JP6135857B2 - 乾燥方法 - Google Patents

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Description

本発明は、乾燥方法に関する。
従来から、被記録媒体に吐出されたインクを乾燥させるヒーターを備える記録装置が使用されている。このうち、被記録媒体に吐出されたインクを乾燥させるために、被記録媒体に電磁波を照射する電磁波照射部を備える記録装置が使用されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、ハロゲンヒーターやシーズヒーターなどの電磁波を照射するヒーターを備える記録装置が開示されている。
また、特許文献1及び特許文献2には、被記録媒体の搬送経路において被記録媒体を支持するプラテンと、該プラテンの位置に対応するヒーターと、を備える記録装置が開示されている。ここで、特許文献1には、被記録媒体の搬送方向に複数のアルミニウム合金製のプラテンが隣り合って設けられる記録装置が開示されている。
特開2013−28094号公報 特開2012−45855号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されるような、従来の、赤外線等の電磁波照射タイプのヒーターを備える記録装置では、該ヒーターにより、被記録媒体に吐出されたインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露し、被記録媒体が濡れてしまう場合があった。
そこで、本発明の目的は、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを抑制することである。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の記録装置は、被記録媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部上の前記被記録媒体に電磁波を利用して前記被記録媒体上に存在するインクを乾燥する電磁波照射部と、を有し、前記媒体支持部は、前記電磁波照射部による照射領域を含む第1領域と、該第1領域と隣り合って設けられるとともに該第1領域よりも熱伝導率が低く前記電磁波照射部による非照射領域を含む第2領域を含み、前記インクから蒸発した蒸気を通す開口部が設けられていることを特徴とする。
ここで、前記媒体支持部の「照射領域を含む第1領域」とは、前記第1領域は、前記照射領域の少なくとも一部を含めば足りる意味であり、前記非照射領域を含んでいてもよい意味である。また、前記媒体支持部の「非照射領域を含む第2領域」とは、前記第2領域は、前記非照射領域であって結露が起こり易い領域を少なくとも含む意味であり、前記照射領域を含んでいてもよい意味である。
また、前記媒体支持部の「インクから蒸発した蒸気を通す開口部」における「開口部」とは、前記蒸発した蒸気が当該媒体支持部に対して前記被記録媒体側から反対側に向って通過可能である開口を意味する。
本態様によれば、前記媒体支持部にはインクから蒸発した蒸気を通す開口部が設けられている。このため、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気を、該開口部を通って前記媒体支持部の前記被記録媒体と対向する部分、即ち該媒体支持部と該被記録媒体との接触領域から遠ざける方向に逃がすことが可能になる。これにより、結露源となる当該蒸気の当該媒体支持部周辺における存在量を簡単に減らすことができ、以って当該媒体支持部周辺は結露が起こり難い状態になっている。
そして、本態様によれば、前記媒体支持部は、前記照射領域を含む第1領域と、該第1領域よりも熱伝導率が低く前記非照射領域を含む第2領域と、を有する。前記第1領域は、前記照射領域を含むため温度が高くなりやすく結露しにくい。また、前記第2領域は、前記非照射領域であって結露が起こり易い領域を含むが、前記第1領域よりも熱伝導率が低いため、結露が起こり難い状態になっている。
即ち本態様によれば、前記媒体支持部の前記第1領域(照射領域を含む)と前記第2領域(第1領域よりも熱伝導率が低く前記非照射領域を含む)の組み合わせによって、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が当該媒体支持部に結露することを抑制することができる。これにより、被記録媒体が濡れて汚れる虞を低減することができる。
尚、当該媒体支持部の第2領域が第1領域よりも熱伝導率が低い構成として、前記第1領域と前記第2領域とが、熱伝導率の異なる別の構成材料で形成される構成によって実現するほか、例えば、前記第2領域における前記被記録媒体の支持面と前記第1領域の支持面とが同じ構成材料で形成され、前記第2領域の支持面とは反対側に断熱材が設けられる構成等で実現してもよい。
