
インクを調製する方法は特に限定されるものではなく、上述のインクの原料となる材料を所望の比率となるように秤量、混合することで調製することができる。
(iv)粉砕・分散工程
近赤外線吸収粒子と、分散剤と、溶媒とを予め粉砕・分散することにより、分散液を調製した後、得られた分散液にバインダー成分を添加してインクとすることができる。近赤外線吸収粒子と、分散剤と、溶媒とを粉砕・分散する方法は特に限定されるものではないが、例えば、ペイントシェーカーや、超音波照射、ビーズミル、サンドミル等を用いて実施することができる。
分散液における近赤外線吸収粒子の分散粒子径は1nm以上200nm以下であることが好ましい。
そして当該近赤外線吸収粒子の粉砕・分散において、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、当該近赤外線吸収粒子のXRDピークトップ強度の比の値が0.13以上を担保出来るように、粉砕・分散の工程条件を設定する。当該設定により、分散液、インクおよびドナーシートにおいて優れた光学的特性が発揮される。
(v)混合工程
分散液とバインダー成分とを混合し、インクとする際には、両者が十分に混ざり合う程度に混合すればよい。このため、分散液の段階で近赤外線吸収粒子の分散粒子径を、光熱変換層において好適な分散粒子径とすることが好ましいためである。
分散液と、バインダー成分とを混合する方法も特に限定されるものではなく、例えば、分散液を調製する際に用いた粉砕・分散手段と同じ手段を用いて分散液と、バインダー成分とを混合することもできる。ただし、上述のようにインクを調製する際には、分散液とバインダー成分とが十分に混ざり合う程度に混合すればよく、分散液を調製した際よりも混合時間は短くすることができる。
(II)インクの塗布工程
インクを基材上に塗布する方法は特に限定されるものではなく、例えばバーコート法、グラビヤコート法、スプレーコート法、ディップコート法等により塗布することができる。
なお、フィルム基材としては特に限定されるものではなく、用途に応じて任意のフィルム基材を用いることができる。例えば後述のドナーシートの場合と同様のフィルム基材を用いることもできる。
(III)インクの乾燥工程
インクの乾燥工程において、インクを乾燥する方法は特に限定されるものではない。例えば用いた溶媒の沸点に応じて加熱温度を選択し、乾燥することができる。
(IV)インクの硬化工程
インクの硬化工程において、乾燥工程で乾燥させたインクを硬化させる方法は特に限定されるものではない。バインダー成分の樹脂等に応じた方法で硬化させることができる。例えば、バインダー成分が紫外線硬化樹脂の場合には紫外線を照射することにより硬化することができる。また、バインダー成分が熱硬化樹脂の場合には、硬化温度まで昇温することにより硬化することができる。
(V)製造された光熱変換層
以上の工程により、本発明に係る光熱変換層を得ることが出来る。本発明に係る光熱変換層は、レーザ光を吸収し、熱を発生させる光熱変換層が要求される各種用途に用いることができ、その用途は特に限定されるものではないが、例えばドナーシートの光熱変換層として好適に用いることができる。
[2]フィルム基材
フィルム基材21は、光熱変換層22や被転写層23を支持する層である。そして、ドナーシート20に対してレーザ光を照射する場合、例えば波長1000nm近傍のレーザ光をフィルム基材21の他方の面21B側から照射することになる。このため、フィルム基材21は係るレーザ光が光熱変換層22まで透過できるように、特に近赤外領域の光の透過性に優れていることが好ましい。また、ドナーシート20中の例えば異物や塗布ムラ等の欠陥を、目視や可視光センサ等により検出できるよう、フィルム基材21は可視光の透過性についても優れていることが好ましい。
このため、フィルム基材21としては、可視光、及び近赤外領域の光の透過性に優れた材料を好ましく用いることができる。具体的には例えば、ガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ふっ素樹脂等から選択される1種以上の材料をフィルム基材21として用いることができる。
フィルム基材21の厚さは特に限定されるものではなく、フィルム基材21に用いる材料の種類や、ドナーシートに要求される可視光や近赤外光の透過性等に応じて任意に選択することができる。
フィルム基材21の厚さは例えば、1μm以上200μm以下とすることが好ましく、2μm以上50μm以下とすることがより好ましい。これは、フィルム基材21の厚さを200μm以下とすることにより、可視光や近赤外光の透過性を高めることができ、好ましいためである。また、フィルム基材21の厚さを1μm以上とすることによりフィルム基材21上に形成した光熱変換層22等を支持し、ドナーシート20が破損することを特に防止できるためである。
[3]被転写層
被転写層23は、ドナーシート20にレーザ光を照射することによりドナーシート20から剥離し、転写する層であり、その構成は特に限定されるものではなく、任意の層とすることができる。また、図2では被転写層23が一層により構成された例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、例えば二層以上からなる被転写層23を構成することもできる。
既述のようにドナーシート20は例えば有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する際に用いることができる。このため、被転写層23は、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、ブロッキング層、電子輸送層等から選択される一層以上を含むように構成することができる。
