JP4488704B2 - マイクロ流体装置及びマイクロ流体デバイスの集積方法 - Google Patents

マイクロ流体装置及びマイクロ流体デバイスの集積方法 Download PDF

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本発明は、微量な流体を扱うマイクロ流体デバイスを他のマイクロ流体デバイス又は他の部材に接続する接続装置を備えたマイクロ流体装置及びこの接続装置を使用するマイクロ流体デバイスの集積方法に関し、特に、半導体の微細加工技術によって微細な流路を形成したマイクロ流体デバイス、例えばマイクロプラント、医療用検査デバイス及び環境検査デバイス等の微小体積の液体及び気体等の流体を扱うマイクロ流体デバイスの接続装置を備えたマイクロ流体装置及びマイクロ流体デバイスの集積方法に関する。
近時、半導体の微細加工技術を使用して、シリコン又はガラス等からなるセラミックス基板上に微細な流路を形成したマイクロ流体デバイスの開発が進められている(例えば、非特許文献1参照。)。マイクロ流体デバイスには、小型化及び高集積化が可能であることの他に、以下に示すような利点がある。即ち、マイクロ流体デバイスが扱う流体は体積が微小であるため、レイノルズ数が小さくなり、層流となりやすい。一般に、層流を形成するためには、流路の幅が約500μm以下であればよいと言われている。流体が層流を形成すると、2つの流体間の反応は自己拡散のみによって起こり、また層流を利用すれば流体の分離も容易である。また、流路の容積が微小であるため、流体の体積に対して流体と流路の内壁との接触面積が大きくなる。このため、内壁が流体に及ぼす影響が大きく、この影響を効率的に利用することができる。例えば、マイクロ流体デバイスにおいては、外部から流体の温度を制御することが容易であり、流体の精密な温度制御が可能となると共に、流体の温度を急激に変化させることも可能となる。また、流体を化学反応させる場合に、内壁を触媒として利用すれば、反応効率が飛躍的に高まる。このように、マイクロ流体デバイスは、総じてエネルギーの利用効率が高く、反応効率が高く、従って反応生成物の収率が極めて高い。更に、実験室レベルでは、試薬及び廃液の量が少なくてすむことから、実験の低コスト化及び環境への負荷軽減を図ることができる。更にまた、1つのマイクロ流体デバイスにおける流路の数、又はマイクロ流体装置におけるマイクロ流体デバイスの数を増やすことによって、少量生産からマスプロダクションへの移行が容易である。更にまた、マスプロダクションを実施する場合においても、1つの流路を流れる流体の量は微量であるため、安全性が高い。
このように、マイクロ流体デバイスは微小流体を扱えることから、例えば、μ−TAS(Micro Total Analysis System:マイクロ化学分析システム)のように、環境・化学分析及び医療分野のマイクロデバイスへの応用展開がなされている。医療診断においては、診断に必要な検体が少量で済むため、患者への負担が少ない所謂低侵襲医療が実現できる。環境・化学分析においても、少量の試料を高感度にセンシングすることが可能になる。
このような特徴から、近時、マイクロ流体デバイスへの期待が高まり、研究開発が盛んになっているが、これらのマイクロ流体デバイスは1つのデバイスに複数の機能を持たせることが技術的に難しい。このため、相互に異なる機能を持った複数のマイクロ流体デバイスを相互に接続し、一連の化学プラントの機能を持たせたり、マイクロ流体デバイスにおいて生成した反応生成物を分析するために、マイクロ流体デバイスを外部の分析機器に接続したりすることが多い。このような場合、用途及び目的に応じて、一つのマイクロ流体デバイスに接続する他のマイクロ流体デバイス又は外部機器を容易に交換できることが好ましい。また、マイクロ流体デバイスが破損した場合及び目詰まり等の不具合が発生した場合に、このマイクロ流体デバイスを容易に交換できることが好ましい。このため、マイクロ流体デバイスに流体を入出する手段であって、接続及び取り外しが容易で取り扱いが簡単な流体の入出手段が必要となっている。
図8は従来のマイクロ流体装置を示す斜視図である。図8に示すように、この従来のマイクロ流体装置においては、マイクロ流体デバイス101が設けられており、マイクロ流体デバイス101においては、2枚の基板102及び103が相互に貼り合わされている。そして、基板102における基板103に対向する面には、流路104が形成されている。流路104は、2本の流路が合流して1本の流路になり、再び2本の流路に分岐するようになっている。流路104の幅は例えば500μmであり、深さは例えば100μmである。また、基板103における流路104の端部に相当する位置には、4個の開口部105が形成されており、外部から流体を流路104に導入する流入口及び流体を外部に導出する流出口となっている。更に、開口部105には、夫々樹脂製のチューブ106が接着剤により接着されている。即ち、チューブ106の端面が、基板103における開口部105を囲む領域に接着されている。チューブ106は市販品であり、例えば工業的に既存のサイズである外径が6.35mm(1/4インチ)の樹脂チューブである。
このように従来は、マイクロ流体デバイスの流路端に合わせて貫通孔を設けた基板を作製してこれを蓋とし、この貫通孔に工業的に使用される樹脂チューブ、即ち、外径が6.35mm(1/4インチ)、3.18mm(1/8インチ)又は1.59mm(1/16インチ)の樹脂チューブを接着していた。この方法により、マイクロ流体デバイスへの流体の注入及び取り出しが可能となる。
しかし、この図8に示す従来の技術においては、以下に示すような問題点がある。先ず、マイクロ流体デバイスの基板にチューブを非可逆的に接着してしまうため、マイクロ流体デバイスの交換が難しい。また、市販のチューブの内径は流路の幅に比べて極めて大きいため、供給・取出口を高密度に配置することが難しい。更に、チューブの内径が流路の幅と著しく異なるために、接続部分において流体の流れが乱流となり、流体の流れを層流に保ったまま外部に取り出すことが不可能である。なお、流路の幅と同程度の内径を持つ細いチューブを使用しようとすると、この細いチューブを基板の開口部に整合するように基板に接着することが著しく困難になる。更にまた、2つのマイクロ流体デバイスを相互に接続するためには、チューブを引き回す必要があり、デバイス間の距離が長くなってしまう。このため、あるデバイスにおいて生成した反応物質を、このデバイスに接続された他のデバイスにおいて連続的に分離する等といった一連の処理を、即座に、即ち時間及び温度のロスを小さく抑えて行うことが困難である。
