JP6119294B2 - 量子干渉装置、原子発振器および移動体 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器および移動体 Download PDF

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Description

本発明は、量子干渉装置、原子発振器および移動体に関するものである。
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。一般に、原子発振器の動作原理は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した方式と、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した方式とに大別される。
いずれの方式の原子発振器においても、アルカリ金属をガスセル内に緩衝ガスとともに封入し、そのアルカリ金属をガス状に保つために、ガスセルをヒーターにより所定温度に加熱する必要がある。また、アルカリ金属を励起する励起光を光出射部からガスセル内に照射し、ガスセル内を透過した励起光の強度を光検出部で検出する。
このような原子発振器としては、特許文献1に開示されているように、ガスセル、光出射部、光検出部およびヒーターをユニット化し、そのユニットをパッケージ内に収納した構成が知られている。
特許文献1に記載の原子発振器では、ガスセル等を含むユニットとパッケージ外部との間の熱干渉を抑制するため、そのユニットがサスペンションフレーム構造により支持されている。
しかし、特許文献1に記載の原子発振器では、サスペンションフレーム構造が柔軟であるため、ガスセル等を含むユニットが固有振動により振動し、発振特性が低下してしまうという問題があった。
また、近年、特にCPTを利用した原子発振器は、二重共鳴現象を利用した原子発振器に比し小型であることから、様々な電子機器へ原子発振器を組み込むことが期待されており、さらなる小型化(特に低背化)が望まれている。
国際公開第2006/017345号
本発明の目的は、ガスセル、発熱部、光出射部および光検出部がユニット化されたユニット部が支持部を介してベース部に支持された構成において、小型化を図ることともに、ユニット部の振動を抑制しつつ、ユニット部からベース部への熱の伝達を抑制することができる量子干渉装置および原子発振器を提供すること、また、この原子発振器を備える信頼性に優れた電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例の量子干渉装置は、ベース部を有するパッケージと、
金属原子が封入されているガスセルと、発熱する発熱部と、前記ガスセル内の前記金属原子を励起する光を出射する光出射部と、前記ガスセルを透過した前記光を検出する光検出部と、を含み、前記パッケージ内に収納されているユニット部と、
前記ベース部に対して前記ユニット部を支持し、一端部が前記ベース部に接続されている複数の脚部と、前記複数の脚部を連結する連結部とを有し、前記パッケージ内に収納されている支持部と、
を備え、
前記脚部の他端部または前記連結部は、前記ユニット部に接続され、
前記脚部と前記ベース部との接続部は、前記ベース部と前記ユニット部とが重なる方向からみた平面視で、前記ユニット部に対して離間しており、
前記脚部は、前記パッケージ内に連通している中空部を有することを特徴とする。
このような量子干渉装置によれば、各脚部の一端部(ベース部との接続部)が平面視にてユニット部に対して離間しているので、ベース部とユニット部との間の距離を小さくしても、支持部(支持部材)を介したユニット部からベース部への熱の伝達経路を長くすることができる。そのため、量子干渉装置の小型化を図りつつ、支持部を介したユニット部からベース部への熱の伝達を抑制することができる。また、複数の脚部間が連結部により連結されているので、支持部の剛性を高めることができる。そのため、ユニット部の振動を抑制することができる。
また、前記脚部が中空部を有することにより、脚部の剛性を確保しつつ、脚部における熱の伝達を抑制することができる。特に、中空部がパッケージ内に連通しているため、パッケージ内を減圧状態とすることにより、中空部内も減圧状態とすることができる。
[適用例2]
本適用例の量子干渉装置では、前記支持部は、前記ユニット部と前記支持部との接続部から前記脚部と前記ベース部との接続部への熱の伝達経路が曲がっている部分を有することが好ましい。
これにより、ベース部とユニット部との間の距離を小さくしても、支持部を介したユニット部からベース部への熱の伝達経路を長くすることができる。
[適用例3]
本適用例の量子干渉装置では、前記各伝達経路の長さをL[m]とし、前記複数の伝達経路における前記支持部の平均横断面積の合計をA[m]とし、前記支持部を構成する材料の熱伝導率をλ[W/(m・K)]としたとき、
(1/λ)×(L/A)≧16800[℃/W]の関係を満たすことが好ましい。
これにより、支持部を介したユニット部からベース部への熱の伝達を抑制することができる。
[適用例4]
本適用例の量子干渉装置では、前記連結部は、板状部を含むことが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、支持部の剛性を高めることができる。
[適用例5]
本適用例の量子干渉装置では、前記連結部と前記ユニット部とが対向している領域には、互いに離間している領域を含むことが好ましい。
これにより、連結部とユニット部との間の熱の伝達を効果的に抑制することができる。また、連結部における熱の伝達を抑制することもできる。
[適用例6]
本適用例の量子干渉装置では、前記連結部は、前記ベース部と前記ユニット部とが重なる方向に貫通する貫通孔を有することが好ましい。
これにより、連結部の剛性を確保しつつ、連結部における熱の伝達を抑制することができる。
[適用例
本適用例の量子干渉装置では、前記中空部は、大気圧よりも減圧した雰囲気であることが好ましい。
これにより、脚部における熱の伝達をより効果的に抑制することができる。
[適用例
本適用例の原子発振器は、本適用例の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、小型化を図ることともに、ユニット部の振動を抑制しつつ、ユニット部からベース部への熱の伝達を抑制することができる原子発振器を提供することができる。
[適用例