なお、被転写層23の形成方法は特に限定されるものではなく、層を構成する材料の種類に応じて任意の方法により形成することができる。
また、ドナーシート20は有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する場合だけでなく、電子回路、抵抗器、キャパシタ、ダイオード、整流器、メモリ素子、トランジスタ等の各種電子デバイスや、光導波路等の各種光デバイスなどを形成する場合にも用いることができる。このため、被転写層23は用途に応じて任意の構成とすることができる。
ここまでドナーシートの一構成例について説明したが、ドナーシートの構成は係る形態に限定されるものではなく、さらに任意の層を付加することもできる。例えば光熱変換層22と、被転写層23との間に中間層を設け、被転写層23の転写部分の損傷および汚染を抑制するように構成することもできる。
中間層の構成は特に限定されるものではなく、例えばポリマフィルム、金属層、無機層(例えば、シリカ、チタニア等の無機酸化物層)、有機/無機複合層等により構成することができる。
ドナーシートの各層を積層する順番も図2の形態に限定されるものではない。例えばフィルム基材21の一方の面21A上に被転写層23を、他方の面21B上に光熱変換層22を配置することもできる。
[4]ドナーシート
以上、本発明に係るドナーシートの一構成例について説明したが、本発明に係るドナーシートは、上述した本発明に係る光熱変換層を有している。そして、当該本発明に係る光熱変換層は可視光の透過率が高いため、光熱変換層を通しても目視や可視光センサ等によりドナーシート内の欠陥を検出し、欠陥のあるドナーシートについては検査によって除去することができる。このため、ドナーシートを用いて有機エレクトロルミネッセンス素子等の電子デバイスや、光デバイス等を作製した場合の歩留まりを高めることが可能になる。さらに、本発明に係る光熱変換層はヘイズが低いので、本発明の光熱変換層は、レーザ光の照射による有機エレクトロルミネッセンス素子等の転写の精度を向上させることの出来るドナーシートである。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例1~19と比較例1~5において、光熱変換層とドナーシートを作製し、評価を行った。
[実施例1]
(光熱変換層の作製)
以下の手順により光熱変換層を作製した。
水0.330kgにCsCO0.216kgを溶解し、これをHWO1.000kgに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるCs0.33WO混合粉体を得た。
次に、高周波プラズマ反応装置を用い、真空排気装置により反応系内を約0.1Pa(約0.001Torr)まで真空引きした後、アルゴンガスで完全に置換して1気圧の流通系とした。その後、反応容器内にプラズマガスとしてアルゴンガスを30L/minの流量で導入し、シースガスとしてシースガス供給口より螺旋状にアルゴンガス55L/minとヘリウムガス5L/minの流量で導入した。そして、高周波プラズマ発生用の水冷銅コイルに高周波電力を印加し、高周波プラズマを発生させた。このとき、10000~15000Kの高温部を有している熱プラズマを発生させるため、高周波電力は40KWとした。
前記条件で高周波プラズマを発生させた後、キャリアガスとして、アルゴンガスをガス供給装置から9L/minの流量で供給しながら、上記混合粉体を50g/minの割合で熱プラズマ中に供給した。
その結果、混合粉体は熱プラズマ中にて瞬時に蒸発し、プラズマ尾炎部に至る過程で急冷凝固して微粒化した。当該生成した微粒子は、回収フィルターに堆積した。
当該堆積した微粒子を回収し、粉末X線回折装置(スペクトリス株式会社PANalytical製X‘Pert-PRO/MPD)を用いて粉末X線回折法(θ―2θ法)によりX線回折パターンを測定した。
得られた微粒子の粉末X線回折測定を行った結果、六方晶Cs0.33WO単相と同定された。さらに当該X線回折パターンを用いて、リートベルト解析法による結晶構造解析を行ったところ、得られた微粒子の結晶子径は24.7nmであった。さらに得られた微粒子のX線回折パターンのピークトップ強度の値は、4200カウントであった。
得られた微粒子の組成を、ICP発光分析法により調べた。その結果、Cs濃度が13.6質量%、W濃度が65.3質量%であり、Cs/Wのモル比は0.29であった。CsとW以外の残部は酸素であり、1質量%以上含有されるその他、不純物元素は存在していないことを確認した。
次に、得られた複合タングステン酸化物微粒子を20重量部と、メチルイソブチルケトン64重量部と、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃のアクリル系分散剤)(以下、「分散剤a」と記載する。)16重量部を混合し、3kgのスラリーを調製した。このスラリーをビーズと共に媒体攪拌ミルに投入し、1時間粉砕分散処理を行った。尚、媒体攪拌ミルは横型円筒形のアニュラータイプ(アシザワ株式会社製)を使用し、ベッセル内壁とローター(回転攪拌部)の材質はジルコニアとした。また、ビーズには、直径0.1mmのYSZ(Yttria-Stabilized Zirconia:イットリア安定化ジルコニア)製のビーズを使用した。ローターの回転速度は14rpm/秒とし、スラリー流量0.5kg/minにて粉砕分散処理を行い、実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。
