JP6127554B2 - レーダ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ビート信号を周波数解析した結果に基づいて物標を検出するレーダ装置に関する。
従来、自動車に搭載されるレーダ装置であって、レーダ波を送受信する送受信部と、送受信部にて送受信したレーダ波を周波数解析した結果に従って物標を検出する物標検出部とを備えたレーダ装置が知られている。
この種のレーダ装置における送受信部は、時間軸に沿って周波数が漸増する上り区間、及び時間軸に沿って周波数が漸減する下り区間を1周期として変調した送信波(即ち、レーダ波)を繰り返し送信する送信部と、反射されたレーダ波(以下、「到来波」とも称す)を受信アンテナにて受信して増幅回路にて増幅し、その増幅した到来波と送信波とをミキサで混合してビート信号を生成する受信部とを備えている。
そして、物標検出部では、受信部で生成したビート信号を周波数解析した結果であるパワースペクトルにおいて周波数の強さが極大となる周波数各々を周波数ピーク(即ち、物標)として検出する。
なお、以下では、上述したレーダ装置を従来レーダ装置と称す。
特開2012−108049号公報
このような従来レーダ装置において、自車両の進行方向に向けてレーダ波を送信し、自車両の進行路上を走行している先行車両にてレーダ波が反射される状況を想定する。このような状況下における従来レーダ装置では、自車両(またはレーダ装置)と先行車両との間で反射を複数回繰り返した多重反射による到来波を受信することがある。
この多重反射による到来波に基づいて生成したビート信号(以下、「多重反射信号」と称す)には、先行車両にて最初に反射された到来波の周波数成分である基本周波数に加えて、その基本周波数の高調波成分を含む。
ところで、従来レーダ装置においては、ビート信号を生成する前に、受信アンテナにて受信した到来波を増幅回路にて増幅している。増幅回路としては、一般的には、トランジスタを有した高周波回路(増幅回路)が用いられる。
このため、レーダ波を反射する物標までの距離が近い場合、増幅回路によって増幅された到来波が飽和し、波形に歪みが生じる可能性がある。以下、歪みが生じた信号に基づくビート信号を「飽和信号」と称す。
このような飽和信号の波形はパルス状となるため、従来レーダ装置にて周波数解析した場合、基本周波数に加えて、当該基本周波数の高調波が検出される。
すなわち、従来レーダ装置においては、多重反射信号を周波数解析した結果と、飽和信号を周波数解析した結果とは、同様となる。このため、レーダ装置においては、物標の検出精度を向上させることを目的として、高調波に対応する周波数ピークが、多重反射に起因したものであるのか、増幅回路にて到来波が飽和することに起因したものであるのかを特定することが求められる。
しかしながら、従来レーダ装置では、高調波に対応する周波数ピークが、増幅回路にて到来波が飽和することに起因したものであるか否かを特定できないという課題があった。
そこで、本発明は、レーダ装置において、高調波に対応する周波数ピークが、増幅回路にて飽和した到来波が生成されることに起因したものであるか否かを特定することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明のレーダ装置は、送信手段と、受信手段と、I信号生成手段と、Q信号生成手段と、ピーク検出手段と、物標検出手段と、歪判定手段とを備えることを特徴とする。
本発明では、送信手段が、時間軸に沿って周波数を変調したレーダ波を、規定された周期ごとに送信し、受信手段が、送信手段にて送信されたレーダ波の反射波である到来波を受信して増幅器にて増幅する。
そして、I信号生成手段が、受信手段にて受信して増幅した到来波に、送信手段にて送信するレーダ波を混合して、ビート信号の実数成分であるI信号を生成する。また、Q信号生成手段が、受信手段にて受信して増幅した到来波に、送信手段にて送信するレーダ波の位相をπ/2[rad]シフトさせて混合し、ビート信号の虚数成分であるQ信号を生成する。
さらに、本発明では、ピーク検出手段が、I信号生成手段で生成されたI信号及びQ信号生成手段で生成されたQ信号を複素周波数解析し、その複素周波数解析の結果において極大となる周波数各々を周波数ピークとして検出する。物標検出手段が、ピーク検出手段にて検出した周波数ピークの各々を、レーダ波を反射した物標として検出する。
そして、本発明のレーダ装置では、歪判定手段が、ピーク検出手段にて複素周波数解析を実行した結果、正の周波数領域にて検出された周波数ピークと負の周波数領域にて検出された周波数ピークとについて、互いに対応する周波数の強さを照合した結果に基づいて、周波数ピークが、増幅器で信号波形が飽和することによる歪みである飽和歪であるか否かを少なくとも判定する。
