JP2018121269A - 電子デバイス、原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲッター材を効率的に加熱することができる電子デバイスを提供すること、また、かかる電子デバイスを備える原子発振器、電子機器および移動体を提供すること。【解決手段】機能部品と、前記機能部品を収納しているパッケージと、前記パッケージの内部に配置されている内部端子と、前記パッケージの外部に配置され、前記内部端子に電気的に接続されている外部端子と、を有する1対の導体部と、前記パッケージの内部に配置され、1対の前記内部端子に電気的に接続されている発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に支持されているゲッター材と、を備え、前記発熱抵抗体は、単位長さ当たりの電気抵抗が互いに異なる複数の部分を有することを特徴とする電子デバイス。【選択図】図2
Description
本発明は、電子デバイス、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
気密封止したパッケージ内に機能部品を収納した電子デバイスにおいて、パッケージ内にゲッター材を配置し、パッケージ内の圧力を安定化することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に記載の電子デバイスである赤外線検出器は、内部に真空室を形成しているケーシング(パッケージ)と、真空室内に収納されている赤外線検知素子(機能部品)およびゲッター(ゲッター材)と、ゲッターに内蔵されているコイルヒーターと、を有する。ここで、コイルヒーターの両端には、リードが延びており、このリードがケーシングの内部端子に接続されている。そして、ジルコニウム、バナジウムおよび鉄を焼結して成形されたゲッターは、コイルヒーターで加熱されることで活性化される。
しかし、特許文献1に記載の赤外線検出器は、リードおよび内部端子からの放熱に起因して、ゲッターを効率的に加熱することができないという問題があった。
本発明の目的は、ゲッター材を効率的に加熱することができる電子デバイスを提供すること、また、かかる電子デバイスを備える原子発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電子デバイスは、機能部品と、
前記機能部品を収納しているパッケージと、
前記パッケージの内部に配置されている内部端子と、前記パッケージの外部に配置され、前記内部端子に電気的に接続されている外部端子と、を有する1対の導体部と、
前記パッケージの内部に配置され、1対の前記内部端子に電気的に接続されている発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体に支持されているゲッター材と、を備え、
前記発熱抵抗体は、単位長さ当たりの電気抵抗が互いに異なる複数の部分を有することを特徴とする。
本発明の電子デバイスは、機能部品と、
前記機能部品を収納しているパッケージと、
前記パッケージの内部に配置されている内部端子と、前記パッケージの外部に配置され、前記内部端子に電気的に接続されている外部端子と、を有する1対の導体部と、
前記パッケージの内部に配置され、1対の前記内部端子に電気的に接続されている発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体に支持されているゲッター材と、を備え、
前記発熱抵抗体は、単位長さ当たりの電気抵抗が互いに異なる複数の部分を有することを特徴とする。
このような電子デバイスによれば、発熱抵抗体が有する複数の部分の単位長さ当たりの電気抵抗を互いに異ならせることにより、発熱抵抗体の発熱分布を調整することができる。そのため、発熱抵抗体から1対の導体部への熱の逃げを考慮して、発熱抵抗体の温度分布を最適化することができる。これにより、発熱抵抗体からの熱をゲッター材に無駄なく伝えて、ゲッター材を効率的に加熱することができる。したがって、ゲッター材を加熱により活性化する際に、過大な電流を1対の導体部に流す必要がなく、当該過大な電流によるパッケージの損傷を低減することができる。なお、「単位長さ当たりの電気抵抗」とは、電流が流れる方向を長さ方向としたときの単位長さ当たりの電気抵抗を言う。
本発明の電子デバイスでは、前記複数の部分は、
前記ゲッター材を支持している第1部分と、
前記第1部分と1対の前記内部端子との間に設けられ、単位長さ当たりの電気抵抗が前記第1部分とは異なる1対の第2部分と、を有することが好ましい。
前記ゲッター材を支持している第1部分と、
前記第1部分と1対の前記内部端子との間に設けられ、単位長さ当たりの電気抵抗が前記第1部分とは異なる1対の第2部分と、を有することが好ましい。
これにより、第1部分を均一な温度分布とし、ゲッター材全体を無駄なく加熱することができる。
本発明の電子デバイスでは、前記第2部分の単位長さ当たりの電気抵抗が前記第1部分の単位長さ当たりの電気抵抗よりも大きいことが好ましい。
これにより、第1部分からの熱が第2部分を通じて導体部へ逃げるのを低減することができる。そのため、第1部分が外乱の影響を受けにくく、環境温度によらず、ゲッター材を安定して加熱することができる。
本発明の電子デバイスでは、前記第1部分の単位長さ当たりの電気抵抗が前記第2部分の単位長さ当たりの電気抵抗よりも大きいことが好ましい。
これにより、第1部分が導体部に直接接続されている場合に比べて、第1部分の熱が第2部分を通じて導体部へ逃げることを低減することができる。
本発明の電子デバイスでは、前記第1部分および前記第2部分の構成材料の電気抵抗率が互いに異なることが好ましい。
これにより、第1部分および第2部分の形状の自由度を高めつつ、第1部分および第2部分の単位長さ当たりの電気抵抗を異ならせることができる。
本発明の電子デバイスでは、前記第1部分および前記第2部分の横断面積が互いに異なることが好ましい。
これにより、発熱抵抗体の構成材料が単一であっても、第1部分および第2部分の単位長さ当たりの電気抵抗を異ならせることができる。
本発明の電子デバイスでは、前記第1部分および前記第2部分の厚さが互いに異なることが好ましい。
これにより、発熱抵抗体の構成材料が単一であっても、第1部分および第2部分の単位長さ当たりの電気抵抗を異ならせるとともに、第1部分および第2部分の幅を互いに等しくすることができる。ここで、第1部分および第2部分の幅を互いに等しくすることで、第1部分と第2部分との境界部における幅方向での温度分布を均一化することができる。
本発明の電子デバイスでは、前記第2部分が屈曲していることが好ましい。
これにより、例えば、既存の発熱抵抗体を折り曲げるという簡単な方法で、第1部分および第2部分を有する発熱抵抗体を製造することができる。すなわち、既存の発熱抵抗体を折り曲げるという簡単な方法で、その発熱抵抗体よりも発熱効率の高い発熱抵抗体を実現することができる。
これにより、例えば、既存の発熱抵抗体を折り曲げるという簡単な方法で、第1部分および第2部分を有する発熱抵抗体を製造することができる。すなわち、既存の発熱抵抗体を折り曲げるという簡単な方法で、その発熱抵抗体よりも発熱効率の高い発熱抵抗体を実現することができる。
本発明の電子デバイスでは、前記発熱抵抗体は、前記パッケージに対して離間していることが好ましい。
これにより、発熱抵抗体からの熱がパッケージに直接的に逃げることを大幅に低減することができる。
本発明の電子デバイスでは、前記パッケージは、
前記機能部品を支持しているベース部と、
前記機能部品を収納している内部空間を前記ベース部とともに構成している蓋部と、を有し、
前記導体部は、前記ベース部を貫通している導体ポストを有し、
前記導体ポストの一端部に前記内部端子が接続され、前記導体ポストの他端部に前記外部端子が接続されていることが好ましい。
前記機能部品を支持しているベース部と、
前記機能部品を収納している内部空間を前記ベース部とともに構成している蓋部と、を有し、
前記導体部は、前記ベース部を貫通している導体ポストを有し、
前記導体ポストの一端部に前記内部端子が接続され、前記導体ポストの他端部に前記外部端子が接続されていることが好ましい。
これにより、導体部の電気抵抗を小さくし、導体部を通じて発熱抵抗体に効率的に通電を行うことができる。
本発明の電子デバイスでは、前記ベース部は、前記内部空間の内外を貫通している孔を有し、
前記孔が封止材により塞がれていることが好ましい。
前記孔が封止材により塞がれていることが好ましい。
これにより、パッケージ内の真空度を容易に高くすることができる。そのため、ゲッター材の活性化前のパッケージ内の不要ガスを低減することができる。その結果、ゲッター材の体積を小さくすることができる。