そこで、このような問題点を解決できるように、接着剤レスのマイクロジョイントが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の技術においては、2枚の基板を貼り合わせてマイクロ流体デバイスを作製する際に、一方の基板に流体の入出口となる開口部を形成する。そして、一部がこの開口部内に挿入され残部が基板の表面から突出するように樹脂型を形成する。そして、この樹脂型の突出部及び基板の表面に金属膜を電界めっきにより成膜した後、樹脂型を除去することにより、基板の開口部に連通した金属からなる中空の突起物を形成することができる。そして、この突起物を、チューブを接続するジョイントとして使用する。この技術によれば、金属製のジョイントを、開口部に対して自己整合的に形成することができる。また、樹脂型の形状を選択することにより、ジョイントの形状を選択することができる。このため、マイクロ流体デバイスに対して、チューブをある程度着脱可能とすることができる。また、開口部に整合した細いジョイントを形成できるため、細いチューブを使用することが可能となり、供給・取出口を高密度に配置できると共に、流体の流れを層流に保ったまま外部に取り出すことができる。
株式会社東大総研のホームページ(http://www.utri.co.jp/venture/venture1.html) 特開2002−144300号公報
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。特許文献1に記載された技術においては、ジョイントの作製工程が複雑であり、マイクロ流体装置の作製コストが増大してしまうという問題点がある。また、例えばガラスからなる基板上に金属からなるジョイントを形成すると、基板とジョイントとの間の強度及び密着性が不足し、信頼性に問題が生じる。更に、酸性又はアルカリ性の流体等を使用する場合、ジョイントの腐食を避けることができない。更にまた、前述の2つのマイクロ流体デバイス間を相互に接続する際に、チューブを引き回すために、デバイス間の距離が長くなってしまうという問題を解決することができない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、マイクロ流体デバイスを他のマイクロ流体デバイス又は他の部材に接続する接続装置信頼性が高く、作製コストが低く、基板の開口部に整合した細いチューブを使用することができ、このチューブを開口部に対して容易に且つ繰返し着脱することができ、2つのマイクロ流体デバイスを短い距離で相互に接続することができる接続装置を備えたマイクロ流体装置及びこの接続装置を使用したマイクロ流体デバイスの集積方法を提供することを目的とする。
本発明に係るマイクロ流体装置は、
夫々開口部を備えこの開口部から内部に流体を流出入する2以上のマイクロ流体デバイスと、
前記マイクロ流体デバイスを他のマイクロ流体デバイス又は他の部材に接続する接続装置とを有し、
前記接続装置は、
第1の樹脂により形成され前記マイクロ流体デバイスにおける前記開口部周辺の表面に密着されるパッキンと、前記マイクロ流体デバイス側の端部がこのパッキンを挿通し前記開口部に挿入されるチューブと、を有し、
前記パッキンが前記2以上のマイクロ流体デバイスのうちの2つにより挟持され前記チューブの一端部が一方の前記マイクロ流体デバイスの開口部に挿入されると共に前記チューブの他端部が他方の前記マイクロ流体デバイスの開口部に挿入されていることを特徴とする。
本発明においては、チューブのマイクロ流体デバイス側の端部がパッキンを挿通してマイクロ流体デバイスの開口部に挿入されているため、このチューブの端部を開口部に対して自己整合的にアライメントすることができる。この結果、開口部のサイズに整合させた細いチューブを使用しても、チューブを開口部に接続することが容易である。また、接着剤を使用しないため、チューブを開口部に繰返し着脱することができる。更に、チューブを開口部に挿入させたときに、第1の樹脂からなるパッキンがマイクロ流体デバイスの開口部周辺の表面に密着するため、接続装置とマイクロ流体デバイスとの間の気密性を確保することができる。更にまた、金属を使用しないため信頼性が高い。更にまた、この接続装置はチューブの周囲に第1の樹脂を配置してこれを固めるだけで作製できるため、作製コストが低い。更にまた、2つのマイクロ流体デバイスによりパッキンを挟持すれば、この2つのマイクロ流体デバイスを短い距離で相互に接続することができる。
また、前記チューブの内径が0.5mm以下であることが好ましい。これにより、マイクロ流体デバイスにおける開口部の集積度を向上させることができる。
更に、前記第1の樹脂の熱伝導率が、乾燥状態において0.2W/m・K以下であることが好ましい。これにより、パッキンを通じで熱が伝導することを抑制でき、マイクロ流体デバイスの断熱性を高め、マイクロ流体デバイスの温度調節が容易になる。
更にまた、前記第1の樹脂がシリコーン樹脂及びフッ素樹脂からなる群から選択された1種の樹脂であることが好ましい。第1の樹脂がシリコーン樹脂であれば、シリコーン樹脂は耐酸性及び耐アルカリ性が高いため、流体により腐食することが少なく、また、熱的に安定であるため、接続装置の信頼性をより高めることができる。更に、シリコーン樹脂は熱伝導率が低いため、マイクロ流体デバイスの断熱性を高めることができる。更にまた、シリコーン樹脂は透明であるため、チューブを開口部に挿入させるときに、両者のずれを視覚的に確認でき、両者の位置合わせが容易である。また、第1の樹脂がフッ素樹脂であれば、有機溶媒に対する耐性を向上させることができる。
