JP6454996B2 - 液体吐出装置 - Google Patents
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Description
この特許文献1に開示されているプリンターには、熱伝導性の低い断熱プラテンを用いることが記載されている。
最初に、第1実施形態に係る(1)液体吐出装置の概略の構成について説明し、続いて本発明の要部となる(2)媒体支持部の構成と作用態様について具体的に説明する。
本発明の一実施形態に係る液体吐出装置1は、液体Qが吐出される媒体Mを支持する支持面5を有する媒体支持部7と、支持面5に支持された状態の媒体Mの支持面5と反対側から媒体Mを加熱可能な加熱部9とを備えることによって基本的に構成されている。換言すれば、液体吐出装置1は、媒体Mに吐出された液体Qを加熱可能な加熱部9を備えている。
従って、本実施形態では液体Qはインクであり、電磁波Aの輻射熱によってインク中の液体成分が加熱乾燥されて媒体Mの表面にインク中の色材(顔料、染料等)が定着する性質を有する液体Qである。
また媒体支持部7は、吐出ヘッド19の吐出面と対向する位置に設けられる媒体Mの支持部材であり、媒体支持部7の支持面5と吐出ヘッド19の吐出面との間のギャップを規定する役割を有している。
そして、媒体支持部7が後述するように本発明の特徴的構成部材となっている。
本実施形態に係る液体吐出装置1では、媒体支持部7は、少なくとも一部が熱伝導率が0.4W/mK以下の低熱伝導部材により構成され、支持面5の輻射率は、0.7以上1未満のものである。詳細は後述するが、媒体Mの輻射率は、0.8以上1未満程度のものが用いられることが多い。したがって、支持面5の輻射率は、媒体の輻射率と近い値になっている。本実施形態の媒体支持部7は、第1部材32と、第2部材33とを含んでいる。このとき、第1部材32は低熱伝導部材と異なる素材であり、支持面5を構成する部材である。また、第2部材33は、熱伝導率が0.4W/mK以下の低熱伝導部材である。
図8に従来の媒体支持部70を示す。従来の媒体支持部70は、支持面50と吸引孔80と読取り溝部450とを備えているが、前述した第1部材32及び第2部材33は存在しない。
本実施形態では、媒体支持部7の本体部41は、第1部材32と第2部材33とで構成される第1構成部35を収容する凹部43が形成されており、凹部43に第1構成部35が取り付けられている。さらに、詳細には、図4に示すように、凹部43の底面に第2部材33が取り付けられ、第2部材33上に第1部材32が形成されている。本実施形態では、第2部材33の頂部全面に第1部材32が形成されている。
尚、凹部43の搬送方向Yの下流側には、媒体Mの位置検出等に使用する図示しないセンサーを収容するための読取り溝部45が幅方向Xに沿って一例として2本設けられている。
仮に、支持面5の温度が目標温度から大きく離れた温度だった場合、媒体Mの表側(液体Qを吐出される側)と裏側(支持面5と接する側)とで、大きな温度差が発生してしまう。これは、媒体Mの表側が目標温度に近い温度になるのに対し、媒体Mの裏側が支持面5の影響を受けて、目標温度に近い温度にならないことによる。したがって、媒体支持部7の支持面5の輻射率を、0.7以上1未満のものとすれば、支持面5の温度が適切となり、画像品質を向上させることができる。
また、第1部材32の下方に、熱伝導率が相対的に低い第2部材33が存在するため、第1部材32の熱エネルギーは第2部材33に伝わりにくい。したがって、第1部材32からの熱エネルギーの流出が抑制され、第1部材32の保温性を高めることができる。また、第1部材32と本体部41との間に第2部材33が存在するため、熱エネルギーは本体部41に伝熱しにくくなる。即ち、熱エネルギーは本体部41に逃げるにくくなる。本体部41は質量が比較的大きいため、本体部41への熱エネルギーの流出を抑えることで、エネルギー効率が向上する。
[吐出領域に対して]
本実施形態では更に、第1構成部35は、支持面5の、媒体Mにおける液体Qが吐出される吐出領域13を支持する部分の少なくとも一部に存在するように構成されている。「少なくとも一部に存在」とは、吐出領域13の全部に存在してもよく、一部に存在しても良い意味である。図に示した実施形態では、第1構成部35は、吐出領域13のほぼ全領域と、更に吐出領域13よりも搬送方向Yの上流側の部分とに設けられている。
また、この構造は、液体Qを媒体Mに吐出後に直ちに加熱する構造の液体吐出装置1において特に有効である。
また、第1構成部35は、支持面5の、媒体Mにおける加熱部9によって加熱される加熱領域11を支持する部分の少なくとも一部に存在させるという視点で構成してもよい。「少なくとも一部に存在」とは、上記と同様で、加熱領域11の全部に存在してもよく、一部に存在しても良い意味である。
また、図1乃至図4に示すように、媒体支持部7(第1部材32及び第2部材33、すなわち、第1構成部35)よりも媒体Mの搬送方向における下流側に設けられ、媒体Mを支持可能な下流側支持部37を有している。下流側支持部37の熱量量は、第1構成部35の熱容量よりも大きい。ここで、熱容量とは、物体の質量(体積と密度との積)と比熱との積で求められる。なお、本実施形態では、本体部41が下流側支持部37の機能を兼ねているため、下流側支持部37は、第1構成部35の下流側とともに第1構成部35の下方側にも存在する。
