JP6122030B2 - アルケンの触媒的カルボキシル化によるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸塩の調製 - Google Patents

アルケンの触媒的カルボキシル化によるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸塩の調製 Download PDF

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Description

本発明は、アルケンの触媒的カルボキシル化によりα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を調製する方法に関する。より具体的には、本発明は、二酸化炭素(CO)によるエテンの直接的カルボキシル化によってアクリル酸ナトリウムを調製する方法に関する。アクリル酸及びその誘導体は、重要な工業的化学物質であり、超吸収性と呼ばれる吸水性樹脂を製造するためのモノマー単位である。
アクリル酸を得るためのエチレンへのCOの直接的付加(スキーム1)は、熱力学的限界(ΔG=34.5kJ/mol)と、室温でほぼ完全に反応物の側にある好ましくない平衡(K293=7×10−7)のために、工業的に魅力に欠ける。
Figure 0006122030
塩基を用いることによって、α,β−エチレン性不飽和酸をそれらの塩に転化させ、よって生成物の側へ平衡を移動させることが可能である。しかしこの反応は速度論的に阻害され、したがって均一系又は不均一系カルボキシル化触媒を必要とする。
Arestaら(J.Chem.Soc.、Dalton Trans.1977、7、708)及びHillhouseら(Inorg.Chem.2010、49、10203)によれば、配位子及びビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(Ni(COD))などの均一系Ni(0)種は、COの存在下で配位子−Ni−COの付加体を容易に形成するが(スキーム2)、この付加体は熱的に不安定であり、付加体が分解する1つの経路は80℃の低温であっても配位子の酸化によるものである。可能性のある触媒又はその前駆体がこのように劣化するため、これは不利である。
Figure 0006122030
Yamamotoら(J.Am.Chem.Soc.1980、102、7448)によれば、第三級ホスフィン配位子の存在下で0℃を超える温度でのアクリル酸とNi(COD)との等モル反応により、Hoberg錯体と呼ばれる安定な5員ニッケララクトン環Aが生じる(スキーム3)。0℃を下回る温度では、同じ反応によりラクトンAと開鎖π錯体Bとの等モルの混合物が得られる。遊離アクリル酸を得るためのA又は混合物A/Bの熱開裂は成功しなかった。AとBとの平衡は、触媒的変換における重要な必要条件であり、Waltherらにより同様に仮定されたが、実験的に観察されなかった(Eur.J.Inorg.Chem.2007、2257)。
Figure 0006122030
ニッケララクトンAは、Hoberg(J.Organomet.Chem.1983、C51)により見いだされたように、1つ又は複数の配位子を有していてもよく、CO及びエチレンの直接的及び化学量論的なカップリングから生じるものであってもよい。反応は、下は−70℃に至るまでの工業的に好ましくない温度で行われた(J.Organomet.Chem.1982、236,C28;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1987、26、771)。加えて、例えば、塩基性2,2’−ビピリジン配位子、Ni(0)種、アルケン、及びCOの反応から生じるニッケララクトンは、安定な固体として分離可能であり(J.Organomet.Chem.1982、C28)、このことはこれらの化合物の例外的な安定性を実証する。
そのような安定なニッケララクトンを水性無機酸で処理することにより、アクリル酸ではなく飽和酸のプロピオン酸が生じる。このことは、アクリル酸及びその誘導体を錯体Aから形成するのに必要なβ−ヒドリド脱離が困難であることを示唆する。したがって、この反応の触媒による別法は依然として記載されていない。
この示唆は、Buntineらの量子力学的研究により裏付けられる。これらは、所望のアクリル酸脱離生成物と比較して、2個のDBU配位子を有する中間体ニッケララクトンの安定性が約40kcal/mol増大することを示す(Organometallics 2007、26、6784)。
Riegerらは、ニッケララクトンからヨウ化メチル又はLiIとの反応によりアクリル酸誘導体を初めて逐次的に放出させた。この変換によって、ニッケララクトンの非生産的な分解を示すプロピオン酸メチルだけでなく、低収率のアクリル酸メチル(最大33%)が得られる。触媒サイクルは記載されていなかった。LiIを使用する場合、せいぜい微量のアクリル酸メチルしか見られなかった。使用されるニッケララクトンは、配位子であるジフェニルホスフィノプロパン(dppp)、ジフェニルホスフィノエタン(dppe)、及びテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を有する。前者2つのラクトンは、Ni(COD)、TMEDA、及び無水コハク酸から調製されるラクトンの配位子交換により調製され、CO及びエチレンからワンポット反応で生じるラクトンは合成されなかった(Organometallics 2010、29、2199)。
大体においてより高い収率で同様の結果が、Herrmann及びKuhnら(ChemSusChem 2011、4、1275〜1279)によって得られた。ここでもやはり触媒反応レジームの記載はなかった。
WO 2011/107559は、a)アルケン、CO、及びカルボキシル化触媒がアルケン/CO/カルボキシル化触媒付加体へ転化され、b)補助塩基により付加体が分解されてカルボキシル化触媒を放出して、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の補助塩基との塩が得られ、c)アルカリ金属塩基又はアルカリ土類金属塩基と共にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の補助塩基との塩が反応して、補助塩基が放出されて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が得られる、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を調製する方法を開示している。第1の工程において基本的な熱力学的限界を克服するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアンモニウム塩を調製するために、この方法は補助塩基(例えば第三級アミン)による中間付加体の開裂を実現する。第2の工程において、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のナトリウム塩を得るために、例えば水酸化ナトリウム水溶液によって、アンモニウムカチオンがナトリウムに交換される。この2段階反応レジームは複雑である。さらに、ラクトンの開裂は速度が遅く、そのためそのような方法の空時収量を大幅に低下させる。
WO 2011/107559