実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液に含まれる複合タングステン酸化物微粒子、すなわち粉砕分散処理後の複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンにおけるピークトップ強度の値は3000カウント、ピーク位置は2θ=27.8°であった。
一方、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)を準備し、当該シリコン粉末標準試料における(220)面を基準としたピーク強度の値を測定したところ、19800カウントであった。従って、当該標準試料のピーク強度の値を1としたときの、実施例1に係る粉砕分散処理後の複合タングステン酸化物微粒子のXRDピーク強度の比の値は0.15であることが判明した。
また、実施例1に係る粉砕分散処理後の複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径は16.9nmであった。
さらに、実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液の分散粒子径を、動的光散乱法に基づく粒径測定装置(大塚電子株式会社製ELS-8000)を用いて測定したところ、70nmであった。尚、粒径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドは、メチルイソブチルケトンを用いて測定し、溶媒屈折率は1.40とした。
次に、得られた複合タングステン酸化物微粒子分散液に紫外線硬化樹脂およびメチルイソブチルケトンとを混合し実施例1に係るインクを作製し、厚さ50μmのPETフィルム上にバーコーター(井元製作所製IMC-700)で塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を80℃60秒間乾燥させて溶媒を蒸発させた。その後、紫外線照射して塗布膜を硬化させることで、複合タングステン酸化物微粒子を含有した光熱変換層をフィルム基材上に作製した。
光熱変換層中に分散された複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は、透過型電子顕微鏡像を用いた画像処理装置によって算出したところ18nmであった。また、光熱変換層の膜厚は、TEM像から2.5μmであった。
光熱変換層から成るシ-トの光学特性を分光光度計(日立製作所製U-4100)により波長200nm~2600nmの範囲において5nmの間隔で測定した。用いたフィルム基材のみについても同様にして光学特性を測定し、上述の測定値から差し引くことで光熱変換層の光学特性を算出した結果、日射透過率は35.2%であった。
また、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製 HM-150)を用いて、JIS K 7105に基いてヘイズを評価した。
評価結果を表1に示す。
(ドナーシートの作製)
作製した光熱変換層上にさらに被転写層を形成し、ドナーシートを形成した。ドナーシートは図2にて説明した構造となるように形成した。
具体的には、光熱変換層22の上面に被転写層23を形成した。被転写層23としては、光熱変換層22側から順に電子輸送層、有機発光層、正孔輸送層、及び正孔注入層を積層した。
被転写層23に含まれる各層は以下のようにして成膜した。
電子輸送層は、Alq3[tris(8-quinolinolato)aluminium(III)]を蒸着法により成膜し、膜厚を20nmとした。
また、有機発光層は、電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)に、青色発光性のゲスト材料である4,4‘≡ビス[2≡{4≡(N,N≡ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%で混合した材料を蒸着法により成膜し、膜厚は約25nmとした。
正孔輸送層は、α-NPD[4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl]を蒸着法により成膜し、膜厚を30nmとした。
正孔注入層は、m-MTDATA[4,4,4-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine]を蒸着法により成膜し、膜厚は10nmとした。
得られたドナーシートについてはフィルム基材側から被転写層23を目視し、その状態の確認を行った。
[実施例2]
実施例1に記載のCsCOとHWOとの混合粉体を、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気下、800℃で焼成したCs0.33WOで表される複合タングステン酸化物に変更して、高周波プラズマ反応装置に投入する原料として用いた。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例2に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造した。
得られた実施例2に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶Cs0.33WO単相と同定された。
