JP2008037601A - 移動手摺の滑り検知方法およびこの方法を採用した移動手摺の滑り検知装置 - Google Patents

移動手摺の滑り検知方法およびこの方法を採用した移動手摺の滑り検知装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008037601A
JP2008037601A JP2006215863A JP2006215863A JP2008037601A JP 2008037601 A JP2008037601 A JP 2008037601A JP 2006215863 A JP2006215863 A JP 2006215863A JP 2006215863 A JP2006215863 A JP 2006215863A JP 2008037601 A JP2008037601 A JP 2008037601A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
moving handrail
value
traveling speed
speed
slip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006215863A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Tanakadate
聡 田中舘
Tetsuya Kanai
哲也 金井
Kiyoshi Naganuma
清 長沼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Building Systems Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Building Systems Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Building Systems Co Ltd filed Critical Hitachi Building Systems Co Ltd
Priority to JP2006215863A priority Critical patent/JP2008037601A/ja
Publication of JP2008037601A publication Critical patent/JP2008037601A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Escalators And Moving Walkways (AREA)

Abstract

【課題】乗客コンベア運転時における複数のローラに対する移動手摺の滑りの検知精度を向上させることができる移動手摺の滑り検知方法、および、この方法を採用した移動手摺の滑りを検知する作業を自動化することができる移動手摺の滑り検知装置の提供。
【解決手段】エスカレータ1の運転時に移動手摺12の走行速度を測定する速度検出器31と、移動手摺12の表面温度および環境温度を測定する温度センサ32,33と、コンピュータ34とを備えている。コンピュータ34は表面温度および環境温度を基に、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算し、その走行抵抗の算出値を基に移動手摺の正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算し、走行速度の測定値と境界値とを比較して測定値が境界値以下の場合に移動手摺12と駆動ローラ13〜15、従動ローラ16〜18との間に滑りが生じていると判定するように設定されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、駆動源から移動手摺へ動力を伝達する手段として、移動手摺を挟圧する複数のローラを備えている乗客コンベアに適用され、複数のローラに対する移動手摺の滑りを検知する移動手摺の滑り検知方法、およびこの方法を採用した移動手摺の滑り検知装置に関する。
一般に、乗客コンベアは、複数の踏段、複数のパレット(踏板)、またはゴムベルト(以下、これらを「踏段等」という)が無端状に連結されたものを備えている。踏段等の軌道の両側方には欄干が立設されていて、それらの欄干の縁に沿って移動手摺が循環している。移動手摺を駆動する手段は、移動手摺を挟圧する複数のローラを踏含んでいる。これらの複数のローラは、乗客コンベアのトラス内において、乗客コンベアの機械室に設置された駆動機と、スプロケットやチェーンを介して結合している。つまり、駆動機から出力された動力がスプロケットやチェーンを介して複数のローラに伝達されると、複数のローラと移動手摺との間の摩擦によって複数のローラの回転力が移動手摺に伝達され、この結果、移動手摺が走行(循環)することになる。
このようにして駆動される移動手摺の走行速度は、踏段等に乗った乗客が移動手摺を握ることで姿勢を安定させることができるように、踏段等の走行速度とほぼ同じ走行速度に設定される。しかし、移動手摺の帆布やローラ表面の磨耗、および、移動手摺やローラに付着した磨耗粉に起因して、すなわち移動手摺やローラの経年劣化に起因して移動手摺の走行抵抗が変化し、これによって複数のローラと移動手摺との間の摩擦力が走行抵抗よりも小さくなると、複数のローラに対する移動手摺の滑りが生じて移動手摺の走行速度が踏段等の走行速度よりも遅くなる。したがって、乗客コンベアは、複数のローラの走行速度と移動手摺の走行速度とがほぼ同じになるように、管理されている。
特許文献1には、複数のローラの走行速度と移動手摺の走行速度がほぼ同じになるように管理するために使用する装置として、移動手摺の走行抵抗を測定する走行抵抗測定装置が開示されている。この走行抵抗測定装置は、複数のローラによる挟圧から解放された状態の移動手摺を牽引するのに必要な力を、走行抵抗として測定する装置である。この走行抵抗測定装置で測定された走行抵抗が過大であった場合には、その走行抵抗を減少させるための何らかの処置が行われる。
特開2000−44159公報
前述の走行抵抗測定装置で測定される走行抵抗は、複数のローラによる挟圧から解放された状態の移動手摺を牽引するのに必要な力の測定値であり、乗客コンベアの運転時の走行抵抗とは異なるものである。乗客コンベアの運転時の走行抵抗の代わりに、前述の走行抵抗測定装置で測定された走行抵抗を用いて、複数のローラに対する移動手摺の滑りを検知することは可能であるが、移動手摺の滑りは乗客コンベアの運転時の移動手摺の走行抵抗と複数のローラと移動手摺との間の摩擦力との大小関係によって生じるので、その滑りを検知する精度は十分とはいえない。
本発明の目的は、乗客コンベアの運転時における複数のローラに対する移動手摺の滑りの検知精度を向上させることができる移動手摺の滑り検知方法、および、その方法を採用して行う移動手摺の滑りを検知する作業を自動化することができる移動手摺の滑り検知装置を提供することにある。
