JP6124680B2 - 移動手摺の異常検出装置及び乗客コンベア - Google Patents
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Description
このような乗客コンベアにおける移動手摺の異常検出装置が例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1には、移動手摺を摺動案内する手摺ガイドの温度を測定し、この温度が所定の温度を超えた場合に異常を検出する方法が開示されている。また特許文献2には、移動手摺の表面温度と、移動手摺周辺の環境温度とを測定し、表面温度と環境温度との温度差から、移動手摺の走行状態が正常か否かを表す指標である移動手摺の走行抵抗値を算出する方法が開示されている。
即ち、本発明の一態様における移動手摺の異常検出装置は、乗客コンベアの運転に同期して循環移動する移動手摺の移動経路に設置され、異常発熱発生の可能性が高い高発熱箇所の温度を測定する第1温度センサと、上記移動手摺の移動経路に設置され、上記高発熱箇所に比べて異常発熱発生の可能性が低い低発熱箇所の温度を測定する第2温度センサと、移動手摺の走行中に上記第1温度センサで測定した温度と上記第2温度センサで測定した温度との温度差を元に、移動手摺における走行状態の異常を検出する異常検出部とを備えたことを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態1における移動手摺の異常検出装置を備えた乗客コンベアの全体構成を示す図である。図1において、乗客コンベアとしてのエスカレーター30は、建物内の上階と下階との間に架設されたトラス1に支えられており、このトラス1内には、エスカレーター30の基本的構成部分として、エスカレーター30を駆動する駆動機2と、駆動機2などの動作を制御することによってエスカレーター30を運転制御する制御装置3と、エスカレーター30の上階及び下階にそれぞれ設置される踏段スプロケット4とが配置されている。各踏段スプロケット4には、無端状の踏段チェーン5が巻き掛けられ、踏段チェーン5には、複数個の踏段6が無端状に連結されて係止されている。そして、一方の、本例では上階側の、踏段スプロケット4が駆動機2によって駆動されることで、踏段チェーン5が踏段スプロケット4間を循環し、踏段6がトラス1内を循環移動する。
また、移動手摺8の移動経路における帰路側下曲部14には、手摺長さ調整装置13が設けられ、移動手摺8の長さを調整できる構造になっている。尚、移動手摺8の移動経路において、トラス1内に隠れている側を帰路側と称し、乗客が把持する側を往路側と称する。
第1温度センサ21は、移動手摺8の移動経路上において、移動手摺8と手摺ガイド12との間の摺動摩擦の増大によって異常な発熱が生じる可能性が高い高発熱箇所(図1のA部)に設置される。この高発熱箇所は、本実施の形態1では、移動手摺8の移動経路における上階側の帰路側上曲部15に位置し、より詳しくは上階側における乗降部分に位置する。第1温度センサ21は、帰路側上曲部15の手摺ガイド12上に設置され、当該箇所の手摺ガイド12の非摺動側表面12aの温度を測定する。尚、非摺動側表面12aは、図2に示すように、手摺ガイド12において移動手摺8と摺動する上面12bの対向面に相当する。
よって第2温度センサ22は、このような低発熱箇所の手摺ガイド12上に設置され、当該箇所の手摺ガイド12の非摺動側表面12aの温度を測定する。尚、第2温度センサ22も第1温度センサ21と同様に設置され、第2温度センサ22の設置箇所の断面図も図2のようになる。また、以下の説明において図1では、エスカレーター30は上昇運転しているものとする。
図3は、実施の形態1における異常検出装置20の動作を示すフローチャートである。移動手摺8の異常検出装置20は、一定時間ごと、例えば1秒ごとにこの動作を行う。また図4は、第1温度センサ21で測定される第1測定温度、第2温度センサ22で測定される第2測定温度、及び、移動手摺8周辺の環境温度の各データ例の経時的変化を示した図である。図4に示す例において、時刻t0以前では、エスカレーター30は運転しておらず、かつ、移動手摺8周辺の環境温度についても安定した状態が長時間続いており、時刻t0でエスカレーター30の運転を開始したものとする。
エスカレーター30の運転を開始すると、図4に示すように、環境温度は変化なく安定していても、第1測定温度及び第2測定温度は、ともに徐々に上昇し、適当な時間が経過すると、第1測定温度及び第2測定温度は安定する。第1温度センサ21及び第2温度センサ22を設置した手摺ガイド12におけるこのような温度上昇は、移動手摺8と、移動手摺8に接触する部分との間における摺動摩擦による発熱に起因し、移動手摺8が異常なく正常に走行している場合においても生じる。エスカレーター30の運転が開始されてから適当な時間が経過すると、摺動摩擦による発熱と環境空間への放熱とが平衡する状態になるので、手摺ガイド12の温度は安定する。この例では、時刻t1にて、このような平衡状態に達し、現在時刻がt1であるとする。
次のステップS102において、異常検出部23の温度差演算部23bは、第1測定温度の第2測定温度に対する温度差を求め、これを測定温度差とする。図4の例では、現在時刻t1において、第1測定温度はh1であり、第2測定温度はh2である。よって、測定温度差はh1−h2となる。ここで測定温度差の求め方は、本実施形態のように第1測定温度から第2測定温度を減算することに限定されず、単に第1測定温度と第2測定温度との差を求めてその絶対値を取っても良い。
このように本実施の形態1によれば、環境温度の急激な変化が発生した場合でも、移動手摺8の異常検出に影響を与えることはない。
即ち、移動手摺8の異常検出装置20に通報、警告部27(図1)を設け、異常検出装置20にて移動手摺8の異常を検出した場合には、例えば保守管理会社等の遠隔監視盤へ異常発生を通報するようにしてもよい。また、エスカレーター30の本体に表示部28(図1)を設け、異常を検出した場合には、異常が発生した旨を表示するようにしてもよい。