本発明の第2の態様の記録装置は、前記第1の態様において、前記第2領域は、前記被記録媒体の長手方向において、前記第1領域の少なくとも一方の側に隣り合って設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記被記録媒体の長手方向において、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを効果的に抑制することができる。
本発明の第3の態様の記録装置は、前記第1の態様又は第2の態様において、前記第2領域は、断熱材が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、前記第2領域は、断熱材が設けられている。このため、前記被記録媒体の支持面を前記第1領域と前記第2領域とで同じ構成材料で形成し、前記第2領域において支持面とは反対側に断熱材を設ける等することにより、簡単に、前記第1領域よりも熱伝導率が低い前記第2領域を形成することができる。すなわち、簡単な構成で、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを抑制することができる。
本発明の第4の態様の記録装置は、前記第3の態様において、前記断熱材は、前記蒸気が結露して生じた液滴の引火点よりも前記電磁波照射時の温度が低くなる位置に設けられていることを特徴とする。
ここで、「前記蒸気が結露して生じた液滴の引火点」とは、例えば、前記インクの含有成分の引火点が対応し、特に、前記インクの含有成分のうちの最も低い引火点が対応する。
本態様によれば、前記断熱材は、前記蒸気が結露して生じた液滴の引火点よりも前記電磁波照射時の温度が低くなる位置に設けられている。このため、前記断熱材に前記インクから蒸発した蒸気が結露しても該結露して生じた液滴は引火しないため、安全性が高い。
本発明の第5の態様の記録装置は、前記第2の態様又は第4の態様において、前記断熱材は、熱伝導率が0.1W/(m・K)未満であることを特徴とする。
本態様によれば、前記断熱材は、熱伝導率が0.1W/(m・K)未満である。このため、前記断熱材は、前記第2領域の熱伝導率を効果的に低くすることができる。すなわち、効果的に、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを抑制することができる。
本発明の第6の態様の記録装置は、前記第1の態様から第5の態様のいずれか1つの態様において、前記開口部を通った前記蒸気が結露する結露部を備えることを特徴とする。
ここで「結露部」とは、その表面に接した蒸気が乾燥工程中の前記媒体支持部よりも結露しやすく構成されていることを意味する。具体的には例えば熱伝導率がアルミニウム合金のように高い材料で作られ、更に接する蒸気が結露を起こす低い温度になるように構成されている。尚、この例の構成に限定されないことは勿論である。
本態様によれば、前記媒体支持部には前記インクから蒸発した蒸気を通す開口部が設けられ、前記開口部を通った前記蒸気を結露させる結露部を備えている。このため、前記インクから蒸発した蒸気は前記開口部を介して該結露部に至り、当該結露部において積極的に結露することになる。
これにより、前記媒体支持部において前記インクから蒸発した蒸気が結露する前に、前記結露部で該蒸気を結露させることができる。すなわち、前記電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が前記媒体支持部に結露することをより効果的に抑制することができる。
本発明の第7の態様の記録装置は、前記第6の態様において、前記結露部は前記開口部に対向して設けられ、前記結露部の熱伝導率は、前記第2領域の熱伝導率よりも高いことを特徴とする。
本態様によれば、前記結露部における熱伝導率は、前記第2領域における熱伝導率よりも高い。即ち、該結露部は前記第2領域よりも結露しやすい材料で構成されている。このため、前記電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気を当該結露部において積極的に結露させることが可能となり、以って前記媒体支持部に結露することを効果的に抑制することができる。
本発明の第8の態様の記録装置は、前記第1の態様から第7の態様のいずれか1つの態様において、前記被記録媒体の短手方向における前記電磁波照射部の電磁波の照射長さは、前記短手方向における前記媒体支持部の長さと同等かそれ以上であることを特徴とする。
ここで、「前記短手方向における前記媒体支持部の長さ」は、前記媒体支持部が外枠等を有する場合は該外枠を含めた長さとしてもよいし、該外枠を含めずに前記開口部が設けられた領域の長さとしてもよい。
また、「前記短手方向における前記媒体支持部の長さと同等かそれ以上である」の「同等」には前記短手方向における前記媒体支持部の長さよりも若干短い場合も含まれる意味である。
