JP6337464B2 - 量子干渉装置、原子発振器、および電子機器 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器、および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一般に、原子発振器の動作原理は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した方式と、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した方式とに大別されるが、量子干渉効果を利用した原子発振器は、二重共鳴現象を利用した原子発振器よりも小型化できることから、近年、様々な機器への搭載が期待されている。
量子干渉効果を利用した原子発振器は、例えば、特許文献1に開示されているように、ガス状の金属原子を封入したガスセルと、ガスセル中の金属原子に周波数の異なる2種の共鳴光を含むレーザー光を照射する半導体レーザーと、ガスセルを透過したレーザー光を検出する光検出器と、を備えている。そして、このような原子発振器では、2種類の共鳴光の周波数差が特定の値のときに2種類の共鳴光の双方がガスセル内の金属原子に吸収されずに透過する電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象を生じるが、そのEIT現象に伴って発生する急峻な信号であるEIT信号を光検出器で検出する。
ここで、光検出器による検出精度を高める観点から、EIT信号は、線幅(半値幅)が小さいことが好ましい。そこで、ガスセル内にレーザー光の光軸に沿った方向の磁場を発生させるコイルを設けることが行われる。かかるコイルを設けることにより、ゼーマン分裂により、ガスセル内に存在するアルカリ金属の原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させ、EIT信号の線幅を小さくすることができる。
さらに、ガスセル内の磁場の安定性を向上するために、ガスセルおよびコイルをシールドケース内に収納することも行われる(例えば、特許文献2および3参照)。特許文献2には、シールドケースを具体的にどのようにして形成するかについての開示はない。一方、特許文献3には、板金を折り曲げることにより、シールドケースを形成することが開示されている。しかし、板金を単に折り曲げただけでは、板金の縁部同士が近接または接触する部分では、シールドケースの厚さを十分に確保することができない。このため、シールドケースのシールド効果が低下するという問題がある。
特開2009−164331号公報 特開2010−287937号公報 特開2009−302118号公報
本発明の目的は、ガスセルの内部空間の磁場を安定させることにより、EIT信号の線幅を小さくして優れた周波数安定度を実現した量子干渉装置および原子発振器を提供すること、また、かかる量子干渉装置を備える信頼性に優れた電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の量子干渉装置は、金属原子が封入されている内部空間を有するガスセルと、
前記金属原子に共鳴するための共鳴光対を含む光を前記内部空間に向けて出射する光出射部と、
前記ガスセルの外周を囲むように設けられたコイルと、
前記ガスセルおよび前記コイルを収納し、金属材料を含むシールドケースと、
を備え、
前記シールドケースは、複数の板状部で構成され、前記複数の板状部のうちの隣り合う2つの前記板状部のうち、一方の前記板状部の主面と、他方の前記板状部の側面とが対向していることを特徴とする。
本発明の量子干渉装置によれば、シールドケースを用いることにより、ガスセルの内部空間の磁場を安定させることができ、EIT信号の線幅をより小さくして優れた周波数安定度を実現することができる。
[適用例2]
本発明の量子干渉装置では、前記主面は、前記コイルの軸方向と交わっていることが好ましい。
これにより、ガスセルの内部空間の磁場をより安定させることができ、EIT信号の線幅をさらに小さくしてより優れた周波数安定度を実現することができる。
[適用例3]
本発明の量子干渉装置では、前記複数の板状部は、5つの前記板状部を有することが好ましい。
これにより、ガスセルおよびコイルを簡単な構成で覆うことができる。
[適用例4]
本発明の量子干渉装置では、前記シールドケースは、1枚の板材が折り曲げられている前記複数の板状部を有することが好ましい。
これにより、シールドケースの構成の簡素化を図り、その小型化にも寄与する。
[適用例5]
本発明の量子干渉装置では、前記主面と前記側面とが対向する部分が接合されていることが好ましい。
これにより、外部磁場がシールドケース内に侵入するのを確実に防止して、ガスセルの内部空間の磁場を、より安定させることができる。
[適用例6]
本発明の量子干渉装置では、前記金属材料は、軟磁性材料を含むことが好ましい。
これにより、シールドケースによるシールド効果をより向上させることができる。
[適用例7]
本発明の量子干渉装置では、前記軟磁性材料は、パーマロイであることが好ましい。
これにより、シールドケースによるシールド効果を特に向上させることができる。
[適用例8]
本発明の原子発振器は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、ガスセルの内部空間の磁場を安定させることにより、EIT信号の線幅を小さくして優れた周波数安定度を実現した原子発振器を提供することができる。
[適用例9]
本発明の電子機器は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器を提供することができる。
[適用例10]
本発明の移動体は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する移動体を提供することができる。
本発明の原子発振器の概略構成を示す模式図である。 アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 光出射部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。 図1に示す原子発振器の分解斜視図である。 図1に示す原子発振器の縦断面図である。 図1に示す原子発振器が備える光出射部およびガスセルを説明するための模式図である。 第1実施形態のガスセル組立体の概略構成を示す斜視図(一部破断して示す。)である。 図7中のX−X線断面図である。 図7に示すシールドケースの展開図である。 第2実施形態のガスセル組立体の図8に対応する断面図である。 第3実施形態のガスセル組立体の図8に対応する断面図である。 第4実施形態のガスセル組立体の図8に対応する断面図である。 第5実施形態のガスセル組立体の概略構成を示す斜視図(一部破断して示す。)である。 図13に示すシールドケースの展開図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合のシステム構成概要図である。 本発明の移動体の一例を示す図である。 従来のシールドケースを用いたガスセル組立体の図8に対応する断面図である。
以下、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
図1は、本発明の原子発振器の概略構成を示す模式図である。また、図2は、アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図3は、光出射部から出射される2つの光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。
図1に示す原子発振器(量子干渉装置)1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。
この原子発振器1は、図1に示すように、光出射側のユニットである第1ユニット2と、光検出側のユニットである第2ユニット3と、ユニット2、3間に設けられた光学部品41、42、43と、第1ユニット2および第2ユニット3を制御する制御部6と、を備える。
ここで、第1ユニット2は、光出射部21と、光出射部21を収納する第1パッケージ22とを備える。
また、第2ユニット3は、ガスセル31と、光検出部32と、ヒーター33と、温度センサー34と、コイル35と、これらを収納する第2パッケージ36とを備える。また、ガスセル31とコイル35とがシールドケース9内に収納されている。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