図6は、各種媒体の輻射率を示す説明図である。図6に示すように、媒体Mとして用いる主な媒体(媒体A〜媒体K)の輻射率を、放射率測定器により測定したところ、媒体の輻射率は、約0.8〜約0.95の範囲であった。したがって、第1部材32の支持面5の部分の輻射率を、0.7以上1未満に設定している。このようにすれば、第1部材32の輻射率は、当該輻射率と媒体Mの輻射率との差(輻射率差)が0.1以内となる。輻射率差が0.1以内であれば、輻射率差を温度差に換算した場合に約3度以内に相当し、温度制御上問題ないレベルと解釈されるからである。したがって、第1部材32の支持面5に対応する部分の輻射率を、0.7以上1未満に設定すれば、本実施形態で挙げたアクリル樹脂、PET樹脂、塩化ビニル樹脂、布、紙といった媒体に対し、ヒーター40の制御を適切に行うことが可能となる。また、第1部材32の輻射率を、0.85以上0.95以下に設定すれば、本実施形態で挙げたPET樹脂、塩化ビニル樹脂、布、紙といった媒体に対して、より輻射率差を少なくすることができる。したがって、第1部材32の支持面5に対応する部分の輻射率を、0.85以上0.95以下に設定すれば、媒体に対する加熱を適切に行うことが可能となる。また、第1部材32の輻射率を0.9に設定すれば、本実施形態で挙げた塩化ビニル樹脂の媒体に対して、より輻射率差を少なくすることができる。したがって、第1部材32の輻射率を0.9に設定すれば、一部の媒体に対して適切に加熱を行うことが可能となる。
また、第2部材33は、その厚みは、2mm以上であるものが望ましい。厚みが厚くなれば、第2部材33の質量もそれに伴って増加する。したがって、第2部材33の熱容量が大きくなり、温度変動しにくくなる。これにより、第2部材33の断熱性を安定させることができる。
また、第2部材33は、その圧縮強度は、50MPa以上であるものが望ましい。これにより、第2部材33の圧縮変形をしにくくすることができる。
また、バルーンとしては、比重が0.05〜0.70程度の合成樹脂、セルロースその他の有機質バルーンやシラス、ガラス、アルミナその他の無機質バルーンが一例として適用できる。
具体的には、これらの材料を加熱プレスすることで融着成形した日光化成株式会社製造の商品名「カルライト」が第2部材33の好適な材料として使用できる。また、他にBMC(ガラスエポキシ)等も使用可能である。
尚、本実施形態では幅方向Xの最大段差(0.2mm程度)を考慮し、一例として寸法Δtを0.5mmにし、段差部34にC0.5の面取り加工を施している。
これにより、媒体Mに対して吐出された液体Qをムラなく加熱するとともに、少ない熱エネルギーEで効果的に加熱することが可能になる。すなわち、媒体Mの加熱効果が高まる。
次に、第2実施形態に係る液体吐出装置の構成について説明する。なお、本実施形態にかかる液体吐出装置の基本的な構成は、第1実施形態の構成と同様なので説明を省略し、第1実施形態と異なる部分、すなわち、媒体支持部の構成について説明する。図7は、本実施形態に係る液体吐出装置を表す側断面図である。さらに、詳細には、本実施形態に係る液体吐出装置の媒体支持部を表す側断面図である。
特殊部材330の具体的な材料としては、第1実施形態の第2部材33と同様の材料(熱硬化性樹脂とバルーンと繊維製補強材を含むシート状材料が積層されたもの)に、さらにカーボンを加えたものが挙げられる。カーボンを加えることで、特殊部材330の輻射率は、第2部材33の輻射率に比べて高くなる。したがって、低い熱伝導率を維持しつつ、高い輻射率を獲得することができる。
本発明に係る液体吐出装置1は、以上述べたような第1及び第2実施形態にかかる構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
例えば、媒体支持部7の支持面5に設けた第1構成部35は、前述した吐出領域13ないし加熱領域11のすべてを包含するようにその全範囲に亘って設ける他、幅方向Xないし送り方向Yに適宜の間隔を空けて分断した状態で複数個配設する等、その一部の範囲に設けることも可能である。
上記の実施形態についての詳細な条件を、以下に補足する。
上述したように、吐出領域13ないし加熱領域11を通る媒体Mの温度は、例えば50℃付近になるように抑えられている。これを補足すると、50℃付近とは、35℃〜60℃の範囲であればよい。さらには、40℃〜55℃がより好ましい。この程度の温度であれば、媒体Mに吐出された液体Qを十分に乾燥させることができる。つまり、液体Qが、滲んだり、擦れて伸びたりしない程度に、媒体Mに定着される。
このとき、第1構成部35の第2部材33を設けているため、媒体Mに吐出された液体Qを上記のような目的の温度まで加熱するためのエネルギーは少なくて済むこととなる。したがって、このような加熱条件の際に第2部材33を用いることが特に好ましい。