つまり、多重反射の場合、レーダ装置が受信する到来波には、先行車両にて最初に反射された到来波(基本波に相当、以下、「基本到来波」と称す)と、自車両と先行車両との間で反射を複数回繰り返した到来波(2次高調波に相当、以下、「2次到来波」と称す)とが含まれる。これらの基本到来波と2次到来波とは互いに独立しているため、本発明のレーダ装置においては、基本到来波と2次到来波とのそれぞれは、I信号に対してQ信号の位相がπ/2[rad]遅延する。
したがって、多重反射の場合、基本到来波と2次到来波とのそれぞれについて、負の周波数領域における周波数の強さが抑制される。よって、多重反射信号の複素周波数解析を実行すると、負の周波数領域から、基本到来波と2次到来波とのそれぞれに対応する周波数ピークが検出されなくなる。
一方、増幅器にて増幅することで信号波形が飽和した場合、基本波の位相と2次高調波の位相とは、互いに連動する。このため、基本波のQ信号の位相は、基本波のI信号に対してπ/2[rad]シフト(遅延)し、2次高調波のQ信号の位相は、2次高調波のI信号に対してπ[rad]シフト(遅延)する。このような飽和信号における基本波は、負の周波数領域における周波数の強さが抑制されるもの、2次高調波は、負の周波数領域における周波数の強さが抑制されない。
したがって、本発明のレーダ装置にて飽和信号を複素周波数解析した場合、負の周波数領域から、基本波に対応する周波数ピークは検出されないものの、2次高調波に対応する周波数ピークは検出される。
なお、正の周波数領域については、多重反射信号を複素周波数解析した場合、及び飽和信号を複素周波数解析した場合の両方とも、基本波、2次高調波に対応する周波数ピークが検出される。
このような結果から、本発明のレーダ装置によれば、正の周波数領域及び負の周波数領域にて検出された周波数ピークについて、互いに対応する周波数の強さを照合することで、周波数ピークが飽和歪であるか否かを判定できる。そして、本発明のレーダ装置において、飽和歪であると判定された周波数ピークに対して物標として認識しないといった処理を実行すれば、物標の検出精度を向上させることができる。
上述したように、本発明のレーダ装置では、飽和信号を複素周波数解析すると、負の周波数領域から、基本波に対応する周波数ピークは検出されないものの、2次高調波に対応する周波数ピークは検出される。
したがって、本発明のレーダ装置では、高次ピーク判定手段が、正の周波数領域にて検出された周波数ピークの中に、特定の周波数を基本周波数とした場合の2次高調波に対応する周波数ピークである2次ピークが存在するか否かを判定しても良い。
この場合、本発明における歪判定手段は、高次ピーク判定手段での判定の結果、2次ピークが存在すれば、当該2次ピークに対応する負の周波数領域での周波数ピークの周波数の強さが、当該2次ピークの周波数の強さに対して、予め規定された規定比率以上であれば、当該2次ピークが飽和歪であるものと判定すれば良い。
このようなレーダ装置によれば、2次ピークが飽和歪であることを判定できる。特に、本発明のレーダ装置においては、判定精度を向上させることができる。
また、上述したように、本発明のレーダ装置では、多重反射信号を複素周波数解析すると、負の周波数領域からは、基本到来波と2次到来波とに対応する両方の周波数ピークが検出されない。
よって、本発明における歪判定手段は、高次ピーク判定手段での判定の結果、2次ピークが存在する場合、当該2次ピークに対応する負の周波数領域での周波数ピークの周波数の強さが、2次ピークの周波数の強さに対して、規定比率未満であれば、当該2次ピークが多重反射による周波数ピークであるものと判定しても良い。
このようなレーダ装置によれば、2次ピークが多重反射による周波数ピークであることを判定できる。特に、本発明のレーダ装置によれば、その判定精度を向上させることができる。
本発明が適用されたレーダ装置の概略構成を示すブロック図である。 レーダ装置にて実行される物標検出処理の処理手順を示すフローチャートである。 レーダ装置にて実行される歪判定処理の処理手順を示すフローチャートである。 多重反射が生じた場合の複素周波数解析の結果を示す図である。 増幅回路による信号の飽和が生じた場合の複素周波数解析の結果を示す図である。 増幅率の変更制御を説明する説明図である。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
〈全体構成〉
図1に示す走行支援システム1は、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、及びプリクラッシュセーフティシステム(PCS)を実現するシステムであり、レーダセンサ10と、走行支援電子制御装置(以下、「走行支援ECU」と称す)60とを備えている。
ここでいうアダプティブクルーズコントロールとは、先行車両と自車両との車間距離を適切な間隔に維持するように自車両を制御する周知の制御である。また、プリクラッシュセーフティシステムとは、自車両の進行路上に存在する障害物との衝突が回避不可能である場合に、自車両の制動力やシートベルトの拘束力を強化する周知の制御である。
