JP6121788B2 - 車輪速検出機構 - Google Patents
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本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で車輪速センサを設けることが可能な車輪速検出機構を提供することを目的とする。
本発明によれば、環状駆動力伝達部材の張力を調節可能な伝達部材アジャスト機構は、張力調整時に後輪とともに移動するアジャスト部材を備え、車輪速センサは、アジャスト部材に取り付けられるため、簡単な構造で車輪速センサを設けることができる。これにより、キャリパブラケットに車輪速センサ用のセンサ取付孔を設ける必要が無くなり、キャリパブラケットを作り分ける必要もなくなるため、大型部品の歩留まりを向上できる。また、張力調整時に、車輪速センサはアジャスト部材とともに移動するため、車輪速センサとパルサリングとの相対位置を調整する必要がなく、メンテナンス性が良い。また、パルサリングを簡単な構成で固定でき、部品点数を削減できるとともにメンテナンス性が良い。
本発明によれば、車輪に取り付けられたブレーキディスクを挟むことにより制動力を発生するブレーキキャリパを備え、後輪の幅方向一側方にブレーキディスクが配置され、後輪の幅方向他側方にアジャスト部材及びパルサリングが配置される。このため、後輪の幅方向一側方のブレーキディスクと幅方向他側方のパルサリングとの間の距離を確保でき、ブレーキディスクの熱がパルサリングに及ぶことを防止できる。
本発明によれば、車輪速センサを路面側の外力から保護できる。
本発明によれば、車輪速センサを簡単な構造でアジャスト部材に取り付けできる。
また、本発明は、前記パルサリング(91)は、車幅方向外側へ折り曲げられた段部(94)を外周端に有し、当該段部(94)の先端は、前記スプロケット(17)の歯部(17a)から車幅方向に離間した位置で前記歯部(17a)に沿って形成されることを特徴とする。
本発明によれば、外側からの異物のスプロケット側への侵入をパルサリングによって抑止できるとともに、環状駆動力伝達部材の汚れが車輪速センサに及ぶことを低減できる。さらに、段部によってパルサリングの剛性を確保できる。
また、本発明は、前記車輪速センサ(92)は、側面視で前記環状駆動力伝達部材(19)のカバー(21)と重なることを特徴とする。
本発明によれば、車輪速センサは、側面視で環状駆動力伝達部材のカバーと重なるため、カバーで車輪速センサを保護できる。
また、ブレーキディスクの熱がパルサリングに及ぶことを防止できる。
また、パルサリングを簡単な構成で固定でき、部品点数を削減できるとともにメンテナンス性が良い。
また、車輪速センサを路面側の外力から保護できる。
さらに、車輪速センサを簡単な構造でアジャスト部材に取り付けできる。
また、外側からの異物のスプロケット側への侵入をパルサリングによって抑止できるとともに、環状駆動力伝達部材の汚れが車輪速センサに及ぶことを低減できる。さらに、パルサリングの剛性を確保できる。
また、カバーを利用して車輪速センサを保護できる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自動二輪車の右側面図である。
自動二輪車1は、車体フレームF(車体)にエンジン20(パワーユニット)が支持され、前輪2を支持するフロントフォーク10が車体フレームFの前端に操舵可能に支持され、後輪3を支持するスイングアーム11(リヤアーム)が車体フレームFの後部側に設けられ、乗員が着座するシート12が車体フレームFの上方に設けられた鞍乗り型の車両である。
スイングアーム11の後端には、車軸16が設けられ、後輪3は車軸16に軸支される。後輪3は、ドリブンスプロケット17(スプロケット)を備えており、エンジン20の出力軸に設けられたドライブスプロケット(不図示)とドリブンスプロケット17との間に巻き掛けられる無端状の駆動チェーン19(環状駆動力伝達部材)を介して回転駆動される。駆動チェーン19の上部は、スイングアーム11に取り付けられるチェーンカバー21(カバー)によって上方及び外側方を覆われる。
スイングアーム11は、ピボット軸14が挿通される筒状の前端連結部30と、前端連結部30の両端部から後輪3の側方まで後方に延びる左右一対のアーム部31,32と、左右のアーム部31,32の前部の内側面同士を連結するクロス部材33とを備える。
アーム部31,32は、前端連結部30からクロス部材33の後方まで、後方側ほど車幅方向に互いに距離が広がるように延びるアーム前部34と、アーム前部34から前後方向に真っ直ぐに延びるアーム後部35とをそれぞれ備える。各アーム後部35の上面には、クッションユニット15の下端部か連結されるクッションブラケット22が設けられている。