本適用例の移動体は、本適用例の原子発振器を備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する移動体を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す断面図である。 図1に示す原子発振器の概略図である。 図1に示す原子発振器のガスセル内におけるアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 図1に示す原子発振器の光出射部および光検出部について、光出射部からの2つの光の周波数差と、光検出部での検出強度との関係を示すグラフである。 図1に示す原子発振器の発熱部および接続部材を説明するための断面図である。 図1に示す原子発振器のガスセルおよび接続部材を説明するための分解図である。 図1に示す原子発振器のガスセルおよび接続部材を説明するための平面図である。 (a)は、図1に示す原子発振器の支持部の平面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図である。 本発明の第2実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す断面図である。 図9に示す原子発振器の支持部の平面図である。 図10に示す支持部の部分拡大斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る支持部を示す部分拡大斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る支持部を示す部分拡大斜視図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。 本発明の原子発振器を用いたクロック伝送システムの一例を示す概略構成図である。 本発明の原子発振器を備える移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す断面図、図2は、図1に示す原子発振器の概略図である。また、図3は、図1に示す原子発振器のガスセル内におけるアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図4は、図1に示す原子発振器の光出射部および光検出部について、光出射部からの2つの光の周波数差と、光検出部での検出強度との関係を示すグラフである。また、図5は、図1に示す原子発振器の発熱部および接続部材を説明するための断面図、図6は、図1に示す原子発振器のガスセルおよび接続部材を説明するための分解図、図7は、図1に示す原子発振器のガスセルおよび接続部材を説明するための平面図である。また、図8(a)は、図1に示す原子発振器の支持部の平面図、図8(b)は、図8(a)中のA−A線断面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」という。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。
この原子発振器1は、図1に示すように、量子干渉効果を生じさせる主要部を構成するユニット部2と、ユニット部2を収納するパッケージ3と、パッケージ3内に収納され、ユニット部2をパッケージ3に対して支持する支持部材4(支持部)とを備える。
ここで、ユニット部2は、ガスセル21と、光出射部22と、光学部品231、232と、光検出部24と、ヒーター25(発熱部)と、温度センサー26と、基板28と、接続部材29とを含み、これらがユニット化されている。
また、図1では図示しないが、原子発振器1は、上記のほか、コイル27および制御部5を有する(図2参照)。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
原子発振器1では、ガスセル21内に、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属(金属原子)が封入されている。
アルカリ金属は、図3に示すように、3準位系のエネルギー準位を有しており、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
このようなガス状のアルカリ金属に対して周波数の異なる2種の共鳴光1、2を照射すると、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
光出射部22は、ガスセル21に向けて、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射する。
例えば、光出射部22が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部24の検出強度は、図4に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を用いることにより、発振器を構成することができる。
以下、原子発振器1の各部を順次詳細に説明する。
[ガスセル]
ガスセル21内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。
図5に示すように、ガスセル21は、柱状の貫通孔を有する本体部211と、その貫通孔の両開口を封鎖する1対の窓部212、213とを有する。これにより、前述したようなアルカリ金属が封入される内部空間Sが形成される。
ここで、ガスセル21の各窓部212、213は、前述した光出射部22からの励起光に対する透過性を有している。そして、一方の窓部212は、ガスセル21内へ入射する励起光が透過するものであり、他方の窓部213は、ガスセル21内から出射した励起光が透過するものである。
この窓部212、213を構成する材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
また、ガスセル21の本体部211を構成する材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料等であってもよく、窓部212、213と同様にガラス材料、水晶等であってもよい。
そして、各窓部212、213は、本体部211に対して気密的に接合されている。これにより、ガスセル21の内部空間Sを気密空間とすることができる。
ガスセル21の本体部211と窓部212、213との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
また、ガスセル21の窓部212の表面には、伝熱層214が設けられている。同様に、ガスセル21の窓部213の表面には、伝熱層215が設けられている。
伝熱層214、215は、それぞれ、窓部212、213を構成する材料の熱伝導率よりも大きい熱伝導率の材料で構成されている。これにより、接続部材29からの熱を伝熱層214、215による熱伝導により効率的に拡散させることができる。その結果、各窓部212、213の温度分布を均一化することができる。
本実施形態では、伝熱層214、215は、ガスセル21の外表面側に設けられている。そのため、接続部材29を各伝熱層214、215に接触させることができる。これにより、接続部材29から各伝熱層214、215への熱の伝達を効率に行うことができる。
なお、各窓部212、213の内側の表面にも、伝熱層214、215と同様の伝熱層が設けられていてもよい。この場合、各窓部212、213の温度分布をより効率的に均一化することができる。
また、伝熱層214、215は、励起光に対する透過性を有する。これにより、ガスセル21の外部から励起光を伝熱層214および窓部212を介してガスセル21内に入射させることができる。また、ガスセル21内から励起光を窓部213および伝熱層215を介してガスセル21の外部へ出射させることができる。
このような伝熱層214、215の構成材料としては、窓部212、213の構成材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、かつ、伝熱層214、215が励起光を透過し得る材料であれば、特に限定されないが、例えば、ダイヤモンド、DLC(diamond‐like carbon)等を用いることができる。
[光出射部]
光出射部22は、ガスセル21中のアルカリ金属原子を励起する励起光を出射する機能を有する。
より具体的には、光出射部22は、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射するものである。
