JP6125295B2 - モータ駆動装置及びその放電制御方法 - Google Patents
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Description
このようなモータ駆動装置には、インバータの入力側に直流電圧を平滑化する平滑コンデンサが設けられている。一般的に、モータの運転停止時には、バッテリの電力消費を抑えるために、バッテリとコンデンサとは接続が遮断される。しかしながら、このときコンデンサには電荷が蓄えられた状態とされているため、この電荷を速やかに放電する必要がある。
記憶部21には、第1スイッチングパターン、第2スイッチングパターン、第3スイッチングパターンの3つのスイッチングパターンが格納されている。第1から第3スイッチングパターンはいずれも、インバータ2の一相の高電圧側のスイッチング素子をオン、他の二相の低電圧側スイッチング素子をオンするとともにそれ以外のスイッチング素子をオフするというスイッチングパターンを各相についてそれぞれ設定したものである。
更に、記憶部21には、後述するロータ位置推定処理において用いられる各種初期値や比較値等が格納されている。
位置推定部24は、第1〜第3スイッチングパターンのそれぞれにおいて算出されたインダクタンスを用いて、ロータ位置を推定する。
上記接続の遮断検出については、例えば、主回路電圧を監視することにより行われる。また、上記通信媒体の一例としては、CAN(Controller Area Network)/LIN(Local Interconnect Network)等の無線通信であってもよいし、有線による通信であってもよい。
まず、コンデンサの両端電圧V0を電圧センサ11から取得し(ステップSA1)、取得した電圧V0を電圧Vに設定する(ステップSA2)。次に、記憶部21に記憶されているモータインダクタンスの最小値L0をインダクタンスLに設定する(ステップSA3)。続いて、電圧V、インダクタンスL、予め記憶部21に記憶されている目標電流値di0を用いて、電圧パルス幅を算出する(ステップSA4)。具体的には、電圧パルス幅dt0は、以下の(1)式を用いて算出される。
このように、初期インダクタンスLを最小値L0に、目標電流値di0を適正範囲の中間値に設定することで、モータ電流を適正範囲内とするパルス幅を算出できる確率を高めることができる。
一方、ステップSA5において、電圧パルス幅dt0が許容範囲内であると判定された場合には、第1スイッチングパターン(図3参照)において、電圧パルス幅dt0の電圧がモータ8に出力される(ステップSA6)。この結果、U相(+)からV相(−)、W相(−)に電流が流れ、このときのモータ電流が電流センサ12(図1参照)によって検出され、この検出電流di1が入力される(ステップSA7)。また、電圧印加後におけるコンデンサ両端電圧V1が電圧センサ11によって検出され、この検出値が入力される(ステップSA8)。
この結果、検出電流di1が位置推定可能範囲外であった場合には、ロータ位置推定が不可能であると判断し、位置推定処理を終了する。
この結果、検出電流di1が適正範囲外である場合には(ステップSA10において「NO」)、繰り返し回数が所定回数を超えたか否かを判定する(ステップSA11)。この結果、所定回数以下であれば、コンデンサ両端電圧VにV1を設定し(ステップA12)、ステップSA4に戻り、電圧パルス幅dt0の算出を再度行う。
ここで、dt0は、ステップSA4で算出された電圧パルス幅である。また、ここで算出されるインダクタンスL1は、電流が流れた巻線の合成インダクタンスとなる。
また、同様に、第3スイッチングパターンのインダクタンス算出処理においても、第2スイッチングパターンのインダクタンス算出処理におけるインダクタンスL2、コンデンサ両端電圧V2を流用することが可能である。
具体的には、ロータ位置推定部20によってロータ推定が正常に行われた場合には、放電制御部30は、推定したロータ位置に基づいてトルクが発生しにくい巻線に対して放電電流を流す。ロータ位置が推定された後の放電手法については、公知の手法を採用することができる。