図5に、本発明の実施の形態2における移動手摺8の異常検出装置20Aを備えた乗客コンベアとしてのエスカレーター30Aの全体構成を示す。上述した実施の形態1における異常検出装置20では、第1測定温度と第2測定温度との温度差に基づいて移動手摺8の異常を検出した。本実施の形態2の異常検出装置20Aでは、正常状態における移動手摺8の第1測定温度と第2測定温度との温度差を基準温度差とし、これを用いて移動手摺8の異常を検出するようにしたものである。
本実施の形態2におけるエスカレーター30Aの構成は、実施の形態1のエスカレーター30に対して記憶部24及び更新指令部25を追加した点、及び異常検出部23の機能を変更した点で相違し、その他の構成は実施の形態1のエスカレーター30の構成に同様である。したがって以下では、相違する構成部分についてのみ説明を行う。尚、本実施の形態2の異常検出装置20Aに備わる異常検出部について異常検出部23Aと符番する。
図6のステップS201及びステップS202の動作は、実施の形態1における図3に示すステップS101及びステップS102の動作に同じである。つまり、異常検出部23Aの温度取得部23aは、第1温度センサ21から第1測定温度を、第2温度センサ22から第2測定温度をそれぞれ取得し、異常検出部23Aの温度差演算部23bは、第1測定温度と第2測定温度との差を測定温度差として求める。
次のステップS204では、異常検出部23Aの異常判断部23cは、上記判定温度差が第2規定温度HBを超えているか否かを判定する。尚、第2規定温度HBは、エスカレーター30Aの仕様にかかわらず固定値としてもよいし、エスカレーター30Aの仕様に応じて決定される値としてもよい。この判定の結果、判定温度差が第2規定温度HBを超えている場合には、異常検出部23Aは、移動手摺8の走行状態異常と判断する。一方、判定温度差が第2規定温度HB以内であれば、異常ではないと判断する。
尚、基準温度差の更新処理を行っている間は、異常検出部23Aは、図6に示す異常検出処理を行わない。
図7のステップS301において、異常検出部23Aの更新処理部23dは、記憶部24に格納されている基準温度差値をゼロに更新する。
次のステップS302では、異常検出部23Aの温度取得部23aは、第1温度センサ21で測定した第1測定温度と、第2温度センサ22で測定した第2測定温度とを取得する。これらの温度取得は、一定時間ごと、例えば1秒ごとに行う。
次のステップS303では、異常検出部23Aの温度差演算部23bは、上記第1測定温度の上記第2測定温度に対する温度差を求め、これを測定温度差とする。
次のステップS304では、異常検出部23Aの更新処理部23dは、上記測定温度差が記憶部24に格納されている基準温度差よりも大きいか否かを判定する。測定温度差が基準温度差よりも大きい場合には、ステップS305において、更新処理部23dは記憶部24に格納されている基準温度差値を、測定温度差の値に書き替える。そして書き替えられた値が新たな基準温度差となる。
以上のように、記憶部24における基準温度差値の更新処理動作が実行される。
20,20A 異常検出装置、21 第1温度センサ、22 第2温度センサ、
23,23A 異常検出部、24 記憶部、25 更新指令部、
30,30A エスカレーター。
Claims (5)
- 乗客コンベアの運転に同期して循環移動する移動手摺の移動経路に設置され、異常発熱発生の可能性が高い高発熱箇所の温度を測定する第1温度センサと、
上記移動手摺の移動経路に設置され、上記高発熱箇所に比べて異常発熱発生の可能性が低い低発熱箇所の温度を測定する第2温度センサと、
移動手摺の走行中に上記第1温度センサで測定した温度と上記第2温度センサで測定した温度との温度差を元に、移動手摺における走行状態の異常を検出する異常検出部と、
を備え、
上記第1温度センサを設置する上記高発熱箇所は、移動手摺の移動経路における帰路側上曲部に含まれる箇所であり、
乗客コンベアの上昇運転時では、上記第2温度センサを設置する上記低発熱箇所は、移動手摺の移動経路における帰路側下曲部よりも上側箇所である、
ことを特徴とする移動手摺の異常検出装置。 - 乗客コンベアの運転に同期して循環移動する移動手摺の移動経路に設置され、異常発熱発生の可能性が高い高発熱箇所の温度を測定する第1温度センサと、
上記移動手摺の移動経路に設置され、上記高発熱箇所に比べて異常発熱発生の可能性が低い低発熱箇所の温度を測定する第2温度センサと、
移動手摺の走行中に上記第1温度センサで測定した温度と上記第2温度センサで測定した温度との温度差を元に、移動手摺における走行状態の異常を検出する異常検出部と、
を備え、
上記第1温度センサを設置する上記高発熱箇所は、移動手摺の移動経路における帰路側上曲部に含まれる箇所であり、
乗客コンベアの下降運転時では、第2温度センサを設置する上記低発熱箇所は、移動手摺の移動経路に設置される手摺駆動装置よりも下側箇所である、
ことを特徴とする移動手摺の異常検出装置。 - 上記異常検出部は、上記第1温度センサの測定温度と、上記第2温度センサの測定温度との温度差が第1規定温度を超えた状態で上記移動手摺の走行状態異常と判断する、請求項1又は2に記載の移動手摺の異常検出装置。
- 上記第1温度センサ及び上記第2温度センサは、上記高発熱箇所及び上記低発熱箇所における手摺ガイドの非摺動側表面に設置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動手摺の異常検出装置。
- 踏段の運転方向と同一方向に循環移動する移動手摺を備えた乗客コンベアであって、
請求項1から4のいずれか1項に記載の移動手摺の異常検出装置を備えたことを特徴とする乗客コンベア。
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