左右の後輪支持部36,36には、駆動チェーン19の張力を調節可能な伝達部材アジャスト機構70が設けられている。
また、左側のアーム後部35近傍には、後輪3の車輪速を検出する車輪速検出部90(図4)が設けられている。
後輪3は、タイヤTと、タイヤTが取り付けられるホイール39(車輪)とを備える。ホイール39は、車軸16に嵌合するハブ部40と、ハブ部40の外周側に配置されタイヤTが装着されるリム部41と、リム部41とハブ部40とを連結する複数のスポーク部42とを備える。
ハブ部40は、車幅方向に延びる略円筒状に形成されており、車軸16が挿通される車軸挿通孔43を中央に備える。車軸挿通孔43の両端部には、ボールベアリング44a,44bが設けられており、ボールベアリング44a,44bの間には、車軸16よりも大径のスリーブ45が介装されている。右側のボールベアリング44bはシール部材46によりシールされている。
後輪ブレーキ50は、リング状のブレーキディスク51と、ブレーキディスク51を挟んで制動力を発生させるブレーキキャリパ52と、ブレーキキャリパ52を支持するキャリパブラケット53とを備える。
ブレーキディスク51は、内周側の周縁部に挿通される複数のディスク固定ボルト54によって、ハブ部40の一側面40a(右側面)に締結されている。
キャリパブラケット53は、車軸16が挿通される連結孔部53aを備え、連結孔部53aを介して車軸16に支持されるとともに、不図示の係合部を介してアーム部32に固定されている。連結孔部53aとボールベアリング44bとの間には、カラー55が介装されている。
嵌合部61と凹部40bの側壁との間において周方向には、ダンパー部材(不図示)が介装されており、後輪3とスプロケット支持部材60との間のトルクの伝達は、上記ダンパー部材を介して行われる。
伝達部材アジャスト機構70は、後輪支持部36に対して前後にスライド可能な左右一対のアジャスト部材71L,71Rと、アジャスト部材71L,71Rのスライド操作に用いられる調整用ボルト72,72(調整用部材)とを備える。
車輪速検出部90は、後輪3に取り付けられるパルサリング91と、左側のアジャスト部材71Lに取り付けられる車輪速センサ92とを備える。
図5及び図6に示すように、後輪支持部36は、上面と下面との間隔が後方側ほど狭くなるテーパー状に形成されるとともに、外側面が傾斜して後方側ほど板厚が薄くなるように形成されている。後輪支持部36の内側面36bは、車軸16に対して略直交する平坦面である。
後輪支持部36の後面36cには、後面36cから車軸孔37まで貫通する調整用ねじ孔部74が形成されている。
図2、図3、図7及び図8に示すように、アジャスト部材71Lは、アジャスター取付溝73の取付面73aに沿って前後に延びるアジャスター外板部75と、後輪支持部36の内側面36bに沿って前後に延びるアジャスター内板部76と、アジャスター外板部75及びアジャスター内板部76の後端同士を車幅方向に連結する後板部77とを備え、平面視では、前端が開放した略コの字状に形成されている。
左側のアーム部31に取り付けられるアジャスト部材71Lには、アジャスター内板部76の前部の上縁から上方に延出するセンサ取付部78が形成されている。
右側のアジャスト部材71Rは、センサ取付部78を備えていない点を除き、アジャスト部材71Lと同様に構成されているため、アジャスト部材71Rの詳細な説明は省略する。
アジャスト部材71L,71Rは、後方側からアジャスター外板部75をアジャスター取付溝73に差し込むようにして後輪支持部36に組み付けられる。この状態では、後輪支持部36の取付面73a(図2)及び内側面36bは、アジャスター外板部75とアジャスター内板部76とによって挟まれる。アジャスト部材71L,71Rは、車軸通し孔79が後輪支持部36の車軸孔37に連通するように配置される。
アジャスト部材71L,71Rは、後板部77の内面が調整用ボルト72のフランジ部72cに後方から当接することで前後の位置を規制される。調整用ボルト72の頭部72aは、後板部77の係合孔部77aに挿通され、後板部77の後方に露出する。
図4及び図9を参照し、スプロケット支持部材60の取付部62の外側面には、外周部を周方向に亘って一段窪ませた環状段部62aが形成されている。リング状に形成されたドリブンスプロケット17は、環状段部62aに嵌めこまれ、内周側の周縁部に挿通される複数のスプロケット固定ボルト68によってスプロケット支持部材60に締結される。詳細には、スプロケット固定ボルト68は、環状段部62aに固定された植え込みボルトであり、ドリブンスプロケット17は、スプロケット固定ボルト68に螺合するナット68aによって固定される。
駆動チェーン19は、ドリブンスプロケット17の外周部に形成された歯部17aに噛み合う。ドリブンスプロケット17は、歯部17aよりも内周側の外側面に段差部17bを有し、歯部17aよりも内周側の板厚が薄く形成されている。
