JP2017183869A - 量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】特性を優れたものとしつつ、小型化および低消費電力化を図ることができる量子干渉装置を提供すること、また、この量子干渉装置を備える原子発振器、電子機器および移動体を提供すること。
【解決手段】アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、前記アルカリ金属原子を励起する光を出射する光源と、前記原子セルを透過した前記光を検出する光検出部と、前記原子セルに対して前記光源側と前記光検出部側とに跨って設けられ、前記原子セルよりも熱伝導率が大きい材料を用いて構成されている熱伝導部材と、前記熱伝導部材に対して離間して設けられ、前記熱伝導部材よりも熱伝導率が小さい材料を用いて構成され、前記原子セル、前記光源、前記光検出部および前記熱伝導部材を一括して支持している支持部材と、を備えることを特徴とする量子干渉装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、量子干渉効果を利用した原子発振器は、二重共鳴現象を利用した原子発振器よりも容易に小型化できることから、近年、様々な機器への搭載が期待されている。
例えば、特許文献1に記載の原子発振器は、光源、光検出器デバイスおよび蒸気セル(原子セル)を一体化したチップスケールデバイスと、このチップスケールデバイスを懸架するための懸架装置と、を備える。このように、光源、光検出器デバイスおよび蒸気セルを一体化することで、原子発振器の小型化および低消費電力化を図ることができる。
特許第4972550号明細書
特許文献1に記載の原子発振器では、チップスケールデバイスから懸架装置への熱の逃げに起因して、蒸気セルの光源側の面と光検出器デバイス側の面との温度差や、光源の温度変動が生じてしまい、その結果、特性を低下させてしまうという問題がある。
本発明の目的は、特性を優れたものとしつつ、小型化および低消費電力化を図ることができる量子干渉装置を提供すること、また、この量子干渉装置を備える原子発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の量子干渉装置は、アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
前記アルカリ金属原子を励起する光を出射する光源と、
前記原子セルを透過した前記光を検出する光検出部と、
前記原子セルに対して前記光源側と前記光検出部側とに跨って設けられ、前記原子セルよりも熱伝導率が大きい材料を用いて構成されている熱伝導部材と、
前記熱伝導部材に対して離間して設けられ、前記熱伝導部材よりも熱伝導率が小さい材料を用いて構成され、前記原子セル、前記光源、前記光検出部および前記熱伝導部材を一括して支持している支持部材と、を備えることを特徴とする。
このような量子干渉装置によれば、原子セルよりも熱伝導率が大きい材料を用いて構成されている熱伝導部材が原子セルに対して光源側と光検出部側とに跨って設けられているため、原子セルを加熱するヒーターの数や配置によらず、特に、ヒーターの数が1つであっても、原子セルの光源側の面と光検出部側の面との温度差を低減したり、光源の温度を高精度に制御したりすることができる。そのため、量子干渉装置の特性を優れたものとすることができる。
また、熱伝導部材よりも熱伝導率が小さい材料を用いて構成されている支持部材が原子セル、光源、光検出部および熱伝導部材を一括して支持しているため、量子干渉装置の小型化を図るとともに、原子セル、光源、光検出部および熱伝導部材からの熱の逃げを低減して、量子干渉装置の低消費電力化を図ることができる。
しかも、支持部材が熱伝導部材に対して離間しているため、熱伝導部材から支持部材への熱の逃げを効果的に低減することができる。そのため、前述した熱伝導部材による量子干渉装置の特性を優れたものとする効果、および、前述した支持部材による量子干渉装置の低消費電力化を図る効果のそれぞれを好適に発揮させることができる。
本発明の量子干渉装置では、前記支持部材は、前記原子セルに対して前記光源側で前記原子セルまたは前記光源を支持している第1支持部と、前記原子セルに対して前記光検出部側で前記原子セルまたは前記光検出部を支持している第2支持部と、を有することが好ましい。
これにより、原子セル、光源および光検出部を安定的に支持することができる。
本発明の量子干渉装置では、前記原子セル、前記光源、前記光検出部および前記熱伝導部材とともに前記支持部材に一括して支持され、前記熱伝導部材を介して前記光源および前記原子セルを加熱するヒーターを備えることが好ましい。
これにより、ヒーターからの熱を用いて原子セルおよび光源を高精度に温度調節することができる。
本発明の量子干渉装置では、前記ヒーターは、前記原子セルに対して前記光検出部側に配置されていることが好ましい。
これにより、ヒーターのための配線を光検出部のための配線と同じ側に引き回すことができる。また、このように、ヒーターと光源との間の距離が大きくなる場合においても、ヒーターからの熱を熱伝導部材により効率的に光源に伝達することができる。
本発明の量子干渉装置では、前記ヒーターは、前記原子セルに対して前記光源側に配置されていることが好ましい。
これにより、ヒーターのための配線を光源のための配線と同じ側に引き回すことができる。また、ヒーターと光源との間の距離を小さくし、光源をより高精度に温度制御することができる。その結果、光源の温度変動に伴う光の波長変動を効果的に低減することができる。
本発明の量子干渉装置では、前記ヒーターと前記光源との間の距離は、前記ヒーターと前記原子セルとの間の距離よりも小さいことが好ましい。
これにより、ヒーターを原子セルよりも光源に近づけることができる。そのため、光源をさらに高精度に温度制御することができる。
本発明の量子干渉装置では、前記ヒーターと前記光源との間の距離は、前記ヒーターと前記原子セルとの間の距離よりも大きいことが好ましい。
これにより、原子セルおよび光源を含む構造体の中央付近にヒーターを配置することができる。そのため、原子セルの光源側の面と光検出部側の面と光源との間の温度分布を容易に均一化することができる。
本発明の量子干渉装置では、前記ヒーターまたは前記光源に接続されている配線を備え、
前記熱伝導部材は、前記ヒーターまたは前記光源を収納している空間の外側に配置されており、
前記配線は、前記第1支持部から前記熱伝導部材に対して離間して前記空間内へ延びて前記ヒーターまたは前記光源に接続されている部分を有することが好ましい。
これにより、ヒーターまたは光源のための配線からの輻射を低減することができる。その結果、量子干渉装置の低消費電力化を効果的に図ることができる。
