JP6133679B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤに関する。
従来、図1に示すように、トレッド部10において、2枚の保護ベルト11A/11Bからなる保護ベルト層11、2枚の主交錯ベルト12A/12Bからなる主交錯ベルト層12、及び、2枚の小交錯ベルト13A/13Bからなる小交錯ベルト層13を有する重荷重用のタイヤ1が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
図1に示すように、かかるタイヤ1では、主交錯ベルト層12は、小交錯ベルト層13のタイヤ径方向外側に配置されており、保護ベルト層11は、主交錯ベルト層12のタイヤ径方向外側に配置されている。
例えば、かかるタイヤ1では、小交錯ベルト層13を構成するコードとタイヤ周方向Lとがなす角度は、4〜10°であり、主交錯ベルト層12を構成するコードとタイヤ周方向Lとがなす角度は、18〜35°であり、保護交錯ベルト層11を構成するコードとタイヤ周方向Lとがなす角度は、22〜33°である。
したがって、かかるタイヤ1のトレッド部10において、タイヤ赤道線CL近傍の領域(センター領域)では、タイヤ幅方向Wの端部近傍の領域(ショルダー領域)と比べて、各ベルト層を構成するコードとタイヤ周方向Lとなす角度が小さい。
特許第4677307号 特許第4628080号
上述のタイヤ1において、ベルト層を構成するコードとタイヤ周方向Lとがなす角度が大きい領域では、ベルト張力が小さくなるため、かかる領域は、タイヤ周方向Lに大きく収縮する。
その結果、かかるタイヤ1が回転すると、タイヤ周方向Lにおけるタイヤ幅方向Wの端部近傍の領域は、タイヤ周方向Lに大きく収縮するため、タイヤ周方向Lにおけるタイヤ赤道線CL近傍の領域の長さは、タイヤ周方向Lにおけるタイヤ幅方向Wの端部近傍の領域の長さよりも長くなる。
したがって、かかるタイヤ1が回転すると、タイヤ赤道線CL近傍の領域では、タイヤ回転方向の力(ドライビング力)が発生し、タイヤ幅方向Wの端部近傍の領域では、タイヤ回転方向の反対方向の力(ブレーキング力)が発生するため、両領域の境界付近で剪断力が発生する。
さらに、かかるタイヤ1に対して、内圧が加えられた後、荷重が加えられた場合には、タイヤ赤道線CL近傍の領域とタイヤ幅方向Wの端部近傍の領域との間で、タイヤ径方向における変形の度合いが異なるため、両者の境界付近で剪断力が発生する。
特に、かかるタイヤ1が、操舵軸に装着された際には、舵角によるタイヤ幅方向Wの力が加えられ、かかるタイヤ1が、制動力が働く軸に装着された際には、制動力が加えられることで、より一層、剪断力が大きくなる。
また、かかる現象は、タイヤ幅方向Wにおける陸部の長さがタイヤ幅方向Wにおけるトレッド部10の長さの30%以上となるように構成されている重荷重用のタイヤ1において顕著になる。
また、このように、剪断力が大きい部分では、次のような問題が発生する。具体的に、タイヤ幅方向Wの端部近傍の領域では、タイヤ回転方向の反対方向の力(ブレーキング力)によって、幅方向溝のタイヤ回転方向前方に形成される陸部の蹴出端部において、圧縮変形が増大する。したがって、陸部の蹴出端部おける偏摩耗(ヒールアンドトウ摩耗)が進行し易くなる。
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、タイヤ赤道線CL近傍の領域とタイヤ幅方向Wの端部近傍の領域との間において、偏摩耗の進行を抑制することができるタイヤを提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、トレッド部(トレッド部10)において、タイヤ周方向に延びる周方向溝(周方向溝30)及び前記トレッド部のタイヤ幅方向の端部(端部10E)と、前記タイヤ幅方向の長さが前記タイヤ幅方向における前記トレッド部の長さの30%以上となるように構