以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、各図において説明の中心となる流路を太線で示す。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。図1に示す貯湯式給湯機100は、貯湯タンクユニット200と、ヒートポンプサイクルを利用するように構成されたヒートポンプユニット300とを備えている。貯湯タンクユニット200とヒートポンプユニット300とは、ヒートポンプ出口配管19、ヒートポンプ入口配管20および電気配線(図示せず)を介して接続されている。
貯湯タンクユニット200には制御部1(運転制御手段)が内蔵され、ヒートポンプユニット300には制御部15が内蔵されている。貯湯タンクユニット200が備える各種の弁類、ポンプ類などの動作は、これらと電気的に接続された制御部1によって制御される。ヒートポンプユニット300の制御部15は、主に貯湯タンクユニット200の制御部1からの指示に基づき、ヒートポンプユニット300の動作を制御する。浴室あるいは台所等には、ユーザーインターフェース装置としての図示しないリモコンが設置され、制御部1と通信可能に接続されている。このリモコンには、使用者が給湯温度等の各種の設定や指示を入力するための入力手段のほか、情報を表示可能なディスプレイ、音声、アラーム等を発生可能なスピーカなどの報知手段が備えられている。以下、貯湯式給湯機100の各構成要素について説明する。
ヒートポンプユニット300は、貯湯タンクユニット200から導かれた低温水等を加熱(沸き上げ)するための加熱手段として機能するものである。ヒートポンプユニット300は、前述した制御部15のほか、図示を一部省略するが、空気の熱を取込み冷媒に与える空気熱交換器と、空気熱交換器に送風するための送風ファンと、冷媒の膨張収縮を制御する膨張弁と、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機を通過した高温の冷媒により湯水を加熱する沸き上げ用熱交換器18と、沸き上げ用熱交換器18に流入する湯水の温度を検出するヒートポンプ給水温度センサ17と、沸き上げ用熱交換器18から流出する湯水の温度を検出するヒートポンプ出湯温度センサ16とを備えている。
貯湯タンクユニット200には、前述した制御部1のほか、以下の各種機器や配管などが内蔵されている。貯湯タンク5は、略円筒形状をなしている。貯湯タンク5の内部には、ヒートポンプユニット300の沸き上げ用熱交換器18で沸き上げられた高温水(湯)を上側から貯留し、市水等の水源から供給される低温水を下側から貯留することができる。貯湯タンク5の下部に設けられた水導入口44には、給水配管42が接続されている。給水配管42には、水源からの水を供給する給水配管40が減圧弁8を介して接続されている。水源からの水は、給水配管40、減圧弁8、給水配管42を通って、水導入口44から貯湯タンク5内の下部に流入する。貯湯タンク5の上部に接続された上部ポート28には、給湯配管29と、配管27とが連通している。貯湯タンク5には、複数の残湯温度センサ(図示せず)が高さの異なる位置に取り付けられている。制御部1は、それらの残湯温度センサにより貯湯タンク5内の湯水の温度分布を検出し、その温度分布に基づいて貯湯タンク5内の残湯量(蓄熱量)を算出し、その算出値に基づいて、後述する貯湯運転の開始および停止などを制御する。
また、貯湯タンクユニット200内には、熱源ポンプ3と、追い焚き用熱交換器9とが内蔵されている。追い焚き用熱交換器9は、貯湯タンク5あるいはヒートポンプユニット300から供給される高温水を1次側の熱源水として利用して、2次側の浴槽水を加熱するための熱交換器である。浴槽13に設けられた浴槽アダプター14は、配管36,37を介して、貯湯タンクユニット200に接続されている。追い焚き用熱交換器9は、配管34,35,36,37,38および39からなる浴槽循環流路を介して、浴槽13と接続されている。この浴槽循環流路の途中には、浴槽水を循環させるための浴槽循環ポンプ12が設置されている。また、追い焚き用熱交換器9内または追い焚き用熱交換器9の近傍の浴槽水流路には、追い焚き用熱交換器9から流出する浴槽水の温度を検出可能な浴槽往き温度センサ10と、追い焚き用熱交換器9に流入する浴槽水の温度を検出可能な浴槽戻り温度センサ11とが設けられている。