本発明の電子デバイスでは、前記導体部は、銅を含んで構成されていることが好ましい。
これにより、導体部の電気抵抗を小さくし、導体部を通じて発熱抵抗体に効率的に通電を行うことができる。
本発明の原子発振器は、本発明の電子デバイスを備えることを特徴とする。
このような原子発振器によれば、電子デバイスが有するパッケージ内の圧力を安定化することができ、その結果、原子発振器の信頼性を高めることができる。特に、原子発振器の構成要素のうち温度変動により周波数特性に影響を与える構成要素を当該パッケージ内に収納することで、原子発振器の周波数特性(例えば周波数温度特性)を向上させることができる。
このような原子発振器によれば、電子デバイスが有するパッケージ内の圧力を安定化することができ、その結果、原子発振器の信頼性を高めることができる。特に、原子発振器の構成要素のうち温度変動により周波数特性に影響を与える構成要素を当該パッケージ内に収納することで、原子発振器の周波数特性(例えば周波数温度特性)を向上させることができる。
本発明の原子発振器では、前記機能部品は、
アルカリ金属を収納している原子セルと、
前記アルカリ金属の原子に共鳴する光を出射する光源部と、
前記原子セルを通過した光を受光し、その受光量に応じた信号を出力する受光部と、を有することが好ましい。
アルカリ金属を収納している原子セルと、
前記アルカリ金属の原子に共鳴する光を出射する光源部と、
前記原子セルを通過した光を受光し、その受光量に応じた信号を出力する受光部と、を有することが好ましい。
これにより、原子セルおよび光源部の温度制御を高精度に行って、原子発振器の周波数特性を高めることができる。また、原子セルと光源部とを別々のパッケージに収納する場合に比べて、原子発振器の小型化を図ることもできる。
本発明の電子機器は、本発明の電子デバイスを備えることを特徴とする。
このような電子機器によれば、電子デバイスが有するパッケージ内の圧力を安定化することができ、その結果、電子機器の信頼性を高めることができる。
このような電子機器によれば、電子デバイスが有するパッケージ内の圧力を安定化することができ、その結果、電子機器の信頼性を高めることができる。
本発明の移動体は、本発明の電子デバイスを備えることを特徴とする。
このような移動体によれば、電子デバイスが有するパッケージ内の圧力を安定化することができ、その結果、移動体の信頼性を高めることができる。
このような移動体によれば、電子デバイスが有するパッケージ内の圧力を安定化することができ、その結果、移動体の信頼性を高めることができる。
以下、本発明の電子デバイス、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器
まず、本発明の原子発振器、すなわち、本発明の電子デバイスを備える原子発振器について説明する。
まず、本発明の原子発振器、すなわち、本発明の電子デバイスを備える原子発振器について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す概略図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す概略図である。
図1に示す原子発振器1は、アルカリ金属原子に対して特定の異なる波長の2つの共鳴光を同時に照射したときに当該2つの共鳴光がアルカリ金属に吸収されずに透過する現象が生じる量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した原子発振器である。なお、この量子干渉効果による現象は、電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象とも言う。
この原子発振器1は、図1に示すように、電子デバイスであるパッケージ部10と、パッケージ部10を制御する制御部11と、を有する。ここで、パッケージ部10は、原子セル21と、光源22と、光学部品231、232(光学系23)と、光検出部24と、ヒーター25と、温度センサー26と、コイル27と、を有する。また、制御部11は、光源制御部111と、温度制御部112と、磁場制御部113と、を有する。まず、以下、原子発振器1の概略を説明する。
この原子発振器1では、光源22が光LLを光軸aに沿って光学部品231、232を介して原子セル21に照射し、原子セル21を透過した光LLを光検出部24が検出する。
原子セル21は光透過性を有し、原子セル21内には、アルカリ金属(金属原子)が封入されている。アルカリ金属は、互いに異なる2つの基底準位と励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。また、原子セル21内のアルカリ金属は、ヒーター25により加熱され、ガス状態となっている。また、原子セル21内のアルカリ金属は、コイル27から所望の方向の磁場が印加され、ゼーマン分裂している。
光源22から出射された光LLは、周波数の異なる2種の光を含んでいる。これら2種の光は、周波数差が原子セル21内のアルカリ金属の2つの基底準位間のエネルギー差に相当する周波数に一致する共鳴光対となったとき、EIT現象を生じさせる。
光源制御部111は、光検出部24の検出結果に基づいて、EIT現象を生じさせるように、前述した光源22から出射される光LLに含まれる2種の光の周波数を制御する。また、光源制御部111は、光検出部24の検出結果に応じて、発振周波数が制御される電圧制御型水晶発振器(図示せず)を備えている。そして、この電圧制御型水晶発振器(VCXO)の出力信号は、原子発振器1のクロック信号として出力される。
また、温度制御部112は、温度センサー26の検出結果に基づいて、光源22が設定温度となるようにヒーター25の駆動を制御する。これに伴って、原子セル21内も所望温度に制御される。また、磁場制御部113は、コイル27が発生する磁場が一定となるように、コイル27への通電を制御する。
このような制御部11は、例えば、図示しないが、パッケージ部10が実装される基板上に実装されたICチップに設けられている。なお、制御部11がパッケージ部10に設けられていてもよい。
以上、原子発振器1の概略を説明した。以下、電子デバイスであるパッケージ部10について詳述する。
(電子デバイス)
図2は、図1に示す原子発振器が備える電子デバイス(パッケージ部)の概略構成を示す断面図である。図3は、図2に示す電子デバイスのパッケージ内を側方から見た図である。なお、以下では、説明の便宜上、図2および図3中の上側を「上」、下側を「下」という。
図2は、図1に示す原子発振器が備える電子デバイス(パッケージ部)の概略構成を示す断面図である。図3は、図2に示す電子デバイスのパッケージ内を側方から見た図である。なお、以下では、説明の便宜上、図2および図3中の上側を「上」、下側を「下」という。
図2および図3に示すように、原子発振器1が備えるパッケージ部10(電子デバイス)は、原子セルモジュール20と、原子セルモジュール20を収納しているパッケージ3と、パッケージ3内の不要ガスを吸着するガス吸着構造体6と、を備えている。ここで、原子セルモジュール20は、原子セルユニット2(機能部品)と、原子セルユニット2をパッケージ3に対して支持する支持部材5と、を備えている。なお、パッケージ3の外側には、必要に応じて、磁気シールドが設けられていてもよい。また、図2および図3では、説明の便宜上、コイル27の図示を省略している。以下、パッケージ部10の各部を順次説明する。
〈原子セルユニット〉
原子セルユニット2は、原子セル21と、光源22と、光学系23と、光検出部24と、ヒーター25と、温度センサー26と、基板28と、接続部材29と、を含み、これらがユニット化されている。具体的には、基板28の上面(一方の面)上に、光源22、ヒーター25、温度センサー26および接続部材29が搭載されており、原子セル21、光学系23および光検出部24が接続部材29に保持されている。
原子セルユニット2は、原子セル21と、光源22と、光学系23と、光検出部24と、ヒーター25と、温度センサー26と、基板28と、接続部材29と、を含み、これらがユニット化されている。具体的には、基板28の上面(一方の面)上に、光源22、ヒーター25、温度センサー26および接続部材29が搭載されており、原子セル21、光学系23および光検出部24が接続部材29に保持されている。