本発明においては、押圧部材がパッキンをマイクロ流体デバイスに向けて押圧することにより、接続装置をマイクロ流体デバイスに対して固定することができる。また、このとき、パッキンが変形して接続装置とマイクロ流体デバイスとの間の気密性を確保することができる。
また、このマイクロ流体装置は、前記マイクロ流体デバイスの開口部のうち少なくとも1つの開口部を前記他の部材に接続する他の前記接続装置と、この他の接続装置のパッキンを前記マイクロ流体デバイスに向けて押圧する押圧部材と、を有していてもよい。
本発明においては、マイクロ流体デバイスを他のマイクロ流体デバイス又は他の部材に、前記接続装置により接続している。前記接続装置においては、チューブを開口部に挿入させることにより接着剤を使用せずに両者を相互に接続するため、両者を容易に且つ繰返し着脱することができる。この結果、本発明に係るマイクロ流体装置においては、マイクロ流体デバイスの組替え及び交換が容易である。また、複数のマイクロ流体デバイスの夫々において、複数の開口部の相対的な位置関係を共通にしておけば、接続装置を共通化することができる。この結果、このマイクロ流体装置を実験に使用する場合には、流路の形状及び寸法を変えた複数のマイクロ流体デバイスを次々に交換することにより、相互に異なる内容の実験を順次効率よく行なうことができる。また、マイクロ流体装置に組み込んだマイクロ流体デバイスに破損、消耗劣化又は目詰まり等が発生し、新しいデバイスへの交換を余儀なくされた場合においても、容易に交換することができる。
更に、相互に異なる機能を持った複数のマイクロ流体デバイス間の接続も、この接続装置により可能となる。このとき、パッキンの断熱効果によって、各マイクロ流体デバイスの反応を熱的に分離することができる。また、2つのマイクロ流体デバイス間の距離を短くすることができる。これにより、マイクロ流体装置の小型化及び高集積化を図ることができると共に、この2つのマイクロ流体デバイスにより一連の処理を連続して効率よく行うことができる。
本発明に係る他のマイクロ流体装置は、
内部に流体を流出入する開口部を備えたマイクロ流体デバイスと、
第1の樹脂により形成され前記マイクロ流体デバイスにおける前記開口部周辺の表面に密着されるパッキンと、前記マイクロ流体デバイス側の端部がこのパッキンを挿通し前記開口部に挿入されるチューブと、を備え、前記マイクロ流体デバイスを他のマイクロ流体デバイス又は他の部材に接続する接続装置と、
前記パッキンを前記マイクロ流体デバイスに向けて押圧する押圧部材と、
を有し、
前記マイクロ流体デバイスが、一方の表面に前記流体が流れる流路が形成された第1の基板と、この第1の基板における前記流路が形成された面に貼り合わされ前記流路に連通する貫通孔が形成された第2の基板と、を有し、
前記貫通孔が、前記第2の基板における前記第1の基板の反対側に形成され直径が前記チューブの外径と実質的に等しく深さが前記チューブの突出部分の長さと実質的に等しい第1の部分と、前記第1の基板側に形成され直径が前記チューブの内径と実質的に等しい第2の部分と、を有することを特徴とする。
更に、前記第1及び第2の基板が、シリコン、石英、セラミックス、アルミニウム、ステンレス、銅、アクリル樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂及びPET(poly-ethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなる群から選択された1種又は2種以上の材料から形成されていてもよい。
本発明に係るマイクロ流体デバイスの集積方法は、夫々開口部を備えこの開口部から内部に流体を流出入する2つのマイクロ流体デバイスの間に、第1の樹脂により形成されたパッキン及びこのパッキンを挿通し両端部がこのパッキンから突出したチューブを備えた接続装置を配置し、前記2つのマイクロ流体デバイスにより前記パッキンを挟持し、前記チューブの一端部を一方の前記マイクロ流体デバイスの開口部に挿入させると共に前記チューブの他端部を他方の前記マイクロ流体デバイスの開口部に挿入させることにより、前記2つのマイクロ流体デバイスの内部を相互に連通させることを特徴とする。
このように、本発明によれば、パッキンから突出したチューブの一端部がマイクロ流体デバイスの開口部に挿入されているため、チューブを開口部に対して自己整合的にアライメントすることができ、開口部のサイズに整合させた細いチューブを使用しても、チューブを開口部に連結することが容易になる。また、チューブと開口部との接続に接着剤を使用しないため、チューブを開口部に繰返し着脱することができる。更に、パッキンが設けられているため、接続装置とマイクロ流体デバイスとの間の気密性を確保することができる。これにより、2つのマイクロ流体デバイスによりパッキンを挟持すれば、この2つのマイクロ流体デバイスを短い距離で相互に接続することができる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る接続装置を示す斜視図であり、図2及び図3は本実施形態に係るマイクロ流体装置を示す分解組立図及び断面図である。
本実施形態に係る接続装置は、マイクロ流体デバイスを他のマイクロ流体デバイス又は外部にある他の部材に接続し、マイクロ流体デバイスの基板に形成された入出口からデバイス内に流体を流入出するものである。図1に示すように、本実施形態に係る接続装置1は、例えば透明なシリコーン樹脂、例えばシリコーンゴム、からなる直方体のパッキン2に、例えば透明なシリコーン樹脂からなるチューブ3が挿通されて形成されている。チューブ3は例えば2本設けられており、パッキン2及びチューブ3は一体的に形成されている。2本のチューブ3の間隔は、この接続装置1が接続するマイクロ流体デバイスにおいてこれらのチューブ3に挿入させようとする開口部の間隔と等しくなっている。
