JP2017073623A - 原子発振器 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法バラツキがあってもガスセルの損傷を防止し、且つ、加熱部からのガスセルへの熱伝達の効率を損なわず、高い動作安定性を備える原子発振器を提供する。
【解決手段】金属原子が封入されているガスセルと、前記ガスセルを加熱する加熱部と、前記ガスセルと前記加熱部との間に位置し、前記ガスセルに熱的に接続され、前記加熱部から発生する熱を前記ガスセルに伝達する伝熱部と、前記伝熱部と離間して前記ガスセルに熱的に接続され、前記ガスセルの熱を吸熱する吸熱部と、を備えている原子発振器であって、前記伝熱部は、前記ガスセルの外側に配置される一対のガスセル収納壁を少なくとも備えるガスセル収納部有し、と、前記伝熱部の前記ガスセル収納壁と、によって形成される間隙に挟持される熱伝導性弾性部材を備えている。
【選択図】図5

Description

本発明は、原子発振器に関するものである。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。一般に、原子発振器の動作原理は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した方式と、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した方式とに大別される。
いずれの方式の原子発振器においても、アルカリ金属をガスセル内に緩衝ガスとともに封入し、そのアルカリ金属をガス状に保つために、ガスセルをヒーターにより所定温度に加熱する必要がある。ここで、一般に、ガスセル内のアルカリ金属は、そのすべてがガス化するのではなく、一部が余剰分として液体となる。このような余剰分のアルカリ金属原子は、ガスセルの温度の低い部分に析出(結露)することにより液体となるが、励起光の通過領域に存在すると、励起光を遮ってしまい、その結果、原子発振器の発振特性の低下を招くこととなる。
そこで、特許文献1に係るガスセルでは、アルカリ金属を析出させるための凹部が励起光の光軸からずれた位置に設けられている。そして、ヒーターでガスセルの凹部から離間した部分を加熱することで、凹部の温度を周辺部よりも低下した状態とする。これにより、アルカリ金属の余剰分は液体として凹部に貯留され、余剰分が励起光を遮るのを防止している。
しかしながら、特許文献1に記載の原子発振器を小型化した場合、その大きさによっては、ヒーターから発生した熱が原子発振器の全体に伝達されることとなる。このため、凹部の温度まで上昇してしまう。その結果、アルカリ金属の余剰分が液体として凹部に貯留されず、余剰分が励起光を遮る可能性がある。このように、小型化された原子発振器のガスセルの温度を部分的に変化させるのは困難である。
特許文献2には、原子発振器に備えられる量子干渉装置が開示されている。特許部文献2に開示された量子干渉装置は、加熱部から供給される熱をガスセルに伝達する加熱部と、ガスセルに低温部を形成させる放熱部と、を備えることで、アルカリ金属の余剰分が励起光の通過経路に結露することを防止することがでる。従って、信頼性の高い量子干渉装置を得ることができるとしている。
特開2007−324818号公報 特開2015−122597号公報
特許文献2に記載の量子干渉装置では、ガスセルに接続される加熱部、あるいは放熱部は、ガスセルとの接続部が密着していることで、熱移動(熱伝達)が行われる。しかし、周知の通り、部品製作には、いわゆる「寸法バラツキ」が発生する。この寸法バラツキによって、ガスセルと加熱部、あるいはガスセルと放熱部、との間の隙間にもばらつきが生じてしまう。例えば、隙間が大きくなると、隙間にある空気層が断熱層となって、ガスセルの加熱、あるいは放熱の効率を著しく低下させることとなる。特に、加熱部において熱伝達の効率が低下することによって、ガスセルの温度が不安定となり、信頼性の低い量子干渉装置となってしまう。あるいは、隙間ではなく互いの部品が重なり合い、干渉し合うような状態となると、ガラス製のガスセルに大きな負荷が掛り、ガスセルを損傷、もしくは破壊させてしまう虞があった。
そこで、本発明の目的は、寸法バラツキがあってもガスセルの損傷を防止し、且つ、加熱部からのガスセルへの熱伝達の効率を損なわず、高い動作安定性を備える原子発振器を提供する。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
〔適用例1〕本適用例の原子発振器は、金属原子が封入されているガスセルと、前記ガスセルを加熱する加熱部と、前記ガスセルと前記加熱部との間に位置し、前記ガスセルに熱的に接続され、前記加熱部から発生する熱を前記ガスセルに伝達する伝熱部と、前記伝熱部と離間して前記ガスセルに熱的に接続され、前記ガスセルの熱を吸熱する吸熱部と、を備えている原子発振器であって、前記ガスセルの外側に配置されるガスセル収納壁を備えるガスセル収納部を有し、前記ガスセルと、前記加熱部の前記ガスセル収納壁と、によって形成される間隙に挟持される熱伝導性弾性部材を備えていることを特徴とする。
本適用例の原子発振器によれば、小型化されたガスセルであっても、周辺部よりも温度が低い低温度部を効果的に形成することができる。よって、低温度部に金属原子を結露させ、余剰分を液体として貯留することができる。このように、余剰分を容易に制御することができるため、余剰分が励起光の光路を遮るのを容易に防止することができ、よって、量子干渉装置の信頼性を高めることができる。
更に、ガスセルの小型化は、ガスセルを構成する材料の薄型化となり、ガスセル収納壁とガスセルの製造バラツキによる部品干渉が原因とするガスセル損傷を回避させるために、伝熱部のガスセル収納壁と、ガスセルと、の間に隙間を設ける必要があった。しかし、ガスセル収納壁と、ガスセルと、の間の隙間は、空気などの気体が存在する領域となって、ガスセル収納壁からガスセルへの熱伝達性を低下させる。そこで、ガスセル収納壁と、ガスセルと、の間の隙間に、熱伝導性弾性部材を配設させることにより、ガスセル収納壁からガスセルへの熱伝達経路を確保し、更に、熱伝導性弾性部材の弾性によって、ガスセル収納壁間にガスセルを安定して固定させることができる。
〔適用例2〕上述の適用例において、前記熱伝導性弾性部材は、ゴム系の接着剤、パッキン、もしくはシート片であることを特徴とする。
上述の適用例によれば、ガスセル収納壁内にガスセルを配設した後に、ガスセル収納壁と、ガスセルと、の間に生じる隙間に熱伝導性弾性部材を容易に配設することができる。
〔適用例3〕上述の適用例において、前記熱伝導弾性部材は、ゴム系充填剤であることを特徴とする。
上述の適用例によれば、ガスセル収納壁内にガスセルを配設した後に、ガスセル収納壁と、ガスセルと、の間に生じる隙間にばらつきが生じても、充填可能な熱伝導性弾性部材をその隙間に充填することで、容易に配設することができる。
〔適用例4〕上述の適用例において、前記ガスセル内を透過する磁場を発生させるコイルを備え、前記ガスセルと、前記伝熱部と、前記吸熱部と、前記コイルと、を内部に収納する磁気遮蔽体を備え、前記伝熱部と、前記吸熱部と、が前記磁気遮蔽体と熱的に接続され、前記加熱部は、前記磁気遮蔽体の外部と熱的に接続されていることを特徴とする。
上述の適用例によれば、コイルに通電することにより、ガスセル内を透過する磁場を発生させ、ガスセル内に存在するアルカリ金属の原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂によって拡げて分解能を向上させ、EIT(電磁誘起透明化現象:Electromagnetically Induced Transparency)信号の線幅を小さくすることができる。コイルから発生される磁場を安定させるために、コイル以外の、外部からの磁力線のガスセルへの侵入を防止するため、磁気遮蔽体を備える。