図2および図3に示すように、原子セル21は、柱状の貫通孔214を有する胴体部211と、その貫通孔214の両側の開口を封鎖する1対の光透過部212、213と、を有する。これにより、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入される内部空間Sが形成されている。なお、内部空間Sには、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。なお、貫通孔214の横断面(光軸aに対して垂直な方向での断面)、すなわち、内部空間Sの横断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形等の多角形等が挙げられる。
原子セル21の各光透過部212、213は、光源22からの光LLに対する透過性を有している。一方の光透過部212は、原子セル21内へ入射する光LLが透過する「入射側光透過部」であり、他方の光透過部213は、原子セル21内から出射した光LLが透過する「出射側光透過部」である。
光透過部212、213を構成する材料としては、それぞれ、前述したような光LLに対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。また、胴体部211を構成する材料は、特に限定されず、シリコン材料、セラミックス材料、金属材料、樹脂材料等であってもよく、光透過部212、213と同様にガラス材料、水晶等であってもよい。
そして、各光透過部212、213は、胴体部211に対して気密的に接合されている。これにより、原子セル21の内部空間Sを気密空間とすることができる。原子セル21の胴体部211と光透過部212、213との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
以上説明したような原子セル21の周囲には、図2および図3において図示しないが、図1に示すコイル27が設けられている。より具体的には、コイル27は、例えば、ソレノイド型を構成するように原子セル21の外周に沿って巻回して設けられたコイルで構成されているか、または、ヘルムホルツ型を構成するように原子セル21を介して対向して設けられた1対のコイルで構成されている。このコイル27は、原子セル21内のアルカリ金属に磁場を印加する機能を有する。これにより、ゼーマン分裂により、原子セル21内のアルカリ金属原子の縮退している異なる複数のエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
なお、コイル27が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。また、コイル27は、パッケージ3内に設けられていてもよいし、パッケージの外部に設けられていてもよい。
光源22は、原子セル21中のアルカリ金属原子を励起する光LLを出射する機能を有する。この光源22としては、前述したような共鳴光対を含む光LLを出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等の発光素子を用いることが好ましい。
光学系23は、前述した光源22と原子セル21との間における光LLの光路上に設けられている光学部品231、232を有する。本実施形態では、光源22側から原子セル21側へ、光学部品231、光学部品232がこの順に配置されている。
光学部品231は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、原子セル21に入射する光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光源22の出力が大きい場合でも、原子セル21に入射する光LLを所望の光量とすることができる。
光学部品232は、1/4波長板である。これにより、光源22からの光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。円偏光をした光LLを用いることにより、所望のEIT現象を発現する原子数を増大させ、所望のEIT信号の強度を大きくすることができる。その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
また、本実施形態では、光源22と原子セル21との間には、波長板および減光フィルターの他に、レンズ、偏光板等の他の光学部品が配置されていてもよい。また、光源22からの励起光の強度によっては、光学部品231を省略することができる。また、光学部品231、232の並び順は、前述した順に限定されず、任意である。
光検出部24は、原子セル21内を透過した光LLの強度を検出する機能を有する。この光検出部24としては、上述したような光LLを検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
ヒーター25は、通電により発熱する発熱抵抗体(加熱部)を有する。このヒーター25は、基板28上に設けられている。そして、ヒーター25からの熱は、基板28および接続部材29を介して、原子セル21に伝達される。これにより、原子セル21(より具体的には原子セル21中のアルカリ金属)が加熱され、原子セル21中のアルカリ金属を所望の濃度のガス状に維持することができる。また、ヒーター25からの熱は、基板28を介して光源22にも伝達される。これにより、光源22の温度制御を高精度に行うことができる。
また、ヒーター25は、原子セル21に対して離間している。これにより、ヒーター25への通電により生じた不要磁場が原子セル21内の金属原子に悪影響を与えるのを抑制することができる。
なお、ヒーター25の設置位置は、原子セル21および光源22を加熱することができれば、前述した位置に限定されず、任意である。また、ヒーター25は、設置位置の異なる複数の発熱抵抗体で構成されていてもよい。
温度センサー26は、光源22、ヒーター25または原子セル21の温度を検出するものである。この温度センサー26としては、特に限定されず、サーミスタ等の公知の各種温度センサーを用いることができる。そして、この温度センサー26の検出結果に基づいて、前述したヒーター25の発熱量が制御される。これにより、原子セル21内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
この温度センサー26は、基板28上に設けられている。したがって、温度センサー26は、基板28を介して光源22またはヒーター25の温度を検出することとなる。あるいは、温度センサー26は、基板28および接続部材29を介して原子セル21の温度を検出することとなる。なお、温度センサー26の設置位置は、これに限定されず、例えば、接続部材29上であってもよいし、ヒーター25上であってもよいし、原子セル21の外表面上であってもよい。
図2に示すように、接続部材29は、原子セル21を挟んで設けられた1対の接続部材291、292で構成されている。接続部材291、292は、それぞれ、光LLの通過領域を避けるように形成されている。また、接続部材291、292は、光透過部212、213のそれぞれに対して、接触しているか、または、熱伝導性に優れた接着剤を介して接合されている。なお、接続部材291、292の形状は、少なくとも原子セル21、光源22および光検出部24の相対的な位置関係を固定し得るものであれば、図示のものに限定されない。また、接続部材291、292が一体化してもよいし、接続部材291、292がそれぞれ複数の部材で構成されていてもよい。
このように、接続部材29は、それぞれ、ヒーター25と各光透過部212、213とを熱的に接続している。これにより、ヒーター25からの熱を接続部材291、292による熱伝導により各光透過部212、213に伝達し、各光透過部212、213を加熱することができる。また、ヒーター25と原子セル21とを離間することができる。そのため、ヒーター25への通電により生じた不要磁場が原子セル21内のアルカリ金属原子に悪影響を与えるのを抑制することができる。また、ヒーター25の数を少なくすることができるため、例えば、ヒーター25への通電のための配線の数を少なくし、その結果、原子発振器1の小型化を図ることができる。なお、ここで、「熱的に接続」とは、2つの部材がこれらの間において5%以下の損失で固体熱伝導可能な状態を言い、当該2つの部材が接触している場合だけでなく、当該2つの間に他の部材が介在している場合も含む。
このような接続部材29の構成材料としては、熱伝導性に優れた材料、例えば、金属材料を用いることが好ましい。また、コイル27からの磁場を阻害しないよう、接続部材29の構成材料としては、非磁性の材料を用いることが好ましい。
図2および図3に示すように、基板28は、前述した光源22、ヒーター25、温度センサー26および接続部材29等を支持する機能を有する。また、基板28は、ヒーター25と接続部材29とを熱的に接続しており、ヒーター25からの熱を接続部材29へ伝達する機能を有する。これにより、ヒーター25が接続部材29に対して離間していても、ヒーター25からの熱を接続部材29へ伝達することができる。また、光源22が基板28に搭載されていることにより、基板28を介してヒーター25からの熱を光源22に伝達することができ、光源22の温度制御を高精度に行うことができる。
