JP6476751B2 - 原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器および電子機器 - Google Patents

原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。
一般に、原子発振器の動作原理は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した方式と、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した方式とに大別される。いずれの方式の原子発振器においても、通常、アルカリ金属を封入した原子セル(ガスセル)を備えている(例えば、特許文献1参照)。
このような原子セルとしては、近年の原子発振器(特に、CPT方式の原子発振器)の小型化の要請に伴って小型化を図るべく、複数の基板を積層した構造を有するものが知られている。このような原子セルを製造する際、例えば、特許文献1では、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成された基板の一方の面にガラス基板を接合してなる2つの部材を用意し、一方の部材のガラス基板の貫通孔側の面上にアルカリ金属を配置した後に、2つの部材を互いに接合することにより、アルカリ金属が封入された内部空間を形成する。
ここで、一般に、原子セル内には、アルカリ金属が経時的に減少する量を見込んだ多めの量のアルカリ金属が封入され、余剰のアルカリ金属は液体状または固体状として存在することとなる。
しかし、特許文献1に係る原子セルでは、アルカリ金属に照射する光を通過させるべきガラス基板の領域上に余剰のアルカリ金属が多く存在することとなるため、光の透過量が減少したり、光の一部が液体または固体状態のアルカリ金属と作用したりすることで、特性の低下を招くという問題があった。例えば、CPT方式の原子発振器では、電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象に伴って発生する急峻な信号であるEIT信号を基準信号として用いるが、特許文献1に係る原子セルでは、EIT信号の強度が小さくなってしまい、その結果、周波数安定度が低下するという問題があった。
特開2013−38382号公報
本発明の目的は、周波数安定度を向上させることができる原子セルの製造方法および原子セルを提供すること、また、かかる原子セルを備える量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の原子セルの製造方法は、内部空間を構成していて少なくとも一部が光透過部である壁部を有し、前記光透過部に液体状または固体状の金属原子が配置されている構造体を準備する準備工程と、
前記金属原子の量が前記光透過部の中央部よりも外周部側で多くなるように分布を調整する調整工程と、
を含むことを特徴とする。
このような原子セルの製造方法によれば、得られる原子セルにおいて、光透過部の中央部に配置される液体状または固体状の金属原子の量が少ないため、光を効率的に透過させることができる。そのため、例えば、EIT方式の量子干渉装置に用いた場合、EIT信号の強度を大きくすることができ、その結果、周波数安定度を向上させることができる。
[適用例2]
本発明の原子セルの製造方法では、前記調整工程において、前記光透過部を加熱することで分布を調整することが好ましい。
これにより、内部空間が封止された状態でも、調整工程を行うことができる。
[適用例3]
本発明の原子セルの製造方法では、前記準備工程は、
一方の面側に開口し、底部が前記光透過部を構成する凹部を備えるベース部を準備するベース部準備ステップと、
前記底部に前記金属原子を配置する配置ステップと、
前記凹部を封止して前記内部空間を形成する封止ステップと、
を含むことが好ましい。
これにより、小型な原子セルを効率的に製造することができる。
[適用例4]
本発明の原子セルの製造方法では、前記配置ステップにおいて、成膜により前記金属原子を前記底部に配置することが好ましい。
これにより、小型な原子セルを製造する場合であっても、配置ステップにおいて、所望量の液体状または固体状の金属原子を所望の位置および範囲に容易に配置することができる。
[適用例5]
本発明の原子セルの製造方法では、前記調整工程において、前記金属原子が前記底部の外周部に沿って配置されるように前記調整を行うことが好ましい。
これにより、内部空間に配置される液体状または固体状の金属原子の量が多くても、液体状または固体状の金属原子を窓部の外周部に配置することができる。
[適用例6]
本発明の原子セルの製造方法では、前記底部が平面視で角部を有し、
前記調整工程において、前記金属原子が前記角部に配置されるように前記調整を行うことが好ましい。
これにより、得られる原子セルにおいて、液体状または固体状の金属原子を光通過領域から遠ざけることができる。
[適用例7]
本発明の原子セルの製造方法では、前記準備工程において、前記構造体は、前記光透過部の外周部に設けられている凹状の収納部を有し、
前記調整工程において、前記金属原子の少なくとも一部を前記収納部に配置することが好ましい。
これにより、得られる原子セルにおいて、液体状または固体状の金属原子を光通過領域から遠ざけることができる。
[適用例8]
本発明の原子セルの製造方法では、前記収納部は、前記光透過部の外周部に沿って延びていることが好ましい。
これにより、得られる原子セルにおいて、内部空間に配置される液体状または固体状の金属原子の量が多くても、液体状または固体状の金属原子を光通過領域から遠ざけることができる。
[適用例9]
本発明の原子セルは、本発明の原子セルの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
このような原子セルによれば、光透過部の中央部に配置される液体状または固体状の金属原子の量が少ないため、光を効率的に透過させることができる。そのため、例えば、EIT方式の量子干渉装置に用いた場合、EIT信号の強度を大きくすることができ、その結果、周波数安定度を向上させることができる。
[適用例10]
本発明の原子セルは、1対の窓部と、
前記1対の窓部間に配置されていて前記1対の窓部とともに内部空間を構成している胴体部と、
前記内部空間にて前記1対の窓部のうちの少なくとも一方の窓部上に前記窓部の中央部よりも外周部側で量が多くなるように配置されている液体状または固体状の金属原子と、
を備えることを特徴とする。
このような原子セルによれば、光透過部(窓部)の中央部に配置される液体状または固体状の金属原子の量が少ないため、光を効率的に透過させることができる。そのため、例えば、EIT方式の量子干渉装置に用いた場合、EIT信号の強度を大きくすることができ、その結果、周波数安定度を向上させることができる。
[適用例11]
本発明の原子セルでは、前記1対の窓部のうちの少なくとも一方の窓部と前記胴体部との接続部に設けられていて前記金属原子が配置されている凹状の収納部を備えることが好ましい。
これにより、液体状または固体状の金属原子を窓部の外周部に安定的に配置することができる。
[適用例12]
本発明の原子セルでは、前記収納部は、前記接続部に沿って延びていることが好ましい。
これにより、内部空間に配置される液体状または固体状の金属原子の量が多くても、液体状または固体状の金属原子を窓部の外周部に安定的に配置することができる。
[適用例13]
本発明の原子セルでは、前記収納部は、前記窓部に設けられている凹部を含んで構成されていることが好ましい。
これにより、液体状または固体状の金属原子が収納部からはみ出て窓部の中央部へ移動するのを低減することができる。
[適用例14]
本発明の原子セルでは、前記収納部は、前記胴体部に設けられている段差部を含んで構成されていることが好ましい。
これにより、液体状または固体状の金属原子を光通過領域から遠ざけることができる。
[適用例15]
