JP2016092465A - 原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】ベース部と蓋部との接合部にアルカリ金属が付着することを防止し、ベース部と蓋部との接合強度を向上させることができる原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を提供すること。【解決手段】本発明の原子セルの製造方法は、凹部を有するベース部、蓋部およびアルカリ金属化合物を含む液状体を準備する工程と、前記凹部内に前記液状体を配置する工程と、前記液状体を乾燥させる工程と、前記ベース部に前記蓋部を配置し、前記ベース部と前記蓋部とを接合する工程と、前記アルカリ金属化合物を分解反応させることにより前記アルカリ金属を遊離する工程と、を含む。【選択図】図6

Description

本発明は、原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。
一般に、原子発振器の動作原理は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した方式と、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した方式とに大別される。いずれの原子発振器も、一般に、アルカリ金属を封入した原子セル(ガスセル)を備える(例えば、特許文献1参照)。また、原子セル内に、アルカリ金属の他に、窒素、アルゴン、ネオン等の不活性ガスを緩衝ガスとして封入することも一般的に行われている。
また、原子発振器を小型化する場合、その原子セルを小型化する必要があるが、一般的に、小型の原子セルは、1対の基板を接合して製造される。
このような原子発振器の原子セルの製造方法として、特許文献1には、アルカリ金属セル(原子セル)の内部に封入するアルカリ金属の原料として、CsN等のアルカリ金属化合物を用いることが開示されている。この特許文献1に記載の製造方法では、前記アルカリ金属の原料として、CsNを用いる場合は、一方の部材と他方の部材とを接合してアルカリ金属セルを形成する前に、アルカリ金属セルの内部、すなわち、一方の部材または他方の部材の凹部に、蒸着法等の気相成膜法でCsNを成膜する。そして、一方の部材と他方の部材とを接合してCsNをアルカリ金属セルの内部に封入した後、紫外線をCsNに照射し、CsNを分解反応させて、Csを遊離する。
特開2013−38382号公報
特許文献1に記載の原子セルの製造方法では、一方の部材または他方の部材の凹部にアルカリ金属化合物を蒸着する際に、一方の部材または他方の部材の接合面(接合部)をマスキングし、その接合面にアルカリ金属化合物が付着することを防止する必要がある。
しかしながら、特に原子セルが小型化してくると、前記接合面を完全にマスキングすることは困難であり、このため、前記接合面にアルカリ金属化合物が付着し、一方の部材と他方の部材との接合強度が低下するという問題がある。
本発明の目的は、ベース部と蓋部との接合部にアルカリ金属が付着することを防止し、ベース部と蓋部との接合強度を向上させることができる原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の原子セルの製造方法は、凹部を有するベース部、蓋部およびアルカリ金属化合物を含む液状体を準備する工程と、
前記凹部内に前記液状体を配置する工程と、
前記液状体を乾燥させる工程と、
前記凹部を封止するように前記ベース部と前記蓋部とを接合する工程と、
前記アルカリ金属化合物を分解反応させることによりアルカリ金属を遊離する工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、ベース部と蓋部との接合部にアルカリ金属が付着することを防止することができ、ベース部と蓋部との接合強度を向上させることができる。これによって、信頼性の高い原子セルを提供することができる。
[適用例2]
本発明の原子セルの製造方法では、前記凹部は、前記アルカリ金属が共鳴する領域から離れた位置にリザーバー領域を有し、
前記液状体を配置する工程では、前記リザーバー領域に前記液状体を配置することが好ましい。
これにより、アルカリ金属が共鳴する領域に影響を与えることなく各処理を行うことができる。
[適用例3]
本発明の原子セルの製造方法では、前記凹部は、複数の前記リザーバー領域を有することが好ましい。
これにより、アルカリ金属を遊離する工程において、容易に、分解反応させるアルカリ金属化合物の量を調整することができる。また、将来、原子セル内のアルカリ金属が不足する状況が生じた場合や、圧力が低下し、原子セル内の残りのアルカリ金属化合物の所定量を分解反応させる場合、その分解反応させるアルカリ金属化合物の量を容易に調整することができる。
[適用例4]
本発明の原子セルの製造方法では、前記アルカリ金属を遊離する工程では、前記アルカリ金属化合物にエネルギー線を照射することにより前記分解反応を生じさせることが好ましい。
これにより、ベース部と蓋部とが接合された状態で、容易に、内部のアルカリ金属化合物を分解反応させることができる。
[適用例5]
本発明の原子セルの製造方法では、前記接合する工程では、窒素ガスを含む雰囲気下で、前記ベース部と前記蓋部とを接合することが好ましい。
これにより、前記接合する工程において、原子セル内に前記雰囲気中の窒素ガスを封入することができる。
[適用例6]
本発明の原子セルの製造方法では、前記原子セルの前記凹部内を透過した光の強度を測定する工程を含むことが好ましい。
これにより、前記光の強度(EIT信号の強度)の測定結果に基づいて、アルカリ金属を遊離する工程において分解反応させるアルカリ金属化合物の量を調整することにより、容易に、前記分解反応させるアルカリ金属化合物の量を調整することができる。
[適用例7]
本発明の原子セルの製造方法では、前記蓋部および前記ベース部は、それぞれ、板状であり、
前記ベース部の前記凹部は、前記ベース部の一方の面側に開口しており、
前記接合する工程では、前記凹部の開口に前記蓋部を接合して前記凹部を封止することが好ましい。
これにより、蓋部とベース部とが接合され、その蓋部により凹部が封止された原子セルを容易に製造することができる。
[適用例8]
本発明の原子セルの製造方法では、前記準備する工程では、2つのウエハーを接合して前記ベース部を形成することが好ましい。
これにより、容易に、凹部を有するベース部を形成することができる。
[適用例9]
本発明の原子セルの製造方法では、前記アルカリ金属化合物がアジ化セシウムを含むことが好ましい。
アジ化セシウムは、大気中で安定しており、容易に取り扱うことができる。
[適用例10]
本発明の原子セルは、本発明の原子セルの製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、ベース部と蓋部との接合強度が高く、信頼性の高い原子セルを提供することができる。
[適用例11]
本発明の量子干渉装置は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
これにより、ベース部と蓋部との接合強度の高い原子セルを備え、信頼性の高い量子干渉装置を提供することができる。
[適用例12]
本発明の原子発振器は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
