JP6136197B2 - 貯湯式給湯機 - Google Patents

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Description

本発明は、温水を沸き上げて貯湯する機能を備えた貯湯式給湯機に関する。
従来技術として、例えば特許文献1(特開2003-14305号公報)に記載されているように、貯湯タンクを備えた貯湯式給湯機が知られている。従来技術の給湯機は、季節別及び時間帯別に設定された電気料金制度に対応して、現在の時刻が電力の割安な時間帯であるか否かを判定する時間帯判定部を備えている。そして、従来技術では、昼間において電力が割安な時間帯を判定し、この割安時間帯に貯湯タンク内の温度が所定温度以下である場合に、温水を沸き上げて貯湯タンクに貯湯する沸き上げ運転を実行する。また、割安時間帯以外の時間帯では、沸き上げ運転を禁止する構成としている。
特開2003-14305号公報
しかしながら、従来技術において、給湯機で計時している時刻と、電気料金を課金する電力メータの時刻との間には、時刻のずれが生じる場合がある。この場合には、例えば電力が割高な時間帯であっても、給湯機の時間帯判定部により沸き上げ運転が許可されることがあり、給湯コストの上昇を招くという問題がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、電力メータとの間に時刻のずれが生じたとしても、電気料金が高い時間帯の沸き上げ運転を安定的に禁止することが可能な貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
本発明に係る貯湯式給湯機は、湯水を貯湯するための貯湯タンクと、水を加熱して貯湯タンクに湯を貯湯する沸き上げ運転を実行する加熱手段と、貯湯タンクに蓄えられた湯の蓄熱量を算出する蓄熱量算出手段と、1日の時間帯のうちで電気料金単価が前後の時間帯よりも高い時間帯である割高時間帯が記憶され、現在時刻が割高時間帯であるか否かを判定する時間帯判定手段と、電気料金を課金する電力メータの時刻と時間帯判定手段で用いる時刻との間に生じる時刻のずれに対応して時間帯判定手段の判定結果を補正する判定補正手段と、判定補正手段により補正された判定結果に基いて現在時刻が割高時間帯であると判定された場合に沸き上げ運転を禁止し、補正された判定結果に基いて現在時刻が割高時間帯でないと判定された場合に蓄熱量の算出結果に基いて沸き上げ運転を実行するか否かを制御する沸き上げ制御手段とを備え、判定補正手段は、時刻のずれに対応する余裕時間を割高時間帯の前後にそれぞれ追加することにより補正後の割高時間帯を設定し、時間帯判定手段は、現在時刻が補正後の割高時間帯であるか否かを判定するものである。

本発明によれば、電力メータの時刻と時間帯判定手段で用いる時刻との間にずれが生じている場合でも、この時刻のずれが原因で割高時間帯に誤って沸き上げ運転が行われるのを回避することができる。即ち、時刻のずれに関係なく、割高時間帯の沸き上げ運転を安定的に回避し、電気料金単価が安い時間帯に沸き上げ運転を効率よく実行することができ、給湯コストを抑制することができる。
本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。 本発明の実施の形態1において、電力の使用時間帯毎に設定された電気料金単価の一例を示す説明図である。 本実施の形態1において、制御装置により実行される制御の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。図1に示す貯湯式給湯機100は、タンクユニット200と、ヒートポンプサイクルを利用するように構成されたヒートポンプユニット300と、給湯機を制御する制御装置400と、ユーザの操作により各種運転の実行や設定値の変更を行うリモコン500を備えている。タンクユニット200とヒートポンプユニット300とは、ヒートポンプ往き配管14とヒートポンプ戻り配管15とにより接続されている。タンクユニット200及びヒートポンプユニット300に搭載された各種の弁類、ポンプ類等は、制御装置400により制御される。制御装置400は、例えばタンクユニット200に収容され、信号線または無線によりリモコン500と接続されている。