〔1〕 本発明の移動手摺の滑り検知方法は、駆動源から移動手摺に動力を伝達する手段として、移動手摺を挟圧する複数のローラを備えている乗客コンベアに対して適用される方法であって、前記乗客コンベアの運転時の前記移動手摺の走行速度を測定する第1工程と、前記乗客コンベアの運転時の前記移動手摺の走行抵抗の変化に関係する物理量を測定する第2工程と、この第2工程で得られた物理量を基に前記乗客コンベアの運転時の前記移動手摺の走行抵抗を計算する第3工程と、この第3工程で得られた走行抵抗の算出値を基に正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算する第4工程と、前記第1工程で得られた走行速度の測定値と、前記第4工程で得られた境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、前記複数のローラに対する前記移動手摺の滑りが生じていると判定する第5工程とを含んでいることを特徴とする。
このように構成された移動手摺の滑りを検知する方法では、第1工程で乗客コンベアの運転時の移動手摺の走行速度を測定し、第2〜第4工程で移動手摺の正常な走行速度と異常な走行速度との境界値を計算する。そして、第5工程で、第1工程で得られた走行速度の測定値と、第4工程で得られた境界値とを比較し、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、複数のローラに対する移動手摺の滑りが生じていると判定する。つまり、第5工程で移動手摺と複数のローラとの間に滑りが生じていると判定したことが、複数のローラに対する移動手摺の滑りを検知したことになる。
このようにして移動手摺の滑りを検知する際、乗客コンベアの運転時の移動手摺の走行抵抗の変化に関係する物理量を測定し(第2工程)、次に、測定された物理量を基に乗客コンベアの運転時の移動手摺の走行抵抗を計算する(第3工程)。つまり、移動手摺と複数のローラとの間の滑りを、乗客コンベアの運転時の移動手摺の走行抵抗を用いて検知している。これにより、複数のローラに対する移動手摺の滑りを検知する精度を向上させることができる。
〔2〕 本発明の移動手摺の滑り検知方法は、「〔1〕」記載の発明において、走行速度の測定値と、境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値よりも大きく別の境界値以下の場合に、前記複数のローラに対する前記移動手摺の滑りの兆候があると判定する第6工程を含むことを特徴とする。
〔3〕 本発明の移動手摺の滑り検知装置は、駆動源から移動手摺に動力を伝達する手段として、移動手摺を挟圧する複数のローラを備えている乗客コンベアに対して使用される装置であって、前記乗客コンベアの運転時に前記移動手摺の走行速度を測定する速度測定手段と、前記乗客コンベアの運転時に前記移動手摺の走行抵抗の変化に関係する物理量を測定する抵抗関係値測定手段と、この抵抗関係値測定手段により測定された物理量を基に、前記乗客コンベアの運転時の前記移動手摺の走行抵抗を計算する走行抵抗計算手段と、この走行抵抗計算手段により算出された走行抵抗を基に、移動手摺の正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算する境界速度計算手段と、前記速度測定手段により得られた走行速度の測定値と、前記境界速度計算手段により得られた境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、前記複数のローラに対する前記移動手摺の滑りが生じていると判定する滑り判定手段とを備えていることを特徴とする。
このように構成された移動手摺の滑り検知装置は、速度測定手段によって乗客コンベアの運転時の移動手摺の走行速度を測定し、抵抗関係値測定手段と走行抵抗計算手段と境界速度計算手段とによって移動手摺の正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算する。そして、滑り判定手段によって、速度測定手段から得られた走行速度の測定値と、境界速度計算手段により得られた境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、複数のローラに対する移動手摺の滑りが生じていると判定する。これにより、移動手摺の滑り検知方法を採用して行う移動手摺の滑りを検知する作業を、自動化することができる。
〔4〕 本発明の移動手摺の滑り検知装置は、「〔3〕」記載の発明において、前記境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値を計算する兆候速度計算手段と、走行速度の測定値と境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値よりも大きく別の境界値以下の場合に、前記複数のローラに対する前記移動手摺の滑りの兆候があると判定する兆候判定手段とを備えていることを特徴とする。
本発明の移動手摺の滑り検知方法を用いれば、前述したように複数のローラに対する移動手摺の滑りを検知する精度を向上させることができる。これにより、移動手摺の走行速度の管理に貢献できる。
本発明の移動手摺の滑り検知装置を使用すれば、移動手摺の滑りを検知するための作業を、本発明の移動手摺の滑りの検知方法を採用して行う場合に、その作業を自動化することができる。これにより、移動手摺の滑りを検知する作業の効率化、および移動手摺の滑りを検知する精度の安定化に貢献できる。
図1は本発明の移動手摺の滑り検知方法が適用される乗客コンベアの一例であるエスカレータを示す図である。
この図1に示されたエスカレータ1は、建物内の上梁3と下梁4との間に鋼材で組み立てられたトラス2を備えている。このトラス2内の上端には、駆動機5と、この駆動機5から駆動チェーン6により動力を伝達されて踏段用スプロケット7とが設けられている。踏段用スプロケット7には、エスカレータ1の傾斜に沿って配置された無端状の踏段用チェーン8が巻き掛けられている。この踏段用チェーン8には、エスカレータ1の傾斜に沿って縦列に複数の踏段9が係止されている。これらの踏段9の軌道の左右両側方には欄干10が立設されている。各欄干10の縁には、ガイドレール11が設けられている。各ガイドレール11には、無端状の移動手摺12が摺動可能に装着されている。
移動手摺12の駆動源は前記駆動機5である。この駆動機5から移動手摺12に動力を伝達する手段は、移動手摺12を挟圧する複数のローラ、すなわち駆動ローラ13〜15と従動ローラ16〜18を含んでいる。駆動ローラ13〜15のそれぞれにはスプロケットが一体に設けられている。踏段用スプロケット7には同軸の移動手摺用スプロケット19が設けられていて、この移動手摺用スプロケット19と、駆動ローラ13〜15のそれぞれと一体のスプロケットとの間に、移動手摺用チェーン20,21およびスプロケット22が介在している。
このように構成されたエスカレータ1では、駆動機5から踏段用スプロケット7に駆動チェーン6を介して動力が伝達され、これにより踏段用スプロケット7が踏段用チェーン8を循環させながら回転する。踏段用チェーン8には複数の踏段9が係止されているので、踏段用チェーン8の循環に伴って、複数の踏段9が循環する。
一方、踏段用スプロケット7が回転すると、この踏段用スプロケット7とともに移動手摺用スプロケット19も回転する。この移動手摺用スプロケット19の回転は、移動手摺用チェーン20を介して駆動ローラ13〜15に伝達される。駆動ローラ13〜15と従動ローラ16〜18とは移動手摺12を挟圧しているので、駆動ローラ13〜15に伝達された回転は、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18と移動手摺12との間に生じる摩擦によって、移動手摺12に伝達される。これにより、移動手摺12が欄干10の縁に沿って循環する。つまり、踏段9の循環と移動手摺12の循環とが並行して行われる。