これにより、ベース部と蓋部との接合強度の高い原子セルを備え、信頼性の高い原子発振器を提供することができる。
[適用例13]
本発明の電子機器は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
これにより、ベース部と蓋部との接合強度の高い原子セルを備え、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
[適用例14]
本発明の移動体は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする移動体。
これにより、ベース部と蓋部との接合強度の高い原子セルを備え、信頼性の高い移動体を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。 アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 光出射部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。 (a)は、図1に示す原子発振器が備える原子セルの縦断面図、(b)は、(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。 図4に示す原子セルの製造方法における準備工程に用いる部材を示す図である。 図4に示す原子セルの製造方法における準備工程、配置工程および乾燥工程を示す図である。 図4に示す原子セルの製造方法における接合工程、アルカリ金属遊離工程および個片化工程を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)が備える原子セルの斜視図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。 本発明の移動体の一例を示す図である。
以下、本発明の原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。また、図2は、アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図3は、光出射部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。この原子発振器1は、図1に示すように、原子セル(ガスセル)2と、光出射部3と、光学部品41、42、43、44と、光検出部5と、ヒーター6と、温度センサー7と、磁場発生部8と、制御部10とを備える。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
図1に示すように、原子発振器1では、光出射部3が原子セル2に向けて励起光LLを出射し、原子セル2を透過した励起光LLを光検出部5が検出する。
原子セル2内には、ガス状のアルカリ金属(アルカリ金属原子)が封入されており、アルカリ金属は、図2に示すように、3準位系のエネルギー準位を有し、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
光出射部3から出射された励起光LLは、周波数の異なる2種の共鳴光1、2を含んでおり、この2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射したとき、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
例えば、光出射部3が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部5の検出強度は、図3に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を用いることにより、発振器を構成することができる。
以下、原子発振器1の各部を簡単に説明する。
[原子セル]
原子セル2内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。また、原子セル2内には、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の1種または2種以上の不活性ガスが緩衝ガス(バッファーガス)としてアルカリ金属ガスとともに封入されている。また、原子セル2内には、上記のほか、例えば、ゲッター材等が封入されていてもよい。
[光出射部]
光出射部3(光源)は、原子セル2中のアルカリ金属原子を励起する励起光LLを出射する機能を有する。
より具体的には、光出射部3は、励起光LLとして、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射するものである。共鳴光1は、原子セル2内のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態へ励起(共鳴)し得るものである。一方、共鳴光2は、原子セル2内のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態へ励起(共鳴)し得るものである。
この光出射部3としては、前述したような励起光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
なお、光出射部3は、図示しない温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子等)により、所定温度に温度調節される。
[光学部品]
複数の光学部品41、42、43、44は、それぞれ、前述した光出射部3と原子セル2との間における励起光LLの光路上に設けられている。ここで、光出射部3側から原子セル2側へ、光学部品41、光学部品42、光学部品43、光学部品44の順に配置されている。
光学部品41は、レンズである。これにより、励起光LLを無駄なく原子セル2へ照射することができる。
また、光学部品41は、励起光LLを平行光とする機能を有する。これにより、励起光LLが原子セル2の内壁で反射するのを簡単かつ確実に防止することができる。そのため、原子セル2内での励起光の共鳴を好適に生じさせ、その結果、原子発振器1の発振特性を高めることができる。
光学部品42は、偏光板である。これにより、光出射部3からの励起光LLの偏光を所定方向に調整することができる。
光学部品43は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、原子セル2に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光出射部3の出力が大きい場合でも、原子セル2に入射する励起光を所望の光量とすることができる。本実施形態では、前述した光学部品42を通過した所定方向の偏光を有する励起光LLの強度を光学部品43により調整する。
光学部品44は、λ/4波長板である。これにより、光出射部3からの励起光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
後述するように磁場発生部8の磁場により原子セル2内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号の強度が小さくなり、その結果、原子発振器1の発振特性の低下をもたらす。
これに対し、後述するように磁場発生部8の磁場により原子セル2内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号の強度が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