成された前記タイヤ幅方向に延びる幅方向溝(幅方向溝20)とによって区画化された複数の陸部(陸部40)を有するタイヤであって、前記幅方向溝は、タイヤ赤道線の少なくとも片側において、少なくとも1つのタイヤ回転方向の反対方向に屈曲するように構成されている屈曲部(屈曲部50A/50B)を有しており、前記幅方向溝のタイヤ回転方向に形成される前記陸部には、前記幅方向溝によって蹴出側溝壁部(蹴出側溝壁部141)が形成され、前記幅方向溝のタイヤ回転方向の反対方向に形成される陸部には、前記幅方向溝によって踏込側溝壁部(踏込側溝壁部142)が形成されており、タイヤ径方向及びタイヤ周方向に沿ったタイヤ周方向断面において、前記蹴出側溝壁部は、タイヤ周方向に突出する凸状部(凸状部141b)を有することを要旨とする。
かかるタイヤでは、幅方向溝のタイヤ回転方向側に形成される陸部において、幅方向溝によって蹴出側溝壁部が形成される。タイヤ径方向及びタイヤ周方向に沿ったタイヤ周方向断面において、蹴出側溝壁部は、タイヤ周方向に突出する凸状部を有する。かかるタイヤによれば、蹴出側溝壁部が凸状部を有していない場合に比べて、陸部の蹴出側溝壁部の圧縮剛性を高めることが可能になる。すなわち、陸部の蹴出端部の圧縮剛性を高めることができるので、蹴出端部の圧縮変形によって発生する偏摩耗を抑制することが可能になる。したがって、かかるタイヤによれば、タイヤ赤道線CL近傍の領域とタイヤ幅方向Wの端部近傍の領域との間において、偏摩耗の進行を抑制することが可能になる。
以上説明したように、本発明によれば、タイヤ赤道線CL近傍の領域とタイヤ幅方向Wの端部近傍の領域との間において、偏摩耗の進行を抑制することができるタイヤを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るタイヤのタイヤ径方向に沿いタイヤ周方向に直交する断面図である。 本発明の第1実施形態に係るタイヤにおけるトレッド踏面の一部の平面図である。 本発明の第1実施形態に係るタイヤ1の陸部の拡大断面斜視図である。 図2に示すX−X’線に沿った陸部の断面図である。 図5(a)は、本発明の変更例1に係るタイヤの陸部の断面図である。図5(b)は、本発明の変更例2に係るタイヤの陸部の断面図である。図5(c)は、本発明の変更例3に係るタイヤの陸部の断面図である。
本発明に係るタイヤの一例について、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似
の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[第1実施形態]
(タイヤの概略構成)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るタイヤ1について説明する。
図1に、本実施形態に係るタイヤ1のタイヤ径方向に沿いタイヤ周方向に直交する断面図を示す。
本実施形態では、タイヤ1の一例として、重荷重用のタイヤ1について説明するが、本発明は、かかるタイヤに限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ1では、タイヤ幅方向Wにおける陸部40の長さW2が、タイヤ幅方向Wにおけるトレッド部10の長さW1の30%以上となるように構成されている。
また、本実施形態に係るタイヤ1は、複数のベルト層を具備している。具体的には、本実施形態に係るタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部10において、2枚の保護ベルト11A/11Bからなる保護ベルト層11、2枚の主交錯ベルト12A/12Bからなる主交錯ベルト層12、及び、2枚の小交錯ベルト13A/13Bからなる小交錯ベルト層13を具備する。
図1に示すように、かかるタイヤ1では、主交錯ベルト層12は、小交錯ベルト層13のタイヤ径方向外側に配置されており、保護ベルト層11は、主交錯ベルト層12のタイヤ径方向外側に配置されている。
