JP6131683B2 - 複列ころ軸受用の櫛型保持器及び複列ころ軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、複列ころ軸受に組み込まれる櫛型保持器、及び、櫛型保持器を備えている複列ころ軸受に関する。
工作機械において、主軸を回転可能に支持する軸受部には、高い加工精度を維持するために高い剛性が必要とされており、このために複列ころ軸受が用いられている。さらに近年では、主軸の高速回転化が要求されていることから、高速回転に対応することのできる複列ころ軸受が求められている。
図6に示すように、複列ころ軸受101は、内輪102、外輪103、及び、これら内輪102と外輪103との間に複列状態で配置された複数のころ104を備えている。そして、列毎に複数のころ104を保持する独立した保持器105を備えた複列ころ軸受101がある(例えば、特許文献1参照)。つまり、この複列ころ軸受101には、二つの保持器105,105が組み込まれている。各保持器105は、円環部110、及び、この円環部110の一側面111から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部120を備え、櫛型に構成されている。そして、櫛型保持器それぞれにおいて、周方向で隣り合う柱部120の間が、ころ105を保持するポケットとなる。また、二つの櫛型保持器105,105は、前記一側面111と軸方向反対側の面である背面114同士を接触可能として、軸受101内に組み込まれている。
櫛型保持器の場合、柱部が円環部から軸方向に突出している片持ち梁状であるため、柱部の先部側は、ある程度自由に変形できる。このため、例えば複列ころ軸受の回転に伴ってころの進み遅れが発生し、これによって柱部に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用しても、その力を逃がすことができ、破損が生じにくい。これに対して、一対の円環部の間が柱部により連結された構成である、かご型保持器の場合、柱部は両側の円環部に固定されており変形が拘束されることから、柱部に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用すると、その力を逃がし難く、櫛型保持器に比べて破損が生じやすい。
特開2012−102796号公報(図3参照)
工作機械の主軸の回転数は、低速回転から高速回転(例えば15000rpm)まで選択され、主軸は様々な回転数で回転する。そして、主軸の回転数の変化に応じて、複列ころ軸受及びこの軸受に組み込まれている櫛型保持器の回転数も変化する。
また、工作機械の場合、主軸の先端部側に大きなラジアル荷重が作用するのに対して、この主軸を支持する複列ころ軸受は、主軸の基部や中間部に設けられることから、図6に示すように、複列ころ軸受101において、一方側(左側)のころ列に作用する荷重と他方側(右側)のころ列に作用する荷重とが異なる。このため、一方側のころ列の回転数と他方側のころ列の回転数は僅かではあるが異なり、この結果、一方側(左側)のころ列用の保持器105と、他方側(右側)のころ列用の保持器105との回転数も異なる。
さらに、保持器105,105それぞれは回転すると(特に高速回転すると)遠心力によって変形するが、柱部120は片持ち梁状であるため径方向外側へ変形しやすく、これにより円環部110も変形(ねじれ変形)する。そして、前記のとおり、二つの保持器105,105は、背面114,114同士を接触可能として軸受101内に組み込まれていることから、前記変形(ねじれ変形)により、背面114,114同士はその径方向外側において相互押し合う態様で接触する。
一方側のころ列用の保持器105と他方側のころ列用の保持器105とが異なる回転数で回転しており、また、これら保持器105,105が高速で回転し遠心力が大きくなり、これに応じて背面114,114同士の押し合う力が大きくなると、背面114,114間の摺動抵抗は大きくなる。この場合、二つの保持器105,105それぞれは独立して回転し難くなり、また、発熱や摩耗の原因となってしまうおそれがある。
そこで、本発明は、各列で回転数が異なり、回転に伴う遠心力によって変形した場合であっても、背面同士の接触が原因となって独立して回転し難くなるのを防ぐことが可能となる櫛型保持器、及び、このような櫛型保持器を備えている複列ころ軸受を提供することを目的とする。
本発明は、内輪と外輪との間に複列状態で複数のころが配置される複列ころ軸受に組み込まれ、列毎に複数の前記ころを保持すると共に、背面同士を接触可能として設けられる櫛型保持器であって、環状の前記背面を有する円環部、及び、この円環部の前記背面と軸方向反対側である一側面から軸方向に延びて片持ち梁状となりかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、前記円環部の縦断面形状は、前記背面側のうち径方向外側が円弧形状であると共に、前記一側面側のうち径方向内側が円弧形状であり、前記円環部の縦断面形状は、前記背面側の径方向外側における前記円弧形状、及び前記一側面側の径方向内側における前記円弧形状を含んで構成された円又は楕円であることを特徴とする。