共鳴光1の周波数ω1は、ガスセル21中のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態に励起し得るものである。
また、共鳴光2の周波数ω2は、ガスセル21中のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態に励起し得るものである。
この光出射部22としては、前述したような励起光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
[光学部品]
図2に示すように、複数の光学部品231、232、それぞれ、前述した光出射部22とガスセル21との間における励起光LLの光路上に設けられている。
本実施形態では、光出射部22側からガスセル21側へ、光学部品231、光学部品232がこの順に配置されている。
光学部品231は、λ/4波長板である。これにより、光出射部22からの励起光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
後述するようにコイル27の磁場によりガスセル21内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号の強度が小さくなり、その結果、原子発振器1の発振特性の低下をもたらす。
これに対し、後述するようにコイル27の磁場によりガスセル21内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号の強度が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
光学部品232は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、ガスセル21に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光出射部22の出力が大きい場合でも、ガスセル21に入射する励起光を所望の光量とすることができる。本実施形態では、前述した光学部品231を通過した所定方向の偏光を有する励起光LLの強度を光学部品232により調整する。
なお、光出射部22とガスセル21との間には、波長板および減光フィルターの他に、レンズ、偏光板等の他の光学部品が配置されていてもよい。また、光出射部22からの励起光の強度によっては、光学部品232を省略することができる。
[光検出部]
光検出部24は、ガスセル21内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
本実施形態では、光検出部24は、接着剤30を介して接続部材29上に接合されている。
ここで、接着剤30としては、公知の接着剤を用いることができるが、熱伝導性が優れる接着剤を用いた場合、接続部材29から熱により光検出部24も温度調節することができる。
この光検出部24としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[ヒーター]
ヒーター25は、通電により発熱する発熱抵抗体(発熱部)である。
このヒーター25からの熱は、基板28および接続部材29を介して、ガスセル21に伝達される。これにより、ガスセル21(より具体的にはガスセル21中のアルカリ金属)が加熱され、ガスセル21中のアルカリ金属をガス状に維持することができる。また、本実施形態では、ヒーター25からの熱は、基板28を介して光出射部22にも伝達される。
このヒーター25は、ガスセル21に対して離間している。これにより、ヒーター25への通電により生じた不要磁場がガスセル21内の金属原子に悪影響を与えるのを抑制することができる。
本実施形態では、ヒーター25は、基板28上に設けられている。これにより、ヒーター25からの熱は、基板28に伝達される。
なお、ヒーター25に代えて、または、ヒーター25と併用して、ペルチェ素子を用いてもよい。この場合、ペルチェ素子の発熱側の部分が発熱部を構成する。
[温度センサー]
温度センサー26は、ヒーター25またはガスセル21の温度を検出するものである。そして、この温度センサー26の検出結果に基づいて、前述したヒーター25の発熱量が制御される。これにより、ガスセル21内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
本実施形態では、温度センサー26は、基板28上に設けられている。
なお、温度センサー26の設置位置は、これに限定されず、例えば、接続部材29上であってもよいし、ヒーター25上であってもよいし、ガスセル21の外表面上であってもよい。
温度センサー26としては特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
[コイル]
コイル27は、通電により、磁場を発生させる機能を有する。これにより、ガスセル21中のアルカリ金属に磁場を印加することにより、ゼーマン分裂により、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
なお、コイル27が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。
また、このコイル27は、ガスセル21を囲むように設けられたソレノイドコイルであってもよいし、ガスセル21を挟むように設けられたヘルムホルツコイルであってもよい。
コイル27の設置位置は、図示しないが、ガスセル21と接続部材29との間であってもよいし、接続部材29とパッケージ3との間であってもよい。
[基板]
基板28の一方の面(上面)には、光出射部22、ヒーター25、温度センサー26および接続部材29が搭載されている。
基板28は、ヒーター25からの熱を接続部材29へ伝達する機能を有する。これにより、ヒーター25が接続部材29に対して離間していても、ヒーター25からの熱を接続部材29へ伝達することができる。
ここで、基板28は、ヒーター25と接続部材29とを熱的に接続している。このようにヒーター25および接続部材29を基板28に搭載することにより、ヒーター25の設置の自由度を高めることができる。
また、光出射部22が基板28に搭載されていることにより、ヒーター25からの熱により光出射部22を温度調節することができる。
また、基板28は、光出射部22、ヒーター25、温度センサー26および接続部材29を支持する機能をも有する。
このような基板28の構成材料としては、特に限定されないが、熱伝導性に優れた材料、例えば、金属材料を用いることができる。なお、基板28を金属材料で構成した場合、基板28の表面には、必要に応じて、例えば、樹脂材料、金属酸化物、金属窒化物等で構成された絶縁層が設けられていてもよい。
なお、基板28は、接続部材29の形状、ヒーター25の設置位置等によっては、省略することができる。この場合、ヒーター25を接続部材29に接触させる位置に設置すればよい。
[接続部材]
接続部材29は、ヒーター25とガスセル21の各窓部212、213とを熱的に接続している。これにより、ヒーター25からの熱を接続部材29による熱伝導により各窓部212、213に伝達し、各窓部212、213を加熱することができる。また、ヒーター25とガスセル21とを離間することができる。そのため、ヒーター25への通電により生じた不要磁場がガスセル21内の金属原子に悪影響を与えるのを抑制することができる。また、ヒーター25の数を少なくすることができるため、例えば、ヒーター25への通電のための配線の数を少なくし、その結果、原子発振器1(量子干渉装置)の小型化を図ることができる。