本態様によれば、前記短手方向における前記電磁波照射部の電磁波の照射長さは、前記短手方向における前記媒体支持部の長さと同等かそれ以上である。このため、前記媒体支持部の前記短手方向における温度分布を小さくすることができ、即ち温度差の大きい部分が生じず、以って前記媒体支持部の前記短手方向の端部等に結露が生じることを抑制することができる。
本発明の第9の態様の乾燥方法は、被記録媒体の上に存在するインクに電磁波照射を行うことによりインクを乾燥させる乾燥方法であって、前記電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が通る開口部が設けられている電磁波照射領域を含む第1領域と、該第1領域と隣り合って設けられるとともに該第1領域よりも熱伝導率が低く電磁波非照射領域を含む第2領域と、を有する媒体支持部上で乾燥を行うことを特徴とする。
本態様によれば、前記媒体支持部は、前記電磁波の照射により前記被記録媒体に記録がなされた前記インクから蒸発した蒸気が結露しにくい構成である。このため、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露して前記被記録媒体を汚すことを抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る記録装置を表す概略側面図。 本発明の実施形態1に係る記録装置における媒体支持部を表す概略斜視図。 本発明の実施形態1に係る記録装置における媒体支持部を表す概略側面図。 本発明の実施形態1に係る記録装置における媒体支持部を表す概略平面図。 本発明の実施形態2に係る記録装置を表す概略側面図。 本発明の実施形態2に係る記録装置における媒体支持部及び結露部を表す概略斜視図。
[実施形態1](図1〜図4)
以下に、実施形態1の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
最初に、本実施形態に係る記録装置について説明する。該記録装置は水性インクによって被記録媒体に記録可能な記録装置であるが、水性インクを使用可能な記録装置に限定されない。また、該記録装置は、本発明の媒体支持部を記録領域(記録ヘッドのノズル面が対向可能な位置)とは異なる位置に備えた所謂アフターヒータータイプの記録装置であるが、このような記録装置に限定されず、本発明の媒体支持部を記録領域に備えた記録装置としてもよい。さらに、該記録装置は、被記録媒体を記録ヘッドに対して搬送して記録を行う記録装置であるが、媒体支持部に対して記録ヘッドを移動させる所謂フラットベッドタイプの記録装置としてもよい。
図1は本実施形態に係る記録装置1の概略側面図を表している。
本実施形態の記録装置1は、記録を行うための被記録媒体Pを送り出すことが可能にロールR1をセットするセット部2を備えている。なお、本実施形態の記録装置1は被記録媒体Pとしてロール式の被記録媒体を使用しているが、このようなロール式の被記録媒体を使用する記録装置に限定されない。例えば、単票式の被記録媒体を用いてもよい。
本実施形態の記録装置1は、被記録媒体Pを搬送方向Aに搬送する際、セット部2は回転方向Cに回転する。
また、本実施形態の記録装置1は、ロール式の被記録媒体Pを搬送方向Aに搬送するための不図示の複数の搬送ローラーをプラテン3の近傍等に備える搬送機構15を備えている。セット部2が回転方向Cに回転し、搬送機構15の不図示の複数の搬送ローラーが回転し、後述の巻取部14が回転方向Cに回転することにより被記録媒体Pは搬送方向Aに搬送される。この搬送される際の被記録媒体Pの移動経路が該被記録媒体Pの搬送経路である。
また、本実施形態の記録装置1は、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する走査方向Bに記録ヘッド4を往復走査させて記録する記録機構16を備えている。記録ヘッド4は、搬送機構15による被記録媒体Pの搬送経路のうちの記録領域23において、被記録媒体Pにノズルからインクを吐出して記録する。記録ヘッド4から吐出されたインクにより、被記録媒体Pに画像が形成(記録)される。なお、本実施形態の記録装置1は、記録ヘッド4を往復移動させて記録する記録機構16を備えているが、インクを吐出するノズルを搬送方向Aと交差する方向に複数設けた所謂ラインヘッドを備える記録装置でもよい。
ここで、「ラインヘッド」とは、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する交差方向に形成されたノズルの領域が、前記被記録媒体Pの前記交差方向全体をカバー可能なように設けられ、記録ヘッド又は被記録媒体の一方を固定し他方を移動させて画像を形成する記録装置に用いられる記録ヘッドである。なお、ラインヘッドの前記交差方向のノズルの領域は、記録装置が対応している全ての被記録媒体Pの前記交差方向全体をカバー可能でなくてもよい。