例えば、かかるタイヤ1では、小交錯ベルト層13を構成するコードとタイヤ周方向Lとがなす角度は、4〜10°であり、主交錯ベルト層12を構成するコードとタイヤ周方向Lとがなす角度は、18〜35°であり、保護交錯ベルト層11を構成するコードとタイヤ周方向Lとがなす角度は、22〜33°である。
また、本実施形態に係るタイヤ1は、図2に示すように、トレッド部10において、タイヤ周方向Lに延びる周方向溝30及びトレッド部10のタイヤ幅方向Wの端部10Eと、タイヤ幅方向Wに延びる幅方向溝20とによって区画化された複数の陸部40を具備している。
ここで、トレッド部10のタイヤ幅方向Wの端部10Eとは、タイヤ1に正規内圧及び正規荷重が加えられた状態、かつタイヤ転動時に路面と接した状態において、トレッド踏面(接地面)の端部を示す。タイヤ1が路面に接した状態とは、例えば、タイヤ1が正規リムに装着され、かつ正規内圧及び正規荷重が負荷された状態を示す。
なお、「正規リム」とは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2010年度版に定められた適用サイズにおける標準リムを指す。日本以外では、後述する規格に記載されている適用サイズにおける標準リムを指す。
「正規内圧」とは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2010年度版のタイヤの測定方法で規定された空気圧である。日本以外では、「正規内圧」とは、後述する規格に記載されているタイヤ寸法測定時の空気圧に対応する空気圧である。
「正規荷重」とは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2010年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。日本以外では、「正規荷重」とは、後述する規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことである。
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
また、例えば、周方向溝30は、溝幅10mm以下であり、幅方向溝は、50mm以下であることが好ましい。なお、かかる陸部40には、50mm以下の周方向に延びる1本又は複数本の周方向細溝(サイプ)が設けられていてもよい。なお、かかる周方向細溝のタイヤ径方向の深さは、周方向溝30及び幅方向溝20のタイヤ径方向の深さよりも浅い。
ここで、摩耗性に着目する場合には、かかる周方向溝30の幅(タイヤ幅方向Wの長さ)は、力が加わった際に陸部40同士が支え合うため、10mm以下がよい。一方、放熱性に着目する場合には、かかる周方向溝30の幅(タイヤ幅方向Wの長さ)は、10mmよりも大きい方がよい。
また、本実施形態に係るタイヤ1では、タイヤ幅方向Wにおける幅方向溝20の長さが、タイヤ幅方向Wにおけるトレッド部10の長さW1の30%以上となるように構成されている。さらに、本実施形態に係るタイヤ1では、各陸部40(幅方向溝20)のピッチPは、50mm以上となるように構成されていてもよい。
また、本実施形態に係るタイヤ1では、図2に示すように、幅方向溝20は、タイヤ赤道線CLの少なくとも片側において、少なくとも1つのタイヤ回転方向Rの反対方向に屈曲するように構成されている屈曲部50A/50Bを有するように構成されている。
図2の例では、幅方向溝20は、タイヤ赤道線CLの左側において、1つの屈曲部50Aを有し、タイヤ赤道線CLの右側において、1つの屈曲部50Bを有している。
ここで、幅方向溝20は、タイヤ赤道線CLの左側(或いは、右側)のみにおいて、1つの屈曲部50A(或いは、50B)を有していてもよい。また、幅方向溝20は、図2に示す2つの屈曲部50A/50Bに加えて、別の屈曲部を更に有するように構成されていてもよい。