例えば、トルクの発生しないモータの励磁用成分idのみに電流を流すよう制御を行う。また、モータの励磁用成分idのみでなく、トルクの発生するトルク用成分iqにもランダムに電流を流すことで放電を行うこととしてもよい。
これに対し、一方向の電流であれば、周波数を可聴域以上に設定することで、容易に騒音を低減させることが可能である。
そして、モータに流す電流によって発生するトルクT´が上記理論式で得られたトルクTに安全係数α(0<α≦1)を乗じた値よりも小さくなるような、すなわち、以下の(4)式を満たすようなモータ電流を流すこととする。
T´<T×α (4)
なお、騒音よりもトルクの発生を抑えることに重点を置く場合には、交番電流を流す方が好ましいといえる。
この場合、例えば、所定のスイッチング素子を所定の周波数でスイッチングすることにより、所定の巻線に対して断続的に電流を流すことが考えられる。この場合、上述したように、騒音の観点を重視するのであれば電流を一方向に、トルク抑制を重視するのであれば、交番電流を流すことが好ましい。
更に、異常判定がなされた場合であっても、モータが回転及び振動しない電流範囲において、平滑コンデンサ5の放電制御を行うことができる。
従って、このようなモータ8の回生電流による平滑コンデンサ5の充電を早期に検知し、平滑コンデンサ5の充電を停止させる必要がある。
図9に示すように、運転者によってキーがオフにされると、上位システムにより電動圧縮機作動停止指令が出力されるとともに、所定の時間遅延をもって圧縮機の主電源がオフされる。インバータ制御装置10は、上位システムから圧縮機作動停止指令を受信すると、インバータ2の作動を停止する。これにより、モータ8の回転数が徐々に低下する。続いて、所定の条件が満たされることにより、上位システムからインバータ制御装置10に放電制御指令が出力されると、インバータ制御装置10は平滑コンデンサ5の放電に関する制御を開始する。これにより、モータ8のロータ位置が推定され、推定されたロータ位置に基づく放電制御が放電制御部30によって実施される。これにより、所定のスイッチング素子を介してコンデンサ5の電流がモータ8に流れ、コンデンサ両端電圧が低下する。このとき、上述したようなモータ8の回生電流が発生しなければ、図9の点線のように、コンデンサ両端電圧が徐々に低下し、所定の電圧(ここでは、60V)まで低下したところで、放電制御が停止されることとなる。しかしながら、モータ8が逆回転することにより、回生電流が平滑コンデンサ5に流れる場合には、図9の実線のように、コンデンサ両端電圧が充電方向に反転する。そして、モータ電流が所定の閾値以上となったときにそのことが検知され、放電制御部30によって放電制御が停止され、全てのスイッチング素子が開放状態のまま維持される。その後は、自然放電により緩やかにコンデンサ両端電圧が低下する。
2 インバータ
3 直流電源
3a、3b 直流母線
5 平滑コンデンサ
8 モータ
10 インバータ制御装置
11 電圧センサ
12 電流センサ
20 ロータ位置推定部
21 記憶部
22 パルス幅算出部
23 インダクタンス算出部
24 位置推定部
30 放電制御部
S1u、S1v、S1w、S2u、S2v、S2w スイッチング素子
Claims (10)
- 直流電力を三相交流電力に変換してモータに供給するインバータと、前記インバータの入力側に設けられたコンデンサと、前記インバータを制御する制御手段と、モータ電流を検出するモータ電流検出手段とを備え、前記制御手段が、前記モータの運転停止後において前記モータのロータ位置を推定するロータ位置推定手段と、推定された該ロータ位置に基づいて前記コンデンサに蓄えられた電荷を放電する放電制御手段とを備えるモータ駆動装置であって、
前記ロータ位置推定手段は、
予め設定されている3つのスイッチングパターンの各々について、前記コンデンサの両端電圧の測定値と前記モータのインダクタンス推定値とを用いて、前記モータが回転及び振動しないような電圧パルス幅を算出するパルス幅算出手段と、