また、本実施形態においては、搬送方向Aが被記録媒体Pの長手方向、搬送方向Aと交差する交差方向(走査方向B)が被記録媒体Pの短手方向に該当する。
また、ここで、被記録媒体Pに記録を行う際の記録ヘッド4の対向する領域が記録領域23であり、詳細には、記録ヘッド4のノズル形成面24に設けられたインクを吐出する不図示のノズルの構成領域に対向する領域が記録領域23である。なお、記録機構16には、記録領域23において被記録媒体Pに吐出されたインクの揮発成分の一部を蒸発させるため、記録領域23を50℃〜60℃程度に加熱可能な赤外線等の電磁波を照射する電磁波照射式のプラテンヒーター5が設けられている。
電磁波としては、赤外線を用いることが望ましく、その波長は0.76〜1000μmである。一般的に、赤外線は波長によってさらに、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に区分され、区分の定義は様々であるが、おおよそ波長域は、0.78〜2.5μm、2.5〜4.0μm、4.0〜1000μmとなる。なかでも中赤外線を用いることが好ましい。
記録ヘッド4の被記録媒体Pの搬送方向Aにおける下流側には、乾燥機構17を備えている。乾燥機構17は、記録ヘッド4により記録された被記録媒体Pに赤外線等の電磁波を照射可能な電磁波照射部7を備えている。また、乾燥機構17は、電磁波照射部7の電磁波の照射領域18と非照射領域20とを含む支持領域において被記録媒体Pを支持し、電磁波照射部7による電磁波照射により100℃〜120℃程度に加熱されて被記録媒体Pに吐出された前記インクから蒸発した蒸気を通す開口部19(図2参照)が設けられる媒体支持部である第1媒体支持部12を備えている。ここで、該第1媒体支持部12においては、電磁波照射部7から電磁波が照射される照射領域18と電磁波が照射されない非照射領域20とが発生する。熱伝導率が高い材料を用いて第1媒体支持部12が製造されている場合、非照射領域20では照射領域18から伝わる熱に対して逃げていく熱の割合が大きくなり、照射領域18と非照射領域20との間で温度差が大きくなる。インクから蒸発した前記蒸気の結露は、温度変化の大きい部分の温度の低いところで起こりやすいため、照射領域18と非照射領域20との間で温度差が大きくなると、温度の低い非照射領域20で結露しやすくなる。特に、第1媒体支持部12の被記録媒体と対向する部分において結露が生じやすかった。
該照射領域18では、電磁波照射部7による電磁波照射により前記吐出されたインクは100℃〜120℃程度に加熱される。そして、第1媒体支持部12の搬送方向Aにおける上流側には第2媒体支持部21が、第1媒体支持部12の搬送方向Aにおける下流側には第2媒体支持部22が、第1媒体支持部12に隣り合って設けられている。
本実施形態の記録装置1では、第1媒体支持部12の搬送方向Aにおける上流側の端部に断熱材25が、第1媒体支持部12の搬送方向Aにおける下流側の端部に断熱材26が、設けられている。そして、第1媒体支持部12において断熱材25及び26が設けられていない部分が第1領域27を構成し、断熱材25及び26が設けられている部分が第2領域28を構成している(図3参照)。別の表現をすると、第1媒体支持部12は、照射領域18を含む第1領域27と、該第1領域27よりも熱伝導率が低く非照射領域20を含む第2領域28と、を有する(図3参照)。
なお、本実施形態の第1媒体支持部12は、第2領域28における被記録媒体の支持面と第1領域27の支持面とが同じ構成材料で形成され、第2領域28の支持面とは反対側に断熱材25及び26が設けられる構成である。しかしながら、断熱材等を設けることなく、第1領域27と第2領域28とが熱伝導率が異なる別の構成材料で形成されている構成であってもよい。
ここで、本実施形態の記録装置1は、第1媒体支持部12における搬送方向Aの上流側及び下流側の端部に、断熱材25及び26が設けられ、第2領域28が構成されている。しかしながら、このような構成に限定されず、第1媒体支持部12のいずれかの領域に、照射領域18を含む第1領域27と、該第1領域27に隣り合って設けられるとともに該第1領域27よりも熱伝導率が低く非照射領域20を含む第2領域28と、を有する構成であればよい。
ここで、照射領域18を含む第1領域27は、照射領域18の少なくとも一部を含めば足り、非照射領域20を含んでいてもよい。また、非照射領域20を含む第2領域28は、非照射領域20であって結露が起こり易い領域を少なくとも含んでいれば、照射領域18を含んでいてもよい。
また、乾燥機構17の被記録媒体Pの搬送方向Aにおける下流側には、被記録媒体Pを巻き取る際の該被記録媒体Pの張力を調整する役割の張力調整部13が備えられている。そして、張力調整部13の被記録媒体Pの搬送方向Aにおける下流側には、被記録媒体Pを巻き取り可能な巻取部14が備えられている。なお、本実施形態の記録装置1では、被記録媒体PのロールR2を形成する際、巻取部14は回転方向Cに回転する。