レーダセンサ10は、FMCW方式のいわゆるミリ波レーダ装置として構成され、時間軸に沿って周波数変調したミリ波帯の連続波(以下、「レーダ波」と称す)を送受信した結果に基づいて、先行車両や路側物などの物標を認識する。これと共に、レーダセンサ10は、認識した物標に関する物標情報を作成して、走行支援ECU60に送出する。なお、物標情報には、物標との相対速度、及び物標の位置(距離,方位θ)が少なくとも含まれている。
走行支援ECU60は、少なくともROM、RAM、CPUを備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、少なくともLAN通信バスを介して通信を実施するためのバスコントローラを備えている。
この走行支援ECU60には、LAN通信バスを介して、図示しないブレーキ制御装置と、エンジン制御装置と、シートベルト制御装置とが少なくとも接続されている。
ブレーキ制御装置は、図示しない各種センサからの状態情報(操舵角、ヨーレート、ブレーキ状態など)を走行支援ECU60に送出する。さらに、ブレーキ制御装置は、走行支援ECU60からの目標加速度、ブレーキ要求等やブレーキ状態に従って、自車両に加わる制動力を制御する。
エンジン制御装置は、図示しない各種センサからの状態情報(即ち、車速、エンジン制御状態、アクセル操作状態)を走行支援ECU60に送出する。さらに、エンジン制御装置は、走行支援ECU60からの目標加速、フューエルカット要求等に基づく運転状態に応じて、内燃機関や駆動系での駆動力を制御する。
そして、シートベルト制御装置は、自車両と物標との衝突が回避不可能であることを示す緊急信号を走行支援ECU60から受け取ると、図示しないモータを駆動してシートベルトの拘束力を制御する。
走行支援ECU60は、図示しない警報ブザー、モニター、クルーズコントロールスイッチ、目標車間設定スイッチ等が接続されている。
すなわち、走行支援ECU60は、クルーズコントロールスイッチ、目標車間設定スイッチを介して入力された設定値、及びレーダセンサ10から受信した物標情報に基づいて、先行車両との車間距離を適切に保つための制御値を導出する。そして、導出した制御値としての目標加速度及びフューエルカット要求等をエンジン制御装置に対して出力し、制御値としての目標加速度及びブレーキ要求等をブレーキ制御装置に対して出力することで、アダプティブクルーズコントロールを実現する。
これと共に、走行支援ECU60は、レーダセンサ10から受信した物標情報に基づいて衝突可能性を求め、その衝突可能性が予め規定された規定値以上となると、自車両の制動力を増加させるようにブレーキ制御装置に対してブレーキ要求を出力し、シートベルト制御装置に対して緊急信号を出力することでプリクラッシュセーフティシステムを実現する。
〈レーダセンサ〉
レーダセンサ10は、発振器32と、増幅器33と、分配器34と、送信アンテナ36とを備えている。
発振器32は、時間に対して周波数が直線的に増加する上り区間、及び周波数が直線的に減少する下り区間を有するように変調されたミリ波帯の高周波信号を生成する。増幅器33は、発振器32が生成する高周波信号を増幅する。分配器34は、増幅器33の出力を送信信号Ssとローカル信号Lとに電力分配する。送信アンテナ36は、送信信号Ssに応じたレーダ波を放射する。
さらに、レーダセンサ10は、受信アンテナ部40と、増幅器44と、ミキサ46と、位相シフト回路48と、ミキサ50と、フィルタ52と、A/D変換器54と、信号処理部56とを備えている。
受信アンテナ部40は、アレイアンテナ41と、受信スイッチ42とを備えている。
アレイアンテナ41は、n個(nは、「2」以上の整数)のアンテナ素子Ariを予め規定された間隔で等間隔に配置したものである。受信スイッチ42は、アレイアンテナ41を構成するアンテナ素子Ariのいずれかを順次選択し、その選択されたアンテナ素子Ariからの受信信号Srを増幅器44に供給する。なお、本実施形態においては、アンテナ素子Ariのそれぞれに受信チャンネルCHiが割り当てられている。
増幅器44は、トランジスタを少なくとも有し、増幅率αを変更可能に構成された周知の増幅器である。増幅器44における増幅率αは、信号処理部56からの変更指令Socに基づいて変更される。
ミキサ46は、増幅器44にて増幅された受信信号Srに、分配器34にて分配されたローカル信号Lを混合して、ビート信号の実数成分であるI信号BTIを生成する。
位相シフト回路48は、信号の位相をシフトさせる周知の回路であり、分配器34からの出力(即ち、ローカル信号L)の位相を90°(π/2[rad])シフトさせる。具体的には、位相シフト回路48は、位相の遅延を位相のシフトとして実施する。
ミキサ50は、増幅器44にて増幅された受信信号Srに、位相シフト回路48にて位相がシフトされたシフトローカル信号LSを混合して、ビート信号の虚数成分であるQ信号BTQを生成する。