また、外気と繋がる磁気遮蔽体に加熱部、伝熱部および吸熱部が熱的に接続されることにより、加熱部で生じさせた熱を、加熱部と磁気遮蔽体との接続部から磁気遮蔽体の形状に沿って広い範囲へ拡散させ、より多くの熱を伝熱部へ伝達させることができる。一方、吸熱部を磁気遮蔽体と熱的に接続させることにより、磁気遮蔽体に広い外気への放熱領域を形成させることができ、吸熱部に伝達された熱を効率的に放熱させることができる。
第1実施形態に係る原子発振器の概略構成を示す模式図。 アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための状態図。 光射出部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフ。 第1実施形態に係る原子発振器を模式的に示す斜視図。 第1実施形態に係る原子発振器が備える第2ユニットの断面図。 図5に示す伝熱部の斜視図。 図5に示すA−A´部の断面図。 図5に示す吸熱部の斜視図。 図5に示すB−B´部の断面図。 第1実施形態に係る原子発振器に備えるガスセルの内部温度分布を説明する模式図。 第1実施形態に係る原子発振器の伝熱部材のその他の形態を示す断面図。 第1実施形態に係る原子発振器の伝熱部材のその他の形態を示す断面図。 第1実施形態に係る原子発振器の伝熱部材のその他の形態を示す断面図。 第1実施形態に係る原子発振器の伝熱部材のその他の形態を示す断面図。 第2実施形態に係る電子機器の一例としてGPS衛星を利用した測位システムの概略構成を示す図。 第3実施形態に係る電子機器の一例としてのクロック伝送システムを示す概略構成図。 第4実施形態に係る移動体の一例としての自動車の構成を示す斜視図。
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る原子発振器の概略構成を示す構成図である。また、図2は、アルカリ金属のエネルギー状態を説明する説明図、図3は、光射出部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。
図1に示す原子発振器100は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。この原子発振器100は、図1に示すように、光出射側のユニットである第1ユニット200と、光検出側のユニットである第2ユニット300と、第1ユニット200および第2ユニット300を制御する制御部400と、を備える。
第1ユニット200は、光射出部211と、光射出部211を収納し、光を透過する窓部213を有する第1パッケージ212とを備える光射出装置210と、光学部品群220と、を備えている。また、第2ユニット300は、ガスセル310と、光検出部320と、コイル350と、加熱部としてのヒーター330と、温度センサー340と、後述する伝熱部と、吸熱部と、これらを収納する磁気シールドと、を備える。
まず、原子発振器100の原理を簡単に説明する。図1に示すように、原子発振器100では、光射出部211がガスセル310に向けて励起光LLを出射し、ガスセル310を透過した励起光LLを光検出部320が検出する。ガスセル310内には、ガス状のアルカリ金属(金属原子)が封入されており、アルカリ金属は、図2に示すように、3準位系のエネルギー準位を有し、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1,2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
光射出部211から出射された励起光LLは、周波数の異なる2種の共鳴光1,2を含んでおり、この2種の共鳴光1,2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射したとき、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1,2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1,2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
例えば、光射出部211が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部320の検出強度は、図3に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を用いることにより、発振器を構成することができる。
以下、本実施形態の原子発振器100の具体的な構成について説明する。図4は、図1に示す原子発振器100を模式的に示す斜視図、図5は、図1に示す原子発振器100が備える第2ユニット300の断面図である。図5では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、その図示された各矢印の先端側を「+(プラス)」、基端側を「−(マイナス)」という。また、以下では、説明の便宜上、X軸に沿った方向を「X軸方向」、Y軸に沿った方向を「Y軸方向」、Z軸に沿った方向を「Z軸方向」ともいう。
原子発振器100は、図4に示すように、第1ユニット200と、第2ユニット300と、制御部400(図4には図示せず。図1参照。)と、を備える。そして、第1ユニット200および第2ユニット300は、配線およびコネクター(図示せず)介して制御部400に電気的に接続され、制御部400により駆動制御される。
第1ユニット200は、光射出部211と、光射出部211を収納する第1パッケージ212と、窓部213と、を備える光射出装置210と、光学部品群220と、を備える。
光射出部211は、ガスセル310中のアルカリ金属原子を励起する励起光LLを出射する機能を有する。具体的には、光射出部211は、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を含む光を励起光LLとして出射するものである。共鳴光1の周波数ω1は、ガスセル310中のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態に励起(共鳴)し得るものである。また、共鳴光2の周波数ω2は、ガスセル310中のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態に励起(共鳴)し得るものである。
この光射出部211としては、前述したような励起光LLを出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。また、このような光射出部211は、図示しない温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子等)により、所定温度に温度調節される。
第1パッケージ212は、前述した光射出部211を収納する。第1パッケージ212は、例えば、図4に示すように、外形形状がブロック状をなす筐体で構成されている。また、第1パッケージ212からは、例えば、複数のリード(図示せず)が突出しており、これらは、配線を介して光射出部211に電気的に接続されている。そして、各リードは、図示しないコネクター等で配線基板と電気的に接続されている。このコネクターとしては、例えば、フレキシブル基板や、ソケット状をなすもの等を用いることができる。また、第1パッケージ212の第2ユニット300側の壁部には、窓部213が設けられている。この窓部213は、ガスセル310と光射出部211との間の光軸(励起光LLの軸a)上に設けられている。そして、窓部213は、前述した励起光LLに対して透過性を有する。