本発明の量子干渉装置は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
これにより、優れた周波数安定度を有する量子干渉装置を提供することができる。
[適用例16]
本発明の原子発振器は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
これにより、優れた周波数安定度を有する原子発振器を提供することができる。
[適用例17]
本発明の電子機器は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
これにより、周波数安定度を向上させることができる原子セルを備える電子機器を提供することができる。
[適用例18]
本発明の移動体は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
これにより、周波数安定度を向上させることができる原子セルを備える移動体を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。 アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 光出射部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。 (a)は、図1に示す原子発振器が備える原子セルの縦断面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。 図1に示す原子発振器が備える原子セルの他の使用例を説明するための縦断面図である。 図4に示す原子セルの製造方法における準備工程(配置ステップ)および封止ステップを示す図である。 図4に示す原子セルの製造方法における調整工程および個片化工程を示す図である。 (a)は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。 図8に示す原子セルの製造方法における配置ステップ、封止ステップおよび調整工程を示す図である。 (a)は、本発明の第3実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。 (a)は、本発明の第4実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。 (a)は、本発明の第5実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。 (a)は、本発明の第6実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。 (a)は、本発明の第7実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。 本発明の移動体の一例を示す図である。
以下、本発明の原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。また、図2は、アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図3は、光出射部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。この原子発振器1は、図1に示すように、原子セル2(ガスセル)と、光出射部3と、光学部品41、42、43、44と、光検出部5と、ヒーター6と、温度センサー7と、磁場発生部8と、制御部10とを備える。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
図1に示すように、原子発振器1では、光出射部3が原子セル2に向けて励起光LLを出射し、原子セル2を透過した励起光LLを光検出部5が検出する。
原子セル2内には、ガス状のアルカリ金属(金属原子)が封入されており、アルカリ金属は、図2に示すように、3準位系のエネルギー準位を有し、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
光出射部3から出射された励起光LLは、周波数の異なる2種の共鳴光1、2を含んでおり、この2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射したとき、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
例えば、光出射部3が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部5の検出強度は、図3に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を用いることにより、発振器を構成することができる。
以下、原子発振器1の各部を簡単に説明する。
[原子セル]
原子セル2内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。また、原子セル2内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。
ここで、原子セル2内には、余剰のアルカリ金属が液体状または固体状として存在している。なお、この点については、後に詳述する。
[光出射部]
光出射部3(光源)は、原子セル2中のアルカリ金属原子を励起する励起光LLを出射する機能を有する。
より具体的には、光出射部3は、励起光LLとして、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射するものである。共鳴光1は、原子セル2内のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態へ励起(共鳴)し得るものである。一方、共鳴光2は、原子セル2内のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態へ励起(共鳴)し得るものである。
この光出射部3としては、前述したような励起光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
なお、光出射部3は、図示しない温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子等)により、所定温度に温度調節される。
[光学部品]
複数の光学部品41、42、43、44は、それぞれ、前述した光出射部3と原子セル2との間における励起光LLの光路上に設けられている。ここで、光出射部3側から原子セル2側へ、光学部品41、光学部品42、光学部品43、光学部品44の順に配置されている。
光学部品41は、レンズである。これにより、励起光LLを無駄なく原子セル2へ照射することができる。なお、光学部品41は、省略することができる。
光学部品42は、偏光板である。これにより、光出射部3からの励起光LLの偏光を所定方向に調整することができる。
光学部品43は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、原子セル2に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光出射部3の出力が大きい場合でも、原子セル2に入射する励起光を所望の光量とすることができる。本実施形態では、前述した光学部品42を通過した所定方向の偏光を有する励起光LLの強度を光学部品43により調整する。なお、光学部品43は、省略することができる。
光学部品44は、λ/4波長板である。これにより、光出射部3からの励起光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
後述するように磁場発生部8の磁場により原子セル2内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号の強度が小さくなり、その結果、原子発振器1の発振特性の低下をもたらす。