次に、媒体支持部についてさらに詳細に説明する。
図2は、本実施形態の記録装置1における媒体支持部を表す概略斜視図である。
第1媒体支持部12には、開口部19が設けられている。即ち、被記録媒体Pに吐出されたインクから蒸発した蒸気が当該第1媒体支持部12に対して前記被記録媒体P側から反対側に向って通過可能である開口部19が設けられている。該開口部19は、前記インクから蒸発した蒸気を当該第1媒体支持部12の一方の面側から他方の面側に通す役割がある。
前記開口部19を設けたことにより、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気を、該開口部19を通って前記第1媒体支持部12の前記被記録媒体Pと対向する部分、即ち該第1媒体支持部12と該被記録媒体Pとの接触領域から遠ざける方向に逃がすことが可能になる。これにより、結露源となる当該蒸気の当該媒体支持部周辺における存在量を簡単に減らすことができ、以って当該媒体支持部周辺は結露が起こり難い状態になっている。また、第1媒体支持部12には、補強部材を兼ねる外枠6が設けられている。
前記開口部19の形状等に特に限定はなく、円形、多角形、その他蒸気を通過できる構造であれば全てよい。
該開口部19の好ましい構成例として、少なくとも一部が直径0.3mm以下の線状部材を格子状に並べて構成されている四角形が挙げられる。前記蒸気が結露するのには一定の面積の領域が必要になるが、少なくとも一部が直径0.3mm以下の線状部材を用いて開口部を構成することにより、開口部以外の面積を小さくすることができるため、このような一定の面積の領域を低減することができ、第1媒体支持部12における被記録媒体Pとの接触部分で蒸気が結露することを高い精度で抑制できるためである。
また、第1媒体支持部12に対する開口部19の開口率は、40%以上であることが好ましい。第1媒体支持部12で蒸気が結露することを高い精度で抑制できるためである。
第1媒体支持部12の被記録媒体を支持する側と反対側には、第1媒体支持部12における搬送方向Aの上流側及び下流側の端部に、搬送方向Aと交差する方向にわたって、断熱材25及び26が設けられている。そして、第1媒体支持部12において、断熱材25及び26が設けられていない部分が第1領域27を構成し、断熱材25及び26が設けられている部分が該第1領域27よりも熱伝導率が低い第2領域28を構成している。
このように、本実施形態の記録装置1は、照射領域18を含む第1領域27と、該第1領域27よりも熱伝導率が低く非照射領域20を含む第2領域28と、が隣り合って設けられている構成である。このため、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを抑制することができる。これは、第1領域27は照射領域18を含むため温度が高くなりやすく結露しにくく、第2領域28は、非照射領域20であって結露が起こり易い領域を含むが、第1領域27よりも熱伝導率が低いため、結露が起こり難い状態になっているためである。したがって、第1領域27(照射領域を含む)と第2領域28(第1領域27よりも熱伝導率が低く非照射領域20を含む)の組み合わせによって、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを抑制することができる。
なお、本実施形態の記録装置1は、被記録媒体Pの搬送機構15を備える記録装置であるが、第2領域28を、搬送方向Aにおいて、第1領域27の両側に隣り合って設けられる構成である。このため、被記録媒体の搬送機構を備える記録装置において、効果的に電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを抑制することができる構成になっている。しかし、このような効果を有するためには、第2領域を搬送方向Aにおいて第1領域の少なくとも一方の側に隣り合って設けられていればよく、第2領域を搬送方向Aにおいて第1領域の両側に隣り合って設けられる構成に限定されない。
図3は、本実施形態の記録装置1における媒体支持部を表す概略側面図である。また、図4は、本実施形態の記録装置1における媒体支持部を表す概略平面図である。
なお、媒体支持部(第1媒体支持部12、第2媒体支持部21及び22)は、図1及び図2で表されるように、記録装置1の側面側から見て傾いて設けられるが、図3はこれらの説明をわかりやすくするために媒体支持部を水平に表した図である。
本実施形態の第1媒体支持部12は、搬送方向Aにおける上流側の端部に断熱材25が、第1媒体支持部12の搬送方向Aにおける下流側の端部に断熱材26が、設けられている。このため、第1媒体支持部12は、断熱材25及び26が設けられていない第1領域27よりも、断熱材25及び26が設けられている第2領域28のほうが、熱伝導率が低くなっている。