また、全ての幅方向溝20が、上述の屈曲部を有するように構成されていてもよいし、所定の幅方向溝20のみが、上述の屈曲部を有するように構成されていてもよい。
なお、幅方向溝20は、図2に示すように、タイヤ赤道線CLにおいて連続するように構成されていてもよい、タイヤ赤道線CLにおいて連続しないように構成されていてもよい。
ここで、上述の屈曲部50A/50Bによって、タイヤ赤道線CLの両側に配置されている陸部40のうちの少なくとも一方の蹴出側に、窪み(凹部)が形成されることになる。
また、上述の屈曲部50A/50Bによって、タイヤ赤道線CLの両側に配置されている陸部40のうちの少なくとも一方の踏込側に、突部(凸部)が形成されることになる。
なお、図2に示すように、本実施形態に係るタイヤ1は、かかるタイヤ1の回転方向Rを特定する方向性パターンを有するものとする。すなわち、本実施形態に係るタイヤ1では、ホイールに対するタイヤ1の装着方向が決まっているものとする。なお、タイヤ回転方向Rとタイヤ周方向Lとは平行である。
また、本実施形態に係るタイヤ1では、幅方向溝20のタイヤ回転方向Rに形成される陸部40には、幅方向溝20によって蹴出端部41が形成されている。一方、幅方向溝20のタイヤ回転方向Rと反対方向に形成される陸部40には、幅方向溝20によって踏込端部42が形成されている。
蹴出端部41には、屈曲部50A/50Bによって、タイヤ回転方向Rの最も前方に位置する前方端部41aと、前方端部41aよりもタイヤ回転方向Rの反対方向に位置する後方端部41bとが形成されている。具体的に、本実施形態に係るタイヤ1では、蹴出端部41は、2つの前方端部41aと1つの後方端部41bとを有する。後方端部41bは、前方端部41aよりもタイヤ回転方向Rに向かって、所定間隔だけ後方に位置する。
一方、踏込端部42は、タイヤ回転方向Rの最も前方に位置する前方端部42aと、前方端部42aよりもタイヤ回転方向Rの反対方向に位置する後方端部42bとを有する。具体的に、本実施形態に係るタイヤ1では、踏込端部42は、2つの前方端部42aと1つの後方端部42bとを有する。後方端部42bは、前方端部42aよりもタイヤ回転方向Rに向かって、間隔L2だけ後方に位置する。
また、本実施形態に係るタイヤ1では、トレッド踏面におけるタイヤ幅方向Wの端部10E近傍の領域において、かかる幅方向溝20のタイヤ幅方向Wに対する傾斜角は、緩やかになるように構成されていてもよい。かかる場合、本実施形態に係るタイヤ1において、陸部40は、図2に示すように、トレッド踏面の平面視において、矢羽状の形状を有している。
また、本実施形態に係るタイヤ1では、図1及び図2に示すように、屈曲部50A/50Bは、ベルト層を構成するコードとタイヤ周方向Lとなす角度が最も小さいベルト層(すなわち、小交錯ベルト層13)の端部に対応するタイヤ幅方向位置Aの近傍に設けられていてもよい。
すなわち、本実施形態に係るタイヤ1では、蹴出端部41の後方端部41bは、ベルト層を構成するコードとタイヤ周方向Lとなす角度が最も小さいベルト層(すなわち、小交錯ベルト層13)の端部に対応するタイヤ幅方向位置Aの近傍に設けられていてもよい。同様に、本実施形態に係るタイヤ1では、踏込端部42の後方端部42bも、ベルト層を構成するコードとタイヤ周方向Lとなす角度が最も小さいベルト層(すなわち、小交錯ベルト層13)の端部に対応するタイヤ幅方向位置Aの近傍に設けられていてもよい。
ここで、「タイヤ幅方向位置Aの近傍」とは、例えば、トレッド踏面におけるタイヤ幅方向Wの端部10Eからタイヤ1の幅(タイヤ幅方向Wの長さ)の1/4の距離にある地点を中心として、タイヤ幅方向Wにおいて陸部40の幅(タイヤ幅方向Wの長さ)の1/3以内の距離にある領域である。
例えば、タイヤ幅方向位置Aとタイヤ赤道線CLとの間のタイヤ幅方向Wにおける長さW3は、タイヤ幅方向Wにおけるトレッド部10の長さW1の約1/4であってもよい。