本発明の量子干渉装置では、前記原子セル、前記光源、前記光出射部、前記ヒーター、前記熱伝導部材および前記支持部材を内包している空間を構成するパッケージを備え、
前記熱伝導部材は、前記パッケージから離間していることが好ましい。
これにより、原子セル、光源、光出射部およびヒーターから熱伝導部材を介してパッケージへ熱が伝達することを低減することができる。
本発明の原子発振器は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
このような原子発振器によれば、特性を優れたものとしつつ、低消費電力化を図ることができる。
本発明の電子機器は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
このような電子機器によれば、量子干渉装置の特性を優れたものとしつつ、低消費電力化を図ることができる。
本発明の移動体は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
このような移動体によれば、量子干渉装置の特性を優れたものとしつつ、低消費電力化を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す概略構成図である。 図1に示す原子発振器が備えるパッケージ部の概略構成を示す断面図である。 図2に示すパッケージ部が備える原子セルユニットおよび支持部材の一部断面側面図である。 図2に示すパッケージ部が備える原子セルユニットおよび支持部材の平面図(上面図)である。 本発明の第2実施形態に係る原子発振器が備えるパッケージ部の概略構成を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る原子発振器が備えるパッケージ部の概略構成を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る原子発振器が備えるパッケージ部の概略構成を示す断面図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。 本発明の原子発振器を備える移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す概略構成図である。
図1に示す原子発振器1は、アルカリ金属原子に対して特定の異なる波長の2つの共鳴光を同時に照射したときに当該2つの共鳴光がアルカリ金属原子に吸収されずに透過する現象が生じる量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した原子発振器である。なお、この量子干渉効果による現象は、電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象とも言う。
この原子発振器1は、図1に示すように、量子干渉効果を生じさせるパッケージ部10と、パッケージ部10を制御する制御部5と、を有する。ここで、パッケージ部10は、原子セル21と、光源22と、光学系23と、光検出部24と、ヒーター25と、温度センサー26と、コイル27と、を有する。また、制御部5は、光源制御部51と、温度制御部52と、磁場制御部53と、を有する。まず、以下、原子発振器1の概略を説明する。
この原子発振器1では、光源22が光LLを光軸aに沿って光学系23を介して原子セル21に照射し、原子セル21を透過した光LLを光検出部24が検出する。
原子セル21は光透過性を有し、原子セル21内には、アルカリ金属(アルカリ金属原子)が封入されている。アルカリ金属は、互いに異なる2つの基底準位と励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。また、原子セル21内のアルカリ金属は、ヒーター25により加熱され、少なくとも一部がガス状態となっている。また、原子セル21内のアルカリ金属は、コイル27から所望の方向の磁場が印加され、ゼーマン分裂している。
光源22から出射された光LLは、周波数の異なる2種の光を含んでいる。これら2種の光は、周波数差が原子セル21内のアルカリ金属の2つの基底準位間のエネルギー差に相当する周波数に一致する共鳴光対となったとき、EIT現象を生じさせる。
光源制御部51は、光検出部24の検出結果に基づいて、EIT現象を生じさせるように、前述した光源22から出射される光Lに含まれる2種の光の周波数を制御する。また、光源制御部51は、光検出部24の検出結果に応じて発振周波数が制御される電圧制御型水晶発振器(図示せず)を備えている。そして、この電圧制御型水晶発振器(VCXO)の出力信号は、原子発振器1のクロック信号として出力される。
また、温度制御部52は、原子セル21の温度を検出する温度センサー26の検出結果に基づいて、原子セル21内が所望の温度となるように、ヒーター25への通電を制御する。また、磁場制御部53は、コイル27が発生する磁場が一定となるように、コイル27への通電を制御する。
このような制御部5は、例えば、パッケージ部10が実装される基板上に実装されたICチップに設けられている。なお、制御部5がパッケージ部10に設けられていてもよい。
以上、原子発振器1の概略を説明した。以下、原子発振器1が備えるパッケージ部10について詳述する。
図2は、図1に示す原子発振器が備えるパッケージ部の概略構成を示す断面図である。図3は、図2に示すパッケージ部が備える原子セルユニットおよび支持部材の一部断面側面図である。図4は、図2に示すパッケージ部が備える原子セルユニットおよび支持部材の平面図(上面図)である。なお、各図では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が矢印で図示されており、各矢印の先端側を「+」、基端側を「−」とする。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y]軸方向、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」と言う。また、図2中の上側(+Z軸方向側)を「上」、下側(−Z軸方向側)を「下」と言う。
図2に示すように、原子発振器1が備えるパッケージ部10は、前述したような量子干渉効果を生じさせる原子セルユニット2と、原子セルユニット2を収納するパッケージ3と、パッケージ3内に収納され、原子セルユニット2をパッケージ3に対して支持する支持部材4と、を備えている。なお、パッケージ3の外側には、必要に応じて、磁気シールドが設けられていてもよい。以下、パッケージ部10の各部を順次説明する。
〈原子セルユニット〉