また、基板28は、光源22、ヒーター25、温度センサー26に電気的に接続される配線(図示せず)を有している。この配線は、基体31の上面に設けられた複数の内部端子(図示せず)に電気的に接続されている。
このような基板28の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、セラミックス材料、金属材料等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、基板28を金属材料で構成した場合、基板28の表面には、基板28が有する配線の短絡防止等の目的で、必要に応じて、例えば、樹脂材料、金属酸化物、金属窒化物等で構成された絶縁層が設けられていてもよい。
また、後述するパッケージ3と同様、コイル27からの磁場を阻害しないよう、基板28の構成材料としては、非磁性の材料を用いることが好ましい。
なお、基板28は、接続部材29の形状、ヒーター25の設置位置等によっては、省略することができる。この場合、ヒーター25を接続部材29に接触させる位置に設置すればよい。
〈パッケージ〉
図2および図3に示すように、パッケージ3は、原子セルモジュール20(すなわち原子セルユニット2および支持部材5を含む構造体)を収納する機能を有する。なお、パッケージ3内には、前述した部品以外の部品が収納されていてもよい。
図2および図3に示すように、パッケージ3は、原子セルモジュール20(すなわち原子セルユニット2および支持部材5を含む構造体)を収納する機能を有する。なお、パッケージ3内には、前述した部品以外の部品が収納されていてもよい。
このパッケージ3は、板状の基体31(ベース部)と、有底筒状の蓋体32(蓋部)と、を備え、蓋体32の開口が基体31により封鎖されている。これにより、原子セルモジュール20を収納する内部空間S1が形成されている。ここで、蓋体32は、原子セルモジュール20に対して離間している。これにより、原子セルユニット2とパッケージ3との間の熱干渉を低減することができる。
基体31は、支持部材5を介して原子セルユニット2を支持している。また、基体31は、リジット配線基板を構成しており、基体31の下面には、複数の端子34が設けられている。この複数の端子34は、図示しない配線を介して、基体31の上面に設けられた複数の内部端子(図示せず)に電気的に接続されている。そして、その複数の内部端子には、図示しない配線(例えば、フレキシブル配線基板やボンディングワイヤー等)を介して、前述した光源22および基板28等がそれぞれ電気的に接続されている。また、後に詳述するが、基体31には、ガス吸着構造体6が有する1対の導体部61が貫通している。
また、基体31には、その厚さ方向に貫通(内部空間S1の内外を貫通)する孔311(封止孔)が形成されている。この孔311は、例えばAuGe等の金属で構成された封止材35により気密的に塞がれている。このように、パッケージ3が有する基体31(ベース部)は、内部空間S1の内外を貫通している孔311を有し、孔311が封止材35により塞がれている。これにより、パッケージ3内の真空度を容易に高くすることができる。そのため、後述するガス吸着構造体6のゲッター材63の活性化前のパッケージ3内の不要ガスを低減することができる。その結果、ゲッター材63の体積を小さくすることができる。そして、それに伴って、原子発振器1の小型化を図ることができる。なお、このような封止孔は、蓋体32に設けてもよい。
この基体31の構成材料としては、特に限定されないが、セラミック材料を用いることが好ましい。これにより、リジット配線基板を構成する基体31を実現しながら、内部空間S1の気密性を優れたものとすることができる。
このような基体31には、蓋体32が接合されている。基体31と蓋体32との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。本実施形態では、蓋体32は、シームリング、低融点ガラス、接着剤等の接合部材33を介して基体31に接合されている。
また、基体31と蓋体32とは気密的に接合されている。すなわち、内部空間S1は、気密空間であり、大気圧よりも減圧されている。特に、本実施形態では、内部空間S1は、真空(1Pa以下)である。これにより、内部空間S1における対流によって、原子セルユニット2、特に光源22の温度が変化することを低減することができる。また、ヒーター25の消費電力を小さくすることができる。
このような蓋体32の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、コバール等の金属材料等を用いることができる。
〈支持部材〉
支持部材5は、パッケージ3内に収納されており、パッケージ3の基体31に対して原子セルユニット2を支持する機能を有する。また、支持部材5は、原子セルユニット2とパッケージ3との間の熱の伝達を抑制する機能を有する。これにより、原子セルユニット2の各部、特に原子セル21や光源22と、パッケージ3との熱伝達を低減し、原子セル21や光源22とパッケージ3の外部との間の熱干渉を抑制することができる。そのため、原子セル21や光源22等の温度制御を高精度に行うことができる。
支持部材5は、パッケージ3内に収納されており、パッケージ3の基体31に対して原子セルユニット2を支持する機能を有する。また、支持部材5は、原子セルユニット2とパッケージ3との間の熱の伝達を抑制する機能を有する。これにより、原子セルユニット2の各部、特に原子セル21や光源22と、パッケージ3との熱伝達を低減し、原子セル21や光源22とパッケージ3の外部との間の熱干渉を抑制することができる。そのため、原子セル21や光源22等の温度制御を高精度に行うことができる。
この支持部材5は、図2に示すように、基体31の上面側に立設された複数の脚部51と、複数の脚部51の上端部同士を連結している板状の連結部52と、を有し、連結部52の上面が基板28に接続されている。図示の連結部52の上面には、貫通孔53が形成されている。これにより、連結部52と基板28との接触面積を低減するとともに支持部材5の熱抵抗を高めている。
このように構成された支持部材5では、支持部材5を介した原子セルユニット2から基体31への熱の伝達経路を長くすることができる。そのため、原子セルユニット2、特に原子セル21や光源22とパッケージ3との間の熱の伝達をより低減することができる。
また、支持部材5の構成材料としては、熱伝導性が比較的低く、かつ、支持部材5が原子セルユニット2を支持する剛性を確保し得る材料であれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、セラミックス材料等の非金属を用いることが好ましく、樹脂材料を用いることがより好ましい。支持部材5を主として樹脂材料で構成した場合、支持部材5の熱抵抗を高くすることができ、また、支持部材5の形状が複雑であっても、例えば射出成型等の公知の方法を用いて、支持部材5を容易に製造することができる。特に、支持部材5を主として樹脂材料で構成した場合、熱抵抗が大きい発泡体で構成された支持部材5を容易に形成することができる。また、支持部材5の構成材料としては、コイル27からの磁場を阻害しないよう、非磁性の材料を用いることが好ましい。
〈ガス吸着構造体〉
図4は、図2および図3に示す電子デバイスが備えるガス吸着構造体の断面図である。図5は、図4に示すガス吸着構造体の平面図である。
図4は、図2および図3に示す電子デバイスが備えるガス吸着構造体の断面図である。図5は、図4に示すガス吸着構造体の平面図である。
図4に示すように、ガス吸着構造体6は、1対の導体部61と、1対の導体部61に架橋されている発熱抵抗体62と、発熱抵抗体62上に設けられているゲッター材63と、を有する。
1対の導体部61は、それぞれ、導電性を有し、前述したパッケージ3の基体31をその厚さ方向に貫通している。これにより、パッケージ3の外部から導体部61を通じてパッケージ3の内部へ通電を行うことができる。
各導体部61は、基体31を貫通している導体ポスト611と、導体ポスト611の内部空間S1側の端部に接続されている内部端子612と、導体ポスト611の内部空間S1とは反対側の端部に接続されている外部端子613と、を有し、これらが一体で構成されている。ここで、導体ポスト611は、導体部61の、基体31に埋め込まれている部分である。内部端子612は、導体部61の、内部空間S1に露出している部分である。外部端子613は、導体部61の、パッケージ3の外部に露出している部分である。