得られた実施例2に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液に対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
水0.330kgにRbCO0.148kgを溶解し、これをHWO1.000kgに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるRb0.32WO混合粉体を得た。
前記混合粉体を高周波熱プラズマ反応装置に投入する原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例3に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造した。
得られた実施例3に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶Rb0.32WO単相と同定された。
得られた実施例3に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
水0.330kgにKCO0.375kgを溶解し、これをHWO1.000kgに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるK0.27WO混合粉体を得た。
前記混合粉体を高周波熱プラズマ反応装置に投入する原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例4に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造した。
得られた実施例4に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶K0.27WO単相と同定された。
また、得られた実施例4に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
水0.330kgにTlNO0.320kgを溶解し、これをHWO1.000kgに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるTl0.19WO混合粉体を得た。
前記混合粉体を高周波熱プラズマ反応装置に投入する原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例5に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造した。
得られた実施例5に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶Tl0.19WO単相と同定された。
得られた実施例5に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
水0.330kgにBaCO0.111kgを溶解し、これをHWO1.000kgに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるBa0.14WO混合粉体を得た。
前記混合粉体を高周波熱プラズマ反応装置に投入する原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例6に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造した。
得られた実施例6に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶Ba0.14WO単相と同定された。
得られた実施例6に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
水0.330kgにKCO0.0663kgとCsCO0.0978kgを溶解し、これをHWO1.000kgに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるK0.24Cs0.15WO混合粉体を得た。
前記混合粉体を高周波熱プラズマ反応装置に投入する原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例7に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造した。
得られた実施例7に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶K0.24Cs0.15WO相と同定された。
得られた実施例7に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
水16.5gにCsCO10.8gを溶解し、当該溶液をHWO50gに添加して十分攪拌した後、乾燥した。当該乾燥物へNガスをキャリアーとした2%Hガスを供給しながら加熱し、800℃の温度で30分間焼成した。その後、Nガス雰囲気下800℃で90分間焼成する固相法にて実施例8に係る複合タングステン酸化物微粒子を得た。
これ以外は実施例1と同様にして、実施例8に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造した。但し、媒体攪拌ミルによる粉砕・分散処理時間は4時間とした。
得られた実施例8に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶Cs0.33WO単相と同定された。