ヒートポンプユニット300は、沸き上げ運転を実行する加熱手段として機能するもので、沸き上げ運転とは、タンクユニット200から導入された低温水を加熱(沸き上げ)して貯湯タンク8に高温水を貯湯するものである。ヒートポンプユニット300は、圧縮機1、水冷媒熱交換器3、膨張弁4及び空気熱交換器5を冷媒循環配管6によって環状に接続することで構成されている。水冷媒熱交換器3は、タンクユニット200から導入される低温水と、冷媒循環配管6を流れる高温な冷媒との間で熱交換を行うものである。また、ヒートポンプユニット300には、ヒートポンプ戻り温度センサ40が搭載されている。ヒートポンプ戻り温度センサ40は、水冷媒熱交換器3により加熱された高温水の温度を検出するもので、ヒートポンプ戻り配管15に設けられている。
一方、タンクユニット200には、貯湯タンク8を含めて、以下の各種部品や配管等が搭載されている。まず、貯湯タンク8は、湯水を貯湯する密閉型のタンクにより構成されている。貯湯タンク8の下部に設けられた水導入口8aには、市水を減圧弁31により所定圧力に調圧した上で貯湯タンク8内に供給するための第3給水配管9cが接続されている。貯湯タンク8の上部に設けられた温水出入口8dには、貯湯タンク8内の湯水を給湯機の外部に供給するための給湯配管21が接続されている。なお、給湯配管21は、後述のように、タンク上部戻り給湯配管21aと、タンク上部往き給湯配管21bとにより構成されている。
そして、貯湯タンク8の上部には、ヒートポンプユニット300により加熱された高温の湯が温水出入口8dから流入し、貯湯タンク8の下部には、低温水が水導入口8aから流入する。これにより、貯湯タンク8内には、タンク内の上部と下部とで温度差が生じるように湯水が貯留される。また、貯湯タンク8の表面には、タンク内の湯水の温度分布を検出するために、複数(例えば、2個)の温度センサ42,43がそれぞれ異なる高さ位置に取付けられている。
また、タンクユニット200には、熱源ポンプ12及び利用側熱交換器20が搭載されている。熱源ポンプ12は、タンクユニット200に搭載された後述の各配管に湯水を循環させるためのポンプであり、ヒートポンプ往き配管14に設けられている。ヒートポンプ往き配管14には、熱源ポンプ12の下流側で湯水の温度を検出する冷却循環温度センサ39aが設けられている。
一方、利用側熱交換器20は、ヒートポンプユニット300及び貯湯タンク8から供給される高温水を利用して、2次側の加熱対象水(浴槽循環水、暖房用循環水等)を加熱するものである。なお、本実施の形態では、利用側熱交換器20の2次側に接続する構成として、浴槽30を例に挙げて説明する。利用側熱交換器20には、風呂往き配管27及び風呂戻り配管28がそれぞれ接続されている。風呂往き配管27には、風呂用熱交換器20から流出した湯水の温度を検出する風呂往き温度センサ37が設けられている。また、風呂戻り配管28には、浴槽水を循環させるための風呂循環ポンプ29と、浴槽30から流出した浴槽水の温度を検出するための風呂戻り温度センサ38とが設けられている。
次に、タンクユニット200に搭載された弁類及び配管類について説明する。タンクユニット200は、三方弁11及び四方弁18を備えている。三方弁11は、湯水が流入するa,bポートと、湯水が流出するcポートとを有している。四方弁18は、湯水が流入するb,cポートと、湯水が流出するa,dポートとを有しており、a−b経路、a−c経路、b−d経路及びc−d経路からなる4つの経路の間で湯水の流路を切換えることができる。
また、タンクユニット200は、水導出口配管10、ヒートポンプ往き配管14、ヒートポンプ戻り配管15、バイパス配管16,17、温水導入配管20a及び温水導出配管20bを備えている。水導出口配管10は、貯湯タンク8の下部に設けられた水導出口8bと三方弁11のaポートとを接続している。ヒートポンプ往き配管14は、三方弁11のcポートと水冷媒熱交換器3の2次側の流入口とを接続し、ヒートポンプ戻り配管15は、水冷媒熱交換器3の2次側の流出口と四方弁18のcポートとを接続している。また、給湯配管21のタンク上部戻り給湯配管21aは、四方弁18のdポートと貯湯タンク8の温水出入口8dとを接続している。バイパス配管16は、貯湯タンク8の中央部から下部の間に設けられた温水導入口8cに対して、四方弁18のaポートを接続する流路である。また、温水導入配管20aは、タンク上部戻り給湯配管21aの途中から分岐し、風呂用熱交換器20の1次側の流入口に接続されている。温水導出配管20bは、風呂用熱交換器20の1次側の流出口と三方弁11のbポートとを接続している。さらに、バイパス配管17は、熱源ポンプ12の下流側でヒートポンプ往き配管14から分岐し、四方弁18のbポートに接続されている。