フィルタ52は、ミキサ46からのI信号BTI、及びミキサ50からのQ信号BTQそれぞれから不要な信号成分を除去する一対のフィルタである。A/D変換器54は、フィルタ52から出力されたI信号BTI、及びQ信号BTQそれぞれをサンプリングして、デジタルデータに変換する。
信号処理部56は、少なくとも、ROM、RAM、CPUを備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、さらに、A/D変換器54を介して取り込んだデータに対して、高速フーリエ変換(FFT)処理等を実行するための演算処理装置(例えば、DSP)を備えている。
この信号処理部56は、発振器32の起動,停止や、A/D変換器54を介したI信号BTIやQ信号BTQのサンプリングを制御すると共に、そのサンプリングデータを用いてレーダ波を反射した物標を検出する物標検出処理を実行する。
〈レーダセンサの動作概要〉
次に、レーダセンサ10の動作概要について説明する。
レーダセンサ10では、信号処理部56からの指令に従って発振器32が振動すると、その発振器32で生成され、増幅器33で増幅した高周波信号を、分配器34が電力分配することにより、送信信号Ss及びローカル信号Lを生成し、このうち送信信号Ssを送信アンテナ36を介してレーダ波として送信する。
そして、送信アンテナ36から送出され物標に反射されたレーダ波(即ち、反射波)は、受信アンテナ部40を構成する全てのアンテナ素子Ariにて受信される。そして、受信スイッチ42によって選択されている受信チャンネルCHiの受信信号Srのみが、増幅器44にて増幅された後、ミキサ46,及びミキサ50に供給される。
すると、ミキサ46では、この増幅された受信信号Srに分配器34からのローカル信号Lを混合してI信号BTI(即ち、ビート信号の実数成分)を生成する。一方、ミキサ50では、増幅された受信信号Srに、位相シフト回路48からのシフトローカル信号LSを混合して、Q信号BTQ(即ち、ビート信号の虚数成分)を生成する。
そして、これらI信号BTI及びQ信号BTQは、フィルタ52にて不要な信号成分が除去された後、A/D変換器54にてサンプリングされ、信号処理部56に取り込まれる。
なお、受信スイッチ42は、レーダ波の一変調周期の間に、全ての受信チャンネルCH1からCHiが所定回(例えば、1024回)ずつ選択されるよう切り替えられ、また、A/D変換器54は、この切り替えタイミングに同期してサンプリングを実行する。つまり、レーダ波の一変調周期の間に、各受信チャンネルCH1〜CHi毎かつレーダ波の上り、及び下り区間毎に所定回数(例えば、512回)分のサンプリングデータが蓄積されることになる。
〈物標検出処理〉
次に、レーダセンサ10の信号処理部56が実行する物標検出処理について説明する。
信号処理部56が実行する物標検出処理は、予め規定された規定時間間隔(即ち、測定サイクル)毎に起動される。
この物標検出処理は、起動されると、図2に示すように、まず、発振器32を起動してレーダ波の送信を開始する(S110)。続いて、A/D変換器54を介してI信号BTI及びQ信号BTQのサンプリング値を取得し(S120)、必要なだけサンプリング値を取得すると、発振器32を停止することにより、レーダ波の送信を停止する(S130)。
次に、S130にて取得したサンプリング値について複素周波数解析(本実施形態では、複素FFT処理)を実行し、受信チャンネルCH1〜CHN毎かつ上り/下り区間毎にビート信号BTのパワースペクトルを求める(S140)。このパワースペクトルは、ビート信号BTに含まれる周波数と、各周波数における強度とを表したものである。
続いて、上り区間、及び下り区間のそれぞれについて、パワースペクトル上に存在する各周波数ピークを検出する(S150)。S150にて実行する周波数ピークの検出では、まず、受信チャンネルCH毎に求められたパワースペクトルを、全ての受信チャンネルで相加平均した平均スペクトルを導出する。そして、平均スペクトルの中で、周波数の強度が、予め設定された判定閾値Thを超えるピーク点(即ち、極大値)に対応する周波数を周波数ピークとして検出する。これと共に、S150では、各周波数ピークにおける周波数の強度を検出する。
つまり、S150では、平均スペクトルにおいて、周波数の強さが極大となる周波数であって、かつ、判定閾値Th以上となる周波数の各々を周波数ピークとし、各周波数ピークにおける周波数の強さと共に検出する。
そして、S150にて検出した周波数ピークに基づいて、高調波に対応する周波数ピークが、多重反射に起因しているのか、増幅回路にて到来波が飽和していることに起因しているのかを判定する歪判定処理を実行する(S160)。なお、この歪判定処理の詳細は後述する。
そして、S140で求めたパワースペクトルに基づき、物標である可能性がある物標候補が存在する方位θを推定する方位解析を実行する(S170)。本実施形態では、方位解析の手法として、半値角の狭いアンテナのヌル点を利用し、パワースペクトルから、MUSICスペクトルを求める周知のMUSIC法を用いる。このMUSIC法によれば、MUSICスペクトルのピーク点が、物標候補が存在する方位θを表す指標となる。