本実施形態では、内部端子612は、基体31から内部空間S1内に突出している。これにより、発熱抵抗体62およびゲッター材63を基体31に対して離間させることができる。また、導体部61の熱抵抗を高め、発熱抵抗体62の熱が導体部61を介して逃げるのを低減することもできる。この内部端子612の突出高さH1は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。これにより、1対の導体部61の太さを極端に太くしなくても、1対の導体部61が発熱抵抗体62を支持するのに必要な剛性を確保しつつ、発熱抵抗体62およびゲッター材63を基体31に対して離間させることができる。
外部端子613は、基体31の底面に沿ってシート状をなしている。これにより、パッケージ3の外部から導体部61への電気的接続が容易となる。
このような各導体部61の構成材料としては、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO(酸化亜鉛)等の透明電極材料、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料を用いることができるが、金属材料(特に銅)を用いることが好ましい。すなわち、導体部61は、銅を含んで構成されていることが好ましい。これにより、導体部61の電気抵抗を小さくし、導体部61を通じて発熱抵抗体62に効率的に通電を行うことができる。また、各導体部61の形成方法としては、特に限定されず、公知の導体ポストおよび端子の形成方法と同様の方法を用いることができる。
発熱抵抗体62は、通電により発熱(ジュール発熱)する機能を有する。これにより、発熱抵抗体62の発熱によりゲッター材63を加熱することができる。発熱抵抗体62は、長尺状をなし、その両端部が1対の導体部61の内部空間S1側の端部(すなわち内部端子612)に接続されている。これにより、発熱抵抗体62は、1対の導体部61に支持されている。そして、発熱抵抗体62は、パッケージ3に対して離間している。これにより、発熱抵抗体62からの熱がパッケージ3に直接的に逃げることを大幅に低減することができる。
本実施形態では、発熱抵抗体62は、帯状の第1部分621と、第1部分621の両端部に接続されている1対の第2部分622と、を有し、第1部分621が第2部分622を介して導体部61に接続(接合)されている。本実施形態では、第1部分621は、その長手方向での全域にわたって幅W1が一定となっている。なお、第1部分621と第2部分622との接続(接合)、および、第2部分622と導体部61との接続(接合)は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、ろう接により行うことが可能である。
第1部分621および第2部分622は、それぞれ、導体部61よりも単位長さ当たりの電気抵抗が大きい。また、第1部分621および第2部分622は、単位長さ当たりの電気抵抗が互いに異なる。また、第1部分621および第2部分622は、互いの電気抵抗が異なるように、長さおよび横断面積が設定されている。
ここで、第2部分622の単位長さ当たりの電気抵抗が第1部分621の単位長さ当たりの電気抵抗よりも大きい場合、1対の導体部61を通じて発熱抵抗体62に通電したとき、放熱を考慮しなければ、第2部分622の温度が第1部分621の温度よりも高くなる。また、第2部分622の単位長さ当たりの熱抵抗が第1部分621の単位長さ当たりの熱抵抗よりも高いため、第1部分621の熱が第2部分622を通じて導体部61へ逃げるのを低減することができる。そのため、この場合、第1部分621の温度低下(特に端部の温度低下)を低減することができ、これにより、第1部分621上にゲッター材63を配置して効率的に加熱することができる。
一方、第2部分622の単位長さ当たりの電気抵抗が第1部分621の単位長さ当たりの電気抵抗よりも小さい場合、1対の導体部61を通じて発熱抵抗体62に通電したとき、放熱を考慮しなければ、第1部分621の温度が第2部分622の温度よりも高くなる。また、第1部分621だけでなく第2部分622も発熱するとともに第2部分622の単位長さ当たりの電気抵抗が導体部61よりも高いため、第1部分621が導体部61に直接接続されている場合に比べて、第1部分621の熱が第2部分622を通じて導体部61へ逃げることを低減することができる。そのため、この場合であっても、第1部分621上にゲッター材63を配置して効率的に加熱することができる。
また、第2部分622の厚さT12(高さ)は、第1部分621の厚さT11よりも厚い。これにより、導体部61の内部端子612の突出高さH1が小さくても、発熱抵抗体62およびゲッター材63を基体31に対して離間させることができる。また、第2部分622の厚さT12を厚くすることで、第2部分622の電気抵抗(言い換えると熱抵抗)を高めて、第1部分621の熱が導体部61へ逃げるのを低減することができる。
このような発熱抵抗体62の構成材料(第1部分621および第2部分622のそれぞれの構成材料)としては、特に限定されないが、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、カーボン系材料、チタン酸バリウム系セラミック(BaTiO3)、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr合金、Ni−Cr−Fe合金、Ni−Cr−Fe−Mn合金、Fe−Ni−Cr合金等が挙げられる。中でも、発熱抵抗体62の構成材料としては、電気抵抗率が高く、かつ、成形が容易であるという観点から、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)および鉄(Fe)の少なくとも2つを含む合金を用いることが好ましい。本実施形態では、第1部分621および第2部分622の単位長さ当たりの電気抵抗を互いに異ならせることが容易であるという観点から、第1部分621および第2部分622の構成材料が互いに異なっている。
なお、第1部分621および第2部分622の構成材料が同一であっても、これらの横断面積を適宜設計することで、第1部分621および第2部分622の単位長さ当たりの電気抵抗を互いに異ならせることが可能である。また、第1部分621および第2部分622の構成材料が同一であっても、これらの横断面積および長さを適宜設計することで、第1部分621および第2部分622の電気抵抗を互いに異ならせることが可能である。
このような発熱抵抗体62の第1部分621の一方の面(上面)には、ゲッター材63が層状に設けられている。このゲッター材63は、内部空間S1の不要ガス(例えば窒素ガス、酸素ガス等)を吸着または吸収する機能(吸着機能)を有する。当該機能は、ゲッター材63が加熱されることで活性化または再生させることが可能である。この活性化または再生は、例えば、パッケージ部10の製造時に、前述したパッケージ3が気密封止された後に行われる。なお、図示では、ゲッター材63が発熱抵抗体62に接触しているが、ゲッター材63と発熱抵抗体62との間に例えば絶縁層等の他の層が介在していてもよい。
ゲッター材63は、第1部分621の長手方向での中央部上に配置されている。これにより、発熱抵抗体62の外乱(パッケージ3の外部の温度変化)の影響の少ない部分に限定的にゲッター材63を設け、ゲッター材63を効率的に加熱することができる。本実施形態では、ゲッター材63の幅W2は、第1部分621の幅W1と同一である。ゲッター材63の長さL2は、発熱抵抗体62の長手方向での長さL1よりも短い。特に、ゲッター材63の長さL2は、1対の導体部61間の距離L3よりも短い。これにより、発熱抵抗体62の外乱(パッケージ3の外部の温度変化)の影響の少ない部分に限定的にゲッター材63を設けることができる。また、ゲッター材63の厚さT2は、特に限定されないが、できるだけ発熱抵抗体62からの熱をゲッター材63全体に均一に伝達する観点から、第1部分621の厚さT11に対して、0.5倍以上3倍以下であるのが好ましく、1倍以上2倍以下であるのが好ましい。
このゲッター材63としては、前述したような機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、チタン、バリウム、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、バナジウム、インジウム、カルシウムのうちの少なくとも1つを含む合金、または、Al−Zr−V−Fe系合金が挙げられる。