次に、貯湯タンクユニット200が備える弁類および配管類について説明する。貯湯タンクユニット200は、流路切替手段としての第1流路切替弁4および第2流路切替弁2を有している。本実施形態では、第1流路切替弁4は、eポート、fポートおよびgポートの3つのポートを有する三方弁で構成されている。第2流路切替弁2は、aポート、bポート、cポートおよびdポートの4つのポートを有する四方弁で構成されている。
また、貯湯タンクユニット200は、沸き上げ往き流路30、ポンプ流路22、沸き上げ戻り流路21、配管26,27、バイパス流路24、連通流路23、熱源水往き流路31および熱源水戻り流路32を有している。沸き上げ往き流路30は、貯湯タンク5の下部に設けられた水導出口45と、第1流路切替弁4のeポートとの間を接続している。ポンプ流路22は、第1流路切替弁4のfポートと、ヒートポンプ入口配管20との間を接続している。ポンプ流路22の途中には、熱源ポンプ3が設けられている。沸き上げ戻り流路21は、ヒートポンプ出口配管19と、第2流路切替弁2のaポートとの間を接続している。配管26,27は、第2流路切替弁2のdポートと、貯湯タンク5の上部ポート28との間を接続している。バイパス流路24は、貯湯タンク5の下部または中間部に設けられた水戻り口46と、第2流路切替弁2のbポートとの間を接続している。連通流路23は、その一端が熱源ポンプ3の下流側のポンプ流路22に連通し、他端が第2流路切替弁2のcポートに接続されている。熱源水往き流路31は、配管26,27の接続部から分岐して延び、追い焚き用熱交換器9の熱源水導入口に接続されている。熱源水戻り流路32は、追い焚き用熱交換器9の熱源水排出口と、第1流路切替弁4のgポートとの間を接続している。
更に、貯湯タンクユニット200は、給水分岐管41、給湯混合弁6、ふろ混合弁7、混合水給湯管43および浴槽水給湯管33を有している。給水分岐管41は、減圧弁8の下流側で給水配管40から分岐した管路であり、給湯混合弁6およびふろ混合弁7にそれぞれ接続されている。給湯混合弁6およびふろ混合弁7には、給湯配管29が更に接続されている。給湯混合弁6およびふろ混合弁7は、それぞれ、貯湯タンク5から給湯配管29を介して供給される高温水と、給水分岐管41から供給される低温水との流量比を調整することにより、リモコンにて使用者が設定した設定温度に調整して温水を供給する弁である。給湯混合弁6で温度調整された温水は、混合水給湯管43を通って、浴室のシャワーやカラン、台所の蛇口など(図示せず)に供給される。ふろ混合弁7で設定温度に調整された温水は、浴槽水給湯管33および浴槽循環流路を経て、浴槽13に供給される。
第1流路切替弁4は、eポート−fポート間を連通させる位置と、fポート−gポート間を連通させる位置とに、流路を切り替え可能になっている。第2流路切替弁2は、aポート−bポート間を連通させる位置と、aポート−dポート間を連通させる位置と、bポート−cポート間を連通させる位置とに、流路を切り替え可能になっている。
図1は、貯湯式給湯機100における待機状態での回路構成を示している。待機状態とは、後述する貯湯運転や追い焚き運転などの何れの運転も行っていない状態のことである。図1に示すように、待機状態では、第1流路切替弁4は、eポート−fポート間を連通させる位置に制御され、第2流路切替弁2は、aポート−bポート間を連通させる位置に制御される。この待機状態では、熱源ポンプ3、ヒートポンプユニット300および浴槽循環ポンプ12は何れも停止状態である。
