JP2018011100A - 原子セル、原子セルの製造方法、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

原子セル、原子セルの製造方法、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた周波数特性を有する原子セルを提供すること、また、優れた周波数特性を有する原子セルを容易に製造することができる原子セルの製造方法を提供すること、さらに、かかる原子セルを備える量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を提供すること。
【解決手段】アルカリ金属を収納している内部空間と、前記内部空間の内壁面に配置されているコーティング膜と、前記内部空間と外部との間を貫通している第1、第2貫通孔と、前記第1、第2貫通孔を塞いでいる第1、第2封止材と、を備え、前記内部空間は、前記第1、第2貫通孔に接続されている第1、第2空間と、前記第1空間および前記第2空間とは異なる位置に配置されている第3空間と、前記第1、第2空間と前記第3空間とを連通させている第1、第2連通部と、有することを特徴とする原子セル。
【選択図】図3

Description

本発明は、原子セル、原子セルの製造方法、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。
一般に、原子発振器の動作原理は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した方式と、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した方式とに大別される。いずれの原子発振器も、一般に、アルカリ金属を封入した原子セル(ガスセル)を備える(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に係るガスセルは、シリコンウエハに形成された貫通孔の開口がガラス基板により封鎖されることにより、アルカリ金属を封入する内部空間が形成されている。ここで、シリコンウエハとガラス基板とが陽極接合法により接合されている。
特開2009−283526号公報
ところで、近年、原子発振器の小型化の要請に伴い、原子セルの小型化が求められている。一方、原子セル内に充填された気体状のアルカリ金属は原子セルの内壁面に衝突したときに挙動が変化するが、原子セルが小型になるほど、その挙動の変化に起因する発振特性の低下が顕著になることが知られている。そこで、原子セルの内壁面にアルカリ金属の挙動の変化を低減するコーティングを施すことが提案されている。
しかし、特許文献1に係るガスセルでは、コーティングを施そうとしたとき、シリコンウエハとガラス基板との陽極接合の前にコーティングを施さなければならず、その後の陽極接合時の高温によりコーティングが溶けてしまう。そのため、ガスセルの内壁面の所望領域に均一なコーティングを施すことが難しいという問題があった。
本発明の目的は、優れた周波数特性を有する原子セルを提供すること、また、優れた周波数特性を有する原子セルを容易に製造することができる原子セルの製造方法を提供すること、さらに、かかる原子セルを備える量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の原子セルは、アルカリ金属と、
前記アルカリ金属を収納している内部空間と、
前記内部空間の内壁面に配置されているコーティング膜と、
前記内部空間と外部との間を貫通している第1貫通孔と、
前記第1貫通孔とは異なる位置に設けられ、前記内部空間と外部との間を貫通している第2貫通孔と、
前記第1貫通孔を塞いでいる第1封止材と、
前記第2貫通孔を塞いでいる第2封止材と、を備え、
前記内部空間は、
前記第1貫通孔に接続されている第1空間と、
前記第2貫通孔に接続されている第2空間と、
前記第1空間および前記第2空間とは異なる位置に配置されている第3空間と、
前記第1空間と前記第3空間とを連通させている第1連通部と、
前記第2空間と前記第3空間とを連通させている第2連通部と、を有することを特徴とする。
このような原子セルによれば、コーティング膜の形成に用いるコーティング材を第1空間に配置することができる。そのため、そのコーティング材の残渣が生じたとしても、当該残渣が第1空間に配置されることとなるため、アルカリ金属を励起する光を通過させる空間として第3空間を用いれば、当該残渣が周波数特性に与える影響を低減することができる。
また、液体状または固体状のアルカリ金属を第2空間に配置することができる。そのため、アルカリ金属を励起する光を通過させる空間として第3空間を用いれば、液体状または固体状のアルカリ金属が周波数特性に与える影響を低減することができる。
さらに、原子セルを製造する際、第1貫通孔を内部空間へのコーティング材の導入に用いるとともに、第2貫通孔をそのコーティング材によるコーティング時の排気および内部空間へのアルカリ金属の導入に用いることにより、良質なコーティング膜を容易に形成することができる。
このように、アルカリ金属を励起する光を通過させる空間として第3空間を用いれば、残渣、液体状または固体状のアルカリ金属および内部空間の内壁面が周波数特性に与える影響を低減することができることから、優れた周波数特性を有する原子セルを提供することができる。
本発明の原子セルでは、前記第1貫通孔の幅が前記内部空間側に向かうに従い狭くなる部分を有することが好ましい。
これにより、第1貫通孔を第1封止材により塞ぐ際、第1封止材となる材料(例えばガラスボール)を第1貫通孔に安定的に載置することができる。その結果、第1封止材による第1貫通孔の封止の信頼性を優れたものとすることができる。
本発明の原子セルでは、前記第2貫通孔の幅が前記内部空間側に向かうに従い狭くなる部分を有することが好ましい。
これにより、第2貫通孔を第2封止材により塞ぐ際、第2封止材となる材料(例えばガラスボール)を第2貫通孔に安定的に載置することができる。その結果、第2封止材による第2貫通孔の封止の信頼性を優れたものとすることができる。また、第2貫通孔を第2封止材により塞ぐ前に、第2貫通孔を通じて気体状のコーティング材を排気する際、第2貫通孔の壁面(第2封止材との接合面)にコーティング材が付着することを低減することができる。その結果、この点でも、第2封止材による第2貫通孔の封止の信頼性を優れたものとすることができる。
本発明の原子セルでは、前記第1連通部のコンダクタンスが前記第2連通部のコンダクタンスよりも大きいことが好ましい。
これにより、原子セルを製造する際に、第1貫通孔を第1封止材により塞いだ状態で、第1空間に配置したコーティング材を加熱して、コーティング材の余剰分を第2貫通孔から排気しつつコーティングを行うとき、気体状となったコーティング材の第3空間でのコーティングに必要な滞留時間を容易に確保することができる。また、第2空間に液体状または固体状のアルカリ金属を配置したときに、液体状または固体状のアルカリ金属が、第3空間にある気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを効果的に低減することができる。
本発明の原子セルでは、前記第2空間には、液体状または固体状の前記アルカリ金属が配置されていることが好ましい。
これにより、液体状または固体状のアルカリ金属が、第3空間にある気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを低減することができる。
本発明の原子セルでは、前記第1空間には、前記コーティング膜の構成材料の前駆体または変性物が配置されていることが好ましい。