さらに、上り区間から求められた周波数ピークと、下り区間から求められた周波数ピークとを、同一物標にてレーダ波を反射したとみなせるもの同士でマッチングして登録するペアマッチングを実行する(S180)。このペアマッチングでは、具体的には、まず、上り区間の周波数ピークと下り区間の周波数ピークとの電力差、及び角度差が予め規定された許容範囲内であるか否かを判定する。そして、その判定の結果、電力差及び角度差が共に、許容範囲内であれば、両周波数ピークをマッチングして、そのマッチングした周波数ピークのペアを登録する。この登録された周波数ピークのペアは、それぞれ、物標候補に対応する。
なお、本実施形態のペアマッチングでは、登録された周波数ピークのペアに対して、FMCW方式のレーダ装置における周知の手法により、レーダセンサ10から物標候補までの距離、物標候補と自車両との相対速度を導出する。さらに、本実施形態では、物標候補と自車両との相対速度、及び自車両の車速に基づいて、各物標候補の速度を導出すると共に、その物標候補が、停止物であるか移動物であるかを判定する。そして、導出された距離及び相対速度(速度)に、当該物標候補が存在する方位θを加えた情報を、物標情報として生成する。
さらに、各物標候補の確からしさを導出する履歴接続を実行する(S190)。この履歴接続は、今回の測定サイクルにて検出された物標候補(以下、「今サイクル候補」と称す)の物標情報(即ち、距離,速度,方位θなど)と、前回の測定サイクルにて検出された物標候補(以下、「前サイクル候補」と称す)の物標情報とに基づき、物標候補の物標としての確からしさを求める処理である。
履歴接続では、まず、前サイクル候補と今サイクル候補との全ての組み合わせ(以下、組合せペアと称す)を推定し、各組合せペアにおける前サイクル候補に対応する物標情報に基づいて予測値を導出する。この予測値は、前サイクル候補に対応する今回の測定サイクルでの物標候補が存在する位置(以下、予測位置とする)、及び速度(以下、予測速度とする)を含むものであり、例えば、カルマンフィルタなどを用いて導出することが考えられる。そして、導出した予測位置及び予測速度と、今サイクル候補から導出された位置及び速度とに基づいて、両者の位置差分及び速度差分を導出する。この位置差分とは、今サイクル候補の位置と予測位置との差分であり、速度差分とは、今サイクル候補の速度と予測速度との差分である。
さらに、履歴接続処理では、位置差分が、予め規定された基準距離より小さく、かつ速度差分が予め規定された上限速度差よりも小さい場合に、当該組合せペアを構成する周波数ペアは同一物標候補であるもの(即ち、履歴接続があるもの)として、前サイクル候補の履歴接続カウンタのカウント値に1を加算して、今サイクル候補の接続カウンタのカウント値とする。
続いて、物標としての確からしさが、規定閾値以上である物標候補を確定物標として認識する物体認識を実行する(S200)。このS200における物標認識では、具体的には、履歴接続カウンタのカウント値が規定閾値以上となった物標候補を確定物標として認識する。
さらに、物標認識にて確定物標として認識した物標に関する物標情報を走行支援ECU60に出力する(S210)。
その後、今回の測定サイクルにおける物標検出処理を終了し、次回の測定サイクルとなるまで待機する。
〈歪判定処理〉
次に、物標検出処理のS160にて実行される歪判定処理について説明する。
この歪判定処理は、起動されると、図3に示すように、まず、先のS140にて求めたパワースペクトルの正の周波数領域において、周波数ピークが2つ以上存在するか否かを判定する(S310)。このS310での判定の結果、正の周波数領域における周波数ピークが2つ以上存在していなければ(S310:NO)、本歪判定処理を終了して物標検出処理のS170へと移行する。
一方、S310での判定の結果、正の周波数領域における周波数ピークが2つ以上存在していれば(S310:YES)、正の周波数領域における全ての周波数ピークの中から、2つの周波数ピークを抽出して組み合わせ(以下、組合せピークと称す)を作成する(S320)。そして、作成した組合せピークを構成する2つの周波数ピークのうち、一方の周波数ピークが他方の周波数ピークの整数倍であるか否かを判定する(S330)。なお、ここでいう整数倍とは、整数倍として完全に一致することに加えて、整数倍とみなせる範囲内であることを含むものである。
このS330での判定の結果、組合せピークを構成する2つの周波数ピークが整数倍の関係であれば(S330:YES)、その2つの周波数ピークが整数倍であると判定された組合せピーク(以下、選択組合ピークと称す)に対応する高次回数カウンタを一つインクリメントする(S340)。なお、高次回数カウンタとは、当該選択組合せピークが、基本波に対応する周波数ピークと2次高調波に対応する周波数ピークとから構成されている測定サイクルの回数を計測するカウンタである。