得られた実施例8に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例9]
水0.330kgにCsCO0.216kgを溶解し、得られた溶液をHWO1.000kgに添加して十分攪拌した後、乾燥して乾燥物を得た。Nガスをキャリアーとした5%Hガスを供給しながら当該乾燥物を加熱し、800℃の温度で1時間焼成した。その後、さらにNガス雰囲気下800℃で2時間焼成する固相反応法を実施して、複合タングステン酸化物を得た。
得られた複合タングステン酸化物20重量部と、水80重量部とを混合し、約3kgのスラリーを調製した。なお、このスラリーには分散剤を添加していない。このスラリーをビーズと共に媒体攪拌ミルに投入し、4時間粉砕分散処理を行った。尚、媒体攪拌ミルは横型円筒形のアニュラータイプ(アシザワ株式会社製)を使用し、ベッセル内壁とローター(回転攪拌部)の材質はジルコニアとした。また、ビーズには、直径0.1mmのYSZ(Yttria-Stabilized Zirconia:イットリア安定化ジルコニア)製のビーズを使用した。ローターの回転速度は14rpm/秒とし、スラリー流量0.5kg/minにて粉砕分散処理を行い、複合タングステン酸化物微粒子水分散液を得た。
実施例9に係る複合タングステン酸化物微粒子水分散液の分散粒子径を測定したところ、70nmであった。なお、分散粒子径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドは水で測定し、溶媒屈折率は1.33とした。
次に、得られた複合タングステン酸化物微粒子水分散液約3kgを大気乾燥機で乾燥処理して、実施例9に係る複合タングステン酸化物微粒子を得た。なお、大気乾燥機には、恒温オーブンSPH-201型(エスペック株式会社製)を使用し、乾燥温度は70℃、乾燥時間は96時間とした。
実施例9に係る複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンを測定し、相の同定を行った結果、得られた微粒子は、六方晶Cs0.33WO単相と同定された。また、得られた微粒子のX線回折パターンのピークトップ強度の値は4200カウント、ピーク位置は2θ=27.8°であり、結晶子径は23.7nmであった。一方、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)を準備し、当該シリコン粉末標準試料における(220)面を基準としたピーク強度の値を測定したところ、19800カウントであった。従って、当該標準試料のピーク強度の値を1としたときの、実施例1に係る粉砕分散処理後の複合タングステン酸化物微粒子のXRDピーク強度の比の値は0.21であることが判明した。
得られた微粒子の組成を、ICP発光分析法により調べた。その結果、Cs濃度が15.2質量%、W濃度が64.6質量%であり、Cs/Wのモル比は0.33であった。CsとW以外の残部は酸素であり、1質量%以上含有されるその他不純物元素は存在していないことを確認した。
さらに、得られた複合タングステン酸化物微粒子20重量部を、溶媒のメチルイソブチルケトン64重量部と分散剤a16重量部とに分散させて、実施例9に係る50gの複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。
実施例9に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液の分散粒子径を測定したところ、80nmであった。なお、分散粒子径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドはメチルイソブチルケトンで測定し、溶媒屈折率は1.40とした。
得られた実施例9に係る硬化膜の中に分散された複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は、透過型電子顕微鏡像を用いた画像処理装置によって算出したところ23nmであり、上述した結晶子径23.7nmとほぼ同値であった。
また、得られた実施例9に係る硬化膜の透過率を、波長200nm~2600nmの範囲において5nmの間隔で測定した結果、日射透過率は38.3%であった。
実施例9に係る評価結果を表1に示す。
[実施例10]
大気乾燥機による乾燥処理を、真空攪拌擂潰機による真空乾燥処理に変更した以外は、実施例9と同様の方法で実施例10に係る複合タングステン酸化物微粒子と、複合タングステン酸化物微粒子分散液とを製造した。真空攪拌擂潰機は石川式攪拌擂潰機24P型(田島化学機械株式会社製)を使用し、真空乾燥処理における乾燥温度は80℃、乾燥時間は32時間、混練ミキサーの回転周波数は40Hz、真空容器内の圧力は0.001MPa以下とした。
得られた実施例10に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例11]
大気乾燥機による乾燥処理を、噴霧乾燥機による噴霧乾燥処理に変更した以外は、実施例9と同様の方法で実施例11に係る複合タングステン酸化物微粒子と、複合タングステン酸化物微粒子分散液とを製造した。噴霧乾燥機は噴霧乾燥機ODL-20型(大川原化工機株式会社製)を使用した。
得られた実施例11に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例12~14]
媒体攪拌ミルによる粉砕分散処理時間を2時間に変更した以外は、実施例9と同様の方法で実施例12~14に係る複合タングステン酸化物微粒子と、複合タングステン酸化物微粒子分散液とを製造した。但し、媒体攪拌ミルによる粉砕分散処理時間は2時間とした。