また、本発明は、内輪と外輪との間に複列状態で複数のころが配置される複列ころ軸受に組み込まれ、列毎に複数の前記ころを保持すると共に、背面同士を接触可能として設けられる櫛型保持器であって、環状の前記背面を有する円環部、及び、この円環部の前記背面と軸方向反対側である一側面から軸方向に延びて片持ち梁状となりかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、前記円環部の縦断面形状は、前記背面側のうち径方向外側が円弧形状であると共に、前記一側面側のうち径方向内側が円弧形状であり、前記円環部の縦断面形状は、前記背面側の径方向外側における前記円弧形状、及び前記一側面側の径方向内側における前記円弧形状を含んで構成されかつ長手方向が径方向となる長円であることを特徴とする。
本発明によれば、一方側のころ列用の櫛型保持器と他方側のころ列用の櫛型保持器とが異なる回転数で回転し、また、遠心力に起因する保持器全体の変形(ねじれ変形)が大きく、背面同士がその径方向外側において接触する場合であっても、各櫛型保持器の円環部の縦断面形状は、背面側のうち径方向外側が円弧形状であるため、この円弧形状の部分で接触することができる。このため、背面同士の接触面積を小さくすることができ、背面間の摺動抵抗が大きくなるのを防ぎ、櫛型保持器それぞれは独立して回転しやすくなる。
さらに、保持器全体の変形により円環部が変形(ねじれ変形)すると、一側面側では、その径方向内側が、ころの端面に接触するおそれがある。しかし、この一側面側のうち径方向内側が円弧形状であるため、ころの端面との接触を防ぐことが可能となる。
また、前記円環部の縦断面形状、円、楕円又は長円とすることで、円環部の縦断面形状に関して、背面側のうち径方向外側を円弧形状とし、かつ、一側面側のうち径方向内側を円弧形状とすることができる。
また、前記円環部及び前記柱部を含む部分における縦断面の図心位置は、当該円環部の縦断面の範囲内に存在しているのが好ましい。
円環部及び柱部を含む部分における前記変形は、おおよそ、当該部分における縦断面の図心を中心としたねじれ変形となる。そこで、この縦断面の図心位置を、円環部の縦断面の範囲内に存在させることにより、ねじれ変形の中心を、円環部のみの縦断面の中心にできるだけ近くすることができる。このため、ねじれ変形により円環部を当該円環部の縦断面の中心まわりに変位させやすくなり、これにより、二つの櫛型保持器は円環部の円弧形状の同士で接触する。
また、本発明は、内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に複列状態で配置される複数のころと、列毎に複数の前記ころを保持する二つの独立した保持器とを備え、前記保持器は、前記櫛型保持器である
本発明によれば、一方側のころ列用の櫛型保持器と他方側のころ列用の櫛型保持器とが異なる回転数で回転し、また、遠心力に起因する保持器全体の変形(ねじれ変形)が大きく、背面同士がその径方向外側において接触する場合であっても、各櫛型保持器の円環部の縦断面形状は、背面側のうち径方向外側が円弧形状であるため、この円弧形状の部分で接触することができる。このため、背面同士の接触面積を小さくすることができ、背面間の摺動抵抗が大きくなるのを防ぎ、櫛型保持器それぞれは独立して回転しやすくなる。
さらに、保持器全体の変形により円環部が変形(ねじれ変形)すると、一側面側では、その径方向内側が、ころの端面に接触するおそれがある。しかし、この一側面側のうち径方向内側が円弧形状であるため、ころの端面との接触を防ぐことが可能となる。
本発明の櫛型保持器及びこの櫛型保持器を備えている複列ころ軸受によれば、二つの櫛型保持器が、その背面同士の径方向外側において接触しようとすると、円弧形状の部分で接触するため、背面同士の接触面積を減らすことができ、背面間の摺動抵抗が大きくなるのを防ぐことができる。この結果、櫛型保持器それぞれは、独立して回転しやすくなる。
複列ころ軸受の縦断面図である。 保持器の斜視図である。 二つの保持器の断面図である。 遠心力により変形した保持器を模式的に示す断面図である。 保持器の円環部と柱部とを含む部分における縦断面図である。 従来の櫛型保持器を備えている複列ころ軸受の縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、複列ころ軸受1の縦断面図である。なお、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号(参照番号)を付し、重複する説明は省略する。