移動手摺12を握った乗客が踏段9の上で姿勢を安定させるためには、踏段9と移動手摺とを同期させて、すなわちほぼ同じ走行速度で、循環させる必要がある。このため、踏段9の走行速度と移動手摺12の走行速度がほぼ同じになるように、踏段用スプロケット7の径寸法と、駆動ローラ13〜15の径寸法と、これら駆動ローラ13〜15のそれぞれと一体に設けられるスプロケットの径寸法と、移動手摺用スプロケット19およびスプロケット22の径寸法との大小関係が、設定されている。
<第1実施形態>
本発明の移動手摺の滑り検知方法の第1実施形態は、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行速度を測定する第1工程と、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗の変化に関係する物理量、例えば、移動手摺12の表面温度および環境温度を測定する第2工程と、この第2工程で得られた表面温度の測定値および環境温度の測定値を基にエスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する第3工程と、この第3工程で得られた走行抵抗の算出値を基に正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算する第4工程と、第1工程で得られた走行速度の測定値と、第4工程で算出された境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りが生じていると判定する第5工程と、走行速度の測定値と境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値よりも大きく別の境界値以下の場合に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候があると判定する第6工程とを含んでいる。
図2は本発明の移動手摺の滑り検知装置の第1実施形態を示す図、図3は移動手摺の表面温度に対する走行抵抗の特性を示す図、図4は正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値の、移動手摺の走行抵抗に対する特性を示す図である。
図2における滑り検知装置30が滑り検知装置の第1実施形態である。この滑り検知装置30は、エスカレータ1の運転時に移動手摺12の走行速度を測定する速度測定手段である速度検出器31と、エスカレータ1の運転時に移動手摺12の走行抵抗に関係する物理量を測定する抵抗関係値測定手段、すなわち、移動手摺12の表面温度および環境温度のそれぞれを測定する表面温度センサ32および環境温度センサ33とを備えている。表面温度センサ32および環境温度センサ33は、例えば非接触型の放射温度計である。
上昇運転されるエスカレータ1の場合、欄干10の上部ターミナル部10aに沿って設けられたガイドレール11の部分と、矢印P方向へ循環する移動手摺12との間の摩擦力が他の部分よりも大きくなるため、移動手摺12とガイドレール11の摩擦熱は、上部ターミナル部10aの下側部分を通過した直後に最大になる。表面温度センサ32は、摩擦熱が最大になる個所での移動手摺12の表面温度を測定できるように、上部ターミナル部10aの下側部分の近傍、および、下部ターミナル部10bの下側部分の近傍に設置されている。図2では上部ターミナル部10aの下側部分の近傍に表面温度センサ32が設置された場合を簡略化して示してある。
なお、下降運転されるエスカレータ1の場合には、上昇運転されるエスカレータ1の場合と同様の理由で、移動手摺12とガイドレール11の摩擦熱が、下部ターミナル部10bの下側部分を通過した直後に最大になるため、下部ターミナル部10bの下側部分の近傍に表面温度センサ32が設置されることになる。
滑り検知装置30は、速度検出器31からの走行速度信号、表面温度センサ32からの表面温度信号、および、環境温度センサ33からの環境温度信号に応じて演算処理を行うためのコンピュータ34を備えている。
図2における38は、速度検出器31、表面温度センサ32および環境温度センサ33とコンピュータ34との間に介在するA/D変換器である。速度検出器31により出力されるアナログ信号からなる走行速度信号、表面温度センサ32により出力されるアナログ信号からなる表面温度信号、および、環境温度センサ33により出力されるアナログ信号からなる環境温度信号のそれぞれを、コンピュータ34で処理可能なデジタル信号に変換するものである。
コンピュータ34は、表面温度センサ32により測定された表面温度Tと、環境温度センサ33により測定された環境温度とを基に、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する走行抵抗計算手段として機能するように予め設定されている。つまり、コンピュータ34の記憶部36には、図3に示される関数A,A1,A2を用いた走行抵抗の計算をコンピュータ34のCPU35に行わせるための走行抵抗計算プログラムが予め記憶されている。関数Aは、環境温度が標準温度の状態での表面温度に対する走行抵抗の特性を示している。関数A1は、環境温度が標準温度でない場合の走行抵抗の補正値の上限を示している。関数A2は、環境温度が標準温度でない場合の走行抵抗の補正値の下限を示している。なお、記憶部36には、複数種類のエスカレータの仕様(階高、移動手摺の種類、ターミナル部の形状、ガイドレールの形状など)それぞれに対応する複数種類の関数A,A1,A2の組合せが予め保存されている。
コンピュータ34は、自身の走行抵抗計算手段としての機能により得られた走行抵抗の算出値Rを基に、移動手摺12の正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値Vを計算する境界速度計算手段として機能するように予め設定されている。つまり、記憶部36には、図4に示される関数Bを用いた走行速度(境界値V)の計算をCPU35に行わせるための境界速度計算プログラムが予め記憶されている。関数Bは、走行抵抗の算出値Rに対する走行速度の境界値Vの特性を示す関数である。この関数Bは、試験的に設定した異なる複数の走行抵抗値のそれぞれにおける走行速度の測定値を基につくられている。
コンピュータ34は、速度検出器31から得られた走行速度の測定値と、自身の境界速度計算手段としての機能により得られた境界値Vとを比較して、走行速度の測定値が境界値V以下の場合に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りが生じていると判定する滑り判定手段として機能するように予め設定されている。つまり、記憶部36には、走行速度の測定値と境界値Vとを比較して、走行速度の測定値が境界値V以下の場合に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りが生じていると判定することをCPU35に行わせるための滑り判定プログラムが予め記憶されている。