次に、貯湯式給湯機100における貯湯運転について説明する。貯湯運転とは、ヒートポンプユニット300を利用して貯湯タンク5内の低温水を沸き上げ、高温水を貯える運転である。貯湯運転時には、第1流路切替弁4は、eポート−fポート間を連通させる位置に制御される。一方、第2流路切替弁2は、aポート−dポート間を連通させる位置に制御される。貯湯運転は、このように第1流路切替弁4および第2流路切替弁2が制御された状態で、熱源ポンプ3およびヒートポンプユニット300を駆動することにより実行される。その結果、貯湯タンク5下部の水導出口45から流出する低温水は、沸き上げ往き流路30、第1流路切替弁4、ポンプ流路22(熱源ポンプ3)およびヒートポンプ入口配管20をこの順に経由してヒートポンプユニット300に導かれ、沸き上げ用熱交換器18において加熱されて高温水(湯)となり、ヒートポンプ出口配管19、沸き上げ戻り流路21、第2流路切替弁2および配管26,27をこの順に経由して、貯湯タンク5の上部ポート28から貯湯タンク5内に流入し貯えられる。このような貯湯運転が実行されることで、貯湯タンク5の内部では、上層部から高温水が貯えられていき、この高温水の層が徐々に厚くなる。その後、所定量の高温水が貯えられるまで貯湯運転が継続される。
次に、貯湯式給湯機100における貯湯利用追い焚き運転について説明する。貯湯利用追い焚き運転とは、貯湯タンク5内に貯えられた高温水を熱源水として追い焚き用熱交換器9に送ることによって浴槽13内の湯水(浴槽水)を加温または保温する運転のことである。貯湯利用追い焚き運転では、第1流路切替弁4はfポート−gポート間を連通させる位置に制御され、第2流路切替弁2はbポート−cポート間を連通させる位置に制御され、熱源ポンプ3および浴槽循環ポンプ12を駆動する。この貯湯利用追い焚き運転では、貯湯タンク5の上部ポート28から流出する高温水(熱源水)は、配管27および熱源水往き流路31を経由して追い焚き用熱交換器9に導かれる。追い焚き用熱交換器9では、貯湯タンク5から供給された熱源水と、浴槽循環流路を循環する浴槽水とが熱交換する。熱交換後の温度低下した熱源水(中温水)は、熱源水戻り流路32、第1流路切替弁4、ポンプ流路22(熱源ポンプ3)、連通流路23、第2流路切替弁2およびバイパス流路24をこの順に経由して、水戻り口46から貯湯タンク5内に流入する。
次に、貯湯式給湯機100におけるヒートポンプ利用追い焚き運転(加熱手段利用追い焚き運転)について説明する。ヒートポンプ利用追い焚き運転とは、ヒートポンプユニット300の沸き上げ用熱交換器18によって沸き上げた高温水を熱源水として追い焚き用熱交換器9に送ることによって浴槽13内の湯水を加温または保温する運転のことである。ヒートポンプ利用追い焚き運転時には、第1流路切替弁4はfポート−gポート間を連通させる位置に制御され、第2流路切替弁2はaポート−dポート間を連通させる位置に制御され、ヒートポンプユニット300、熱源ポンプ3および浴槽循環ポンプ12を駆動する。第1流路切替弁4および第2流路切替弁2を上記のように制御することにより、ヒートポンプユニット300と追い焚き用熱交換器9との間を貯湯タンク5を介さずに接続する循環流路(加熱手段利用追い焚き循環流路)が形成される(図3参照)。ヒートポンプ利用追い焚き運転では、ヒートポンプユニット300の沸き上げ用熱交換器18にて加熱された熱源水が、ヒートポンプ出口配管19、沸き上げ戻り流路21、第2流路切替弁2、配管26および熱源水往き流路31をこの順に経由して追い焚き用熱交換器9に送られる。追い焚き用熱交換器9では、ヒートポンプユニット300から供給された熱源水と、浴槽循環流路を循環する浴槽水とが熱交換する。熱交換後の温度低下した熱源水は、熱源水戻り流路32、第1流路切替弁4、ポンプ流路22(熱源ポンプ3)、ヒートポンプ入口配管20をこの順に経由してヒートポンプユニット300に戻り、沸き上げ用熱交換器18にて再び沸き上げられ、再循環する。
本実施形態では、上述した貯湯運転、貯湯利用追い焚き運転、ヒートポンプ利用追い焚き運転の何れにおいても、共通の熱源ポンプ3を用いて湯水を循環させることができる。このため、ポンプの個数を削減でき、コスト低減、重量軽減が図れる。
貯湯利用追い焚き運転を行った場合には貯湯タンク5下部に中温水が発生するが、ヒートポンプ利用追い焚き運転を行った場合には貯湯タンク5下部に中温水が発生しない。このため、ヒートポンプ利用追い焚き運転を行った場合には、次回の貯湯運転においてヒートポンプユニット300への入水温度が高くなることがないので、ヒートポンプユニット300のエネルギー効率(成績係数)の低下を回避することができる。また、ヒートポンプ利用追い焚き運転を行った場合には、貯湯タンク5内の蓄熱量を減少させることがないという利点もある。