本実施形態では、窓部213は、レンズである。これにより、励起光LLを無駄なくガスセル310へ照射することができる。また、窓部213は、励起光LLを平行光とする機能を有する。すなわち、窓部213はコリメートレンズであり、後述するガスセル310の内部空間Sにおける励起光LLは平行光である。これにより、内部空間Sに存在するアルカリ金属の原子のうち、光射出部211から出射した励起光LLにより共鳴するアルカリ金属の原子の数を多くすることができる。その結果、EIT信号の強度を高めることができる。
なお、窓部213は、励起光LLに対する透過性を有するものであれば、レンズに限定されず、例えば、レンズ以外の光学部品であってもよいし、単なる光透過性の板状部材であってもよい。この場合、前述したような機能を有するレンズは、例えば、後述する光学部品群220を構成する光学部品221,222,223と同様、第1パッケージ212および後述する磁気遮蔽体380との間に設けられていてもよい。このような第1パッケージ212の窓部213以外の部分の構成材料としては、特に限定されず、例えば、セラミックス、金属、樹脂等を用いることができる。
また、第1パッケージ212の窓部213以外の部分が励起光LLに対して透過性を有する材料で構成されている場合、第1パッケージ212の窓部213以外の部分と窓部213と一体的に形成することができる。なお、第1パッケージ212の窓部213以外の部分が励起光LLに対して透過性を有しない材料で構成されている場合、第1パッケージ212の窓部213以外の部分と窓部213とを別体で形成し、これらを公知の接合方法により接合すればよい。
また、第1パッケージ212内が気密空間であることが好ましい。これにより、第1パッケージ212内を減圧状態または不活性ガス封入状態とすることができ、その結果、原子発振器100の特性を向上させることができる。また、第1パッケージ212内には、光射出部211の温度を調節する温度調節素子や温度センサー等が収納されている(図示せず)。かかる温度調節素子としては、例えば、発熱抵抗体(ヒーター)、ペルチェ素子等が挙げられる。このような第1パッケージ212によれば、光射出部211から第1パッケージ212外への励起光LLの出射を許容しつつ、光射出部211を第1パッケージ212内に収納することができる。
第2ユニット300は、上述したガスセル310と、光検出部320と、コイル350と、伝熱部360と、吸熱部370と、を内部に収納する磁気遮蔽体380と、ヒーター330と、温度センサー340とを備える。
ガスセル310内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。また、ガスセル310内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。
本実施形態に係る原子発振器100に備えるガスセル310は、図5に示すように、貫通孔311aを有する本体部311と、その貫通孔311aの両側の開口を封鎖し、励起光LLが透過可能となる透過領域を備える光透過部としての一対の窓部312、313とを有する。これにより、前述したようなアルカリ金属が封入される内部空間Sが形成されている。また、本体部311の一部は、外側に向って突出した突出部311bが形成されており、突出部311bの内側は、液だまり部311cとして機能する。この液だまり部311cは、アルカリ金属の一部が余剰分として液状で貯留される部分である。後述するように、この液だまり部311cの温度を、周辺部よりも低下させることで、液だまり部311c内にアルカリ金属の余剰分を結露させて貯留することができる。
本体部311を構成する材料としては、特に限定されず、金属材料、樹脂材料、ガラス材料、シリコン材料、水晶等が挙げられるが、加工性や窓部312,313との接合の観点から、ガラス材料、シリコン材料を用いるのが好ましい。このような本体部311には、窓部312,313が気密的に接合されている。これにより、ガスセル310の内部空間Sを気密空間とすることができる。
本体部311と窓部312,313との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。また、窓部312,313を構成する材料としては、前述したような励起光LLに対する透過性を有していれば、特に限定されないが、本体部311との接合の観点から、例えば、シリコン材料、ガラス材料、水晶等が挙げられ、本体部311と同じ材料であることがなお好ましい。
各窓部312,313は、前述した光射出装置210からの励起光LLに対する透過性を有している。そして、一方の窓部312は、ガスセル310内へ入射する励起光LLが透過するものであり、他方の窓部313は、ガスセル310内から出射した励起光LLが透過するものである。そして、ガスセル310は、ヒーター330により加熱され、所定温度に温度調節される。
光検出部320は、ガスセル310内を透過した励起光LL(共鳴光1,2)の強度を検出する機能を有する。この光検出部320としては、上述したような励起光LLを検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。また、光検出部320は、本実施形態では、磁気遮蔽体380内に収納されているが、磁気遮蔽体380の外側に設けられていてもよい。この場合、磁気遮蔽体380には、ガスセル310を通過した励起光LLが通過する窓部が形成されている。
コイル350は、通電により、内部空間Sに励起光LLの光軸aに沿った方向の磁場を発生させ、内部空間Sに存在するアルカリ金属の原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂によって拡げて分解能を向上させ、EIT信号の線幅を小さくすることができる。なお、コイル350が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよく、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。コイル350としては、特に限定されず、例えば、ソレノイド型を構成するようにガスセル310の外周に沿って巻回して設けられていてもよいし、ヘルムホルツ型を構成するように1対のコイルをガスセル310を介して対向させてもよい。本実施形態では、コイル350は、ソレノイド型で構成され、伝熱部360、ガスセル310および吸熱部370の外側に巻かれている。このコイル350は、図示しない配線を介して、後述する制御部400の磁場制御部430に電気的に接続され、コイル350に通電が行なわれている。
磁気遮蔽体380は、外形形状がブロック状をなす筐体で構成されており、内部にコイル350、伝熱部360、ガスセル310および吸熱部370を収納する。この磁気遮蔽体380は、磁気シールド性を有し、ガスセル310を外部磁界から遮蔽する機能を有している。これにより、磁気遮蔽体380内でコイル350が発生する磁場を安定させることができる。よって、原子発振器100の発振特性の向上を図ることができる。
また、磁気遮蔽体380の第1ユニット200側の壁部には、その厚さ方向に貫通する窓部380aが設けられ、光射出装置210から出射した励起光LLが窓部380aを介してガスセル310内に入射される。なお、磁気遮蔽体380の構成材料としては、磁気シールド性を有する材料が用いられ、例えば、Fe、各種鉄系合金(ケイ素鉄、パーマロイ、アモルファス、センダスト、コバール)等の軟磁性材料が挙げられ、中でも、磁気シールド性が優れるという観点から、コバール、パーマロイ等のFe−Ni系合金を用いることが好ましい。また、磁気遮蔽体380からは、光検出部320、ヒーター330、温度センサー340(図示せず)およびコイル350に電気的に接続されている複数のリード(図示せず)が突出しており、これら複数のリードは、配線を介して図示しないコネクター等で配線基板と電気的に接続されている。このコネクターとしては、例えば、フレキシブル基板や、ソケット状をなすもの等を用いることができる。