これにより、コーティング膜の構成材料の前駆体または変性物(コーティング材の残渣)が、第3空間にある気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを低減することができる。
本発明の原子セルでは、前記第1封止材および前記第2封止材は、それぞれ、ガラス材料で構成されていることが好ましい。
これにより、第1貫通孔および第2貫通孔を簡単かつ確実に気密的に塞ぐことができる。また、第1封止材および第2封止材がアルカリ金属の化学的特性に悪影響を与えることを低減することができる。
本発明の原子セルでは、前記コーティング膜は、前記第1封止材の表面に配置されている部分を有することが好ましい。
これにより、第1連通部の断面積が大きくても、第1封止材の表面が第3空間の気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを低減することができる。
本発明の原子セルの製造方法は、内部空間と、前記内部空間と外部との間を貫通している第1貫通孔および第2貫通孔と、を有する容器を準備する容器準備工程と、
前記第1貫通孔を通じて前記内部空間にコーティング材を導入するコーティング材導入工程と、
前記第1貫通孔を第1封止材により塞ぐ第1封止工程と、
前記コーティング材を加熱して前記内部空間の内壁面にコーティング膜を形成するコーティング工程と、
前記第2貫通孔を通じて前記内部空間にアルカリ金属を導入するアルカリ金属導入工程と、
前記第2貫通孔を第2封止材により塞ぐ第2封止工程と、を有することを特徴とする。
このような原子セルの製造方法によれば、第1封止工程後にコーティング工程を行うため、コーティング工程において、加熱により気体状となったコーティング材を内部空間への導入に用いた直近の第1貫通孔から逃さずに遠位の第2貫通孔から排気することができる。そのため、コーティング工程において、気体状となったコーティング材を内部空間に適度に滞留させて内部空間の内壁面のコーティングに供するとともに、コーティングに供されなかった余剰分のコーティング材を第2貫通孔から排気することができる。また、コーティング工程において、第1貫通孔が第1封止材により封止されているため、第1封止材の表面もコーティングすることができる。
また、コーティング工程後に、アルカリ金属導入工程および第2封止工程を順次行うため、コーティング工程においてアルカリ金属がコーティングを阻害することがなく、コーティング前にアルカリ金属を内部空間に導入する場合に比べて、良質なコーティング膜を形成することができる。また、第2封止工程を局所的な加熱により行うことが可能であるため、コーティング工程で形成したコーティング膜が溶けて特性劣化することを低減することができる。
このように、内部空間の内壁面に良質なコーティング膜を容易に形成することができることから、優れた周波数特性を有する原子セルを容易に製造することができる。
本発明の原子セルの製造方法では、前記容器準備工程において、前記内部空間は、
前記第1貫通孔に接続されている第1空間と、
前記第2貫通孔に接続されている第2空間と、
前記第1空間および前記第2空間とは異なる位置に配置されている第3空間と、
前記第1空間と前記第3空間とを連通させている第1連通部と、
前記第2空間と前記第3空間とを連通させている第2連通部と、を有し、
前記コーティング材導入工程において、前記コーティング材を前記第1空間に配置することが好ましい。
これにより、コーティング材導入工程において、コーティング材を第1空間に配置することができる。そして、コーティング工程において、加熱により気体状となったコーティング材をコーティングに供しながら第1空間から第1連通部、第3空間、第2連通部、第2空間へこの順で順次流通させて第2貫通孔から排気し、第3空間の内壁面に良質なコーティング膜を形成することができる。また、コーティング工程後にコーティング材の残渣が生じたとしても、当該残渣が第1空間に配置されることとなるため、アルカリ金属を励起する光を通過させる空間として第3空間を用いれば、当該残渣が周波数特性に与える影響を低減することができる。
また、アルカリ金属導入工程において、液体状または固体状のアルカリ金属を第2空間に配置することができる。そして、第2封止工程後においても、液体状または固体状のアルカリ金属が第2空間に配置されることとなるため、アルカリ金属を励起する光を通過させる空間として第3空間を用いれば、液体状または固体状のアルカリ金属が周波数特性に与える影響を低減することができる。
本発明の原子セルの製造方法では、前記コーティング工程において、前記第1連通部のコンダクタンスが前記第2連通部のコンダクタンスよりも大きいことが好ましい。
これにより、コーティング工程において、気体状となったコーティング材の第3空間でのコーティングに必要な滞留時間を容易に確保することができる。また、第2空間に配置した液体状または固体状のアルカリ金属が、第3空間にある気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを効果的に低減することができる。
本発明の量子干渉装置は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
このような量子干渉装置によれば、優れた周波数特性を発揮することができる。
本発明の原子発振器は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
このような原子発振器によれば、優れた周波数特性を発揮することができる。
本発明の電子機器は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
このような電子機器によれば、優れた周波数特性を有する原子セルを備えるため、優れた信頼性を発揮することができる。
本発明の移動体は、本発明の原子セルを備えることを特徴とする。
このような移動体によれば、優れた周波数特性を有する原子セルを備えるため、優れた信頼性を発揮することができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。 図1に示す原子発振器が備える原子セルの内部空間を示す斜視図である。 図2に示す原子セルの縦断面図(図4中のA−A線断面図)である。 図2に示す原子セルの横断面図である。 図2に示す原子セルの製造方法(本発明の原子セルの製造方法)を説明するフローチャートである。 図5に示す容器準備工程を説明する図である。 図5に示すコーティング材導入工程を説明する図である。 図5に示す第1封止工程を説明する図である。 図5に示すコーティング工程を説明する図である。 図5に示すアルカリ金属導入工程を説明する図である。 図5に示す第2封止工程を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る原子セルの縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る原子セルの横断面図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。 本発明の移動体の一例を示す図である。
以下、本発明の原子セル、原子セルの製造方法、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の原子セルを備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置が原子発振器である場合を例に説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)を示す概略図である。