これに対し、後述するように磁場発生部8の磁場により原子セル2内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号の強度が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
[光検出部]
光検出部5は、原子セル2内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
この光検出部5としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[ヒーター]
ヒーター6(加熱部)は、前述した原子セル2(より具体的には原子セル2中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、原子セル2中のアルカリ金属を適切な濃度のガス状に維持することができる。
このヒーター6は、例えば、通電により発熱する発熱抵抗体を含んで構成されている。この発熱抵抗体は、原子セル2に対して接触して設けられていてもよいし、原子セル2に対して非接触で設けられていてもよい。
例えば、発熱抵抗体を原子セル2に対して接触して設ける場合、原子セル2の1対の窓部にそれぞれ発熱抵抗体を設ける。これにより、原子セル2の窓部にアルカリ金属原子が結露するのを防止することができる。その結果、原子発振器1の特性(発振特性)を長期にわたり優れたものとすることができる。このような発熱抵抗体は、励起光に対する透過性を有する材料、具体的には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等の透明電極材料で構成される。また、発熱抵抗体は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成することができる。
また、発熱抵抗体を原子セル2に対して非接触で設ける場合、熱伝導性に優れる金属等、セラミックス等の部材を介して発熱抵抗体から原子セル2へ伝熱すればよい。
なお、ヒーター6は、原子セル2を加熱することができるものであれば、前述した形態に限定されず、各種ヒーターを用いることができる。また、ヒーター6に代えて、または、ヒーター6と併用して、ペルチェ素子を用いて、原子セル2を加熱してもよい。
[温度センサー]
温度センサー7は、ヒーター6または原子セル2の温度を検出するものである。そして、この温度センサー7の検出結果に基づいて、前述したヒーター6の発熱量が制御される。これにより、原子セル2内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
なお、温度センサー7の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヒーター6上であってもよいし、原子セル2の外表面上であってもよい。
温度センサー7としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
[磁場発生部]
磁場発生部8は、原子セル2内のアルカリ金属の縮退した複数のエネルギー準位をゼーマン分裂させる磁場を発生させる機能を有する。これにより、ゼーマン分裂により、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
この磁場発生部8は、例えば、原子セル2を挟むように配置されたヘルムホルツコイル、または、原子セル2を覆うように配置されたソレノイドコイルで構成されている。これにより、原子セル2内に一方向の均一な磁場を生じさせることができる。
また、磁場発生部8が発生する磁場は、定磁場(直流磁場)であるが、交流磁場が重畳されていてもよい。
[制御部]
制御部10は、光出射部3、ヒーター6および磁場発生部8をそれぞれ制御する機能を有する。
この制御部10は、光出射部3の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部12と、原子セル2中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部11と、磁場発生部8からの磁場を制御する磁場制御部13とを有する。
励起光制御部12は、前述した光検出部5の検出結果に基づいて、光出射部3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部12は、前述した周波数差(ω1−ω2)が前述したアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光出射部3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。
ここで、励起光制御部12は、図示しないが、電圧制御型水晶発振器(発振回路)を備えており、その電圧制御型水晶発振器の発振周波数を光検出部5の検知結果に基づいて同期・調整しながら、その電圧制御型水晶発振器の出力信号を原子発振器1の出力信号として出力する。
例えば、励起光制御部12は、図示しないが、この電圧制御型水晶発振器からの出力信号を周波数逓倍する逓倍器を備えており、この逓倍器により逓倍された信号(高周波信号)を直流バイアス電流に重畳して駆動信号として光出射部3に入力する。これにより、光検出部5でEIT信号が検出されるように電圧制御型水晶発振器を制御することで、電圧制御型水晶発振器から所望の周波数の信号が出力されることとなる。この逓倍器の逓倍率は、例えば、原子発振器1からの出力信号の所望の周波数をfとしたとき、ω0/(2×f)である。これにより、電圧制御型水晶発振器の発振周波数がfであるとき、逓倍器からの信号を用いて、光出射部3に含まれる半導体レーザー等の発光素子を変調して、周波数差(ω1−ω2)がω0となる2つの光を出射させることができる。
また、温度制御部11は、温度センサー7の検出結果に基づいて、ヒーター6への通電を制御する。これにより、原子セル2を所望の温度範囲内に維持することができる。例えば、原子セル2は、ヒーター6により、例えば、70℃程度に温度調節される。
また、磁場制御部13は、磁場発生部8が発生する磁場が一定となるように、磁場発生部8への通電を制御する。
このような制御部10は、例えば、基板上に実装されたICチップに設けられている。
以上、原子発振器1の各部の構成を簡単に説明した。
(原子セルの詳細な説明)
図4(a)は、図1に示す原子発振器が備える原子セルの縦断面図、図4(b)は、図4(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。図5は、図1に示す原子発振器が備える原子セルの他の使用例を説明するための縦断面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図4(a)中の上側を「上」、下側を「下」という。
図4(a)に示すように、原子セル2は、胴体部21と、胴体部21を挟んで設けられた1対の窓部22、23とを有している。この原子セル2では、胴体部21が1対の窓部22、23の間に配置されていて、気体状のアルカリ金属が封入されている内部空間Sを胴体部21および1対の窓部22、23が区画形成(構成)している。
そして、内部空間Sにて窓部22上には、窓部22の中央部よりも外周部側で量が多くなるように分布して液体状または気体状のアルカリ金属M(金属原子)が配置されている。
ここで、胴体部21および窓部22、23は、内部空間Sを構成していている「壁部」を構成し、また、この壁部の一部であって、窓部22、23の内部空間Sに対応する部分がそれぞれ「光透過部」を構成している。
胴体部21は、上下方向を厚さ方向とする板状をなしており、この胴体部21には、胴体部21の厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211が形成されている。