なお、パッキン2の厚さは例えば3乃至12mmである。パッキン2の縦及び横の長さは、接続するマイクロ流体デバイスのサイズに合わせて任意の長さとすることができるが、例えば、縦(長辺)の長さは15乃至26mmであり、横(短辺)の長さは7乃至15mmである。また、チューブ3の軸直交断面形状は円環形状であり、その外径は例えば1mmであり、内径は例えば0.5mm以下であり、例えば0.5mmである。更に、チューブ3の一端はパッキン2の表面から例えば0.5mm突出している。なお、チューブ3の本数は2本に限定されず、接続するマイクロ流体デバイスの開口部の数に応じて任意に選択される。
次に、本実施形態に係るマイクロ流体装置について説明する。図2及び図3に示すように、本実施形態に係るマイクロ流体装置11においては、直方体の箱状の筐体12が設けられており、この筐体12にマイクロ流体デバイス13が収納されている。マイクロ流体デバイス13の形状は直方体であり、その外形は筐体12の底部と略一致しており、このため、マイクロ流体デバイス13は筐体12の底部にすっぽり収納されている。また、マイクロ流体デバイス13の上面における両端部には、各1個、合計2個の接続装置1が接続されている。
そして、2枚の押さえ板14が、夫々マイクロ流体デバイス13と共に接続装置1のパッキン2を挟圧するように、筐体12に固定されている。即ち、押さえ板14はパッキン2をマイクロ流体デバイス13に向けて押圧する押圧部材である。このとき、パッキン2が押さえ板14及び筐体12により挟圧された状態において、パッキン2及びマイクロ流体デバイス13の合計の厚さが、筐体12の内部の高さと一致している。筐体12の上面における押さえ板14が接触する領域には、例えば合計4個のねじ穴20が形成されており、押さえ板14におけるねじ穴20に整合する位置には、貫通孔21が形成されており、ねじ15が貫通孔21を挿通してねじ穴20に螺合することにより、押さえ板14が筐体12に固定されている。また、押さえ板14には、チューブ3を挿通させるための貫通孔22が形成されている。なお、図3においては、ねじ15、ねじ穴20及び貫通孔21は図示を省略されている。
マイクロ流体デバイス13においては、例えば透明な石英からなる2枚の基板16及び17が貼り合わされて形成されている。基板16及び17の縦(長辺)の長さは例えば76mmであり、横(短辺)の長さは例えば26mmであり、厚さは例えば1mmである。基板16における基板17に対向する側の表面には、流体が流れる流路18が形成されている。流路18の流体の流通方向に直交する断面における形状は、角部が丸みを帯びた矩形であり、流路18の幅は例えば500μmであり、深さは例えば100μmである。流路18は、2本の流路が合流して1本の流路となり、この1本の流路が再び2本の流路に分岐するようになっている。また、基板17には4ヶ所に開口部19が形成されている。
開口部19は、基板17において、基板16における流路18の各終端部に相当する位置に夫々形成されている。開口部19は流体を流路18に入出する入出口である。開口部19は2段構造となっており、外面側部分19a及び内面側部分19bにより構成されている。外面側部分19aの中心軸と内面側部分19bの中心軸とは相互に一致しており、外面側部分19aの内径は接続装置1のチューブ3の外径に実質的に等しく、例えば1mmであり、内面側部分19bの内径はチューブ3の内径に実質的に等しく、例えば0.5mmである。また、開口部19のうち、外面側部分19aの高さは例えば0.5mmであり、内面側部分19bの高さは例えば0.5mmである。そして、接続装置1のパッキン2はマイクロ流体デバイス13の基板17に密着しており、チューブ3のマイクロ流体デバイス13側の端部は開口部19の外面側部分19aに挿入されている。これにより、開口部19の内面側部分19bが、段差無く連続的にチューブ3に連通するようになっている。更に、チューブ3における開口部19に挿入されていない側の端部は、外部の部材、例えば、このマイクロ流体装置11に流体を供給する供給装置のコネクタ(図示せず)、及びマイクロ流体装置11を通過した流体を回収する回収装置のコネクタ(図示せず)に接続されている。
次に、本実施形態に係るマイクロ流体装置11の動作について説明する。外部の供給装置(図示せず)から供給された流体(図示せず)が、一方の接続装置1のチューブ3を流通し、マイクロ流体デバイス13の一端部に形成されている開口部19の内面側部分19bを介して、流路18に導入される。そして、この流体は流路18において、温度調節又は化学反応等の所定の処理が施される。その後、この流体はマイクロ流体デバイス13の他端部に形成されている開口部19の内面側部分19bを介して、他方の接続装置1のチューブ3内に導入され、外部の回収装置(図示せず)に対して排出される。
本実施形態においては、チューブ3の一端部がパッキン2の表面から突出しているため、チューブ3の端部をマイクロ流体デバイス13における基板17の開口部19に挿入することにより、チューブ3の一端部を開口部19に自己整合的にアライメントすることができる。このため、チューブ3を基板17に連結することが容易である。また、接着剤を使用せずに、チューブ3を基板17に連結することができるため、チューブ3を基板17に対して繰返し着脱することが容易である。このため、マイクロ流体デバイス13の交換が容易である。
更に、本実施形態においては、パッキン2及びチューブ3を例えばシリコーン樹脂により形成している。シリコーン樹脂は粘着性があるため、押さえ板14及び筐体12によりパッキン2を挟圧するとパッキン2が変形すると共に基板17に被着する。これにより、基板17とパッキン2との間の密着性を向上させることができ、仮に開口部19とチューブ3との間に隙間があっても、流体が外部に漏洩することがなく、接続部分の気密性を確保することができる。また、シリコーン樹脂は耐酸性及び耐アルカリ性が高いため、流体により腐食することが少なく、更に、熱的に安定であるため、接続装置の信頼性が高い。更にまた、シリコーン樹脂は熱伝導率が低いため、断熱性が高い。
更にまた、チューブ3として、市販の樹脂チューブよりも細いチューブ、例えば外径が1mmであるチューブを使用できるため、開口部19を高密度に形成することができる。これにより、マイクロ流体デバイス13において、流体の供給・取出口を高密度に配置することができ、マイクロ流体デバイスの小型化及び高集積化を図ることができる。更にまた、チューブ3の内径が開口部19の内面側部分19bと等しく、更に流路18の幅とも等しいため、流体の流れを層流に保ったまま流体を外部に取り出すことができる。