なお、加熱部9は、媒体Mに吐出された液体Qを十分に乾燥させることができ、かつ、吐出部3の不具合を起こさないように加熱することが特に好ましい。
Claims (16)
- 液体を吐出可能な吐出部と、
前記液体が吐出される媒体を支持可能な支持面を有する媒体支持部と、
前記媒体支持部に支持された前記媒体を加熱可能な加熱部と、を備え、
前記媒体支持部は、少なくとも一部が熱伝導率が0.4W/mK以下の低熱伝導部材により構成され、
前記支持面は、第1支持面と、前記媒体が搬送される搬送方向において前記第1支持面よりも下流側の第2支持面と、を含み、
前記媒体支持部は、前記低熱伝導部材と異なる素材であり、前記第1支持面を構成する第1部材と、前記低熱伝導部材である第2部材と、を含み、
前記第1支持面の輻射率は、0.7以上1未満であり、
前記第1支持面は、装置高さ方向において前記第2支持面よりも高く形成されていることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記第1部材は、アルマイト加工されたアルミニウムであることを特徴とする液体吐出
装置。 - 液体を吐出可能な吐出部と、
前記液体が吐出される媒体を支持可能な支持面を有する媒体支持部と、
前記媒体支持部に支持された前記媒体を加熱可能な加熱部と、を備え、
前記媒体支持部は、
少なくとも一部が熱伝導率が0.4W/mK以下の低熱伝導部材に
より構成されると共に、
前記低熱伝導部材と異なる素材であり、前記支持面を構成する第1部材と、
前記低熱伝導部材である第2部材と、を含み、
前記支持面の輻射率は、0.7以上1未満であり、
前記第1部材は、アルマイト加工されたアルミニウムであることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記第1部材の熱容量は、前記第2部材の熱容量より小さいことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記第1部材の厚さは、0.1mm以上1.0mm以下であることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記第2部材の熱伝導率は、前記第1部材の熱伝導率より低いことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記第2部材の厚さは、2mm以上であることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記第2部材は、熱硬化性樹脂とバルーンと繊維製補強材とを含むシート状材料が積層されたものであることを特徴とする液体吐出装置。 - 液体を吐出可能な吐出部と、
前記液体が吐出される媒体を支持可能な支持面を有する媒体支持部と、
前記媒体支持部に支持された前記媒体を加熱可能な加熱部と、を備え、
前記媒体支持部は、
少なくとも一部が熱伝導率が0.4W/mK以下の低熱伝導部材により構成されると共に、
前記低熱伝導部材と異なる素材であり、前記支持面を構成する第1部材と、
前記低熱伝導部材である第2部材と、を含み、
前記支持面の輻射率は、0.7以上1未満であり、
前記第2部材は、熱硬化性樹脂とバルーンと繊維製補強材とを含むシート状材料が積層されたものであることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記媒体支持部よりも前記媒体が搬送される搬送方向における下流側で前記媒体を支持可能な下流側支持部を備え、
前記下流側支持部の熱容量は、前記媒体支持部の熱容量 よりも大きいことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記支持面は、第1支持面と、前記媒体が搬送される搬送方向において前記第1支持面よりも下流側の第2支持面と、を含み、
前記第1支持面の動摩擦係数は、0.4以下であることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記支持面には、前記媒体に吸引力を作用させるための吸引孔が設けられていることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記加熱部は、前記媒体に吐出された前記液体を、温度が35℃〜60℃になるように加熱することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記加熱部は、前記媒体に吐出された前記液体を、温度が前記吐出部の耐熱温度以下になるように加熱することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記加熱部は、少なくとも2.0μm〜6.0μmの波長を含む電磁波を放射することによって、前記媒体に吐出された前記液体を加熱することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記媒体に吐出された前記液体に風を送る送風部を備えることを特徴とする液体吐出装置。
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