続いて、選択組合せピークについて、当該選択組合ピークを構成するそれぞれの周波数ピーク及び周波数ピークの強度と対応付けて記憶する(S350)。
さらに、選択組合ピークに対応する高次回数カウンタのカウント値が規定回数以上であるか否かを判定する(S360)。この判定の結果、高次回数カウンタのカウント値が規定回数以上であれば(S360:YES)、詳しくは後述するS370へと移行する。
一方、S360での判定の結果、高次回数カウンタのカウント値が規定回数未満であれば(S360:NO)、S420へと移行する。なお、本実施形態の歪判定処理では、S330での判定の結果、組合せピークを構成する2つの周波数ピークが整数倍の関係でない場合にも(S330:NO)、S420へと移行する。
そのS420では、正の周波数領域における周波数ピーク全てについて組合せピークを作成し、少なくともS330のステップを実行したか否かを判定し、判定の結果、未処理の組合せピークが存在すれば(S420:NO)、S320へと戻る。そのS320では、新たな組合せピークを作成して、S330へと移行する。
なお、以下では、選択組合ピークにおける「基本波に対応する周波数ピーク」を1次ピークと称し、「2次高調波に対応する周波数ピーク」を2次ピークと称す。
高次回数カウンタのカウント値が規定回数以上である場合に移行するS370では、負の周波数領域において2次ピークに対応する周波数ピーク(以下、負の2次ピークと称す)の周波数の強度を取得する。さらに、S370にて取得した負の2次ピークの周波数の強度と、2次ピークの周波数の強度との関係を表す周波数強度関係を算出する(S380)。本実施形態における周波数強度関係とは、負の2次ピークにおける周波数の強度に対する、2次ピークの周波数の強度の比である。なお、周波数強度関係は、周波数の強度の比に限るものではなく、周波数の強度の差分であっても良い。
続いて、S380にて算出した周波数強度関係が、予め規定された規定値以上であるか否かを判定する(S390)。なお、本実施形態における規定値は、2次ピークが、多重反射に起因している場合の周波数強度関係の最大値として、実験などによって求められたものである。また、ここでいう多重反射とは、レーダセンサ10が搭載された自車両と先行車両との間でレーダ波が複数回(例えば「2」回)反射する現象であり、その複数回反射したレーダ波を受信することである。
すなわち、多重反射の場合にレーダセンサ10が受信する到来波は、先行車両にて最初に反射された到来波(基本波に相当、以下、「基本到来波」と称す)と、自車両と先行車両との間で反射を複数回繰り返した到来波(2次高調波に相当、以下、「2次到来波」と称す)とを含む。そして、これらの基本到来波と2次到来波とは互いに独立しているため、レーダセンサ10における基本到来波及び2次到来波それぞれに対応するQ信号BTQの位相は、I信号BTIに対してπ/2[rad]遅延する。
そして、多重反射の場合のビート信号(以下、多重反射ビート信号と称す)を複素周波数解析すると、図4に示すように、正の周波数領域からは、1次ピーク及び2次ピークが検出される。しかしながら、基本到来波と2次到来波とのそれぞれについて、負の周波数領域における周波数の強さが抑制されるため、負の周波数領域からは、1次ピークに対応する周波数ピーク及び2次ピークに対応する周波数ピーク(即ち、負の2次ピーク)は検出されない。
一方、増幅器44にて増幅することで信号波形が飽和した場合、基本波のQ信号BTQの位相は、基本波のI信号BTIに対してπ/2[rad]シフト(遅延)し、2次高調波のQ信号BTQの位相は、2次高調波のI信号BTIに対してπ[rad]シフト(遅延)する。
このように増幅器で増幅されることで飽和した信号波形に基づくビート信号(以下、飽和ビート信号と称す)では、基本波については、負の周波数領域における周波数の強さが抑制されるもの、2次高調波については、負の周波数領域における周波数の強さが抑制されない。
したがって、飽和ビート信号を複素周波数解析すると、図5に示すように、正の周波数領域から、1次ピーク及び2次ピークが検出され、負の周波数領域からは、1次ピークに対応する周波数ピークは検出されないものの、2次ピークに対応する周波数ピーク(即ち、負の2次ピーク)は検出される。
したがって、S390での判定の結果、周波数強度関係が規定値以上であれば(S390:YES)、2次ピークが、増幅器44での増幅により到来波が飽和したことに起因して発生しているものとし、増幅器44の増幅率αの変更量を表す低減値を導出する(S400)。S400での低減値の導出では、まず、図6に示すように、2次ピークの周波数の強度と判定閾値Thとの差分を導出する。そして、その差分に対して、0よりも大きく1未満に設定された倍率(例えば、「1/2」)を乗じることで低減値を導出する。