原子セルユニット2は、原子セル21と、光源22と、光学系23と、光検出部24と、ヒーター25と、スペーサー28と、1対の熱伝導部材29と、を含み、これらがユニット化されている。なお、図2では、図1に示す温度センサー26およびコイル27の図示を省略しているが、温度センサー26は、例えば、サーミスタ、熱電対等であり、光源22近傍またはヒーター25近傍に設けられている。また、コイル27は、原子セルユニット2に設けられていてもよいし、原子セルユニット2の外部に設けられていてもよく、原子セルユニット2の外部に設ける場合、パッケージ3の内部であっても外部であってもよい。
[スペーサー]
スペーサー28は、上側に開放した箱状をなしている。このスペーサー28は、板状の基部281と、基部281の外周部に立設されている枠部282と、を有し、枠部282の内側には、空間S2が形成されている。なお、基部281および枠部282は、一体で構成されていてもよい。
基部281および枠部282は、それぞれ、熱伝導性に優れた材料で構成されている。具体的には、基部281および枠部282の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、セラミックス材料、金属材料等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、基部281および枠部282の構成材料としては、それぞれ、コイル27からの磁場を阻害しないよう、非磁性の材料を用いることが好ましい。
基部281は、その中央部に厚さ方向に貫通する孔2811を有する。そして、基部281の下面には、孔2811の開口を塞ぐようにして光源22が設けられている。ここで、光源22は、光源22が有する発光面が基部281側を向いており、光源22から出射された光LLは、孔2811を通って空間S2内に入射する。また、枠部282の上端部には、光学系23を介して原子セル21が接続されている。これにより、光源22からの光LLは、光学系23を介して原子セル21に入射する。
このようなスペーサー28は、光源22を支持するとともに、光源22と原子セル21との間の距離を規定する機能を有する。また、スペーサー28は、1対の熱伝導部材29と光源22との間で熱を伝達する機能を有する。このようなスペーサー28は、1対の熱伝導部材29の一部を構成しているとも言える。
[光源]
光源22は、原子セル21中のアルカリ金属原子を励起し得る光LLを出射する機能を有する。この光源22としては、前述したような共鳴光対を含む光LLを出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等の発光素子を用いることが好ましい。
[光学系]
光学系23は、光源22と原子セル21との間に設けられ、原子セル21またはスペーサー28に固定されている。この光学系23は、遮光部材231および光学部品232、233を有する。本実施形態では、光軸aに沿って光源22側から原子セル21側に向かって、遮光部材231、光学部品232および光学部品233がこの順に配置されている。
遮光部材231は、遮光性を有する膜状の部材であり、光学部品232の一方の面上に設けられている。この遮光部材231の構成材料は、遮光性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、樹脂材料、金属材料等を用いることができる。また、遮光部材231は、遮光部材231に入射した光LLが迷光となるのを防止する観点から、光反射防止性を有することが好ましい。また、遮光部材231は、光学部品232上に公知の成膜法を用いて形成することができる。
この遮光部材231は、光LLの一部を通過させる開口を有し、この開口を除く部分が遮光性を有する。この開口の形状は、前述した内部空間Sの横断面形状に応じて決められ、特に限定されないが、例えば、円形または四角形をなしている。このような遮光部材231の開口に光LLを通過させることで、内部空間Sに入射する光LLの形状を調整するとともに当該光LLの幅方向での強度分布の均一化を図ることができる。
光学部品232は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、原子セル21に入射する光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光源22の出力が大きい場合でも、原子セル21に入射する光LLを所望の光量とすることができる。
光学部品233は、1/4波長板である。これにより、光源22からの光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。円偏光をした光LLを用いることにより、所望のEIT現象を発現する原子数を増大させ、所望のEIT信号の強度を大きくすることができる。その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
なお、光学系23は、前述した遮光部材231、光学部品232、233の他に、レンズ、偏光板等の他の光学部品を有していてもよい。また、光源22からの光LLの強度によっては、光学部品232を省略することができる。また、光源22からの光LLの放射角度やスポット形状等によっては、遮光部材231を省略することができる。また、遮光部材231、光学部品232、233の並び順は、前述した順に限定されず、任意である。
[原子セル]
図2に示すように、原子セル21は、柱状の貫通孔214を有する胴体部211と、その貫通孔214の両側の開口を封鎖する1対の光透過部212、213と、を有する。これにより、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入される内部空間Sが形成されている。なお、内部空間Sには、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。また、貫通孔214の横断面(光軸aに対して垂直な方向での断面)、すなわち、内部空間Sの横断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形等の多角形等が挙げられる。
各光透過部212、213は、光源22からの光LLに対する透過性を有している。そして、一方の光透過部212には、内部空間Sへ入射する光LLが透過し、他方の光透過部213には、内部空間Sから出射した光LLが透過する。この光透過部212、213を構成する材料としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
また、原子セル21の胴体部211を構成する材料としては、特に限定されず、シリコン材料、セラミックス材料、金属材料、樹脂材料、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