浴槽13を追い焚きする場合、制御部1は、ヒートポンプユニット300の状態や、浴槽湯温の状態、貯湯タンク5の残湯量(蓄熱量)、あるいはリモコンに入力された使用者の指示などに基づいて、貯湯利用追い焚き運転とヒートポンプ利用追い焚き運転との何れを実行するかを所定の判断手法に基づいて決定する。
本実施形態では、ヒートポンプ利用追い焚き運転を実行した場合には、ヒートポンプ利用追い焚き運転の終了後、沸き上げ用熱交換器18内にスケールが堆積することを防止するため、沸き上げ用熱交換器18を冷却する冷却動作を実行する。ヒートポンプ利用追い焚き運転の終了時には、ヒートポンプユニット300の圧縮機および浴槽循環ポンプ12は停止される。この冷却動作では、ヒートポンプ利用追い焚き運転と同じ循環流路のままで、熱源ポンプ3を駆動して湯水を循環させる。これにより、沸き上げ用熱交換器18等の内部に残存する高温水が、追い焚き用熱交換器9を通過して冷却されて、沸き上げ用熱交換器18内に戻る。この冷却動作によって沸き上げ用熱交換器18の余熱を除去して温度を低下させることにより、沸き上げ用熱交換器18内にスケールが堆積することを確実に抑制することができる。また、このような冷却動作では、沸き上げ用熱交換器18等の内部に残存する高温水が貯湯タンク5下部に流入しないので、貯湯タンク5下部の水温が上昇することがない。このため、次回の貯湯運転においてヒートポンプユニット300への入水温度が高くなることがないので、ヒートポンプユニット300のエネルギー効率の低下を回避することができる。この冷却動作では、沸き上げ用熱交換器18等の内部に残存する高温水が追い焚き用熱交換器9に送られるので、追い焚き用熱交換器9が加熱され、追い焚き用熱交換器9内に滞留している浴槽水の温度が上昇する可能性がある。追い焚き用熱交換器9に滞留している浴槽水の温度が過度に上昇すると、その後に湯張りや足し湯が行われて浴槽13に給湯した際、リモコンに設定された給湯温度より高い温度の湯が追い焚き用熱交換器9から浴槽13に出湯する可能性がある。そこで、本実施形態では、冷却動作の実行中、追い焚き用熱交換器9の温度を監視し、追い焚き用熱交換器9の温度が過度に上昇するおそれのある場合には、追い焚き用熱交換器9の温度上昇を抑制する制御(昇温抑制制御)を行うこととした。
図2は、上述したヒートポンプ利用追い焚き運転の終了後に制御部1が実行する処理のフローチャートである。ヒートポンプ利用追い焚き運転の終了後の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。図2のStartの時点では、ヒートポンプ利用追い焚き運転が終了し、ヒートポンプユニット300の圧縮機が停止した状態である。ステップS1では、沸き上げ用熱交換器18の冷却動作で熱源ポンプ3を駆動する所定の上限時間A分(例えば10分)をセットし、ステップS2に進む。このときの流路図は、図3である。冷却動作では、図3に示すように、熱源ポンプ3により、ヒートポンプ利用追い焚き運転と同じ循環流路を湯水が循環する。なお、ヒートポンプ利用追い焚き運転が終了した時点では浴槽循環ポンプ12は駆動している。その後、独自の基準条件に従い、該基準条件を満足した場合に、浴槽循環ポンプ12が停止する。この停止動作をフローチャートに示すと煩雑となるため、図2のフローチャートでは省略している。そのため、図3の流路図でも、浴槽循環流路側(配管34,35,36,37,38および39)の動作は省略する。