図5に示すように、接続部材29は、ガスセル21を挟んで設けられた1対の接続部材291、292で構成されている。これにより、ガスセル21に対する接続部材29の設置を容易なものとしつつ、接続部材29からガスセル21の各窓部212、213に均一に熱を伝達させることができる。
より具体的に説明すると、接続部材291は、ガスセル21を挟んで配置されている1対の接続部291a、291bと、1対の接続部291a、291b間を連結する連結部291cとを有している。同様に、接続部材292は、ガスセル21を挟んで配置されている1対の接続部292a、292bと、1対の接続部292a、292b間を連結する連結部292cとを有している。これにより、ヒーター25からの熱を各窓部212、213に効率的に伝達することができる。
ここで、接続部291a、292aは、それぞれ、伝熱層214に接触している。同様に、接続部291b、292bは、それぞれ、伝熱層214に接触している。
すなわち、窓部212と接続部材291、292とは、伝熱層214を介して接続されている。同様に、窓部213と接続部材291、292とは、伝熱層215を介して接続されている。これにより、接続部材291、292からの熱を各窓部212、213に効率的に伝達することができる。
また、接続部291a、291b、292a、292bは、それぞれ、励起光LLの通過領域を避けるように形成されている。すなわち、接続部291a、291b、292a、292bは、それぞれ、励起光LLの通過領域の外側に配置されている。これにより、ガスセル21へ励起光を入射させるとともに、ガスセル21から励起光を出射させることができる。
本実施形態では、励起光LLの軸aに平行な方向からみたとき、接続部291a、291b、292a、292bは、内部空間Sの外側に位置している。これにより、励起光LLの通過領域を大きくすることができる。
このような1対の接続部材291、292は、例えば、図6に示すように、ガスセル21の互いに対向する1対の側面の両側からガスセル21を挟むようにして嵌合している。
この嵌合前の接続部材291、292は、接続部材291における接続部291aと接続部291bとの間の距離、および、接続部材292における接続部292aと接続部292bとの間の距離を、それぞれ、ガスセル21における伝熱層214の外表面と伝熱層215の外表面との間の距離(伝熱層214、215を省略した場合、窓部212の外表面と窓部213の外表面との間の距離)と等しいかまたはそれよりも若干小さく設計される。そして、連結部291c、292cを必要に応じて弾性変形させて、前述したように接続部材291、292をガスセル21に嵌合させる。これにより、接続部291a、292aをそれぞれ伝熱層214(伝熱層214、215を省略した場合、窓部212)に接触させるとともに、接続部291b、292bをそれぞれ伝熱層214(伝熱層214、215を省略した場合、窓部212)に接触させることができる。
なお、伝熱層214と接続部291a、292aとの間、および、伝熱層215と接続部291b、292bとの間の少なくとも一方に隙間が形成されている場合には、その隙間に、熱伝導性を有する接着剤が充填されていてもよい。かかる接着剤としては、例えば、金属ペースト、伝熱性フィラーを含有した樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤等が挙げられる。このような接着剤を用いることにより、これらの間に隙間が形成されていても、これらの間の熱伝導性を優れたものとすることができる。また、かかる隙間が形成されていなくても、前述したような接着剤を用いて、接続部材291、292をガスセル21に対して固定することもできる。また、かかる接着剤は、接続部材291と接続部材292との間に充填することもできる。
また、連結部291c、292cは、それぞれ、ガスセル21との間に隙間を形成して配置されている。これにより、連結部291c、292cとガスセル21との間の熱の伝達を抑制し、接続部材291、292から各窓部212、213へ効率的に熱の伝達を行うことができる。
このような接続部材29の構成材料としては、熱伝導性に優れた材料、例えば、金属材料を用いることができる。
[パッケージ]
パッケージ3は、ユニット部2および支持部材4を収納する機能を有する。なお、図1では、図示を省略しているが、パッケージ3内には、図2に示すコイル27も収納されている。また、パッケージ3内には、前述した部品以外の部品が収納されていてもよい。
このパッケージ3は、図1に示すように、板状の基体31(ベース部)と、有底筒状の蓋体32とを備え、蓋体32の開口が基体31により封鎖されている。これにより、ユニット部2および支持部材4を収納する空間が形成されている。
基体31は、支持部材4を介してユニット部2を支持している。
また、図示しないが、基体31には、パッケージ3の外部から内部のユニット部2への通電のための複数の配線および複数の端子が設けられている。
この基体31の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、セラミックス材料等を用いることができる。
このような基体31には、蓋体32が接合されている。
基体31と蓋体32との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
なお、基体31と蓋体32との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。
このような蓋体32の構成材料としては、特に限定されず、例えば、樹脂材料、セラミックス材料、金属材料等を用いることができる。
また、基体31と蓋体32とは気密的に接合されているのが好ましい。すなわち、パッケージ3内が気密空間であることが好ましい。これにより、パッケージ3内を減圧状態または不活性ガス封入状態とすることができ、その結果、原子発振器1の特性を向上させることができる。
特に、パッケージ3内は、減圧状態であることが好ましい。
これにより、パッケージ3内の空間を介した熱の伝達を抑制することができる。そのため、接続部材29とパッケージ3の外部との間や、パッケージ3内の空間を介したヒーター25とガスセル21との間の熱干渉を抑制することができる。そのため、ヒーター25からの熱を接続部材29を介して効率的に各窓部212、213へ伝達し、2つの窓部212、213間の温度差を抑制することができる。
また、ユニット部2とパッケージ3の外部との間の熱の伝達をより効果的に抑制することができる。
[支持部材4]
支持部材4(支持部)は、パッケージ3内に収納されており、パッケージ3の一部を構成する基体31に対してユニット部2を支持する機能を有する。
また、支持部材4は、ユニット部2とパッケージ3の外部との間の熱の伝達を抑制する機能を有する。
この支持部材4は、図8に示すように、複数の脚部41(柱部)と、複数の脚部41を連結する連結部42とを有する。
複数の脚部41は、それぞれ、パッケージ3の基体31の内側の面に例えば接着剤により接合されている。
この複数の脚部41は、基体31とユニット部2とが重なる方向からみた平面視(以下、単に「平面視」ともいう)にて、ユニット部2の外側に配置されている。
本実施形態では、脚部41は、平面視にて、正方形をなすガスセル21の角部に対応するように、4つ設けられている。
各脚部41は、円筒状をなし、基体31の内側の面に対して垂直な方向に延びて立設されている。
