JP6119897B2 - ジエン系ゴムの製造方法 - Google Patents
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Description
前記水1molに対する前記有機金属助触媒の添加量を0.5〜2.5molとし、
前記モノマー液1m3に対し9.0〜45.0mmolのゲル化防止剤としての硫黄系酸化防止剤を添加する工程を有するジエン系ゴムの製造方法に関する。
本発明で用いるモノマー液は、目的とするジエン系ゴムを与える共役ジエン系モノマーと、有機溶媒とを含む。モノマー液は、目的とするジエン系ゴムを与えるモノマーとして、共役ジエン系モノマー以外の他の共重合モノマーを含んでいてもよい。
本発明では、共役ジエン系モノマーを重合させる際に、水を共存させる。モノマー液に添加する水の量は、モノマー液1m3に対して0.5〜5molの範囲が好ましく、1〜3molの範囲がより好ましい。
本発明では、共役ジエン系モノマーを重合させる触媒として、遷移金属触媒を用いる。遷移金属触媒は、共役ジエン系モノマーを重合して得られるジエン系ゴムの物性に大きく影響するので、目的とするジエン系ゴムの物性等を考慮して適宜選択すればよい。
本発明では、遷移金属触媒とともに有機金属助触媒を用いる。有機金属助触媒としては、例えば、有機アルミニウム化合物を用いることができる。有機金属助触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、共役ジエン系モノマーを重合してジエン系ゴムを製造するにあたり、分子量調整剤を用いることができる。
本発明では、共役ジエン系モノマーを重合してジエン系ゴムを製造するにあたり、ゲル化防止剤を用いる。ゲル化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ニトロ化合物系酸化防止剤が挙げられる。中でも、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤又は硫黄系酸化防止剤が好ましく、硫黄系酸化防止剤がより好ましい。ゲル化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、モノマー液に、水と遷移金属触媒と有機金属助触媒とゲル化防止剤と(好ましくは、さらに分子量調整剤)を添加することで、モノマー液中の共役ジエン系モノマーを重合して、ジエン系ゴムを得る。
(1)水→ゲル化防止剤→有機金属助触媒→遷移金属触媒
(2)水→有機金属助触媒→ゲル化防止剤→遷移金属触媒
(3)ゲル化防止剤→水→有機金属助触媒→遷移金属触媒
(4)ゲル化防止剤→有機金属助触媒→水→遷移金属触媒
(5)有機金属助触媒→水→ゲル化防止剤→遷移金属触媒
(6)有機金属助触媒→ゲル化防止剤→水→遷移金属触媒
が挙げられる。分子量調整剤は、例えば、遷移金属触媒を添加する前の任意のタイミングで添加できるが、ゲル化防止剤と同時か、ゲル化防止剤の直前又は直後に添加することが好ましい。また、遷移金属触媒を添加する前に、有機金属助触媒を添加した後の液体を熟成することが好ましい。
本発明では、所定条件下で共役ジエン系モノマーの重合を行った後に重合停止剤を添加することで、共役ジエン系モノマーの重合を停止させることができる。
本発明の方法により製造されるジエン系ゴムは、用いた共役ジエン系モノマー及び重合反応より決まる。例えば、共役ジエン系モノマーとして1,3−ブタジエンを用い、シス−1,4重合を行うことで、1,4−ポリブタジエンゴムが得られる。
窒素ガスで置換した撹拌機付きステンレス製反応槽(槽容積:1.5L、槽径:0.106m、攪拌翼径:0.070m)中に、予めモレキュラーシーブスを用いて脱水処理したモノマー液1.0L(1,3−ブタジエン:31.6重量%、C4留分:37.4重量%、シクロヘキサン:29.5重量%)を投入した。そのモノマー液を400rpmで撹拌しながら、水1.7mmol、分子量調整剤としてのシクロオクタジエン4.0mmol、及びゲル化防止剤としてのジラウリルチオジプロピオネート9.0μmolをこの順に加えて、25℃で30分間撹拌した。さらに、助触媒としてのジエチルアルミニウムクロライド3.0mmolを加え、25℃で5分間撹拌した。その後、モノマー液の温度を60℃まで昇温し、触媒としてのコバルトオクトエート7.5μmolを加えることで、シス−1,4重合を行った。60℃で20分間の重合を行った後、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを含むメタノールを加えて重合を停止させ、未反応のブタジエン及びC4留分を蒸発除去することで、1,4−ポリブタジエンゴム129gを得た。