図1に示す原子発振器1は、アルカリ金属原子に対して特定の異なる波長の2つの共鳴光を同時に照射したときに当該2つの共鳴光がアルカリ金属に吸収されずに透過する現象が生じる量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した原子発振器である。なお、この量子干渉効果による現象は、電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象とも言う。
この原子発振器1は、図1に示すように、量子干渉効果を生じさせるパッケージ部10と、パッケージ部10を制御する制御部9と、を有する。ここで、パッケージ部10は、原子セル2と、光源3と、光学系4と、光検出部5と、ヒーター6と、温度センサー7と、コイル8と、を有し、これらがパッケージ(図示せず)内に収納されている。また、制御部9は、光源制御部91と、温度制御部92と、磁場制御部93と、を有し、例えば、パッケージ部10が実装される基板(図示せず)上にIC(Integrated circuit)チップとして設けられている。
この原子発振器1では、光源3が光LLを光軸aに沿って光学系4を介して原子セル2に照射し、原子セル2を透過した光LLを光検出部5が検出する。
原子セル2は、光透過性を有し、原子セル2の内部空間Sには、アルカリ金属(金属原子)が封入されている。アルカリ金属は、互いに異なる2つの基底準位と励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。また、原子セル2内のアルカリ金属は、ヒーター6により加熱され、ガス状態となっている。また、原子セル2内のアルカリ金属は、コイル8から所望の方向の磁場が印加され、ゼーマン分裂している。
光源3から出射された光LLは、周波数の異なる2種の光を含んでいる。これら2種の光は、周波数差が原子セル2内のアルカリ金属の2つの基底準位間のエネルギー差に相当する周波数に一致する共鳴光対となったとき、EIT現象を生じさせる。
光源制御部91は、光検出部5の検出結果に基づいて、EIT現象を生じさせるように、前述した光源3から出射される光LLに含まれる2種の光の周波数を制御する。また、光源制御部91は、光検出部5の検出結果に応じて、発振周波数が制御される電圧制御型水晶発振器(図示せず)を備えている。そして、この電圧制御型水晶発振器(VCXO)の出力信号は、原子発振器1のクロック信号として出力される。
また、温度制御部92は、原子セル2の温度を検出する温度センサー7の検出結果に基づいて、原子セル2内が所望の温度となるように、ヒーター6への通電を制御する。また、磁場制御部93は、コイル8が発生する磁場が一定となるように、コイル8への通電を制御する。
以下、パッケージ部10の各部の構成を順次簡単に説明する。
[原子セル]
原子セル2は、光源3からの光LLに対する透過性を有する材料で構成され、原子セル2の内部空間Sには、アルカリ金属が封入されている。なお、原子セル2については、後に詳述する。
[光源]
光源3は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等の発光素子であり、原子セル2中のアルカリ金属原子を励起し得る光LLを出射する機能を有する。
[光学系]
光学系4は、光源3と原子セル2との間に設けられており、遮光部材41および光学部品42、43を有する。
遮光部材41は、光LLの一部を通過させる開口を有する遮光性を有する膜状または板状の部材であり、例えば、樹脂材料、金属材料で構成されている。この開口の形状は、前述した内部空間Sの横断面形状に応じて決められている。このような遮光部材41の開口に光LLを通過させることで、原子セル2に入射する光LLの形状を調整するとともに当該光LLの幅方向での強度分布の均一化を図ることができる。
光学部品42は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、光源3の出力が大きい場合でも、原子セル2に入射する光LLを所望の光量とすることができる。
光学部品43は、1/4波長板である。これにより、光源3からの光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。円偏光をした光LLを用いることにより、所望のEIT現象を発現する原子数を増大させ、所望のEIT信号の強度を大きくすることができる。その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
なお、光学系4は、前述した遮光部材41、光学部品42、43の他に、レンズ、偏光板等の他の光学部品を有していてもよい。また、光源3からの光LLの強度によっては、光学部品42を省略することができる。また、遮光部材41、光学部品42、43の並び順は、図示の順に限定されず、任意である。
[光検出部]
光検出部5は、例えば、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)であり、原子セル2内を透過した光LL(より具体的には共鳴光対)の強度を検出する機能を有する。
[ヒーター]
ヒーター6は、通電により発熱する発熱抵抗体(加熱部)を有する。ヒーター6からの熱は、直接または他の部材を介して、原子セル2および光源3にそれぞれ伝達される。
[温度センサー]
温度センサー7は、例えば、サーミスタ、熱電対等であり、光源3、ヒーター6または原子セル2の温度を検出する機能を有する。なお、温度センサー7の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヒーター6上であってもよいし、原子セル2の外表面上であってもよい。
[コイル]
コイル8は、例えば、原子セル2の胴体部21の外周に沿って光軸aまわりに巻回して設けられたソレノイド型のコイルであり、原子セル2内のアルカリ金属に磁場を印加する機能を有する。これにより、ゼーマン分裂により、原子セル2内のアルカリ金属原子の縮退している異なる複数のエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
なお、コイル8は、光軸aに沿った方向に原子セル2を介して対向して設けられた1対のコイルからなるヘルムホルツ型のコイルであってもよい。また、コイル8が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。
以上、パッケージ部10の各部を簡単に説明した。以下、原子セル2について詳述する。
(原子セルの詳細な説明)
図2は、図1に示す原子発振器が備える原子セルの内部空間を示す斜視図である。図3は、図2に示す原子セルの縦断面図(図4中のA−A線断面図)である。図4は、図2に示す原子セルの横断面図である。なお、以下では、図3中の上側を「上」、下側を「下」という。
図2に示す原子セル2は、胴体部21と、胴体部21を挟んで設けられた1対の窓部22、23と、を有している。この原子セル2では、胴体部21および1対の窓部22、23が、1対の窓部22、23の間に、気体状のアルカリ金属が封入されている内部空間Sを区画形成(構成)している。