従来の技術の項で説明したように、流路の幅とチューブの内径とが大きく異なる場合には、接続部分で乱流が生じ、流体を外部に導出したときに、マイクロ流体デバイス内部において生じる流体の層流を保つことが難しくなる。これに対して本実施形態においては、上述の如く、流路の幅とチューブの内径とを実質的に等しくしているため、層流を保ったまま流体を取り出すことができる。
図4は、本実施形態に係る他のマイクロ流体装置を示す平面図である。図4に示すように、このマイクロ流体装置27のマイクロ流体デバイスにおいては、流路28がY字形に形成されている。即ち、2本の支流路28a及び28bが合流し、1本の本流路28cに連通するようになっている。本流路28cの幅は500μmである。このマイクロ流体デバイスはマイクロリアクタデバイスである。また、下流側の接続装置1には1本のチューブ3が設けられている。本マイクロ流体装置27における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態に係るマイクロ流体装置11と同じである。なお、流体を流す際の接続装置1の耐圧は、例えば2.8kg/cm以上である。
このマイクロ流体装置27を使用して、上述の効果を確認した。支流路28a及び28bに、夫々マイクロシリンジ29a及び29bを接続して、純水及び赤色インクで着色した純水(以下、赤水という)を注入した。このとき、純水及び赤水の流速が共に10cm/秒以上であると、本流路28cにおいて、純水及び赤水は拡散混合せずに層流状態を保ち、且つ、純水及び赤水の混合流体を取り出した後のチューブ3内部においても、2液が分離した層流状態を保ちながら、混合流体が流れ出す様子が確認できた。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5(a)乃至(c)は、本実施形態に係るマイクロ流体装置の製造方法をその工程順に示す断面図である。本実施形態は、前述の第1の実施形態に係るマイクロ流体装置の製造方法であり、この第1の実施形態に係る接続装置の製造方法を含んでいる。
先ず、図5(a)に示すように、石英からなる基板16の表面にフォトレジスト31を塗布する。次に、フォトリソグラフィによってフォトレジスト31をパターニングし、流路18を形成する予定の領域に開口部32を形成する。このとき、開口部32の幅は、流路18の幅よりも小さくなるようにする。
次に、図5(b)に示すように、フッ化アンモニウムとフッ酸とを7:1の比率で混合した混合液をエッチング液とし、パターニングされたフォトレジスト31をマスクとして、基板16をエッチングし、例えば、幅が500μm、深さが100μmの流路18を形成する。その後、フォトレジスト31を除去する。
一方、図5(c)に示すように、機械加工により、石英からなる基板17に開口部19を形成する。開口部19は、後の工程において基板17を基板16に重ね合わせたときに、基板16の表面に形成された流路18の各終端部に相当する位置に形成する。また、開口部19は、内径が1mmの外面側部分19aと、内径が0.5mmの内面側部分19bとからなる2段構成とする。
次に、基板17を基板16に重ね合わせて、希フッ酸によって相互に接合させる。このとき、基板17の開口部19の内面側部分19bが基板16の流路18の各終端部に整合するようにアライメントする。これにより、マイクロ流体デバイス13が作製される。
一方、図1に示すように、シリコーン樹脂からなり、外径が1mmであり内径が0.5mmであるチューブ3を、開口部19の位置に合わせて配置した後、チューブ3における先端部以外の部分の周囲にシリコーン樹脂を配置し、このシリコーン樹脂を固めることによりパッキン2を形成する。これにより、パッキン2及びチューブ3が一体となり、接続装置1が作製される。
次に、図2及び図3に示すように、マイクロ流体デバイス13の開口部19に接続装置1のチューブ3の端部が挿入されるように、1個のマイクロ流体デバイス13と2個の接続装置1とを組み合わせる。そして、マイクロ流体デバイス13及び接続装置1を筐体12内に収納する。次に、2枚の押さえ板14を夫々接続装置1のパッキン2上に、接続装置1のチューブ3が押さえ板14の貫通孔22を挿通するように配置する。そして、4個のねじ15を押さえ板14の貫通孔21を挿通させて筐体12のねじ穴20に螺合させることにより、押さえ板14が筐体12と共にパッキン2を挟圧するようにする。これにより、マイクロ流体装置11が製造される。
本実施形態においては、チューブ3の先端部を開口部19に差し込むことにより、容易にチューブ3の位置決めができる。また、パッキン2及びチューブ3を形成するシリコーン樹脂には粘着性及び柔軟性があり、また透明であるため、チューブ3の先端部の位置と開口部19の孔位置との間のずれを視覚的に確認できる。これにより、チューブ3の位置の微調整を容易に行うことができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図6(a)は本実施形態に係るマイクロ流体装置を示す斜視図であり、(b)はその断面図である。図6(a)及び(b)に示すように、本実施形態は複数のマイクロ流体デバイスを集積させた例であり、本実施形態に係るマイクロ流体装置51はマイクロリアクタである。
マイクロ流体装置51においては、上流側から下流側に向かって、3個のマイクロ流体デバイス52a、52b及び52cが配置されている。そして、マイクロ流体デバイス52aの上流側端部、マイクロ流体デバイス52aと52bとの間、マイクロ流体デバイス52bと52cとの間、マイクロ流体デバイス52cの下流側端部には、夫々接続装置1a、1b、1c及び1dが接続されている。なお、接続装置1b及び1cにおいては、パッキン2の両側においてチューブ3が短く切断されており、その両端部がデバイスの開口部に挿入されている。また、接続装置1bのパッキン2はマイクロ流体デバイス52a及び52bにより挟圧されており、接続装置1cのパッキン2はマイクロ流体デバイス52b及び52cにより挟圧されている。更に、接続装置1a及び1dは、押さえ治具(図示せず)により夫々マイクロ流体デバイス52a及び52cに対して固定されている。このように、本実施形態においては、3個のマイクロ流体デバイス52a乃至52cが、相互間に接続装置1b及び1cのパッキン2を挟持することにより、集積されている。