ヒーター330は、前述したガスセル310内に気密封止されているアルカリ金属を加熱する機能を有する。これにより、ガスセル310中のアルカリ金属を所望濃度のガス状に維持することができる。ヒーター330は、通電により発熱するものであり、例えば、ガスセル310の外表面上に設けられた発熱抵抗体で構成されている。このような発熱抵抗体は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成される。なお、発熱抵抗体が、ガスセル310の励起光LLの入射部側または出射部側に設けられる場合には、励起光LLに対する透過性を有する材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In33、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有ZnO等の酸化物等の透明電極材料で構成される。
また、ヒーター330は、磁気遮蔽体380の外側に、磁気遮蔽体380より熱伝導率が高い伝熱板390を介して磁気遮蔽体380に接続されている。前述したように、ヒーター330は、通電により発熱するため、発熱した際、磁場が生じる。しかし、ヒーター330は、磁気遮蔽体380の外側に設けることにより、ヒーター330から生じる磁場の磁気遮蔽体380内への侵入を防止しすることができ、コイル350から発生される磁場への影響を抑制することができる。
なお、ヒーター330は、ガスセル310を加熱することができるものであれば、特に限定されず、ガスセル310に対して非接触であってもよい。また、ヒーター330に代えて、または、ヒーター330と併用して、ペルチェ素子を用いて、ガスセル310を加熱してもよい。このようなヒーター330は、後述する制御部400の温度制御部420に電気的に接続され、通電制御される。
図5には図示されないが、原子発振器100は温度センサー340を備えている。温度センサー340は、ヒーター330またはガスセル310の温度を検出するものである。そして、この温度センサー340の検出結果に基づいて、温度制御部420(図1参照)によってヒーター330への通電量が制御され、ヒーター330の温度が制御される。そして、ガスセル310が所望の温度に維持され、ガスセル310内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。なお、温度センサー340の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヒーター330上であってもよいし、ガスセル310の外表面上であってもよい。温度センサー340としては特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
第1ユニット200は、複数の光学部品221,222,223によって構成される光学部品群220を備えている。光学部品群220は、第1パッケージ212内の光射出部211と、ガスセル310との間に、励起光LLの光軸a上に設けられている。
本実施形態の光学部品群220は、光射出部211からガスセル310に向かって、光学部品221、光学部品222、光学部品223の順に配置されている。光学部品221は、λ/4波長板である。これにより、例えば、光射出部211からの線偏光である励起光LLを円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
前述したようにコイル350の磁場によりガスセル310内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光LLをアルカリ金属原子に照射すると、励起光LLとアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号が小さくなり、その結果、原子発振器100の発振特性の低下をもたらす。
これに対し、前述したようにコイル350の磁場によりガスセル310内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光LLをアルカリ金属原子に照射すると、励起光LLとアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号が大きくなり、その結果、原子発振器100の発振特性を向上させることができる。
なお、光学部品221の平面視形状は、特に限定されず、例えば、円形、四角形、五角形等の多角形をなしていてもよい。また、光学部品群220は、光学部品221に加えて、第2ユニット300側は、光学部品222,223が配置されている。光学部品222,223は、減光フィルター(NDフィルター)であり、ガスセル310に入射する励起光LLの強度を減少、調整することができる。従って、光射出部211の出力が大きい場合でも、ガスセル310に入射する励起光LLを所望の光量とすることができる。なお、光学部品222,223は、それぞれ、板状をなしている。また、光学部品222,223の平面視形状は、特に限定されず、例えば、円形、四角形、五角形等の多角形をなしていてもよい。また、光射出部211の出力の大きさによっては、光学部品222,223のうちのいずれか一方、あるいは両方の光学部品を省略してもよい。
図1に示す制御部400は、ヒーター330、コイル350および光射出部211をそれぞれ制御する機能を有する。本実施形態では、制御部400は、IC(Integrated Circuit)チップで構成されている。このような制御部400は、光射出部211の共鳴光1,2の周波数を制御する励起光制御部410と、ガスセル310中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部420と、ガスセル310に印加する磁場を制御する磁場制御部430とを有する。
励起光制御部410は、前述した光検出部320の検出結果に基づいて、光射出部211から出射される共鳴光1,2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部410は、光検出部320の検出結果に基づいて、周波数差(ω1−ω2)がアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光射出部211から出射される共鳴光1,2の周波数を制御する。
また、励起光制御部410は、図示しないが、電圧制御型水晶発振器(発振回路)を備えており、その電圧制御型水晶発振器の発振周波数を光検出部320の検知結果に基づいて同期・調整しながら原子発振器100の出力信号として出力する。また、温度制御部420は、温度センサー340の検出結果に基づいて、ヒーター330への通電を制御する。これにより、ガスセル310を所望の温度範囲内に維持することができる。また、磁場制御部430は、コイル350が発生する磁場が一定となるように、コイル350への通電を制御する。
伝熱部360は、図5に示すように、ガスセル310の外側に配置されている。伝熱部360は、少なくとも磁気遮蔽体380より熱伝導率の高い材料で構成されており、ヒーター330から発生する熱を、ガスセル310に伝達する。なお、本明細書中では、各部材間で熱の移動が可能な状態を「熱的に接続」されている状態と言う。すなわち、各部材間で熱の移動が可能であれば、各部材が接触している状態であっても、非接触の状態(例えば、接着剤等を介して各部材が固定されている状態)であっても「熱的に接続」されている状態として説明する。