[光検出部]
光検出部5は、原子セル2内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
この光検出部5としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[ヒーター]
ヒーター6(加熱部)は、前述した原子セル2(より具体的には原子セル2中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、原子セル2中のアルカリ金属を適切な濃度のガス状に維持することができる。
このヒーター6は、例えば、通電により発熱する発熱抵抗体を含んで構成されている。この発熱抵抗体は、原子セル2に対して接触して設けられていてもよいし、原子セル2に対して非接触で設けられていてもよい。
例えば、発熱抵抗体を原子セル2に対して接触して設ける場合、原子セル2の1対の窓部にそれぞれ発熱抵抗体を設ける。これにより、原子セル2の窓部にアルカリ金属原子が結露するのを防止することができる。その結果、原子発振器1の特性(発振特性)を長期にわたり優れたものとすることができる。このような発熱抵抗体は、励起光に対する透過性を有する材料、具体的には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等の透明電極材料で構成される。また、発熱抵抗体は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成することができる。
また、発熱抵抗体を原子セル2に対して非接触で設ける場合、熱伝導性に優れる金属等、セラミックス等の部材を介して発熱抵抗体から原子セル2へ伝熱すればよい。
なお、ヒーター6は、原子セル2を加熱することができるものであれば、前述した形態に限定されず、各種ヒーターを用いることができる。また、ヒーター6に代えて、または、ヒーター6と併用して、ペルチェ素子を用いて、原子セル2を加熱してもよい。
[温度センサー]
温度センサー7は、ヒーター6または原子セル2の温度を検出するものである。そして、この温度センサー7の検出結果に基づいて、前述したヒーター6の発熱量が制御される。これにより、原子セル2内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
なお、温度センサー7の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヒーター6上であってもよいし、原子セル2の外表面上であってもよい。
温度センサー7としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
[磁場発生部]
磁場発生部8は、原子セル2内のアルカリ金属の縮退した複数のエネルギー準位をゼーマン分裂させる磁場を発生させる機能を有する。これにより、ゼーマン分裂により、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
この磁場発生部8は、例えば、原子セル2を挟むように配置されたヘルムホルツコイル、または、原子セル2を覆うように配置されたソレノイドコイルで構成されている。これにより、原子セル2内に一方向の均一な磁場を生じさせることができる。
また、磁場発生部8が発生する磁場は、定磁場(直流磁場)であるが、交流磁場が重畳されていてもよい。
[制御部]
制御部10は、光出射部3、ヒーター6および磁場発生部8をそれぞれ制御する機能を有する。
この制御部10は、光出射部3の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部12と、原子セル2中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部11と、磁場発生部8からの磁場を制御する磁場制御部13とを有する。
励起光制御部12は、前述した光検出部5の検出結果に基づいて、光出射部3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部12は、前述した周波数差(ω1−ω2)が前述したアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光出射部3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。
ここで、励起光制御部12は、図示しないが、電圧制御型水晶発振器(発振回路)を備えており、その電圧制御型水晶発振器の発振周波数を光検出部5の検知結果に基づいて同期・調整しながら、その電圧制御型水晶発振器の出力信号を原子発振器1の出力信号として出力する。
例えば、励起光制御部12は、図示しないが、この電圧制御型水晶発振器からの出力信号を周波数逓倍する逓倍器を備えており、この逓倍器により逓倍された信号(高周波信号)を直流バイアス電流に重畳して駆動信号として光出射部3に入力する。これにより、光検出部5でEIT信号が検出されるように電圧制御型水晶発振器を制御することで、電圧制御型水晶発振器から所望の周波数の信号が出力されることとなる。この逓倍器の逓倍率は、例えば、原子発振器1からの出力信号の所望の周波数をfとしたとき、ω0/(2×f)である。これにより、電圧制御型水晶発振器の発振周波数がfであるとき、逓倍器からの信号を用いて、光出射部3に含まれる半導体レーザー等の発光素子を変調して、周波数差(ω1−ω2)がω0となる2つの光を出射させることができる。
また、温度制御部11は、温度センサー7の検出結果に基づいて、ヒーター6への通電を制御する。これにより、原子セル2を所望の温度範囲内に維持することができる。例えば、原子セル2は、ヒーター6により、例えば、70℃程度に温度調節される。
また、磁場制御部13は、磁場発生部8が発生する磁場が一定となるように、磁場発生部8への通電を制御する。
このような制御部10は、例えば、基板上に実装されたICチップに設けられている。
以上、原子発振器1の構成を簡単に説明した。
(原子セルの詳細な説明)
図4(a)は、図1に示す原子発振器が備える原子セルの縦断面図、図4(b)は、図4(a)中のA−A線断面図(横断面図)である。
なお、以下では、説明の便宜上、図4(a)中の上側を「上」、下側を「下」という。
図4(a)に示すように、原子セル2は、胴体部21と、胴体部21を挟んで設けられた1対の窓部22、23とを有している。この原子セル2では、胴体部21が1対の窓部22、23の間に配置されていて、気体状のアルカリ金属が封入されている内部空間Sを胴体部21および1対の窓部22、23が区画形成(構成)している。
ここで、胴体部および窓部22、23は内部空間Sを構成(区画形成)している「壁部」を構成しており、胴体部21および窓部22は、一方の面側に開口している凹部を有する「ベース部(第1基板)」を構成し、また、窓部23は、ベース部(第1基板)の前記一方の面側に接合されていてベース部とともに内部空間Sを構成している「蓋部(第2基板)」を構成している。なお、胴体部21および窓部22で構成されたベース部は、上下方向を厚さ方向とする板状をなしている。このような複数の部材(基板)の積層構造により、原子セル2の小型化を図ることができる。また、原子セル2の小型化を図ると、原子セル2内の不要物がEIT信号に影響を与えやすくなるため、このような構造の原子セル2に本発明を適用することにより、その効果が顕著となる。なお、胴体部21および窓部23が、一方の面側に開口している凹部を有する「ベース部(第1基板)」を構成し、また、窓部22が、ベース部の前記一方の面側に接合されていてベース部とともに内部空間Sを構成している「蓋部(第2基板)」を構成しているともいえる。