また、接続装置1aのチューブ3におけるマイクロ流体デバイス52aの開口部に挿入されていない側の端部は、マイクロ流体装置51に2種類の流体を供給する供給装置のコネクタ(図示せず)に連結されており、接続装置1dのチューブ3におけるマイクロ流体デバイス52cの開口部に挿入されていない側の端部は、マイクロ流体デバイス51によって処理された流体を回収する回収装置のコネクタ(図示せず)に連結されている。マイクロ流体デバイス52a及び52cの構成は、前述の第1の実施形態におけるマイクロ流体デバイス13と同じである。例えば、マイクロ流体デバイス52a及び52cは、供給された2種類の流体を混合し、拡散・抽出し、分離するものである。また、マイクロ流体デバイス52bは、2本の流路のうち一方を蛇行させ他方を直線状とすることにより、一方の流路における反応時間を他方の流路よりも長くするものである。このとき、例えば、蛇行している流路側のみにヒータ(図示せず)を設け、蛇行している流路を流通する流体のみを加熱することもできる。接続装置1a乃至1dにおける上記以外の構成は、前述の第1の実施形態における接続装置1の構成と同じである。
これにより、外部より、2種類の流体が接続装置1aを介して上流側に配置されたマイクロ流体デバイス52aに導入され、この流体がデバイス52aを通過した後、接続装置1bを介して中段に配置されたマイクロ流体デバイス52bに導入され、この流体がデバイス52bを通過した後、接続装置1cを介して下流側に配置されたマイクロ流体デバイス52cに導入され、この流体がデバイス52cを通過した後、接続装置1dを介して外部に導出されるようになっている。
本実施形態においては、接続装置を2つのマイクロ流体デバイス間に挟み込んでいるため、この2つのデバイスを極めて短い距離で相互に接続し、各デバイスの流路を相互に連通させることができる。この結果、マイクロ流体デバイス52aにおいて混合した流体を、速やかに、即ち時間及び温度のロスが少ない状態でマイクロ流体デバイス52bに導入して反応させ、デバイス52bにおいて生成した反応物質を、速やかにマイクロ流体デバイス52cに導入して、蒸留・分離することが可能になる。このように、混合、反応、蒸留・分離という複数の処理を、連続的に行うことが可能となる。これにより、これらの一連の処理を効率よく行うことができる。
また、本実施形態においては、接続装置のチューブの端部をマイクロ流体デバイスの開口部に挿入するだけで位置決めすることができ、2つのマイクロ流体デバイスによりパッキンを挟圧するだけで接続部の気密性が確保できる。このため、マイクロ流体デバイスの集積化が容易であり、マイクロ流体装置の作製コストを低く抑えることができる。
更に、本実施形態に係るマイクロ流体装置においては、マイクロ流体デバイスの組替え及び交換が容易である。これにより、複数のマイクロ流体デバイスの夫々において、複数の開口部の相対的な位置関係を共通にしておけば、接続装置を共通化することができる。この結果、このマイクロ流体装置を実験に使用する場合には、機能、流路の形状又は寸法を変えた複数のマイクロ流体デバイスを次々に交換することにより、相互に異なる内容の実験を順次効率よく行うことができる。また、マイクロ流体装置に組み込んだマイクロ流体デバイスに不具合が発生した場合、例えば、破損、消耗又は目詰まり等により機能が低下した場合においても、このデバイスを容易に交換することができる。
また、本実施形態においては、接続装置のパッキンをシリコーン樹脂(シリコーンゴム)により形成している。シリコーン樹脂は熱伝導率が0.20W/m・Kと低いため、各マイクロ流体デバイス52a乃至52cの操作温度が相互に異なっていても、デバイス間の熱の流れをある程度遮断することができる。なお、天然ゴム及びブチルゴムの熱伝導率は0.13W/m・Kであり、ポリウレタンゴムは0.12乃至0.18W/m・Kであり、繊維系の樹脂モールド材料は、熱伝導率が0.10W/m・K以下であり、いずれもシリコーン樹脂の熱伝導率よりも低い。このため、これらの材料は断熱性能が極めて高く、これらの材料をパッキン2の材料として使用すれば、シリコーン樹脂を使用した場合よりも高い断熱効果が期待できる。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態に係るマイクロ流体装置は、前述の第1の実施形態におけるマイクロ流体デバイス13を2つ使用し、前述の第3の実施形態における接続装置1bと同様な1個の接続装置(コネクタ)により、この2つのデバイスを相互に接続して構成されている。即ち、接続装置におけるシリコーン樹脂からなるチューブを、熱伝導率が0.2W/m・Kのシリコーン樹脂で固めてパッキンを形成し、チューブの両端部を切断し、2つのマイクロ流体デバイスによりパッキンを挟み込んで挟圧すると共に、チューブを開口部に挿入することにより両デバイスの流路を相互に連通させている。
本実施形態に係るマイクロ流体装置の上記以外の構成、動作及び効果は前述の第3の実施形態と同様である。以下、本実施形態に係るマイクロ流体装置における断熱効果について説明する。図7は、横軸に純水流通開始時からの経過時間をとり、縦軸にマイクロ流体デバイスの各位置の温度をとって、シリコーン樹脂からなるパッキンの厚さと接続装置1の断熱性能との関係を示すグラフ図である。
上述のような本実施形態に係るマイクロ流体装置を、接続装置のパッキンの厚さを相互に異ならせて、3つ作製した。パッキンの厚さは、夫々、3mm、6mm及び12mmとした。