パルサリング91は、ドリブンスプロケット17の段差部17bに当接する基部93と、基部93から車幅方向外側に折り曲げられた段部94とを有する。段部94は、基部93から車幅方向外側に突出する外側延出部95と、外側延出部95の端から屈曲してドリブンスプロケット17と略平行に径方向外側に延びる被検出部96とを備える。段部94を設けることで、パルサリング91の剛性が向上する。被検出部96には、車輪速センサ92が検出する孔97が周方向に所定間隔をあけて複数形成されている。
パルサリング91は、基部93に設けられた孔部93aを介してスプロケット固定ボルト68に嵌合され、ナット68aによってドリブンスプロケット17に共締めされる。このため、パルサリング91を固定する特別な部材を設ける必要がなく、構造を簡略化できる。
車輪速センサ92は、センサ本体部92aがセンサ支持孔82aに外側から挿入されて支持されるとともに、取り付け板部92bに挿通されるセンサ固定ボルト98,98によって固定孔82b,82bに締結される。この状態では、センサ本体部92aの先端は、被検出部96に対して側面視で重なるとともに車幅方向で近接するため、孔97を良好に検出できる。車輪速センサ92は、センサ取付部78に取り付けられて後輪支持部36の上方且つ後輪支持部36の外側面よりも車幅方向内側に位置する。このため、下方の路面側から跳ね上げられる小石等の異物をスイングアーム11によって遮断でき、車輪速センサ92を保護できる。
車輪速センサ92の信号は、ケーブル92cを介して自動二輪車1の制御部(不図示)に出力される。車輪速センサ92は、後輪3と一体に回転するパルサリング91の孔97を検出し、例えば、所定時間当たりに検知された孔97の数に基づいて、後輪3の車輪速(回転状態)を算出し、この算出値に基づいて上記ABSシステムは液圧を制御する。
スイングアーム11、駆動チェーン19、伝達部材アジャスト機構70、後輪ブレーキ50及び車輪速検出部90は、駆動チェーン19の張力の調整が可能且つ車輪速を検出できるとともに後輪ブレーキ50を備えた車輪速検出機構を構成する。
駆動チェーン19の張力の調整は、後輪3とともにドリブンスプロケット17を前後に移動させることで行われる。車軸16は車軸通し孔79,79に嵌合されて左右のアジャスト部材71L,71Rに一体化されているため、アジャスト部材71L,71Rを前後にスライドさせることで、車軸16を介して後輪3を前後に移動させることができる。
駆動チェーン19の張力を調整する場合、まず、車軸ナット16bの締結が緩められる。これにより、車軸16の軸方向の圧縮力が解除され、左右のアジャスト部材71L,71R、後輪3、キャリパブラケット53及びスプロケット支持部材60は移動可能となる。
アジャスト部材71L,71Rの位置は、目盛り部81と後面36cとの相対的な位置関係により正確に示される。
さらに、パルサリング91の被検出部96によってドリブンスプロケット17の歯部17aを外側方から覆うため、外側からの異物がドリブンスプロケット17の歯部17a側に侵入することを抑制できる。また、駆動チェーン19側の汚れが車輪速センサ92側に飛ぶことをパルサリング91によって抑制できる。
また、車輪速センサ92は、ホイール39の車軸16の上側に配置されるため、車輪速センサ92を路面側の外力から保護できる。
また、パルサリング91は、車幅方向外側へ折り曲げられた段部94を外周端に有し、段部94の被検出部96の先端は、ドリブンスプロケット17の歯部17aから車幅方向に離間した位置で歯部17aに沿って形成されるため、外側からの異物のドリブンスプロケット17側への侵入をパルサリング91によって抑止できるとともに、駆動チェーン19の汚れが車輪速センサ92に及ぶことを低減できる。さらに、段部94によってパルサリング91の剛性を確保できる。
また、車輪速センサ92は、側面視で駆動チェーン19のチェーンカバー21と重なるため、チェーンカバー21で車輪速センサ92を保護できる。
上記第1の実施の形態では、環状駆動力伝達部材として駆動チェーン19を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、環状駆動力伝達部材は、ドライブスプロケットとドリブンスプロケットとの間に巻き掛けられる無端状の駆動ベルトであっても良い。
また、上記第1の実施の形態では、パワーユニットとしてエンジン20を例に挙げて説明したが、これに限らず、パワーユニットは、例えば、モーター(電動機)であっても良い。
また、上記第1の実施の形態では、車輪速センサ92はABSシステムの制御に用いられるものとして説明したが、これに限らず、車輪速センサ92は、車体制御、エンジン制御及びトラクションコントロール等に利用されるものであっても良い。