また、断熱材25及び26が設けられていない第1領域27は、照射領域18と非照射領域20との両方を含む場所に位置している。一方、断熱材25及び26が設けられている第2領域28は、照射領域18の外側に位置し、非照射領域20のみを含む場所に位置している。しかしながら、このような構成に限定されず、第1領域27は照射領域18を含んでいれば非照射領域20を含まなくてもよく、第2領域28は非照射領域20であって結露が起こり易い領域を少なくとも含んでいれば照射領域18を含んでいてもよい。
また、本実施形態の第1媒体支持部12では、断熱材25及び26は、被記録媒体Pに吐出されたインクから蒸発した蒸気が結露して生じた液滴の引火点よりも、電磁波照射部7による電磁波照射時の該断熱材25及び26の温度が低くなる位置に設けられている。このため、断熱材25及び26に前記インクから蒸発した蒸気が結露しても該結露して生じた液滴は引火しないため、安全性が高い。
なお、ここで、「蒸気が結露して生じた液滴の引火点」とは、例えば、前記インクの含有成分の引火点が対応し、特に、前記インクの含有成分のうちの最も低い引火点が対応する。
また、電磁波照射部7による電磁波照射時の断熱材の温度を非接触式の温度計などで測定することにより、該断熱材が前記液滴の引火点よりも低くなる位置に設けられているか否かを検証することが可能である。
一方、照射領域18と第2領域28までの距離29が離れすぎると結露を抑制する効果が小さくなるため、該距離29は20mm以下であることが好ましい。ここで、該距離29は、照射領域18と第2領域28との間隔であり、照射領域18と第2領域28との最短距離である。
ここで、断熱材25及び26は、その形状や構成材料等に特に限定はないが、熱伝導率が0.1W/(m・K)未満のものを好ましく用いることができる。このような断熱材は、第2領域28の熱伝導率を効果的に低くすることができるので、効果的に、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを抑制することができるためである。
なお、このような断熱材としては、繊維系断熱材や発泡樹脂系断熱材などを使用することができる。繊維系断熱材としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー等を好ましく用いることができる。また、発泡樹脂系断熱材としては、例えば、ウレタンフォーム等を好ましく用いることができる。これらの断熱材は、何れも熱伝導率を0.1W/(m・K)未満とすることが容易であり、加工性にも優れるためである。
本実施形態の記録装置1は、第1媒体支持部12、第2媒体支持部21及び22の搬送方向Aと交差する交差方向の長さは、使用が想定される前記被記録媒体の最大幅に対応している。
ここで、「使用が想定される前記被記録媒体の最大幅」とは、例えば、記録装置の取扱説明書等に記載される使用可能な被記録媒体及び推奨される被記録媒体等において最大の幅のものが挙げられる。
また、「使用が想定される前記被記録媒体の最大幅に対応している」とは、使用が想定される前記被記録媒体の最大幅と同等かそれ以上であることを意味し、該同等には使用が想定される前記被記録媒体の最大幅よりも若干短い場合も含まれる意味である。
また、図4における電磁波照射部7の電磁波の照射領域18で表されるように、搬送方向Aと交差する交差方向における電磁波照射部7の電磁波の照射長さは、前記交差方向における第1媒体支持部12の長さに対応している。
ここで、「前記交差方向における第1媒体支持部12の長さ」は、本実施形態のように第1媒体支持部12が外枠6等を有する場合は該外枠6を含めた長さとしてもよいし、該外枠6を含めずに前記開口部が設けられた領域の長さとしてもよい。
また、「前記交差方向における第1媒体支持部12の長さに対応している」とは、前記交差方向における第1媒体支持部12の長さと同等かそれ以上であることを意味し、該同等には前記交差方向における第1媒体支持部12の長さよりも若干短い場合も含まれる意味である。
本実施形態の記録装置1は、前記交差方向における電磁波照射部7の電磁波の照射長さは、前記交差方向における第1媒体支持部12の長さに対応している。前記第1媒体支持部12の前記交差方向における温度分布を小さくすることができ、即ち温度差の大きい部分が生じず、以って前記第1媒体支持部12の前記交差方向の端部等に結露が生じることを抑制することができる。
また、上記より、本実施形態の記録装置1は、前記交差方向における電磁波照射部7の電磁波の照射長さは、使用が想定される前記被記録媒体の最大幅に対応しているともいえる。このため、第1媒体支持部12の前記交差方向における温度分布を小さくすることができ、即ち温度差の大きい部分が生じず、以って第1媒体支持部12の前記交差方向の端部等に結露が生じることを抑制している。
また、本実施形態の記録装置1は、電磁波照射部7による電磁波照射により被記録媒体Pに吐出されたインクから蒸発した蒸気が結露して生じた液滴との第2媒体支持部21及び22における接触角は、前記液滴との第1媒体支持部12における接触角よりも大きくなるように構成されている。