この複列ころ軸受1は、例えば、汎用旋盤、CNC旋盤、マシニングセンタ、フライス盤等の工作機械の主軸6を支持する軸受として使用され、高速回転する主軸6を高い剛性で支持することが可能である。
主軸6の直径は例えば50〜150ミリ程度であり、主軸6の最大回転数は10000〜15000rpmとなる。そして、主軸6は、低速回転する場合や、高速回転する場合があり、また、低速又は停止状態から高速回転状態(最大回転数)へと急加速する。
本実施形態の複列ころ軸受1は、内輪2と、外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に配置された複数のころ4と、これらころ4を保持する環状の保持器5,5とを備えている。ころ4は、複列状態(二列状態)で配置されており、保持器5,5それぞれは、列毎に独立して複数のころ4を保持している。つまり、この複列ころ軸受1には、独立した二つの保持器5,5が組み込まれている。ころ4の外周面は円筒形であり、この複列ころ軸受1は複列円筒ころ軸受である。
内輪2の外周面には、二列に配置されたころ4が転動する転動面2a,2bが形成されており、外輪3の内周面の一部が、二列のころ4が転動する転動面3a,3bとなる。そして、外輪3が工作機械の軸受ハウジング8の内周面に取り付けられており、内輪2に主軸6が挿入されている。この複列ころ軸受1はグリース潤滑されており、内輪2、外輪3、ころ4及び保持器5にはグリースが付着している。
一方側のころ列用の保持器5と他方側のころ列用の保持器5とは、複列ころ軸受1への取り付け方向が異なるが、同じものである。これら保持器5,5は、軸方向に並べて複列ころ軸受1に組み込まれており、各保持器5の軸方向に向く一側面11が、複列ころ軸受1の軸方向外側へ向くように配置され、保持器5,5の対向する環状の背面14,14同士が接触可能となる。そして、保持器5,5それぞれは独立して各ころ列と共に回転することができる。
図2は、保持器5(図1の右側の保持器5)の斜視図である。この保持器5は、櫛型保持器であり、円環形状である円環部10と、複数の柱部20とを備えている。複数の柱部20は、周方向に間隔(等間隔)をあけて設けられており、各柱部20は、円環部10の一側面11から軸方向に向かって延びて形成されている。このため、柱部20は、円環部10から突出した片持ち梁状となる。なお、一側面11の軸方向反対側の面(他側面)が前記背面14となる。背面14は、後に説明するが、環状の曲面(図3参照)により構成されており、軸方向の隣りに設置される別の保持器5の背面14と接触可能となる合わせ面となる。
保持器5は、樹脂製(合成樹脂製)であり、射出成型により製造され、円環部10と柱部20とは一体に成型されている。保持器5の材質は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、ポリアミドとすることができる。
柱部20は周方向一定間隔おきに設けられており、円環部10の一側面11側であって周方向隣り合う柱部20,20の間に、ころを保持するポケット7が形成されている。つまり、各ポケット7は、周方向に隣接する柱部20,20の互いに対向する対向面24,24と、円環部10の一側面11とで囲まれた空間からなる。各ポケット7は、軸方向外側に向かって開口しており、保持器5は全体として櫛歯形状となる。
図3は、二つの保持器5,5の断面図である。図3に示すように、円環部10の縦断面形状は円からなる。なお、縦断面とは、保持器5の軸方向の中心線を含む平面で切断した場合の断面である。二つの保持器5,5それぞれにおいて、円環部10は円形の縦断面形状を有していることから、この円環部10の縦断面において、一側面11側の径方向外側の部分E1及び径方向内側の部分E1が円弧形状となり、また、背面14側の径方向外側の部分E2及び径方向内側の部分E2が円弧形状となる。これら円弧形状は、円環部10の中心Coを中心とした形状である。
保持器5を軸方向一方側(柱部側)から見た場合に、見える範囲が一側面11であり、見えない範囲が背面14である。また、これら一側面11及び背面14それぞれにおいて、円環部10の中心Coよりも径方向外側の範囲が、前記径方向外側の部分(E1,E2)であり、中心Coよりも径方向内側の範囲が、前記径方向内側の部分(E1,E2)である。
図5は、保持器5のうち、円環部10と柱部20とを含む部分Pにおける縦断面図である。円環部10及び柱部20を含む部分Pにおける縦断面の図心Gの位置は、円環部10(のみ)の縦断面の範囲内に存在している。図5では、円環部10の縦断面の範囲をハッチにより示している。なお、図5は、次に説明する「変形」前の状態を示している。