図4において、Xは境界値V以下、すなわち異常に遅い走行速度の領域(以下「異常領域」という)である。また、同図4において、Yは境界値Vよりも速い走行速度の領域、すなわち正常な走行速度の領域(以下「正常領域」という)である。つまり、滑り判定手段として機能したコンピュータ34は、自身の走行抵抗計算手段としての機能により得られた走行抵抗の算出値Rと、速度検出器31から得られた走行速度の測定値とを結ぶ座標上の点が、異常領域Xに含まれるものである場合が、走行速度の測定値が境界値V以下の場合であり、この場合に駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りが生じていると判定されることになる。
コンピュータ34は、速度検出器31から得られた走行速度の測定値と、関数Bよりも所定値だけ大きな値をとる関数C上の値(別の境界値V1)とを比較して、走行速度の測定値が別の境界値V1以下のときに、移動手摺12に滑りの兆候があると判定する兆候判定手段として機能するように予め設定されている。つまり、記憶部36には、この関数Cを用いた別の境界値V1の計算をCPU35に行わせるための兆候速度計算プログラムと、速度検出器31により測定された走行速度が別の境界値V1以下の場合に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候があるという判定をCPU35に行わせるための兆候判定プログラムとが予め記憶されている。
コンピュータ34には表示部37が接続されていて、コンピュータ34が表示制御手段として機能するように予め設定されている。つまり、記憶部36には、滑り判定手段による判定の結果や兆候判定手段による判定の結果が表示部37に表示されるように、CPU35に表示部37の制御を行わせるための表示制御プログラムが予め記憶されている。
なお、第1実施形態では、コンピュータ34および表示部37としてノートパソコンが採用されている。このノートパソコンは、滑りを検知する作業を行うときに、A/D変換器38を介して速度検出器31、表面温度センサ32および環境温度センサ33に接続される。
このように構成された滑り検知装置30、すなわち滑り検知装置の第1実施形態の動作を、滑り検知方法の第1実施形態の各工程と照らし合わせながら説明する。
エスカレータ1の上昇運転中、速度検出器31は移動手摺12の走行速度を測定して、その測定値を示す走行速度信号(アナログ信号)を出力する(第1工程)。
これと並行して、表面温度センサ32は移動手摺12の表面温度を測定して、その測定値を示す表面温度信号(アナログ信号)を出力し、環境温度センサ33は環境温度を測定して、その測定値を示す環境温度信号(アナログ信号)を出力する(第2工程)。
アナログ信号である走行速度信号、表面温度信号および環境温度信号はそれぞれ、A/D変換器38によりデジタル信号に変換された後、コンピュータ34に入力される。
表面温度信号および環境温度信号が入力されたコンピュータ34は、走行抵抗計算手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部36から走行抵抗計算プログラムを読み出し、この走行抵抗計算プログラムに従って関数A,A1,A2を使用し、表面温度信号に示された表面温度、および環境温度信号に示された環境温度を基に、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する(第3工程)。
次に、コンピュータ34は境界速度計算手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部36から境界速度計算プログラムを読み出し、この境界速度計算プログラムに従って関数Bを使用し、走行抵抗計算手段により得られた走行抵抗の算出値Rを基に、移動手摺12の正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値Vを計算する(第4工程)。
次に、コンピュータ34は滑り判定手段として機能する。つまり、CPU35記憶部36から滑り判定プログラムを読み出し、この滑り判定プログラムに従って速度検出器31から得られた走行速度の測定値と、境界速度計算手段により得られた境界値Vとを比較して、走行速度の測定値が境界値V以下であるかどうかを判定する(第5工程)。走行速度の測定値が境界値V以下であると判定した場合、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りを検知したことになる。
コンピュータ34は、境界速度計算手段および滑り判定手段として機能する一方で、兆候速度計算手段および兆候判定手段としても機能する。つまり、CPU35が記憶部36から兆候速度計算プログラムを読み出し、この予兆走行速度計算プログラムに従って関数Cを使用し、走行抵抗計算手段により得られた走行抵抗の算出値Rを基に別の境界値V1を算出し、次に、記憶部36から兆候判定プログラムを読み出し、この兆候判定プログラムに従って走行速度の測定値と別の境界値V1とを比較し、走行速度の測定値が別の境界値V1以下であるかどうかを判定する(第6工程)。走行速度の測定値が別の境界値V1以下であると判定した場合、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候を検知したことになる。
滑りの有無の判定や滑りの兆候の有無の判定を終了させたコンピュータ34は、表示制御手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部36から表示制御プログラムを読み出し、この表示制御プログラムに従って表示部37の制御を行い、滑り判定手段による判定の結果や兆候判定手段による判定の結果を表示部37に表示させる。
第1実施形態は次の効果を奏する。
滑り検知方法の第1実施形態は、第2工程で移動手摺12の表面温度および環境温度を測定し、第3工程で表面温度の測定値および環境温度の測定値を基に走行抵抗を算出し、その走行抵抗の算出値を基に第4工程で正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値V(関数B上の値)を算出し、第1工程で得られた走行速度の測定値と第4工程で得られた境界値Vとを比較することによる、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの有無の判定を、第5工程で行う。これにより、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りを検知する精度を向上させることができる。したがって、移動手摺12の走行速度の管理に貢献できる。
また、滑り検知方法の第1実施形態は、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候を、第6工程で検知できる。したがって、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの予防に貢献できる。
滑り検知装置の第1実施形態は、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りを検知する作業を、移動手摺の滑り検知方法の第1実施形態を採用して行う場合に、その作業を自動化することができる。したがって、移動手摺12の滑りを検知する作業の効率化、および、移動手摺12の滑りを検知する精度の安定化に貢献できる。
また、滑り検知装置の第1実施形態は、兆候速度計算手段と兆候判定手段とによって、移動手摺12の滑りの兆候を検知する作業を自動化することができる。
<第2実施形態>