以上のように、原子発振器1が備える「電子デバイス」であるパッケージ部10は、「機能部品」である原子セルユニット2と、原子セルユニット2を収納しているパッケージ3と、1対の導体部61と、発熱抵抗体62と、ゲッター材63と、を備える。ここで、1対の導体部61は、それぞれ、パッケージ3の内部に配置されている内部端子612と、パッケージ3の外部に配置され、内部端子612に電気的に接続されている外部端子613と、を有する。発熱抵抗体62は、パッケージ3の内部に配置され、1対の内部端子612に電気的に接続されている。ゲッター材63は、発熱抵抗体62に支持されている。
特に、発熱抵抗体62は、単位長さ当たりの電気抵抗が互いに異なる複数の部分である第1部分621および1対の第2部分622を有する。このように、発熱抵抗体62が有する第1部分621および第2部分622の単位長さ当たりの電気抵抗を互いに異ならせることにより、発熱抵抗体62の発熱分布を調整することができる。そのため、発熱抵抗体62から1対の導体部61への熱の逃げを考慮して、発熱抵抗体62の温度分布を最適化することができる。これにより、発熱抵抗体62からの熱をゲッター材63に無駄なく伝えて、ゲッター材63を効率的に加熱することができる。したがって、ゲッター材63を加熱により活性化する際に、過大な電流を1対の導体部61に流す必要がなく、当該過大な電流によるパッケージ3の損傷を低減することができる。
ここで、発熱抵抗体62の単位長さ当たりの電気抵抗が互いに異なる複数の部分は、前述したように第1部分621および1対の第2部分622を有する。そして、第1部分621は、ゲッター材63を支持している。1対の第2部分622は、第1部分621と、第1部分621と1対の内部端子612との間に設けられ、単位長さ当たりの電気抵抗が第1部分621とは異なる。これにより、第1部分621を均一な温度分布とし、ゲッター材63全体を無駄なく加熱することができる。
特に、第2部分622の単位長さ当たりの電気抵抗が第1部分621の単位長さ当たりの電気抵抗よりも大きいことが好ましい。これにより、第1部分621からの熱が第2部分622を通じて導体部61へ逃げるのを低減することができる。そのため、第1部分621が外乱の影響を受けにくく、環境温度によらず、ゲッター材63を安定して加熱することができる。
また、本実施形態では、第1部分621および第2部分622の構成材料の電気抵抗率が互いに異なる。これにより、第1部分621および第2部分622の形状の自由度を高めつつ、第1部分621および第2部分622の単位長さ当たりの電気抵抗を異ならせることができる。
また、パッケージ3は、原子セルユニット2(機能部品)を支持している「ベース部」である基体31と、原子セルユニット2を収納している内部空間S1を基体31とともに構成している「蓋部」である蓋体32と、を有する。そして、各導体部61は、基体31を貫通している導体ポスト611を有し、導体ポスト611の一端部に内部端子612が接続され、導体ポスト611の他端部に外部端子613が接続されている。これにより、導体部61の電気抵抗を小さくし、導体部61を通じて発熱抵抗体62に効率的に通電を行うことができる。すなわち、導体部61のジュール熱を低減し、発熱抵抗体62の発熱に寄与しない電力を少なくするとともに、導体部61の発熱によるパッケージ3の損傷を低減することができる。
以上のように、原子発振器1は、「電子デバイス」であるパッケージ部10を備える。これにより、パッケージ部10が有するパッケージ3内の圧力を安定化することができ、その結果、原子発振器1の信頼性を高めることができる。特に、原子発振器1の構成要素のうち温度変動により周波数特性に影響を与える構成要素(特に光源22および原子セル21)を当該パッケージ3内に収納することで、原子発振器1の周波数特性(例えば周波数温度特性)を向上させることができる。これに対し、例えば、光源22の温度が変動すると、光源22からの光の波長が変動し、それに伴って、原子発振器1の発振周波数も変動(特に短期周波数安定度が低下)してしまう。また、原子セル21の温度が変動すると、原子セル21内のアルカリ金属の原子密度が変動し、それに伴って、原子発振器1の発振周波数も変動(特に短期周波数安定度が低下)してしまう。
特に、本実施形態では、パッケージ3に収納されている原子セルユニット2(機能部品)は、アルカリ金属を収納している原子セル21と、アルカリ金属の原子に共鳴する光を出射する「光源部」である光源22と、原子セル21を通過した光を受光し、その受光量に応じた信号を出力する「受光部」である光検出部24と、を有する。これにより、原子セル21および光源22の温度制御を高精度に行って、原子発振器1の周波数特性を高めることができる。また、原子セル21と光源22とを別々のパッケージに収納する場合に比べて、原子発振器1の小型化を図ることもできる。なお、原子セル21および光源22のうちの少なくとも一方を「機能部品」と捉えることもできる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスが備えるガス吸着構造体を示す断面図である。
本実施形態は、ガス吸着構造体が有する発熱抵抗体の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、第2実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図6において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態のガス吸着構造体6Aは、1対の導体部61と、1対の導体部61に架橋されている発熱抵抗体62Aと、発熱抵抗体62A上に設けられているゲッター材63と、を有する。
発熱抵抗体62Aは、帯状をなし、その両端側の部分がL字状に屈曲している。これにより、発熱抵抗体62Aは、1対の導体部61が並ぶ方向に沿って延びている第1部分621Aと、第1部分621Aの両端部から第1部分621Aの延在方向に対して交差(直交)する方向に延びている1対の部分623と、を有し、第1部分621Aと1対の部分623との間に屈曲部である第2部分624が形成されている。このような発熱抵抗体62Aは、帯状の発熱抵抗体を折り曲げ加工することで形成される。このような折り曲げ加工の際、発熱抵抗体の折り曲げられた部分が延びて薄くなることで、第2部分624が形成される。したがって、第2部分624の厚さT13は、第1部分621Aの厚さT11よりも薄い。また、本実施形態では、発熱抵抗体62Aが単一材料(混合材料を含む)で構成されている。すなわち、第1部分621A、部分623および第2部分624の構成材料が互いに同じである。なお、これらのうちの少なくとも2つの構成材料を互いに異ならせてもよい。
なお、図示では、第2部分624の屈曲角度(第1部分621Aと部分623とのなす角度)が90°となっているが、第2部分624の厚さを第1部分621Aの厚さよりも薄くすることができれば、これに限定されず、第2部分624の屈曲角度よりも小さくても大きくてもよい。
本実施形態では、第1部分621A上にゲッター材63が配置されている。
本実施形態では、第1部分621A上にゲッター材63が配置されている。
このように、ガス吸着構造体6Aでは、第1部分621Aおよび第2部分624の横断面積が互いに異なる。これにより、発熱抵抗体62Aの構成材料が単一であっても、第1部分621Aおよび第2部分624の単位長さ当たりの電気抵抗を異ならせることができる。
特に、第1部分621Aおよび第2部分624の厚さが互いに異なる。これにより、発熱抵抗体62Aの構成材料が単一であっても、第1部分621Aおよび第2部分624の単位長さ当たりの電気抵抗を異ならせるとともに、第1部分621Aおよび第2部分624の幅を互いに等しくすることができる。ここで、第1部分621Aおよび第2部624分の幅を互いに等しくすることで、第1部分621Aと第2部分624との境界部における幅方向での温度分布を均一化することができる。
また、第2部分624が屈曲している。これにより、例えば、既存の発熱抵抗体を折り曲げるという簡単な方法で、第1部分621Aおよび第2部分624を有する発熱抵抗体62Aを製造することができる。すなわち、既存の発熱抵抗体を折り曲げるという簡単な方法で、その発熱抵抗体よりも発熱効率の高い発熱抵抗体62Aを実現することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスが備えるガス吸着構造体を示す断面図である。
本実施形態は、ガス吸着構造体が有する発熱抵抗体の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、第3実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態のガス吸着構造体6Bは、1対の導体部61と、1対の導体部61に架橋されている発熱抵抗体62Bと、発熱抵抗体62B上に設けられているゲッター材63と、を有する。