本実施形態の複列ころ軸受1が用いられている工作機械では、主軸6(図1参照)は、低速回転から高速回転(例えば15000rpm)まで、様々な回転数で回転する。そして、この主軸6の回転数の変化に応じて、複列ころ軸受1及びこの軸受1に組み込まれている保持器5,5の回転数も変化する。
保持器5は、回転することで遠心力により径方向外側へ弾性的に変形するが、その回転数が高くなると保持器5に作用する遠心力が大きくなり、柱部20は径方向外側へ変形する。特に、柱部20は片持ち梁状であるため径方向外側へ変形しやすい。
これにより、径方向外側へ変形しようとする複数の柱部20と連続している円環部10は、これら柱部20の影響を受け、図4に示すように、円環部10の中心Co側の点(仮想点)まわりに変位する。つまり、円環部10には、仮想点まわりのねじれ変形が生じる。なお、図4は、遠心力により変形した保持器5,5を模式的に示す断面図であり、この図では、説明を容易とするために、実際よりも大きく柱部20が径方向外側へ変形した状態を示している。
また、工作機械の場合、主軸6の先端部側に切削工具等が取り付けられ、この先端部側に大きなラジアル荷重が作用するのに対して、この主軸6を支持する複列ころ軸受1は、主軸6の基部や中間部に設けられる。このため、図1に示す複列ころ軸受1において、一方側(左側)のころ列に作用する荷重と、他方側(右側)のころ列に作用する荷重とが異なり、一方側のころ列(左側)の回転数と他方側のころ列(右側)の回転数は、僅かではあるが異なる。この結果、一方側(左側)のころ列用の保持器5と、他方側(右側)のころ列用の保持器5との回転数も異なる。
そして、これら保持器5,5は回転すると(特に高速回転すると)、前記のとおり遠心力によって変形するが、柱部20は片持ち梁状であるため径方向外側へ変形しやすく、これにより、複数の柱部20と一体である円環部10も変形(ねじれ変形)する。そして、二つの保持器5,5は、背面14,14同士を接触可能として軸受1内に組み込まれていることから、前記変形(ねじれ変形)により、背面14同士はその径方向外側の部分において相互接触しようとする。
なお、図6に示す従来の保持器105の場合、一方側(左側)のころ列用の保持器105と、他方側(右側)のころ列用の保持器105とが異なる回転数で回転し、また、これら保持器105,105が高速で回転し遠心力が大きくなり、前記ねじれ変形によって、背面114,114の径方向外側の部分における押し合う力が大きくなると、背面114,114間の摺動抵抗は大きくなる。この場合、保持器105,105それぞれは独立して回転し難くなり、また、発熱や摩耗の原因となってしまうおそれがある。
しかし、本実施形態の保持器5(図1参照)によれば、一方側(左側)のころ列用の保持器5と他方側(右側)のころ列用の保持器5とが異なる回転数で回転し、また、遠心力に起因する各保持器5全体の変形(ねじれ変形)が大きくなり、背面14,14同士がその径方向外側の部分E1,E2(図4参照)において接触する場合であっても、円環部10の縦断面形状は、背面14側のうち径方向外側の部分E2が円弧形状であるため、この円弧形状の部分E2で接触する。このため、背面14,14同士の接触面積を小さくすることができ、背面14,14間の摺動抵抗が大きくなるのを防ぎ、保持器5,5それぞれは独立して回転しやすくなる。
また、図5において、遠心力に起因する、円環部10及び柱部20を含む部分Pにおける変形は、おおよそ、この部分Pにおける縦断面の図心G(図5参照)の位置を中心としたねじれ変形となる。そこで、この図心Gの位置を、円環部10の縦断面の範囲内に存在させることにより、ねじれ変形の中心を、できるだけ円環部10のみの縦断面の中心Coに近くすることができる。これにより、図4に示すように、ねじれ変形により円環部10を、円環部10の縦断面の中心Coまわりに変位させやすくなり、これにより、二つの保持器5,5は円環部10の円弧形状の部分E2,E2の同士で接触し、その接触面圧を小さくすることができる。
さらに、各保持器5のポケットに保持されているころ4の端面4aと、その保持器5の一側面11との間には、ころ4が自由に回転することができるように隙間dが設けられている(図3,図4参照)。
図6に示す従来の保持器105の場合、各保持器105の円環部110が前記のとおりねじれ変形すると、一側面111側の径方向内側が、ころ104の端面104aに接触するおそれがある。この場合、ころ104に抵抗を与え、複列ころ軸受101の回転性能を低下させてしまう。
しかし、本実施形態の保持器5の場合(図3、図4参照)、円環部10の縦断面形状は、前記のとおり背面14側のうち径方向外側(E2)が円弧形状である他に、一側面11側のうち径方向内側(E1)も円弧形状である。
このため、各保持器5の円環部110が、円環部10の中心Co側の点まわりにねじれ変形しても、一側面11が、ころ4の端面4aに接触するのを防ぐことが可能となる。