(陸部40の構成)
次に、陸部40の構成について具体的に説明する。図3は、本実施形態に係る陸部40の拡大断面斜視図である。図4は、図2におけるX−X’線に沿った断面図である。
図3に示すように、幅方向溝20のタイヤ回転方向Rに形成される陸部40には、幅方向溝20によって蹴出側溝壁部141が形成される。一方、幅方向溝20のタイヤ回転方向Rの反対方向に形成される陸部40には、幅方向溝20によって踏込側溝壁部142が形成される。
また、図4に示すように、タイヤ径方向D及びタイヤ周方向Lに沿ったタイヤ周方向断面において、蹴出側溝壁部141は、タイヤ周方向Lに突出する凸状部141bを有する。なお、タイヤ周方向Lに突出するとは、タイヤ周方向断面において、陸部40の接地面40zに蹴出端部41を基準として、タイヤ回転方向Rの後方に向かって突出することを示す。また、言い換えると、陸部40の接地面40zと蹴出側溝壁部141との成す角度が90°よりも大きいともいえる。
なお、凸状部141bは、タイヤ周方向断面において、タイヤ周方向Lに最も突出する最大凸部141pを有する。また、最も突出する最大凸部141pは、タイヤ径方向Dにおいて、幅方向溝20の溝底21に位置することが好ましい。また、凸状部141bは、タイヤ幅方向Wにおいて、屈曲部50A/Bの位置と同一の位置に設けられていることが好ましい。つまり、凸状部141bは、タイヤ幅方向Wにおいて、タイヤ幅方向位置Aに設けられていることが好ましい。詳細には、凸状部141bの最大凸部141pが、タイヤ幅方向Wにおいて、屈曲部50A/Bの位置と同一の位置に設けられていることが好ましい。すなわち、最大凸部141pが、タイヤ幅方向位置Aに設けられていることが好ましい。
一方、踏込側溝壁部142は、タイヤ周方向断面において、凸状部141bに対向するように、タイヤ周方向Lに凹む凹状部142bを有する。なお、タイヤ周方向Lに凹むとは、タイヤ周方向断面において、陸部40の接地面40zに設けられる踏込端部42を基準として、タイヤ回転方向Rの後方に向かって凹むことを示す。また、言い換えると、陸部40の接地面40zと踏込側溝壁部142との成す角度が90°以下であるともいえる。なお、凹状部142bにおいて、タイヤ周方向Lに最も凹む最大凹部142pは、幅方向溝20の溝底21に位置することが好ましい。また、最大凹部142pは、タイヤ幅方向Wにおいて、屈曲部50A/Bの位置と同一の位置に設けられていることが好ましい。すなわち、最大凹部142pが、タイヤ幅方向位置Aに設けられていることが好ましい。
本実施形態に係るタイヤ1では、幅方向溝20のタイヤ周方向における溝幅L10は、幅方向溝の溝底21からタイヤ径方向外側に向かうほど大きくなることが好ましい。具体的に、図4に示すように、溝幅L10は、幅方向溝20の溝底21における溝幅L11よりも、タイヤ径方向Dの外側における溝幅L12の方が大きい。なお、溝幅L10は、蹴出側溝壁部141と踏込側溝壁部142とのタイヤ周方向Lにおける間隔とも言い換えることができる。かかる構成によれば、凸状部141bによる蹴出端部141bの剛性を一層高めることが可能になる。
また、凸状部141bのタイヤ周方向Lにおける突出量S10は、溝深さD10の5〜15%の範囲内であることが好ましい。幅方向溝20の深さD1とは、陸部40の接地面40zから幅方向溝20の溝底21までの深さである。
なお、本実施形態に係るタイヤ1では、凹状部142bのタイヤ周方向Lにおける凹み量は、溝深さD10の5%〜15%の範囲内であることが好ましい。
(作用及び効果)
本実施形態に係るタイヤ1のトレッド部10において、小交錯ベルト層13の端部よりもタイヤ幅方向Wの端部側の領域A2では、小交錯ベルト層13の端部よりもタイヤ赤道線CL側の領域A1と比べて、各ベルト層を構成するコードとタイヤ周方向Lとなす角度が大きい。
