JP7232510B2 - 量子光学装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザと原子との相互作用を利用して安定した標準周波数信号を取得する原子時計や原子コンパス、原子ジャイロ等に用いることが可能な量子光学装置に関する。
原子時計のような量子光学装置では、レーザと原子との相互作用を利用して、ガス状のアルカリ金属元素、希ガスまたは不活性ガスより、安定した標準周波数信号を取得する。量子光学装置では、ガスを封入・密閉したガス充填容器(ガスセル)が必要不可欠であり、例えばガラス管を利用したガスセルが一般に用いられている。また、標準周波数信号となる原子の吸収線は磁場や角加速度に感度を持つことが知られており、この性質を運動量の高感度検知に利用することで、原子コンパスや原子ジャイロを構成することも出来る。近年は、量子光学装置に対する小型化への強い要望から、陽極接合やプラズマエッチングなどのウェハープロセスを使用した小型のガスセルの開発も多数、報告されている。
上述したような量子光学装置の一例として、CPT(Coherent Population Trapping)方式の量子光学装置100の概略構成を図9に示す。電流ドライバ101より供給される定電流は、バイアス・ティ102を介して、マイクロ波発信器103よりの高周波変調信号と共に発光素子4へ供給される。発光素子104に定電流を印加することで、発光素子104は一定振動数ν0にて発光する。この印加される電流にマイクロ波発振器103から振動数νmodなる高周波変調信号を重畳すると、発光素子104からはν0-νmod、ν0mod、ν0+νmodの振動数を有する光が生成され、ガスセル5に入力され、光路OPを経た出力光を受光素子106で受信する。なお、実際にはνmodの高次項も生成されるが、その影響は無視できる程度であるから、以下では、強勢に生成される三つの振動数のみに着目する。
ガスセル5には、ガス状のアルカリ金属元素が緩衝ガスとなる不活性な希ガス類とともに充填されており、光と原子との相互干渉によってCPT現象が生ずる。CPT現象は、図10に示すように、相互に禁制帯にある二つの基底準位(<1|と<2|)と一つの励起準位(<3|)とからなる3準位系で観測される共鳴現象である。この3準位系を呈するガスセル105に<3|と<1|とのエネルギー差に相当する第1励起光ExL1を導入すると、誘導吸収と誘導放出に伴う吸発光現象が観測される。同様に、<3|と<2|とのエネルギー差に相当する第2励起光ExL2をガスセル105に導入すると、誘導吸収と誘導放出に伴う吸発光現象が観測される。ここで、第1励起光ExL1と第2励起光ExL2が同時にガスセル105へ導入されると、各々のエネルギー準位間の誘導吸収と誘導放出とが相殺され、励起光との相互作用が起こらない暗共鳴が観測される。これをCPT現象、またはCPT共鳴と呼ぶ。
したがって、図10のようなエネルギー準位を有するガスセル105に入力する複数の振動数のうち、二つが第1励起光ExL1および第2励起光ExL2に合致したとき、CPT現象が発現する。このことから、発光素子105の定常状態での出力振動数ν0を適切に選定することで、外部入力となるマイクロ波発振器103の出力振動数νmodを用いてCPT現象の発現を制御できることがわかる。
CPT現象の発現は、ガスセル105を透過する光量を最大化し、受光素子106の出力を最大化する。また、ガスセル105に封入されているガス成分が気体状態を保持するように、ヒータ等の昇温手段107によって高温に温度管理されると共に、保持手段108によって定位置に保持される。保持手段108の一例を図11に示す。主フレーム1081によって第1テザー1082aと第2テザー1082bを保持し、第1,第2テザー1082a,1082bによってガスセル105、発光素子104、受光素子106を定位置に固定する。
保持手段108によって、発光素子104の発光部から受光素子106の受光部に向けて、光路OPを経てガスセル105内をレーザ光が通過する配置を安定的に保持する。そして、受光素子105の出力を、判別器109とループフィルタ110とを用いて常に出力ピークを捕捉するようにマイクロ波発振器103の出力振動数をフィードバック制御する。すなわち、マイクロ波発振器103の出力となる高周波変調信号が所望の出力振動数となるよう、ガスセル105内原子のエネルギー準位によって安定化が図られる。このように、CPT共鳴の捕捉を行う機能手段は、半導体製造プロセスにより微細化した1つ以上の半導体素子で構成できる。なお、全ての機能をパッケージングして1つの半導体素子で構成することも可能である。上述した量子光学部やCPT共鳴捕捉機能は、減圧された密閉容器111内に収納される。