Arestaら(J.Chem.Soc.、Dalton Trans.1977、7、708) Hillhouseら(Inorg.Chem.2010、49、10203) Yamamotoら(J.Am.Chem.Soc.1980、102、7448) J.Organomet.Chem.1983、C51 J.Organomet.Chem.1982、236,C28 Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1987、26、771 J.Organomet.Chem.1982、C28 Organometallics 2007、26、6784 Organometallics 2010、29、2199 Herrmann及びKuhnら(ChemSusChem 2011、4、1275〜1279)
本発明の目的は、CO及びアルケンからα,β−エチレン性不飽和カルボン酸誘導体を工業的に調製するのに適した触媒プロセスを見いだすことである。
本発明は、
a)遷移金属−アルケン錯体をCOと反応させてメタララクトンを生じさせ、
b)メタララクトンを、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属超塩基又はアルカリ土類金属超塩基から選択される塩基と反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と遷移金属錯体との付加体を生じさせ、
c)付加体をアルケンと反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を放出し遷移金属−アルケン錯体を再生する、
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を調製する方法を提供する。
工程c)において、遷移金属−アルケン錯体が再生され、工程a)において再び利用できる。これは触媒サイクルを完了させる。
本出願で使用される用語「遷移金属錯体」は、包括的には、触媒サイクルの経るあらゆる遷移金属錯体、特に遷移金属−アルケン錯体、メタララクトン、及びα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と遷移金属錯体との付加体を含む。
「遷移金属−アルケン錯体」という表現は、広義に解釈されるべきであり、当業者に既知の、アルケンから遷移金属中心への任意の考えられる配位を表す。遷移金属−アルケン錯体は一般式I
Figure 0006122030
により示すことができ、式中、
Mは遷移金属であり、
Lは配位子であり、
nは1又は2であり、
、R、及びRはそれぞれ独立に水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニルである、又はR及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってモノエチレン性又はジエチレン性不飽和の5員〜8員炭素環式化合物である。
Mは好ましくは以下に定義される活性金属、特にニッケル、鉄、又はロジウム、より好ましくはニッケルである。
Lは好ましくは以下に定義される配位子である。
好ましくは、Rは水素であり、より好ましくは、R及びRはそれぞれ水素であり、特に好ましくは、R、R、及びRはそれぞれ水素である。
「遷移金属−アルケン錯体」という表現は、分離可能で不安定な一般式Iの中間体を含むこととする。
「メタララクトン」という表現は、交換命名法(「a」命名法)によれば、炭素原子が金属原子に交換されているラクトン(γ−ラクトン)を表す。「メタララクトン」という表現は、広義に解釈されるべきであり、始めに挙げたHoberg錯体と同様の構造を有する化合物、又はオリゴマー若しくはポリマー構造の関連化合物を含んでいてもよい。この表現は分離可能な化合物及び(不安定な)中間体を含むこととする。
メタララクトンは一般式II
Figure 0006122030
により示すことができ、式中、M、L、n、R、R、及びRはそれぞれ既に定義された通りである。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と遷移金属錯体との付加体の形成は、おそらく一般式III
Figure 0006122030
の中間体を経て進行し、式中、M、L、n、R、R、及びRはそれぞれ既に定義された通りであり、M’はアルカリ金属、又はアルカリ土類金属の同等物である。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と遷移金属錯体との付加体は、式IV
Figure 0006122030
によって示すことができ、式中、M、L、n、M’、R、R、及びRはそれぞれ既に定義された通りである。
一般に、遷移金属錯体は、活性金属として、元素周期表の4族(好ましくはTi、Zr)、6族(好ましくはCr、Mo、W)、7族(好ましくはRe)、8族(好ましくはFe、Ru)、9族(好ましくはCo、Rh)、及び10族(好ましくはNi、Pd、Pt)の少なくとも1つの元素を含む。ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、白金、レニウム、タングステンが優先される。ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、鉄、ロジウム、ルテニウムが特に優先される。より好ましくは、遷移金属錯体はニッケル、鉄、又はロジウムの錯体を含む。また、より好ましくは、遷移金属錯体はニッケル又はパラジウムの錯体を含む。
活性金属の役割は、COとアルケンの間のC−C結合を形成するために、CO及びアルケンを活性化することにある。
遷移金属−アルケン錯体は配位子Lを含む。配位子は遷移金属−アルケン錯体から形成されるメタララクトンを安定化させる。配位子は、アルケン及びCOのための未使用の配位部位を金属上に残すように選択される。
配位子は単座又は多座、例えば二座であってもよい。一般に、適切な単座配位子は金属中心に対して2回(n=2)配位し、二座配位子は1回(n=1)配位する。
好ましくは、多座(例えば二座)配位子は、遷移金属に配位して5員環を形成する。すなわち、遷移金属、遷移金属に配位する原子、及び遷移金属に配位する原子を接続する最短の鎖の原子が、一緒になって5員環を形成する。
配位子Lは、遷移金属に配位する少なくとも1つのリン原子、窒素原子、酸素原子、及び/又はカルベン基を含んでいてもよい。配位子Lは、例えばホスフィン、ホスファイト、アミン、及びN−複素環カルベンから選択されてもよい。配位子Lは、好ましくは遷移金属に配位する少なくとも1つのリン原子及び/又はカルベン基を含む。より具体的には、配位子Lは遷移金属に配位する少なくとも1つのリン原子を含む。
配位子Lが遷移金属に配位する少なくとも1つのリン原子を含む場合、好ましくは少なくとも1つの基が第二級又は第三級炭素原子を介してリン原子に結合している。より具体的には、第二級又は第三級炭素原子を介して少なくとも2つの基がリン原子に結合している。第二級又は第三級炭素原子を介してリン原子に結合している適切な基は、例えば、アダマンチル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、又はアントラセニル、特にtert−ブチル又はフェニルである。
配位子Lが遷移金属に配位する少なくとも1つのN−複素環カルベンを含む場合、好ましくは少なくとも1つの基が第三級炭素原子を介してカルベン基の少なくとも1つのα−窒素原子に結合している。第三級炭素原子を介して窒素原子に結合している適切な基は、例えば、アダマンチル又はtert−ブチル、特にtert−ブチルである。
好ましい実施形態において、配位子は二座P,P、P,N、P,O、又はP,カルベン配位子である。二座P,P、P,N、P,O、又はP,カルベン配位子は、好ましくは遷移金属に配位して5員環を形成する。
適切な単座配位子は、例えば式V
WR
を有し、式中、
Wはリン(P)、ホスファイト(P=O)、又はアミン(N)であり、
、R、及びRはそれぞれ独立にアルキル、シクロアルキル、又はアリールである。
適切な単座配位子はまた、式VI
Figure 0006122030
のN−複素環のカルベンであり、式中