前記液滴との接触角が大きいということは、前記液滴をはじきやすい(濡れにくい)ということであり、前記液滴を結露させにくいということである。すなわち、第1媒体支持部12は第2媒体支持部21及び22よりも濡れやすい(蒸気を結露させやすい)が、第1媒体支持部12は開口部19が設けられているため前記蒸気を逃がすことができる。従って、本実施形態の記録装置1は、前記接触角の前記特定によって第1媒体支持部12、第2媒体支持部21及び22の何れにおいても前記蒸気が結露することを抑制でき、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が媒体支持部に結露することを一層抑制することができる。
[実施形態2](図5〜図6)
以下に、実施形態2の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図5は本実施形態2の記録装置1の概略側面図を表している。また、図6は本実施形態2の記録装置1における媒体支持部及び結露部を表している。なお、上記実施形態2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態2の記録装置は、乾燥機構17において、第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22の下部に結露部8が備えられている点で実施形態1の記録装置と相違する。
本実施形態2の乾燥機構17は、熱伝導率が第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22よりも高く、開口部19を通った前記蒸気を結露させる結露部8を備えている。
ここで結露部8とは、その表面に接した蒸気が乾燥工程中の前記媒体支持部よりも結露しやすく構成されていることを意味する。具体的には例えば熱伝導率がアルミニウム合金のように高い材料で作られ、更に結露を起こす低い温度になるように構成されている。
本実施形態3によれば、前記インクから蒸発した蒸気は前記開口部19を介して該結露部8に至り、当該結露部8において積極的に結露されることになる。
これにより、第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22に前記インクから蒸発した蒸気が結露する前に、結露部8で該蒸気を結露させることができる。すなわち、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22に結露することをより効果的に抑制することができる。
ただし、結露部8は上記構成には限定されず、該結露部8の熱伝導率が第2領域28の熱伝導率よりも高く構成されていれば、前記蒸気を結露部8において積極的に結露させることが可能となり、第2領域28に結露することを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の結露部8は、開口部19に対向して設けられ、開口部19を通った前記蒸気を結露させるための構成部材であり、図6で表されるように、前記蒸気が結露して生じた液滴を受ける液受9が下部に設けられている。また、液受9の下部には、液受9に溜まった液を、チューブ10を介して回収するための廃液ボトル11が備えられている。
また、結露部8における温度伝導率は、第1媒体支持部12における温度伝導率よりも高いことが好ましい。温度伝導率は熱伝導率を密度と比熱容量とで割ったものであるため、結露部8の温度伝導率が第1媒体支持部12の温度伝導率よりも高い場合、結露部8のほうが第1媒体支持部12よりも熱が逃げやすく低温になりやすい。このため、結露部8と第1媒体支持部12とがこのような温度伝導率の関係になっていることにより、結露部8における熱伝導率が第1媒体支持部12における熱伝導率よりも高い場合と同様、第1媒体支持部12で蒸気が結露することを高い精度で抑制できるためである。
また、結露部8は、第1媒体支持部12よりも前記蒸気が結露して生じた液滴との接触角が小さいことが好ましい。第1媒体支持部12より結露部8の方が濡れやすくなるので、第1媒体支持部12で蒸気が結露することを高い精度で抑制できるためである。
また、本実施形態の結露部8は、第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22との間隔L1(図6)が2mm以上20mm以下となるように配置されており、このように配置されていることが好ましい。ここで、第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22との間隔L1が一定でない場合、いずれの部分においても間隔L1が2mm以上20mm以下となるように配置されていることが好ましい。結露部8と、第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22と、の間隔が2mm以上であることにより、結露部8で結露した液滴が第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22に付着することを抑制できる。そして、結露部8と、第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22と、の間隔が20mm以下であることにより、第1媒体支持部12及び第2媒体支持部21、22で蒸気が結露することを高い精度で抑制できるためである。