ステップS2では、冷却動作開始時からの経過時間が、上限時間A分を超過していないかを確認する。上限時間A分を超過している場合には、ステップS5へ進み、熱源ポンプ3を停止する。上限時間A分を超過していない場合には、ステップS3に進む。ステップS3では、浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttcoが所定温度B℃以下であるかを確認する。浴槽往き温度センサ10は、追い焚き用熱交換器9の近傍にあるので、浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttcoは、追い焚き用熱交換器9の温度(追い焚き用熱交換器9内の浴槽水の温度)にほぼ等しいとみなせる。このため、本実施形態では、浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttcoを追い焚き用熱交換器9の温度として用いる。所定温度B℃は、次回の湯張り・足し湯時に浴槽13への出湯温度が設定温度を超えることがないように予め設定される温度であり、例えば60℃と設定する。TtcoがB℃以下である場合には、追い焚き用熱交換器9の温度上昇を抑制する必要はないと判断され、ステップS4に進む。これに対し、TtcoがB℃を超えている場合には、追い焚き用熱交換器9の温度上昇を抑制する必要があると判断され、ステップS6に進む。
ステップS4では、熱源ポンプ3の停止条件を満足しているか否かを判定する。この停止条件とは、ヒートポンプ給水温度センサ17の検出温度と、ヒートポンプ出湯温度センサ16の検出温度との差が基準値(例えば3℃)以内になることである。ヒートポンプ給水温度センサ17の検出温度と、ヒートポンプ出湯温度センサ16の検出温度との差が上記基準値以内になっていれば、沸き上げ用熱交換器18は十分に冷却されたと判断できる。このため、上記停止条件を満足している場合には、沸き上げ用熱交換器18の冷却処理が終了したと判断し、ステップS5に進んで、熱源ポンプ3を停止させる。この時点で冷却動作は終了となる。これに対し、上記停止条件を満足していない場合には、沸き上げ用熱交換器18の冷却がまだ終了していないと判断し、ステップS2に戻る。
一方、浴槽往き温度センサ10の検出温度がB℃を超えている場合に進むステップS6では、熱源ポンプ3が駆動しているか否かを判定する。熱源ポンプ3が駆動している場合は、ステップS7に進む。熱源ポンプ3が停止している場合は、ステップS9に進む。ステップS9では、熱源ポンプ3を駆動させ、ステップS1に戻る。
ステップS7では、第2流路切替弁2を、aポート−bポート間を連通させる位置に切り替える。そして、ステップS8へ進み、第1流路切替弁4を、eポート−fポート間を連通させる位置に切り替える。その後は、ステップS3に戻り、以降、ステップS5に到達するまで、処理を継続する。
図4は、上記ステップS7およびステップS8で第2流路切替弁2および第1流路切替弁4を切り替えた後の流路を示す図である。本実施形態では、ステップS7およびステップS8における第2流路切替弁2および第1流路切替弁4の切り替えが、追い焚き用熱交換器9の温度上昇を抑制する昇温抑制制御に相当している。図4に示すように、昇温抑制制御が実行された状態では、沸き上げ用熱交換器18と、貯湯タンク5の下部とが、ヒートポンプ出口配管19、沸き上げ戻り流路21、第2流路切替弁2、バイパス流路24、沸き上げ往き流路30、第1流路切替弁4、ポンプ流路22およびヒートポンプ入口配管20からなるバイパス循環流路により接続される。これにより、沸き上げ用熱交換器18の余熱により加熱された温水は、水戻り口46から貯湯タンク5内に流入し、貯湯タンク5の水導出口45から流出する低温水が沸き上げ用熱交換器18に流入する。このような昇温抑制制御を行うことにより、沸き上げ用熱交換器18の余熱により加熱された温水が追い焚き用熱交換器9に送られなくなるので、追い焚き用熱交換器9が加熱されなくなり、放熱により追い焚き用熱交換器9の温度が低下する。
本実施形態によれば、以上の制御を行うことで、ヒートポンプ利用追い焚き運転終了後の沸き上げ用熱交換器18の冷却動作のときに追い焚き用熱交換器9の温度が過度に上昇することを確実に防止することができる。このため、次回の湯張り・足し湯時に、設定温度を超える温度の湯が追い焚き用熱交換器9から浴槽13へ出湯することを確実に防止することができる。また、貯湯タンク5内の低温水が沸き上げ用熱交換器18に流入することにより、沸き上げ用熱交換器18を迅速に冷却することができる。
実施の形態2.