図1に示すように、原子発振器1では、光出射部21がガスセル31に向けて励起光LLを出射し、ガスセル31を透過した励起光LLを光検出部32が検出する。
ガスセル31内には、ガス状のアルカリ金属(金属原子)が封入されており、アルカリ金属は、図2に示すように、3準位系のエネルギー準位を有し、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
光出射部21から出射された励起光LLは、周波数の異なる2種の共鳴光1、2を含んでおり、この2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射したとき、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
例えば、光出射部21が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部32の検出強度は、図3に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を用いることにより、発振器を構成することができる。
以下、本実施形態の原子発振器1の具体的な構成について説明する。
図4は、図1に示す原子発振器の分解斜視図、図5は、図1に示す原子発振器の縦断面図である。
なお、図4および図5(図7、図8、図10〜図13および図17において同様)では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、その図示された各矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」とする。また、以下では、説明の便宜上、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」といい、また、+Z方向側(各図の上側)を「上」、−Z方向側(各図の下側)を「下」という。
原子発振器1は、図4に示すように、制御部6が実装され、第1ユニット2、第2ユニット3および光学部品41、42、43を保持する配線基板5(保持部材)と、第1ユニット2および第2ユニット3と配線基板5とを電気的に接続するコネクター71、72とを備える。
そして、第1ユニット2および第2ユニット3は、配線基板5の配線(図示せず)およびコネクター71、72を介して制御部6に電気的に接続され、制御部6により駆動制御される。
以下、原子発振器1の各部を順次詳細に説明する。
(第1ユニット)
前述したように、第1ユニット2は、光出射部21と、光出射部21を収納する第1パッケージ22とを備える。
[光出射部]
光出射部21は、ガスセル31中のアルカリ金属原子を励起する励起光LLを出射する機能を有する。
より具体的には、光出射部21は、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を含む光を励起光LLとして出射するものである。
共鳴光1の周波数ω1は、ガスセル31中のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態に励起(共鳴)し得るものである。
また、共鳴光2の周波数ω2は、ガスセル31中のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態に励起(共鳴)し得るものである。
この光出射部21としては、前述したような励起光LLを出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
また、このような光出射部21は、図示しない温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子等)により、所定温度に温度調節される。
[第1パッケージ]
第1パッケージ22は、前述した光出射部21を収納する。
この第1パッケージ22は、図5に示すように、基体221(第1基体)と、蓋体222(第1蓋体)とを備える。
基体221は、光出射部21を直接的または間接的に支持する。本実施形態では、基体221は、板状をなし、平面視で円形をなしている。
そして、この基体221の一方の面(実装面)には、光出射部21(実装部品)が設置(実装)される。また、基体221の他方の面には、図5に示すように、複数のリード223が突出している。この複数のリード223は、図示しない配線を介して光出射部21に電気的に接続されている。
このような基体221には、基体221上の光出射部21を覆う蓋体222が接合されている。
蓋体222は、一端部が開口した有底筒状をなしている。本実施形態では、蓋体222の筒状部は、円筒状をなす。
この蓋体222の一端部の開口は、前述した基体221により塞がれている。
そして、蓋体222の他端部、すなわち蓋体222の開口とは反対側の底部には、窓部23が設けられている。
この窓部23は、ガスセル31と光出射部21との間の光軸(励起光LLの軸a)上に設けられている。
そして、窓部23は、前述した励起光LLに対して透過性を有する。
本実施形態では、窓部23は、レンズである。これにより、励起光LLを無駄なくガスセル31へ照射することができる。
また、窓部23は、励起光LLを平行光とする機能を有する。すなわち、窓部23はコリメートレンズであり、内部空間Sにおける励起光LLは平行光である。これにより、内部空間Sに存在するアルカリ金属の原子のうち、光出射部21から出射した励起光LLにより共鳴するアルカリ金属の原子の数を多くすることができる。その結果、EIT信号の強度を高めることができる。
なお、窓部23は、励起光LLに対する透過性を有するものであれば、レンズに限定されず、例えば、レンズ以外の光学部品であってもよいし、単なる光透過性の板状部材であってもよい。この場合、前述したような機能を有するレンズは、例えば、後述する光学部品41、42、43と同様、第1パッケージ22および第2パッケージ36との間に設けられていてもよい。
このような蓋体222の窓部23以外の部分の構成材料としては、特に限定されず、例えば、セラミックス、金属、樹脂等を用いることができる。
ここで、蓋体222の窓部23以外の部分が励起光に対して透過性を有する材料で構成されている場合、蓋体222の窓部23以外の部分と窓部23と一体的に形成することができる。また、蓋体222の窓部23以外の部分が励起光に対して透過性を有しない材料で構成されている場合、蓋体222の窓部23以外の部分と窓部23とを別体で形成し、これらを公知の接合方法により接合すればよい。
また、基体221と蓋体222とは気密的に接合されているのが好ましい。すなわち、第1パッケージ22内が気密空間であることが好ましい。これにより、第1パッケージ22内を減圧状態または不活性ガス封入状態とすることができ、その結果、原子発振器1の特性を向上させることができる。
また、基体221と蓋体222との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
なお、基体221と蓋体222との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。
また、第1パッケージ22内には、前述した光出射部21以外の部品が収納されていてもよい。
例えば、第1パッケージ22内には、光出射部21の温度を調節する温度調節素子や温度センサー等が収納されていてもよい。かかる温度調節素子としては、例えば、発熱抵抗体(ヒーター)、ペルチェ素子等が挙げられる。
このような基体221および蓋体222を有して構成された第1パッケージ22によれば、光出射部21から第1パッケージ22外への励起光の出射を許容しつつ、光出射部21を第1パッケージ22内に収納することができる。
また、第1パッケージ22は、基体221が第2パッケージ36とは反対側に配置されるように、後述する配線基板5に保持されている。
(第2ユニット)
前述したように、第2ユニット3は、ガスセル31と、光検出部32と、ヒーター33と、温度センサー34と、コイル35と、これらを収納する第2パッケージ36とを備える。また、前述したように、ガスセル31とコイル35とがシールドケース9内に収納されている。
[ガスセル]
ガスセル31内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。また、ガスセル31内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。