そして、各光透過部212、213は、胴体部211に対して気密的に接合されている。これにより、原子セル21の内部空間Sを気密空間とすることができる。原子セル21の胴体部211と光透過部212、213との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
[光検出部]
光検出部24は、原子セル21に対して光源22とは反対側に設けられている。この光検出部24は、原子セル21内を透過した光LL(より具体的には共鳴光対)の強度を検出する機能を有する。光検出部24としては、上述したような光LLを検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[ヒーター]
ヒーター25は、通電により発熱する発熱抵抗体(加熱部)を有する。このヒーター25は、原子セル21に対して光源22とは反対側に設けられている。そして、ヒーター25からの熱は、原子セル21の光透過部213に直接的に伝達されるとともに、1対の熱伝導部材29を介して原子セル21の光透過部212に伝達される。また、ヒーター25からの熱は、1対の熱伝導部材29およびスペーサー28を介して光源22にも伝達される。
なお、ヒーター25は、後述するように、支持部材4のシート部材43の接続部432上に設けられているが、接続部432が有する配線により構成することも可能である。
[熱伝導部材(固定部材)]
1対の熱伝導部材29は、図2に示すように、原子セル21をX軸方向で挟むように設けられている。また、各熱伝導部材29は、原子セル21に対して光源22側と光検出部24側とに跨って設けられている。また、1対の熱伝導部材29は、それぞれ、光LLの通過領域を避けるように形成されている。図2に示す熱伝導部材29は、原子セル21が嵌合される凹部を有する。この嵌合により原子セル21は、熱伝導部材29に固定されている。また、熱伝導部材29の一方の端面には、光源22が配置されているスペーサー28が接着剤等により固定されている。さらに、熱伝導部材29の他方の端面には、光検出部24が配置されている原子セル21が接着剤等により固定されている。このように、熱伝導部材29により原子セル21、光源22および光検出部24の相対的な位置関係が固定されている。
より具体的に説明すると、各熱伝導部材29は、原子セル21、光学系23およびスペーサー28からなる積層体の積層方向(Z軸方向)に沿って延びている第1部分291と、第1部分291の一端部(−Z軸方向側の端部)から光軸a側に向けて突出している第2部分292と、第1部分291の他端部(+Z軸方向側の端部)から光軸a側に向けて突出している第3部分293と、を有している。このような熱伝導部材29は、原子セル21に対して光源22側に配置されている第2部分292と、原子セル21に対して光検出部24側に配置されている第3部分293とを第1部分291を介して接続することで、原子セル21に対して光源22側と光検出部24側とに跨って設けられている。
図3に示すように、第1部分291の第2部分292側の端部、および、第1部分291の第3部分293側の端部は、それぞれ、1対の熱伝導部材29に接触しないように、第1部分291の中央部よりもY軸方向に沿った幅が狭くなっている。このような第1部分291の両端部には、第2部分292および第3部分293が接続されている。
図2に示すように、第2部分292は、スペーサー28の基部281の枠部282とは反対側の面に接触している。このようにスペーサー28と熱伝導部材29とを接触させることで、これらの間で熱を効率的に伝達することができる。第3部分293は、原子セル21の光透過部213の内部空間Sとは反対側の面に接触している。このように原子セル21と熱伝導部材29とを接触させることで、これらの間で熱を効率的に伝達することができる。また、第3部分293は、ヒーター25近傍に配置されている。これにより、ヒーター25からの熱を熱伝導部材29により効率的に伝達することができる。なお、ヒーター25は、熱伝導部材29に接触していてもよい。
また、第2部分292および第3部分293のY軸方向に沿った幅は、前述した第1部分291の両端部と同様、1対の熱伝導部材29に接触しないように、第1部分291の中央部よりも狭くなっている。
なお、熱伝導部材29は、原子セル21に対して光源22側と光検出部24側とに跨って設けられていれば、図示のものに限定されない。また、1対の熱伝導部材29を一体化して1つの部材としてもよいし、各熱伝導部材29が複数の部材で構成されていてもよい。また、熱伝導部材29は、前述したスペーサー28の基部281および枠部282の少なくとも一方と一体で構成されていてもよい。
このような1対の熱伝導部材29は、それぞれ、ヒーター25と原子セル21の光透過部212とを熱的に接続している。これにより、原子セル21の光透過部213側に設けられているヒーター25からの熱を1対の熱伝導部材29による熱伝導により光透過部212に伝達し、光透過部212、213間の温度差を低減することができる。
また、1対の熱伝導部材29は、それぞれ、ヒーター25と光源22とを熱的に接続している。これにより、原子セル21の光透過部213側に設けられているヒーター25からの熱を1対の熱伝導部材29による熱伝導により光源22に伝達し、光源22の高精度な温度制御が可能となる。なお、本明細書において、「熱的に接続」とは、2つの部材がこれらの間において5%以下の損失で熱伝導可能な状態を言い、当該2つの部材が接触している場合だけでなく、当該2つの間に他の部材が介在している場合も含む。
このような各熱伝導部材29の構成材料としては、熱伝導性に優れた材料、例えば、金属材料を用いることが好ましい。また、コイル27からの磁場を阻害しないよう、熱伝導部材29の構成材料としては、非磁性の材料を用いることが好ましい。
[パッケージ]
図2に示すように、パッケージ3は、原子セルユニット2および支持部材4を収納する機能を有する。なお、パッケージ3内には、前述した部品以外の部品が収納されていてもよい。
このパッケージ3は、図2に示すように、板状の基体31と、有底筒状の蓋体32(蓋部)と、を備え、蓋体32の開口が基体31により封鎖されている。これにより、原子セルユニット2および支持部材4を収納する内部空間S1が形成されている。ここで、蓋体32は、原子セルユニット2および支持部材4に対して離間している。これにより、原子セルユニット2と蓋体32との間の熱干渉を低減することができる。
基体31は、基体31の上面にて、支持部材4を介して原子セルユニット2を支持している。また、基体31は、例えば配線基板であり、基体31の支持部材4とは反対側の面(下面)には、複数の外部端子33が設けられている。この複数の外部端子33は、図示しない配線を介して、基体31の上面に設けられた複数の内部端子(図示せず)に電気的に接続されている。