得られた1,4−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量及び分子量分布は、2本のカラム(昭和電工社製、商品名:Shodex GPC KF−805L column)を直列に接続したGPC装置(東ソー社製、商品名:HLC−8220 GPC)を用い、予め作成した標準ポリスチレンの検討線により算出した。溶離液としてはTHFを用い、カラム温度は40℃に設定した。
得られた1,4−ポリブタジエンゴムのシス−1,4構造の割合は、0.4重量%の二硫化炭素溶液を用いて赤外吸収スペクトル分析を行い、740cm−1(シス)、967cm−1(トランス)、910cm−1(ビニル)の吸収強度比から算出した。
得られた1,4−ポリブタジエンゴムのゲル含有率は、次のように算出した。まず、ゴム10gと400mLのトルエンを三角フラスコに入れ、室温(25℃)にて完全に溶解させた。その後、200メッシュの金網を設置した濾過器を用いて濾過し、濾過後に金網に付着したゲルを真空乾燥させ、それをトルエン不溶分として重量を測定した。そして、試料ゴムに対するトルエン不溶分の割合を算出した。
得られた1,4−ポリブタジエンゴムの5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)は、1,4−ポリブタジエンゴム2.28gをトルエン50mLに溶解させた後、キャノン・フェンスケ粘度計No.400を用いて25℃で測定した。なお、標準液としては、粘度計校正用標準液(JIS−Z8809)を用いた。
得られた1,4−ポリブタジエンゴムのムーニー粘度(ML1+4)は、JIS−K6300に準拠して100℃にて測定した。
ジラウリルチオジプロピオネートの添加量を調整することで、モノマー液1m3に対するゲル化防止剤の添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で1,4−ポリブタジエンゴムを製造した。そして、得られた1,4−ポリブタジエンゴムのMw、Mw/Mn、シス−1,4構造の割合、ゲル含有率、Tcp、及びML1+4を実施例1と同様の方法で測定し、Tcp/ML1+4を算出した。これらの結果を表1に示す。
ジラウリルチオジプロピオネートを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で1,4−ポリブタジエンゴムを製造した。そして、得られた1,4−ポリブタジエンゴムのMw、Mw/Mn、シス−1,4構造の割合、ゲル含有率、Tcp、及びML1+4を実施例1と同様の方法で測定し、Tcp/ML1+4を算出した。これらの結果を表1に示す。
[1]共役ジエン系モノマーと有機溶媒とを含むモノマー液に、水と遷移金属触媒と有機金属助触媒を添加して、前記共役ジエン系モノマーを重合するジエン系ゴムの製造方法であって、
前記モノマー液1m3に対し1〜100mmolのゲル化防止剤を添加する工程を有するジエン系ゴムの製造方法。
[2]前記水1molに対する前記有機金属助触媒の添加量が0.5〜2.5molである[1]に記載のジエン系ゴムの製造方法。
[3]前記ゲル化防止剤が、硫黄系酸化防止剤である[1]又は[2]に記載のジエン系ゴムの製造方法。
[4]前記有機金属助触媒が、有機アルミニウム化合物である[1]〜[3]のいずれか1項に記載のジエン系ゴムの製造方法。
[5]前記共役ジエン系モノマーが1,3−ブタジエンであり、前記ジエン系ゴムが1,4−ポリブタジエンゴムである[1]〜[4]のいずれか1項に記載のジエン系ゴムの製造方法。
[6]モノマーと有機溶媒とを含むモノマー液に、水と有機金属化合物を添加して、前記モノマーを重合するポリマーの製造方法であって、
前記モノマー液1m3に対し1〜100mmolのゲル化防止剤を添加する工程を有するポリマーの製造方法。
[7]前記水1molに対する前記有機金属助触媒の添加量が0.5〜2.5molである[6]に記載のポリマーの製造方法。
[8]前記ゲル化防止剤が、硫黄系酸化防止剤である[6]又は[7]に記載のポリマーの製造方法。
[9]前記有機金属助触媒が、有機アルミニウム化合物である[6]〜[8]のいずれか1項に記載のポリマーの製造方法。
Claims (1)
- 共役ジエン系モノマーと有機溶媒とを含むモノマー液に、水と遷移金属触媒と有機金属助触媒を添加して、前記共役ジエン系モノマーを重合するジエン系ゴムの製造方法であって、
前記水1molに対する前記有機金属助触媒の添加量が0.5〜2.5molであり、
前記モノマー液1m3に対し9.0〜45.0mmolのゲル化防止剤としての硫黄系酸化防止剤を添加する工程を有するジエン系ゴムの製造方法。
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