すなわち、かかるタイヤ1のトレッド部10において、小交錯ベルト層13の端部よりもタイヤ幅方向Wの端部側の領域A2では、小交錯ベルト層13の端部よりもタイヤ赤道線CL側の領域A1と比べて、ベルト張力が小さい。
その結果、かかるタイヤ1のトレッド部10において、小交錯ベルト層13の端部よりもタイヤ幅方向Wの端部側の領域A2は、小交錯ベルト層13の端部よりもタイヤ赤道線CL側の領域A1と比べて、タイヤ周方向Lに大きく収縮するため、タイヤ周方向Lにおける領域A1の長さは、タイヤ周方向Lにおける領域A2の長さよりも長くなる。
したがって、かかるタイヤ1が回転すると、領域A1では、タイヤ回転方向Rの力(ドライビング力)が発生し、領域A2では、タイヤ回転方向Rの反対方向の力(ブレーキング力)が発生するため、領域A1及び領域A2の境界付近(すなわち、小交錯ベルト層13の端部近傍の領域)で剪断力が発生する。
また、このように、剪断力が大きい部分では、タイヤ回転方向の反対方向の力(ブレーキング力)によって、幅方向溝20のタイヤ回転方向R前方に形成される陸部40の蹴出端部41における偏摩耗(ヒールアンドトウ摩耗)が進行し易くなる。
ここで、本実施形態に係るタイヤ1において、幅方向溝20のタイヤ回転方向R側に形成される陸部40には、幅方向溝20によって蹴出端部41と蹴出側溝壁部141とが形成される。また、幅方向溝20のタイヤ回転方向Rと反対方向側に形成される陸部40には、幅方向溝20によって踏込端部42と踏込側溝壁部142とが形成される。
本実施形態に係るタイヤ1では、タイヤ径方向D及びタイヤ周方向Lに沿ったタイヤ周方向断面において、蹴出側溝壁部141は、タイヤ周方向Lに突出する凸状部141bを有する。一方、踏込側溝壁部142は、タイヤ周方向断面において、凸状部141bに対向するように、タイヤ周方向Lに凹む凹状部142bを有する。
かかるタイヤ1によれば、蹴出端部41における圧縮剛性が、踏込端部42における圧縮剛性よりも高めることが可能になる。
蹴出側溝壁部141に凸状部141bを設けず、かつ、踏込側溝壁部142に凹状部142bを設けていない場合には、タイヤ回転方向Rの反対方向の力Fb(ブレーキング力)によって、陸部40が大きく変形する。具体的に、蹴出端部41において、タイヤ径方向D外側に向かって第1の変動量M1だけ、蹴出端部41が大きく押し下げられる。また、蹴出端部41の圧縮に伴って、踏込端部42においても、タイヤ径方向D内側に第2の変動量M2だけ押し上げられ、踏込端部42における圧縮は小さくなるものの、これにより、蹴出端部41に発生する変動量M1が一層増大する。
このようにして、蹴出側溝壁部141に凸状部141bを設けず、かつ、踏込側溝壁部142に凹状部142bを設けていない場合には、蹴出端部41が大きく圧縮変形する。また、蹴出端部41が大きく圧縮変形することによって、路面との摩擦力が大きくなり、蹴出端部41における偏摩耗(ヒールアンドトウ摩耗)が進行する。
本実施形態に係るタイヤ1では、蹴出側溝壁部141に凸状部141bを設け、かつ、踏込側溝壁部142に凹状部142bを設けた場合には、蹴出端部41の圧縮剛性が高められ、踏込端部42の圧縮剛性が抑制されている。
したがって、蹴出端部41における圧縮変化が抑制され、蹴出端部41の第1の変動量M1が弱められる。これにより、踏込端部42においても、タイヤ径方向D内側に第2の変動量M2も弱められる。すなわち、本実施形態に係るタイヤ1では、蹴出端部41に発生する偏摩耗を抑制することが可能になる。
このように、本実施形態に係るタイヤ1によれば、タイヤ赤道線CL近傍の領域とタイヤ幅方向Wの端部近傍の領域との間において、偏摩耗の進行を抑制することができる。
(変更例1)
以下、図5(a)を参照して、本発明の変更例1に係るタイヤ1について、上述の実施形態1に係るタイヤとの相違点に着目して説明する。