11及びR12はそれぞれ独立にアルキル又はアリールであり、
13、R14、R15及びR16はそれぞれ独立に水素、アルキル、又はアリールである、
又はR15及びR16は一緒になって化学結合である。
適切な二座配位子Lは一般式VII
−(CR−L VII
を有し、式中
はPR又はP(O)Rであり、
はPR、P(O)R、NR、COO
式VIII
Figure 0006122030
のN−複素環カルベン基(式中、*は分子の残り部分への結合部位であり、
12、R13、R14、R15、及びR16はそれぞれ既に定義された通りである)、
又は式IX
Figure 0006122030
のピリジン基(式中、*は分子の残り部分への結合部位であり、
21、R22、R23、及びR24はそれぞれ独立に水素、アルキル、又はアリールである)であり、
及びRはそれぞれ既に定義された通りであり、
及びRはそれぞれ独立に水素、アルキル、又はアリールであり、
mは1又は2である。
本出願の目的において、「アルキル」という表現は直鎖及び分岐アルキル基を含む。好ましくは、これらはC〜C20アルキル、好ましくはC〜C12アルキル、より好ましくはC〜Cアルキル、最も好ましくはC〜Cアルキルである。アルキル基の例は、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−へプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘプチル、ノニル、デシルである。
「アルキル」という表現は、一般に1、2、3、4、又は5個、好ましくは1、2、又は3個の置換基、より好ましくは1個の置換基を有する非置換及び置換アルキル基を含む。これらは好ましくは、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘタリール、ヒドロキシル、ハロゲン、NE、NE3+、カルボキシラート、及びスルホナートから選択される。好ましいペルフルオロアルキル基はトリフルオロメチルである。
「シクロアルキル」という表現は、単環式及び多環式アルキル基、特に単環式、二環式、又は三環式アルキル基を含む。好ましくは、それらはC〜C20シクロアルキル、好ましくはC〜C12シクロアルキル、より好ましくはC〜Cシクロアルキルである。アルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、又はアダマンチルである。「シクロアルキル」という表現は、一般に1、2、3、4、又は5個、好ましくは1、2、又は3個の置換基、より好ましくは1個の置換基を有する非置換及び置換シクロアルキル基を含む。これらは好ましくはアルコキシ、アリール、ヘタリール、ヒドロキシル、ハロゲン、NE、NE3+、カルボキシラート、及びスルホナートから選択される。
本発明の文脈において「アリール」という表現は、非置換及びまた置換アリール基を含み、好ましくはC〜C18アリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、又はナフタセニルなど、より好ましくはフェニル又はナフチルであり、これらのアリール基は置換されている場合、アルキル、アルコキシ、カルボキシラート、トリフルオロメチル、スルホナート、NE、アルキレン−NE、ニトロ、シアノ、又はハロゲン基から選択される、一般に1、2、3、4、又は5個、好ましくは1、2、又は3個の置換基、より好ましくは1個の置換基を有していてもよい。好ましいペルフルオロアリール基はペンタフルオロフェニルである。
本発明の文脈においてカルボンキシラート及びスルホナートは、好ましくはそれぞれカルボン酸官能基及びスルホン酸官能基の誘導体であり、特に金属カルボキシラート又は金属スルホナート、カルボン酸エステル又はスルホン酸エステル官能基、又はカルボキサミド又はスルホンアミド官能基である。これらの例としては、C〜Cアルカノールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、及びtert−ブタノールなどとのエステルが挙げられる。
「アルキル」及び「アリール」という表現に関する上記の説明は、「アルコキシ」及び「アリールオキシ」という表現に同様に適用される。
、E、及びE基はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールから選択される。NE基は好ましくはN,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N,N−ジ−n−ブチルアミノ、N,N−ジ−tert−ブチルアミノ、N,N−ジシクロヘキシルアミノ、又はN,N−ジフェニルアミノである。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素、好ましくはフッ素、塩素、及び臭素である。
好ましくは、式VにおけるWはPである。
式Vにおいて、R、R、及びR基のうち好ましくは少なくとも1つの基、特に少なくとも2つの基は、アダマンチル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、又はアントラセニル、特にtert−ブチル又はフェニルである。
式VIにおいて、R11及びR12は好ましくはそれぞれアダマンチル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、又はアントラセニル、特にtert−ブチル又はフェニルである。
式VIにおいて、R13、R14、R15、及びR16は好ましくはそれぞれ独立に水素又はアルキル、特に水素又はC〜Cアルキル、より好ましくは水素である、又はR15及びR16は一緒になって化学結合である。
式VIIにおいて、Lは好ましくはPRである。Lは好ましくはPR、式VIIIのN−複素環カルベン基、又は式IXのピリジン基である。好ましい実施形態において、L及びLはそれぞれPRである。
式VIIにおいて、R及びRは好ましくはそれぞれ独立に水素又はC〜Cアルキルであり、より具体的には、(CRは−CH−又は−CH−CH−である。
式VIIにおいて、R及びR基のうち好ましくは少なくとも1つの基、特にR及びR基の両方は、(リン原子1個当たり)アダマンチル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、又はアントラセニル、特にtert−ブチル又はフェニルである。
式VIIIにおいて、R12は好ましくはアダマンチル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソプロピル、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、又はアントラセニル、特にtert−ブチル又はフェニルである。
式VIIIにおいて、R13、R14、R15、及びR16は好ましくはそれぞれ独立に水素又はアルキル、特に水素又はC〜Cアルキル、より好ましくは水素である、又はR15及びR16は一緒になって化学結合である。
式VIIの好ましい代表例は
2−(ジフェニルホスフィノ)アセタート、
2−(ジメチルホスフィノ)−N,N−ジメチルエタンアミン、
1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、
ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタン、
2−(2−(ジフェニルホスフィノ)エチル)ピリジン、又は
3−tert−ブチル−1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)イミダゾール−2−イリデン
である。
1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン及びビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタンが特に好ましい。