また、タンクユニット200は、給水管路9、給湯用混合弁22、風呂用混合弁23、第1給湯配管24及び第2給湯配管25を備えている。詳しく述べると、給水管路9は、一端が市水源に接続された第1給水配管9aと、第1給水配管9aの他端に接続された第2給水配管9bと、前述の第3給水配管9cとを有している。第1給水配管9aと第2給水配管9bとの間には、給水温度センサ48及び減圧弁31が接続されている。また、第2給水配管9bの他端は、給湯用混合弁22と風呂用混合弁23の両方に接続された水側配管を構成し、給湯配管21のタンク上部往き給湯配管21bは、給湯用混合弁22と風呂用混合弁23の両方に接続された湯側配管を構成している。
給湯用混合弁22及び風呂用混合弁23は、給湯配管21から供給される高温水と第2給水配管9bから供給される水の流量比を調整する。これにより、シャワーやカラン等の給湯口(図示せず)に供給される温水の温度は、ユーザがリモコン500により設定した設定温度に調整される。給湯用混合弁22により温度が調整された温水は、第1給湯配管24から給湯温度センサ46、給湯用流量センサ47及び給湯栓34を経由して、前記給湯口に供給される。一方、風呂用混合弁23により温度が調整された温水は、第2給湯配管25から風呂流量センサ45、風呂用電磁弁26、風呂往き配管27及び風呂戻り配管28を経由して浴槽30に供給される。
また、上記三方弁11は、タンクユニット200内を流れる湯水の流路を第1及び第2の流路形態の間で切換える。ここで、「第1流路形態」とは、貯湯タンク8の水導出口8bと水冷媒熱交換器3とが水導出口配管10及びヒートポンプ往き配管14を介して連通する流路形態である。「第2流路形態」とは、温水導出配管20bと水冷媒熱交換器3とがヒートポンプ往き配管14を介して連通する流路形態である。
一方、四方弁18は、タンクユニット200内を流れる湯水の流路を第1乃至第4の流路形態の間で切換える。ここで、「第1流路形態」とは、水冷媒熱交換器3と給湯配管21のタンク上部戻り給湯配管21aとがヒートポンプ戻り配管15を介して連通する流路形態である。「第2流路形態」とは、水冷媒熱交換器3と第1のバイパス配管16とがヒートポンプ戻り配管15を介して連通する流路形態である。また、「第3流路形態」とは、第1のバイパス配管16と第2のバイパス配管17とが連通する流路形態であり、「第4流路形態」とは、第2のバイパス配管17と給湯配管21のタンク上部戻り給湯配管21aとが連通する流路形態である。
次に、沸き上げ運転時における給湯機の回路構成について説明する。沸き上げ運転時には、三方弁11及び四方弁18がそれぞれ第1流路形態に切換えられ、この状態で熱源ポンプ12及びヒートポンプユニット300が駆動される。これにより、貯湯タンク8の水導出口8bから流出する低温水は、水導出口配管10、三方弁11、熱源ポンプ12及びヒートポンプ往き配管14をこの順に経由してヒートポンプユニット300に導入され、水冷媒熱交換器3により加熱されて高温水(湯)となる。そして、この高温水は、ヒートポンプ戻り配管15、四方弁18及びタンク上部戻り給湯配管21aをこの順に経由して貯湯タンク8の温水出入口8dに流入し、貯湯タンク8に貯留される。
このような沸き上げ運転が実行されることで、貯湯タンク8の内部では、上層部から高温水が貯えられていき、高温水の層が徐々に厚くなる。貯湯タンク8に貯湯された高温水の量(貯湯量)が十分な量に達すると、沸き上げ運転は終了される。沸き上げ運転の終了時には、熱源ポンプ12及びヒートポンプユニット300が停止され、四方弁18が第2流路形態に切換えられることにより、給湯機が待機状態に切換えられる。また、貯湯量が規定の湯量に対して少なくなった場合には、沸き上げ運転が開始される。なお、貯湯量の過不足の判定は、後述の蓄熱量Qに基いて実行される。