この基体31の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、セラミックス材料等を用いることができるが、セラミック材料を用いることが好ましい。これにより、配線基板を構成する基体31を実現しながら、内部空間S1の気密性を優れたものとすることができる。
このような基体31には、蓋体32が接合されている。基体31と蓋体32との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。なお、基体31と蓋体32との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。
このようなパッケージ3の内部空間S1は、気密空間である。特に、内部空間S1は、大気圧よりも減圧した減圧状態(真空)である。これにより、内部空間S1を介した原子セルユニット2とパッケージ3との間の熱の伝達を効果的に抑制することができる。そのため、パッケージ3の外部の温度変化による原子セルユニット2の温度変化を低減したり、ヒーター25の消費電力を小さくしたりすることができる。
このような蓋体32の構成材料としては、特に限定されず、例えば、樹脂材料、セラミックス材料、金属材料等を用いることができるが、コバール、42アロイ、ステンレス等の金属材料を用いることが好ましい。これにより、磁気シールド性を有する蓋体32を実現しながら、内部空間S1の気密性を優れたものとすることができる。
[支持部材]
支持部材4は、前述した原子セルユニット2をパッケージ3の基体31に対して支持する機能を有する。また、支持部材4は、原子セルユニット2と外部との間の熱伝達を低減する機能を有する。これにより、原子セル21や光源22等の温度制御を高精度に行うことができる。
詳述すると、支持部材4は、図2に示すように、枠体41と、2つのシート部材42、43と、脚部44と、を有する。
図4に示すように、枠体41は、Z軸方向から見たときに、原子セルユニット2の周囲を囲むように設けられている。また、図2に示すように、枠体41の厚さは、原子セル21、光学系23およびスペーサー28からなる積層体のZ軸方向に沿った高さと同程度である。この枠体41の構成材料としては、熱伝導性が比較的低い材料であれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、セラミックス材料等の非金属を用いることが好ましく、樹脂材料を用いることがより好ましい。枠体41を主として樹脂材料で構成した場合、枠体41の熱抵抗を高くすることができ、また、枠体41の形状が複雑であっても、例えば射出成型等の公知の方法を用いて、枠体41を容易に製造することができる。
図2および図3に示すように、このような枠体41の下面には、シート部材42が接合され、また、枠体41の上面には、シート部材43が接合されている。
シート部材42、43は、それぞれ、例えばフレキシブル配線基板である。図4に示すように、シート部材43は、枠体41に接合された部分から枠体41の内側へ向けて延びている複数の梁部431と、複数の梁部431に支持されている接続部432と、を有する。
接続部432の一方の面(下面)には、原子セル21が接着剤等により接合されている。一方、接続部432の他方の面(上面)には、複数の導電性接着剤30を介して光検出部24が接合されている。また、接続部432の他方の面(上面)には、ヒーター25も搭載されている。ここで、光検出部24およびヒーター25は、接続部432が有する配線(図示せず)に電気的に接続されている。そして、かかる配線は、複数の梁部431の少なくとも1つを通じて、前述したパッケージ3の内部端子(図示せず)に電気的に接続されている。
また、接続部432は、前述した熱伝導部材29と接触しないように、1対の欠損部433を有する。なお、図示では、接続部432は、光LLの透過領域を横断しているが、光LLの透過領域を除くような形状をなしていてもよい。
同様に、シート部材42は、枠体41に接合された部分から枠体41の内側へ向けて延びている複数の梁部421と、複数の梁部421に支持されている接続部422と、を有する。
接続部422の一方の面(上面)には、スペーサー28の基部281とは反対側の面が接着剤等により接合されている。一方、接続部422の他方の面(下面)には、光源22が搭載されている。ここで、接続部222には、光源22からの光LLが通過する孔が形成されている。また、光源22は、接続部422が有する配線(図示せず)に電気的に接続されている。そして、かかる配線は、複数の梁部431の少なくとも1つを通じて、前述したパッケージ3の内部端子(図示せず)に電気的に接続されている。
また、接続部422は、前述した熱伝導部材29と接触しないように、前述した1対の欠損部433と同様の欠損部(図示せず)を有する。
前述したように、スペーサー28には、光源22等が搭載され、スペーサー28は、熱伝導部材29により原子セル21等とともに相対的な位置関係が固定されている。また、後述するように、シート部材42、43は、複数の脚部44を介して基体31に接続されている枠体41に支持されている。したがって、シート部材42がスペーサー28に接合されているとともに、シート部材43が原子セル21に接合されていることで、支持部材4が原子セル21、光源22および光検出部24等を一括して(一体的に)基体31に対して支持することとなる。なお、「原子セル21、光源22および光検出部24を支持部材4が基体31に対して一括して支持している」とは、支持部材4によって、原子セル21、光源22および光検出部24をまとめて(すなわち一括して)、基体31に対する原子セル21、光源22および光検出部24のそれぞれの相対的な位置が決められている状態を意味し、また、支持部材4に支えられている部材が基体31に対して接している場合と接していない場合との双方を含む。
このようなシート部材42、43によれば、面方向での熱抵抗が高いため、枠体41と原子セルユニット2との間の熱伝導を低減することができる。特に、幅狭の複数の梁部421、431を介して枠体41と原子セルユニット2とを接続しているため、枠体41に対して原子セルユニット2を安定的に支持するとともに、枠体41と原子セルユニット2との間の熱伝導を効果的に低減することができる。
また、枠体41の下端部には、シート部材42を介して、複数の脚部44が接続(接合)されている。この複数の脚部44は、原子セルユニット2がパッケージ3に接触しない高さに配置されるように、枠体41を基体31に対して支持している。この複数の脚部44の構成材料としては、前述した枠体41の構成材料と同様の材料を用いることができる。また、複数の脚部44は、枠体41と一体形成してもよい。