量子光学装置100の量子光学部は、磁気シールドなどによってガスセル105が遮蔽されており、また、装置全体に加速度運動が加えられていないことを前提として、標準周波数信号を得られる装置である。しかしながら、磁気や慣性運動が加わった場合は、エネルギー準位も鋭敏に反応し、出力周波数はそれに応じて変動する。そこで、図12に示す量子光学装置100′のように、外部磁気を作用させた出力信号Sを取り出すことで、原子コンパスとして利用することができる。また、図13に示す量子光学装置100″のように、加速度運動が加えられた標準周波数信号と基準クロック源112からの基準クロックとを比較器113で比較し、差分波長の出力信号Sを取り出すことで、原子ジャイロとして利用することができる。
量子光学部におけるガスセル105は、封入されたアルカリ金属元素を気体状に保持するため、60~90℃程度に温度管理される必要がある。これは、分子運動論的に、原子の運動量を上げ、光と相互干渉する原子の数を増大させるためである。よって、ガスセル105を加熱するための昇温手段107には、ヒータ電流等を供給する配線を接続しなければならない。また、発光素子104や受光素子106はもちろん、CPT共鳴捕捉機能を実現するために用いる半導体素子に対しても電源や制御信号を供給したり、検出信号を取り出したりするための配線が必要である。しかし、コンパクトな構造とする量子光学部は、ガスセルや各種半導体素子を積層状に配置するマウント実装を行うため、立体的な配線構造が必要である。
そこで、異なる層にある光源やヒータをワイヤ状の立体配線で接続する手法がある(例えば、特許文献1を参照)。また、マウント構造を支える架橋構造物に配線を作り込んで光源やヒータへの配線を行う手法も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2017-183869号公報 特開2018-058162号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された量子光学装置で採用されている配線構造では、ウェハープロセスにより作成する小型のガスセルを用いた量子光学装置に十分対応できるものではない。上述したように、CPT共鳴捕捉機能を実現するためには、マイクロ波発振器を含む高周波回路も必須であるから、高周波信号が流れることで生ずる高周波ノイズが他の半導体素子の動作に悪影響を与えないようにしなければならない。
例えば、原子時計などに一般に用いられるアルカリ金属原子として87Rb,85Rb,Csが挙げられ、これらのCPT共鳴周波数はそれぞれ3.417GHz、1.518GHz、4.596GHzである。したがって、図9,図12、図13に示した量子光学装置100,100′,100″における信号のほとんどは、高周波帯にて精緻に制御する必要がある。
このような高周波信号用の配線と、電源用の配線や低周波の制御信号用の配線が混在していると、高周波ノイズが電源や低周波の制御信号に重畳するため、システムの誤動作や故障、周波数精度の低下を誘引することとなる。したがって、高周波信号の入出力により生ずる高周波ノイズへの対策を適切に行わなければ、安定動作する量子光学装置を実現することは困難である。
本発明は、高周波信号により生ずる高周波ノイズの影響を抑制できる量子光学装置の提供を目的とする。
前記課題を解決するために、本構成に係る量子光学装置は、アルカリ金属元素の吸収波長帯で複数周波数の励起光を出射する発光素子と、前記発光素子からの励起光を透明な窓部より受ける位置に配置され、ウェハープロセスにより作成された微細な内空部にアルカリ金属元素とバッファガスが封入された小型のガス充填容器と、前記ガス充填容器に封入されているガス成分が気体状態を保持するよう、ガス充填容器を加熱する昇温手段と、前記ガス充填容器を通過した光を受信する位置に配置され、受信光の光強度を検出する受光素子と、前記受光素子で検出される光強度を最大化させるCPT共鳴を発生させるように、発光素子から出力させる励起光の周波数差を、アルカリ金属元素における基底順位間の周波数差に一致させるCPT共鳴捕捉機能を実現する1つ以上の半導体素子と、必要十分な耐荷重性を有するフレームに固定され、前記ガス充填容器、発光素子、受光素子、半導体素子を含む保持対象をそれぞれ所要位置に保持する複数の構造保持テザーと、配線を必要とする前記保持対象を保持可能な位置で前記フレームに固定され、少なくとも誘電体基板の片面側に配線を形成した配線テザーと、を備えることを特徴とする。