次に、制御装置400の機能について説明する。制御装置400は、温度センサ42,43の出力に基いて、貯湯タンク8内の湯水の温度分布を検出することにより、貯湯タンク8に蓄えられた湯の蓄熱量Qを算出し、この算出結果に基いて沸き上げ運転の実行及び停止を制御する。制御部400には、追加の沸き上げ運転が必要と判断される沸き上げ開始熱量Qsと、沸き上げ運転が不要と判断される沸き上げ終了熱量Qeとが記憶されている(Qe>Qs)。そして、制御部400は、蓄熱量Qが沸き上げ開始熱量Qsよりも小さい場合に沸き上げ運転を自動的に開始し、蓄熱量Qが沸き上げ終了熱量Qeよりも大きい場合に沸き上げ運転を自動的に停止する。
また、制御装置400は、現在時刻を計時する機能と、現在の時刻における電気料金単価を算出する機能とを備えており、図2に示す電気料金の時間帯区分データが記憶されている。図2は、本発明の実施の形態1において、電力の使用時間帯毎に設定された電気料金単価の一例を示す説明図である。この図において、第1時間帯とは、電気料金単価が最も安い時間帯として定義され、例えば23時から7時までの時間帯として設定されている。また、第2時間帯とは、第1割安時間帯に次いで電気料金単価が2番目に安い時間帯として定義され、例えば7時から10時までの時間帯及び17時から23時までの時間帯として設定されている。
一方、第3時間帯とは、1日の時間帯のうちで電気料金単価が前後の時間帯よりも高い時間帯である割高時間帯として定義されるもので、第3時間帯の電気料金単価は、第1時間帯及び第2時間帯よりも高く設定されている。具体例を挙げると、本実施の形態において、第3時間帯は、1日のうちで電気料金単価が最も高い時間帯として定義され、例えば10時から17時までの時間帯として設定されている。そして、制御装置400は、図2に例示した時間帯区分データと、現在時刻とを比較することにより、現在時刻が第1時間帯、第2時間帯及び第3時間帯のうち何れの時間帯であるかを判定する。
なお、上述した第1時間帯、第2時間帯及び第3時間帯の境界となる時刻は、電力会社の料金設定、ユーザの電力契約等に応じて異なるので、図2に示す時間帯区分データは、リモコン500により任意に変更可能な構成としてもよい。また、リモコン500は、電力会社との契約情報を入力することにより、当該入力情報に基いて第1時間帯、第2時間帯及び第3時間帯を自動的に設定する機能を備えてもよい。この場合、リモコン500は、請求項4に記載された情報入力手段の具体例を示している。上記構成によれば、給湯機のユーザは、電力会社との契約情報をリモコン500に入力するだけで、第1時間帯、第2時間帯及び第3時間帯の具体的な区分を自動的に設定することができ、制御装置400は、この設定結果に基いて現在時刻が何れの時間帯に属するかを判定することができる。従って、ユーザが細かい時間区分を1ずつ入力する必要がないので、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、電力契約によっては、第1時間帯と第2時間帯のみの区分(例えば、23時〜7時と7時〜23時の時間帯)が存在し、第3時間帯が存在しない場合も考えられる。この場合には、第2時間帯を割高時間帯とみなせば、本発明を適用することができる。また、社会全体の使用電力量が最大となると想定される時間帯(例えば13〜16時)を第3時間帯(割高時間帯)とみなして、本発明を適用してもよい。また、本発明では、例えば外気温やカレンダー機能により季節を判定し、季節に応じて第3時間帯を変更する構成としてもよい。
制御装置400は、上述のように設定された時間帯区分データに基いて、現在時刻が第1時間帯〜第3時間帯のうちの何れの時間帯に属するかを判定する時間帯判定処理を実行する。そして、時間帯判定処理の判定結果と貯湯タンク8内の蓄熱量Qとに基いて、沸き上げ運転の実行及び停止を制御する。これにより、電気料金が割安な時間帯を優先的に利用して、沸き上げ運転を効率よく行うことができる。しかしながら、電気料金を課金する電力メータの時刻と、制御装置400により計時される時刻との間には、時刻のずれが生じることがある。この結果、制御装置400は、電力メータにより第3時間帯と判定される時間帯に沸き上げ運転を実行したり、第1時間帯または第2時間帯と判定される時間帯でも沸き上げ運転を実行しない場合があり、これによって給湯コストが増加するという問題がある。