この胴体部21の構成材料としては、特に限定されず、ガラス材料、水晶、金属材料、樹脂材料、シリコン材料等が挙げられるが、中でも、ガラス材料、水晶、シリコン材料のいずれかを用いることが好ましく、シリコン材料を用いることがより好ましい。これにより、幅や高さが10mm以下となるような小さい原子セル2を形成する場合であっても、エッチング等の微細加工技術を用いて、高精度な胴体部21を容易に形成することができる。特に、シリコンは、エッチングによる微細加工が可能である。したがって、胴体部21をシリコンを用いて構成することにより、原子セル2の小型化を図っても、胴体部21を簡単かつ高精度に形成することができる。また、胴体部21がシリコンを用いて構成されていると、窓部22、23がガラスで構成されている場合、胴体部21と窓部22、23とを陽極接合により簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。
このような胴体部21の下面には、窓部22が接合され、一方、胴体部21の上面には、窓部23が接合されている。これにより、貫通孔211の下端側開口が窓部22により封鎖されるとともに、貫通孔211の上端側開口が窓部23により封鎖されている。そして、貫通孔211による内部空間Sが気密空間として形成されている。
胴体部21と窓部22、23との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、気密的に接合できるものであれば、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法、表面活性化接合法等を用いることができるが、直接接合法または陽極接合法を用いることが好ましい。これにより、胴体部21と窓部22、23とを簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。
このような胴体部21に接合されている各窓部22、23は、前述した光出射部3からの励起光LLに対する透過性を有している。そして、一方の窓部22は、原子セル2の内部空間S内へ励起光LLが入射する入射側窓部であり、他方の窓部23は、原子セル2の内部空間S内から励起光LLが出射する出射側窓部である。
また、窓部22、23は、それぞれ、板状をなしている。
窓部22、23の構成材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されず、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられるが、ガラス材料を用いることが好ましい。これにより、励起光に対する透過性を有する窓部22、23を実現することができる。また、胴体部21がシリコンで構成されている場合、ガラスを用いて窓部22、23を構成することにより、胴体部21と窓部22、23とを陽極接合により簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。なお、窓部22、23の厚さや励起光の強度によっては、窓部22、23をシリコンで構成することもできる。この場合、胴体部21と窓部22、23とを直接接合することができる。
このような胴体部21および窓部22、23により区画形成された内部空間Sには、気体状のアルカリ金属が収納されている。この内部空間S内に収納されている気体状のアルカリ金属は、励起光LLによって励起される。すなわち、貫通孔211内の空間の少なくとも一部は、励起光LLが通過する「光通過空間」を構成する。本実施形態では、貫通孔211の横断面は、円形をなしており、一方、光通過空間の横断面は、図示しないが、貫通孔211の横断面と相似形状(すなわち円形)をなし、かつ、貫通孔211の横断面よりも小さく設定されている。なお、貫通孔211の横断面形状は、円形に限定されず、例えば、四角形、五角形等の多角形、楕円形等であってもよい。
また、内部空間Sには、液体状または固体状のアルカリ金属Mが収納されている。このアルカリ金属Mは、窓部22の内部空間S側の面上に配置されている。この液体状または固体状のアルカリ金属Mは、内部空間S内の気体状のアルカリ金属と飽和蒸気圧で平衡状態となっており、これにより、内部空間S内の気体状のアルカリ金属を所定濃度に保つことができる。
特に、アルカリ金属Mは、窓部22の外周部に配置されている。本実施形態では、アルカリ金属Mは、窓部22の外周部に沿ってその全周に亘って配置されている。これにより、励起光LLが窓部22を通過する際に、励起光LLがアルカリ金属Mに遮られることを低減することができる。したがって、内部空間Sの気体状のアルカリ金属を励起光LLにより効率的に励起することができ、EIT信号の強度を大きくすることができる。その結果、周波数安定度を高めることができる。
また、アルカリ金属Mは、窓部22の中央部側から外周部側に向けて連続的に厚さが厚くなるように形成されている。そして、アルカリ金属Mの窓部22とは反対側の面が湾曲面をなしている。このように、アルカリ金属Mは、窓部22の中央部よりも外周部側の方で量が多くなるように配置されている。
ここで、原子発振器1の小型化のため原子セル2と光出射部3との間の距離を小さくする必要がある場合、原子セル2と光出射部3との間にレンズが配置されていても、内部空間Sでの励起光LLを平行光とすることが難しく、励起光LLは、図4(a)に示すように、内部空間Sにおいて入射側から出射側に向かうに従って幅が拡がることとなる。したがって、窓部22での励起光LLの幅は窓部23での励起光LLの幅よりも小さい。そのため、窓部22から励起光LLを入射することにより、窓部22の外周部にアルカリ金属Mが配置されていても、励起光LLが窓部22を通過する際にアルカリ金属Mに遮られるのを低減しつつ、励起光LLが照射される内部空間Sの気体状のアルカリ金属の量を多くすることができる。また、小型化のために原子セル2と光出射部3との間にレンズが配置されていない場合でも同様である。
なお、図5に示すように、窓部23を、原子セル2の内部空間S内へ励起光LLが入射する入射側窓部として用い、窓部22を、原子セル2の内部空間S内から励起光LLが出射する出射側窓部として用いることもできる。この場合、入射した励起光LLが、液体または固体状態のアルカリ金属と作用する前に、先に気体状態のアルカリ金属と作用することで、特性が低下することを低減することができる。
なお、図示では、窓部22の中央部にはアルカリ金属Mが配置されていないが、窓部22の外周部に配置した液体状または固体状のアルカリ金属の厚さよりも薄く、かつ、必要な強度のEIT信号を得られる程度の厚さであれば、窓部22の中央部に液体状または固体状のアルカリ金属が配置されていてもよい。
以上説明したような原子セル2によれば、窓部22の中央部に配置される液体状または固体状のアルカリ金属Mの量が少ないため、光を効率的に透過させることができる。そのため、EIT信号の強度を大きくすることができ、その結果、周波数安定度を向上させることができる。
以上説明したような原子発振器1が備える原子セル2は、以下のようにして製造することができる。
(原子セルの製造方法)
以下、本発明の原子セルの製造方法について、前述した原子セル2を製造する場合を例に説明する。なお、以下では、胴体部21がシリコンで構成され、窓部22、23がガラスで構成されている場合を例に説明する。
図6は、図4に示す原子セルの製造方法における準備工程(配置ステップ)および封止ステップを示す図、図7は、図4に示す原子セルの製造方法における調整工程および個片化工程を示す図である。
原子セル2の製造方法は、[1]準備工程と、[2]調整工程と、[3]個片化工程と、を有する。以下、各工程を順次説明する。
[1]準備工程
1−1第1接合工程(ベース部準備ステップ)
まず、図6(a)に示すように、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220とを接合する。
ここで、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板220からなる構造体は、貫通孔211の一端開口が窓部形成用基板220により封鎖されてなる凹部を備えており、「ベース部」を構成している。この凹部は、一方の面側に開口していて底部が光透過部を構成している。