そして、上流側のマイクロ流体デバイスの温度を、ホットプレートにより90℃に調節し、下流側のマイクロ流体デバイスの温度を、液温を23℃に調節した媒体によって23℃に調節した。そして、上流側のデバイスの基板温度を90℃で安定させ、下流側のデバイスの基板温度を23℃で安定させた。その後、温度が23℃の純水を、上流側のマイクロ流体デバイスに形成された2つの注入口から注入し、この純水を上流側のデバイス、接続装置、下流側のデバイスをこの順に流通させて、下流側のマイクロ流体デバイスに形成された2つの取出口から取り出した。このとき、基板表面の温度を接触型熱電対によって測定した。
図7において、線61で示されるプロットは、パッキンの厚さが3mmであるマイクロ流体装置において、下流側のデバイスの基板表面におけるパッキンに接する位置の温度を示している。線62で示されるプロットは、パッキンの厚さが3mmであるマイクロ流体装置において、下流側のデバイスの基板表面におけるパッキンに接する位置から1cm下流側の位置の温度を示している。線63で示されるプロットは、パッキンの厚さが6mmであるマイクロ流体装置において、下流側のデバイスの基板表面におけるパッキンに接する位置の温度を示している。線64で示されるプロットは、パッキンの厚さが6mmであるマイクロ流体装置において、下流側のデバイスの基板表面におけるパッキンに接する位置から1cm下流側の位置の温度を示している。線65で示されるプロットは、パッキンの厚さが12mmであるマイクロ流体装置において、下流側のデバイスの基板表面におけるパッキンに接する位置の温度を示している。線66で示されるプロットは、パッキンの厚さが12mmであるマイクロ流体装置において、下流側のデバイスの基板表面におけるパッキンに接する位置から1cm下流側の位置の温度を示している。
パッキンの厚さが3mmである場合、60分経過後のマイクロ流体デバイスの温度は、上流側で90.0℃一定となった(図示せず)。下流側のマイクロ流体デバイスの基板表面における接続装置のパッキンと接する位置の温度は52.3℃であったが(線61)、パッキンから1cm離れた流路上のガラス表面温度は27.1℃となり(線62)、更にパッキンから2cm離れた基板中央部においては、23.0℃で安定していた(図示せず)。また、パッキンの厚さが12mmである場合には、60分経過後に、下流側のマイクロ流体デバイスの基板表面における接続装置のパッキンと接する位置の温度は33.1℃となり(線65)、1cm離れた流路上の基板表面温度は24.2℃となり(線66)、2cm離れた基盤中央部では23.0℃となった(図示せず)。更に、パッキンの厚さが6mmである場合の各部の温度は、パッキンの厚さが3mmである場合と12mmである場合の中間の値となった。
なお、純水の流通を開始した直後、下流側のマイクロ流体デバイスの基板温度は僅かに上昇しているが、これは、接続装置を介した伝熱と流体(純水)が持ち込む熱によるものである。しかしながら、下流側のマイクロ流体デバイスにおいて、温度が急速に一定温度に安定する理由は、接続装置自体の熱伝導性の低さと、流体(純水)の体積に比較して流路壁の面積が広く、またマイクロ流体デバイスが小さいために温度調節がデバイス全体にわたって均一に行なわれたことによる温度調節効率の高さとの相乗効果によって実現できたものである。
このように、本実施形態においては、相互のデバイス間の接続距離を極力短くすることができ、一連の処理を効率よく行うことができると共に、パッキン及びチューブの断熱効果によって各マイクロ流体デバイスの温度を独立して制御できる。そして、パッキンの厚さを厚くするほど、デバイス間の断熱性能が向上する。従って、要求される効率及び断熱性能のバランスに応じてパッキンの材料及び厚さを選択することにより、最適な特性を得ることができる。
なお、前述の第1乃至第4の実施形態においては、チューブをシリコーン樹脂により形成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、フッ素樹脂又はポリイミド樹脂によりチューブを形成してもよい。フッ素樹脂には例えばテフロン(登録商標)がある。マイクロ流体装置において生じさせる化学反応の種類によっては、内部の液体にヘキサン等の有機溶媒を使用する場合がある。この場合、シリコーン樹脂からなるチューブは、膨潤し液漏れが発生することがある。この対策として、シリコーン樹脂製チューブに替えてフッ素樹脂製チューブ又はポリイミド樹脂製チューブを使用すれば、これらの材料は耐有機溶媒性が高いため、膨潤することがない。これにより、液漏れを防止することができる。
又は、チューブを、フッ素樹脂又はポリイミド樹脂からなる本体部の表面に、シリコーン樹脂からなる被覆層を被覆して形成してもよい。これにより、チューブの耐有機溶媒性を向上させることができると共に、チューブとパッキンとの間の密着性を向上させることができる。
また、前述の第1乃至第4の実施形態においては、パッキンとしてシリコーン樹脂からなるパッキンを使用する例を示したが、フッ素樹脂からなるパッキンを使用してもよい。これにより、フッ素樹脂は酸性溶液、アルカリ性溶液及び有機溶液等のほとんどの溶液に対して耐性があるため、パッキンの化学的安定性を高めることができる。
また、前述の第1乃至第4の実施形態においては、マイクロ流体デバイスの基板が石英により形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、シリコン、セラミックス、アルミニウム、ステンレス、銅、アクリル樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂又はPET樹脂により形成されていてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る接続装置を示す斜視図である。 本実施形態に係るマイクロ流体装置を示す分解組立図である。 このマイクロ流体装置を示す断面図である。 本実施形態に係る他のマイクロ流体装置を示す平面図である。 (a)乃至(c)は、本実施形態に係るマイクロ流体装置の製造方法をその工程順に示す断面図である。 (a)は本実施形態に係るマイクロ流体装置を示す斜視図であり、(b)はその断面図である。 横軸に純水流通開始時からの経過時間をとり、縦軸にマイクロ流体デバイスの各位置の温度をとって、シリコーン樹脂からなるパッキンの厚さと接続装置1の断熱性能との関係を示すグラフ図である。 従来のマイクロ流体装置を示す斜視図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c、1d;接続装置