例えば、ガスセル31は、図6に示すように、柱状の貫通孔311aを有する本体部311と、その貫通孔311aの両開口を封止する1対の窓部312、313とを有する。これにより、前述したようなアルカリ金属が封入される内部空間Sが形成されている。
本体部311を構成する材料としては、特に限定されず、金属材料、樹脂材料、ガラス材料、シリコン材料、水晶等が挙げられるが、加工性や窓部312、313との接合の観点から、ガラス材料、シリコン材料を用いるのが好ましい。
このような本体部311には、窓部312、313が気密的に接合されている。これにより、ガスセル31の内部空間Sを気密空間とすることができる。
本体部311と窓部312、313との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
また、窓部312、313を構成する材料としては、前述したような励起光LLに対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、シリコン材料、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
このような各窓部312、313は、前述した光出射部21からの励起光LLに対する透過性を有している。そして、一方の窓部312は、ガスセル31内へ入射する励起光LLが透過するものであり、他方の窓部313は、ガスセル31内から出射した励起光LLが透過するものである。
また、ガスセル31は、ヒーター33により加熱され、所定温度に温度調節される。
[光検出部]
光検出部32は、ガスセル31内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
この光検出部32としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[ヒーター]
ヒーター33は、前述したガスセル31(より具体的にはガスセル31中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、ガスセル31中のアルカリ金属を所望濃度のガス状に維持することができる。
このヒーター33は、通電により発熱するものであり、例えば、ガスセル31の外表面上に設けられた発熱抵抗体で構成されている。このような発熱抵抗体は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成される。
ここで、かかる発熱抵抗体は、ガスセル31の励起光LLの入射部または出射部に設けられる場合、励起光に対する透過性を有する材料、具体的には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等の透明電極材料で構成される。
なお、ヒーター33は、ガスセル31を加熱することができるものであれば、特に限定されず、ガスセル31に対して非接触であってもよい。また、ヒーター33に代えて、または、ヒーター33と併用して、ペルチェ素子を用いて、ガスセル31を加熱してもよい。
このようなヒーター33は、後述する制御部6の温度制御部62に電気的に接続され、通電制御される。
[温度センサー]
温度センサー34は、ヒーター33またはガスセル31の温度を検出するものである。そして、この温度センサー34の検出結果に基づいて、前述したヒーター33の発熱量が制御される。これにより、ガスセル31内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
なお、温度センサー34の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヒーター33上であってもよいし、ガスセル31の外表面上であってもよい。
温度センサー34としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
このような温度センサー34は、図示しない配線を介して、後述する制御部6の温度制御部62に電気的に接続されている。
[コイル]
コイル35は、通電により、内部空間Sに励起光LLの軸aに沿った方向(平行な方向)の磁場を発生させる機能を有する。これにより、ゼーマン分裂により、内部空間Sに存在するアルカリ金属の原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させ、EIT信号の線幅を小さくすることができる。
なお、コイル35が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。
このコイル35の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヘルムホルツ型を構成するように1対のコイルをガスセル31を介して対向させてもよいが、本実施形態では、ソレノイド型を構成するようにガスセル31の外周に沿って巻回して設けられている。かかる構成については、後に詳述する。
このコイル35は、図示しない配線を介して、後述する制御部6の磁場制御部63に電気的に接続されている。これにより、コイル35に通電を行うことができる。
[第2パッケージ]
第2パッケージ36は、前述したガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35を収納する。
この第2パッケージ36は、前述した第1ユニット2の第1パッケージ22と同様に、構成されている。
具体的には、第2パッケージ36は、図5に示すように、基体361(第2基体)と、蓋体362(第2蓋体)とを備える。
基体361は、ガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35を直接的または間接的に支持する。本実施形態では、基体361は、板状をなし、平面視で円形をなしている。
そして、この基体361の一方の面(実装面)には、ガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35(複数の実装部品)が設置(実装)される。また、基体361の他方の面には、図5に示すように、複数のリード363が突出している。この複数のリード363は、図示しない配線を介して光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35に電気的に接続されている。
このような基体361には、基体361上のガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35を覆う蓋体362が接合されている。
蓋体362は、一端部が開口した有底筒状をなしている。本実施形態では、蓋体362の筒状部は、円筒状をなす。
この蓋体362の一端部の開口は、前述した基体361により塞がれている。
そして、蓋体362の他端部、すなわち蓋体362の開口とは反対側の底部には、窓部37が設けられている。
この窓部37は、ガスセル31と光出射部21との間の光軸(軸a)上に設けられている。
そして、窓部37は、前述した励起光に対して透過性を有する。
本実施形態では、窓部37は、光透過性を有する板状部材で構成されている。
なお、窓部37は、励起光に対する透過性を有するものであれば、光透過性を有する板状部材に限定されず、例えば、レンズ、偏光板、λ/4波長板等の光学部品であってもよい。
このような蓋体362の窓部37以外の部分の構成材料としては、特に限定されず、例えば、セラミックス、金属、樹脂等を用いることができる。
ここで、蓋体362の窓部37以外の部分が励起光に対して透過性を有する材料で構成されている場合、蓋体362の窓部37以外の部分と窓部37と一体的に形成することができる。また、蓋体362の窓部37以外の部分が励起光に対して透過性を有しない材料で構成されている場合、蓋体362の窓部37以外の部分と窓部37とを別体で形成し、これらを公知の接合方法により接合すればよい。
また、基体361と蓋体362とは気密的に接合されているのが好ましい。すなわち、第2パッケージ36内が気密空間であることが好ましい。これにより、第2パッケージ36内を減圧状態または不活性ガス封入状態とすることができ、その結果、原子発振器1の特性を向上させることができる。
また、基体361と蓋体362との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