上述した実施形態では、蹴出側溝壁部141の形状が、陸部40の蹴出端部41から幅方向溝20の溝底21に向かって直線状に延びる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。図5(a)に示す本変更例1に係るタイヤ1のように、蹴出側溝壁部241の形状が、湾曲する形状であってもよい。なお、この場合、図5(a)に示すように、蹴出側溝壁部241に設けられる凸状部241bの最大凸部241pが、幅方向溝20の溝底21と陸部40の接地面40zとの間に位置するようにしてもよい。また、踏込側溝壁部242に形成される凹状部242bの最大凹部242pが、幅方向溝20の溝底21と陸部40の接地面40zとの間に位置するようにしてもよい。
本変更例1に係るタイヤ1においても、蹴出端部41に凸状部241bが形成されているため、蹴出端部41の圧縮剛性が高められている。したがって、本変更例1に係るタイヤ1においても、偏摩耗の進行を抑制することができる。
(変更例2)
また、図5(b)に示す本変更例2に係るタイヤ1のように、蹴出側溝壁部241に設けられる凸状部241bの最大凸部241pが、幅方向溝20の溝底21と陸部40の接地面40zとの間に位置するようにしてもよい。また、踏込側溝壁部242に形成される凹状部242bの最大凹部242pが、幅方向溝20の溝底21と陸部40の接地面40zとの間に位置するようにしてもよい。
本変更例2に係るタイヤ1においても、蹴出端部41に凸状部241bが形成されているため、蹴出端部41の圧縮剛性が高められている。したがって、本変更例2に係るタイヤ1においても、偏摩耗の進行を抑制することができる。
(変更例3)
また、図5(c)に示す本変更例3に係るタイヤ1のように、蹴出側溝壁部241に凸状部241bを設け、かつ、踏込側溝壁部242に凹状部242bを設けなくともよい。
つまり、本変更例3に係るタイヤ1のように、少なくとも蹴出端部41に凸状部241bが形成されていれば、蹴出端部41の圧縮剛性が高められる。したがって、本発明では、必ずしも踏込側溝壁部242に凹状部242bを設けなくとも、偏摩耗の進行を抑制することができる。
[実施例]
次に、本発明の効果を明確にするために、比較例及び実施例に係るタイヤを用いて行った試験の結果について説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
本実験において、実施例1乃至3に係るタイヤとしては、屈曲部50A/50Bを有する幅方向溝20を有する図2に示すラジアルタイヤを用いた。
実施例1に係るタイヤとしては、蹴出側溝壁部241に凸状部241bを設け、かつ、踏込側溝壁部242に凹状部242bを設けていないタイヤを用いた。また、実施例1に係るタイヤとしては、幅方向溝の溝幅が溝底からタイヤ径方向外側に向かうほど大きくなるタイヤを用いた。
また、実施例2に係るタイヤとしては、蹴出側溝壁部241に凸状部241bを設け、かつ、踏込側溝壁部242に凹状部242bを設けたタイヤを用いた。また、実施例2に係るタイヤとしては、幅方向溝の溝幅が溝底からタイヤ径方向外側に向かって、一定であるタイヤを用いた。
また、実施例3に係るタイヤとしては、蹴出側溝壁部241に凸状部241bを設け、かつ、踏込側溝壁部242に凹状部242bを設けたタイヤを用いた。また、実施例3に係るタイヤとしては、幅方向溝の溝幅が溝底からタイヤ径方向外側に向かうほど大きくなるタイヤを用いた。
比較例1に係るタイヤとしては、屈曲部50A/50Bを有する幅方向溝20を有しないラジアルタイヤを用いた。
比較例2に係るタイヤとしては、屈曲部50A/50Bを有する幅方向溝20を有する図2に示すラジアルタイヤを用いた。但し、比較例2に係るタイヤとしては、蹴出側溝壁部241に凸状部241bを設けず、かつ、踏込側溝壁部242に凹状部242bを設けていないタイヤを用いた。