加えて、塩基のアニオンの少なくとも1つの同等物は、それ自体が遷移金属錯体の金属上の配位子として機能することができる。
上記の配位子に加えて、遷移金属錯体は、ハロゲン化物、アミン、アミド、酸化物、リン化物、カルボキシラート、アセチルアセトナート、アリールスルホナート又はアルキルスルホナート、水素化物、CO、オレフィン、ジエン、シクロオレフィン、ニトリル、芳香族及び複素環式芳香族、エーテル、PF、ホスホール、ホスファベンゼン、並びに単座、二座、及び多座ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスホラミダイト、並びにホスファイト配位子から選択される少なくとも1つのさらなる配位子も有していてもよい。
適切なアルケンは式IX
Figure 0006122030
のアルケンであり、式中、R、R、及びRはそれぞれ既に定義された通りである。
適切なアルケンは、例えば、エテン、プロペン、イソブテン、ブタジエン、ピペリレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンである。カルボキシル化において使用されるアルケンは、一般に反応条件下で気体状又は液体である。
好ましい実施形態において、アルケンはエテンである。本発明による方法は、アルカリ金属アクリラート又はアルカリ土類金属アクリラート、特にアクリル酸ナトリウムを得ることを可能にする。
工程a)で使用される遷移金属−アルケン錯体は、最初にアルケンと遷移金属プレ錯体とを反応させて遷移金属−アルケン錯体を生じさせることによって得ることができる。遷移金属プレ錯体は配位子Lを含み、アルケンによって置き換えることができる少なくとも1つのさらなる配位子を含んでいてもよい。あるいは、遷移金属−アルケン錯体は、最初に配位子Lを含む遷移金属源とアルケンとを反応させて遷移金属−アルケン錯体を生じさせることによって得ることができる。
有用な遷移金属源としては、市販の標準的錯体、例えば[M(p−シメン)Cl、[M(ベンゼン)Cl、[M(COD)]、[M(CDT)]、[M(C]、[MCl×HO]、[MCl×HO]、[M(アセチルアセトナート)]、[M(DMSO)Cl]が挙げられ、ここでMは既に定義された通りである。
好ましい実施形態において、遷移金属−アルケン錯体、メタララクトン、及びα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と遷移金属錯体との付加体は、均一溶液中、反応混合物中で、錯体型化合物の形態で存在する。
選択される溶媒は、遷移金属錯体が良好な溶解性を有する溶媒である。例としては、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、又はキシレンなど、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼンなど、エーテル、例えばテトラヒドロフランなど、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなど、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及び水、又はこれらの溶媒の互いの任意の混合物、例えばクロロベンゼン/メタノール又はメタノール/水が挙げられる。
好ましい溶媒はクロロベンゼンである。
工程a)では、遷移金属−アルケン錯体をCOと反応させてメタララクトンを得る。これは、金属−アルケン結合にCOを挿入してアルケンへのC−C結合を形成させることを伴う。
工程b)では、メタララクトンを塩基と反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と遷移金属錯体との付加体を得る。使用される塩基は、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ金属超塩基又はアルカリ土類金属超塩基から選択される。超塩基は、水と接触すると定量的に反応して水酸化物イオン及び超塩基の対応する酸を生じる塩基を意味すると理解される。言い換えれば、塩基強度が水酸化物イオンの塩基強度に相当する又はそれを上回る塩基が使用される。使用される塩基は、メタララクトンをα位で脱プロトン化させるのに十分な塩基性である。アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンは、そのルイス酸性に起因して、形成されるカルボキシラート基を安定化させることがおそらく可能である。
塩基を固体状で又は溶液として添加できる。しかし好ましくは塩基の溶液が添加される。塩基性溶媒は反応溶媒と異なるか又は同一であってもよい。しかし塩基性溶媒は、好ましくは反応溶媒と少なくとも部分的に混和性である。
アルカリ金属は好ましくはリチウム、ナトリウム、及びカリウムから選択され、より具体的には、アルカリ金属はナトリウムである。アルカリ土類金属は好ましくはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選択される。
適切なアルカリ金属水酸化物は、例えばNaOH、KOH、又はLiOHである。水酸化物の場合、水酸化物の水性溶液で十分である。可溶化剤、例えばアルコールを場合により添加することができる。
アルカリ金属超塩基又はアルカリ土類金属超塩基は、好ましくはアルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ金属水素化物又はアルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属アジド又はアルカリ土類金属アジド、アルカリ金属リン化物又はアルカリ土類金属リン化物、アルカリ金属シラノラート又はアルカリ土類金属シラノラート、アルカリ金属アルキル又はアルカリ土類金属アルキル、及びアルカリ金属アリール又はアルカリ土類金属アリールから選択される。
適切なアルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシドは、C1〜16アルコキシド、好ましくはC1〜12アルコキシド、特にC1〜4アルコキシドである。適切なアルコキシドは、式R100OHのアルコールに由来する。適切なR100基は、1〜16個の炭素原子を有する、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する、分岐又は非分岐、非環式又は環状アルキル基であり、これは置換されていないか、又は個々の炭素原子がそれぞれ独立にO及び>Nの群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられていてもよい。適切なR基は、ベンジル、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−(2−メチル)プロピル、1−(2−メチル)プロピル、1−(2−メチル)ブチル、2−(2−メチル)プロピル、1−ペンチル、1−(2−メチル)ペンチル、1−ヘキシル、1−(2−エチル)ヘキシル、1−ヘプチル、1−(2−プロピル)ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、置換されていないか又はC〜Cアルキル基を有していてもよいC〜C10シクロアルキル、例えばシクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルである。
適切なアルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシドは、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシドである。アルコキシドの場合、アルコール自身が溶媒として働くことができる。ナトリウムtert−ブトキシドが好ましい塩基である。