図6は、伝熱部360の外観斜視図である。図6に示すように、伝熱部360は、Y軸方向を厚さ方向とし、Y軸方向からみたとき四角形の板状をなす基部360aと、基部360aの縁部からY(+)方向に立設した4つのガスセル収納壁としての壁部360b,360c,360d,360eとで構成されている。壁部360bと壁部360dとは、X軸方向に対向しており、壁部360bがX(+)側に位置し、壁部360dがX(−)側に位置している。また、壁部360cと壁部360eとは、Z軸方向に対向しており、壁部360cがZ(−)側に位置し、壁部360eがZ(+)側に位置している。そして、壁部360b,360c,360d,360eの隣り合う壁部は互いに連結されており、全体として筒状をなしている。また、基部360aと各壁部360b,360c,360d,360eとで囲まれた部分は、ガスセル310の一部が挿入されるガスセル収納部としての第1凹部360fとなっている。
また、基部360aは、Y(−)側の端部に周回するように第2凹部360gが形成されている。第2凹部360gは図5にも示すように、伝熱部360と吸熱部370との外周に巻かれているコイル350が配設される部分である。第2凹部360gにコイル350の一部を配設させることにより、原子発振器100の小型化を図ることができる。なお、本実施形態に係る伝熱部360では、壁部360b,360c,360d,360eは枠状に形成されている形態を例示するが、これに限定されない。壁部はガスセル310が収容可能であれば、壁部360b,360c,360d,360eが互いに接続されていなくてもよい。
また、壁部360bには、窓部312における励起光LLの透過領域に対応した開口部としての貫通孔の窓部360hが設けられ、壁部360dには、窓部313における励起光LLの透過領域に対応した開口部としての貫通孔の窓部360jが設けられている。各窓部360h,360jは、励起光LLが通過できるよう(図5参照)、X軸方向から見て、重なっている。よって、第1凹部360f内にガスセル310を挿入した状態で、励起光LLが、窓部360h、ガスセル310の窓部312,313、窓部360jの順に通過あるいは透過し、光検出部320に励起光LLを入射させることができる。
上述した伝熱部360を介して、ヒーター330からガスセル310への熱伝達について説明する。図5に示すように、ヒーター330において発生させた熱Qは、先ず伝熱板390に伝達される。伝熱板390は、高い熱伝導率を備えていることから、伝熱板390の全体に熱Qは伝達され、伝熱板390に接続された磁気遮蔽体380のヒーター330に対向する壁部380bに向かって、伝熱板390に伝達された熱Qが伝達、移動される。
続いて、磁気遮蔽体380の壁部380bに伝達された熱Qは、伝熱部360の基部360aのY(−)側端部から伝達される熱Q1、および基部360aの外周面から伝達される熱Q2となって伝熱部360に伝達される。基部360aに伝達された熱Q1,Q2は、伝熱部360内を伝達し、一部は各壁部360b,360c,360d,360eへ伝達、移動される。各壁部360b,360c,360d,360eに到達した熱Q1,Q2は、次のようにガスセル310に伝達される。
まず、基部360aから、第1凹部360f(図6参照)の底部に接続されたガスセル310の本体部311に、熱Q3として伝達される。ガスセル310に伝達された熱Q3以外の熱は、各壁部360b,360c,360d,360eに伝達され、熱Q4,Q5としてガスセル310の窓部312,313に伝達される。
上述したように、伝熱部360の第1凹部360fにガスセル310が挿入されている。この時、第1凹部360fの内部にガスセル310が挿入可能とするためには、製造の際のバラツキを考慮し、設計条件として第1凹部360fとガスセル310と、の間に隙間δh1を設けるようにする必要がある。仮に、設計上で隙間δh1を設けない場合、ガスセル310の外形が第1凹部360f内形より僅かでも大きく製造されると、小型化が望まれる原子発振器100では、ガスセル310自体の小型化が必須となり、その結果、ガスセル310の本体部311、あるいは窓部312,313は、より薄肉の材料から形成される。更に上述したように、本体部311、窓部312,313はガラスなどの、いわゆる脆性材料を用いていることから、わずかな応力で破損、破壊が生じ易くなってしまう。
従って、設計段階から隙間δh1を設けることが必要であった。ここでδh1は、図5に示すX軸方向の、壁部360bとガスセル310の窓部312との隙間δh11、壁部360dとガスセル310の窓部313との隙間δh12とすると、
δh1=δh11+δh12
で表され、
0≦δh11≦δh1
0≦δh12≦δh1
である。
図5に図示する熱Q4の伝達経路の場合、壁部360b,360dから隙間δh11,δh12を介してガスセル310の窓部312,313に熱Q4が伝達されることとなる。この場合、隙間δh11,δh12は、空気などのガスセル310周囲の気体環境の気体が存在している。空気の場合には、周知の通り熱伝導率は極めて低く、むしろ断熱性を備えている。従って、伝熱部360から、ガスセル310へ、熱伝達ロスを抑制させながら熱を伝達させるために、熱伝導性弾性部材としての伝熱部材511,512が隙間δh11,δh12に装着されている。
図5に示すA−A´部の断面を図7に示す。図7に示すように、上述した隙間δh11,δh12に加えて、Z軸方向にも壁部360cとガスセル310との間に隙間δh21と、壁部360eとガスセル310との間に隙間δh22と、が設定されている。設計段階でのZ軸方向の隙間δh2とすると、
δh2=δh21+δh22
0≦δh21≦δh2
0≦δh22≦δh2
で表される。
そして、隙間δh11には伝熱部材511が、隙間δh12には伝熱部材512が、隙間δh21には伝熱部材513が、隙間δh22には伝熱部材514が、装着されている。伝熱部材511,512,513,514は弾性を有し、かつ熱伝導性を有する材料、例えばシリコンゴム、金属フィラー入りゴム、などが好適に用いられる。すなわち、伝熱部材511,512,513,514を介して各壁部360b,360c,360d,360eからガスセル310に熱を伝達させるためには、伝熱部材511,512,513,514は、各壁部360b,360c,360d,360eとガスセル310とを、密着させることで効率よく熱伝達が行える。従って、伝熱部材511,512,513,514が弾性を有することで、伝熱部材511,512,513,514が常態として各壁部360b,360c,360d,360eと、ガスセル310と、を押圧するように作用し、密着させることができる。
このように、伝熱部材511,512,513,514を備えることによって、図5に矢印で示す熱Q5の伝熱経路で表されるように、伝熱部材511,512,513,514を介して各壁部360b,360c,360d,360eからガスセル310に熱伝達ロスを軽減して、効率よく熱を供給することができる。
吸熱部370は、図5に示すように、ガスセル310の外側に配置されている。吸熱部370は、少なくとも磁気遮蔽体380より熱伝導率の高い材料で構成されており、ガスセル310における余剰熱量を、磁気遮蔽体380を介して磁気遮蔽体380の外部へ放熱する。