このため、本実施の形態では、電力メータの時刻と制御装置400で用いる時刻との間に生じる時刻のずれに対応して、時間帯判定処理の判定結果を補正する。具体例を挙げると、最大で10分の時刻のずれが生じ得ると想定される場合には、この時刻のずれに対応する余裕時間(10分)を制御装置400に予め設定しておく。そして、制御装置400は、前記余裕時間を第3時間帯の前後に追加する処理、即ち、第3時間帯を前記余裕時間分だけ前後に延長する処理を実行することにより、補正後の第3時間帯を設定する。
この結果、図2に示す時間帯区分データを基準とした場合に、補正後の時間帯区分データでは、第3時間帯が9時50分から17時10分までの時間帯として設定され、第2時間帯が7時から9時50分及び17時10分から23時までの時間帯として設定される。そして、制御装置400は、現在時刻と補正後の時間帯区分データとを比較して、時間帯判定処理を実行する。これにより、時間帯判定処理の判定結果は、前記時刻のずれに対応して補正されたものとなる。
そして、制御装置400は、上記補正が行われた判定結果に基いて、現在時刻が第3時間帯であると判定された場合に、沸き上げ運転を禁止する。また、上記補正が行われた判定結果に基いて、現在時刻が第1時間帯または第2時間帯であると判定された場合には、蓄熱量Qの算出結果に基いて沸き上げ運転を実行するか否かを制御する。即ち、この場合には、蓄熱量Qが沸き上げ開始熱量Qsよりも小さいときに沸き上げ運転を開始し、蓄熱量Qが沸き上げ終了熱量Qeよりも大きいときに沸き上げ運転を停止する。
上記制御によれば、電力メータの時刻と制御装置400で用いる時刻との間にずれが生じている場合でも、この時刻のずれが原因で第3時間帯に誤って沸き上げ運転が行われるのを回避することができる。即ち、時刻のずれに関係なく、電気料金単価が高い第3時間帯の沸き上げ運転を安定的に回避し、電気料金単価が安い第1時間帯及び第2時間帯に沸き上げ運転を効率よく実行することができ、給湯コストを抑制することができる。また、上記制御によれば、時刻のずれに対応する余裕時間を第3時間帯の前後に追加することで、時間帯判定処理の判定結果を容易に補正することができる。
なお、本実施の形態では、時刻のずれに対応する余裕時間が制御装置400に予め設定されている場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば時刻のずれの生じ易さを左右するパラメータや、制御装置400の時刻を最後に調整してからの経過時間等に基いて、余裕時間を可変に設定してもよい。また、本実施の形態では、時刻のずれに対応する余裕時間として10分を例示し、この余裕時間を第3時間帯の前後に追加するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、余裕時間として10分以外の時間を設定してもよい。また、本発明では、例えば沸き上げ運転を開始してから終了するまでに必要な時間等を考慮することにより、第3時間帯を後側に延長するための余裕時間に対して、第3時間帯を前側に延長するための余裕時間を長く設定してもよい。具体的には、補正前の第3時間帯が10時から17時までの場合において、補正後の第3時間帯を9時40分から17時10分までの時間帯に設定してもよい。
次に、図3を参照して、制御装置400の制御について説明する。図3は、本実施の形態1において、制御装置により実行される制御の一例を示すフローチャートである。この図に示すルーチンは、給湯機の運転中に繰返し実行されるものとする。図3に示すルーチンにおいて、まず、ステップS11では、第3時間帯の沸き上げ運転を禁止する設定になっているか否かを判定する。この設定は、例えばリモコン500を用いてユーザにより行われるものとしてもよい。具体例を挙げると、給湯コストの節約を優先したい場合には、第3時間帯の沸き上げ運転を禁止する設定を選択する。一方、例えば給湯コストがある程度増加しても貯湯量の確保を優先したい場合には、第3時間帯の沸き上げ運転を許可する設定を選択する。
ステップS11の判定が不成立の場合、即ち、第3時間帯の沸き上げ運転を許可している場合には、後述のステップS12に移行する。一方、ステップS11の判定が成立した場合には、ステップS1に移行する。ステップS1では、まず、時間帯区分データとして記憶された第3時間帯の前後に前記余裕時間を追加する補正を実行し、補正後の時間帯区分データを生成する。そして、補正後の時間帯区分データに基いて前述の時間帯判定処理を実行することにより、現在時刻が第3時間帯であるか否かを判定する。