得られた実施例12~14に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果とを表1に示す。
[実施例15~17]
スラリーの調製の際、複合タングステン酸化物20重量部と、プロピレングリコールモノエチルエーテル80重量部とを混合したこと以外は、上述した実施例12と同様の方法により、実施例15~17に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液とを製造した。
得られた実施例15~17に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。なお、分散粒子径を測定する際に、バックグラウンドはプロピレングリコールモノエチルエーテルで測定し、溶媒屈折率は1.40とした。評価結果を表1に示す。
[実施例18]
実施例1に係る方法と同様にして複合タングステン酸化物微粒子を得た。その後、得られた微粒子20重量と、メチルイソブチルケトン64重量部と、分散剤a16重量部とを混合し、50gのスラリーを調製した。このスラリーへ、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製US-600TCVP)によって1時間分散処理を行い、実施例18に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。
得られた実施例18に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。当該評価結果を表1に示す。
[実施例19]
光熱変換層をPETフィルム上に形成する際の塗布膜の膜厚を変更する為に、バーコータの仕様を変更した以外は、実施例1と同様に光熱変換層を形成し、実施例19に係るドナーシートを作製した。光熱変換層(硬化膜)の膜厚は、TEM像から3.0μmであった。
得られた実施例19に係るその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。当該評価結果を表1に示す。
[比較例1~2]
比較例1においては、キャリアガス流量を3L/min、原料供給速度15g/minに変更したこと、比較例2においてはプラズマガス流量15L/minに変更したこと、以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1と2とに係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。
得られた比較例1および比較例2に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶Cs0.33WO相と同定された。
得られた比較例1と2とに係る複合タングステン酸化物微粒子と、その分散液と、その塗布膜と、その硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。当該評価結果を表1に示す。
次に、比較例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液と、実施例1で用いた紫外線硬化樹脂と、メチルイソブチルケトンとの配合割合を調整して、膜厚2.5μm、波長1000nmの透過率が5%である光熱変換層を形成した。
当該波長1000nmにおける光の透過率が5%で膜厚2.5μmである比較例1に係る光熱変換層に対し、実施例1と同様に光学特性の測定を行ったところ、可視光透過率が25%、日射透過率が13%、ヘイズが5%となり、さらに目視で確認したところ透明とは言えないものであることが判明した。
[比較例3]
5000~10000Kの高温部を有している熱プラズマを発生させるために、高周波電力は15KWとした以外は、実施例1と同様の方法により、比較例3に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。
得られた比較例3に係る複合タングステン酸化物微粒子は、粉末X線回折測定結果より六方晶Cs0.33WO相と同定された。
得られた比較例3に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。当該製造条件と評価結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例9に係る複合タングステン酸化物微粒子水分散液を4時間の粉砕分散処理時間で得るところを、40時間の粉砕分散処理とした以外は、実施例9と同様の方法により、比較例4に係る複合タングステン酸化物微粒子水分散液を得た。
得られた比較例4に係る複合タングステン酸化物微粒子とその分散液とその塗布膜とその硬化膜とに対して、実施例1と同様の評価を実施した。当該評価結果を表1に示す。
[比較例5]
近赤外線吸収粒子を複合タングステン酸化物微粒子からカーボンブラックに替えて、光熱変換層とドナーシートを作製した。
カーボンブラック(BET比表面積300m/g)と分散剤と、溶媒とを粉砕・分散して分散液を調製した。分散液にはカーボンブラックが10質量%含む。
分散剤としては実施例1と同じ分散剤aを用い、分散液中の割合が5重量%となるように秤量した。
溶媒としては、メチルイソブチルケトンを用い、分散液中の割合が85重量%となるように秤量した。