次に、図5および図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
本実施形態の貯湯式給湯機は、装置構成は実施の形態1と同様である。図5は、本実施形態の貯湯式給湯機において、ヒートポンプ利用追い焚き運転の終了後に制御部1が実行する処理のフローチャートである。本実施形態の貯湯式給湯機は、制御部1が前述した図2のフローチャートに代えて図5のフローチャートの処理を実行することにより実現される。以下、本実施形態におけるヒートポンプ利用追い焚き運転の終了後の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。
図5のステップS1およびS2の処理は、実施の形態1と同様であり、説明を省略する。ステップS2で、冷却動作開始時からの経過時間が上限時間A分を超過していない場合には、ステップS10に進む。ステップS10では、浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttcoが所定温度E℃以下であるかを確認する。ステップS10の処理は、追い焚き用熱交換器9の温度が上昇してきたかどうかを確認するものである。所定温度E℃は、浴槽アダプター14から浴槽13内の浴槽水中に流出したとしても浴槽13内の人体に影響を与えない温度(例えば55℃)に設定される。浴槽往き温度センサ10の検出温度TtcoがE℃以下である場合は、ステップS4に進み、E℃を超えている場合はステップS6に進む。ステップS4およびステップS5は実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
ステップS6で、熱源ポンプ3が駆動している場合にはステップS11に進み、熱源ポンプ3が駆動していない場合には場合にはステップS9で熱源ポンプ3を駆動してステップS1に戻る。ステップS11では、浴槽循環ポンプ12を駆動させる。本実施形態では、ステップS11において浴槽循環ポンプ12を駆動させることが、追い焚き用熱交換器9の温度上昇を抑制する昇温抑制制御に相当している。図6は、このときの流路を示す図である。図6に示すように、本実施形態では、追い焚き用熱交換器9の温度が上昇してきた場合(浴槽往き温度センサ10の検出温度TtcoがE℃を超えた場合)に、浴槽循環ポンプ12を駆動し、追い焚き用熱交換器9に浴槽水を循環させる。これにより、追い焚き用熱交換器9の熱が浴槽水に奪われ、追い焚き用熱交換器9の温度が低下する。
ステップS11の後は、ステップS10に戻り、処理を継続する。沸き上げ用熱交換器18の冷却が終了すると、ステップS5に到達し、熱源ポンプ3を停止させる。その後、ステップS12に進む。ステップS12では、浴槽循環ポンプ12が駆動している場合には、浴槽循環ポンプ12を停止させる。浴槽循環ポンプ12が駆動していない場合は、省略してフローを終了する。
本実施形態によれば、以上の制御を行うことで、ヒートポンプ利用追い焚き運転終了後の沸き上げ用熱交換器18の冷却動作のときに追い焚き用熱交換器9の温度が過度に上昇することを確実に防止することができる。このため、次回の湯張り・足し湯時に、設定温度を超える温度の湯が追い焚き用熱交換器9から浴槽13へ出湯することを確実に防止することができる。また、本実施形態では、ヒートポンプ利用追い焚き運転の終了後、熱源水の流路内の湯水温度を実施の形態1と比べて高い温度に保持することが可能であるため、ヒートポンプ利用追い焚き運転を再度実行する場合に、追い焚きを迅速に行うことが可能となる。
実施の形態3.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態の貯湯式給湯機は、実施の形態1および2と比べて、装置構成および動作はほぼ同様であり、実施の形態1のステップS3(図2)、実施の形態2のステップS10(図5)に相当する、追い焚き用熱交換器9の温度判定方法のみが異なる。本実施形態において、制御部1は、追い焚き用熱交換器9の温度(浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttco)が、前述した所定温度(B℃またはE℃)を超過するおそれがあるか否かを事前に予測する温度判定フローを実行する。図7は、本実施形態における温度判定フローのフローチャートである。本実施形態における温度判定フローは、実施の形態1、2のどちらにも適用可能である。以下、図7を参照して、本実施形態における温度判定フローについて説明する。
図7のStartの時点は、ヒートポンプ利用追い焚き運転が終了した時点とする。ステップS13は、熱源ポンプ3が駆動しているか確認するステップであり、熱源ポンプ3が駆動している場合にはステップS14に進み、熱源ポンプ3が駆動していない場合には温度判定フローを終了する。ステップS14は、第1流路切替弁4の位置を確認するステップであり、fポート−gポート間が連通する位置である場合にはステップS15に進み、上記以外の位置である場合は温度判定フローを終了する。ステップS15は、第2流路切替弁2の位置を確認するステップであり、aポート−dポート間が連通する位置である場合にはステップS16に進み、上記以外の位置である場合は温度判定フローを終了する。