胴体部21は、上下方向を厚さ方向とする板状をなしており、この胴体部21には、胴体部21の厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211、212、213と、胴体部21の上面に開口していて貫通孔211と貫通孔212とを連通させている溝214(第1連通部)と、胴体部21の上面に開口していて貫通孔211と貫通孔213とを連通させている溝215(第2連通部)と、が形成されている。本実施形態では、図4に示すように、胴体部21を厚さ方向から見たとき、胴体部21の外形が四角形をなしており、胴体部21の互いに隣り合う2つの角部に対応する位置に貫通孔212、213が位置している。また、溝214のコンダクタンス(気体状のアルカリ金属等の流通のしやすさ)を溝215のコンダクタンスよりも大きくするため、図3に示すように、溝214の高さH1は、溝215の高さH2よりも大きい。また、図4に示すように、溝214の幅W1は、溝215の幅W2よりも大きい。なお、溝214の長さは、図示では溝215の長さに等しいが、コンダクタンスの観点から、溝215の長さよりも短いことが好ましい。
この胴体部21の構成材料としては、特に限定されず、ガラス材料、水晶、金属材料、樹脂材料、シリコン材料等が挙げられるが、中でも、ガラス材料、水晶、シリコン材料のいずれかを用いることが好ましく、ガラス材料またはシリコン材料を用いることがより好ましい。シリコンを用いると、幅や高さが10mm以下となるような小さい原子セル2を形成する場合であっても、エッチング等の微細加工技術を用いて、高精度な胴体部21を容易に形成することができる。特に、シリコンは、エッチングによる微細加工が可能である。したがって、シリコンを用いて胴体部21を構成することにより、原子セル2の小型化を図っても、胴体部21を簡単かつ高精度に形成することができる。また、窓部22、23がガラスで構成されている場合、胴体部21と窓部22、23とを陽極接合により簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。また、胴体部21の構成材料としてガラス材料を用いると、窓部22、23および封止材241、242の構成材料としてガラス材料を用いた場合、すなわち、胴体部21、窓部22、23および封止材241、242のすべてをガラス材料(特に、テンパックス(登録商標)のようなガラス材料)で構成した場合、これらの熱膨張係数を一致させることができる。そのため、封止材241、242による封止時に原子セル2に生じる残留応力を小さく、その結果、クラックリスクを低減することができる。
このような胴体部21の下面には、窓部22が接合され、一方、胴体部21の上面には、窓部23が接合されている。これにより、貫通孔211、212、213のそれぞれの下端側開口が窓部22により封鎖されるとともに、貫通孔211、212、213のそれぞれの上端側開口および溝214、215の開口が窓部23により封鎖されている。そして、貫通孔211、212、213および溝214、215で構成された内部空間Sが気密空間として形成されている。
胴体部21と窓部22、23との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、気密的に接合できるものであれば、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法、表面活性化接合法等を用いることができるが、直接接合法または陽極接合法を用いることが好ましい。これにより、胴体部21と窓部22、23とを簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。特に、胴体部21および窓部22、23の構成材料がガラス材料である場合、胴体部21と窓部22、23との接合方法としては、例えば、直接接合、溶融接合、オプティカル接合等が挙げられる。
このような胴体部21に接合されている各窓部22、23は、板状をなし、前述した光源3からの励起光に対する透過性を有している。そして、一方の窓部22は、原子セル2の内部空間S内へ光LLが入射する入射側窓部であり、他方の窓部23は、原子セル2の内部空間S内から光LLが出射する出射側窓部である。
特に、窓部23には、内部空間S(より具体的には、貫通孔212内の空間S1)と外部との間を貫通する貫通孔231(第1貫通孔)が形成され、この貫通孔231は、封止材241(第1封止材)により封止されている。同様に、窓部23には、内部空間S(より具体的には、貫通孔213内の空間S2)と外部との間を貫通している貫通孔232(第2貫通孔)が形成され、この貫通孔232は、封止材242(第2封止材)により封止されている。
封止材241、242の構成材料としては、貫通孔231、232を気密的に封止することができれば、特に限定されず、例えば、金属材料、ガラス材料等を用いることができるが、ガラス材料を用いることが好ましい。封止材241、242(第1、第2封止材)がそれぞれガラス材料で構成されていることにより、貫通孔231、232を簡単かつ確実に気密的に塞ぐことができる。また、封止材241、242がアルカリ金属の化学的特性に悪影響を与えることを低減することができる。
貫通孔231は、後に詳述するように、原子セル2を製造する際に、後述するコーティング膜25を形成するためのコーティング材を内部空間Sに導入するのに用いる。一方、貫通孔232は、原子セル2を製造する際に、内部空間Sに導入したコーティング材によるコーティング時の排気に用いるとともに、コーティング後にアルカリ金属を内部空間Sに導入するのに用いる。
本実施形態では、貫通孔231、232の横断面形状は、それぞれ、円形をなしている(図2、図4参照)。なお、貫通孔231、232の横断面形状は、円形に限定されず、例えば、三角形、四角形、五角形等の多角形、楕円形等であってもよい。
また、貫通孔231、232は、幅が内部空間S側に向かうにつれて狭くなる形状をなしている。すなわち、本実施形態では、貫通孔231、232は、それぞれ、円錐台形をなしている。これにより、封止材241、242による封止前の貫通孔231、232内に封止材を留めて配置することができる。また、後に詳述するように内部空間Sに導入したコーティング材によるコーティング時に貫通孔232を通じて排気する際、コーティング材が貫通孔232の壁面に付着することを低減することができる。
窓部22、23(基板)の構成材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されず、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられるが、ガラス材料を用いることが好ましい。これにより、励起光に対する透過性を有する窓部22、23を実現することができる。また、胴体部21がシリコンで構成されている場合、ガラスを用いて窓部22、23を構成することにより、胴体部21と窓部22、23とを陽極接合により簡単に気密的に接合することができ、原子セル2の信頼性を優れたものとすることができる。なお、窓部22、23の厚さや励起光の強度によっては、窓部22、23をシリコンで構成することもできる。この場合、胴体部21と窓部22、23とを直接接合することができる。
このような胴体部21および窓部22、23により区画形成された内部空間Sには、気体状のアルカリ金属が収納されている。アルカリ金属としては、例えば、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等が挙げられる。内部空間Sに収納されている気体状のアルカリ金属は、貫通孔211内において、光LLによって励起される。すなわち、貫通孔211内の空間S3(第3空間)の少なくとも一部は、光LLが通過する「光通過領域」を構成する。本実施形態では、貫通孔211の横断面は、円形をなしている。なお、貫通孔211の横断面形状は、円形に限定されず、例えば、四角形、五角形等の多角形、楕円形等であってもよい。また、原子セル2の内部空間Sには、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。