また、本試験では、全てのラジアルタイヤのサイズを「59/80R63」とした。すなわち、本試験では、全てのタイヤを重荷重用タイヤとした。また、本試験では、特開平7-63658号公報に記載の測定装置を用いて、速度50mm/s、荷重3.5kN、内圧0.19MPaとした状態で、図1に示すタイヤ幅方向位置Aにおける摩耗エネルギーを測定した。具体的に、陸部の蹴出端部における摩耗エネルギーを測定した。ここで、本試験で用いたリムの幅は、5-J×14(JATMA規定の標準サイズ)とした。
かかる測定結果によれば、本発明の構成を具備する実施例1に係るタイヤは、比較例1に係るタイヤと比較すると、蹴出端部における摩耗エネルギーが10%程度低減した。
また、実施例1乃至3に係るタイヤは、比較例2に係るタイヤと比較すると、蹴出端部における摩耗エネルギーが15%程度低減した。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
1…タイヤ、10…トレッド部、11…保護ベルト層、11…保護交錯ベルト層、11A/11B…保護ベルト、12…主交錯ベルト層、12A/12B…主交錯ベルト、13…小交錯ベルト層、13A/13B…小交錯ベルト、20、20A、20B、20C…幅方向溝、21…溝底、30…周方向溝、40…陸部、40z…接地面、41…蹴出端部、41a…前方端部、41b…後方端部、42…踏込端部、42a…前方端部、42b…後方端部、50A…屈曲部、50B…屈曲部、70…周方向細溝

Claims (6)

  1. トレッド部において、タイヤ周方向に延びる周方向溝及び前記トレッド部のタイヤ幅方向の端部と、前記タイヤ幅方向の長さが前記タイヤ幅方向における前記トレッド部の長さの30%以上となるように構成された前記タイヤ幅方向に延びる幅方向溝とによって区画化された複数の陸部を有するタイヤであって、
    前記幅方向溝は、タイヤ赤道線の少なくとも片側において、少なくとも1つのタイヤ回転方向の反対方向に屈曲するように構成されている屈曲部を有しており、
    前記幅方向溝のタイヤ回転方向に形成される陸部には、前記幅方向溝によって蹴出側溝壁部が形成され、
    前記幅方向溝のタイヤ回転方向の反対方向に形成される陸部には、前記幅方向溝によって踏込側溝壁部が形成されており、
    タイヤ径方向及びタイヤ周方向に沿ったタイヤ周方向断面において、前記蹴出側溝壁部は、タイヤ周方向に突出する凸状部を有する
    ことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記幅方向溝のタイヤ周方向における溝幅は、前記幅方向溝の溝底からタイヤ径方向外側に向かうほど大きくなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記踏込側溝壁部は、タイヤ周方向断面において、前記凸状部に対向するように凹む凹状部を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記凸状部のタイヤ周方向における突出量は、溝深さの5〜15%の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 複数のベルト層を具備しており、
    前記屈曲部は、前記ベルト層を構成するコードと前記タイヤ周方向となす角度が最も小さいベルト層の端部に対応するタイヤ幅方向位置の近傍に設けられている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記凸状部は、タイヤ幅方向において、前記屈曲部に位置しており、
    タイヤ周方向断面において、前記凸状部の最も突出する前記最大凸部は、幅方向溝の溝底に位置しており、
    前記蹴出側溝壁部に対向する踏込側溝壁部は、タイヤ周方向断面において、前記凸状部に対向するように凹む凹状部を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のタイヤ。
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