ステップS1の判定が成立した場合には、ステップS2に移行し、沸き上げ運転を禁止する。但し、第3時間帯でも、リモコン500を用いた簡単な操作により、必要に応じて追加の沸き上げ運転を実行可能な構成としてもよい。具体例を挙げると、貯湯量が少ない場合や、湯の消費量が普段よりも増えることが想定される場合には、リモコン500の特定のスイッチを操作することで、第3時間帯であっても貯湯タンク8の貯湯量が満タンになるまで追加の沸き上げ運転を実行する。この沸き上げ運転では、必ずしも貯湯量を満タンにする必要はなく、例えば一定量の高温水のみを沸き上げる設定としてもよい。
また、第3時間帯であっても、貯湯タンク8内の蓄熱量が予め設定された下限判定値よりも減少した場合には、沸き上げ運転を一時的に許可する構成としてもよい。この場合、下限判定値は、例えば給湯動作を安定的に実行することが可能な貯湯量の下限値に対応して設定される。本構成によれば、例えば第3時間帯中に多量の高温水が使用された場合でも、必要最小限の沸き上げ運転を実行し、高温水を速やかに沸き上げることができる。これにより、第3時間帯を余裕時間分だけ前後に延長した状態でも、貯湯量を十分に確保し、給湯動作を安定的に実行することができる。従って、給湯時の湯切れを回避し、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、第3時間帯中に貯湯タンク8内の蓄熱量が前記下限判定値よりも減少した場合には、貯湯タンク8内の残湯量が許容限度未満となったことをユーザに報知するか、または、沸き上げ運転の禁止を解除する方法を報知する構成としてもよい。この報知動作は、例えばリモコン500に報知内容を表示したり、リモコン500から警報音、音声等を発生することにより実行されるもので、この構成において、リモコン500は、請求項6に記載された報知手段の具体例を示している。本構成によれば、第3時間帯中に貯湯量が不足したこと、または、貯湯量の不足時に沸き上げ運転の禁止を解除する方法をユーザに知らせることができる。これにより、ユーザは、第3時間帯中の沸き上げ運転を許可したり、常時確保する貯湯量の設定を増加させる等の対応を的確に実行することができる。
一方、ステップS1の判定が不成立の場合、即ち、現在時刻が第1時間帯または第2時間帯である場合には、ステップS3に移行し、現在の運転状態が沸き上げ運転中であるか否かを判定する。この判定が成立した場合には、ステップS4に移行し、沸き上げ運転を継続するか否かを判定する。ステップS4の処理を具体的に述べると、この処理では、まず、温度センサ42,43の出力に基いて、現時点で貯湯タンク8内に残された湯の蓄熱量である残湯熱量Qを算出する。そして、前述の沸き上げ終了熱量Qeに補正量αを加算した上限判定値(Qe+α)と比較して、残湯熱量Qが大きいか否かを判定する。なお、補正量αについては後述する。
ステップS4の判定が成立した場合には、沸き上げ運転により十分な量の湯が沸き上げられたと判断されるので、ステップS5に移行し、沸き上げ運転を停止する。また、ステップS4の判定が不成立の場合には、貯湯量を更に増やす必要があると判断されるので、ステップS6に移行し、沸き上げ運転を継続する。一方、ステップS3の判定が不成立の場合には、沸き上げ運転が停止中であるから、ステップS7に移行する。
ステップS7では、現時点での残湯熱量Qを算出し、前述の沸き上げ開始熱量Qsに補正量αを加算した下限判定値(Qs+α)と比較して、残湯熱量Qが小さいか否かを判定する。ステップ7の判定が成立した場合には、貯湯タンク8内の残湯量が許容限度未満となったと判断されるので、ステップS8に移行して沸き上げ運転を開始する。一方、ステップS7の判定が不成立の場合には、貯湯タンク8内にまだ十分な量の湯が残っていると判断されるので、ステップS9により沸き上げ運転の停止状態を継続する。
ここで、ステップS4及びS7で用いる補正量αについて説明する。補正量αは、例えば1日の時間帯のうち第3時間帯の直前に位置する第2時間帯においてのみ使用し、他の時間帯には使用しない構成としてもよい。具体例を挙げると、図2中の7時から10時までの時間帯にのみ、補正量αを適切な正の値(α>0)として設定し、他の時間帯には、補正量α=0としてもよい。この制御は、貯湯タンク8内の蓄熱量を第3時間帯の直前の時間帯に増加させることを意味している。本制御によれば、沸き上げ運転を禁止する第3時間帯の直前に貯湯量を増加させておくことができ、第3時間帯中の湯切れや追加の沸き上げ運転を抑制することができる。なお、補正量αは、常時一定の値としてもよいし、過去の使用湯量パターンや時間帯に応じて変動させる構成としてもよい。