なお、基体361と蓋体362との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。
また、第2パッケージ36内には、少なくともガスセル31、光検出部32およびコイル35が収納されていればよく、また、前述したガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35以外の部品が収納されていてもよい。
このような基体361および蓋体362を有して構成された第2パッケージ36によれば、光出射部21からの励起光の第2パッケージ36内への入射を許容しつつ、ガスセル31、光検出部32およびコイル35を第2パッケージ36内に収納することができる。したがって、前述したような第1パッケージ22と組み合わせて第2パッケージ36を用いることにより、光出射部21からガスセル31を介して光検出部32への励起光の光路を確保しつつ、光出射部21およびガスセル31を互いに非接触の別々のパッケージに収納することができる。
また、第2パッケージ36は、基体361が第1パッケージ22とは反対側に配置されるように、後述する配線基板5に保持されている。
(光学部品)
前述したような第1パッケージ22と第2パッケージ36との間には、複数の光学部品41、42、43が配置されている。この複数の光学部品41、42、43は、それぞれ、前述した第1パッケージ22内の光出射部21と、前述した第2パッケージ36内のガスセル31との間の光軸(軸a)上に設けられている。
また、本実施形態では、第1パッケージ22側から第2パッケージ36側へ、光学部品41、光学部品42、光学部品43の順に配置されている。
光学部品41は、λ/4波長板である。これにより、例えば、光出射部21からの励起光が直線偏光である場合、その励起光を円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
前述したようにコイル35の磁場によりガスセル31内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号が小さくなり、その結果、原子発振器1の発振特性の低下をもたらす。
これに対し、前述したようにコイル35の磁場によりガスセル31内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
本実施形態では、光学部品41は、円板状をなしている。そのため、後述するような形状の貫通孔53に係合した状態で光軸(軸a)に平行な軸線周りに光学部品41を回転させることができる。なお、光学部品41の平面視形状は、これに限定されず、例えば、四角形、五角形等の多角形をなしていてもよい。
このような光学部品41に対して第2ユニット3側には、光学部品42、43が配置されている。
光学部品42、43は、それぞれ、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、ガスセル31に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光出射部21の出力が大きい場合でも、ガスセル31に入射する励起光を所望の光量とすることができる。本実施形態では、前述した光学部品41により円偏光に変換された励起光の強度を光学部品42、43により調整する。
本実施形態では、光学部品42、43は、それぞれ、板状をなしている。また、光学部品42、43の平面視形状は、それぞれ、円形をなしている。そのため、後述するような形状の貫通孔53に係合した状態で光軸(軸a)に平行な軸線周りに光学部品42、43をそれぞれ回転させることができる。
なお、光学部品42、43の平面視形状は、これに限定されず、例えば、四角形、五角形等の多角形をなしていてもよい。
また、光学部品42および光学部品43は、互いに減光率が等しくてもよいし異なっていてもよい。
また、光学部品42、43は、それぞれ、上側と下側とで連続的または段階的に減光率の異なる部分を有していてもよい。この場合、光学部品42、43を配線基板5に対して上下方向での位置を調整することにより、励起光の減光率を調整することができる。
また、光学部品42、43は、それぞれ、周方向で連続的または断続的に減光率が異なる部分を有していてもよい。この場合、光学部品42、43を回転させることにより、励起光の減光率を調整することができる。なお、この場合、光学部品42、43の回転中心が軸aに対してずれていればよい。
なお、この光学部品42、43のうちのいずれか一方の光学部品を省略してもよい。また、光出射部21の出力が適度である場合、光学部品42、43の双方を省略することができる。
また、光学部品41、42、43は、前述した種類、配置順、数等に限定されない。例えば、光学部品41、42、43は、それぞれ、λ/4波長板または減光フィルターに限定されず、レンズ、偏光板等であってもよい。
(配線基板)
配線基板5は、図示しない配線を有し、かかる配線を介して、配線基板5に搭載された制御部6等の電子部品と、コネクター71、72とを電気的に接続する機能を有する。
また、配線基板5は、前述した第1パッケージ22、第2パッケージ36および複数の光学部品41、42、43を保持する機能を有する。
この配線基板5は、第1パッケージ22および第2パッケージ36が空間を介して互いに非接触な状態でこれらを保持する。これにより、光出射部21とガスセル31との間の熱干渉を防止または抑制し、光出射部21とガスセル31とを独立して高精度に温度制御することができる。
具体的に説明すると、図4に示すように、配線基板5は、その厚さ方向に貫通する貫通孔51、52、53、54、55が形成されている。
ここで、貫通孔51(第1貫通孔)は、配線基板5のX軸方向での一端部側に設けられ、貫通孔52(第2貫通孔)は、配線基板5のX軸方向での他端部側に設けられている。そして、貫通孔53、54、55(第3貫通孔)は、配線基板5の貫通孔51と貫通孔52との間に設けられている。
本実施形態では、貫通孔51、52、53、54、55は、互いに独立して形成されている。そのため、配線基板5の剛性を優れたものとすることができる。
そして、貫通孔51内には、第1パッケージ22の一部が上側から挿入され、これにより、第1パッケージ22は、配線基板5に対してX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向での位置決めがされている。
本実施形態では、貫通孔51のY軸方向での幅は、第1パッケージ22のY軸方向での幅(円筒部の直径)よりも小さい。そのため、第1パッケージ22は、その円筒部の中心軸が配線基板5に対して上側に位置した状態で、貫通孔51の縁部に係合(当接)する。
また、第1パッケージ22を貫通孔51の縁部に当接させることにより、第1パッケージ22と配線基板5との接触面積を小さくすることができる。これにより、第1パッケージ22と配線基板5との間の熱の伝達を抑制することができる。
同様に、貫通孔52内には、第2パッケージ36の一部が挿入され、これにより、第2パッケージ36は、配線基板5に対してX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向での位置決めがされている。また、第1パッケージ22と同様に、第2パッケージ36を貫通孔52の縁部に当接させることにより、第2パッケージ36と配線基板5との接触面積を小さくすることができる。これにより、第2パッケージ36と配線基板5との間の熱の伝達を抑制することができる。
このように、第1パッケージ22と第2パッケージ36との間の配線基板5を介した熱伝達を抑制することができるので、光出射部21とガスセル31との間の熱干渉を抑制することができる。
このような貫通孔51、52を有する配線基板5によれば、第1パッケージ22および第2パッケージ36を配線基板5に設置することにより、光出射部21および光検出部32を含む光学系の位置決めを行うことができる。そのため、配線基板5に対する第1パッケージ22および第2パッケージ36の設置を容易なものとすることができる。
また、第1パッケージ22および第2パッケージ36を保持する部材を配線基板5とは別途設ける場合に比し、部品点数を少なくすることができる。その結果、原子発振器1の低コスト化および小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、前述したように、配線基板5には、第1パッケージ22が挿入される貫通孔51と、第2パッケージ36が挿入される貫通孔52とが個別に形成されているため、配線基板5の剛性を優れたものとしつつ、第1パッケージ22および第2パッケージ36を配線基板5で保持することができる。