また、内部空間Sの貫通孔212内の空間S1(第1空間)は、溝214(第1連通部)を介して貫通孔211内の空間S3(第3空間)に連通している。本実施形態では、貫通孔212の横断面は、円形をなしている。なお、貫通孔212の横断面形状は、円形に限定されず、例えば、五角形等の他の多角形、円形、楕円形等であってもよい。
この貫通孔212内の空間S1には、残渣Cが収納されている。この残渣Cは、コーティング膜25の構成材料の前駆体またはその変性物である。このような残渣Cは、光LLの通過領域に存在すると、周波数特性の劣化の原因となるが、貫通孔211内の空間S3とは離れた貫通孔212内の空間S1に配置されているため、周波数特性の劣化の原因となることを低減することができる。
また、内部空間Sの貫通孔213内の空間S2(第2空間)は、溝215(第2連通部)を介して貫通孔211内の空間S3(第3空間)に連通している。本実施形態では、貫通孔213の横断面は、円形をなしている。なお、貫通孔213の横断面形状は、円形に限定されず、例えば、五角形等の他の多角形、円形、楕円形等であってもよい。
この貫通孔213内の空間S2には、液体状または固体状のアルカリ金属Mが収納されている。この液体状または固体状のアルカリ金属Mは、内部空間S内の気体状のアルカリ金属と飽和蒸気圧で平衡状態となっており、これにより、内部空間S内の気体状のアルカリ金属を所定濃度に保つことができる。また、貫通孔211内の空間S3とは離れた貫通孔213内の空間S2にアルカリ金属Mを配置することにより、アルカリ金属Mが周波数特性に影響を与えるのを低減することができる。
なお、原子セル2の製造時にアルカリ金属を生成する化合物を用いた場合、貫通孔213内の空間S2には、その化合物またはその残渣が配置されていてもよい。また、貫通孔213内の空間S2には、所望のアルカリ金属ガスおよび緩衝ガス以外のガスを吸着または吸収する機能を有するゲッター材が配置されていてもよい。
以上説明したような内部空間Sの内壁面には、コーティング膜25が形成されている。このコーティング膜25は、気体状のアルカリ金属が内部空間Sの内壁面に衝突したときの挙動(例えばスピン)の変化を抑制または低減する機能を有する。これにより、原子セル2を小型化しても、アルカリ金属が原子セル2の内壁面に衝突することによる挙動の変化が特性に悪影響を与えるのを抑制し、原子発振器1の発振特性(特に周波数安定度)を優れたものとすることができる。
また、コーティング膜25は、封止材241(第1封止材)の表面(内部空間S側の面)に配置されている部分を有する。これにより、第1連通部である溝214の断面積が大きくても、封止材241の表面が空間S3の気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを低減することができる。
このコーティング膜25の構成材料は、フッ素系樹脂、シロキサン系化合物または鎖式飽和炭化水素を含んでいるのが好ましい。これにより、アルカリ金属がコーティング膜25に衝突した際の挙動の変化を効果的に低減することができ、また、化学的安定性に優れる。また、コーティング材料の沸点をアルカリ金属の沸点よりも高くすることができる。
なお、コーティング膜25の形成に用いるコーティング材、すなわち、コーティング膜25の構成材料またはその前駆体については、後述する原子セル2の製造方法の説明においてより具体的に説明する。
以上説明したような原子セル2は、アルカリ金属と、アルカリ金属を収納している内部空間Sと、内部空間Sの内壁面に配置されているコーティング膜25と、内部空間Sと外部との間を貫通している「第1貫通孔」である貫通孔231と、貫通孔231とは異なる位置に設けられ、内部空間Sと外部との間を貫通している「第2貫通孔」である貫通孔232と、貫通孔231を塞いでいる「第1封止材」である封止材241と、貫通孔232を塞いでいる「第2封止材」である封止材242と、を備える。そして、内部空間Sは、貫通孔231に接続されている「第1空間」である空間S1と、貫通孔232に接続されている「第2空間」である空間S2と、空間S1および空間S2とは異なる位置に配置されている「第3空間」である空間S3と、空間S1と空間S3とを連通させている「第1連通部」である溝214と、空間S2と空間S3とを連通させている「第2連通部」である溝215と、を有する。
このような原子セル2によれば、後に詳述するように、コーティング膜25の形成に用いるコーティング材C1を空間S1に配置することができる。そのため、そのコーティング材C1の残渣Cが生じたとしても、当該残渣Cが空間S1に配置されることとなる。このように、空間S1に、コーティング膜25の構成材料の前駆体または変性物である残渣Cが収納されているため、残渣Cが、空間S3にある気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを低減することができる。そのため、アルカリ金属を励起する光LLを通過させる空間として空間S3を用いれば、当該残渣Cが周波数特性に与える影響を低減することができる。
また、空間S2に、液体状または固体状のアルカリ金属Mが収納されているため、液体状または固体状のアルカリ金属Mが、空間S3にある気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを低減することができる。そのため、アルカリ金属を励起する光LLを通過させる空間として空間S3を用いることにより、液体状または固体状のアルカリ金属Mが周波数特性に与える影響を低減することができる。
さらに、原子セル2を製造する際、貫通孔231を内部空間Sへのコーティング材C1の導入に用いるとともに、貫通孔232をそのコーティング材C1によるコーティング時の排気および内部空間Sへのアルカリ金属Mの導入に用いることにより、空間S3の内壁面に良質なコーティング膜25を容易に形成することができる。
このように、原子セル2は、アルカリ金属を励起する光LLを通過させる空間として空間S3を用いれば、残渣C、液体状または固体状のアルカリ金属Mおよび内部空間Sの内壁面が周波数特性に与える影響を低減することができることから、優れた周波数特性を有する。
また、「第1貫通孔」である貫通孔231の幅が内部空間S側に向かうに従い狭くなる部分を有するため、後に詳述するように、貫通孔231を封止材241により塞ぐ際、封止材241となる材料(例えばガラスボール)を貫通孔231に安定的に載置することができる。その結果、封止材241による貫通孔231の封止の信頼性を優れたものとすることができる。
同様に、「第2貫通孔」である貫通孔232の幅が内部空間S側に向かうに従い狭くなる部分を有するため、貫通孔232を封止材242により塞ぐ際、封止材242となる材料(例えばガラスボール)を貫通孔232に安定的に載置することができる。その結果、封止材242による貫通孔232の封止の信頼性を優れたものとすることができる。また、貫通孔232を封止材242により塞ぐ前に、貫通孔232を通じて気体状のコーティング材を排気する際、貫通孔232の壁面(封止材242との接合面)にコーティング材が付着することを低減することができる。その結果、この点でも、封止材242による貫通孔232の封止の信頼性を優れたものとすることができる。