適切なアルカリ金属水素化物又はアルカリ土類金属水素化物は、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、及び水素化マグネシウム、水素化カルシウムである。
適切なアルカリ金属アミド又はアルカリ土類金属アミドは、LiNMe、LiNEt、LiNiPr、NaNMe、NaNEt、NaN/Pr、KNMe、KNEt、KN/Pr、LiN(CHMe、NaN(CHMe、KN(CHMeである(Me=メチル;Et=エチル;Pr=イソプロピル)。適切アミドとしては、ナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)又はリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)などのケイ素含有アミドも挙げられる。
適切なアルカリ金属リン化物又はアルカリ土類金属リン化物は、Mがアルカリ金属であるか又はアルカリ土類金属の同等物であり、RがC1〜12アルキル又はC6〜10アリールである、式MPR のものであり、例えばKPPh(Ph=フェニル)である。
適切なアルカリ金属シラノラート又はアルカリ土類金属シラノラートは、Mがアルカリ金属であるか又はアルカリ土類金属の同等物である、式MOSi(C1〜4アルキル)のものであり、例えばNaOSiMeである。
適切なアルカリ金属アルキル若しくはアリール又はアルカリ土類金属アルキル若しくはアリールは、リチウムアルキル化合物、例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム(ベンゼン環は任意の位置に置換基を有していてもよい。例えばOCH、CHNMe、CONR)、シクロヘキシルリチウム(シクロヘキシル環はヘテロ原子、例えばO、N、Sを含んでいてもよい)、エチルリチウム、ペンタジエニルリチウム、2−フラニルリチウム、2−チオフェニルリチウム、エチニルリチウムなどである。ナトリウムアルキル化合物、例えばシクロペンタジエニルナトリウムなども適切である。
適切なアルカリ土類金属アルキルとしては、一般式RMgXのマグネシウムアルキル化合物(グリニャール試薬)が挙げられ、式中Rは上記で挙げた基の1つであってもよく、XはF、Cl、Br、Iであってもよい。
塩基は、メタララクトンを基準として化学量論量で又は超化学量論量で使用できる。1回の触媒サイクル当たりに使用される塩基の量は、メタララクトンを基準として好ましくは1〜2当量、より好ましくは1〜1.1当量である。
工程c)では、付加体をアルケンと反応させる。アルケンは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を活性金属の配位部位から外して置き換わる。同時に、遷移金属−アルケン錯体が再生され、新しい触媒サイクルに利用できる。これは触媒サイクルを完了させる。遊離アクリル酸と遷移金属錯体IV’との付加体はこの反応を示さないため、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の、付加体からの置き換え可能性は驚くべきことである。
Figure 0006122030
遷移金属−アルケン錯体の最初の形成(又は2回目及びさらなる触媒サイクルの工程c)による遷移金属−アルケン錯体の再生)、及び方法の工程a)は、アルケン及びCOを連続的に又は互いに空間的に分離して添加することにより、互いに別々に行うことができる。最初の形成(又は2回目及びさらなる触媒サイクルの工程c)による遷移金属−アルケン錯体の再生)、及び方法の工程a)は、しかしながら、アルケン及びCOを同時に添加することにより、又はアルケン及びCOの混合物を添加することにより、本質的に同時に行うこともできる。
反応に使用するCOは、気体状、液体、又は超臨界状態で使用できる。工業規模で利用できる、二酸化炭素を含むガス混合物を使用することも可能であるが、ただしそれらが一酸化炭素を実質的に含まないものとする。
CO及びアルケンは、窒素又は希ガスなどの不活性ガスも含んでいてもよい。しかし有利には、それらの含量は反応器中の二酸化炭素及びアルケンの総量を基準として10mol%未満である。
二酸化炭素をアルケンへ同時に添加する(又はCOの混合物をアルケンへ添加する)場合、供給される二酸化炭素対アルケンのモル比は一般に0.1〜10、好ましくは0.5〜5である。
驚くことに、配位子Lを適切に選択すると遷移金属−CO錯体の形成を阻害し、副反応を排除することが分かっている。COが存在しても、遷移金属−アルケン錯体がアルケンにより最初に形成される。
塩基がCOと直接反応するのを防ぐために、塩基は好ましくはCOの添加とは別に添加される。したがって塩基は好ましくはCOの添加とは異なる時点で添加される。
使用する反応器は原則として、所与の温度及び所与の圧力で原則として気液反応又は液液反応に適しているあらゆる反応器であってもよい。液液反応系のための適切な標準的反応器は、例えばK.D.Henkel、「Reactor Types and Their Industrial Application」、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry 2005、Wiley VCH Verlag GmbH & Co KGaA、DOI:10.1002/14356007.b04_087、3.3章「Reactors for gas−liquid reactions」に明記されている。例としては、撹拌槽反応器、管型反応器、又は気泡塔が挙げられる。
カルボキシル化触媒及び強塩基を含む反応物及び媒体の良好な混合を実現するために、適切な装置を使用できる。そのような装置は、1つ又は複数の撹拌機を有しバッフルを有する又は有していない機械的撹拌装置、充填若しくは非充填気泡塔、スタティックミキサーを有する又は有していない充填若しくは非充填流管、又はこれらの方法の工程に有用な当業者に既知の他の装置であってもよい。バッフル及び遅延構造の使用は本発明による方法に明確に含まれる。
反応器を、反応溶媒及び遷移金属プレ錯体、又は代わりに遷移金属源及び配位子Lで満たす。その後、アルケン及びCOを、同時に又は異なる時点又は異なる場所で注入する。各添加工程の後、反応器を減圧できる。異なる時点又は場所で、塩基を添加する。次いで触媒サイクルを1回又は2回以上繰り返すことができ、アルケン及びCOを、同時に又は異なる時点又は異なる場所で再度注入することができ、塩基を異なる時点又は異なる場所で添加することができる。
そのような空間的隔離は、例えば撹拌槽において単純に2個以上の別々の入口によって、行うことができる。いくつかの槽を使用する場合、例えば異なる媒体の装入を異なる槽で行うことが可能である。一方のアルケン及びCO反応物と他方の塩基反応物の添加する時間を分離することが本発明による方法において必要とされる。そのような時間の分離は、例えば撹拌槽において、反応物の装入を交互に行うことによって実施できる。同様の種類の流管又は装置を使用する場合、そのような装入は、例えば流管の異なる位置で行うことができる。そのように添加する位置を変えることによって、反応物は滞留時間の関数として添加できる。
工程a)〜c)は、好ましくは液体又は超臨界相で1〜150barの圧力で、好ましくは1〜100barの圧力で、より好ましくは1〜60barの圧力で行われる。本発明による方法の工程a)〜c)は、好ましくは−20℃〜300℃の温度で、より好ましくは20℃〜250℃の温度で、特に好ましくは40℃〜200℃の温度で行われる。