胴体部形成用基板210は、前述した胴体部21を形成するためのシリコン基板であって、貫通孔211を有する。また、窓部形成用基板220は、前述した窓部22を形成するためのガラス基板である。
本実施形態では、胴体部形成用基板210は、複数組の貫通孔211を有し、後述する[3]個片化工程で個片化されることにより、胴体部21となる。また、窓部形成用基板220は、後述する[3]個片化工程で個片化されることにより窓部22となる。ここで、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220とが接合されてなる接合体(積層体)は、一方の面側に開口している貫通孔211による凹部を有する「ベース部」を構成している。
胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220との接合は、加熱接合の1種である陽極接合により行うことが好ましい。これにより、比較的簡単に、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220とを気密的に接合することができる。
1−2配置ステップ
次に、図6(b)に示すように、貫通孔211による凹部の底部にアルカリ金属M1を配置する。より具体的には、開口部501を有するマスク500を用いて気相成膜法により、窓部形成用基板220の貫通孔211内に露出した面上に、アルカリ金属M1を成膜する。これにより、所望量のアルカリ金属M1を簡単かつ高精度に配置することができる。
ここで、マスク500に形成された開口部501は、アルカリ金属M1が胴体部形成用基板210の上面に付着するのを防止するように形成されている。本実施形態では、開口部501は、貫通孔211の開口に一致するように形成されている。なお、マスク500の開口部501は、貫通孔211の開口よりも小さい幅で形成されていてもよい。
マスク500の構成材料としては、特に限定されないが、シリコンを用いることが好ましい。すなわち、マスク500としてシリコン基板を用いることが好ましい。これにより、高精度な位置および寸法の開口部501を有するマスク500を実現することができる。
また、アルカリ金属M1の成膜方法としては、気相成膜法の中でも、蒸着法を用いることが好ましい。これにより、アルカリ金属Mの化学的変化を低減しつつ、窓部形成用基板220上にアルカリ金属M1を配置することができる。
また、気相成膜以外でも、液体のアルカリ金属の所定体積をピペットで注入してもよく、固体状のアルカリ金属を秤量して配置しても良い。または、窒化物等のアルカリ金属を秤量して配置しても良い。この場合は、封止ステップの後であって調整工程よりも前に、化合物を還元することで、アルカリ金属M1を配置することができる。
1−3第2接合工程(封止ステップ)
次に、図6(c)に示すように、胴体部形成用基板210(第1基板の一方の面側)と窓部形成用基板230とを接合する。これにより、貫通孔211で構成された凹部内が封止され、内部空間Sが形成される。
ここで、窓部形成用基板230は、凹部を有するベース部に接合される「蓋部」を構成している。また、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板220、230は、内部空間Sを構成していている「壁部」を構成し、また、この壁部の一部であって、窓部形成用基板220、230の内部空間Sに対応する部分がそれぞれ「光透過部」を構成している。そして、この光透過部には、前述したように液体状または固体状のアルカリ金属M1が配置されている。
窓部形成用基板230は、前述した窓部23を形成するためのガラス基板である。また、窓部形成用基板230は、後述する[3]個片化工程で個片化されることにより窓部23となる。ここで、窓部形成用基板230は、前述した胴体部形成用基板210および窓部形成用基板220からなる第1基板に接合される「第2基板」を構成している。
胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230との接合方法としては、前述した胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230との接合方法と同様の方法を用いることができる。すなわち、1−3封止ステップにおいて、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230との接合を加熱接合の一種である陽極接合により行うことができる。
[2]調整工程
次に、図7(a)に示すように、窓部形成用基板220を加熱することにより、アルカリ金属M1の量の分布を調整する。このとき、窓部形成用基板220の励起光LLが通過することとなる部分の中央部(以下、単に「中央部」という)を中心的に加熱する。これにより、窓部形成用基板220の中央部上のアルカリ金属M1を窓部形成用基板220の外周部側へ移動させることができる。その結果、窓部形成用基板220の中央部よりも外周部側の方で量が多くなるように分布して配置されたアルカリ金属Mが形成されることとなる。
本工程に用いる加熱方法としては、前述したようなアルカリ金属の量の分布に調整可能であれば、特に限定されないが、レーザー(エネルギー線)を用いることが好ましい。これにより、窓部形成用基板220の中央部を局所的に加熱することができる。そのため、窓部形成用基板220の中央部に配置されたアルカリ金属を効率的に加熱して窓部形成用基板220の外周部側へ移動させることができる。
また、効率的に加熱を行う観点から、レーザーの波長域としては、赤外域であることが好ましい。なお、本工程に用いる加熱方法は、レーザーに限らず、例えば、レーザー以外の光、X線、γ線のような電磁波、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものを用いることができる。
また、本工程に用いる加熱方法として、加熱された棒状のピンの先端を中央部に接触させても良い。
[3]個片化工程
次に、例えばダイシングにより、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板220、230からなる積層構造体(接合体)を個片化する。これにより、図7(b)に示すように、原子セル2が得られる。
本実施形態では、前述したように、[1]準備工程において、第1基板が貫通孔211による凹部を複数有し、[3]個片化工程において、第1基板と第2基板とを接合した接合体、すなわち、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220、230とを接合した接合体を貫通孔211による凹部ごとに個片化する。これにより、効率的に原子セルを製造することができる。
また、[2]調整工程の後に[3]個片化工程を行うこと、すなわち、[3]個片化工程の前に[2]調整工程を行うことで、[2]調整工程を効率的に行うことができる。
以上説明したような原子セル2の製造方法によれば、前述したような効果を奏する原子セル2を得ることができる。すなわち、得られる原子セル2において、光透過部の中央部に配置される液体状または固体状のアルカリ金属Mの量が少ないため、光を効率的に透過させることができる。そのため、EIT信号の強度を大きくすることができ、その結果、周波数安定度を向上させることができる。
また、前述した原子セル2の製造方法では、[1]準備工程が1−1ベース部準備ステップ、1−2配置ステップおよび1−3封止ステップを含んでいるので、すなわち、複数の基板の貼り合わせにより内部空間Sを区画形成する壁部を形成するので、例えばMEMS技術等を用いて、小型な原子セル2を効率的に製造することができる。