また、溝214の高さH1が溝215の高さH2よりも大きく、また、溝214の幅W1が溝215の幅W2よりも大きいことから、「第1連通部」である溝214のコンダクタンス(気体の流れやすさ表す量[m/s])が「第2連通部」である溝215のコンダクタンスよりも大きい。これにより、後に詳述するように、原子セル2を製造する際に、貫通孔231を封止材241により塞いだ状態で、空間S1に配置したコーティング材C1を加熱して、コーティング材C1の余剰分を貫通孔232から排気しつつコーティングを行うとき、気体状となったコーティング材の空間S3でのコーティングに必要な滞留時間を容易に確保することができる。また、空間S2に液体状または固体状のアルカリ金属Mを配置したときに、液体状または固体状のアルカリ金属Mが、空間S3にある気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを効果的に低減することができる。
ここで、前述したような効果を好適に発揮させる観点から、溝214のコンダクタンスをCAとし、溝215のコンダクタンスをCBとしたとき、CA/CBは、1.1以上10以下であることが好ましく、2以上5以下であることがより好ましい。これに対し、CA/CBが小さすぎると、前述したような効果を得ることが難しくなる傾向を示し、一方、CA/CBが大きすぎると、コーティング材の排気に長時間を要したり、得られるコーティング膜25の厚さ、表面粗さ、配向性等が不均一になりやすくなったりする。
また、このような原子セル2を備える原子発振器1(量子干渉装置)によれば、優れた周波数特性を発揮することができる。
以上説明したような原子発振器1が備える原子セル2は、以下のようにして製造することができる。
(原子セルの製造方法)
以下、本発明の原子セルの製造方法について、前述した原子セル2を製造する場合を例に説明する。なお、以下では、胴体部21がシリコンで構成され、窓部22、23がガラスで構成されている場合を例に説明する。
図5は、図2に示す原子セルの製造方法(本発明の原子セルの製造方法)を説明するフローチャートである。
原子セル2の製造方法は、図5に示すように、[1]容器準備工程S10と、[2]コーティング材導入工程S20と、[3]第1封止工程S30と、[4]コーティング工程S40と、[5]アルカリ金属導入工程S50と、[6]第2封止工程S60と、を有する。以下、各工程を順次説明する。
[1]容器準備工程S10
図6は、図5に示す容器準備工程を説明する図である。
まず、図6に示すように、容器20を用意する。この容器20は、前述した原子セル2において封止材241、242による封止、コーティング膜25の形成およびアルカリ金属の封入がなされる前の状態であって、胴体部21および1対の窓部22、23を有する構造体である。
ここで、胴体部21は、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術を用いてシリコン基板を加工することで形成することができる。また、1対の窓部22、23は、それぞれ、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術を用いてガラス基板を加工することで形成することができる。そして、胴体部21と各窓部22、23とを陽極接合することで、容器20を得る。なお、本工程では、複数の容器20が連結するように、胴体部21および1対の窓部22、23をそれぞれウエハーの状態で接合してもよい。この場合、本工程後の任意の工程(好ましくは第2封止工程後の工程)において、複数の容器20が連結した構造体を容器20ごとに個片化すればよい。
[2]コーティング材導入工程S20
図7は、図5に示すコーティング材導入工程を説明する図である。
次に、図7に示すように、貫通孔231を通じてコーティング材C1を空間S1に導入して配置する。
このコーティング材C1は、コーティング膜25の構成材料またはその前駆体で構成され、後述するコーティング工程S40においてコーティング膜25となる。また、コーティング材C1は、固体状態であり、貫通孔231を通過可能な大きさとなっている。なお、コーティング材C1を溶融状態として貫通孔231を通過させることも可能であるが、貫通孔231の壁面へのコーティング材C1の付着を防止する観点から、コーティング材C1を固体状態として貫通孔231を通過させることが好ましい。
コーティング材C1は、特に限定されないが、フッ素系樹脂、シロキサン系化合物および鎖式飽和炭化水素のうちのいずれかの化合物またはその前駆体であることが好ましい。
コーティング材C1に用いるフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。
また、コーティング材C1に用いるシロキサン系化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン、加水分解性基含有シロキサン等のシロキサン等が挙げられる。
また、コーティング材C1に用いる鎖式飽和炭化水素としては、例えば、パラフィン(炭素原子の数が20以上のアルカン)等が挙げられる。
[3]第1封止工程S30
図8は、図5に示す第1封止工程を説明する図である。
次に、図8に示すように、貫通孔231を封止材241により塞ぐ。より具体的には、貫通孔231にガラス材を配置した後、そのガラス材をエネルギービームにより溶融させることで、封止材241を形成する。このとき、必要に応じて、減圧下で封止を行う。また、エネルギービームとしては、例えば、レーザー、イオンビーム等を用いることができる。
[4]コーティング工程S40
図9は、図5に示すコーティング工程を説明する図である。
次に、図9に示すように、内部空間Sの内壁面にコーティング膜25を形成する。より具体的には、空間S1内にあるコーティング材C1を局所的な熱Hにより加熱することにより、コーティング材C1を気化させ、その気化したコーティング材を内部空間S(特に空間S3)の内壁面に付着させ凝固・固化させることにより、コーティング膜25を形成する。このとき、気化したコーティング材のうち、コーティングに供されなかった余剰のコーティング材は、図中の二点鎖線の矢印で示すように、貫通孔232を通じて外部へ排気される。また、コーティング材C1を加熱する方法としては、特に限定されないが、できるだけコーティング材C1のみを加熱することができる方法が好ましく、具体的には、例えば、レーザー、イオンビーム等のエネルギービームをコーティング材C1に照射する方法を用いることが好ましい。これにより、内部空間Sの内壁面の温度上昇を低減し、内部空間Sの内壁面の所望領域に所望厚さのコーティング膜25を容易に形成することができる。
また、コーティング材C1のうち、加熱により気化しなかったコーティング材またはその変性物がコーティング工程S40の後に空間S1内に残渣Cとして残ることとなる。
[5]アルカリ金属導入工程S50
図10は、図5に示すアルカリ金属導入工程を説明する図である。
次に、図10に示すように、空間S2にアルカリ金属Mを配置する。より具体的には、貫通孔232を通じて空間S2にアルカリ金属を導入することで、空間S2にアルカリ金属Mを配置する。このとき、貫通孔232を通過させるアルカリ金属は、液体状または固体状であることが好ましい。これにより、空間S2にアルカリ金属Mを容易に配置することができる。なお、貫通孔232を通過させるアルカリ金属が気体状であってもよい。この場合、後述する第2封止工程S60後に、空間S2にアルカリ金属が液体または固体として析出(凝結)するように、原子セル2に温度分布を生じさせればよい。
[6]第2封止工程S60
図11は、図5に示す第2封止工程を説明する図である。
次に、図11に示すように、前述した第1封止工程S30と同様、貫通孔232を封止材242により塞ぐ。