また、前記構成において、前記配線テザーは、少なくとも、直流電源や直流信号の伝送に用いる直流信号配線を形成した直流信号用配線テザーと、高周波ノイズの発生要因となり得る高周波信号の伝送に用いる高周波信号配線を形成した高周波信号用配線テザーと、を含むものでも良い。
また、前記構成において、前記配線テザーは、更に、高周波ノイズの発生要因とならない低周波信号の伝送に用いる低周波信号配線を形成した低周波信号用配線テザー、を含むものでも良い。
また、前記構成において、前記高周波信号配線用テザーの幅を、他の配線テザーの幅よりも狭く設定したものでも良い。
また、前記構成において、前記直流信号用配線テザーは、直流信号配線と対向する面に、電気的に接地された接地配線を備えるものでも良い。
また、前記構成において、前記直流信号用配線テザーは、直流信号配線の両側に、電気的に接地された接地配線を備えるものでも良い。
本発明に係る量子光学装置によれば、保持対象をそれぞれ所要位置に保持する構造保持テザーとは別に、配線を形成した配線テザーを設けたので、電源供給や信号の入出力を配線テザー単位で独立して行うことが可能となる。したがって、高周波ノイズ源となる高周波信号と、他の直流や低周波信号とを物理的に離し、高周波ノイズの影響を効果的に抑制できる。
実施形態に係る量子光学装置の概略構成図である。 第1改変例のガスセルを示し、(A)は外観斜視図、(B)は図2(A)のIIB-IIB線の矢視断面図、(C)は図2(A)のIIC-IIC線の矢視断面図である。 第2改変例のガスセルを示し、(A)は外観斜視図、(B)は図3(A)のIIIB-IIIB線の矢視断面図、(C)は図3(A)のIIIC-IIIC線の矢視断面図である。 第3改変例のガスセルを示し、(A)は外観斜視図、(B)は図4(A)のIVB-IVB線の矢視断面図、(C)は図4(A)のIVC-IVC線の矢視断面図である。 (A)は第1改変例のガスセルにおけるガス封入空部を増大させた概略断面図である。(B)は第2改変例のガスセルにおけるガス封入空部を増大させた概略断面図である。(C)は第3改変例のガスセルにおけるガス封入空部を増大させた概略断面図である。 (A)は第1構成例の量子光学部の概略横断面図である。(B)は図6(A)におけるVIB-VIB矢視線の拡大端面図である。 (A)は第2構成例の量子光学部の概略横断面図である。(B)は図7(A)におけるVIIB-VIIB矢視線の拡大端面図である。 (A)は第3構成例の量子光学部の概略横断面図である。(B)は図8(A)におけるVIIIB-VIIIB矢視線の拡大端面図である。 原子時計に適用可能な従来の量子光学装置を示す機能ブロック図である。 CPT現象の原理説明図である。 従来の量子光学装置の概略構成図である。 原子コンパスに適用可能な従来の量子光学装置を示す機能ブロック図である。 原子ジャイロに適用可能な従来の量子光学装置を示す機能ブロック図である。
次に、添付図面に基づき、量子光学装置の実施形態について詳述する。
図1に示す量子光学装置1は、減圧された密閉容器2内に量子光学部3を備える構造である。量子光学部3の保持手段10は、アルカリ金属元素が封入されたガス充填容器であるガスセル20を所定位置に保持する。ガスセル20の周囲には、封入されたガスを気体状に保持(例えば、60~90℃の高温を保持)するための加熱ヒータ等で構成できる昇温手段30を配置してある。
保持手段10は、必要十分な耐荷重性を有する主フレーム11の適所からフレーム内側へ延出するように固定されたテザー12を複数段(例えば、5段)備える。各テザー12は、昇温手段30を備えたガスセル20、発光素子41、受光素子42、CPT捕捉機能を実現するために用いる半導体素子50等(以下、これらをテザー12の保持対象という)を、それぞれ離隔させつつ積層状に所要位置へ保持する。すなわち、各テザー12を適宜離隔させて配置することで、各テザー12に保持された保持対象は、互いに断熱されるので、特性に応じた温度帯で温度管理することができる。例えば、発光素子41、受光素子42、半導体素子50は、ガスセル20の温度管理とは異なる独自の温度制御系(例えば、40~60℃程度の低温)で温度管理を実施することも可能である。