また、各脚部41には、中空部411が形成されている。これにより、各脚部41の剛性を確保しつつ、脚部41における熱の伝達を抑制することができる。
この中空部411は、大気圧よりも減圧した雰囲気(減圧状態または真空状態)であることが好ましい。これにより、脚部41における熱の伝達をより効果的に抑制することができる。
本実施形態では、中空部411は、脚部41を上下に貫通している。そのため、パッケージ3内を減圧状態とすることにより、中空部411内も減圧状態とすることができる。
なお、中空部411の上側が開放していない場合、各脚部41と基体31との間に中空部411の内外を連通する隙間を形成すれば、パッケージ3内を減圧状態とすることにより、中空部411内も減圧状態とすることができる。
連結部42は、複数の脚部41の上端部(他端部)同士を連結している。これにより、支持部材4の剛性が高められている。本実施形態では、連結部42は、複数の脚部41と一体で形成されている。なお、連結部42は、複数の脚部41と別体で形成され、例えば、接着剤により各脚部41と接合されていてもよい。
連結部42は、全体が板状をなしている。すなわち、連結部42は、板状をなす板状部を含む。これにより、比較的簡単な構成で、支持部材4の剛性を高めることができる。
また、連結部42は、平面視にて、4つの脚部41が角部に位置するように四角形をなしている。
この連結部42の上面(脚部41とは反対側の面)には、ユニット部2(より具体的には基板28)が接合(接続)されている。これにより、支持部材4によりユニット部2が支持されている。
連結部42とユニット部2との接続部は、平面視にて、前述した複数の脚部41の上端部(他端部)よりも内側に位置している。
この連結部42の上面(すなわちユニット部2側の面)の中央部には、凹部421が形成されている。
この凹部421内の空間は、ユニット部2と連結部42との間に位置する。そのため、連結部42とユニット部2とが対向している領域には、互いに離間している領域を含む。これにより、ユニット部2と連結部42との接触面積を低減して、連結部42とユニット部2との間の熱の伝達を効果的に抑制することができる。また、連結部42における熱の伝達を抑制することもできる。
本実施形態では、凹部421は、平面視にて、ユニット部2の外形よりも内側に配置されている。したがって、ユニット部2は、連結部42の凹部421よりも外周側の部分に接合されている。なお、凹部421は、平面視にて、ユニット部2の外形よりも外側に位置する部分を有していてもよい。
また、凹部421内は、減圧状態であることが好ましい。これにより、凹部421内の断熱性を高め、ユニット部2から連結部42への熱の逃げを抑制することができる。
ユニット部2と支持部材4との接合箇所は、凹部421の外周に沿って全周に亘って形成されていてもよいが、接合箇所を介したユニット部2と支持部材4との間の熱伝導を抑制する観点から、スポット状に複数形成されていることが好ましい。
また、ユニット部2と支持部材4との間には、凹部421の内外を連通する隙間が形成されていることが好ましい。これにより、パッケージ3内を減圧状態とすることにより、凹部421内も減圧状態とすることができる。
このような支持部材4によれば、各脚部41の下端部(一端部)が平面視にてユニット部2に対して離間している。そのため、支持部材4は、ユニット部2と支持部材4との接続部から各脚部41の下端部(すなわち脚部41と基体31との接続部)への熱の伝達経路(以下、「支持部材4の熱伝達経路」という)が屈曲または湾曲した部分(曲がっている部分)を有する。
これにより、基体31とユニット部2との間の距離を小さくしても、支持部材4を介したユニット部2から基体31への熱の伝達経路を長くすることができる。そのため、原子発振器1の小型化を図りつつ、支持部材4を介したユニット部2から基体31への熱の伝達を抑制することができる。また、複数の脚部41間が連結部42により連結されているので、支持部材4の剛性を高めることができる。そのため、ユニット部2の振動を抑制することができる。
また、支持部材4の熱伝達経路のそれぞれの長さをL[m]とし、支持部材4の熱伝達経路における平均横断面積の合計をA[m]とし、支持部材4を構成する材料の熱伝導率をλ[W/(m・K)]としたとき、
(熱抵抗)=(1/λ)×(L/A)≧16800[℃/W]の関係を満たすことが好ましい。
これにより、支持部材4を介したユニット部2から基体31への熱の伝達を抑制することができる。また、ヒーター25の消費電力を15mW以下に抑え、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。また、ヒーター25を小型なものとすることができるため、原子発振器1の小型化を図ることができる。このようなことから、原子発振器1を様々な機器に搭載することが可能となる。
また、支持部材4の構成材料としては、熱伝導性が比較的低く、かつ、支持部材4がユニット部2を支持する剛性を確保し得る材料であれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、セラミックス材料等の非金属を用いることが好ましく、樹脂材料を用いることがより好ましい。支持部材4を樹脂材料で構成した場合、支持部材4の形状が複雑であっても、例えば射出成型等の公知の方法を用いて、支持部材4を容易に製造することができる。なお、脚部41の構成材料と連結部42の構成材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
支持部材4を構成する樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
また、支持部材4の熱導率は、0.1W・m−1・K−1以上40W・m−1・K−1以下であることが好ましく、0.1W・m−1・K−1以上0.5W・m−1・K−1以下であることがより好ましい。これにより、ユニット部2とパッケージ3との間の支持部材4を介した熱伝導をより効果的に抑えることができる。すなわち、支持部材4の断熱性を高め、ユニット部2とパッケージ3とを熱的に分離する効果を顕著なものとすることができる。
また、各脚部41および連結部42のうちの少なくとも一方の表面には、熱の反射率を高める処理が施されていることが好ましい。これにより、支持部材4と他の部材(特に基体31)との間における放射による熱の伝達を抑制することができる。
このような熱の反射率を高める処理としては、特に限定されないが、例えば、支持部材4の表面に金属膜を形成する処理が挙げられる。
[制御部]
図2に示す制御部5は、ヒーター25、コイル27および光出射部22をそれぞれ制御する機能を有する。
このような制御部5は、光出射部22の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部51と、ガスセル21中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部52と、ガスセル21に印加する磁場を制御する磁場制御部53とを有する。
励起光制御部51は、前述した光検出部24の検出結果に基づいて、光出射部22から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部51は、前述した光検出部24によって検出された(ω1−ω2)が前述したアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光出射部22から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。また、励起光制御部51は、光出射部22から出射される共鳴光1、2の中心周波数を制御する。これにより、前述したようなEIT信号を検出することができる。そして、制御部5は、図示しない水晶発振器の信号をEIT信号に同期して出力させる。