発熱抵抗体62Bは、帯状をなし、その両端側の部分がL字状に屈曲しているとともに、当該両端側の部分よりも中央部側の2つの部分が当該両端側の部分とは逆側にL字状に屈曲している。これにより、発熱抵抗体62Bは、1対の導体部61が並ぶ方向に沿って延びている第1部分621Bと、第1部分621Bの両端部から第1部分621Bの延在方向に対して交差(直交)する方向に沿って基体31側に延びている1対の部分625と、を有し、第1部分621Bと1対の部分625との間に屈曲部である第2部分626が形成されている。また、発熱抵抗体62Bは、1対の部分625から1対の導体部61が並ぶ方向に沿って互いに反対側に延びている1対の第1部分627を有し、部分625と第1部分627との間に屈曲部である第2部分628が形成されている。ここで、1対の第1部分627は、1対の部分623に接続されており、第1部分627と部分623との間には、屈曲部である第2部分624が形成されている。
本実施形態では、第1部分621B上にゲッター材63が配置されている。
本実施形態では、第1部分621B上にゲッター材63が配置されている。
このように、発熱抵抗体62Bは、屈曲している1対の第2部分624、1対の第2部分626および1対の第2部分628を有する。これにより、前述した第2実施形態の発熱抵抗体62Aよりも発熱効率の高い発熱抵抗体62Bを実現することができる。また、ゲッター材63の近傍に1対の第2部分626および1対の第2部分628を設けることができ、それにより、ゲッター材63をより効率的に加熱することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図8は、本発明の第4実施形態に係る電子デバイスが備えるガス吸着構造体を示す断面図である。
本実施形態は、ガス吸着構造体が有する発熱抵抗体の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、第4実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態のガス吸着構造体6Cは、1対の導体部61と、1対の導体部61に架橋されている発熱抵抗体62Cと、発熱抵抗体62C上に設けられているゲッター材63と、を有する。
発熱抵抗体62Cは、帯状をなし、その両端側の部分がL字状に屈曲しているとともに、当該両端側の部分よりも中央部側の2つの部分が当該両端側の部分と同じ側にL字状に屈曲している。これにより、発熱抵抗体62Cは、1対の導体部61が並ぶ方向に沿って延びている第1部分621Cと、第1部分621Cの両端部から第1部分621Cの延在方向に対して交差(直交)する方向に沿って基体31とは反対側に延びている1対の部分625Cと、を有し、第1部分621Cと1対の部分625Cとの間に屈曲部である第2部分626Cが形成されている。また、発熱抵抗体62Cは、1対の部分625Cから1対の導体部61が並ぶ方向に沿って互いに反対側に延びている1対の第1部分627Cを有し、部分625Cと第1部分627Cとの間に屈曲部である第2部分628Cが形成されている。ここで、1対の第1部分627Cは、1対の部分623に接続されており、第1部分627Cと部分623との間には、屈曲部である第2部分624が形成されている。
本実施形態では、第1部分621C上にゲッター材63が配置されている。
本実施形態では、第1部分621C上にゲッター材63が配置されている。
このような発熱抵抗体62Cは、前述した第3実施形態の発熱抵抗体62Bと同様に、前述した第2実施形態の発熱抵抗体62Aよりも発熱効率の高い発熱抵抗体62Bを実現することができることに加え、前述した第3実施形態の発熱抵抗体62Bに比べて、ガス吸着構造体6Cの低背化を図ることができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図9は、本発明の第5実施形態に係る電子デバイスが備えるガス吸着構造体を示す断面図である。図10は、図9に示すガス吸着構造体の平面図である。
本実施形態は、ガス吸着構造体が有する発熱抵抗体の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、第5実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9および図10において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態のガス吸着構造体6Dは、1対の導体部61と、1対の導体部61に架橋されている発熱抵抗体62Dと、発熱抵抗体62D上に設けられているゲッター材63と、を有する。
発熱抵抗体62Dは、帯状をなし、ゲッター材63を支持している第1部分621Dと、1対の導体部61に接続されている部分629と、第1部分621Dと部分629とを接続している第2部分622Dと、有する。ここで、第2部分622Dの幅W12は、第1部分621Dの幅W11よりも狭い。これにより、第2部分622Dの単位長さ当たりの電気抵抗が第1部分621Dの単位長さ当たりの電気抵抗よりも大きくなっている。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図11は、本発明の第6実施形態に係る電子デバイスが備えるガス吸着構造体を示す断面図である。
本実施形態は、ガス吸着構造体が有する発熱抵抗体の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、第6実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態のガス吸着構造体6Eは、1対の導体部61と、1対の導体部61に架橋されている発熱抵抗体62Eと、発熱抵抗体62E上に設けられているゲッター材63Eと、を有する。
発熱抵抗体62Eは、帯状をなし、その長手方向での中央部が屈曲している。これにより、発熱抵抗体62Eは、互いに異なる方向に沿って延びている1対の第1部分621Eと、1対の導体部61に接続されている部分629Eと、を有し、1対の第1部分621Eの間に屈曲部である第2部分630が形成されている。この第2部分630の厚さは、各第1部分621Eの厚さよりも薄い。これにより、第2部分630の単位長さ当たりの電気抵抗が第1部分621Eの単位長さ当たりの電気抵抗よりも大きくなっている。なお、図示では、第2部分630の屈曲角度(1対の第1部分621Eのなす角度)が90°よりも大きいが、第2部分630の厚さを各第1部分621Eの厚さよりも薄くすることができれば、これに限定されない。
本実施形態では、第1部分621Eを跨るように、屈曲または湾曲したゲッター材63Eが配置されている。
2.電子機器
以下、本発明の電子機器の一例について説明する。
以下、本発明の電子機器の一例について説明する。
図12は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の電子デバイスを用いた場合の実施形態を示す図である。
図12に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報を、アンテナ303を介して送信する送信装置304と、を備える。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報を、アンテナ303を介して送信する送信装置304と、を備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報を、アンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報を、アンテナ403を介して受信する基地局受信部404と、を備える。
以上のように、測位システム100が有する「電子機器」である受信装置302は、原子発振器1が有する「電子デバイス」であるパッケージ部10を備える。これにより、パッケージ部10が有するパッケージ内の圧力を安定化することができ、その結果、受信装置302の信頼性を高めることができる。
なお、本発明の電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局等に適用することができる。
3.移動体
以下、本発明の移動体の一例について説明する。
図13は、本発明の移動体の実施形態(自動車)を示す斜視図である。
以下、本発明の移動体の一例について説明する。
図13は、本発明の移動体の実施形態(自動車)を示す斜視図である。