続いて、S400にて導出された低減値の分、増幅率αが低下するように、増幅器44に対して変更指令Socを出力する(S410)。この変更指令Socの出力により、増幅器44は、クリッピングの発生を抑制するように、低減値の分、増幅率αを低下させる。その後、S420へと進む。
なお、S390での判定の結果、周波数強度関係が規定値未満であれば(S390:NO)、2次ピークが、多重反射に起因して発生しているものとし、S400及びS410を実行することなく、S420へと進む。
そのS420では、正の周波数領域における周波数ピーク全てについて組合せピークを作成し、少なくともS330のステップを実行したか否かを判定し、判定の結果、未処理の組合せピークが存在すれば(S420:NO)、S320へと戻る。そのS320では、新たな組合せピークを作成して、S330へと移行する。
一方、S420での判定の結果、未処理の組合せピークが存在しなければ(S420:NO)、本歪判定処理を終了して、物標検出処理のS170へと移行する。
つまり、本実施形態の歪判定処理では、組合せピークについて、その組合せピークを構成する2つの周波数ピークが、規定回数の測定サイクルに渡って継続して整数倍である場合に、当該組合せピークが、基本波に対応する周波数ピーク(即ち、1次ピーク)と高調波に対応する周波数ピーク(即ち、2次ピーク)とからなるものとしている。
このように組合せピークが1次ピークおよび2次ピークによって構成されている場合、負の2次ピークにおける周波数の強度に対する、2次ピークの周波数の強度の比を周波数強度として導出する。
そして、周波数強度が規定値以上であれば、2次ピークが、増幅器44での増幅により到来波が飽和したことに起因して発生しているものとし、増幅率αが低下するように増幅器44に対して変更指令Socを出力する。増幅器44における増幅率αの低下量は、2次ピークの周波数の強度と判定閾値Thとの差に対して、「1/2」を乗じた値である。
一方、周波数強度関係が規定値未満であれば、2次ピークが、多重反射に起因して発生しているものとする。
[実施形態の効果]
以上説明したように、レーダセンサ10では、多重反射の場合、基本到来波と2次到来波とのそれぞれについて、負の周波数領域における周波数の強さが抑制されるため、負の周波数領域からは、1次ピーク及び2次ピークに対応する周波数ピークは検出されない。よって、2次ピークの発生要因が多重反射であれば、周波数強度関係が規定値未満となる。
一方、増幅器44にて増幅することで信号波形が飽和した場合、基本波については、負の周波数領域における周波数の強さが抑制されるもの、2次高調波については、負の周波数領域における周波数の強さが抑制されない。よって、2次ピークの発生要因が、増幅器44にて増幅することでの信号波形の飽和であれば、周波数強度関係が規定値以上となる。
これらのことから、レーダセンサ10によれば、2次ピークが、増幅器44での増幅により到来波が飽和したことに起因したもの(即ち、飽和歪)であるか、多重反射に起因したものであるのかを判定できる。特に、レーダセンサ10によれば、これらの判定精度を高いものとすることができる。
さらに、レーダセンサ10では、2次ピークの発生要因が、増幅器44にて増幅することによる信号波形の飽和であれば、増幅器44の増幅率αを低下させる。
このため、レーダセンサ10によれば、次回の測定サイクルにて、当該飽和歪による周波数ピークが検出されることを抑制できる。
特に、レーダセンサ10によれば、増幅器44における増幅率αの低下量を、2次ピークの周波数の強度と判定閾値Thとの差に対して、「1/2」を乗じた値としているため、増幅率αを必要以上に低下させることを防止できる。
なお、本実施形態の歪判定処理では、組合せピークを構成する2つの周波数ピークが整数倍となる継続回数が規定回数未満であれば、当該組合せピークが、基本波に対応する周波数ピークと高調波に対応する周波数ピークとからなるものとせず、歪判定処理におけるS370〜S410のステップを実行しない。このため、レーダセンサ10によれば、増幅率αを必要以上に低下することを防止できる。
この結果、レーダセンサ10によれば、次回以降の測定サイクルにて、本来検出されるべき周波数ピークが検出されなくなることを低減できる。
これらのことから、レーダセンサ10によれば、物標の検出精度を向上させることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態の歪判定処理におけるS320では、組合せピークを作成する際に組み合わせる周波数ピークの数を2つとしていたが、組合せピークを作成する際に組み合わせる周波数ピークの数は、これに限るものではない。すなわち、組合せピークを作成する際に組み合わせる周波数ピークの数は、2つ以上であれば、3つでも良いし、より高次の数であっても良い。
ただし、この場合、歪判定処理におけるS330では、組合せピークを構成する周波数ピークのそれぞれが整数倍の関係であるか否かを判定する必要がある。