胴体部21は、上下方向を厚さ方向とする板状をなしており、この胴体部21には、胴体部21の厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211、212と、貫通孔211と貫通孔212とを連通させ、胴体部21の厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔213(凹部)と、が形成されている。なお、本実施形態では、貫通孔211と貫通孔212とを連通させている連通部は、貫通孔213であるが、これに限らず、例えば、胴体部21の上面に開口する有底の溝等であってもよい。
この胴体部21の構成材料としては、特に限定されず、ガラス材料、水晶、金属材料、樹脂材料、シリコン材料等が挙げられるが、中でも、ガラス材料、水晶、シリコン材料のいずれかを用いることが好ましく、シリコン材料を用いることがより好ましい。これにより、幅や高さが10mm以下となるような小さい原子セル2を形成する場合であっても、エッチング等の微細加工技術を用いて、高精度な胴体部21を容易に形成することができる。特に、シリコンは、エッチングによる微細加工が可能である。したがって、胴体部21をシリコンを用いて構成することにより、原子セル2の小型化を図っても、胴体部21を簡単かつ高精度に形成することができる。また、窓部22、23がガラスで構成されている場合、胴体部21と窓部22、23とを陽極接合により簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。
このような胴体部21の下面には、窓部22が接合され、一方、胴体部21の上面には、窓部23が接合されている。これにより、貫通孔211、212の下端側開口が窓部22により封鎖されるとともに、貫通孔211、212、213の上端側開口が窓部23により封鎖されている。そして、貫通孔211、212、213で構成された内部空間Sが気密空間として形成されている。
胴体部21と窓部22、23との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、気密的に接合できるものであれば、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法、表面活性化接合法等を用いることができるが、直接接合法または陽極接合法を用いることが好ましい。これにより、胴体部21と窓部22、23とを簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。
このような胴体部21に接合されている各窓部22、23は、前述した光出射部3からの励起光に対する透過性を有している。そして、一方の窓部22は、原子セル2の内部空間S内へ励起光LLが入射する入射側窓部であり、他方の窓部23は、原子セル2の内部空間S内から励起光LLが出射する出射側窓部である。
また、窓部22、23は、それぞれ、上下方向を厚さ方向とする板状をなしている。ここで、窓部22、23は、それぞれ、胴体部21に積層されている「基板」を構成していると言える。
窓部22、23の構成材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されず、例えば、ガラス材料、水晶、シリコン材料等が挙げられるが、ガラス材料を用いることが好ましい。これにより、励起光に対する透過性を有する窓部22、23を実現することができる。また、胴体部21がシリコンで構成されている場合、ガラスを用いて窓部22、23を構成することにより、胴体部21と窓部22、23とを陽極接合により簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。なお、窓部22、23の厚さや励起光の強度によっては、窓部22、23をシリコンで構成することもできる。この場合、胴体部21と窓部22、23とを直接接合することができる。
このような胴体部21および窓部22、23により区画形成された内部空間Sには、気体状のアルカリ金属が収納されている。この内部空間S内に収納されている気体状のアルカリ金属は、貫通孔211内において、励起光LLによって励起される。すなわち、貫通孔211内の空間の少なくとも一部は、励起光LLが通過する「光通過空間」を構成する。なお、この光通過空間を、「アルカリ金属が共鳴する領域」と言う。本実施形態では、貫通孔211の横断面は、円形をなしており、一方、光通過空間の横断面は、図示しないが、貫通孔211の横断面と相似形状(すなわち円形)をなし、かつ、貫通孔211の横断面よりも若干小さく設定されている。なお、貫通孔211の横断面形状は、円形に限定されず、例えば、四角形、五角形等の多角形、楕円形等であってもよい。
また、内部空間Sの貫通孔212内の空間は、貫通孔213内の空間を介して貫通孔211内の空間に連通している。本実施形態では、貫通孔212の横断面は、矩形をなしている。なお、貫通孔212の横断面形状は、矩形に限定されず、例えば、五角形等の他の多角形、円形、楕円形等であってもよい。
この貫通孔212内の空間には、液体状または固体状のアルカリ金属Mが収納されている。すなわち、貫通孔212内の空間は、内部空間Sの一部を構成し、内部空間Sに連通している空間であって、液体状または固体状のアルカリ金属Mが配置されている「リザーバー領域(金属溜り部)31」を構成している。この液体状または固体状のアルカリ金属Mは、内部空間S内の気体状のアルカリ金属と飽和蒸気圧で平衡状態となっており、これにより、内部空間S内の気体状のアルカリ金属を所定濃度に保つことができる。また、貫通孔211内の空間から離間した位置に配置された貫通孔212内の空間、すなわち、リザーバー領域31にアルカリ金属Mを配置することにより、アルカリ金属Mが周波数特性に影響を与えるのを低減することができる。
なお、後述するように、前記内部空間S内の気体状のアルカリ金属と、液体状または固体状のアルカリ金属Mは、いずれも、アルカリ金属化合物の分解反応により遊離(生成)したものである。
また、アルカリ金属化合物の分解反応により生じるアルカリ金属以外の生成物が窒素等の不活性ガスである場合、かかる生成物を緩衝ガスの一部として用いる。
また、リザーバー領域31には、図示しないゲッター材が配置されていてもよい。
ゲッター材は、所望のアルカリ金属ガスおよび緩衝ガス以外のガスを吸着または吸収する機能を有する。これにより、内部空間Sにあるアルカリ金属原子以外の不要物の少なくとも一部をゲッター材に吸着または吸収させることができる。そのため、原子セル2内に浮遊する不要物の量を低減でき、その結果、原子セル2内の不要物によってアルカリ金属原子の挙動が変化してEIT信号に影響を与えることによる周波数安定度の低下を防止または低減することができる。よって、周波数安定度を向上させることができる。また、貫通孔211内の空間から離間したリザーバー領域31にゲッター材を配置することにより、ゲッター材が周波数特性に影響を与えるのを低減することができる。
以上説明したような原子発振器1の原子セル2は、後述する製造方法により製造されるので、胴体部21と窓部22とはもちろんのこと、胴体部21と窓部23とが強固に接合されており、優れた信頼性を有する。