以上の実施形態1および2で表されるように、本発明の実施例に係る記録装置は、被記録媒体Pを支持する媒体支持部(第1媒体支持部12)と、第1媒体支持部12上の被記録媒体Pに電磁波を利用して被記録媒体P上に存在するインクを乾燥する電磁波照射部7と、を有し、第1媒体支持部12は、電磁波照射部7による照射領域18を含む第1領域27と、該第1領域27と隣り合って設けられるとともに該第1領域27よりも熱伝導率が低く電磁波照射部7による非照射領域20を含む第2領域28を含み、前記インクから蒸発した蒸気を通す開口部19が設けられていることを特徴とする。
これにより、媒体支持部(第1媒体支持部12)にはインクから蒸発した蒸気を通す開口部19が設けられているので、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気を、該開口部19を通って第1媒体支持部12の被記録媒体Pと対向する部分、即ち該第1媒体支持部12と該被記録媒体Pとの接触領域から遠ざける方向に逃がすことが可能になる。これにより、結露源となる当該蒸気の第1媒体支持部12周辺における存在量を簡単に減らすことができ、以って第1媒体支持部12周辺は結露が起こり難い状態になっている。
そして、第1媒体支持部12は、照射領域18を含む第1領域27と、該第1領域27よりも熱伝導率が低く非照射領域20を含む第2領域28と、を有する。第1領域27は、照射領域18を含むため温度が高くなりやすく結露しにくい。また、第2領域28は、非照射領域20であって結露が起こり易い領域を含むが、第1領域27よりも熱伝導率が低いため、結露が起こり難い状態になっている。
したがって、第1媒体支持部12の第1領域27(照射領域18を含む)と第2領域28(第1領域27よりも熱伝導率が低く非照射領域20を含む)の組み合わせによって、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が第1媒体支持部12に結露することを抑制することができる。
なお、「結露することを抑制する」とは、前記蒸気が前記媒体支持部に全く結露しないことを要する意味ではなく、前記媒体支持部に結露した液体が前記被記録媒体に付着しても汚れと認識されない程度の結露であれば問題としない意味で使われている。
また、別の表現をすると、本発明の乾燥方法は、被記録媒体Pの上に存在するインクに電磁波照射を行うことによりインクを乾燥させる乾燥方法であって、前記電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が通る開口部が設けられている電磁波照射領域を含む第1領域と、該第1領域と隣り合って設けられるとともに該第1領域よりも熱伝導率が低く電磁波非照射領域を含む第2領域と、を有する媒体支持部上で乾燥を行うことを特徴とする。
このような特徴を有することで、電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が第1媒体支持部12に結露して被記録媒体Pを汚すことを抑制することができる。
1 記録装置、2 セット部、3 プラテン、4 記録ヘッド、
5 プラテンヒーター、6 外枠、7 電磁波照射部、8 結露部、
9 液受、10 チューブ、11 廃液ボトル、12 第1媒体支持部、
13 張力調整部、14 巻取部、15 搬送機構、16 記録機構、
17 乾燥機構、18 照射領域、19 開口部、20 非照射領域、
21 第2媒体支持部、22 第2媒体支持部、23 記録領域、
24 ノズル形成面、25 断熱材、26 断熱材、27 第1領域、
28 第2領域、29 照射領域18と第2領域28までの距離、
P 被記録媒体、R1 被記録媒体のロール、R2 被記録媒体のロール

Claims (1)

  1. 被記録媒体の上に存在するインクに電磁波照射を行うことによりインクを乾燥させる乾燥方法であって、
    前記電磁波照射によりインクから蒸発した蒸気が通る開口部が設けられている電磁波照射領域を含む第1領域と、該第1領域と隣り合って設けられるとともに該第1領域よりも熱伝導率が低く電磁波非照射領域を含む第2領域と、を有する媒体支持部上で乾燥を行うことを特徴とする乾燥方法。
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