また、貫通孔53内には、光学部品41の一部が挿入され、これにより、光学部品41は、配線基板5に対してX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向での位置決めがされている。
同様に、貫通孔54内には、光学部品42の一部が挿入され、これにより、光学部品42は、配線基板5に対してX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向での位置決めがされている。
また、貫通孔55内には、光学部品43の一部が挿入され、これにより、光学部品43は、配線基板5に対してX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向での位置決めがされている。
このような貫通孔53、54、55を有する配線基板5によれば、光学部品41、42、43をそれぞれ保持するので、原子発振器1の製造時に配線基板5の各部品を取り付ける際、第1パッケージ22および第2パッケージ36を配線基板5に保持させた状態で、光学部品41、42、43をその位置または姿勢を調整しながら配線基板に設置することができる。
貫通孔53は、第1パッケージ22と第2パッケージ36とを結ぶ線分に沿った軸線(例えば、軸a)周りに光学部品41を回転可能に保持し得る。これにより、光学部品41を配線基板5の貫通孔53に係合させて軸aに平行な方向での位置決めを行った状態で、光学部品41の軸a周りの姿勢を調整することができる。
同様に、貫通孔54は、第1パッケージ22と第2パッケージ36とを結ぶ線分に沿った軸線周りに光学部品42を回転可能に保持し得る。また、貫通孔55は、第1パッケージ22と第2パッケージ36とを結ぶ線分に沿った軸線周りに光学部品43を回転可能に保持し得る。
本実施形態では、貫通孔53、54、55は、光学部品41、42、43の板面が互いに平行となるように形成されている。また、貫通孔53、54、55は、光学部品41、42、43の板面がそれぞれ軸aに対して垂直となるように形成されている。なお、貫通孔53、54、55は、光学部品41、42、43の板面が互いに非平行となるように形成されていてもよし、光学部品41、42、43の板面がそれぞれ軸aに対して傾斜するように形成されていてもよい。
ここで、前述したように光学部品41がλ/4波長板であるため、配線基板5に対する第1パッケージ22の姿勢によらず、光学部品41を回転により姿勢を調整することにより、光出射部21からの励起光を直線偏光から円偏光へ変換することができる。
光学部品41、42、43を配線基板5に設置するに際しては、例えば、まず、配線基板5に第1ユニット2および第2ユニット3を設置・固定する。その後、光学部品41、42、43をそれぞれ対応する貫通孔53、54、55に係合させた状態で、EIT信号等を確認しながら、各光学部品41、42、43の位置および姿勢のうちの少なくとも一方を変化させる。そして、所望のEIT信号を確認したとき、その状態で、各光学部品41、42、43を配線基板5に対して固定する。かかる固定は、特に限定されないが、例えば、光硬化性接着剤を用いるのが好適である。光硬化性接着剤は、硬化前であれば各貫通孔53、54、55に供給しても各光学部品41、42、43の位置または姿勢を変化させることができ、そして、所望時に短時間で硬化させて固定を行える。
このような配線基板5としては、各種プリント配線基板を用いることができるが、前述したように保持した第1パッケージ22、第2パッケージ36および光学部品41、42、43の位置関係を維持するのに必要な剛性を確保する観点から、リジット部を有する基板、例えば、リジット基板、リジットフレキシブル基板等を用いるのが好ましい。
なお、配線基板5として、リジット部を有しない配線基板(例えば、フレキシブル基板)を用いた場合であっても、例えば、かかる配線基板に、剛性を向上させるための補強部材を接合することにより、第1パッケージ22、第2パッケージ36および光学部品41、42、43の位置関係を維持することができる。
このような配線基板5の一方の面には、制御部6およびコネクター71、72が設置されている。なお、配線基板5には、制御部6以外の電子部品が搭載されていてもよい。
[制御部]
図1に示す制御部6は、ヒーター33、コイル35および光出射部21をそれぞれ制御する機能を有する。
本実施形態では、制御部6は、配線基板5に搭載されたIC(Integrated Circuit)チップで構成されている。
このような制御部6は、光出射部21の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部61と、ガスセル31中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部62と、ガスセル31に印加する磁場を制御する磁場制御部63とを有する。
励起光制御部61は、前述した光検出部32の検出結果に基づいて、光出射部21から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部61は、前述した光検出部32の検出結果に基づいて、前述した周波数差(ω1−ω2)がアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光出射部21から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。
また、励起光制御部61は、図示しないが、電圧制御型水晶発振器(発振回路)を備えており、その電圧制御型水晶発振器の発振周波数を光検出部32の検知結果に基づいて同期・調整しながら原子発振器1の出力信号として出力する。
また、温度制御部62は、温度センサー34の検出結果に基づいて、ヒーター33への通電を制御する。これにより、ガスセル31を所望の温度範囲内に維持することができる。
また、磁場制御部63は、コイル35が発生する磁場が一定となるように、コイル35への通電を制御する。
[コネクター]
コネクター71(第1コネクター)は、第1パッケージ22に装着され、光出射部21と配線基板5とを電気的に接続する機能を有する。これにより、コネクター71を介して、第1パッケージ22内の光出射部21が制御部6に電気的に接続されている。
また、コネクター72(第2コネクター)は、第2パッケージ36に装着され、光検出部32等と配線基板5とを電気的に接続する機能を有する。これにより、コネクター72を介して、第2パッケージ36内の光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35が制御部6に電気的に接続されている。
コネクター71は、図4に示すように、第1パッケージ22に装着されるコネクター部712と、配線基板5に固定される固定部713と、コネクター部712と固定部713とを接続するケーブル部714とを備える。
コネクター部712は、シート状をなし、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔711を有する。
この複数の貫通孔711は、第1パッケージ22の複数のリード223に対応して設けられている。この複数の貫通孔711には、それぞれ対応して、複数のリード223が挿通されている。
このような複数のリード223は、それぞれ、例えば半田等により、図5に示すようにコネクター部712に対して固定されるとともに、コネクター部712に設けられた配線(図示せず)に電気的に接続されている。
一方、固定部713は、シート状をなし、例えば異方性導電接着剤(ACF)等により、図5に示すように配線基板5に対して固定されるとともに、固定部713に設けられた配線(図示せず)が前述した配線基板5の配線(図示せず)に電気的に接続されている。
また、この固定部713の配線(図示せず)は、ケーブル部714に設けられた配線(図示せず)を介して、コネクター部712の配線(図示せず)に電気的に接続されている。
以上説明したようなコネクター71と同様に、コネクター72は、図4に示すように、第2パッケージ36に装着されるコネクター部722と、配線基板5に固定される固定部723と、コネクター部722と固定部723とを接続するケーブル部724とを備える。