以上説明したような原子発振器1が備える原子セル2は、以下のようにして製造することができる。
(原子セルの製造方法)
以下、本発明の原子セルの製造方法について、前述した原子セル2を製造する場合を例に説明する。なお、以下では、胴体部21がシリコンで構成され、窓部22、23がガラスで構成されている場合を例に説明する。
図5は、図4に示す原子セルの製造方法における準備工程に用いる部材を示す図である。図6は、図4に示す原子セルの製造方法における準備工程、配置工程および乾燥工程を示す図である。図7は、図4に示す原子セルの製造方法における接合工程、アルカリ金属遊離工程および個片化工程を示す図である。
原子セル2の製造方法は、[1]準備工程と、[2]配置工程と、[3]乾燥(液分除去)工程と、[4]接合(封止)工程と、[5]アルカリ金属遊離工程と、[6]個片化工程と、を含む。また、原子セル2の製造方法は、必要に応じて、EIT信号強度測定工程を含む。以下、各工程を順次説明する。
[1]準備工程
まず、図5に示すように、胴体部形成用基板(ウエハー)210、窓部形成用基板(ウエハー)220、230およびアルカリ金属化合物を含む液状体を準備する。また、後述する[2]配置工程でアルカリ金属化合物の分解反応に必要な還元剤を配置する場合は、本工程でその還元剤を準備し、また、後述する[2]配置工程でゲッター材を配置する場合は、本工程でそのゲッター材を準備する。
胴体部形成用基板210は、前述した胴体部21を形成するためのシリコン基板であって、貫通孔211、212、213を有する。また、窓部形成用基板220は、前述した窓部22を形成するためのガラス基板である。同様に、窓部形成用基板230は、前述した窓部23を形成するためのガラス基板である。胴体部形成用基板210、窓部形成用基板220および230は、それぞれ、上下方向を厚さ方向とする板状をなしている。
このように、胴体部形成用基板210がシリコンを含み、窓部形成用基板220、230がそれぞれガラスを含んでいることにより、エッチング技術やフォトリソグラフィー技術を用いて小型で高精度な原子セル2を製造することができる。
本実施形態では、胴体部形成用基板210は、複数組の貫通孔211、212、213を有し、後述する[6]個片化工程で個片化されることにより、複数の胴体部21となる。また、窓部形成用基板220、230は、後述する[6]個片化工程で個片化されることにより複数の窓部22、複数の窓部23となる。なお、前記貫通孔211、212および213は、例えば、ドライエッチング等のエッチング、サンドブラスト等のブラスト処理等で形成することができる。
そして、図6(a)に示すように、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220とを接合する。これにより、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220とが接合された接合体(積層体)が得られる。この接合体は、一方の面側に開口している貫通孔211、212および213による凹部を有する「ベース部(第1基板)」を構成している。また、窓部形成用基板230は、「蓋部(第2基板)」を構成している。なお、前述したように、前記貫通孔211、212および213による凹部のうち、貫通孔212の部分が、リザーバー領域31である。
胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220との接合は、加熱接合の1種である陽極接合により行うことが好ましい。これにより、比較的簡単に、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220とを気密的に接合することができる。
なお、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220を接合した後に、前記貫通孔211、212および213を形成してもよい。
また、前述したように、窓部形成用基板220をシリコン基板で構成してもよく、また、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220とを1つのシリコン基板で構成してもよい。
また、本工程において、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230とを接合してもよい。この場合、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230とが接合された接合体が、一方の面側に開口している貫通孔211、212および213による凹部を有する「ベース部(第1基板)」を構成し、また、窓部形成用基板220が、「蓋部(第2基板)」を構成することとなる。また、後述する[4]接合工程においては、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220とを接合する。
また、本工程で準備するアルカリ金属化合物を含む液状体とは、アルカリ金属化合物の水溶液等の溶液、アルカリ金属化合物を分散媒に分散させてなる分散液等である。なお、以下の説明では、前記アルカリ金属化合物を含む液状体として、アルカリ金属化合物の水溶液を例に説明する。
また、アルカリ金属化合物としては、分解反応(還元)により単体のアルカリ金属を遊離する化合物を用いる。このアルカリ金属化合物としては、分解反応により単体のアルカリ金属を遊離する化合物であれば、特に限定されず、例えば、アジ化セシウム(CsN)、アジ化ルビジウム(RbN)、アジ化ナトリウム(RbNa)等のアルカリ金属のアジ化物(アジ化化合物)が挙げられる。また、これらのうちでは、アジ化セシウムが好ましい。すなわち、アルカリ金属化合物は、アジ化セシウムを含むことが好ましい。また、アルカリ金属化合物は、後述する[4]接合工程における加熱下において分解反応を実質的に生じないもの、すなわち、分解反応が生じる温度が[4]接合工程における加熱温度よりも高いものであることが好ましい。これにより、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板230の接合面(接合部)にアルカリ金属が付着するのを防止または低減することができる。なお、アルカリ金属ではなく、アルカリ金属化合物を用いる理由は、アルカリ金属化合物は、大気中で安定しており、容易に取り扱うことができるためである。
また、アルカリ金属化合物の水溶液(液状体)の濃度は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、0.1重量%以上、10重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上、5重量%以下であることがより好ましく、1重量%以上、3重量%以下であることがさらに好ましい。
前記濃度が前記上限値よりも大きいと、他の条件によっては、秤量精度が低くなる虞がある。また、前記濃度が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、目標量のアルカリ金属化合物を配置するのに手間がかかる。
[2]配置工程
次に、図6(b)に示すように、貫通孔212による凹部内、すなわち、リザーバー領域31にアルカリ金属化合物の水溶液Pを配置する。アルカリ金属化合物の水溶液Pを、単に、「水溶液P」とも言う。この場合、後述する[4]接合工程の前に、原子セル2内に、最終的に目標量のアルカリ金属化合物が配置されるように、前記水溶液Pを秤量して配置する。