特に、上述した製造方法では、胴体部形成用基板210がシリコンを含み、窓部形成用基板220、230がそれぞれガラスを含んでいることにより、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術を用いて小型で高精度な原子セル2を製造することができる。
また、1−2配置ステップにおいて、貫通孔211による凹部の底部に成膜によりアルカリ金属M1を配置するため、例えば上述したようなMEMS技術等を用いた小型な原子セル2を製造する場合であっても、1−2配置ステップにおいて、所望量の液体状または固体状のアルカリ金属M1を所望の位置および範囲に容易に配置することができる。
また、[2]調整工程において、アルカリ金属Mが貫通孔211による凹部の底部の外周部に沿って配置されるように調整を行うため、内部空間Sに配置される液体状または固体状のアルカリ金属Mの量が多くても、液体状または固体状のアルカリ金属Mを窓部22の外周部に配置することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8(a)は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、図8(b)は、図8(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。
本実施形態は、一方の窓部の構成および液体状または固体状のアルカリ金属の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図8に示す原子セル2Aは、胴体部21と、胴体部21を挟んで設けられた1対の窓部22A、23とを有している。
窓部22Aの胴体部21側の面には、胴体部21の貫通孔211の壁面に沿って環状の凹部221(溝)が形成されている。窓部22Aの厚さ方向からみたとき、図8に示すように、凹部221の内周縁は、貫通孔211の壁面よりも内側に位置し、凹部221の外周縁は、貫通孔211の壁面よりも外側に位置している。
このような凹部221内には、液体状または固体状のアルカリ金属Mが配置されている。このように凹部221内にアルカリ金属Mを配置することにより、凹部221による段差によりアルカリ金属Mが窓部22Aの中央部側へ移動するのを阻止することができる。また、前述したように、窓部22Aの厚さ方向からみたとき、凹部221の外周縁が貫通孔211の壁面よりも外側に位置しているので、アルカリ金属Mを励起光の通過領域から遠ざけることができる。
以上のように構成された原子セル2Aにおいて、凹部221は、窓部22Aと胴体部21との接続部に設けられていてアルカリ金属Mが配置されている凹状の「収納部」を構成している。このような収納部を設けることにより、液体状または固体状のアルカリ金属Mを窓部22Aの外周部に安定的に配置することができる。
また、凹部221が窓部22Aと胴体部21との接続部に沿って延びているため、内部空間Sに配置される液体状または固体状のアルカリ金属Mの量が多くても、液体状または固体状のアルカリ金属Mを窓部22Aの外周部に安定的に配置することができる。
特に、凹部221が窓部22Aに設けられているため、窓部22Aの中央部と外周部との間に形成された凹部221による段差により、液体状または固体状のアルカリ金属Mが凹部221からはみ出て窓部の中央部へ移動するのを低減することができる。
以上説明したような原子セル2Aは、以下のようにして製造することができる。
図9は、図8に示す原子セルの製造方法における配置ステップ、封止ステップおよび調整工程を示す図である。
原子セル2Aの製造方法は、[1A]準備工程と、[2A]調整工程と、[3A]個片化工程と、を有する。以下、各工程を順次説明する。
[1A]準備工程
1A−1第1接合工程(ベース部準備ステップ)および1A−2配置ステップ
まず、図9(a)に示すように、前述した第1実施形態の第1接合工程1−1および配置ステップ1−2と同様に、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220Aとを接合した後、貫通孔211による凹部内にアルカリ金属M1を配置する。
窓部形成用基板220Aは、前述した窓部22Aを形成するためのガラス基板であり、後述する[3A]個片化工程で個片化されることにより窓部22Aとなる。
1A−3第2接合工程(封止ステップ)
次に、図9(b)に示すように、前述した第1実施形態の1−3第2接合工程と同様に、胴体部形成用基板210(第1基板の一方の面側)と窓部形成用基板230とを接合する。
[2A]調整工程
次に、図9(c)に示すように、窓部形成用基板220Aを加熱することにより、アルカリ金属M1の量の分布を調整する。このとき、窓部形成用基板220Aの中央部を中心的に加熱する。これにより、窓部形成用基板220Aの中央部上のアルカリ金属M1を窓部形成用基板220Aの外周部側へ移動させることができる。その結果、窓部形成用基板220Aの中央部よりも外周部側の方で量が多くなるように分布して配置されたアルカリ金属Mが形成されることとなる。
特に、本実施形態では、上述した加熱により、窓部形成用基板220Aの中央部上のアルカリ金属M1を窓部形成用基板220Aの凹部221内へ移動させることができる。そのため、アルカリ金属M1が窓部形成用基板220Aの中央部に戻ってしまうのを低減することができる。
[3A]個片化工程
次に、前述した第1実施形態の[3]個片化工程と同様に、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板220A、230からなる積層構造体(接合体)を個片化する。これにより、原子セル2Aが得られる。
以上説明したような原子セル2Aの製造方法によれば、[1A]準備工程において、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板220、230からなる構造体が光透過部の外周部に設けられている凹部221(凹状の収納部)を有していて、[2A]調整工程において、アルカリ金属Mを凹部221に収納するため、得られる原子セル2Aにおいて、液体状または固体状のアルカリ金属Mを光通過領域から遠ざけることができる。
また、凹部221が光透過部の外周部に沿って延びているため、得られる原子セル2Aにおいて、内部空間Sに配置される液体状または固体状のアルカリ金属Mの量が多くても、液体状または固体状のアルカリ金属Mを光通過領域から遠ざけることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図10(a)は、本発明の第3実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、図10(b)は、図10(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。
本実施形態は、胴体部の構成および液体状または固体状のアルカリ金属の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図10に示す原子セル2Bは、胴体部21Bと、胴体部21Bを挟んで設けられた1対の窓部22、23とを有している。
胴体部21Bは、上下方向を厚さ方向とする板状をなしており、この胴体部21Bには、胴体部21Bの厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211Bが形成されている。この貫通孔211Bの壁面の窓部22側の端部には、貫通孔211Bの幅が拡がるように、周方向の全域にわたって段差部212が設けられている。
この段差部212は、窓部22とともに凹部を構成している。この凹部内には、液体状または固体状のアルカリ金属Mが配置されている。このようにアルカリ金属Mを外側に退避するように配置することにより、励起光の通過領域を大きくすることができる。
以上のように構成された原子セル2Bにおいて、段差部212および窓部22で構成された凹部は、窓部22と胴体部21Bとの接続部に設けられていてアルカリ金属Mが配置されている凹状の「収納部」を構成している。これにより、液体状または固体状のアルカリ金属Mを窓部22の外周部に安定的に配置することができる。