コネクター部722は、シート状をなし、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔721を有する。
この複数の貫通孔721は、第2パッケージ36の複数のリード363に対応して設けられている。この複数の貫通孔721には、それぞれ対応して、複数のリード363が挿通されている。
このような複数のリード363は、それぞれ、例えば半田等により、図5に示すようにコネクター部722に対して固定されるとともに、コネクター部722に設けられた配線(図示せず)に電気的に接続されている。
一方、固定部723は、シート状をなし、例えば異方性導電接着剤(ACF)等により、図5に示すように配線基板5に対して固定されるとともに、固定部723に設けられた配線(図示せず)が前述した配線基板5の配線(図示せず)に電気的に接続されている。
また、この固定部723の配線(図示せず)は、ケーブル部724に設けられた配線(図示せず)を介して、コネクター部722の配線(図示せず)に電気的に接続されている。
このようなコネクター71、72は、それぞれ、フレキシブル基板で構成されている。すなわち、コネクター71にあっては、コネクター部712、固定部713およびケーブル部714がそれぞれフレキシブル基板で構成されているとともに、コネクター部712、固定部713およびケーブル部714が一体で構成されている。同様に、コネクター72にあっては、コネクター部722、固定部723およびケーブル部724がそれぞれフレキシブル基板で構成されているとともに、コネクター部722、固定部723およびケーブル部724が一体で構成されている。
このようにフレキシブル基板で構成されたコネクター71、72を用いることにより、原子発振器1の小型化および低コスト化を図ることができる。
なお、光出射部21と配線基板5との電気的な接続、および、光検出部32等と配線基板5との電気的な接続は、それぞれ、前述したコネクター71、72に限定されず、例えば、コネクター部がソケット状をなすものであってもよい。
以上説明した原子発振器1において、第2パッケージ36内には、ガスセル31とコイル35とをシールドケース9内に収納してなるガスセル組立体が設けられ(実装されている)。以下、このガスセル組立体の構成について説明する。
<第1実施形態>
図7は、第1実施形態のガスセル組立体の概略構成を示す斜視図(一部破断して示す。)、図8は、図7中のX−X線断面図、図9は、図7に示すシールドケースの展開図である。なお、図7および図8中、左側(励起光LLの入射側)を「前」、右側(励起光LLの出射側)を「後」、上側を「上」、下側を「下」、紙面手前側を「右」、紙面奥側を「左」として説明する。
図7に示すように、ガスセル組立体は、巻回して形成された四角筒状のコイル35内に、四角柱状のガスセル31を挿入し、このガスセル31が挿入されたコイル35を、金属材料を含むシールドケース9内に収納することにより構成されている。したがって、コイル35は、ガスセル31に照射される励起光LLの軸a(光軸)を軸方向として、ガスセル31の外周を囲むように設けられている。
また、シールドケース9は、箱状の本体部90と、本体部90の開口を塞ぐように設けられた蓋部(右板状部)99とを備えている。
本体部90は、図7および図8に示すように、上板状部91と、下板状部92と、前板状部93と、後板状部94と、左板状部95とを備え、図9に示すように、5つの板状部91〜95を含む1枚の板材を折り曲げることにより形成されている。また、前板状部93および後板状部94には、それぞれ、励起光LLが通過する貫通孔931、941が形成されている。
また、上板状部91の左板状部95と反対側の側面には、前方端部および後方端部にそれぞれ、ピン911が外方に向かって突出して形成され、下板状部92の左板状部95と反対側の側面には、前方端部および後方端部にそれぞれ、ピン921が外方に向かって突出して形成されている。一方、蓋部(右板状部)99の4つの角部には、それぞれ、切欠き991が形成されている。
本体部90に蓋部99を装着した状態(シールドケース9の組立状態)で、4つのピン911、921が対応する蓋部99の切欠き991に嵌合し、これにより、蓋部99が本体部90に固定される。なお、この状態で、本体部90と蓋部99とは、例えば、接着剤による接着、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等により接合されてもよい。
本発明では、隣接する2つの板状部の一方の主面と、他方の側面とが対向していること、特に、隣接する2つの板状部が、一方の板状部の主面に垂直な方向から見たとき、他方の板状部の側面が一方の板状部の主面の領域内に包含されるように位置していることを特徴とする。
本実施形態では、上板状部(一方の板状部)91の内側面(主面)912と、前板状部(他方の板状部)93の上面(側面)932および後板状部(他方の板状部)94の上面(側面)942とが対向し、下板状部(一方の板状部)92の内側面(主面)922と、前板状部(他方の板状部)93の下面(側面)933および後板状部(他方の板状部)94の下面(側面)943とが対向している。
かかる構成により、コイル35で発生した磁場(磁力線)を、シールドケース9内を通過させることができるため、この磁場のX軸方向に沿った磁力線を励起光LLの軸aとほぼ平行にすることができる。これにより、コイル35で発生した磁場が内部空間Sに存在するアルカリ金属の原子に確実に作用することができるようになる。
また、かかる構成により、シールドケース9の全体において厚さを均一にすることができ、シールドケース9によるシールド効果が十分に発揮される。
なお、図8に示すように、シールドケース9の角部を拡大して示すと、例えば、下板状部92と前板状部93との間には、隙間901が形成されている。しかしながら、この隙間901は、シールドケース9のX軸方向に沿って存在するため、この隙間901を介して、仮に外部磁場がシールドケース9内に侵入したとしても、その外部磁場は、下板状部92の内側面922とほぼ平行に進むだけであり、ガスセル31に直接向うことがない。このため、外部磁場が内部空間Sに存在するアルカリ金属の原子に対して、不必要に作用するのを防止することができる。
このようなことから、本発明では、上記構成のシールドケース9を用いることにより、ガスセル31の内部空間Sの磁場を安定させることができ、EIT信号の線幅をより小さくして優れた周波数安定度を実現する。
これに対して、図17に示すように、板金を単に折り曲げて形成した従来のシールドケース900では、板金の縁部(板状部)同士が近接または接触する部分(角部)において、隣接する2つの板状部の一方の側面と、他方の側面とが確実に対向することはない。このため、コイル35で発生した磁界を、シールドケース900内を円滑に通過させることができず、この磁場のX軸方向に沿った磁力線を、励起光LLの軸aとほぼ平行にすることが困難である。
また、かかるシールドケース900では、その角部において、厚さを十分確保することができない。このため、シールドケース900によるシールド効果が十分に発揮されない。また、当該角部を拡大して示すと、隙間901が形成されており、かかる隙間から外部磁場が侵入した場合、ガスセル31に直接向かって進むため、ガスセル31の内部空間Sに存在するアルカリ金属の原子に悪影響を及ぼす。
このようなことから、従来のシールドケース900を用いても、ガスセル31の内部空間Sの磁場を安定させることができず、その結果、EIT信号の線幅をより小さくするのが困難であり、優れた周波数安定度を実現することができない。
また、上述したように、本発明によれば、シールドケース9の全体において厚さを均一にすること、すなわち、シールドケース9において板状部91〜95同士の間に重なる部分が存在しない。このため、シールドケース9の小型化、ひいては原子発振器1の小型化に寄与する。
このようなシールドケース9は、金属材料を含んでいればよく、金属材料のみで構成されていてもよく、金属材料で構成される粒子が分散した樹脂材料で構成されていてもよく、金属材料で構成された金属層と樹脂材料で構成された樹脂層との積層体で構成されていてもよい。
かかる金属材料としては、シールドケース9に十分なシールド効果を発揮させ得ることができれば如何なるものであってもよいが、軟磁性材料を含むものが好ましい。かかる軟磁性材料としては、鉄、ニッケル、クロムおよびコバルトのうちの少なくとも1種を含む合金、特に、パーマロイ(鉄−ニッケル系合金)が好適である。金属材料として、軟磁性材料(特に、パーマロイ)を用いることにより、シールドケース9によるシールド効果をより向上させることができる。