また、図示しないが、かかるリザーバー領域31に、必要に応じて、アルカリ金属化合物の分解反応に必要な還元剤を配置してもよい。これにより、後述する[5]アルカリ金属遊離工程においてアルカリ金属化合物の分解反応を促進することができる。なお、この還元剤は、水溶液Pとは別に準備したものであってもよいし、水溶液Pに含まれていてもよい。
また、図示しないが、リザーバー領域31に、必要に応じて、ゲッター材等を配置してもよい。ゲッター材は、所望のアルカリ金属ガスおよび緩衝ガス以外のガスを吸着または吸収する機能を有する。このゲッター材としては、かかる機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、チタン、バリウム、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、バナジウム、インジウム、カルシウムのうちの少なくとも1つを含む合金、または、Al−Zr−V−Fe系合金が挙げられる。このようなゲッター材を用いることにより、後述する[4]接合工程後において内部空間Sの気体状の不要物をゲッター材に吸着または吸収させることができる。なお、このゲッター材は、水溶液Pとは別に準備したものであってもよいし、水溶液Pに含まれていてもよい。
本工程において、アルカリ金属化合物を、水溶液Pとしてリザーバー領域31に配置することにより、胴体部形成用基板210の窓部形成用基板230との接合面(接合部)にアルカリ金属が付着することを防止または低減することができ、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230との接合強度を向上させることができる。その理由は、アルカリ金属を蒸着等の気相成膜法によりリザーバー領域31に成膜して配置する場合は、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板230との接合面を完全にマスキングすることは困難であり、その接合面にアルカリ金属が付着してしまい、接合強度の低下を招いてしまう。これに対して、本工程では、水溶液Pをリザーバー領域31に配置するので、胴体部形成用基板210の窓部形成用基板230との接合面にアルカリ金属が付着することを防止または低減することができる。
また、アルカリ金属化合物を、水溶液Pとしてリザーバー領域31に配置することにより、リザーバー領域31に、正確に、目標量のアルカリ金属化合物を配置することができる。その理由は、配置するアルカリ金属化合物の量は、微小量であるので、アルカリ金属化合物が紛体の状態では、その微小量の重量または体積を測定して正確に目標量のアルカリ金属化合物を配置することは困難であるが、水溶液Pであれば、アルカリ金属化合物単体の場合よりも体積が大きくなるので、その体積を測定して正確に目標量のアルカリ金属化合物を配置することができるためである。
また、アルカリ金属化合物を、水溶液Pとしてリザーバー領域31に配置することにより、後述する[3]乾燥工程を経て、均一な厚さのアルカリ金属化合物の層P1をリザーバー領域31に形成することができる。
[3]乾燥工程
次に、図6(c)に示すように、水溶液Pを乾燥させる(液分を除去する)。ここでは、アルカリ金属化合物を含む液状体として、水溶液(溶液)Pを用いているので、その水溶液Pの水(溶媒)を蒸発させる(除去する)。これにより、リザーバー領域31に、均一な厚さのアルカリ金属化合物の層(膜)P1が形成される。なお、以下では、アルカリ金属化合物の層P1を、単に、「アルカリ金属化合物P1」とも言う。
また、アルカリ金属化合物を含む液状体としてアルカリ金属化合物を分散媒に分散させてなる分散液を用いる場合は、その分散液の分散媒を蒸発させる(除去する)。
本工程で、水溶液Pを乾燥させる方法は、特に限定されないが、例えば、ホットプレート等を用いて、その水溶液Pを加熱する。
なお、前記水溶液Pを配置する処理と、前記水溶液Pを乾燥させる処理とを交互に複数回ずつ行ってもよい。これにより、リザーバー領域31に配置するアルカリ金属化合物の量を増大させることができ、任意の量のアルカリ金属化合物を配置することができる。
[4]接合工程
次に、図7(a)に示すように、胴体部形成用基板210の窓部形成用基板220と反対の面(ベース部の一方の面)に、窓部形成用基板230を配置し、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230とを接合する。これにより、貫通孔211、212および213で構成された凹部の開口に窓部形成用基板230が接合され、前記凹部が封止され、内部空間Sが形成される。
胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230との接合方法としては、前述した胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230との接合方法と同様の方法を用いることができる。すなわち、本工程において、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230との接合を加熱接合の一種である陽極接合により行うことができる。
陽極接合では胴体部形成用基板210および窓部形成用基板220、230が高温となる一方、例えばアルカリ金属単体は融点および沸点が比較的低い。そのため、加熱接合時にアルカリ金属単体が存在していると、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板230の接合面にアルカリ金属が付着してしまい、接合強度の低下を招いてしまう。したがって、このような接合により封止を行う場合、本発明を適用することによる効果が顕著となる。すなわち、本発明では、本工程において、リザーバー領域31に配置されたアルカリ金属化合物は、陽極接合時の熱のもとでも固体状を維持するため、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板230の接合面にアルカリ金属が付着することを防止または低減することができる。
また、この胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230との接合は、窒素ガスを含む雰囲気下で行なう。そして、その接合の際、原子セル2内に前記雰囲気を緩衝ガスの一部として封入する。この雰囲気としては、例えば、窒素ガス、窒素ガスとアルゴンガスの混合ガス等が挙げられる。
これにより、後述する[5]アルカリ金属遊離工程で遊離する窒素ガスでは不足する分の緩衝ガスを原子セル2内に封入することができる。すなわち、後述する[5]アルカリ金属遊離工程で遊離する窒素ガスは、緩衝ガスとして用いられるが、その窒素ガスと、本工程で原子セル2内に封入される緩衝ガスとで、原子セル2内の圧力は、適正な圧力となる。
[5]アルカリ金属遊離工程
次に、図7(b)に示すように、例えば、紫外線(光エネルギー線)等のエネルギー線をアルカリ金属化合物P1に照射し、アルカリ金属化合物P1にエネルギーを与える。これにより、アルカリ金属化合物P1を分解反応(還元)させることにより、アルカリ金属Mを遊離(生成)する。なお、このとき、アルカリ金属化合物P1の分解反応により、アルカリ金属M以外の反応生成物、例えば、窒素ガス等の不活性ガスが生じ、その不活性ガスは、緩衝ガスとして用いられる。