本発明の移動手摺の滑り検知方法の第2実施形態は、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行速度を測定する第1工程と、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗の変化に関係する物理量、例えば、駆動ローラ13〜15と従動ローラ16〜18とで挟圧されたときに移動手摺12に与えられる挟圧力を測定する第2工程と、この第2工程で得られた挟圧力の測定値を基にエスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する第3工程と、この第3工程で得られた走行抵抗の算出値を基に正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算する第4工程と、第1工程で得られた走行速度の測定値と、第4工程で算出された境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りが生じていると判定する第5工程と、走行速度の測定値と境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値よりも大きく別の境界値以下の場合に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候があると判定する第6工程とを含んでいる。
図5は本発明の移動手摺の滑り検知装置の第2実施形態を示す図である。この図5に示すもののうち、図2に示したものと同等のものに対しては、図2に付した符号と同じ符号を付してある。
図5に示された滑り検知装置40が滑り検知装置の第2実施形態である。この滑り検知装置40は、滑り検知装置の第1実施形態(滑り検知装置30)に備えられている表面温度センサ32および環境温度センサ33の替わりに、感圧センサ41を備えている。この感圧センサ41は自身に与えられた挟圧力を電気信号に変換して出力するシート状の装置、例えば薄膜圧電素子からなる。この感圧センサ41は、エスカレータ1の運転が開始されたときに、駆動ローラ13〜15と従動ローラ16〜18とで挟圧される位置、つまり、踏段9の上昇運転を行う場合には移動手摺12が矢印P方向へ循環するので、最上部に位置する駆動ローラ15よりも上方に位置する移動手摺12の裏面に、貼り付けられる。
滑り検知装置40は、速度検出器31からの走行速度信号、および、感圧センサ41からの挟圧力信号に応じて演算処理を行うコンピュータ42を備えている。
図5における45は、速度検出器31および感圧センサ41とコンピュータ42との間に介在するA/D変換器である。このA/D変換器45は速度検出器31により出力されるアナログ信号からなる走行速度信号、および、感圧センサ41により出力されるアナログ信号からなる挟圧力信号を、コンピュータ42で処理可能なデジタル信号に変換するものである。
コンピュータ42は、感圧センサ41により得られた挟圧力の測定値を基に、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する走行抵抗計算手段として機能するように予め設定されている。つまり、コンピュータ42の記憶部43には、挟圧力に対する走行抵抗の特性を示す関数D「R=aP+b、R:走行抵抗、P:挟圧力、a,b:定数」(図示していない)を用いた走行抵抗の計算をコンピュータ42のCPU35に行わせるための走行抵抗計算プログラムが予め記憶されている。なお、記憶部43には、複数種類のエスカレータの仕様(移動手摺の駆動装置、移動手摺の種類、ターミナル部の形状、ガイドレールの形状など)それぞれに対応する複数種類の関数Dが予め保存されている。
その他のコンピュータ42の設定は、滑り検知装置の第1実施形態に備えられているコンピュータ42の設定と同様なので、説明を省略する。
このように構成された滑り検知装置40、すなわち滑り検知装置の第2実施形態の動作を、滑り検知方法の第2実施形態の各工程と照らし合わせながら説明する。
エスカレータ1の上昇運転中、速度検出器31は移動手摺12の走行速度を測定して、その測定値を示す走行速度信号(アナログ信号)を出力する(第1工程)。
これと並行して、感圧センサ41は駆動ローラ13〜15と従動ローラ16〜18とで挟圧されたときに、そのときの挟圧力を測定し、その測定値Pを示す挟圧力信号(アナログ信号)を出力する(第2工程)。
アナログ信号である走行速度信号および挟圧力信号はそれぞれ、A/D変換器45によりデジタル信号に変換された後、コンピュータ42に入力される。
挟圧力信号が入力されたコンピュータ42は、走行抵抗計算手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部43から走行抵抗計算プログラムを読み出し、この走行抵抗計算プログラムに従って関数Dを使用し、挟圧力信号に示された挟圧力の測定値Pを基に、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する(第3工程)。
次に、コンピュータ42は境界速度計算手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部43から境界速度計算プログラムを読み出し、この境界速度計算プログラムに従って関数Bを使用し、走行抵抗計算手段により得られた走行抵抗の算出値Rを基に、移動手摺12の正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値Vを計算する(第4工程)。
次に、コンピュータ42は滑り判定手段として機能する。つまり、CPU35記憶部43から滑り判定プログラムを読み出し、この滑り判定プログラムに従って速度検出器31から得られた走行速度の測定値と、境界速度計算手段により得られた境界値Vとを比較して、走行速度の測定値が関数B上の境界値V以下であるかどうかを判定する(第5工程)。走行速度の測定値が境界値V以下であると判定した場合、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りを検知したことになる。
コンピュータ42は、境界速度計算手段および滑り判定手段として機能する一方で、兆候速度計算手段および兆候判定手段としても機能する。つまり、CPU35が記憶部43から兆候速度計算プログラムを読み出し、この予兆走行速度計算プログラムに従って関数Cを使用し、走行抵抗計算手段により得られた走行抵抗の算出値Rを基に別の境界値V1を算出し、次に、記憶部43から兆候判定プログラムを読み出し、この兆候判定プログラムに従って走行速度の測定値と別の境界値V1とを比較し、走行速度の測定値が別の境界値V1以下であるかどうかを判定する(第6工程)。走行速度の測定値が別の境界値V1以下であると判定した場合、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候を検知したことになる。
滑りの有無の判定や滑りの予兆の有無の判定を終了させたコンピュータ42は、表示制御手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部43から表示制御プログラムを読み出し、この表示制御プログラムに従って表示部37の制御を行う。これにより、滑り判定手段による判定の結果や兆候判定手段による判定の結果を示す画面が表示部37に表示される。
第2実施形態は次の効果を奏する。