図8は、吸熱部370の外観斜視図である。図8に示すように、吸熱部370は、Y軸方向を厚さ方向とし、Y軸方向からみたとき四角形の板状をなす基部370aと、基部370aの縁部からY(−)方向に立設した4つのガスセル収納壁となる壁部370b,370c,370d,370eとに分けることができる。壁部370bと壁部370dとは、Z軸方向に対向しており、壁部370bがZ(+)側に位置し、壁部370dがZ(−)側に位置している。また、壁部370cと壁部370eとは、X軸方向に対向しており、壁部370cがX(+)側に位置し、壁部370eがX(−)側に位置している。そして、壁部370b,370c,370d,370eの隣り合う壁部は互いに連結されており、全体として筒状をなしている。また、基部370aと各壁部370b,370c,370d,370eとで囲まれた部分は、ガスセル310の一部が挿入されるガスセル収納部となる第1凹部370fとなっている。なお、本実施形態に係る吸熱部370では、壁部370b,370c,370d,370eは枠状に形成されている形態を例示するが、これに限定されない。壁部はガスセル310が収容可能であれば、壁部370b,370c,370d,370eが互いに接続されていなくてもよい。
また、基部370aのY(+)側の端部にX軸に沿って、壁部370cと壁部370eとの外端部には、Y軸方向に沿って第2凹部370gが形成されている。第2凹部370gは図5にも示すように、伝熱部360と吸熱部370との外周に巻かれているコイル350が配設される部分である。第2凹部370gにコイル350の一部を配設させることにより、原子発振器100の小型化を図ることができる。
また、基部370aには、ガスセル310の突出部311bが挿通される貫通孔370hが形成されている。貫通孔370hに挿通される突出部311bの熱は、貫通孔370hの内周面を介して吸熱部370に伝達される。従って、吸熱部370の貫通孔370hに突出部311bが挿通されることで、突出部311bの冷却が促進され、ガスセル310内のアルカリ原子の余剰分が突出部311bの液だまり部311c内に結露しやすくなり、原子発振器100を安定して発振させることができる。なお、貫通孔370hは、第1凹部370f側に開口を有する凹部であってもよく、その場合には突出部311bと干渉しない深さを備えている。
上述した吸熱部370を介して、ガスセル310から磁気遮蔽体380の外部への熱伝達について説明する。図5に示すように、ヒーター330において発生させた熱Qは、伝熱板390、伝熱部360、伝熱部材511,512,513,514、ガスセル310と伝達されガスセル310は所望の温度に維持される。しかし、原子発振器100の設置場所における外部環境、特に高温環境においては、ガスセル310は所望の温度を超えて温度上昇する場合がある。
温度上昇したガスセル310から、余剰な熱を吸熱し、磁気遮蔽体380を介して磁気遮蔽体380の外部に放熱する手段が吸熱部370である。ガスセル310の余剰熱は、吸熱部370に伝達されるが、伝熱部360と同様に、吸熱部370の第1凹部370fにガスセル310が挿入されている。
まず、第1凹部370f(図8参照)の底部に接続されたガスセル310の本体部311から基部370aに、熱Q6として吸熱部370伝達される。ガスセル310から吸熱部370に伝達された熱Q6以外の熱は、各壁部370b,370c,370d,370eに伝達され、熱Q7,Q8として吸熱部370に伝達される。
この時、第1凹部370fの内部にガスセル310が挿入可能とするためには、製造の際のバラツキを考慮し、設計条件として第1凹部370fとガスセル310と、の間に隙間δc1を設けるようにする必要がある。仮に、設計上で隙間δc1を設けない場合、ガスセル310の外形が第1凹部370fの内形より僅かでも大きく製造されると、小型化が望まれる原子発振器100では、ガスセル310自体の小型化が必須となり、その結果、ガスセル310の本体部311、あるいは窓部312,313は、より薄肉の材料から形成される。更に上述したように、本体部311、窓部312,313はガラスなどの、いわゆる脆性材料を用いていることから、わずかな応力で破損、破壊が生じ易くなってしまう。
従って、設計段階から隙間δc1を設けることが必要であった。ここでδc1は、図5に示すX軸方向の、壁部370bとガスセル310の窓部312との隙間δc11、壁部370dとガスセル310の窓部313との隙間δc12とすると、
δc1=δc11+δc12
で表され、
0≦δc11≦δc1
0≦δc12≦δc1
である。
図5に図示する熱Q7の伝達経路の場合、壁部370b,370dに、隙間δc11,δc12を介してガスセル310の窓部312,313から熱Q7が伝達されることとなる。この場合、隙間δc11,δc12は、空気などのガスセル310周囲の気体環境の気体が存在している。空気の場合には、周知の通り熱伝導率は極めて低く、むしろ断熱性を備えている。従って、ガスセル310から、吸熱部370へ、熱伝達ロスを抑制させながら熱を伝達させるために、熱伝導性弾性部材としての伝熱部材611,612が隙間δc11,δc12に装着されている。
図5に示すB−B´部の断面を図9に示す。図9に示すように、上述した隙間δc11,δc12に加えて、Z軸方向にも壁部370cとガスセル310との間に隙間δc21と、壁部370eとガスセル310との間に隙間δc22と、が設定されている。設計段階でのZ軸方向の隙間δc2とすると、
δc2=δc21+δc22
0≦δc21≦δc2
0≦δc22≦δc2
で表される。
そして、隙間δc11には伝熱部材611が、隙間δc12には伝熱部材612が、隙間δc21には伝熱部材613が、隙間δc22には伝熱部材614が、装着されている。伝熱部材611,612,613,614は弾性を有し、かつ熱伝導性を有する材料、例えばシリコンゴム、金属フィラー入りゴム、などが好適に用いられる。すなわち、伝熱部材611,612,613,614を介してガスセル310から各壁部370b,370c,370d,370eに熱を伝達させるためには、伝熱部材611,612,613,614が、ガスセル310と各壁部370b,370c,370d,370eとに、密着させることで効率よく熱伝達が行える。従って、伝熱部材611,612,613,614が弾性性を有することで、伝熱部材611,612,613,614が常態として各壁部370b,370c,370d,370eと、ガスセル310と、を押圧するように作用し、密着させることができる。
このように、伝熱部材611,612,613,614を備えることによって、図5に矢印で示す熱Q8の伝熱経路で表されるように、伝熱部材611,612,613,614を介して各壁部370b,370c,370d,370eへガスセル310からの熱伝達ロスを軽減して、効率よく熱を供給することができる。
また、ガスセル310の本体部311に設けられた突出部311bは、吸熱部370の貫通孔370hに挿通され、突出部311bから熱Q9が貫通孔370hの内周面を介して吸熱部370に熱伝達される。このように、ガスセル310から熱Q6,Q7,Q8,Q9のそれぞれの経路を経て吸熱部370に伝達された熱は、吸熱部370から磁気遮蔽体380に熱Q10となって、磁気遮蔽体380の外部に放熱され、ガスセル310の余剰熱が除去され、ガスセル310が所定の温度に維持され、安定した発振性を有する原子発振器100を得ることができる。
図10は図5に示す原子発振器100に備えるガスセル310のC−C´線に沿った内部温度分布を説明する模式図である。図10に示すように、伝熱部360と、吸熱部370と、はガスセル310を介して、Y軸方向に対向させて配置される。そして、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、吸熱部370の壁部370b,370c,370d,370eと、を離間させるように伝熱部360の第1凹部360f、および吸熱部370の第1凹部370f(図6、図8参照)のガスセル310の挿入量が設定され、離間距離Hが設けられる。