ガスセル20は、第1面板23a側と第2面板23b側をそれぞれテザー12で保持する二段保持構造とすることで、耐荷重性を高めてあるが、一段のみの保持構造(例えば、図1において、下から支える構造、或いは上から吊り下げる構造のみ)でも構わない。このガスセル20の第1面23a側には、テザー12に保持された発光素子41を、ガスセル20の第2面23b側には、テザー12に保持された受光素子42を、それぞれ配置し、発光素子41からの照射光がガスセル20を経て受光素子42の受光部へ至る光路OPが形成される。
ガスセル20は、ベース体21の二面(図1においては、上面と下面)を貫通するガス封入空部22を設け、透光性の第1面板23aと第2面板23bにて封止した構造である。例えば、ガスセル20の第1面板23aが発光素子41に対向する配置とすることで、こちらを入射面とし、第2面板23bが受光素子42に対向する配置とすることで、こちらを出射面とする。昇温手段30は、ガスセル20のガス封入空部22内に封入されたガスを気体状に保持するために加熱するものであるが、第1面板23aの入射窓部と第2面板23bの出射窓部が昇温手段30によって塞がれることがないような配慮が必要である。あるいは、レーザ光の波長に対して透明な透明導電膜(ITO膜)で構成したヒータを配置して、光路OPを妨げることがないようにしても良い。
上述したガスセル20のベース体21は、既存のガラス管を所要長さに切って、その単一ガラス管の内空をガス封入空部22に利用することもできるが、そのような作成法ではガスセル20の小型化に限界がある。シリコン等の基材をウェハープロセスによる微細加工してベース体21を作成すれば、ガスセル20本体を数ミリ以下の小型に形成できる。ウェハープロセスを使えると言うことは、半導体チップのように、小型のガスセル20を大量に生産できることを意味する。しかも、半導体生産技術を活用できれば、露光装置を利用したパターン転写によって、ガスセル20を更に微細化する道も開ける。加えて、平滑なウェハーでガスセル20のベース体20を作るなら、ウェハーレベルパッケージングと呼ばれる手法を用いて、ウェハーレベルで組立を行い、最期にダイシングを行って個片化するという技術も適用可能である。
また、小型のガスセル20は、上述した構造に限定されるものではない。例えば、図2に示す第1改変例のガスセル20Aは、所要形状(たとえは、略四角形)で平板な一対のベース体24,24によって、透光性の光透過体25の内空部開口面を封止して、ガス封入空部22を設けた構造である。光透過体25はガラス等の透光性材料で形成した略四角枠状で、対向する一対の透光壁部25a,25bと、これら透光壁部25a,25bの端部を繋ぐ一対の連結壁部25c,25dを備える。図2に示すガスセル20Aにおいては、透光壁部25aが出射側、透光壁部25bが入射側となるので、透光壁部25a,25bにおける外面と内面は、光路OPに直交する平面としておく必要がある。一方、連結壁部25c,25dにおける外面と内面には、そのような精度が要求されないので、外面と内面が平行になっていなくても構わない(例えば、図2(C)を参照)。なお、光透過体25における四側壁が全て透光壁部として機能する構造とすれば、四側壁の何れでも入射面あるいは出射面として使えるので、ガスセル20Aを配置するときの向きが限定されず、自由度の高いものとなる。
図3に示す第2改変例のガスセル20Bは、所要形状(たとえは、略四角形)で平板な一対のベース体24と、透光性の面板26とで、透光性の光透過体25の内空部開口面を封止して、ガス封入空部22を設けた構造である。このように、シリコン等の構造材料からウェハープロセスによって作成するベース体24を片側にだけ用い、このベース体24に対して光透過体25と面板26を組み付けることでも、ガス充填容器としてのガスセル20Bを作製できる。
図4に示す第3改変例のガスセル20Cは、透光性の面板26,26により、ベース体27の内空部開口面を封止して、ガス封入空部22を設けた構造である。ベース体27の内空部は、エッチング等の半導体加工プロセスにより形成すると、内空縁部27aが均一にならい場合がある(図4(C)を参照)。しかしながら、ベース体27における内空縁部27aが、一方の面板26の入射窓部から他方の面板26の出射窓部に至る光路OPを妨げなければ、多少歪な形状のガス封入空部22となっても構わない。