滑り検知方法の第2実施形態は、第2工程で駆動ローラ13〜15と従動ローラ16〜18とにより移動手摺12に与えられる挟圧力を測定し、第3工程で挟圧力の測定値Pを基に走行抵抗を算出し、その走行抵抗の算出値Rを基に第4工程で正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値V(関数B上の値)を算出し、第1工程で得られた走行速度の測定値と第4工程で得られた境界値Vとを比較することによる、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの有無の判定を、第5工程で行う。これにより、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りを検知する精度を向上させることができる。したがって、移動手摺12の走行速度の管理に貢献できる。
また、滑り検知方法の第2実施形態も、滑り検知方法の第1実施形態と同様に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候を、第6工程で検知できる。したがって、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの予防に貢献できる。
滑り検知装置の第2実施形態は、移動手摺12と駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18との間の滑りを検知する作業を、移動手摺の滑り検知方法の第2実施形態を採用して行う場合に、その作業を自動化することができる。したがって、移動手摺12の滑りを検知する作業の効率化、および、移動手摺12の滑りを検知する精度の安定化に貢献できる。
また、滑り検知装置の第2実施形態も、滑り検知装置の第1実施形態と同様に、兆候速度計算手段と兆候判定手段とによって、移動手摺12の滑りの兆候を検知する作業を自動化することができる。
<第3実施形態>
本発明の移動手摺の滑り検知方法の第3実施形態は、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行速度を測定する第1工程と、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗の変化に関係する物理量、例えば、乗客がエスカレータ1を使用していない状態での駆動機5の負荷電流を測定する第2工程と、この第2工程で得られた負荷電流の測定値を基にエスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する第3工程と、この第3工程で得られた走行抵抗の算出値を基に正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算する第4工程と、第1工程で得られた走行速度の測定値と、第4工程で算出された境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りが生じていると判定する第5工程と、走行速度の測定値と境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値よりも大きく別の境界値以下の場合に、移動手摺12に滑りの兆候があると判定する第6工程とを含んでいる。
図6は本発明の移動手摺の滑り検知装置の第3実施形態を示す図である。この図6に示したもののうち、図2に示したものと同等のものには、図2に付した符号と同じ符号を付してある。
図6における滑り検知装置50が滑り検知装置の第3実施形態である。この滑り検知装置50は、滑り検知装置の第1実施形態(滑り検知装置30)に備えられている表面温度センサ32および環境温度センサ33の替わりに、駆動機5の負荷電流を検出する負荷電流検出器51を備えている。
滑り検知装置50は、速度検出器31からの走行速度信号、および、負荷電流検出器51からの負荷電流信号に応じて演算処理を行うコンピュータ52を備えている。
図6における54は、速度検出器31および感圧センサ41とコンピュータ52との間に介在するA/D変換器である。このA/D変換器54は速度検出器31により出力されるアナログ信号からなる走行速度信号、および、負荷電流検出器51により出力されるアナログ信号からなる負荷電流信号を、コンピュータ52で処理可能なデジタル信号に変換するものである。
コンピュータ52は、負荷電流検出器51により測定された負荷電流を基に、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する走行抵抗計算手段として機能するように予め設定されている。つまり、コンピュータ52の記憶部53には、負荷電流に対する走行抵抗の特性を示す関数E(図示していない)を用いた走行抵抗の計算をコンピュータ52のCPU35に行わせるための走行抵抗計算プログラムが予め記憶されている。
その他のコンピュータ52の設定は、第1実施形態におけるコンピュータ52の設定と同様なので、説明を省略する。
このように構成された滑り検知装置50、すなわち滑り検知装置の第3実施形態の動作を、滑り検知方法の第3実施形態の各工程と照らし合わせながら説明する。
使用されていないエスカレータ1の上昇運転中、速度検出器31は移動手摺12の走行速度を測定して、その測定値を示す走行速度信号(アナログ信号)を出力する(第1工程)。
これと並行して、負荷電流検出器51は駆動機5の負荷電流を検出して、検出された負荷電流を示す挟圧力信号(アナログ信号)を出力する(第2工程)。
アナログ信号である走行速度信号および負荷電流信号はそれぞれ、A/D変換器54によりデジタル信号に変換された後、コンピュータ52に入力される。
負荷電流信号を入力されたコンピュータ52は、走行抵抗計算手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部53から走行抵抗計算プログラムを読み出し、この走行抵抗計算プログラムに従って関数Eを使用し、負荷電流信号に示される負荷電流の検出値を基に、エスカレータ1の運転時の移動手摺12の走行抵抗を計算する(第3工程)。
次に、コンピュータ52は境界速度計算手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部53から境界速度計算プログラムを読み出し、この境界速度計算プログラムに従って関数Bを使用し、走行抵抗計算手段により得られた走行抵抗の算出値Rを基に、移動手摺12の正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値Vを計算する(第4工程)。
次に、コンピュータ52は滑り判定手段として機能する。つまり、CPU35記憶部53から滑り判定プログラムを読み出し、この滑り判定プログラムに従って速度検出器31から得られた走行速度の測定値と、境界速度計算手段により得られた境界値Vとを比較して、走行速度の測定値が境界値V以下であるかどうかを判定する(第5工程)。走行速度の測定値が境界値V以下であると判定した場合、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りを検知したことになる。
コンピュータ52は、境界速度計算手段および滑り判定手段として機能する一方で、兆候速度計算手段および兆候判定手段としても機能する。つまり、CPU35が記憶部53から兆候速度計算プログラムを読み出し、この予兆走行速度計算プログラムに従って関数Cを使用し、走行抵抗計算手段により得られた走行抵抗の算出値Rを基に別の境界値V1を算出し、次に、記憶部53から兆候判定プログラムを読み出し、この兆候判定プログラムに従って走行速度の測定値と別の境界値V1とを比較し、走行速度の測定値が別の境界値V1以下であるかどうかを判定する(第6工程)。走行速度の測定値が別の境界値V1以下であると判定した場合、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候を検知したことになる。