離間距離Hを設けることにより、伝熱部360から吸熱部370への直接熱移動が防止でき、更に離間させることで伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、吸熱部370の壁部370b,370c,370d,370eと、の間に、例えば空気などの気体領域が形成され、断熱部として作用させることができる。また、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、磁気遮蔽体380の内壁とは空間部Jを設ける。空間部Jは、空気などの気体が断熱部材として機能し、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eから磁気遮蔽体380への熱移動を防止することができ、伝熱部360からガスセル310への熱伝達ロスを抑制することができる。
ガスセル310の温度分布は、図10に示すように伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eから伝達されたヒーター330からの熱によって、励起光LLの透過領域、すなわち伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eによって覆われるDh領域においてアルカリ金属原子数を所望の数、存在させることを可能とする所定温度Tsに維持させることができる。
しかし、ガスセル310内に余剰なアルカリ金属原子が存在した場合、例えばガスセル310の窓部312,313に結露し、励起光LLの透過を妨げる虞がある。そこで、ガスセル310内における励起光LLの透過領域を除く領域に、余剰アルカリ金属原子を結露させ、励起光LLの透過領域でのアルカリ金属原子数を安定させるため、結露領域を形成させる吸熱部370が備えられる。
所定温度Tsが維持される伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eで覆われたDh領域に隣り合う離間距離HのDd領域では、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、吸熱部370の壁部370b,370c,370d,370eと、の間に形成される空間部にガスセル310から放熱され、所定温度Tsから温度低下t1分、温度下降する。
更に、吸熱部370の壁部370b,370c,370d,370eで覆われたDc1領域では、上述したように、吸熱部370の壁部370b,370c,370d,370eがガスセル310から吸熱し、温度低下t2分、温度下降させる。これによって、吸熱部370の壁部370b,370c,370d,370eで覆われたDc1領域が、アルカリ金属原子の余剰分の結露領域として形成される。
加えて、ガスセル310の本体部311に設けられた突出部311bが挿通される吸熱部370の貫通孔370hによって囲われるDc2領域では、更に、突出部311bから貫通孔370hを経て吸熱部370へ熱伝達され、Dc1領域より更に温度低下t3分、温度下降し、液だまり部311cにアルカリ金属原子の余剰分を結露させて保持させる。
上述の図5に示す原子発振器100は、4個の伝熱部材511,512,513,514が、ガスセル310と、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、の隙間に配設される形態であるが、これに限定されない。図11,12,13,14は図7に示すガスセル310と、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、の隙間に配置される伝熱部材511,512,513,514のその他の形態を示す断面図であり、図5に示すA−A´部の断面に相当する図である。
図11に示すように、ガスセル310を、伝熱部360の壁部360dに向けてX(−)方向に押圧する伝熱部材521と、ガスセル310を、伝熱部360の壁部360eに向けてZ(+)方向に押圧する伝熱部材522と、を備えていてもよい。図11に示すように伝熱部材521,522を配置させた場合、ガスセル310の外面の一部は、壁部360e、あるいは壁部360dと直接接触して熱的接続が確保される。
図7に示した構成では、伝熱部材511,512,513,514の4部品によって、それぞれを伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、ガスセル310と、で形成される隙間δh11,δh12,δh21,δh22に配置させていたが、図12に示すように、伝熱部材511,512,513,514を一体的に形成させた、いわゆるパッキンの形態を備える伝熱部材530であってもよい。このように、一体的な伝熱部材530を用いることで、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、ガスセル310と、を切れ目なく熱的な接続を得ることができる。
図13に示す形態は、X軸方向に伝熱部360の壁部360bとガスセル310の窓部312と、の間に伝熱部材541が配設され、伝熱部360の壁部360dとガスセル310の窓部313と、の間に伝熱部材542が配設されている。言い換えると、ガスセル310と、伝熱部360のX軸方向に対向配置された壁部360b,360dによって伝熱部材541,542を挟持されている。また、図14に示す形態では、ガスセル310のX軸方向の一方の窓部313が伝熱部360の壁部360dに直接、熱的に接続され、他方の窓部312と、伝熱部360の壁部360bと、の間に伝熱部材550が配設されている。
図13,14に示す伝熱部材541,542,550の配置によれば、図示されないが、図5に示す励起光LLの光軸に沿った、すなわちX軸に沿った方向に伝熱部360の壁部360b,360dからガスセル310に対して熱伝達される。従って、少ない伝熱部材数であっても、励起光LLの光軸に沿った透過領域を効果的に加熱させることができ、原子発振器100の発振特性を安定させることができる。
なお、上述したが、図7に示す伝熱部材511,512,513,514、図11に示す伝熱部材521,522、図12に示す伝熱部材530は、熱伝導性を有する弾性部材、例えばシリコンゴムによって、シート状の形状に形成して、ガスセル310と、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、の間に挟持して配置させることができる。また、凝固することで熱伝導性と弾性を備えるゴム系充填剤を、ガスセル310と、伝熱部360の壁部360b,360c,360d,360eと、の間に充填した後、凝固させてもよい。
上述は、伝熱部360における伝熱部材の配置のその他の形態を説明したが、吸熱部370においても、同様に伝熱部材(図9に示す、伝熱部材611,612,613,614)の配置を、伝熱部360と同様に、図11,12,13,14に示す配置形態であってもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態として、第1実施形態に係る原子発振器100を備える電子機器の一例としてGPS衛星を利用した測位システムを説明する。図15は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明に係る原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図15に示す測位システム1000は、GPS衛星1100と、基地局装置1200と、GPS受信装置1300とで構成されている。GPS衛星1100は、測位情報(GPS信号)を送信する。基地局装置1200は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ1201を介してGPS衛星1100からの測位情報を高精度に受信する受信装置1202と、この受信装置1202で受信した測位情報をアンテナ1203を介して送信する送信装置1204とを備える。