図5(A)に示すのは、第1改変例のガスセル20Aに対して、ガス封入空部22の容積を増大させるようにしたガスセル20A′である。ガスセル20A′においては、各ベース体24′,24′の内面側に凹部24aを設けることで、ガス封入容積を増大させたガス封入空部22′を形成した。図5(B)に示すのは、第2改変例のガスセル20Bに対して、ガス封入空部22の容積を増大させるようにしたガスセル20B′である。ガスセル20B′においては、ベース体24′の内面側に凹部24aを設けると共に、面板26′の内面側にも凹部26aを設けることで、ガス封入容積を増大させたガス封入空部22′を形成した。図5(C)に示すのは、第3改変例のガスセル20Cに対して、ガス封入空部22の容積を増大させるようにしたガスセル20C′である。ガスセル20C′においては、各面板26′,26′の内面側に凹部26aを設けることで、ガス封入容積を増大させたガス封入空部22′を形成した。
上述した各種のガスセル20は、昇温手段30による加熱のために、ヒータ電流を供給するための流路となる配線構造が必要である。発光素子41や受光素子42に対しても、電源供給や信号の入出力を行う配線構造が必要である。CPT共鳴捕捉機能を実現するためには、マイクロ波発振器を含む高周波回路等の半導体素子50に高周波信号の入出力が必要である。図6に示す第1構成例の量子光学部3Aにおいては、テザー12を複数種類の異なる構造(構造保持テザー121、直流信号用テザー122、高周波信号用テザー123)として使い分ける。
構造保持テザー121は、ガスセル20、発光素子41、受光素子42、半導体素子50等の保持対象の荷重を主として保持するもので、ポリイミドのような高耐熱性と強度を備えた板状体121aから構成できる。なお、構造保持テザー121の形状は、板状とせず、より強度を高められる角材形状などにしても構わない。また、保持対象であるガスセル20、発光素子41、受光素子42、半導体素子50は、何れも配線を必要としているので、構造保持テザー121と併せて配線テザーも用いる。配線テザーによって、保持対象の荷重の一部を支えると共に、電源や信号の伝送路を保持対象と接続するのである。本実施形態では、配線テザーとして、直流信号用テザー122および高周波信号用テザー123の2種類を用意しており、保持対象が必要とする信号特性に応じて、一方のみ用いる場合もあれば、両方を用いる場合もある。
直流信号用配線テザー122は、誘電体基板122aの片面側(図6(B)においては上面側)に、直流電源や直流信号の伝送に用いる直流信号配線122bを形成したものである。高周波信号用配線テザー123は、誘電体基板123aの片面側(図6(B)においては上面側)に、高周波ノイズの発生要因となり得る高周波信号の伝送に用いる高周波信号配線123bを形成したものである。なお、誘電体基板の片面側に、高周波ノイズの発生要因とならない低周波信号の伝送に用いる低周波信号配線を形成することで低周波信号用配線テザーを別途設けても良いが、直流信号用配線テザー122を低周波信号用配線テザーとして共用できる。これら配線テザーは、構造保持テザー121の何れかが保持する保持対象を保持可能な位置で主フレーム11に固定され、保持対象の荷重を保持する機能と併せて、電源や信号の入出力線路としての機能を備える。
このように、直流信号用配線テザー122と高周波信号用配線テザー123とを空間的に分離することで、高周波信号用配線テザー123の高周波信号配線123bを流れる高周波信号により生じた高周波ノイズが、直流信号用配線テザー122の直流信号配線122bと電磁的に結合することを抑制できる。なお、本構成例では、直流信号用配線テザー122と高周波信号用配線テザー123を、主フレーム11の同一面から延出させるように設けて、各テザー122,123への配線形性箇所が集約されるようにした。しかし、各テザー12への配線形成箇所を集約する必要が無ければ、直流信号用配線テザー122と高周波信号用配線テザー123を、主フレーム11の異なる面から延出させるなどして、両テザーの離隔距離を大きくとり、ノイズ抑制効果をより高めるようにしても良い。
加えて、高周波信号配線用テザー123の幅を直流信号用配線テザー122の幅よりも狭く設定し、併せて、高周波信号配線123bの幅直流信号配線122bの幅よりも狭く設定しておく。高周波信号配線123bに対して、相対的に高周波信号配線123bを細く設計することも、電磁的結合の抑制には有効である。