以上、パッケージ部10の構成について説明した。
以上説明したような量子干渉装置の一種である原子発振器1は、アルカリ金属原子が封入されている原子セル21と、アルカリ金属原子を励起する光LLを出射する光源22と、原子セル21を透過した光LLを検出する光検出部24と、原子セル21に対して光源22側と光検出部24側とに跨って設けられ、原子セル21よりも熱伝導率が大きい材料を用いて構成されている1対の熱伝導部材29と、1対の熱伝導部材29に対して離間して設けられ、1対の熱伝導部材29よりも熱伝導率が小さい材料を用いて構成され、原子セル21、光源22、光検出部24および1対の熱伝導部材29を一括して支持している支持部材4と、を備える。
このような原子発振器1によれば、原子セル21よりも熱伝導率が大きい材料を用いて構成されている1対の熱伝導部材29が原子セル21に対して光源22側と光検出部24側とに跨って設けられているため、原子セル21を加熱するヒーター25の数や配置によらず、特に、ヒーター25の数が1つであっても、原子セル21の光源22側の面と光検出部24側の面との温度差を低減したり、光源22の温度を高精度に制御したりすることができる。そのため、原子発振器1の特性を優れたものとすることができる。
また、1対の熱伝導部材29よりも熱伝導率が小さい材料を用いて構成されている支持部材4が原子セル21、光源22、光検出部24および1対の熱伝導部材29を一括して支持しているため、原子発振器1の小型化を図るとともに、原子セル21、光源22、光検出部24および1対の熱伝導部材29からの熱の逃げを低減して、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。
しかも、支持部材4が1対の熱伝導部材29に対して離間しているため、1対の熱伝導部材29から支持部材4への熱の逃げを効果的に低減することができる。そのため、前述した1対の熱伝導部材29による原子発振器1の特性を優れたものとする効果、および、前述した支持部材4による原子発振器1の低消費電力化を図る効果のそれぞれを好適に発揮させることができる。
ここで、支持部材4は、原子セル21に対して光源22側で光源22を支持している第1支持部であるシート部材42と、原子セル21に対して光検出部24側で原子セル21および光検出部24を支持している第2支持部であるシート部材43と、を有する。これにより、原子セル21、光源22および光検出部24を安定的に支持することができる。なお、シート部材42が原子セル21を支持してもよい。
また、原子発振器1は、原子セル21、光源22、光検出部24および1対の熱伝導部材29とともに支持部材4に一括して支持され、1対の熱伝導部材29を介して光源22および原子セル21を加熱するヒーター25を備える。これにより、ヒーター25からの熱を用いて原子セル21および光源22を高精度に温度調節することができる。
本実施形態では、ヒーター25は、原子セル21に対して光検出部24側に配置されている。これにより、ヒーター25のための配線を光検出部24のための配線と同じ側に引き回すことができる。また、このように、ヒーター25と光源22との間の距離が大きくなる場合においても、ヒーター25からの熱を1対の熱伝導部材29により効率的に光源22に伝達することができる。
また、原子発振器1は、原子セル21、光源22、光出射部24、ヒーター25、熱伝導部材29および支持部材4を内包している空間である内部空間S1を構成するパッケージ3を備え、熱伝導部材29は、パッケージ3から離間している。これにより、原子セル21、光源22、光出射部24およびヒーター25から熱伝導部材29を介してパッケージ3へ熱が伝達することを低減することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器が備えるパッケージ部の概略構成を示す断面図である。
本実施形態の原子発振器は、ヒーターの配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図5において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図5に示す原子発振器1Aが備えるパッケージ部10Aは、パッケージ3に対して支持部材4を介して支持されている原子セルユニット2Aを有する。この原子セルユニット2Aでは、スペーサー28の基部281の枠部282とは反対側に設けられているヒーター25を有する。このヒーター25は、接続部422が有する配線(図示せず)に電気的に接続されている。
本実施形態では、ヒーター25からの熱は、スペーサー28の基部281を介して光源22に伝達される。また、ヒーター25からの熱は、スペーサー28および1対の熱伝導部材29を介して、原子セル21の光透過部212、213に伝達される。
このように、本実施形態の原子発振器1Aのヒーター25は、原子セル21に対して光源22側に配置されている。これにより、ヒーター25のための配線を光源22のための配線と同じ側に引き回すことができる。また、ヒーター25と光源22との間の距離を小さくし、光源22をより高精度に温度制御することができる。その結果、光源22の温度変動に伴う光の波長変動を効果的に低減することができる。
また、ヒーター25は、原子セル21よりも光源22に近い位置にある。すなわち、ヒーター25と光源22との間の距離は、ヒーター25と原子セル21との間の距離よりも小さい。これにより、ヒーター25を原子セル21よりも光源22に近づけることができる。そのため、光源22をさらに高精度に温度制御することができる。
以上説明したような第2実施形態の原子発振器1Aによっても、特性を優れたものとしつつ、小型化および低消費電力化を図ることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る原子発振器が備えるパッケージ部の概略構成を示す断面図である。
本実施形態の原子発振器は、ヒーターの配置および支持部材の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図6において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図6に示す原子発振器1Bが備えるパッケージ部10Bは、パッケージ3内に収納されている原子セルユニット2Bおよび支持部材4Bを有する。
原子セルユニット2Bは、スペーサー28Bおよび1対の熱伝導部材29Bを有する。このスペーサー28Bは、板状の基部281Bと、基部281Bの外周部に立設されている枠部282Bと、を有し、枠部282Bの内側には、空間S2が形成されている。そして、基部281Bの上面には、光源22が設けられている。また、枠部282Bの上端部は、光学系23との間に隙間を形成する形状をなしている。そして、当該隙間には、ヒーター25が配置されている。