本工程では、リザーバー領域31に配置されたすべてのアルカリ金属化合物を分解反応させてもよく、また、一部のアルカリ金属化合物を分解反応させてもよい。
前記すべてのアルカリ金属化合物を分解反応させる方法を採用する場合は、容易に、原子セル2内のアルカリ金属の量および窒素の量を正確に目標の量にすることができ、原子セル2内の圧力を正確に目標の圧力にすることができる。
また、前記一部のアルカリ金属化合物を分解反応させる方法を採用する場合は、分解反応させるアルカリ金属化合物の量を調整することにより、原子セル2内のアルカリ金属の量および窒素の量を正確に目標の量にすることができ、原子セル2内の圧力を正確に目標の圧力にすることができる。また、将来、原子セル2内のアルカリ金属が不足する状況が生じた場合や、圧力が低下した場合、リザーバー領域31の残りのアルカリ金属化合物の所定量を分解反応させることにより、前記アルカリ金属や圧力の不足分を補うことができる。
ここで、具体例を挙げて説明すると、例えば、アルカリ金属化合物がアジ化セシウムである場合、本工程では、下記(1)式で示す反応が生じる。
2CsN→2Cs+3N ・・・(1)
このように、アジ化セシウムを還元させることによりセシウムおよび窒素を遊離することができる。そのため、原子セル2内にセシウム(セシウム原子)および緩衝ガスとして窒素ガスを封入することができる。
本工程では、アルカリ金属化合物にエネルギー線を照射することにより分解反応を生じさせるため、封止された内部空間Sに配置されたアルカリ金属化合物を分解反応させることができる。なお、図7(b)では、紫外線を用いてアルカリ金属化合物の分解反応を生じさせる場合を例に図示しているが、アルカリ金属化合物の分解反応を生じさせることができれば、紫外線に限定されず、例えば、紫外線以外のレーザー等の光、X線、γ線のような電磁波、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものが挙げられる。また、電磁誘導によりアルカリ金属化合物を加熱して分解反応を生じさせてもよい。
また、本工程には、必要に応じて、EIT信号強度測定工程が含まれる。すなわち、本工程において、分解反応させるアルカリ金属化合物の量を調整する場合、EIT信号の強度を測定し、その測定結果に基づいて、前記調整を行ってもよい。
この場合、例えば、EIT信号の強度の測定では、図示しない光出射部により、原子セル2の凹部の貫通孔211の部分(光通過空間)に向けて励起光(光)LLを出射し、図示しない光検出部により、前記凹部内(原子セル2)を透過した励起光LLの強度を測定する。そして、測定されたEIT信号の強度が予め設定された所定の閾値以上になるように、分解反応させるアルカリ金属化合物の量を調整する。これにより、容易に、分解反応させるアルカリ金属化合物の量を正確に調整することができる。
[6]個片化工程
次に、例えばダイシングにより、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板220、230からなる積層構造体(接合体)を個片化する。これにより、図7(c)に示すように、複数の原子セル2が得られる。
本実施形態では、前述したように、[1]準備工程において、べ―ス部が貫通孔211、212および213による凹部を複数有し、[4]接合工程の後の[6]個片化工程において、べ―ス部と蓋部とを接合した接合体、すなわち、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板220、230とを接合した接合体を貫通孔211、212および213による凹部ごとに個片化する。これにより、効率的に原子セル2を製造することができる。
なお、前述した[5]アルカリ金属遊離工程と[6]個片化工程との順序を前記と逆にしてもよい。
以上説明したように、本発明の原子セル2の製造方法によれば、アルカリ金属化合物を、水溶液Pとしてリザーバー領域31に配置することにより、胴体部形成用基板210の窓部形成用基板230との接合面にアルカリ金属が付着することを防止または低減することができる。また、リザーバー領域31に配置されたアルカリ金属化合物は、陽極接合時の熱のもとでも固体状を維持するため、胴体部形成用基板210および窓部形成用基板230の接合面にアルカリ金属が付着することを防止または低減することができる。そのため、胴体部形成用基板210と窓部形成用基板230とを簡単かつ強固に接合することができる。その結果、原子セル2の信頼性を向上させることができる。
また、アルカリ金属化合物を、水溶液Pとしてリザーバー領域31に配置することにより、リザーバー領域31に、正確に、目標量のアルカリ金属化合物を配置することができる。そのため、原子セル2内に、正確に、目標量のアルカリ金属を封入することができ、また、原子セル2内の圧力を適正な圧力にすることができる。
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)が備える原子セルの斜視図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図8中の上側を「上」、下側を「下」という。また、図8では、一方の窓部、アルカリ金属等の図示を省略している。
以下、第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図8に示すように、第2実施形態の原子発振器1の原子セル2では、胴体部21に、胴体部21の厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211と、胴体部21の厚さ方向に貫通している4つの貫通孔212と、貫通孔211と各貫通孔212とを連通させ、胴体部21の厚さ方向に貫通している4つの貫通孔213(凹部)と、が形成されている。
各貫通孔212の配置は、特に限定されないが、本実施形態では、胴体部21の厚さ方向から見て、各貫通孔212は、貫通孔211の周方向に沿って、等角度間隔(90°間隔)で配置されている。
また、各貫通孔212の大きさは、特に限定されないが、本実施形態では、互いに等しい大きさに設定されている。
各貫通孔212内の空間は、それぞれ、内部空間Sの一部を構成し、内部空間Sに連通している空間であって、液体状または固体状のアルカリ金属Mが配置されている「リザーバー領域(金属溜り部)31」を構成している。すなわち、原子セル2は、4つのリザーバー領域31を有している。
原子セル2を製造する際は、[1]準備工程では、胴体部形成用基板210として、貫通孔211、4つの212、4つの213を複数組有するものを準備する。
また、[2]配置工程では、アルカリ金属化合物の水溶液Pを各リザーバー領域31に配置する。以下、途中の説明は省略する。
また、[5]アルカリ金属遊離工程では、4つのリザーバー領域31のうちの一部、例えば、1つ、2つ、または、3つのリザーバー領域31のアルカリ金属化合物を分解反応させ、アルカリ金属を遊離する。この場合、第1実施形態で述べたように、各リザーバー領域31のアルカリ金属化合物について、それぞれ、リザーバー領域31に配置されたすべてのアルカリ金属化合物を分解反応させてもよく、また、一部のアルカリ金属化合物を分解反応させてもよい。
前記アルカリ金属を遊離させた後は、分解反応していないアルカリ金属化合物が配置されているリザーバー領域31を遮光する。これにより、アルカリ金属化合物が不本意に分解反応することを防止することができる。