図13に示す移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502と、を有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。そして、原子発振器1からの発振信号に同期して、例えば、図示しない制御部が移動体1500の各種制御を行う。
以上のように、移動体1500は、原子発振器1が有する「電子デバイス」であるパッケージ部10を備える。これにより、パッケージ部10が有するパッケージ内の圧力を安定化することができ、その結果、移動体1500の信頼性を高めることができる。
以上、本発明の電子デバイス、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、前述した実施形態の各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態におけるパッケージ内の構成は一例であり、これに限定されるものではなく、パッケージ内の各部品の構成は、適宜変更してもよい。
例えば、前述した実施形態の原子発振器では、1つのパッケージ内に原子セル、光源および光検出部が収納されている場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、原子セルおよび光検出部を収納しているパッケージと、光源を収納しているパッケージとの2つのパッケージに分割してもよい。この場合、原子セルおよび光検出部をパッケージに収納した構造体と光源をパッケージに収納した構造体とのうちの少なくとも一方を本発明の電子デバイスとすることが可能である。
また、前述した実施形態の原子発振器が備えるパッケージ部は、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
また、前述した実施形態では、本発明の電子デバイスを、量子干渉効果を利用した原子発振器に適用した場合を例に説明したが、気密封止したパッケージ内に機能部品を収納した電子デバイスであれば、これに限定されず、例えば、二重共鳴法を利用した原子発振器、水晶発振器等の発振器、角速度センサー等の慣性センサー等に適用することも可能である。すなわち、パッケージ内に収納される機能部品は、前述した実施形態の部品に限定されず、例えば、水晶振動片、センサー素子片等であってもよい。
1…原子発振器、2…原子セルユニット、3…パッケージ、5…支持部材、6…ガス吸着構造体、6A…ガス吸着構造体、6B…ガス吸着構造体、6C…ガス吸着構造体、6D…ガス吸着構造体、6E…ガス吸着構造体、10…パッケージ部(電子デバイス)、11…制御部、20…原子セルモジュール(機能部品)、21…原子セル、22…光源(光源部)、23…光学系、24…光検出部(受光部)、25…ヒーター、26…温度センサー、27…コイル、28…基板、29…接続部材、31…基体(ベース部)、32…蓋体(蓋部)、33…接合部材、34…端子、35…封止材、51…脚部、52…連結部、53…貫通孔、61…導体部、62…発熱抵抗体、62A…発熱抵抗体、62B…発熱抵抗体、62C…発熱抵抗体、62D…発熱抵抗体、62E…発熱抵抗体、63…ゲッター材、100…測位システム、111…光源制御部、112…温度制御部、113…磁場制御部、200…GPS衛星、211…胴体部、212…光透過部、213…光透過部、214…貫通孔、231…光学部品、232…光学部品、291…接続部材、292…接続部材、300…基地局装置、301…アンテナ、302…受信装置、303…アンテナ、304…送信装置、311…孔、400…GPS受信装置、401…アンテナ、402…衛星受信部、403…アンテナ、404…基地局受信部、611…導体ポスト、612…内部端子、613…外部端子、621…第1部分、621A…第1部分、621B…第1部分、621C…第1部分、621D…第1部分、621E…第1部分、622…第2部分、622D…第2部分、623…部分、624…第2部分、625…部分、625C…部分、626…第2部分、626C…第2部分、627…第1部分、627C…第1部分、628…第2部分、628C…第2部分、629…部分、629E…部分、630…第2部分、1500…移動体、1501…車体、1502…車輪、H1…突出高さ、L1…長さ、L2…長さ、L3…距離、LL…光、S…内部空間、S1…内部空間、T2…厚さ、T11…厚さ、T12…厚さ、T13…厚さ、W1…幅、W2…幅、W11…幅、W12…幅、a…光軸
Claims (16)
- 機能部品と、
前記機能部品を収納しているパッケージと、
前記パッケージの内部に配置されている内部端子と、前記パッケージの外部に配置され、前記内部端子に電気的に接続されている外部端子と、を有する1対の導体部と、
前記パッケージの内部に配置され、1対の前記内部端子に電気的に接続されている発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体に支持されているゲッター材と、を備え、
前記発熱抵抗体は、単位長さ当たりの電気抵抗が互いに異なる複数の部分を有することを特徴とする電子デバイス。 - 前記複数の部分は、
前記ゲッター材を支持している第1部分と、
前記第1部分と1対の前記内部端子との間に設けられ、単位長さ当たりの電気抵抗が前記第1部分とは異なる1対の第2部分と、を有する請求項1に記載の電子デバイス。 - 前記第2部分の単位長さ当たりの電気抵抗が前記第1部分の単位長さ当たりの電気抵抗よりも大きい請求項2に記載の電子デバイス。
- 前記第1部分の単位長さ当たりの電気抵抗が前記第2部分の単位長さ当たりの電気抵抗よりも大きい請求項2に記載の電子デバイス。
- 前記第1部分および前記第2部分の構成材料の電気抵抗率が互いに異なる請求項2ないし4のいずれか1項に記載の電子デバイス。
- 前記第1部分および前記第2部分の横断面積が互いに異なる請求項2ないし5のいずれか1項に記載の電子デバイス。
- 前記第1部分および前記第2部分の厚さが互いに異なる請求項2ないし6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
- 前記第2部分が屈曲している請求項7に記載の電子デバイス。
- 前記発熱抵抗体は、前記パッケージに対して離間している請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電子デバイス。
- 前記パッケージは、
前記機能部品を支持しているベース部と、
前記機能部品を収納している内部空間を前記ベース部とともに構成している蓋部と、を有し、
前記導体部は、前記ベース部を貫通している導体ポストを有し、
前記導体ポストの一端部に前記内部端子が接続され、前記導体ポストの他端部に前記外部端子が接続されている請求項1ないし9のいずれか1項に記載の電子デバイス。 - 前記ベース部は、前記内部空間の内外を貫通している孔を有し、
前記孔が封止材により塞がれている請求項10に記載の電子デバイス。 - 前記導体部は、銅を含んで構成されている請求項1ないし11のいずれか1項に記載の電子デバイス。
- 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の電子デバイスを備えることを特徴とする原子発振器。
- 前記機能部品は、
アルカリ金属を収納している原子セルと、
前記アルカリ金属の原子に共鳴する光を出射する光源部と、
前記原子セルを通過した光を受光し、その受光量に応じた信号を出力する受光部と、を有する請求項13に記載の原子発振器。 - 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の電子デバイスを備えることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の電子デバイスを備えることを特徴とする移動体。
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JP2017012790A JP2018121269A (ja) | 2017-01-27 | 2017-01-27 | 電子デバイス、原子発振器、電子機器および移動体 |
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WO2022220197A1 (ja) * | 2021-04-15 | 2022-10-20 | エドワーズ株式会社 | ターボ分子ポンプ |
-
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CN111756374B (zh) * | 2019-03-27 | 2023-06-27 | 精工爱普生株式会社 | 原子振荡器以及频率信号生成系统 |
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