ここで、受信装置1202は、その基準周波数発振源として前述した本発明に係る第1実施形態の原子発振器100を備える電子装置である。このような受信装置1202は、優れた信頼性を有する。また、受信装置1202で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置1204により送信される。GPS受信装置1300は、GPS衛星1100からの測位情報を、アンテナ1301を介して受信する衛星受信部1302と、基地局装置1200からの測位情報を、アンテナ1303を介して受信する基地局受信部1304とを備える。
(第3実施形態)
第3実施形態として、第1実施形態に係る原子発振器100を備える電子機器の一例としてクロック伝送システムを説明する。図16は、クロック伝送システムに本発明に係る原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図16に示すクロック伝送システム2000は、時分割多重方式のネットワーク内の各装置のクロックを一致させるものであって、N(Normal)系およびE(Emergency)系の冗長構成を有するシステムである。
このクロック伝送システム2000は、A局(上位(N系))のクロック供給装置(CSM:Clock Supply Module)2001およびSDH(Synchronous Digital Hierarchy)装置2002と、B局(上位(E系))のクロック供給装置2003およびSDH装置2004と、C局(下位)のクロック供給装置2005およびSDH装置2006,2007とを備える。クロック供給装置2001は、原子発振器100を有し、N系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置2001内の原子発振器100は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック2008,2009からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置2002は、クロック供給装置2001からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、N系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置2005に伝送する。クロック供給装置2003は、原子発振器100を有し、E系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置2003内の原子発振器100は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック2008,2009からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置2004は、クロック供給装置2003からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、E系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置2005に伝送する。クロック供給装置2005は、クロック供給装置2001,2003からのクロック信号を受信し、その受信したクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。
ここで、クロック供給装置2005は、通常、クロック供給装置2001からのN系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。そして、N系に異常が発生した場合、クロック供給装置2005は、クロック供給装置2003からのE系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。このようにN系からE系に切り換えることにより、安定したクロック供給を担保し、クロックパス網の信頼性を高めることができる。SDH装置2006は、クロック供給装置2005からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。同様に、SDH装置2007は、クロック供給装置2005からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。これにより、C局の装置をA局またはB局の装置と同期させることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態として、第1実施形態に係る原子発振器100を備える移動体の一例として自動車を例に説明する。図17は、移動体としての自動車に本発明に係る原子発振器を用いた場合の概略構成を示す斜視図である。
図17に示す移動体としての自動車3000は、車体3001と、4つの車輪3002とを有しており、車体3001に設けられた図示しない動力源によって車輪3002を回転させるように構成されている。このような自動車3000には、原子発振器100が内蔵されている。そして、原子発振器100からの発振信号に基づいて、例えば、図示しない制御部が動力源の駆動を制御する。
なお、本発明の原子発振器を組み込む電子機器または移動体は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、デジタルスチールカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
以上、本発明の原子発振器について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、前述した実施形態の各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
100…原子発振器、200…第1ユニット、300…第2ユニット、310…ガスセル、320…光検出部、330…ヒーター、340…温度センサー、350…コイル、360…伝熱部、370…吸熱部、380…磁気遮蔽体、390…伝熱板。

Claims (4)

  1. 金属原子が封入されているガスセルと、
    前記ガスセルを加熱する加熱部と、
    前記ガスセルと前記加熱部との間に位置し、前記ガスセルに熱的に接続され、前記加熱部から発生する熱を前記ガスセルに伝達する伝熱部と、
    前記伝熱部と離間して前記ガスセルに熱的に接続され、前記ガスセルの熱を吸熱する吸熱部と、を備えている原子発振器であって、
    前記伝熱部は、前記ガスセルの外側に配置されるガスセル収納壁を備えるガスセル収納部を有し、
    前記ガスセルと、前記伝熱部の前記ガスセル収納壁と、によって形成される間隙に挟持される熱伝導性弾性部材を備えている、
    ことを特徴とする原子発振器。
  2. 前記熱伝導性弾性部材は、ゴム系の接着剤、パッキン、もしくはシート片であることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
  3. 前記熱伝導弾性部材は、ゴム系充填剤であることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
  4. 前記ガスセル内を透過する磁場を発生させるコイルを備え、
    前記ガスセルと、前記伝熱部と、前記吸熱部と、前記コイルと、を内部に収納する磁気遮蔽体を備え、
    前記伝熱部と、前記吸熱部と、が前記磁気遮蔽体と熱的に接続され、
    前記加熱部は、前記磁気遮蔽体の外部と熱的に接続されている、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の原子発振器。
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