1回又は好ましくは2回以上の触媒サイクルの後、工程c)で形成されるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は反応媒体から分離される。例えば、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は反応媒体中にやや溶けにくく析出し得るので、ろ過、デカンテーション、又は遠心分離による取出しなどの固液相分離によって分離できる。
誘導体の取出しは好ましくは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が豊富な第1の液相、及び遷移金属−アルケン錯体が豊富な第2の液相への液液相分離を含む。第2の相は一般に反応溶媒を含む。
分離を促進する効果の使用、例えばイオン性液体又は超臨界媒体の相の変化などが、この方法に明確に含まれる。相の分離に対して好ましい効果を有する圧力又は温度の変化がこの方法に明確に含まれる。液液抽出に適したあらゆる装置、例えば撹拌容器、抽出器、又はパーコレーターなどにおいて、液液抽出を行うことができる。
液液相分離は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の誘導体が良好な溶解性を有し、遷移金属−アルケン錯体が豊富な第2の液相と非混和性である又は限られた混和性しかない、極性溶媒をさらに使用することによって助けられる。極性溶媒は一般に単純な試験によって選択される。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の分離は、好ましくは2つの異なる相へそれらを分離することによって行われる。したがって例えば、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を既存の有機相から極性水性相中に取り出すことが可能である。
残りの有機相は工程a)で再生利用される。この再生利用はこの方法において好ましい条件下で行われる。
本発明は、添付の図面及び下記の実施例によって詳細に説明される。
(dtbpe)ニッケラ−γ−ラクトンのX線構造解析を示す図である。 (dtbpe)Ni(η−アクリル酸)錯体のX線構造解析を示す図である。 (dtbpe)Ni(エチレン)錯体のX線構造解析を示す図である。 実施例7による反応生成物のHPLCクロマトグラムを示す図である。
実施例において、以下の略称を使用する:
dtbpe 1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン
Ni(COD) ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)
THF テトラヒドロフラン
NaOtBu ナトリウムtert−ブトキシド
[実施例1]
(dtbpe)Ni(エチレン)錯体の調製
アルゴン雰囲気下で、dtbpe(662mg、2.1mmol)及びNi(COD)(571mg、2.1mmol)をTHF(28ml)中に溶解させ、オートクレーブへ移した。オートクレーブにエチレンを装入した(15bar)。減圧後、溶媒を除去して300mgの黄褐色結晶(収率36%)を得た。ジエチルエーテルの添加後にX線構造解析に適した結晶を−35℃で得た。X線構造解析の結果を図3に示す。
2144NiO(449.21)計算値:C59.28、H10.94、P15.29、実測値:C58.88、H10.85、P15.11。H NMR(500MHz,C):δ(ppm)=1.14(m,36H,C(CH)、1.46(m,4H,PCHCHP)、2.42(s,4H,=CH)。13C{H}NMR(126MHz,CDCl):δ(ppm)=24.2(t,J=16.6Hz,PCHCHP)、31.1(t,J=3.3Hz,CH)、34.3(t,J=8.3Hz,=CH)、34.7(t,J=6.1Hz,C(CH))。31P{H}NMR(81MHz,C):δ(ppm)=105.2(s)。IR(KBr):2944、1663、1477、1387、1364、1179、1163cm−1
[実施例2]
ニッケララクトンの形成
dtbpe(159mg、0.5mmol)及びNi(COD)(138mg、0.5mmol)のクロロベンゼン(10ml)中懸濁液を、赤色溶液が得られるまで撹拌した。混合物をオートクレーブへ移し、クロロベンゼン(10ml)で希釈した。オートクレーブを閉めてエチレンを満たした(20bar)。混合物を室温で30分間撹拌(600rpm)し、次いでオートクレーブを10barの圧力まで減圧し50barの圧力までCOを添加した。混合物を45℃まで加熱し、16時間撹拌した(600rpm)。室温まで冷却した後、オートクレーブを開け、溶媒を除去し、残渣をTHF(3ml)中に溶解させた。n−ヘキサン(50ml)の添加後、微細な黄色の析出物が生じ、これはろ過及び減圧乾燥され、標題化合物と一致する(164mg、収率73%)。X線構造解析の結果を図1に示す。
2144NiO(449.21)の元素分析の計算値:C56.15、H9.87、P13.79、実測値:C54.80、H9.88、P13.32。H NMR(500MHz,CCl):δ(ppm)=1.16〜1.21(m,2H,Ni−CH)、1.37(d,18H,C(CH,JHP=12.5Hz)、1.39(d,18H,C(CH、JHP=12.5Hz)、1.46〜1.54(m,2H,CHCH)、1.76〜1.85(m,2H,CHCH)、2.04〜2.09(m,2H,CH−COO)。13C{H}NMR(126MHz,CCl):δ(ppm)=9.6(dd,J=62.9Hz,J=26.4Hz,Ni−CH)、18.4(dd,J=14.9Hz,J=9.1Hz,PCHCHP)、26.2(dd,J=39.3Hz,J=22.1Hz,PCHCHP)、30.2(d,J=4.8Hz,C(CH)、30.3(d,J=3.4Hz,C(CH)、34.6(d,J=7.6Hz,C(CH)、36.4(dd,J=17.8Hz,J=1.9Hz,C(CH)、37.4(dd,J=5.3Hz,J=1.0Hz,CHCOO)、187.8(s,J=17.3Hz,COO)。31P{H}NMR(81MHz,CDCl):δ(ppm)=77.8(d,JP,P=7.9Hz)、80.6ppm(d,JP,P=8.9Hz)。HRMS(FAB+):m/z=449.2246[M+H]の計算値:449.2202。IR(KBr):2994、2953、2899、2866、1627、1481、1468、1313cm−1
[実施例2b]
ニッケララクトンの形成
Ni(COD)(14.4mg、52.3μmol)及び3−tert−ブチル−1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−イミダゾール−2−イリデン(14.7mg、52.1μmol)をTHF−d(0.60ml)中に溶解させ、高圧NMRチューブへ移した。チューブにエチレン(6bar)を装入し40℃で6時間振とうした。エチレンを減圧しチューブにCO(8bar)を装入した。溶液を40℃で15時間加熱した。対応するニッケララクトンを分光法により検出した。
H NMR(200MHz,THF−d):δ(ppm)=0.74〜0.84(m,2H,NiCHCHCOO)、1.30〜1.36(d,PH=14Hz,18H,((CHC)P)、1.81(s,9H,(CHCN)、1.89〜1.98(m,2H,NiCHCHCOO)、4.33(d,J=4.0Hz,CH)、7.12(s,1H,NCH=CHN)、7.25(s,NCH=CHN)。13C{H}NMR(50MHz,THF−d):δ(ppm)=3.6(d,J=30Hz)、29.3(d,J=3.3Hz)、31.5(s)、35.2(d,J=17Hz)、37.9(s)、45.3(d,J=24Hz)、59.2(s)、118.2(d,J=5.2Hz)、120.4(s)、186.7(s)、187.8(d,J=9.0Hz)。31P{H}NMR(81MHz,THF−d):δ(ppm)=83.1(s)。
[実施例2c]
ニッケララクトンの形成