滑りの有無の判定や滑りの有無の兆候の判定を終了させたコンピュータ52は、表示制御手段として機能する。つまり、CPU35が記憶部53から表示制御プログラムを読み出し、この表示制御プログラムに従って表示部37の制御を行い、滑り判定手段による判定の結果や兆候判定手段による判定の結果を表示部37に表示させる。
第3実施形態は次の効果を奏する。
滑り検知方法の第3実施形態では、第2工程で駆動機5の負荷電流を測定し、第3工程で負荷電流の測定値を基に走行抵抗を算出して、その走行抵抗の算出値Rを基に第4工程で正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値V(関数B上の値)を算出し、第1工程で得られた走行速度の測定値と第4工程で得られた境界値Vとを比較することによる駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの有無の判定を第5工程で行う。これにより、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りを検知する精度を向上させることができる。したがって、移動手摺12の走行速度の管理に貢献できる。
また、滑り検知方法の第3実施形態も、滑り検知方法の第1実施形態と同様に、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りの兆候を、第6工程で検知できる。したがって、移動手摺12の滑りの予防に貢献できる。
滑り検知装置の第3実施形態は、駆動ローラ13〜15および従動ローラ16〜18に対する移動手摺12の滑りを検知する作業を、移動手摺の滑り検知方法の第3実施形態を採用して行う場合に、その作業を自動化することができる。したがって、移動手摺12の滑りを検知する作業の効率化、および移動手摺12の滑りを検知する精度の安定化に貢献できる。
また、滑り検知装置の第3実施形態も、滑り検知装置の第1実施形態と同様に、兆候速度計算手段と兆候判定手段とによって、移動手摺12に滑りの兆候を検知する作業を自動化することができる。
なお、滑り検知装置の第1〜第3実施形態では、コンピュータ34,42または52および表示部37としてノートパソコンを採用した例であるが、本発明はこれに限るものではなく、エスカレータ1の制御盤(図示していない)に予めCPU35と、記憶部36,43または53と、表示部37とが組み込まれていてもよい。
また、滑り検知装置の第1〜第3実施形態は、移動手摺12の滑りの有無の判定結果や滑りの兆候の有無の判定結果を表示部37に画面として出力するようになっているが、判定結果は作業員が認識できるように出力されればよく、したがって、判定結果を印刷したり音で報知したりするものでもよい。
また、移動手摺の滑り検知方法および滑り検知装置の第1〜第3実施形態は、図1に示された踏段9を循環させるエスカレータ1に適用された例であるが、本発明を適用する乗客コンベアは踏段を循環させるエスカレータに限るものではなく、駆動源から移動手摺へ動力を伝達する手段として、移動手摺を挟圧する複数のローラを備えている乗客コンベアであれば、踏段に替えてパレット(踏板)またはゴムベルトを循環させる動く歩道であってもよい。
本発明の移動手摺の滑り検知方法が適用される乗客コンベアの一例であるエスカレータを示す図である。 本発明の移動手摺の滑り検知装置の第1実施形態を示す図である。 移動手摺の表面温度に対する走行抵抗の特性を示す図である。 正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値の、移動手摺の走行抵抗に対する特性を示す図である。 本発明の移動手摺の滑り検知装置の第2実施形態を示す図である。 本発明の移動手摺の滑り検知装置の第3実施形態を示す図である。
符号の説明
1 エスカレータ
2 トラス
3 上梁
4 下梁
5 駆動機
6 駆動チェーン
7 踏段用スプロケット
8 踏段用チェーン
9 踏段
10 欄干
10a 上部ターミナル部
10b 下部ターミナル部
11 ガイドレール
12 移動手摺
13〜15 駆動ローラ
16〜18 従動ローラ
19 移動手摺用スプロケット
20,21 移動手摺用チェーン
22 スプロケット
30 滑り検知装置
31 速度検出器
32 表面温度センサ
33 環境温度センサ
34 コンピュータ
35 CPU
36 記憶部
37 表示部
38 A/D変換器
40 滑り検知装置
41 感圧センサ
42 コンピュータ
43 記憶部
45 A/D変換器
50 滑り検知装置
51 負荷電流検出器
52 コンピュータ
53 記憶部
54 A/D変換器

Claims (4)

  1. 駆動源から移動手摺に動力を伝達する手段として、移動手摺を挟圧する複数のローラを備えている乗客コンベアに対して適用される方法であって、
    前記乗客コンベアの運転時の前記移動手摺の走行速度を測定する第1工程と、
    前記乗客コンベアの運転時の前記移動手摺の走行抵抗の変化に関係する物理量を測定する第2工程と、
    この第2工程で得られた物理量を基に前記乗客コンベアの運転時の前記移動手摺の走行抵抗を計算する第3工程と、
    この第3工程で得られた走行抵抗の算出値を基に正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算する第4工程と、
    前記第1工程で得られた走行速度の測定値と、前記第4工程で得られた境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、前記複数のローラに対する前記移動手摺の滑りが生じていると判定する第5工程とを含んでいることを特徴とする移動手摺の滑り検知方法。
  2. 請求項1記載の発明において、
    走行速度の測定値と、境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値よりも大きく別の境界値以下の場合に、前記複数のローラに対する前記移動手摺の滑りの兆候があると判定する第6工程を含むことを特徴とする移動手摺の滑り検知方法。
  3. 駆動源から移動手摺に動力を伝達する手段として、移動手摺を挟圧する複数のローラを備えている乗客コンベアに対して使用される装置であって、
    前記乗客コンベアの運転時に前記移動手摺の走行速度を測定する速度測定手段と、
    前記乗客コンベアの運転時に前記移動手摺の走行抵抗の変化に関係する物理量を測定する抵抗関係値測定手段と、
    この抵抗関係値測定手段により測定された物理量を基に、前記乗客コンベアの運転時の前記移動手摺の走行抵抗を計算する走行抵抗計算手段と、
    この走行抵抗計算手段により算出された走行抵抗を基に、移動手摺の正常な走行速度と異常に遅い走行速度との境界値を計算する境界速度計算手段と、
    前記速度測定手段により得られた走行速度の測定値と、前記境界速度計算手段により得られた境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値以下の場合に、前記複数のローラに対する前記移動手摺の滑りが生じていると判定する滑り判定手段とを備えていることを特徴とする移動手摺の滑り検知装置。