以上より、二つの保持器5,5それぞれは、独立して回転しやすくなり、ころ4に対して与える抵抗を抑え、高速回転に適した複列ころ軸受1となる。
また、本実施形態の保持器5は樹脂製であることから、金属製(例えば黄銅製)とするよりも、回転抵抗を小さくすることができ、低騒音であり、高速回転対応性能が高い。
なお、保持器には黄銅製(銅合金製)のものがあるが、特に高速回転の環境で用いられる場合、保持器の内周面、外周面及びポケット面等が、内輪、外輪及びころに接触することで摩耗し、摩耗粉が発生する。この摩耗粉が、複列ころ軸受の潤滑用のグリース中に混入すると、グリースの潤滑性能が劣化し、軸受の焼き付きや損傷の原因になるおそれがある。しかし、本実施形態の保持器5は樹脂製であるため、前記のような摩耗粉によるグリースの潤滑性能の劣化を防ぐことができる。つまり、樹脂製の保持器5は、黄銅製のものに比べて高速回転に適している。
また、保持器5は櫛型であり、柱部20は円環部10から軸方向に突出している片持ち梁状であるため、柱部20の先部側はある程度自由に変形できる。このため、複列ころ軸受1が回転し、ころ4の進み遅れによって保持器5に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用しても、その力を逃がすことができ、破損が生じにくい。
また、本発明の複列ころ軸受及び保持器は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、前記実施形態では、円環部10の縦断面形状を、一つの半径からなる円形状としたが、これ以外であってもよく、円環部10の縦断面形状は、楕円又は長円であってもよい。なお、この場合、縦断面において、径方向を長手方向とする楕円又は長円とするのが好ましい。この場合においても、円環部10の縦断面形状に関して、背面14側のうち径方向外側(E2)を円弧形状とし、かつ、一側面11側のうち径方向内側(E1)を円弧形状とすることができる。
また、複列ころ軸受1は、工作機械の主軸6の支持以外の用途であってもよい。
1:複列ころ軸受 2:内輪 3:外輪
4:ころ 10:円環部 11:一側面
14:背面 20:柱部 E1o:一側面側の径方向外側の部分
E1i:一側面側の径方向内側の部分 E2o:背面側の径方向外側の部分
E2i:背面側の径方向内側の部分 P:円環部と柱部とを含む部分 G:図心

Claims (4)

  1. 内輪と外輪との間に複列状態で複数のころが配置される複列ころ軸受に組み込まれ、列毎に複数の前記ころを保持すると共に、背面同士を接触可能として設けられる櫛型保持器であって、
    環状の前記背面を有する円環部、及び、この円環部の前記背面と軸方向反対側である一側面から軸方向に延びて片持ち梁状となりかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、
    前記円環部の縦断面形状は、前記背面側のうち径方向外側が円弧形状であると共に、前記一側面側のうち径方向内側が円弧形状であり、
    前記円環部の縦断面形状は、前記背面側の径方向外側における前記円弧形状、及び前記一側面側の径方向内側における前記円弧形状を含んで構成された円又は楕円であることを特徴とする複列ころ軸受用の櫛型保持器。
  2. 内輪と外輪との間に複列状態で複数のころが配置される複列ころ軸受に組み込まれ、列毎に複数の前記ころを保持すると共に、背面同士を接触可能として設けられる櫛型保持器であって、
    環状の前記背面を有する円環部、及び、この円環部の前記背面と軸方向反対側である一側面から軸方向に延びて片持ち梁状となりかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、
    前記円環部の縦断面形状は、前記背面側のうち径方向外側が円弧形状であると共に、前記一側面側のうち径方向内側が円弧形状であり、
    前記円環部の縦断面形状は、前記背面側の径方向外側における前記円弧形状、及び前記一側面側の径方向内側における前記円弧形状を含んで構成されかつ長手方向が径方向となる長円であることを特徴とする複列ころ軸受用の櫛型保持器。
  3. 前記円環部及び前記柱部を含む部分における縦断面の図心位置は、当該円環部の縦断面の範囲内に存在している請求項1又は2に記載の複列ころ軸受用の櫛型保持器。
  4. 内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に複列状態で配置される複数のころと、列毎に複数の前記ころを保持する二つの独立した保持器と、を備え、
    前記保持器は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の櫛型保持器であることを特徴とする複列ころ軸受。
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