また、図6などに表された判定閾値Thは、全周波数領域に渡って一律の値であったが、判定閾値Thの値はこれに限るものではなく、例えば、周波数が低いほど大きな値であり、周波数が高いほど小さな値となるように規定されていても良い。
なお、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略した態様も本発明の実施形態である。また、上記実施形態と変形例とを適宜組み合わせて構成される態様も本発明の実施形態である。また、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される発明の本質を逸脱しない限度において考え得るあらゆる態様も本発明の実施形態である。
上記実施形態の説明で用いる符号を特許請求の範囲にも適宜使用しているが、各請求項に係る発明の理解を容易にする目的で使用しており、各請求項に係る発明の技術的範囲を限定する意図ではない。
1…走行支援システム 10…レーダセンサ 32…発振器 33…増幅器 34…分配器 36…送信アンテナ 40…受信アンテナ部 41…アレイアンテナ 42…受信スイッチ 44…増幅器 46…ミキサ 48…位相シフト回路 50…ミキサ 52…フィルタ 54…A/D変換器 56…信号処理部 60…走行支援ECU

Claims (4)

  1. 時間軸に沿って周波数を変調したレーダ波を、規定された周期ごとに送信する送信手段(32,33,36)と、
    前記送信手段にて送信されたレーダ波の反射波である到来波を受信して増幅器(44)にて増幅する受信手段(40,44)と、
    前記受信手段にて受信して増幅した到来波に、前記送信手段にて送信するレーダ波を混合して、ビート信号の実数成分であるI信号を生成するI信号生成手段(34,46)と、
    前記受信手段にて受信して増幅した到来波に、前記送信手段にて送信するレーダ波の位相をπ/2[rad]シフトさせて混合し、ビート信号の虚数成分であるQ信号を生成するQ信号生成手段(34,48,50)と、
    前記I信号生成手段で生成されたI信号及び前記Q信号生成手段で生成されたQ信号を複素周波数解析し、その複素周波数解析の結果において極大となる周波数各々を周波数ピークとして検出するピーク検出手段(56,S140,S150)と、
    前記ピーク検出手段にて検出した周波数ピークの各々を、前記レーダ波を反射した物標として検出する物標検出手段(56,S170〜S200)と、
    前記ピーク検出手段にて複素周波数解析を実行した結果、正の周波数領域にて検出された周波数ピークと負の周波数領域にて検出された周波数ピークとについて、互いに対応する周波数の強さを照合した結果に基づいて、前記周波数ピークが、前記増幅器で信号波形が飽和することによる歪みである飽和歪であるか否かを少なくとも判定する歪判定手段(56,S160)と
    を備え
    前記歪判定手段は、
    前記正の周波数領域にて検出された周波数ピークの中に、特定の周波数を基本周波数とした場合の2次高調波に対応する周波数ピークである2次ピークが存在するか否かを判定する高次ピーク判定手段(56,S310〜S330)
    を備え、
    前記高次ピーク判定手段での判定の結果、前記2次ピークが存在する場合、当該2次ピークに対応する負の周波数領域での周波数ピークの周波数の強さが、当該2次ピークの周波数の強さに対して、予め規定された規定比率以上であれば、当該2次ピークが前記飽和歪であるものと判定することを特徴とするレーダ装置。
  2. 前記歪判定手段は、
    前記高次ピーク判定手段での判定の結果、前記2次ピークが存在する場合、当該2次ピークに対応する負の周波数領域での周波数ピークの周波数の強さが、前記2次ピークの周波数の強さに対して、前記規定比率未満であれば、当該2次ピークが多重反射による周波数ピークであるものと判定する
    ことを特徴とする請求項に記載のレーダ装置。
  3. 前記増幅器は、
    外部からの入力に従って、増幅率を変更可能に構成されており、
    前記歪判定手段での判定の結果、前記飽和歪による周波数ピークを検出した場合、前記増幅器によるクリッピングの発生が抑制されるように、前記増幅器の増幅率を低下させる増幅制御手段(56,S400,S410)
    を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーダ装置。
  4. 前記ピーク検出手段は、
    前記複素周波数解析の結果、周波数の強さが極大となる周波数であって、かつ、規定された判定閾値以上となる周波数の各々を前記周波数ピークとして検出し、
    前記増幅制御手段は、
    前記歪判定手段での判定の結果、前記飽和歪であると判定された周波数ピークの周波数の強さと前記判定閾値との差に対して、0よりも大きく1未満に設定された倍率を乗じた値を、前記増幅率を低下させる値とする
    ことを特徴とする請求項に記載のレーダ装置。
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