支持部材4Bは、枠体41Bと、2つのシート部材42B、43と、脚部44Bと、を有する。枠体41Bの厚さは、原子セル21のZ軸方向に沿った高さと同程度である。このような枠体41Bの下面には、シート部材42Bが接合され、また、枠体41Bの上面には、シート部材43が接合されている。
シート部材42Bは、枠体41Bに接合された部分から枠体41Bの内側へ向けて延びている複数の梁部421と、複数の梁部421に支持されている接続部422と、光源22に接続されている配線423と、を有する。
本実施形態では、接続部422は、原子セル21と光学系23との間に配置されている。また、接続部422の一方の面(上面)には、原子セル21の光透過部212の面が接着剤等により接合されている。また、接続部422の他方の面(下面)には、ヒーター25が搭載されている。ここで、ヒーター25は、接続部422が有する配線(図示せず)に電気的に接続されている。なお、図示では、接続部222が光LLの通過領域を横断しているが、接続部222は、光LLの通過領域を除くように形成されていてもよい。
配線423は、スペーサー28Bおよび1対の熱伝導部材29Bの第1部分291Bに接触しないように、梁部421または接続部422から、前述したスペーサー28Bによる隙間を通じて、空間S2へ延びている。そして、配線423は、光源22に接続されている。
また、枠体41Bの下端部には、シート部材42Bを介して、複数の脚部44Bが接続されている。この複数の脚部44Bは、原子セルユニット2Bがパッケージ3に接触しない高さに配置されるように、枠体41Bを基体31に対して支持している。
このように、本実施形態の原子発振器1Bの支持部材4Bは、原子セル21に対して光源22側で原子セル21を支持している第1支持部であるシート部材42Bと、原子セル21に対して光検出部24側で原子セル21および光検出部24を支持している第2支持部であるシート部材43と、を有する。このような支持部材4Bによっても、原子セル21、光源22および光検出部24を安定的に支持することができる。
また、ヒーター25は、原子セル21に対して光源22側に配置されている。これにより、ヒーター25のための配線を光源22のための配線と同じ側に引き回すことができる。また、ヒーター25と光源22との間の距離を小さくし、光源22をより高精度に温度制御することができる。その結果、光源22の温度変動に伴う光の波長変動を効果的に低減することができる。
本実施形態では、ヒーター25は、光源22よりも原子セル21に近い位置にある。すなわち、ヒーター25と光源22との間の距離は、ヒーター25と原子セル21との間の距離よりも大きい。これにより、原子セル21および光源22を含む構造体である原子セルユニット2Bの中央付近にヒーター25を配置することができる。そのため、原子セル21の光源22側の面と光検出部24側の面と光源22との間の温度分布を容易に均一化することができる。
また、原子発振器1Bは、光源22に接続されている配線423を備える。ここで、1対の熱伝導部材29は、光源22を収納している空間S2の外側に配置されている。そして、配線423は、第1支持部であるシート部材42Bから熱伝導部材29に対して離間して空間S2内へ延びて光源22に接続されている。これにより、光源22のための配線423からの輻射を低減することができる。これは、配線432が空間S2内にあることで、配線432とパッケージ3との間に熱伝導部材29が介在し、その上で、配線432が熱伝導部材29に対して離間していることで、配線432と熱伝導部材29との温度差が低減されるからである。このように配線423からの輻射を低減する結果、原子発振器1Bの低消費電力化を効果的に図ることができる。
以上説明したような第3実施形態の原子発振器1Bによっても、特性を優れたものとしつつ、小型化および低消費電力化を図ることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る原子発振器が備えるパッケージ部の概略構成を示す断面図である。
本実施形態の原子発振器は、ヒーターの配置および支持部材の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。また、本実施形態の原子発振器は、ヒーターの配置が異なる以外は、前述した第3実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図7に示す原子発振器1Cが備えるパッケージ部10Cは、パッケージ3内に収納されている原子セルユニット2Cおよび支持部材4Cを有する。
原子セルユニット2Cは、ヒーター25をスペーサー28Bの基部281B上に設けた以外は、前述した第3実施形態の原子セルユニット2Bと同様である。
支持部材4Cは、枠体41Bと、2つのシート部材42C、43と、脚部44Bと、を有する。枠体41Bの下面には、シート部材42Cが接合されている。このシート部材42Cは、光源22に接続されている配線423と、ヒーター25に接続されている配線424と、を有する。
配線424は、スペーサー28Bおよび1対の熱伝導部材29に接触しないように、梁部421または接続部422から、前述したスペーサー28Bによる隙間を通じて、空間S2へ延びている。そして、配線424は、ヒーター25に接続されている。
このように、本実施形態の原子発振器1Cは、ヒーター25に接続されている配線424を備える。ここで、1対の熱伝導部材29は、ヒーター25を収納している空間S2の外側に配置されている。そして、配線424は、第1支持部であるシート部材42Cから熱伝導部材29に対して離間して空間S2内へ延びてヒーター25に接続されている。これにより、ヒーター25のための配線424からの輻射を低減することができる。その結果、原子発振器1Cの低消費電力化を効果的に図ることができる。
以上説明したような第4実施形態の原子発振器1Cによっても、特性を優れたものとしつつ、小型化および低消費電力化を図ることができる。
2.電子機器
以上説明したような本発明の量子干渉装置を備える原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。
以下、本発明の量子干渉装置を備える電子機器の一例について説明する。
図8は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図8に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報を、アンテナ303を介して送信する送信装置304と、を備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報を、アンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報を、アンテナ403を介して受信する基地局受信部404と、を備える。