また、温度制御部52は、温度センサー26の検出結果に基づいて、ヒーター25への通電を制御する。これにより、ガスセル21を所望の温度範囲内に維持することができる。
また、磁場制御部53は、コイル27が発生する磁場が一定となるように、コイル27への通電を制御する。
このような制御部5は、例えば、パッケージ3が実装される基板上に実装されたICチップに設けられている。なお、制御部5がパッケージ3内に設けられていてもよい。
以上説明したような本実施形態の原子発振器1によれば、各脚部41の下端部が平面視にてユニット部2に対して離間しているので、基体31とユニット部2との間の距離を小さくしても、支持部材4を介したユニット部2から基体31への熱の伝達経路を長くすることができる。そのため、原子発振器1の小型化を図りつつ、支持部材4を介したユニット部2から基体31への熱の伝達を抑制することができる。た、複数の脚部41間が連結部42により連結されているので、支持部材4の剛性を高めることができる。そのため、ユニット部2の振動を抑制することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す断面図、図10は、図9に示す原子発振器の支持部の平面図、図11は、図10に示す支持部の部分拡大斜視図である。
本実施形態に係る原子発振器は、支持部材の構成および光出射部の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる原子発振器と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の原子発振器に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9および図10において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図9に示す原子発振器1Aは、パッケージ3内でユニット部2をパッケージ3に対して支持する支持部材4A(支持部)を備える。
この支持部材4Aは、図10に示すように、複数(本実施形態では4つ)の脚部41Aよび複数(本実施形態では4つ)の柱部43と、複数の脚部41A間および複数の柱部43間をそれぞれ互いに連結する連結部42Aとを有する。ここで、柱部43および連結部42Aが、複数の脚部41A間を連結する連結部を構成するということもできる。また、連結部42Aの脚部41Aと柱部43とを連結する部分と、脚部41Aと、柱部43とが、脚部を構成するということもできる。
この複数の脚部41Aは、平面視にて、ユニット部2の外側に配置されている。
各脚部41Aは、四角筒状をなし、基体31の内側の面に対して垂直な方向に延びている。
また、各脚部41Aには、その軸線方向に沿って中空部411Aが形成されている。
各脚部41Aの下端部は、パッケージ3の基体31に例えば接着剤により接合されている。
一方、複数の脚部41Aの上端部(他端部)間は、連結部42Aを介して連結されている。
連結部42Aは、全体が板状をなし、連結部42Aには、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔422、複数の貫通孔423および複数の貫通孔424が形成されている。すなわち、連結部42Aは、基体31とユニット部2とが重なる方向に貫通する複数の貫通孔422、423、424を有する。これにより、連結部42Aの剛性を確保しつつ、連結部42Aにおける熱の伝達を抑制することができる。
複数の貫通孔422は、複数の脚部41Aにそれぞれ対応して設けられている。そして、各貫通孔422は、平面視にて、対応する脚部41Aとその脚部41Aに最も近い柱部43との間に位置している。これにより、柱部43から脚部41Aへの連結部42Aを介した熱の伝達経路を長くすることができる。
また、複数の貫通孔423は、平面視にて、互いに隣り合う2つの貫通孔422間に位置している。また、複数の貫通孔424は、平面視にて、複数の貫通孔423で囲まれる領域内に位置している。このような複数の貫通孔423および複数の貫通孔424を設けることにより、連結部42A全体の熱抵抗を大きくすることができる。
本実施形態では、各貫通孔422、423、424の平面視形状は、四角形をなしている。なお、かかる平面視形状は、これに限定されず、例えば、三角形、五角形等の他の多角形、円形状、異形状等であってもよい。
複数の柱部43は、連結部42Aの上面側に立設され、複数の柱部43の下端部間が連結部42Aにより連結されている。
この複数の柱部43は、平面視にて、ユニット部2の内側に配置されている。本実施形態では、柱部43は、正方形をなすガスセル21の角部に対応するように、4つ設けられている。
各柱部43は、四角筒状をなし、脚部41Aの延びる方向と平行な方向に延びている。
また、各柱部43には、その軸線方向に沿って中空部431が形成されている。
この各柱部43の上端部(連結部42Aとは反対側の端部)には、ユニット部2(より具体的には基板28)が接合(接続)されている。これにより、支持部材4Aによりユニット部2が支持されている。
本実施形態では、各柱部43の長さは、各脚部41Aの長さよりも長い。これにより、柱部43の熱抵抗を大きくし、ユニット部2から支持部材4Aへの熱の伝達を抑制することができる。また、各脚部41Aの長さを短くすることにより、支持部材4Aの剛性を高めるとともに、支持部材4Aの低背化、ひいては、原子発振器1Aの低背化を図ることができる。
このように構成された支持部材4Aでは、図10に示すように、ユニット部2からの熱が、柱部43、連結部42Aの貫通孔422を形成する壁部、脚部41Aをこの順に通って、基体31へ伝達される。これにより、支持部材4Aを介したユニット部2から基体31への熱の伝達経路を長くすることができる。
図9に示すように、ヒーター25(発熱部)は、基板28に対してガスセル21とは反対側に設けられている。これにより、光出射部22の励起光の出射方向からみたとき、すなわち、平面視にて、ヒーター25を、ガスセル21の励起光が通過する領域と重なる位置に配置することができる。そのため、比較的簡単に、ヒーター25から、ガスセル21の励起光が通過する領域への熱の伝達経路を、ガスセル21の各窓部の周方向での各部において互いに等しくなるように構成することができる。
また、本実施形態では、基板28は、磁気シールド性を有することが好ましい。これにより、ヒーター25への通電により生じた不要磁場がガスセル21内の金属原子に悪影響を与えるのを抑制することができる。この場合、基板28の構成材料として、例えば、Fe、各種Fe合金(ケイ素鉄、パーマロイ、アモルファス、センダスト)等の軟磁性材料を用いればよい。
以上説明したような第2実施形態の原子発振器1Aによっても、小型化を図ることともに、ユニット部2の振動を抑制しつつ、ユニット部2から基体31への熱の伝達を抑制することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図12は、本発明の第3実施形態に係る支持部を示す部分拡大斜視図である。