以上説明したような原子セル2の製造方法は、容器準備工程S10と、コーティング材導入工程S20と、第1封止工程S30と、コーティング工程S40と、アルカリ金属導入工程S50と、第2封止工程S60と、を有する。そして、容器準備工程S10において、内部空間Sと、内部空間Sと外部との間を貫通している貫通孔231、232(第1、第2貫通孔)と、を有する容器20を準備する。コーティング材導入工程S20において、貫通孔231を通じて内部空間S(より具体的には空間S1)にコーティング材C1を導入する。第1封止工程S30において、貫通孔231を封止材241(第1封止材)により塞ぐ。コーティング工程S40において、コーティング材C1を加熱して内部空間Sの内壁面にコーティング膜25を形成する。アルカリ金属導入工程S50において、貫通孔232を通じて内部空間Sにアルカリ金属Mを導入する。第2封止工程S60において、貫通孔232を封止材242(第2封止材)により塞ぐ。
このような原子セル2の製造方法によれば、第1封止工程S30後にコーティング工程S40を行うため、コーティング工程S40において、加熱により気体状となったコーティング材を内部空間Sへの導入に用いた直近の貫通孔231から逃さずに遠位の貫通孔232から排気することができる。そのため、コーティング工程S40において、気体状となったコーティング材を内部空間Sに適度に滞留させて内部空間Sの内壁面のコーティングに供するとともに、コーティングに供されなかった余剰分のコーティング材を貫通孔232から排気することができる。また、コーティング工程S40において、貫通孔231が封止材241により封止されているため、封止材241の表面もコーティングすることができる。
また、コーティング工程S40後に、アルカリ金属導入工程S50および第2封止工程S60を順次行うため、コーティング工程S40においてアルカリ金属Mがコーティングを阻害することがなく、コーティング前にアルカリ金属Mを内部空間Sに導入する場合に比べて、良質なコーティング膜25を形成することができる。また、第2封止工程S60を局所的な加熱により行うことが可能であるため、コーティング工程S40で形成したコーティング膜25が溶けて特性劣化することを低減することができる。
このように、内部空間Sの内壁面に良質なコーティング膜25を容易に形成することができることから、優れた周波数特性を有する原子セル2を容易に製造することができる。
特に、容器準備工程S10において、内部空間Sは、貫通孔231(第1貫通孔)に接続されている空間S1(第1空間)と、貫通孔232(第2貫通孔)に接続されている空間S2(第2空間)と、空間S1、S2とは異なる位置に配置されている空間S3(第3空間)と、空間S1と空間S3とを連通させている溝214(第1連通部)と、空間S2と空間S3とを連通させている溝215(第2連通部)と、を有する。そして、コーティング材導入工程S20において、コーティング材C1を空間S1に配置する。
このように、コーティング材導入工程S20において、コーティング材C1を空間S1に配置することができる。そして、コーティング工程S40において、加熱により気体状となったコーティング材をコーティングに供しながら空間S1から溝214、空間S3、溝215、空間S2へこの順で順次流通させて貫通孔232から排気し、空間S3の内壁面に良質なコーティング膜25を形成することができる。また、コーティング工程S40後にコーティング材C1の残渣Cが生じたとしても、当該残渣Cが空間S1に配置されることとなるため、アルカリ金属を励起する光LLを通過させる空間として空間S3を用いれば、当該残渣Cが周波数特性に与える影響を低減することができる。
また、アルカリ金属導入工程S50において、液体状または固体状のアルカリ金属Mを空間S2に配置することができる。そして、第2封止工程S60後においても、液体状または固体状のアルカリ金属Mが空間S2に配置されることとなるため、アルカリ金属を励起する光LLを通過させる空間として空間S3を用いれば、液体状または固体状のアルカリ金属Mが周波数特性に与える影響を低減することができる。
また、コーティング工程S40において、溝214(第1連通部)のコンダクタンスが溝215(第2連通部)のコンダクタンスよりも大きいため、コーティング工程S40において、気体状となったコーティング材の空間S3でのコーティングに必要な滞留時間を容易に確保することができる。また、空間S2に配置した液体状または固体状のアルカリ金属Mが、空間S3にある気体状のアルカリ金属の挙動に影響を与えることを効果的に低減することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る原子セルの縦断面図である。
本実施形態は、第1貫通孔および第1封止材の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図12に示す原子セル2A(ガスセル)は、胴体部21Aと、胴体部21Aを挟んで設けられた1対の窓部22A、23Aと、を有している。
胴体部21Aには、胴体部21Aの厚さ方向(上下方向)に貫通している貫通孔211、212、213と、胴体部21Aの下面に開口していて貫通孔211と貫通孔212とを連通させている溝214A(第1連通部)と、胴体部21Aの上面に開口していて貫通孔211と貫通孔213とを連通させている溝215(第2連通部)と、が形成されている。
また、窓部22Aには、空間S1と外部との間を貫通する貫通孔221(第1貫通孔)が形成され、この貫通孔221は、封止材243(第1封止材)により封止されている。同様に、窓部23Aには、空間S2と外部との間を貫通している貫通孔232(第2貫通孔)が形成され、この貫通孔232は、封止材242(第2封止材)により封止されている。
このように、原子セル2Aでは、第1連通部である溝214Aおよび第2連通部である溝215が胴体部21Aの厚さ方向で互いに反対側に位置している。そのため、原子セル2Aを製造する際、コーティング工程において、気体状となったコーティング材の空間S3(第3空間)でのコーティングに必要な滞留時間を容易に確保するとともに、コーティングに適した気体状のコーティング材の対流(例えば、空間S3の内壁面に沿った流れ)を生じさせることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図13は、本発明の第3実施形態に係る原子セルの横断面図である。
本実施形態は、第1貫通孔および第1封止材の配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図13に示す原子セル2B(ガスセル)は、胴体部21Bと、胴体部21Bを挟んで設けられた1対の窓部22、23Bと、を有している。
胴体部21Bでは、胴体部21Bを厚さ方向から見たとき、胴体部21Bの互いに対角となる2つの角部に対応する位置に貫通孔212、213が位置している。
これに対応して、窓部23Bには、空間S1と外部との間を貫通する貫通孔231(第1貫通孔)、および、空間S2と外部との間を貫通している貫通孔232(第2貫通孔)が形成されている。
このように、原子セル2Bでは、第1空間である空間S1と第2空間である空間S2との間に第3空間である空間S3が位置している。そのため、原子セル2Bを製造する際、コーティング工程において、気体状となったコーティング材の空間S3(第3空間)でのコーティングに必要な滞留時間を容易に確保するとともに、コーティングに適した気体状のコーティング材の対流(例えば、空間S3での均一な流れ)を生じさせることができる。
2.電子機器
以上説明したような原子発振器1や原子セル2、2A、2Bは、各種電子機器に組み込むことができる。
以下、本発明の電子機器について説明する。なお、以下では、原子セル2を備える電子機器を代表して説明する。