2;パッキン
3;チューブ
11;マイクロ流体装置
12;筐体
13;マイクロ流体デバイス
14;押さえ板
15;ねじ
16、17;基板
18;流路
19;開口部
19a;外面側部分
19b;内面側部分
20;ねじ穴
21、22;貫通孔
27;マイクロ流体装置
28;流路
28a、28b;支流路
28c;本流路
29a、29b;マイクロシリンジ
31;フォトレジスト
32;開口部
51;マイクロ流体装置
52a、52b、52c;マイクロ流体デバイス
61〜66;線
101;マイクロ流体デバイス
102、103;基板
104;流路
105;開口部
106;チューブ

Claims (13)

  1. 夫々開口部を備えこの開口部から内部に流体を流出入する2以上のマイクロ流体デバイスと、
    前記マイクロ流体デバイスを他のマイクロ流体デバイス又は他の部材に接続する接続装置とを有し、
    前記接続装置は、
    第1の樹脂により形成され前記マイクロ流体デバイスにおける前記開口部周辺の表面に密着されるパッキンと、前記マイクロ流体デバイス側の端部がこのパッキンを挿通し前記開口部に挿入されるチューブと、を有し、
    前記パッキンが前記2以上のマイクロ流体デバイスのうちの2つにより挟持され前記チューブの一端部が一方の前記マイクロ流体デバイスの開口部に挿入されると共に前記チューブの他端部が他方の前記マイクロ流体デバイスの開口部に挿入されていることを特徴とするマイクロ流体装置。
  2. 前記マイクロ流体デバイスの開口部のうち少なくとも1つの開口部を前記他の部材に接続する他の前記接続装置と、この他の接続装置のパッキンを前記マイクロ流体デバイスに向けて押圧する押圧部材と、を有することを特徴とする請求項に記載のマイクロ流体装置。
  3. 前記マイクロ流体デバイスが、一方の表面に前記流体が流れる流路が形成された第1の基板と、この第1の基板における前記流路が形成された面に貼り合わされ前記流路に連通する貫通孔が形成された第2の基板と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロ流体装置。
  4. 前記チューブが第2の樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置
  5. 前記第2の樹脂がシリコーン樹脂、フッ素樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選択された1種の樹脂であることを特徴とする請求項に記載のマイクロ流体装置
  6. 前記チューブが、フッ素樹脂又はポリイミド樹脂からなる本体部と、前記本体部の表面に被覆されシリコーン樹脂からなる被覆層と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置
  7. 前記チューブの内径が0.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置
  8. 前記第1の樹脂の熱伝導率が、乾燥状態において0.2W/m・K以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置
  9. 前記第1の樹脂がシリコーン樹脂及びフッ素樹脂からなる群から選択された1種の樹脂であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置
  10. 内部に流体を流出入する開口部を備えたマイクロ流体デバイスと、
    第1の樹脂により形成され前記マイクロ流体デバイスにおける前記開口部周辺の表面に密着されるパッキンと、前記マイクロ流体デバイス側の端部がこのパッキンを挿通し前記開口部に挿入されるチューブと、を備え、前記マイクロ流体デバイスを他のマイクロ流体デバイス又は他の部材に接続する接続装置と、
    前記パッキンを前記マイクロ流体デバイスに向けて押圧する押圧部材と、
    を有し、
    前記マイクロ流体デバイスが、一方の表面に前記流体が流れる流路が形成された第1の基板と、この第1の基板における前記流路が形成された面に貼り合わされ前記流路に連通する貫通孔が形成された第2の基板と、を有し、
    前記貫通孔が、前記第2の基板における前記第1の基板の反対側に形成され直径が前記チューブの外径と実質的に等しく深さが前記チューブの突出部分の長さと実質的に等しい第1の部分と、前記第1の基板側に形成され直径が前記チューブの内径と実質的に等しい第2の部分と、を有することを特徴とするマイクロ流体装置。
  11. 前記第2の部分の直径が前記流路の幅と実質的に等しいことを特徴とする請求項10に記載のマイクロ流体装置。
  12. 前記第1及び第2の基板が、シリコン、石英、セラミックス、アルミニウム、ステンレス、銅、アクリル樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂及びPET樹脂からなる群から選択された1種又は2種以上の材料からなることを特徴とする請求項10又は11に記載のマイクロ流体装置。
  13. 夫々開口部を備えこの開口部から内部に流体を流出入する2つのマイクロ流体デバイスの間に、第1の樹脂により形成されたパッキン及びこのパッキンを挿通し両端部がこのパッキンから突出したチューブを備えた接続装置を配置し、前記2つのマイクロ流体デバイスにより前記パッキンを挟持し、前記チューブの一端部を一方の前記マイクロ流体デバイスの開口部に挿入させると共に前記チューブの他端部を他方の前記マイクロ流体デバイスの開口部に挿入させることにより、前記2つのマイクロ流体デバイスの内部を相互に連通させることを特徴とするマイクロ流体デバイスの集積方法。
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