該スイッチングパターン毎に、前記パルス幅算出手段によって算出された電圧パルス幅で電圧を印加し、インダクタンスをそれぞれ算出するインダクタンス算出手段と、
前記インダクタンス算出手段によって算出された各前記スイッチングパターンにおけるインダクタンスを用いてロータ位置を推定する位置推定手段と
を備えるモータ駆動装置。 - 前記パルス幅算出手段は、各前記スイッチングパターンにおいて、決定したパルス幅の電圧を印加したときのモータ電流が、予め設定されている適正範囲に入るまで、前記電圧パルス幅を繰り返し算出し、
前記インダクタンス算出手段は、モータ電流が前記適正範囲に入ったときのコンデンサ両端電圧の測定値及びモータ電流の測定値を用いて、インダクタンスを算出する請求項1に記載のモータ駆動装置。 - 前記放電制御手段は、前記位置推定手段によって推定されたロータ位置に基づいて決定されるスイッチング素子を、所定のスイッチング周波数でスイッチングすることにより、モータ電流を一方向に流し、
前記所定のスイッチング周波数は、可聴域の周波数以上、かつ、可聴域の最小周波数の二倍以下の範囲に設定される請求項1または請求項2に記載のモータ駆動装置。 - 前記ロータ位置推定手段は、いずれかのスイッチングパターンにおいて、モータ電流がゼロであった場合、または、モータ電流が前記モータの回転及び振動しない最大許容電流に基づいて決定された第1上限値を超えた場合に、異常検出として、ロータ位置推定を行わない請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ駆動装置。
- 前記インダクタンス算出手段によって算出されたインダクタンスが予め設定されている許容範囲外であった場合に異常検出として、ロータ位置推定を行わない請求項2から請求項4のいずれかに記載のモータ駆動装置。
- 前記異常を検出した場合において、前記放電制御手段は、異常が検出されたスイッチングパターン以外のスイッチングパターンにおいて、モータが回転及び振動しない電流値で、かつ、所定のスイッチング周波数で、モータ電流を一方向に流す請求項4または請求項5に記載のモータ駆動装置。
- 所定のスイッチング周波数は、可聴域の周波数以上、かつ、可聴域の最小周波数の二倍以下の範囲に設定される請求項5に記載のモータ駆動装置。
- 前記放電制御手段は、放電制御を行っている期間であり、かつ、モータ電流が予め設定された閾値以上である場合に、放電制御を停止する請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ駆動装置。
- 直流電力を三相交流電力に変換してモータに供給するインバータと、前記インバータの電力入力側に設けられたコンデンサとを備えるモータ駆動装置に適用される前記コンデンサの放電制御方法であって、
前記インバータの一相の高電圧側のスイッチング素子をオン、他の二相の低電圧側スイッチング素子をオンするとともにそれ以外のスイッチング素子をオフするというスイッチングパターンを各相について順番に設定する工程と、
設定された前記スイッチングパターンについて、前記コンデンサの両端電圧の測定値と前記モータのインダクタンス推定値とを用いて、前記モータが回転及び振動しないような電圧パルス幅を算出する工程と、
設定された前記スイッチングパターンにおいて、算出した前記電圧パルス幅で電圧を印加し、インダクタンスをそれぞれ算出する工程と、
各前記スイッチングパターンにおいて算出したインダクタンスを用いて、ロータ位置を推定する工程と、
推定したロータ位置に基づいてモータ電流を流し、前記コンデンサに蓄えられた電荷の放電を行う工程と
を有するモータ駆動装置の放電制御方法。 - 1つ前に設定されたスイッチングパターンにおいてインダクタンスを算出したときの前記コンデンサの両端電圧及びインダクタンスを、次に設定されるスイッチングパターンにおける電圧パルス幅の算出工程で流用する請求項9に記載のモータ駆動装置の放電制御方法。
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