本実施形態に係る原子発振器は、支持部材の構成が異なる以外は、前述した第2実施形態にかかる原子発振器と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態の原子発振器に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態の原子発振器は、前述した第2実施形態の原子発振器1Aにおいて、支持部材4Aに代えて、支持部材4B(支持部)を備える。
この支持部材4Bは、図12に示すように、複数(本実施形態では4つ)の脚部41Bおよび複数(本実施形態では4つ)の柱部43Bと、複数の脚部41B間および複数の柱部43B間をそれぞれ互いに連結する連結部42Bとを有する。ここで、柱部43Bおよび連結部42Bが、複数の脚部41B間を連結する連結部を構成するということもできる。また、連結部42Bの脚部41Bと柱部43Bとを連結する部分と、脚部41Bと、柱部43Bとが、脚部を構成するということもできる。
この複数の脚部41Bは、平面視にて、ユニット部2の外側に配置されている。
各脚部41Bは、その途中に屈曲した部分を有する。
具体的に説明すると、各脚部41Bは、基体31から上方向に延びる第1部分414(第1柱部)と、第1部分414から分岐して横方向に延びる1対の第2部分413(梁部)と、各第2部分413から下方向に延びる第3部分412(第2柱部)とを有する。
言い換えると、各脚部41Bは、上下方向に延びる第1部分414および1対の第3部分412と、第1部分414の上端部と1対の第3部分412の上端部とを連結する第2部分413とを有する。
このような脚部41Bは、支持部材4Bの低背化を図りつつ、熱の伝達経路を長くし、熱抵抗を大きくすることができる。
このような各脚部41Bの第1部分414の下端部は、パッケージ3の基体31に例えば接着剤により接合されている。
一方、複数の脚部41Bの第3部分412の下端部間は、連結部42Bを介して連結されている。
また、連結部42Bは、全体が板状をなし、連結部42Bには、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔422、複数の貫通孔423および複数の貫通孔424が形成されている。
複数の柱部43Bは、連結部42Bの上面側に立設され、複数の柱部43Bの下端部間が連結部42Bにより連結されている。
この複数の柱部43Bは、平面視にて、ユニット部2の内側に配置されている。
各柱部43Bは、四角柱状をなし、連結部42Bから上方向に延びている。
この各柱部43Bの上端部(連結部42Bとは反対側の端部)には、ユニット部2が接合(接続)されている。これにより、支持部材4Bによりユニット部2が支持されている。
以上説明したような第3実施形態の原子発振器によっても、小型化を図ることともに、ユニット部2の振動を抑制しつつ、ユニット部2から基体31への熱の伝達を抑制することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る支持部を示す部分拡大斜視図である。
本実施形態に係る原子発振器は、支持部材の構成が異なる以外は、前述した第2実施形態にかかる原子発振器と同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態の原子発振器に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図13において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態の原子発振器は、前述した第2実施形態の原子発振器1Aにおいて、支持部材4Aに代えて、支持部材4C(支持部)を備える。
図12に示す支持部材4Cは、中空部415、416、431Cが形成されている以外は、前述した第3実施形態の支持部材4Bと同様である。
具体的に説明すると、この支持部材4Bは、図12に示すように、複数(本実施形態では4つ)の脚部41Cおよび複数(本実施形態では4つ)の柱部43Cと、複数の脚部41C間および複数の柱部43C間をそれぞれ互いに連結する連結部42Bとを有する。ここで、柱部43Cおよび連結部42Bが、複数の脚部41C間を連結する連結部を構成するということもできる。また、連結部42Bの脚部41Cと柱部43Cとを連結する部分と、脚部41Cと、柱部43Cとが、脚部を構成するということもできる。
各脚部41Cは、基体31から上方向に延びる第1部分414C(第1柱部)と、第1部分414Cから分岐して横方向に延びる1対の第2部分413C(梁部)と、各第2部分413Cから下方向に延びる第3部分412C(第2柱部)とを有する。
また、各脚部41Cの第1部分414Cには、上下に貫通する中空部416が形成されている。また、各脚部41Cの各第3部分412Cには、上下に貫通する中空部415が形成されている。
このような各脚部41Cの第1部分414Cの下端部は、パッケージ3の基体31に例えば接着剤により接合されている。
一方、複数の脚部41Cの第3部分412Cの下端部間は、連結部42Bを介して連結されている。
複数の柱部43Cは、連結部42Bの上面側に立設され、複数の柱部43Cの下端部間が連結部42Bにより連結されている。
各柱部43Cには、上下に貫通する中空部431Cが形成されている。
この各柱部43Cの上端部(連結部42Bとは反対側の端部)には、ユニット部2が接合(接続)されている。これにより、支持部材4Cによりユニット部2が支持されている。
以上説明したような第4実施形態の原子発振器によっても、小型化を図ることともに、ユニット部2の振動を抑制しつつ、ユニット部2から基体31への熱の伝達を抑制することができる。
2.電子機器
以上説明したような本発明の原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。このような本発明の原子発振器を備える電子機器は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の原子発振器を備える電子機器の一例について説明する。
図14は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図14に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
図15は、本発明の原子発振器を用いたクロック伝送システムの一例を示す概略構成図である。
図15に示すクロック伝送システム500は、時分割多重方式のネットワーク内の各装置のクロックを一致させるものであって、N(Normal)系およびE(Emergency)系の冗長構成を有するシステムである。
このクロック伝送システム500は、A局(上位(N系))のクロック供給装置(CSM:Clock Supply Module)501およびSDH(Synchronous Digital Hierarchy)装置502と、B局(上位(E系))のクロック供給装置503およびSDH装置504と、C局(下位)のクロック供給装置505およびSDH装置506、507とを備える。
クロック供給装置501は、原子発振器1を有し、N系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置501内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置502は、クロック供給装置501からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、N系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置505に伝送する。