また、高周波ノイズが電源線へ重畳するのを抑制する有効な方法として、容量を用いて電源線を電気的なグラウンドにシャントしておく方法がある。そこで、図7に示す第2構成例の量子光学部3Bにおける直流信号用配線テザー122′は、誘電体基板122aを挟んで直流信号配線122bと対向する面に、電気的に接地された接地配線122cを備えるものとした。このような比較的単純な構造で、直流信号配線122bへの高周波ノイズ混入を効果的に抑制できる。
しかしながら、第2構成例の量子光学部3Bにおける直流信号用配線テザー122′では、誘電体基板122aの両面にプリント配線を施す必要があるため、コストの増大に繋がる。そこで、図8に示す第3構成例の量子光学部3Cにおける直流信号用配線122″は、直流信号配線122bの両側に、適宜な空隙を介して、電気的に接地された第1接地配線122d1と第2接地配線122d2を備えるものとした。このような配線構造であれば、誘電体基板122aの片面にプリント配線を施すだけで作製できるので、コストを抑えつつ、直流信号配線122bへの高周波ノイズ混入を効果的に抑制できる。
以上、本発明に係る量子光学装置を実施形態に基づき説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全ての量子光学装置を権利範囲として包摂するものである。
1 量子光学装置
2 密閉容器
10 保持手段
11 主フレーム
12 テザー
121 構造保持テザー
122 直流信号用配線テザー
123 高周波信号配線用テザー
20 ガスセル
33 昇温手段
41 発光素子
42 受光素子
60 温度管理手段

Claims (6)

  1. アルカリ金属元素の吸収波長帯で複数周波数の励起光を出射する発光素子と、
    前記発光素子からの励起光を透明な窓部より受ける位置に配置され、ウェハープロセスにより作成された微細な内空部にアルカリ金属元素とバッファガスが封入された小型のガス充填容器と、
    前記ガス充填容器に封入されているガス成分が気体状態を保持するよう、ガス充填容器を加熱する昇温手段と、
    前記ガス充填容器を通過した光を受信する位置に配置され、受信光の光強度を検出する受光素子と、
    前記受光素子で検出される光強度を最大化させるCPT共鳴を発生させるように、発光素子から出力させる励起光の周波数差を、アルカリ金属元素における基底順位間の周波数差に一致させるCPT共鳴捕捉機能を実現する1つ以上の半導体素子と、
    必要十分な耐荷重性を有するフレームに固定され、前記ガス充填容器、発光素子、受光素子、半導体素子を含む保持対象をそれぞれ所要位置に保持する複数の構造保持テザーと、
    配線を必要とする前記保持対象を保持可能な位置で前記フレームに固定され、少なくとも誘電体基板の片面側に配線を形成した配線テザーと、
    を備えることを特徴とする量子光学装置。
  2. 前記配線テザーは、少なくとも、
    直流電源や直流信号の伝送に用いる直流信号配線を形成した直流信号用配線テザーと、
    高周波ノイズの発生要因となり得る高周波信号の伝送に用いる高周波信号配線を形成した高周波信号用配線テザーと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の量子光学装置。
  3. 前記配線テザーは、更に、
    高周波ノイズの発生要因とならない低周波信号の伝送に用いる低周波信号配線を形成した低周波信号用配線テザー、
    を含むことを特徴とする請求項2に記載の量子光学装置。
  4. 前記高周波信号用配線テザーの幅を、他の配線テザーの幅よりも狭く設定したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の量子光学装置。
  5. 前記直流信号用配線テザーは、直流信号配線と対向する面に、電気的に接地された接地配線を備えることを特徴とする請求項2~請求項4の何れか1項に記載の量子光学装置。
  6. 前記直流信号用配線テザーは、直流信号配線の両側に、電気的に接地された接地配線を備えることを特徴とする請求項2~請求項4の何れか1項に記載の量子光学装置。
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