2−(2−(ジフェニルホスフィノ)エチル)ピリジン(145.9mg、0.5mmol)及びNi(COD)(138mg、0.5mmol)のTHF(10ml)中懸濁液を、溶液が赤色になるまで撹拌した。混合物をオートクレーブへ移し、THF(10ml)で希釈した。オートクレーブにエチレン(20bar)を装入し室温で30分間撹拌(600rpm)した。次いでエチレンの圧力を減じ(5bar)、45barの最終圧力までCOを注入した。混合物を45℃で24時間撹拌した(600rpm)。減圧しガラス容器へ移した後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をメタノール(3ml)中に溶解させた。ジエチルエーテル(50ml)を添加すると、微細な黄色の固体が析出し、これは対応するニッケララクトンであることが分かった。これを高真空下で乾燥させた(148mg、収率68%)。
2325NNiOP(436.098)計算値:C62.60、H5.25、N3.32、実測値:C62.46、H5.35、P3.28。H NMR(200MHz,CDCl):δ(ppm)=0.43(dd,2H,J=16.4,J=7.2Hz,Ni−CH)、2.14(m,4H,Ni−CH−CH,P−CH−CH)、3.28(dd,2H,J=26.3,J=4.7Hz,P−CH)、7.07〜8.01(m,13H)、9.08〜9.13(m,1H)。31P{H}NMR(81MHz,CDCl):δ(ppm)=34.9。13C{H}NMR(50MHz,CDCl):δ(ppm)=8.89(d,J=30.7Hz)、24.4(d,J=23.8Hz)、33.6、39.4、121.8、123.1、124.8、128、129.2、131.3、133.3、133.9、136.7、138.5、149.5、152.5。IR(KBr):3850、3433、2924、2902、2880、2859、2792、1629、1603、1479、1446、1434、1404、1161、882、861、772、747、512cm−1
[実施例3]
ニッケララクトンの開裂
実施例2から得られるニッケララクトン(11.2mg、0.025mmol)のクロロベンゼン(1ml)中溶液を、NaOtBu(7.2mg、0.075mmol)と混合し、室温で1.5時間撹拌した。
H NMR(200MHz,CDOD):δ(ppm)=1.08〜1.21(m,36H,(CHC)、1.59〜1.79(m,5H,CH,オレフィンCH)、2.10〜2.22(m,1H,オレフィンCH)、2.75(br,1H,オレフィンCH)。31P{H}NMR(202MHz,CDOD):δ(ppm)=87.3(d,PP=61Hz)、93.7(d,PP=61Hz)。
[実施例4]
(参考例):(dtbpe)Ni(η−アクリル酸)錯体の調製
アルゴン雰囲気下で、Ni(COD)(1.50g、5.45mmol)及びdtbpe(1.74g、5.45mmol)をTHF(20ml)中に溶解させた。0℃に冷却後、アクリル酸(0.39ml、5.7mmol)を徐々に添加した。混合物を0℃で3時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去し、残渣をジエチルエーテル(2×10ml)で洗浄した。減圧乾燥して黄色粉末としての(dtbpe)Ni(η−アクリル酸)錯体(2.31g、94%)を得た。飽和THF溶液中にジエチルエーテルを徐々に拡散させることにより、X線結晶構造解析に適した結晶を室温で得た。X線構造解析の結果を図2に示す。
H NMR(600MHz,C):δ=0.98(d,PH=12Hz,9H,(CHC)、1.10(d,PH=12Hz,9H,(CHC)、1.14(d,PH=12Hz,9H,(CHC)、1.22(d,PH=12Hz,9H,(CHC)、1.27〜1.39(m,4H,CH)、2.26〜2.27(br m,1H,CHH=CHCOH)、2.74〜2.77(br m,1H,CHH=CHCOH)、3.36(br m,1H,CHH=CHCOH)、13.56(br s,1H,OH)。13C{H}NMR(151MHz,C):δ=23.3〜23.8(m,CH)、30.3〜30.6(m,(CHC)、33.0(d,PC=23Hz,CH=CHCOH)、34.4〜34.7(m,(CHC)、35.3〜35.4(m,(CHC)、42.7(d,PC=14Hz,CH=CHCOH)、182.7(s,CH=CHCOH)。31P{H}NMR(243MHz,C):δ=86.1(d,PP=53Hz)、94.9(d,PP=53Hz)。IR(KBr):460、631、670、712、742、817、946、991、1019、1114、1138、1196、1272、1366、1428、1474、1567、1641、2358、2870、2903、2953、3469cm−1
[実施例5]
(参考例):(dtbpe)Ni(η−アクリル酸ナトリウム)錯体の調製
アルゴン雰囲気下で、(dtbpe)Ni(η−アクリル酸)(503mg、1.12mmol)及びナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(209mg、1.12mmol)をTHF(10ml)中に溶解させ、室温で14時間撹拌した。黄色の析出物が得られ、ろ過した。THFにより洗浄して(dtbpe)Ni(η−アクリル酸ナトリウム)錯体(197mg、37%)を得た。
H NMR(600MHz,CDOD):δ(ppm)=1.21〜1.30(m,36H,(CHC)、1.69〜1.82(m,4H,CH)、1.88〜1.89(br m,1H,CHH=CHCONa)、2.27〜2.28(br m,1H,CHH=CHCONa)、2.86(br m,1H,CH=CHCONa)。13C{H}NMR(151MHz,CDOD):δ(ppm)=24.4〜24.7(m,CH)、30.9〜31.4(m,(CHC)、35.0(d,PC=22Hz,CH=CHCONa)、35.1〜35.9(m,(CHC)、47.9(d,PC=17Hz,CH=CHCONa)、187.3(s,CH=CHCONa)。31P{H}NMR(243MHz,CDOD):δ(ppm)=87.2(d,PP=61Hz)、93.5(d,PP=61Hz)。IR(KBr):431、454、495、529、564、578、609、664、690、792、814、838、849、899、950、989、1022、1055、1095、1140、1180、1279、1367、1392、1452、1479、1561、1637、1659、1685、1908、2718、2867、2900、2948、2979、3041、3085、3407cm−1
[実施例6]
エチレンによる(dtbpe)Ni(η−アクリル酸ナトリウム)錯体の良好な配位子交換
アルゴン下で、実施例5からの(dtbpe)Ni(η−アクリル酸ナトリウム)錯体(32.4mg、72.1μmol)をTHF−d(0.60ml)中に溶解させ、高圧NMRチューブ中でエチレン(8bar)を装入した。反応溶液を60℃で20時間加熱した。NMR解析は(dtbpe)Ni(エチレン)錯体のみが存在することを示した。
31P{H}NMR(81MHz,THF−d):δ(ppm)=35.9(s)(dtbpe,4.1%)、91.9(s)((dtbpe)Ni(エチレン)コンプレックス,95.9%)。H NMR(200MHz,THF−d):δ(ppm)=1.17〜1.23(m,36H,(CHC)、1.64〜1.93(br,8H,CHCH及びオレフィンCH)。
[実施例7]
(本発明の実施例):触媒によるアクリル酸ナトリウムの形成