また、段差部212および窓部22で構成された凹部が窓部22と胴体部21Bとの接続部に沿って延びているため、内部空間Sに配置される液体状または固体状のアルカリ金属Mの量が多くても、液体状または固体状のアルカリ金属Mを窓部22の外周部に安定的に配置することができる。
特に、段差部212が胴体部21Bに設けられているため、液体状または固体状のアルカリ金属Mを光通過領域から遠ざけることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図11(a)は、本発明の第4実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、図11(b)は、図11(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。
本実施形態は、胴体部および一方の窓部の構成および液体状または固体状のアルカリ金属の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図11に示す原子セル2Cは、胴体部21Cと、胴体部21Cを挟んで設けられた1対の窓部22C、23とを有している。
胴体部21Cは、上下方向を厚さ方向とする板状をなしており、この胴体部21Cには、胴体部21Cの厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211Cが形成されている。この貫通孔211Cの壁面の窓部22C側の端部には、貫通孔211Cの幅が拡がるように、周方向の全域にわたって段差部212Cが設けられている。
また、窓部22Cの胴体部21C側の面には、胴体部21Cの貫通孔211Cの壁面に沿って環状の凹部221C(溝)が形成されている。窓部22Cの厚さ方向からみたとき、図11に示すように、凹部221Cの内周縁および外周縁は、それぞれ、貫通孔211の壁面よりも外側に位置している。
このような凹部221Cは、前述した段差部212Cとともに凹部を構成している。この凹部内には、液体状または固体状のアルカリ金属Mが配置されている。このようにアルカリ金属Mを外側に退避するように配置することにより、励起光の通過領域を大きくすることができる。
特に、本実施形態では、アルカリ金属Mは、凹部221C内に配置されている。これにより、凹部221Cによる段差によりアルカリ金属Mが窓部22Cの中央部側へ移動するのを阻止することができる。しかも、前述したように、窓部22Cの厚さ方向からみたとき凹部221Cの内周縁および外周縁がそれぞれ貫通孔211の壁面よりも外側に位置しているので、凹部221C内にアルカリ金属Mを配置することにより、励起光の通過領域を大きくすることができる。
以上のように構成された原子セル2Cにおいて、段差部212Cおよび凹部221Cで構成された凹部は、窓部22Cと胴体部21Cとの接続部に設けられていてアルカリ金属Mが配置されている凹状の「収納部」を構成している。これにより、液体状または固体状のアルカリ金属Mを窓部22Cの外周部に安定的に配置することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図12(a)は、本発明の第5実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、図12(b)は、図12(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。
本実施形態は、胴体部および一方の窓部の構成および液体状または固体状のアルカリ金属の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。また、本実施形態は、胴体部の段差部および窓部の凹部の形成範囲が異なる以外は、前述した第4実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第5実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図12に示す原子セル2Dは、胴体部21Dと、胴体部21Dを挟んで設けられた1対の窓部22D、23とを有している。
胴体部21Dは、上下方向を厚さ方向とする板状をなしており、この胴体部21Dには、胴体部21Dの厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211Dが形成されている。この貫通孔211Dの壁面の窓部22側の端部には、貫通孔211Dの幅が拡がるように、周方向の一部に段差部212Dが設けられている。
また、窓部22Dの胴体部21D側の面には、段差部212Dに対応して凹部221D(溝)が形成されている。
このような凹部221Dは、前述した段差部212Dとともに凹部を構成している。この凹部内には、液体状または固体状のアルカリ金属Mが配置されている。このように、アルカリ金属Mを配置するための凹部を貫通孔211Dの周方向での一部に設けることによって、原子セル2Dの小型化を図ったり、胴体部21Dと窓部22Dとの接合面積を大きくして信頼性を高めたりすることができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図13(a)は、本発明の第6実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、図13(b)は、図13(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。
本実施形態は、胴体部および一方の窓部の構成および液体状または固体状のアルカリ金属の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。また、本実施形態は、内部空間の横断面形状が異なる以外は、前述した第5実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第6実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図13に示す原子セル2Eは、胴体部21Eと、胴体部21Eを挟んで設けられた1対の窓部22E、23とを有している。
胴体部21Eは、上下方向を厚さ方向とする板状をなしており、この胴体部21Eには、胴体部21Eの厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211Eが形成されている。この貫通孔211Eの横断面形状は、四角形である。そして、この貫通孔211Eの壁面の窓部22E側の端部には、貫通孔211Eの幅が拡がるように、上記四角形の1つの角部に対応する位置に段差部212Eが設けられている。
また、窓部22Eの胴体部21E側の面には、段差部212Eに対応して凹部221E(溝)が形成されている。
このような凹部221Eは、前述した段差部212Eとともに凹部を構成している。この凹部内には、液体状または固体状のアルカリ金属Mが配置されている。このように、アルカリ金属Mを配置するための凹部を貫通孔211Eの周方向での一部に設けることによって、原子セル2Eの小型化を図ったり、胴体部21Eと窓部22Eとの接合面積を大きくして信頼性を高めたりすることができる。特に、本実施形態では、横断面形状が四角形である貫通孔211Eの角部に対応してアルカリ金属Mが配置されているため、アルカリ金属Mが励起光の通過領域における気体状のアルカリ金属に悪影響を与えることを低減することができる。
以上のように構成された原子セル2Eを製造するに際しては、調整工程において、アルカリ金属Mが貫通孔211Eによる凹部の底部の角部に配置されるように調整を行う。これにより、得られる原子セル2Eにおいて、液体状または固体状のアルカリ金属Mを光通過領域から遠ざけることができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