次に、ステップS12〜S18の処理について説明する。これらの処理は、ステップS3〜S9の処理とほぼ同様であるが、ステップS13,S16において補正量αを使用しない点が異なっている。ステップS12〜S18の処理によれば、第3時間帯の沸き上げ運転を許可している場合において、貯湯タンク8内の蓄熱量Qが沸き上げ開始熱量Qsよりも小さいときに沸き上げ運転を開始し、蓄熱量Qが沸き上げ終了熱量Qeよりも大きいときに沸き上げ運転を停止することができる。
なお、前記実施の形態1では、図2が判定補正手段の具体例を示し、図3中のステップS4,S7,S13,S16が蓄熱量算出手段の具体例を示している。また、ステップS1は、時間帯判定手段の具体例を示し、ステップS5,S6,S8,S9,S14,S15,S17,S18は、沸き上げ制御手段の具体例を示している。
100 貯湯式給湯機、200 タンクユニット、300 ヒートポンプユニット(加熱手段)、400 制御装置、500 リモコン(情報入力手段、報知手段)、11 三方弁、12 熱源ポンプ、18 四方弁、22 給湯用混合弁、23 風呂用混合弁、24,25 給湯配管、34 給湯栓、42,43 温度センサ

Claims (6)

  1. 湯水を貯湯するための貯湯タンクと、
    水を加熱して前記貯湯タンクに湯を貯湯する沸き上げ運転を実行する加熱手段と、
    前記貯湯タンクに蓄えられた湯の蓄熱量を算出する蓄熱量算出手段と、
    1日の時間帯のうちで電気料金単価が前後の時間帯よりも高い時間帯である割高時間帯が記憶され、現在時刻が前記割高時間帯であるか否かを判定する時間帯判定手段と、
    電気料金を課金する電力メータの時刻と前記時間帯判定手段で用いる時刻との間に生じる時刻のずれに対応して前記時間帯判定手段の判定結果を補正する判定補正手段と、
    前記判定補正手段により補正された判定結果に基いて現在時刻が前記割高時間帯であると判定された場合に前記沸き上げ運転を禁止し、前記補正された判定結果に基いて現在時刻が前記割高時間帯でないと判定された場合に前記蓄熱量の算出結果に基いて前記沸き上げ運転を実行するか否かを制御する沸き上げ制御手段と、
    を備え、
    前記判定補正手段は、前記時刻のずれに対応する余裕時間を前記割高時間帯の前後にそれぞれ追加することにより補正後の割高時間帯を設定し、前記時間帯判定手段は、現在時刻が前記補正後の割高時間帯であるか否かを判定する構成としてなる貯湯式給湯機。
  2. 前記判定補正手段は、前記割高時間帯を後側に延長するための余裕時間に対して、前記割高時間帯を前側に延長するための余裕時間を長く設定する請求項1に記載の貯湯式給湯機。
  3. 前記沸き上げ制御手段は、前記貯湯タンク内の蓄熱量を前記割高時間帯の直前の時間帯に増加させる構成としてなる請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。
  4. 電力会社との契約情報を入力可能な情報入力手段を備え、
    前記時間帯判定手段は、前記契約情報に基いて前記割高時間帯を設定し、当該設定結果を判定に用いる構成としてなる請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の貯湯式給湯機。
  5. 前記沸き上げ制御手段は、前記割高時間帯中に前記貯湯タンク内の蓄熱量が下限判定値よりも減少した場合に、前記沸き上げ運転を一時的に許可する構成としてなる請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の貯湯式給湯機。
  6. 前記割高時間帯中に前記貯湯タンク内の蓄熱量が下限判定値よりも減少した場合に、前記貯湯タンク内の残湯量が許容限度未満となったことを報知するか、または、前記沸き上げ運転の禁止を解除する方法を報知する報知手段を備えてなる請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の貯湯式給湯機。
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