シールドケース9(本体部90(板状部91〜95)および蓋部(右板状部)99)の平均厚さとしては、特に限定されないが、0.05〜1mm程度であるのが好ましく、0.1〜0.7mm程度であるのがより好ましい。これにより、シールドケース9は、それによる十分なシールド効果を発揮しつつ、その小型化を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、ガスセル組立体の第2実施形態について説明する。
図10は、第2実施形態のガスセル組立体の図8に対応する断面図である。
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図10において、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
第2実施形態では、上板状部91および下板状部92と、前板状部93および後板状部94との位置関係が異なること以外は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、前板状部(一方の板状部)93の内側面(主面)934と、上板状部(他方の板状部)91の前面(側面)913および下板状部(他方の板状部)92の前面(側面)923とが対向し、後板状部(一方の板状部)94の内側面(主面)944と、上板状部(他方の板状部)91の後面(側面)914および下板状部(他方の板状部)92の後面(側面)924とが対向している。
換言すれば、上板状部91および下板状部92の前面913、923と対向する内側面934が、コイル35の軸方向(励起光LLの軸a)と交わるように、前板状部93が配置され、上板状部91および下板状部92の後面914、924と対向する内側面944が、コイル35の軸方向と交わるように、後板状部94が配置されている。
このような第2実施形態のシールドケース9によっても、第1実施形態のシールドケース9と同様の作用・効果が得られる。
なお、EIT信号の線幅をより小さくする観点からは、磁界(磁力線のループ)は、Y軸およびZ軸方向よりもX軸方向に伸びた状態とするのが好ましい。ここで、第1実施形態のシールドケース9では、その角部に、隙間901がX軸方向に沿って存在する。このため、磁界をY軸およびZ軸方向よりもX軸方向に伸びた状態とすると、磁界の大半は、シールドケース9内を通過するものの、図8に示すように、磁界の一部が隙間901よりシールドケース9外に漏れ出し、磁界の乱れが生じる場合がある。
これに対して、第2実施形態のシールドケース9では、隙間901がZ軸方向に沿って存在するため、磁界を前述の状態とした場合でも、磁界は、隙間901からシールドケース9外に漏れ出さないか、漏れ出しても第1実施形態と比較して極めて少ない。したがって、第2実施形態のシールドケース9によれば、第1実施形態のシールドケース9と比較して、ガスセル31の内部空間Sの磁場をより安定させることができ、EIT信号の線幅をさらに小さくしてより優れた周波数安定度を実現する。
また、外部磁場に関しては、第1実施形態と同様に、仮に隙間901を介してシールドケース9内に侵入したとしても、その外部磁場は、前板状部93の内側面934とほぼ平行に進むだけであり、ガスセル31に直接向うことがない。このため、外部磁場が内部空間Sに存在するアルカリ金属の原子に対して、不必要に作用するのを防止することができる。
<第3実施形態>
次に、ガスセル組立体の第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態のガスセル組立体の図8に対応する断面図である。
以下、第3実施形態について、第1および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11において、第1および第2実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
第3実施形態では、隣接する2つの板状部が、主面と側面とが対向する部分において接合されていること以外は、第2実施形態と同様である。具体的には、上板状部91および下板状部92と、前板状部93および後板状部94とが接合部902を介して接合されている。すなわち、隙間901が接合部902で埋められている。
このような第3実施形態のシールドケース9によっても、第1および第2実施形態のシールドケース9と同様の作用・効果が得られる。
なお、板状部91〜94同士を接合部902で接合する構成とすることにより、シールドケース9の機械的強度を向上させることができる。また、かかる構成により、隙間901の大きさが変化するのを確実に防止することができるともに、接合部902により、外部磁場が隙間901を介してシールドケース9内に侵入するのを防止することもできる。その結果、ガスセル31の内部空間Sの磁場を、より確実に安定させることができる。
接合部902は、接着剤による接着、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等により形成することができる。なお、接合部902は、シールドケース9と同様の材料で形成するのが好ましい。
なお、第1実施形態の板状部91〜94同士を接合部902で接合するようにしても良いことは言うまでもない。
<第4実施形態>
次に、ガスセル組立体の第4実施形態について説明する。
図12は、第4実施形態のガスセル組立体の図8に対応する断面図である。
以下、第4実施形態について、第1および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12において、第1および第2実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
第4実施形態では、前板状部93と上板状部91および下板状部92との位置関係が第2実施形態と同様であり、後板状部94と上板状部91および下板状部92との位置関係が第1実施形態と同様である。
このような第4実施形態のシールドケース9によっても、第1〜第3実施形態のシールドケース9と同様の作用・効果が得られる。
なお、第4実施形態の場合、図12に示すように、磁場が安定し易い前板状部93側にガスセル31をズラして配置する(偏在させる)のが好ましい。これにより、ガスセル31の内部空間Sの磁場が不安定になることを防止または抑制することができる。
<第5実施形態>
次に、ガスセル組立体の第5実施形態について説明する。
図13は、第5実施形態のガスセル組立体の概略構成を示す斜視図(一部破断して示す。)、図14は、図13に示すシールドケースの展開図である。なお、図13中、左側(励起光LLの入射側)を「前」、右側(励起光LLの出射側)を「後」、上側を「上」、下側を「下」、紙面手前側を「右」、紙面奥側を「左」として説明する。
以下、第5実施形態について、第1および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図13および図14において、第1および第2実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
第5実施形態では、ガスセル組立体の全体形状が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
図13に示すように、ガスセル組立体は、巻回して形成された円筒状のコイル35内に、円柱状のガスセル31を挿入し、このガスセル31が挿入されたコイル35を、金属材料を含むシールドケース9内に収納することにより構成されている。したがって、コイル35は、ガスセル31に照射される励起光LLの軸(光軸)aを軸方向として、ガスセル31の外周を囲むように設けられている。
また、シールドケース9は、円筒状の胴部(板状部)96と、胴部96の前側開口を塞ぐように設けられた円盤状の前板状部93と、胴部96の後側開口を塞ぐように設けられた円盤状の後板状部94を備えている。
シールドケース9は、図14に示すように、3つの板状部93、94および96を含む1枚の板材を折り曲げることにより形成されている。
胴部96は、1枚の板材の長方形状をなす領域を円筒状に曲げ、その上面961と下面962とを接合することにより形成されている。この接合には、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。なお、なお、上面961と下面962との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。