図14は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図14に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子機器である。このような受信装置302は、優れた周波数特性を有する原子セル2を備えるため、優れた信頼性を発揮することができる。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
3.移動体
また、前述したような原子発振器1や原子セル2、2A、2Bは、各種移動体に組み込むことができる。
以下、本発明の移動体の一例について説明する。なお、以下では、原子セル2を備える電子機器を代表して説明する。
図15は、本発明の移動体の一例を示す図である。
この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
以上のような移動体1500は、優れた周波数特性を有する原子セル2を備えるため、優れた信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、時計、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局、GPSモジュール等に適用することができる。
以上、本発明の原子セル、原子セルの製造方法、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果を利用してセシウム等を共鳴遷移させる量子干渉装置に本発明の原子セルを用いた場合を例として説明したが、本発明の原子セルは、これに限定されず、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用してルビジウム等を共鳴遷移させる二重共鳴装置にも用いることができる。
1…原子発振器、2…原子セル、2A…原子セル、2B…原子セル、3…光源、4…光学系、5…光検出部、6…ヒーター、7…温度センサー、8…コイル、9…制御部、10…パッケージ部、20…容器、21…胴体部、21A…胴体部、21B…胴体部、22…窓部、22A…窓部、23…窓部、23A…窓部、23B…窓部、25…コーティング膜、41…遮光部材、42…光学部品、43…光学部品、91…光源制御部、92…温度制御部、93…磁場制御部、100…測位システム、200…GPS衛星、211…貫通孔、212…貫通孔、213…貫通孔、214…溝(第1連通部)、214A…溝(第1連通部)、215…溝(第2連通部)、221…貫通孔(第1貫通孔)、231…貫通孔(第1貫通孔)、232…貫通孔(第2貫通孔)、241…封止材(第1封止材)、242…封止材(第2封止材)、243…封止材(第1封止材)、300…基地局装置、301…アンテナ、302…受信装置、303…アンテナ、304…送信装置、400…GPS受信装置、401…アンテナ、402…衛星受信部、403…アンテナ、404…基地局受信部、1500…移動体、1501…車体、1502…車輪、C…残渣、C1…コーティング材、H…熱、H1…高さ、H2…高さ、LL…光、M…アルカリ金属、S…内部空間、S1…空間(第1空間)、S10…容器準備工程、S2…空間(第2空間)、S20…コーティング材導入工程、S3…空間(第3空間)、S30…第1封止工程、S40…コーティング工程、S50…アルカリ金属導入工程、S60…第2封止工程、a…光軸、W1…幅、W2…幅

Claims (15)

  1. アルカリ金属と、
    前記アルカリ金属を収納している内部空間と、
    前記内部空間の内壁面に配置されているコーティング膜と、
    前記内部空間と外部との間を貫通している第1貫通孔と、
    前記第1貫通孔とは異なる位置に設けられ、前記内部空間と外部との間を貫通している第2貫通孔と、
    前記第1貫通孔を塞いでいる第1封止材と、
    前記第2貫通孔を塞いでいる第2封止材と、を備え、
    前記内部空間は、
    前記第1貫通孔に接続されている第1空間と、
    前記第2貫通孔に接続されている第2空間と、
    前記第1空間および前記第2空間とは異なる位置に配置されている第3空間と、
    前記第1空間と前記第3空間とを連通させている第1連通部と、
    前記第2空間と前記第3空間とを連通させている第2連通部と、を有することを特徴とする原子セル。
  2. 前記第1貫通孔の幅が前記内部空間側に向かうに従い狭くなる部分を有する請求項1に記載の原子セル。
  3. 前記第2貫通孔の幅が前記内部空間側に向かうに従い狭くなる部分を有する請求項1または2に記載の原子セル。
  4. 前記第1連通部のコンダクタンスが前記第2連通部のコンダクタンスよりも大きい請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原子セル。
  5. 前記第2空間には、液体状または固体状の前記アルカリ金属が配置されている請求項4に記載の原子セル。
  6. 前記第1空間には、前記コーティング膜の構成材料の前駆体または変性物が配置されている請求項4または5に記載の原子セル。
  7. 前記第1封止材および前記第2封止材は、それぞれ、ガラス材料で構成されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の原子セル。
  8. 前記コーティング膜は、前記第1封止材の表面に配置されている部分を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の原子セル。
  9. 内部空間と、前記内部空間と外部との間を貫通している第1貫通孔および第2貫通孔と、を有する容器を準備する容器準備工程と、
    前記第1貫通孔を通じて前記内部空間にコーティング材を導入するコーティング材導入工程と、
    前記第1貫通孔を第1封止材により塞ぐ第1封止工程と、
    前記コーティング材を加熱して前記内部空間の内壁面にコーティング膜を形成するコーティング工程と、
    前記第2貫通孔を通じて前記内部空間にアルカリ金属を導入するアルカリ金属導入工程と、
    前記第2貫通孔を第2封止材により塞ぐ第2封止工程と、を有することを特徴とする原子セルの製造方法。
  10. 前記容器準備工程において、前記内部空間は、
    前記第1貫通孔に接続されている第1空間と、
    前記第2貫通孔に接続されている第2空間と、
    前記第1空間および前記第2空間とは異なる位置に配置されている第3空間と、
    前記第1空間と前記第3空間とを連通させている第1連通部と、
    前記第2空間と前記第3空間とを連通させている第2連通部と、を有し、
    前記コーティング材導入工程において、前記コーティング材を前記第1空間に配置する請求項9に記載の原子セルの製造方法。
  11. 前記コーティング工程において、前記第1連通部のコンダクタンスが前記第2連通部のコンダクタンスよりも大きい請求項10に記載の原子セルの製造方法。
  12. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の原子セルを備えることを特徴とする量子干渉装置。
  13. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の原子セルを備えることを特徴とする原子発振器。
  14. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の原子セルを備えることを特徴とする電子機器。
  15. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の原子セルを備えることを特徴とする移動体。
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