近赤外線吸収粒子と、分散剤と、溶媒とを0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、4時間粉砕・分散処理し、カーボンブラック粒子分散液(以下、分散液Bと略称する)を得た。
ここで、比較例5に係る分散液内におけるカーボンブラック粒子の分散粒子径を実施例1と同様にして測定したところ17nmであることを確認できた。
次に、得られた比較例5に係る分散液と、バインダー成分とを混合してインクを調製した。本比較例ではバインダー成分として実施例1と同じUV-3701を用いた。
比較例5に係る分散液100重量部に対し、UV-3701を100重量部混合してカーボンブラック粒子を含有する比較例5に係るインクとした。
なお、インクにした後についてもカーボンブラック粒子の分散粒子径を実施例1と同様に測定したところ17nmであることを確認できた。
次に、得られたインク(塗布液)を、厚さが50μmのPETフィルム上に、バーコーターを用いて塗布し塗布膜を形成した。そして、実施例1と同様に乾燥し紫外線を照射して硬化さて光熱変換層を得た。
実施例1と同様にしてフィルム基材の断面に対してTEM観察を行ったところ、光熱変換層の厚さは約2.5μmであることを確認できた。
実施例1と同様にして光熱変換層の可視光透過率と、波長1000nmの光の透過率を算出したところ、可視光透過率は2%であることを確認できた。また、波長1000nmの光の透過率は13%であり、ヘイズが98.2%であることを確認できた。
また、作製した光熱変換層上に、実施例1と同様にして、さらに被転写層を形成し、ドナーシートを形成した。
Figure 0007010289000001
[まとめ]
表1から明らかなように、実施例1~19に係る複合タングステン酸化物微粒子は、比較例1~4の複合タングステン酸化物微粒子と比べて、日射透過率が45%以下の優れた近赤外線遮蔽特性を発揮した。
また、実施例1~19に係る分散液に含まれる複合タングステン酸化物微粒子は、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)(220)面のXRDピーク強度に対する前記複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度の比が0.13以上であり、結晶子径が条件以上であり、異相の無い複合タングステン酸化物微粒子であった。さらに、実施例においては硬化膜中の複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径と結晶子径とがほぼ同値であることから、単結晶の複合タングステン酸化物微粒子であると考えられる。
一方、比較例1~4においてはピークトップ強度の比が0.13未満で、日射透過率が48%以上であった。比較例5においては、ヘイズが98.2%であった。
なお、各実施例で作製したドナーシートは、被転写層の状態がフィルム基材側から目視で確認できたが、各比較例で作製したドナーシートについては、光熱変換層の透明性が十分でなく被転写層の状態を目視で確認できなかった。
11 WO単位により形成される8面体
12 元素M
20 ドナーシート
21 フィルム基材
22 光熱変換層
23 被転写層


Claims (5)

  1. 近赤外線吸収粒子と、バインダー成分とを含有し、
    前記近赤外線吸収粒子は、
    化学式がM y WO z (ただし、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Ga、In、Tl、Bの内から選択される1種類以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、
    六方晶の結晶構造を持ち、
    結晶子径が200nm以下10nm以上であり、
    シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上の複合タングステン酸化物微粒子である光熱変換層。
  2. 前記光熱変換層の厚さが5μm以下である、請求項1に記載の光熱変換層。
  3. 基材上に塗布された、前記近赤外線吸収粒子、分散剤、溶媒、およびバインダー成分を含有するインクの乾燥硬化物である、請求項1または2に記載の光熱変換層。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の光熱変換層と、フィルム基材と、被転写層とを有するドナーシート。
  5. 近赤外線吸収粒子と、バインダー成分とを含有する光熱変換層の製造方法であって、
    前記近赤外線吸収粒子は、
    化学式がM y WO z (ただし、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Ga、In、Tl、Bの内から選択される1種類以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、
    六方晶の結晶構造を持ち、
    結晶子径が200nm以下10nm以上である、複合タングステン酸化物微粒子であり、
    前記複合タングステン酸化物微粒子を、そのXRDピークトップ強度の比の値が、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、0.13以上となるように製造して得、
    前記XRDピークトップ強度の比の値を0.13以上に保ちながら、前記得られた複合タングステン酸化物微粒子を、前記バインダー成分中へ加える光熱変換層の製造方法。
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