制御部1は、浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttcoのデータを格納する配列を記憶領域に有している。ステップS16は、その配列の1番目の要素であるTtco(1)に値が入力されているかを確認するステップである。Ttco(1)に値が入力されていればステップS17に進み、入力されていなければステップS27に進む。ステップS27は、Ttco(1)にTtcoの現在値を入力するステップであり、終了後ステップS13に戻る。ステップS17は、配列の2番目の要素Ttco(2)に現在の値Ttcoを入力するステップであり、その後ステップS18に進む。制御部1の記憶領域には、Ttcoの微分値(Ttcoの傾き)であるT1のデータを格納する配列が更に設けられている。ステップS18は、Ttcoの微分値T1の配列の1番目の要素であるT1(1)に数値が入力されているか否かを確認するステップである。T1(1)に値が入力されていればステップS19に進み、入力されていなければステップS28に進む。ステップS28は、Ttcoの微分値T1(1)を計算するステップであり、Ttco(2)とTtco(1)との差をサンプリング時間Δtで除することによりT1(1)を計算する。計算終了後ステップS29に進む。ステップS29は、Ttco(1)にTtco(2)を入力するステップであり、数値入れ替え後ステップS13に戻る。
ステップS19は、Ttcoの微分値T1の2番目の要素T1(2)の値を計算するステップであり、Ttco(2)とTtco(1)との差をサンプリング時間Δtで除することによりT1(2)を計算する。計算終了後ステップS20に進む。ステップS20は、Ttcoの2階微分値(Ttcoの傾きの変化の割合)T2を計算するステップであり、T1(2)とT1(1)との差をサンプリング時間Δtで除することによりT2を計算する。計算終了後ステップS21に進む。ステップS21は、Ttcoの微分値T1(1)が正であるか否か、つまり、Ttcoが上昇中であるか否かを判定するステップであり、上昇中(T1(1)>0)であればステップS22に進む。Ttcoが上昇中でない(T1(1)≦0)場合は、Ttcoが所定温度を超えるおそれはないと判断し、ステップS30に進む。ステップS30は、Ttcoの微分値T1(1)にT1(2)を入力するステップであり、数値入れ替え後ステップS29に進む。
ステップS22は、Ttcoの2階微分値T2が正であるか否か、つまり、Ttcoの時間変化のグラフが下に凸か上に凸かを判定するステップであり、下に凸(T2>0)である場合にはステップS23に進む。Ttcoの時間変化のグラフが下に凸でない(T2≦0)場合には、Ttcoの上昇は収束しつつあるので、Ttcoが所定温度を超えるおそれはないと判断し、ステップS30に進む。
ステップS23は、判定を下すステップであり、浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttcoが、前述した所定温度を超過するかどうかを予測する。この予測方法としては、例えば、現在までの検出温度Ttcoのデータに基づいて多項式近似等の公知の方法によってTtcoの上昇傾向の近似曲線を算出することにより、Ttcoが上記所定温度を超過するかどうかを予測する。このステップS23によって浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttcoが上記所定温度を超えると予測された場合には、追い焚き用熱交換器9の温度上昇を抑制する必要があると判断し、実施の形態1または2の昇温抑制制御を実行する。また、この場合、追い焚き用熱交換器9の温度が上記所定温度を超えるおそれがある旨をリモコンの表示部に表示する等の方法により使用者に報知してもよい。温度判定フローにおいては、ステップS23終了後、ステップS24に進む。ステップS24は、Ttco(1)およびTtco(2)の数値をクリアするステップであり、クリア後ステップS25に進む。ステップS25はT1(1)およびT1(2)の数値をクリアするステップであり、クリア後ステップS26に進む。ステップS26はT2の数値をクリアするステップであり、数値をクリア後、温度判定フローを終了する。
以上説明したように、本実施形態では、浴槽往き温度センサ10の検出温度Ttcoの変化傾向を、Ttcoを時間微分した微分値T1および2階微分値T2に基づいて検出することにより、追い焚き用熱交換器9の温度上昇を事前に予測することができる。これにより、追い焚き用熱交換器9の温度が、次回の湯張り・足し湯時に設定温度以上の湯が出湯される可能性のある温度に到達する前に、追い焚き用熱交換器9の温度上昇を抑制する昇温抑制制御を開始することができる。このため、次回の湯張り・足し湯時に、設定温度以上の湯が追い焚き用熱交換器9から浴槽13に出湯されることをより確実に防止することが可能となる。