また、本実施形態では、前板状部(一方の板状部)93の内側面(主面)934と、胴部(他方の板状部)96の前面(側面)963とが対向し、後板状部(一方の板状部)94の内側面(主面)944と、胴部(他方の板状部)96の後面(側面)964とが対向している。
このような第5実施形態のシールドケース9によっても、第1〜第4実施形態のシールドケース9と同様の作用・効果が得られる。
なお、板状部93、94および96同士を、第3実施形態の接合部902で接合するようにしても良いことは言うまでもない。
以上説明したガスセル組立体では、シールドケース9内に、ガスセル31とコイル35とが設けられているが、その他、光検出部32、ヒーター33および温度センサー34のうちの少なくとも1つを設けるようにしてもよく、これらの全てを設けるようにしてもよい。ガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35の全てを設ける場合、第2パッケージ36をシールドケースとすればよい。
また、第1〜第4実施形態では、本体部90(板状部91〜95)と蓋部(右板状部)99とを一体的に形成、すなわち、シールドケース9を本体部90(板状部91〜95)および蓋部(右板状部)99を含む1枚の板材を折り曲げて形成するようにしてもよい。
2.電子機器
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。このような電子機器は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図15は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合のシステム構成概要図である。
図15に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報を、アンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報を、アンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報を、アンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
3.移動体
図16は、本発明の移動体の一例を示す図である。
この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
このような移動体によれば、優れた信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置)を備える電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局等に適用することができる。
以上、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明の原子発振器は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
例えば、前述した実施形態では、光出射部と光検出部との間にガスセルが配置されている構造を例に説明したが、光出射部および光検出部をガスセルに対して同じ側に配置し、ガスセルの光出射部および光検出部とは反対側の面、または、ガスセルの光出射部および光検出部とは反対側に設けられたミラーで反射した光を光検出部で検出してもよい。
また、前述した実施形態では、配線基板に形成された貫通孔に第1パッケージ、第2パッケージおよび光学部品をそれぞれ係合させた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、第1パッケージ、第2パッケージおよび光学部品を配線基板の一方の面上に配置してもよいし、第1パッケージ、第2パッケージおよび光学部品を一括して箱状またはブロック状のホルダーで保持し、そのホルダーを配線基板上に配置してもよい。
また、例えば、第1パッケージ内に収納された構成物品、第2パッケージ収納された構成物品および光学部品を1つのパケージ内に収納するようにしてもよい。これにより、原子発信器の更なる小型化を図ることができる。
さらに、本発明の量子干渉装置は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した方式の原子発振器に適用することもできる。
1‥‥原子発振器 2‥‥第1ユニット 21‥‥光出射部 22‥‥パッケージ 221‥‥基体 222‥‥蓋体 223‥‥リード 23‥‥窓部 3‥‥第2ユニット 31‥‥ガスセル 311‥‥本体部 311a‥‥貫通孔 312‥‥窓部 313‥‥窓部 32‥‥光検出部 33‥‥ヒーター 34‥‥温度センサー 35‥‥コイル 36‥‥パッケージ 361‥‥基体 362‥‥蓋体 363‥‥リード 37‥‥窓部 41‥‥光学部品 42‥‥光学部品 43‥‥光学部品 5‥‥配線基板 51‥‥貫通孔 52‥‥貫通孔 53‥‥貫通孔 54‥‥貫通孔 55‥‥貫通孔 6‥‥制御部 61‥‥励起光制御部 62‥‥温度制御部 63‥‥磁場制御部 71‥‥コネクター 711‥‥貫通孔 712‥‥コネクター部 713‥‥固定部 714‥‥ケーブル部 72‥‥コネクター 721‥‥貫通孔 722‥‥コネクター部 723‥‥固定部 724‥‥ケーブル部 9‥‥シールドケース 90‥‥本体部 901‥‥隙間 902‥‥接合部 91‥‥上板状部 911‥‥ピン 912‥‥内側面 913‥‥前面 914‥‥後面 92‥‥下板状部 921‥‥ピン 922‥‥内側面 923‥‥前面 924‥‥後面 93‥‥前板状部 931‥‥貫通孔 932‥‥上面 933‥‥下面 934‥‥内側面 94‥‥後板状部 941‥‥貫通孔 942‥‥上面 943‥‥下面 944‥‥内側面 95‥‥左板状部 96‥‥胴部 961‥‥上面 962‥‥下面 963‥‥前面 964‥‥後面 99‥‥蓋部(右板状部) 991‥‥切欠き 100‥‥測位システム 200‥‥GPS衛星 300‥‥基地局装置 301‥‥アンテナ 302‥‥受信装置 303‥‥アンテナ 304‥‥送信装置 400‥‥GPS受信装置 401‥‥アンテナ 402‥‥衛星受信部 403‥‥アンテナ 404‥‥基地局受信部 900‥‥シールドケース 1500‥‥移動体 1501‥‥車体 1502‥‥車輪 a‥‥軸 LL‥‥励起光 S‥‥内部空間

Claims (8)

  1. アルカリ金属原子が封入されている内部空間を有するガスセルと、
    前記アルカリ金属原子に共鳴するための共鳴光対を含む光を前記内部空間に向けて出射する光出射部と、
    前記ガスセルの外周を囲むように設けられた、前記アルカリ金属原子に磁場を与えるコイルと、
    前記ガスセルおよび前記コイルを収納し、金属材料を含むシールドケースと、
    を備え、
    前記シールドケースは、複数の板状部で構成され、前記複数の板状部のうちの隣り合う2つの前記板状部のうち、一方の前記板状部の主面と、他方の前記板状部の側面とが対向しており、外部磁場が前記一方の前記板状部の主面に沿って進むことで、前記外部磁場が前記ガスセルに直接向かうことを防止することを特徴とする量子干渉装置。
  2. 前記主面は、前記コイルの軸方向と交わっている請求項1に記載の量子干渉装置。
  3. 前記複数の板状部は、5つの前記板状部を有する請求項1または2に記載の量子干渉装置。
  4. 前記シールドケースは、1枚の板材が折り曲げられている前記複数の板状部を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の量子干渉装置。
  5. 前記金属材料は、軟磁性材料を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の量子干渉装置。
  6. 前記軟磁性材料は、パーマロイである請求項5に記載の量子干渉装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする原子発振器。
  8. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする電子機器。
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