また、将来、原子セル2内のアルカリ金属が不足する状況が生じたり、圧力が低下し、原子セル2内に残っているアルカリ金属化合物の所定量を分解反応させる場合は、前記遮光を解除し、紫外線等のエネルギー線をアルカリ金属化合物に照射する。
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
そして、本実施形態では、4つのリザーバー領域31を有しているので、[5]アルカリ金属遊離工程において、容易に、分解反応させるアルカリ金属化合物の量を調整することができる。また、将来、原子セル2内のアルカリ金属が不足する状況が生じたり、圧力が低下し、原子セル2内の残りのアルカリ金属化合物の所定量を分解反応させる場合、分解反応させるアルカリ金属化合物の量を容易に調整することができる。
なお、本実施形態では、リザーバー領域31(貫通孔212)および貫通孔213の数は、それぞれ、4つであるが、本発明では、リザーバー領域(貫通孔212)および貫通孔213の数は、それぞれ、2つ、3つ、または、5つ以上でもよい、すなわち、複数であればよい。
2.電子機器
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図9は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図9に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子機器(電子装置)である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
3.移動体
図10は、本発明の移動体の一例を示す図である。
図10において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
なお、本発明の電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局、GPSモジュール等に適用することができる。
以上、本発明の原子セルの製造方法、原子セル、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、前記実施形態では、ベース部のみが凹部を有しているが、本発明では、これに限定されず、例えば、ベース部と蓋部とのそれぞれが凹部を有していてもよい。この場合、凹部内に液状体を配置する工程では、ベース部の凹部のみにアルカリ金属化合物を含む液状体を配置してもよく、また、ベース部の凹部および蓋部の凹部のそれぞれに、アルカリ金属化合物を含む液状体を配置してもよい。
また、前記実施形態では、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果を利用してセシウム等のアルカリ金属を共鳴遷移させる量子干渉装置に本発明の原子セルを用いた場合を例として説明したが、本発明の原子セルは、これに限定されず、例えば、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用してルビジウム等のアルカリ金属を共鳴遷移させる二重共鳴装置にも用いることができる。
1‥‥原子発振器
2‥‥原子セル
3‥‥光出射部
5‥‥光検出部
6‥‥ヒーター
7‥‥温度センサー
8‥‥磁場発生部
10‥‥制御部
11‥‥温度制御部
12‥‥励起光制御部
13‥‥磁場制御部
21‥‥胴体部
22‥‥窓部
23‥‥窓部
31‥‥リザーバー領域
41‥‥光学部品
42‥‥光学部品
43‥‥光学部品
44‥‥光学部品
100‥‥測位システム
200‥‥GPS衛星
210‥‥胴体部形成用基板
211‥‥貫通孔
212‥‥貫通孔
213‥‥貫通孔
220‥‥窓部形成用基板
230‥‥窓部形成用基板
300‥‥基地局装置
301‥‥アンテナ
302‥‥受信装置
303‥‥アンテナ
304‥‥送信装置
400‥‥GPS受信装置
401‥‥アンテナ
402‥‥衛星受信部
403‥‥アンテナ
404‥‥基地局受信部
1500‥‥移動体
1501‥‥車体
1502‥‥車輪
LL‥‥励起光
M‥‥アルカリ金属
P‥‥アルカリ金属化合物の水溶液
P1‥‥アルカリ金属化合物の層
S‥‥内部空間

Claims (14)

  1. 凹部を有するベース部、蓋部およびアルカリ金属化合物を含む液状体を準備する工程と、
    前記凹部内に前記液状体を配置する工程と、
    前記液状体を乾燥させる工程と、
    前記凹部を封止するように前記ベース部と前記蓋部とを接合する工程と、
    前記アルカリ金属化合物を分解反応させることによりアルカリ金属を遊離する工程と、
    を含むことを特徴とする原子セルの製造方法。
  2. 前記凹部は、前記アルカリ金属が共鳴する領域から離れた位置にリザーバー領域を有し、
    前記液状体を配置する工程では、前記リザーバー領域に前記液状体を配置する請求項1に記載の原子セルの製造方法。
  3. 前記凹部は、複数の前記リザーバー領域を有する請求項2に記載の原子セルの製造方法。
  4. 前記アルカリ金属を遊離する工程では、前記アルカリ金属化合物にエネルギー線を照射することにより前記分解反応を生じさせる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原子セルの製造方法。
  5. 前記接合する工程では、窒素ガスを含む雰囲気下で、前記ベース部と前記蓋部とを接合する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原子セルの製造方法。
  6. 前記原子セルの前記凹部内を透過した光の強度を測定する工程を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の原子セルの製造方法。
  7. 前記蓋部および前記ベース部は、それぞれ、板状であり、
    前記ベース部の前記凹部は、前記ベース部の一方の面側に開口しており、
    前記接合する工程では、前記凹部の開口に前記蓋部を接合して前記凹部を封止する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の原子セルの製造方法。
  8. 前記準備する工程では、2つのウエハーを接合して前記ベース部を形成する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の原子セルの製造方法。
  9. 前記アルカリ金属化合物がアジ化セシウムを含む請求項1ないし8のいずれか1項に記載の原子セルの製造方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の原子セルの製造方法により製造されたことを特徴とする原子セル。
  11. 請求項10に記載の原子セルを備えることを特徴とする量子干渉装置。
  12. 請求項10に記載の原子セルを備えることを特徴とする原子発振器。
  13. 請求項10に記載の原子セルを備えることを特徴とする電子機器。
  14. 請求項10に記載の原子セルを備えることを特徴とする移動体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022097557A1 (ja) * 2020-11-06 2022-05-12 国立大学法人京都大学 金属ガス封入セル及びその製造方法

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