  4. 請求項3記載の発明において、
    前記境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値を計算する兆候速度計算手段と、
    走行速度の測定値と境界値よりも所定値だけ大きな別の境界値とを比較して、走行速度の測定値が境界値よりも大きく別の境界値以下の場合に、前記複数のローラに対する前記移動手摺の滑りの兆候があると判定する兆候判定手段とを備えていることを特徴とする移動手摺の滑り検知装置。
JP2006215863A 2006-08-08 2006-08-08 移動手摺の滑り検知方法およびこの方法を採用した移動手摺の滑り検知装置 Pending JP2008037601A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006215863A JP2008037601A (ja) 2006-08-08 2006-08-08 移動手摺の滑り検知方法およびこの方法を採用した移動手摺の滑り検知装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006215863A JP2008037601A (ja) 2006-08-08 2006-08-08 移動手摺の滑り検知方法およびこの方法を採用した移動手摺の滑り検知装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008037601A true JP2008037601A (ja) 2008-02-21

Family

ID=39173066

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006215863A Pending JP2008037601A (ja) 2006-08-08 2006-08-08 移動手摺の滑り検知方法およびこの方法を採用した移動手摺の滑り検知装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008037601A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101264843B (zh) * 2008-03-05 2010-06-02 上海中业电梯有限公司 自动扶梯运行安全监控方法及装置
JP2011121718A (ja) * 2009-12-10 2011-06-23 Hitachi Building Systems Co Ltd 乗客コンベアのガイドレール検査装置
JP2012056722A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Hitachi Building Systems Co Ltd 乗客コンベアのハンドレール駆動力診断装置及びハンドレール駆動力診断方法
CN107986146A (zh) * 2017-12-29 2018-05-04 通力电梯有限公司 在线监控设备、自动扶梯及在线监控自动扶梯的方法
US10302549B2 (en) 2016-12-07 2019-05-28 Otis Elevator Company Handrail friction checking device
JP2019123582A (ja) * 2018-01-15 2019-07-25 株式会社日立ビルシステム 乗客コンベア及びその制御方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101264843B (zh) * 2008-03-05 2010-06-02 上海中业电梯有限公司 自动扶梯运行安全监控方法及装置
JP2011121718A (ja) * 2009-12-10 2011-06-23 Hitachi Building Systems Co Ltd 乗客コンベアのガイドレール検査装置
JP2012056722A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Hitachi Building Systems Co Ltd 乗客コンベアのハンドレール駆動力診断装置及びハンドレール駆動力診断方法
CN102398843A (zh) * 2010-09-09 2012-04-04 株式会社日立建筑系统 乘客输送机的扶手驱动力诊断装置及扶手驱动力诊断方法
US10302549B2 (en) 2016-12-07 2019-05-28 Otis Elevator Company Handrail friction checking device
CN107986146A (zh) * 2017-12-29 2018-05-04 通力电梯有限公司 在线监控设备、自动扶梯及在线监控自动扶梯的方法
JP2019123582A (ja) * 2018-01-15 2019-07-25 株式会社日立ビルシステム 乗客コンベア及びその制御方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008037601A (ja) 移動手摺の滑り検知方法およびこの方法を採用した移動手摺の滑り検知装置
US6851546B2 (en) Chain wear monitoring method and apparatus
JP5050362B2 (ja) エレベータ
JP4836564B2 (ja) エレベーター用主ロープの滑り量検出方法及び滑り量検出装置
JP5936655B2 (ja) 乗客コンベヤのチェーン片伸び検出装置
JP6305321B2 (ja) 乗客コンベヤの駆動チェーン伸び測定装置および乗客コンベヤの駆動チェーン伸び測定方法
JP2007008709A (ja) 乗客コンベアの診断装置
JP5095791B2 (ja) 乗客コンベアのハンドレール駆動力診断装置及びハンドレール駆動力診断方法
JP5692825B2 (ja) エスカレータ
CN109890740B (zh) 电梯装置、以及秤装置的校正方法
US20150114761A1 (en) Stall condition detection
FI127157B (en) Monitoring arrangement for a passenger carrier
JP2008156127A (ja) エレベータ
JP6135295B2 (ja) コンベヤベルトの支持ローラ乗り越え抵抗力測定装置
JP5081219B2 (ja) 乗客コンベアのガイドレール検査装置
JP2002087750A (ja) 乗客コンベアの踏板チェーン伸び検出装置
JP2010173743A (ja) 乗客コンベア
CN105314519B (zh) 乘客输送机
JP6124680B2 (ja) 移動手摺の異常検出装置及び乗客コンベア
JP2007222918A (ja) 幅圧下プレス設備におけるスリップ検出方法およびスリップ防止方法
JP2008037602A (ja) チェーン異常診断装置
JP2008137752A (ja) 乗客コンベアの制御方法
JP2010260682A (ja) エレベータ装置
JP2006306607A (ja) 移動手摺りの走行抵抗測定方法及び装置
JP2006298510A (ja) エスカレーターハンドレールの劣化診断方法