図14(a)は、本発明の第7実施形態に係る原子発振器が備える原子セルの縦断面図、図14(b)は、図14(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。
本実施形態は、内部空間の形状および液体状または固体状のアルカリ金属の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第7実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図14に示す原子セル2Fは、胴体部21Fと、胴体部21Fを挟んで設けられた1対の窓部22、23とを有している。
胴体部21Fは、上下方向を厚さ方向とする板状をなしており、この胴体部21Fには、胴体部21Fの厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211Fが形成されている。この貫通孔211Fの横断面形状は、四角形である。
このような貫通孔211Fを1対の窓部22、23により封鎖して形成された内部空間Sには、液体状または固体状のアルカリ金属Mが収納されている。このアルカリ金属Mは、貫通孔211Fの角部に対応して窓部22の外周部上に配置されている。これにより、アルカリ金属Mが励起光の通過領域における気体状のアルカリ金属に悪影響を与えることを低減することができる。
2.電子機器
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図15は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図15に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
3.移動体
図16は、本発明の移動体の一例を示す図である。
この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
なお、本発明の電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局、GPSモジュール等に適用することができる。
以上、本発明の原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果を利用してセシウム等を共鳴遷移させる量子干渉装置に本発明の原子セルを用いた場合を例として説明したが、本発明の原子セルは、これに限定されず、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用してルビジウム等を共鳴遷移させる二重共鳴装置にも用いることができる。
1‥‥原子発振器
2‥‥原子セル
2A‥‥原子セル
2B‥‥原子セル
2C‥‥原子セル
2D‥‥原子セル
2E‥‥原子セル
2F‥‥原子セル
3‥‥光出射部
5‥‥光検出部
6‥‥ヒーター
7‥‥温度センサー
8‥‥磁場発生部
10‥‥制御部
11‥‥温度制御部
12‥‥励起光制御部
13‥‥磁場制御部
21‥‥胴体部
21B‥‥胴体部
21C‥‥胴体部
21D‥‥胴体部
21E‥‥胴体部
21F‥‥胴体部
22‥‥窓部
22A‥‥窓部
22C‥‥窓部
22D‥‥窓部
22E‥‥窓部
23‥‥窓部
41‥‥光学部品
42‥‥光学部品
43‥‥光学部品
44‥‥光学部品
100‥‥測位システム
200‥‥GPS衛星
210‥‥胴体部形成用基板
211‥‥貫通孔
211B‥‥貫通孔
211C‥‥貫通孔
211D‥‥貫通孔
211E‥‥貫通孔
211F‥‥貫通孔
212‥‥段差部
212C‥‥段差部
212D‥‥段差部
212E‥‥段差部
220‥‥窓部形成用基板
220A‥‥窓部形成用基板
221‥‥凹部
221C‥‥凹部
221D‥‥凹部
221E‥‥凹部
230‥‥窓部形成用基板
300‥‥基地局装置
301‥‥アンテナ
302‥‥受信装置
303‥‥アンテナ
304‥‥送信装置
400‥‥GPS受信装置
401‥‥アンテナ
402‥‥衛星受信部
403‥‥アンテナ
404‥‥基地局受信部
500‥‥マスク
501‥‥開口部
1500‥‥移動体
1501‥‥車体
1502‥‥車輪
LL‥‥励起光
M‥‥アルカリ金属
M1‥‥アルカリ金属
S‥‥内部空間

Claims (11)

  1. 内部空間を構成していて少なくとも一部が光透過部である壁部を有し、前記光透過部に液体状または固体状の金属原子が配置されている構造体を準備する準備工程と、
    前記金属原子の量が前記光透過部の中央部よりも外周部側で多くなるように分布を調整する調整工程と、
    を含み、
    前記調整工程において、前記光透過部を加熱することで分布を調整することを特徴とする原子セルの製造方法。
  2. 前記準備工程は、
    一方の面側に開口し、底部が前記光透過部を構成する凹部を備えるベース部を準備するベース部準備ステップと、
    前記底部に前記金属原子を配置する配置ステップと、
    前記凹部を封止して前記内部空間を形成する封止ステップと、
    を含み、
    前記配置ステップにおいて、成膜により前記金属原子を前記底部に配置する請求項1に記載の原子セルの製造方法。
  3. 前記調整工程において、前記金属原子が前記底部の外周部に沿って配置されるように前記調整を行う請求項に記載の原子セルの製造方法。
  4. 前記底部が平面視で角部を有し、
    前記調整工程において、前記金属原子が前記角部に配置されるように前記調整を行う請求項に記載の原子セルの製造方法。
  5. 前記準備工程において、前記構造体は、前記光透過部の外周部に設けられている凹状の収納部を有し、
    前記調整工程において、前記金属原子の少なくとも一部を前記収納部に配置する請求項1ないしのいずれか1項に記載の原子セルの製造方法。
  6. 1対の窓部と、
    前記1対の窓部間に配置されていて前記1対の窓部とともに内部空間を構成している胴体部と、
    前記内部空間にて前記1対の窓部のうちの少なくとも一方の窓部上に前記窓部の中央部よりも外周部側で量が多くなるように配置されている液体状または固体状の金属原子と、
    前記1対の窓部のうちの少なくとも一方の窓部と前記胴体部との接続部に設けられていて前記金属原子が配置されている凹状の収納部と、
    を備え
    前記収納部は、前記接続部に沿って延びていることを特徴とする原子セル。
  7. 1対の窓部と、
    前記1対の窓部間に配置されていて前記1対の窓部とともに内部空間を構成している胴体部と、
    前記内部空間にて前記1対の窓部のうちの少なくとも一方の窓部上に前記窓部の中央部よりも外周部側で量が多くなるように配置されている液体状または固体状の金属原子と、
    前記1対の窓部のうちの少なくとも一方の窓部と前記胴体部との接続部に設けられていて前記金属原子が配置されている凹状の収納部と、
    を備え
    前記収納部は、前記窓部に設けられている凹部と、前記胴体部に設けられている段差部との少なくとも一方を含んで構成されていることを特徴とする原子セル。
  8. 1対の窓部と、
    前記1対の窓部間に配置されていて前記1対の窓部とともに内部空間を構成している胴体部と、
    前記内部空間にて前記1対の窓部のうちの少なくとも一方の窓部上に前記窓部の中央部よりも外周部側で量が多くなるように配置されている液体状または固体状の金属原子と、
    を備え、
    前記金属原子は、前記窓部の中央部側から外周部側に向けて連続的に厚さが厚くなるように配置されていることを特徴とする原子セル。
  9. 請求項ないしのいずれか1項に記載の原子セルを備えることを特徴とする量子干渉装置。
  10. 請求項ないしのいずれか1項に記載の原子セルを備えることを特徴とする原子発振器。
  11. 請求項ないしのいずれか1項に記載の原子セルを備えることを特徴とする電子機器。
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