以上のような測位システム100の電子機器の一例である受信装置302は、量子干渉装置の一種である原子発振器1を備えるため、原子発振器1の特性を優れたものとしつつ、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。
なお、本発明の電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局等に適用することができる。
3.移動体
また、前述したような本発明の量子干渉装置を備える原子発振器は、各種移動体に組み込むことができる。
以下、本発明の移動体の一例について説明する。
図9は、本発明の量子干渉装置を備える移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。
図9に示す移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502と、を有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。そして、原子発振器1からの発振信号に基づいて、例えば、図示しない制御部が動力源の駆動を制御する。
以上のような移動体1500は、量子干渉装置の一種である原子発振器1を備えるため、原子発振器1の特性を優れたものとしつつ、原子発振器1の低消費電力化を図ることができる。
以上、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、前述した実施形態の各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
1…原子発振器、1A…原子発振器、1B…原子発振器、1C…原子発振器、2…原子セルユニット、2A…原子セルユニット、2B…原子セルユニット、2C…原子セルユニット、3…パッケージ、4…支持部材、4B…支持部材、4C…支持部材、5…制御部、10…パッケージ部、10A…パッケージ部、10B…パッケージ部、10C…パッケージ部、21…原子セル、22…光源、23…光学系、24…光検出部、25…ヒーター、26…温度センサー、27…コイル、28…スペーサー、28B…スペーサー、29…熱伝導部材、29B…熱伝導部材、30…導電性接着剤、31…基体、32…蓋体、33…外部端子、41…枠体、41B…枠体、42…シート部材、42B…シート部材、42C…シート部材、43…シート部材、44…脚部、44B…脚部、51…光源制御部、52…温度制御部、53…磁場制御部、100…測位システム、200…GPS衛星、211…胴体部、212…光透過部、213…光透過部、214…貫通孔、222…接続部、231…遮光部材、232…光学部品、233…光学部品、281…基部、281B…基部、282…枠部、282B…枠部、291…第1部分、291B…第1部分、292…第2部分、293…第3部分、300…基地局装置、301…アンテナ、302…受信装置、303…アンテナ、304…送信装置、400…GPS受信装置、401…アンテナ、402…衛星受信部、403…アンテナ、404…基地局受信部、421…梁部、422…接続部、423…配線、424…配線、431…梁部、432…接続部、433…欠損部、1500…移動体、1501…車体、1502…車輪、2811…孔、L…光、LL…光、S…内部空間、S1…内部空間、S2…空間、a…光軸

Claims (12)

  1. アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
    前記アルカリ金属原子を励起する光を出射する光源と、
    前記原子セルを透過した前記光を検出する光検出部と、
    前記原子セルに対して前記光源側と前記光検出部側とに跨って設けられ、前記原子セルよりも熱伝導率が大きい材料を用いて構成されている熱伝導部材と、
    前記熱伝導部材に対して離間して設けられ、前記熱伝導部材よりも熱伝導率が小さい材料を用いて構成され、前記原子セル、前記光源、前記光検出部および前記熱伝導部材を一括して支持している支持部材と、を備えることを特徴とする量子干渉装置。
  2. 前記支持部材は、前記原子セルに対して前記光源側で前記原子セルまたは前記光源を支持している第1支持部と、前記原子セルに対して前記光検出部側で前記原子セルまたは前記光検出部を支持している第2支持部と、を有する請求項1に記載の量子干渉装置。
  3. 前記原子セル、前記光源、前記光検出部および前記熱伝導部材とともに前記支持部材に一括して支持され、前記熱伝導部材を介して前記光源および前記原子セルを加熱するヒーターを備える請求項2に記載の量子干渉装置。
  4. 前記ヒーターは、前記原子セルに対して前記光検出部側に配置されている請求項3に記載の量子干渉装置。
  5. 前記ヒーターは、前記原子セルに対して前記光源側に配置されている請求項3に記載の量子干渉装置。
  6. 前記ヒーターと前記光源との間の距離は、前記ヒーターと前記原子セルとの間の距離よりも小さい請求項5に記載の量子干渉装置。
  7. 前記ヒーターと前記光源との間の距離は、前記ヒーターと前記原子セルとの間の距離よりも大きい請求項5に記載の量子干渉装置。
  8. 前記ヒーターまたは前記光源に接続されている配線を備え、
    前記熱伝導部材は、前記ヒーターまたは前記光源を収納している空間の外側に配置されており、
    前記配線は、前記第1支持部から前記熱伝導部材に対して離間して前記空間内へ延びて前記ヒーターまたは前記光源に接続されている部分を有する請求項3ないし7のいずれか1項に記載の量子干渉装置。
  9. 前記原子セル、前記光源、前記光出射部、前記ヒーター、前記熱伝導部材および前記支持部材を内包している空間を構成するパッケージを備え、
    前記熱伝導部材は、前記パッケージから離間している請求項3ないし8のいずれか1項に記載の量子干渉装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする原子発振器。
  11. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする電子機器。
  12. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする移動体。
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