1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン(79.5mg、0.25mmol)及びNi(COD)(69mg、0.25mmol)をクロロベンゼン(10ml)中に懸濁させた。赤色溶液が得られるまで混合物を撹拌した。混合物をオートクレーブへ移し、クロロベンゼン(10ml)で希釈した。オートクレーブにエチレンを20barまで装入した。混合物を45℃で30分間撹拌(600rpm)した。工程1で、混合物を室温まで冷却し、エチレンの圧力を10barまで減じた。50barの最終圧力が達成されるまでCOを注入した。混合物を60℃で2時間撹拌した(600rpm)。圧力を解放し、混合物を室温まで冷却し、反応器にエチレン(20bar)を装入し、1分間撹拌した。その過程で圧力は1barまで低下した。この工程を3回繰り返した。1barのエチレン圧力において、NaOtBu(48mg、0.5mmol)を工程2で混合物に添加し、1時間撹拌した。オートクレーブにエチレン(20bar)を装入し、混合物を45℃でさらに1時間撹拌した。18回のサイクル(工程1及び2)の後、圧力を解放した。MeI(25.1mg、0.125mmol)を含むDO(46ml)を内部標準として添加した。水性抽出物のH NMR及びHPLC解析は、アクリル酸ナトリウムの超化学量論含量を示した(2.55mmol、Ni(COD)を基準として収率1020%)。
H NMR(300MHz,THF−d):δ(ppm)=1.24(m,36H,C(CH)、1.65〜1.85(m,4H,CH)、2.18(m,1H,オレフィンCH)、2.72(br,1H,オレフィンCH)、10.84(br,1H,COOH)。31P{H}NMR(81MHz,CDCl,298K)、δ(ppm)=87.73(d,JP,P=55.56Hz)、95.98(d,JP,P=55.56Hz)。HPLC(Shodex RSpak KC−811 300×8mm(2本カラム)、40℃、注入容量100μL、流量:1ml/分、検出:λ=205nm、溶離液:0.1%リン酸):0.88質量%のアクリル酸。
[実施例8]
(比較例):エチレンによる(dtbpe)Ni(η−アクリル酸)錯体の配位子交換の試行
アルゴン下で、(dtbpe)Ni(η−アクリル酸)錯体(31.5mg、70.1μmol)をTHF−d(0.60ml)中に溶解させ、高圧NMRチューブ中へ導入した。チューブにエチレンを装入し、60℃で18時間撹拌した。NMR解析は、生成物が(dtbpe)Ni(エチレン)(3.1%)、(dtbpe)Ni(η−アクリル酸)(95.6%)、及び遊離dtbpe配位子(1.3%)の混合物であることを示した。
31P{H}NMR(81MHz、THF−d):δ(ppm)=36.0(s,dtbpe)、86.8(d,PP=55Hz,(dtbpe)Ni(η−アクリル酸ナトリウム))、91.9(s,(dtbpe)Ni(エチレン))、95.2(d,PP=55Hz,(dtbpe)Ni(η−アクリル酸ナトリウム))。

Claims (14)

  1. a)遷移金属−アルケン錯体をCOと反応させてメタララクトンを生じさせ、
    b)メタララクトンを、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属超塩基又はアルカリ土類金属超塩基から選択される塩基と反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と遷移金属錯体との付加体を生じさせ、
    c)付加体をアルケンと反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を放出し遷移金属−アルケン錯体を再生する、
    α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を調製する方法。
  2. アルカリ金属超塩基又はアルカリ土類金属超塩基が、アルカリ金属アルコキシド若しくはアルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ金属水素化物若しくはアルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属アジド若しくはアルカリ土類金属アジド、アルカリ金属リン化物若しくはアルカリ土類金属リン化物、アルカリ金属シラノラート若しくはアルカリ土類金属シラノラート、アルカリ金属アルキル若しくはアルカリ土類金属アルキル、又はアルカリ金属アリール若しくはアルカリ土類金属アリールから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 遷移金属錯体が、元素周期表の4、6、7、8、9、又は10族の少なくとも1つの金属を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 遷移金属錯体がNiの錯体を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 遷移金属錯体が、遷移金属に配位するリン原子及び/又は遷移金属に配位するカルベン基を少なくとも1つ含む、少なくとも1つの配位子を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 配位子が、遷移金属に配位する少なくとも1つのリン原子及び第二級又は第三級炭素原子を介してリン原子に結合している少なくとも1つの基を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 配位子が、二座P,P配位子二座P,N配位子二座P,O配位子、又は二座P,カルベン配位子である、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 二座P,P配位子二座P,N配位子二座P,O配位子、又は二座P,カルベン配位子が遷移金属に配位して5員環を形成する、請求項7に記載の方法。





  9. 配位子が1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン又はビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタンである、請求項8に記載の方法。
  10. アルケンがエテンであり、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸がアクリル酸である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 反応媒体が、芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、エーテル、アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水、及びそれらの混合物から選択される溶媒を含む、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. 工程c)で形成されるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が、反応媒体から取り出される、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 取出しが、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の塩が豊富な第1の液相、及び遷移金属−アルケン錯体が豊富な第2の液相への液液相分離を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 工程c)の後、反応媒体が水性相により抽出され、得られる第1の液相がα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の水性溶液である、請求項13に記載の方法。
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