クロック供給装置503は、原子発振器1を有し、E系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置503内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置504は、クロック供給装置503からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、E系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置505に伝送する。
クロック供給装置505は、クロック供給装置501、503からのクロック信号を受信し、その受信したクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。
ここで、クロック供給装置505は、通常、クロック供給装置501からのN系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。そして、N系に異常が発生した場合、クロック供給装置505は、クロック供給装置503からのE系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。このようにN系からE系に切り換えることにより、安定したクロック供給を担保し、クロックパス網の信頼性を高めることができる。
SDH装置506は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。同様に、SDH装置507は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。これにより、C局の装置をA局またはB局の装置と同期させることができる。
3.移動体
また、前述したような本発明の原子発振器は、各種移動体に組み込むことができる。このような本発明の原子発振器を備える移動体は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の移動体の一例について説明する。
図16は、本発明の原子発振器を備える移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。
図16に示す移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。そして、原子発振器1からの発振信号に基づいて、例えば、図示しない制御部が動力源の駆動を制御する。
なお、本発明の原子発振器を組み込む電子機器または移動体は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
以上、本発明の量子干渉装置、原子発振器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、前述した実施形態の各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
1‥‥原子発振器 1A‥‥原子発振器 2‥‥ユニット部 3‥‥パッケージ 4‥‥支持部材 4A‥‥支持部材 4B‥‥支持部材 4C‥‥支持部材 5‥‥制御部 21‥‥ガスセル 22‥‥光出射部 24‥‥光検出部 25‥‥ヒーター 26‥‥温度センサー 27‥‥コイル 28‥‥基板 29‥‥接続部材 30‥‥接着剤 31‥‥基体 32‥‥蓋体 41‥‥脚部 41A‥‥脚部 41B‥‥脚部 41C‥‥脚部 42‥‥連結部 42A‥‥連結部 42B‥‥連結部 43‥‥柱部 43B‥‥柱部 43C‥‥柱部 51‥‥励起光制御部 52‥‥温度制御部 53‥‥磁場制御部 100‥‥測位システム 200‥‥衛星 211‥‥本体部 212‥‥窓部 213‥‥窓部 214‥‥伝熱層 215‥‥伝熱層 231‥‥光学部品 232‥‥光学部品 291‥‥接続部材 291a‥‥接続部 291b‥‥接続部 291c‥‥連結部 292‥‥接続部材 292a‥‥接続部 292b‥‥接続部 292c‥‥連結部 300‥‥基地局装置 301‥‥アンテナ 302‥‥受信装置 303‥‥アンテナ 304‥‥送信装置 400‥‥受信装置 401‥‥アンテナ 402‥‥衛星受信部 403‥‥アンテナ 404‥‥基地局受信部 411、411A‥‥中空部 412‥‥第3部分 412C‥‥第3部分 413‥‥第2部分 413C‥‥第2部分 414‥‥第1部分 414C‥‥第1部分 415‥‥中空部 416‥‥中空部 421‥‥凹部 422‥‥貫通孔 423‥‥貫通孔 424‥‥貫通孔 431‥‥中空部 431C‥‥中空部 500‥‥クロック伝送システム 501‥‥クロック供給装置 502‥‥SDH装置 503‥‥クロック供給装置 504‥‥SDH装置 505‥‥クロック供給装置 506‥‥SDH装置 507‥‥SDH装置 508、509‥‥マスタークロック 1500‥‥移動体 1501‥‥車体 1502‥‥車輪 a‥‥軸 LL‥‥励起光 S‥‥内部空間

Claims (9)

  1. ベース部を有するパッケージと、
    金属原子が封入されているガスセルと、発熱する発熱部と、前記ガスセル内の前記金属原子を励起する光を出射する光出射部と、前記ガスセルを透過した前記光を検出する光検出部と、を含み、前記パッケージ内に収納されているユニット部と、
    前記ベース部に対して前記ユニット部を支持し、一端部が前記ベース部に接続されている複数の脚部と、前記複数の脚部を連結する連結部とを有し、前記パッケージ内に収納されている支持部と、
    を備え、
    前記脚部の他端部または前記連結部は、前記ユニット部に接続され、
    前記脚部と前記ベース部との接続部は、前記ベース部と前記ユニット部とが重なる方向からみた平面視で、前記ユニット部に対して離間しており、
    前記脚部は、前記パッケージ内に連通している中空部を有することを特徴とする量子干渉装置。
  2. 前記支持部は、前記ユニット部と前記支持部との接続部から前記脚部と前記ベース部との接続部への熱の伝達経路が曲がっている部分を有する請求項1に記載の量子干渉装置。
  3. 前記各伝達経路の長さをL[m]とし、前記複数の伝達経路における前記支持部の平均横断面積の合計をA[m]とし、前記支持部を構成する材料の熱伝導率をλ[W/(m・K)]としたとき、
    (1/λ)×(L/A)≧16800[℃/W]の関係を満たす請求項2に記載の量子干渉装置。
  4. 前記連結部は、板状部を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の量子干渉装置。
  5. 前記連結部と前記ユニット部とが対向している領域には、互いに離間している領域を含む請求項4に記載の量子干渉装置。
  6. 前記連結部は、前記ベース部と前記ユニット部とが重なる方向に貫通する貫通孔を有する請求項4に記載の量子干渉装置。
  7. 前記中空部は、大気圧よりも減圧した雰囲気である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の量子干渉装置。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする原子発振器。
  9. 請求項に記載の原子発振器を備えることを特徴とする移動体。
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