さらに、上記第1の実施の形態では、被検出部96の先端は、径方向において、駆動チェーン19の内周面19aと略一致した位置にあるものとして説明したが、これに限らず、被検出部96を径方向にさらに延出し、被検出部96で駆動チェーン19の側面を覆う構成としても良い。
以下、図10を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
上記第1の実施の形態では、センサ取付部78は、アジャスター内板部76に設けられるものとして説明したが、本第2の実施の形態は、センサ取付部178が、アジャスター外板部75に設けられる点が、上記第1の実施の形態と異なる。
図10に示すように、左側の後輪支持部36に取り付けられるアジャスト部材171Lは、アジャスター外板部75、アジャスター内板部76及び後板部77(図2)を備え、アジャスター外板部75には、後輪支持部36の上方に延びるセンサ取付部178が一体に設けられている。
センサ取付部178は、後輪支持部36の上面に形成されたスリット36dを通って上方に延びる。
第2の実施の形態によれば、車輪速センサ92は、アジャスト部材171Lに取り付けられるため、簡単な構造で車輪速センサ92を設けることができる。また、ブレーキディスク51とパルサリング91との間の距離を後輪3を跨いで確保できるため、ブレーキディスク51の熱がパルサリング91に及ぶことを防止できる。また、張力調整時に、車輪速センサ92は、パルサリング91と一体に移動するアジャスト部材171Lとともに移動するため、車輪速センサ92とパルサリング91との相対位置を調整する必要がなく、メンテナンス性が良い。
11 スイングアーム(リヤアーム)
16 車軸
17 ドリブンスプロケット(スプロケット)
17a 歯部
19 駆動チェーン(環状駆動力伝達部材)
20 エンジン(パワーユニット)
21 チェーンカバー(カバー)
31 アーム部
39 ホイール(車輪)
51 ブレーキディスク
52 ブレーキキャリパ
70 伝達部材アジャスト機構
71L,171L アジャスト部材
78,178 センサ取付部
91 パルサリング
92 車輪速センサ
94 段部
96 被検出部
F 車体フレーム(車体)
Claims (6)
- 車体(F)に揺動可能に支持され後輪側方まで延びるアーム部(31)を備え、後端で後輪(3)を回転可能に支持するリヤアーム(11)と、パワーユニット(20)からの駆動力を前記後輪(3)に伝達する環状駆動力伝達部材(19)と、前記環状駆動力伝達部材(19)の張力を調節可能な伝達部材アジャスト機構(70)と、車輪(39)とともに回転するパルサリング(91)と、当該パルサリング(91)に形成された被検出部(96)を検出する車輪速センサ(92)とを備える車輪速検出機構であって、
前記伝達部材アジャスト機構(70)は、張力調整時に前記後輪(3)とともに移動するアジャスト部材(71L,171L)を備え、
前記車輪速センサ(92)は、前記アジャスト部材(71L,171L)に取り付けられ、
前記パルサリング(91)は、前記環状駆動力伝達部材(19)に回転させられるスプロケット(17)とともに前記車輪(39)に締結されていることを特徴とする車輪速検出機構。 - 前記車輪(39)に取り付けられたブレーキディスク(51)を挟むことにより制動力を発生するブレーキキャリパ(52)を備え、
前記後輪(3)の幅方向一側方に前記ブレーキディスク(51)が配置され、前記後輪(3)の幅方向他側方に前記アジャスト部材(71L,171L)及び前記パルサリング(91)が配置されることを特徴とする請求項1記載の車輪速検出機構。 - 前記車輪速センサ(92)は、前記車輪(39)の車軸(16)の上側に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の車輪速検出機構。
- 前記アジャスト部材(71L,171L)は、前記車輪速センサ(92)が取り付けられるセンサ取付部(78,178)まで一体的に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車輪速検出機構。
- 前記パルサリング(91)は、車幅方向外側へ折り曲げられた段部(94)を外周端に有し、当該段部(94)の先端は、前記スプロケット(17)の歯部(17a)から車幅方向に離間した位置で前記歯部(17a)に沿って形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車輪速検出機構。
- 前記車輪速センサ(92)は、側面視で前記環状駆動力伝達部材(19)のカバー(21)と重なることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車輪速検出機構。
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